技巧に凝った上面ハッチ。全開放への恐怖感は太平洋戦争で植え付けられたものなのかも。
それはともかく、107mm迫撃砲の射界確保や操作にはちょっと狭かったようで、量産車では車体後部の形状ごと大幅な変更が加えられる運びとなりました。
エンジングリル。さすがに中身は入ってません。
量産車ではエンジンと重機関銃手の位置を逆にしてあり、後面ドアを開けた状態で操縦手が振り向くと、重機関銃手越しに後方確認ができるようになりました。
奥に円形の重機関銃手用ハッチ。銃架ごと全周旋回できる構造とみられ、この時はほぼ真後ろを向いていました。
反対側の操縦手用ハッチ。60式装甲車量産型や60式自走107mm迫撃砲ではペリスコープ3基が配置されていますが、本車両ではハッチに1カ所取り付けられるだけとなっています。
SU-Ⅱで機銃手がいた場所にはビジョンブロック付きのキューポラがあります。前方機銃は廃止されているので、車長が位置するのかな。
こちらは一次試作車SXまたは試製56式自走107mm迫撃砲。量産車とここまで形が違うのも珍しいですが、ベース車体が60式装甲車の一次試作車SU-Ⅱなので、こうなりました。
車体前面の形状や傾斜、前照灯の場所、ハッチやペリスコープや機銃の位置もまるで異なっており、乗員室も箱形のまま、上面ハッチもそのままの状態です。
手前の木にピントが合ってるのは気のせいです(木だけに)。車体後面はランプ式に変更されました。ヒンジには90度開いたところで止められるストッパーが付いているようで、ランプを床にして発射時の作業スペース確保を図ったと思われます。
もう一つの大きな違いは、車体後部上面が下方に傾斜していること。よって、どこから見ても60式装甲車との区別は付きやすくなっております。
東千歳駐屯地に展示されている60式自走107mm迫撃砲。60式装甲車の乗員室に107mm迫撃砲を積んだもので、前方機銃が全撤去されているため比較的分かりやすいですね。
車体前面の迫撃砲用二脚・床板取り付け具は60式自走81mm迫撃砲と異なる形状をしています。まあ積んでる砲が違いますし。
60式自走107mm迫撃砲