前照灯後方のサイレンは剥き出し状態。量産車では装備位置が後方内側にずらされ、追加されたフェアリングに半分埋めこまれました。
あと、量産車では車体前部中央に前下方監視カメラが追加されています。

36年の差異。
車体後面。環境センサーは量産車と同じです。給弾ドアが弾薬断面形に合わせた円形をしており、雑具入れにはヒンジがありません。雑具入れ自体が大きいとはいえ、手狭な感じがあり、量産車では給弾ドアを大型化すると共に、雑具入れのドア後方部分をヒンジで横に展開できるようにしました。

砲塔後部側面のレーザー検知器は量産車とほぼ同じ。側面増加装甲と後面雑具入れの変更で取り付け部周辺の形状が変わっているくらいです。

側面増加装甲の発煙弾収容部には個別に穴が開いていますが、量産車では一纏めの楕円形開口になりました。
車長用独立視察照準器は前面カバーを差し込む方式らしく、着脱が面倒だったためか量産車では本試作車の砲手用照準器のような上に跳ね上げる蓋に変更されています。

砲手用照準器の蓋は上開きで、側面上部に取っ手状の部品があります。量産車では蓋を両開きにして側面の取っ手も廃止し、庇付きの装甲カバーを被せました。

そして砲口照合器のレーザー照射部は防楯の上に。量産車では防楯前面右上部に移されました。
砲塔側面増加装甲は最前部上面に傾斜の緩い部分があり、その分だけ発煙弾発射機やレーザー検知器が増加装甲内にめりこんだ状態となっています。
操縦手用ペリスコープのワイパー形状が違っているのにここで気付きました。


ただし砲口照合器のミラーは量産車と反対側に付いています。

主砲自体は量産型と変わりありません。



車体後面左。こちらも量産車では排気ルーバー上の取っ手が無くなり、最外側上部に牽引用ワイヤー固定具が付きました。他に、排気ルーバー外側のAPU排気口に排気を下に向けるカバーが追加され、ライト群の右に円形の蓋が設けられています。


車体後面右。量産車では排気ルーバー上の取っ手が付いた部分が無くなり、その外側の固定具も外されて機関室消火装置の車外操作ハンドルが付き、最外側上部の穴に牽引用ワイヤー固定具が装着されました。

バックモニターはほぼ同じ形で装備されており、量産車では視野確保のためか穴が広げられているくらいの違いです。

車体前部。操縦手用ハッチ脇のカメラ周辺が量産型とは違い、剥き出し部分が多くなっています。防御上まずかったんでしょう。

陸上自衛隊広報センターに展示されている10式戦車試作初号車。防衛省でも防衛装備庁でもない頃の銘板が付いてます。
10式戦車試作車TK-X
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車長用独立視察照準器を後ろから見ても、ロボットではありません。

車長用キューポラ周辺の構造は試行錯誤されており、初号車は外側に回して前に開く旋回スライド式ハッチを採用し、車長用キューポラ左脇に機銃を配しています。恐らく12.7mm機銃は量産車と同様にキューポラ周囲を旋回できる構造になっていて、ハッチを後ろ開き固定にすると引っかかって後方が射撃できなくなるため、ハッチを前方に押しやる方式にして全周射界を確保したのでは。試作3号車では通常のヒンジ式ハッチに変更し、ハッチをヒンジごと全周旋回できるようにしました。量産車では試作3号車方式になった模様。

後部鋼製スカートの穴は1カ所で、こちらも量産車では2カ所に増やされています。また、最後部スカートの後端が斜めなのと、ボルトや取っ手の位置や数が量産車とは異なります。

車体右側面。こちらには謎の円筒形の物体は無し。代わりに中央に四角い凹みがあり、機関室消火装置の車外操作ハンドルが設けられていますが、量産車では車体後面右に移されました。側面装甲にはボルトや固定具のような出っ張りがあり、装甲モジュール追加などを考慮していたのかもしれませんが、量産車では廃止されています。
砲塔側面増加装甲は上開きの蓋が付いていて、雑具箱を兼ねます。一応は装甲なのでそれなりの厚さと重量があり、不意に閉まると危険ということで、量産車では前開きに変更されました。

車体後面で最も目立つ量産車との違いは牽引用ワイヤーの取り付け方で、両端を吸気ルーバー下方に引っかけています。外れやすい、吸気ルーバーのワイヤー固定具に負荷がかかりすぎて折れかねない、といった欠点があったと想像。

左前部に後方を向けて取り付けられた円筒形の謎の物体。量産車では無くなってました。
スカート最前部の足掛けは1カ所ですが、量産車では2カ所に増やされています。