C型の車体後面全体の画像がこちら。下のA型とはグリルの配置が全く違っています。
無反動砲の俯仰機構は実にシンプル。
無反動砲脇で蓋が開いているのは照準眼鏡を収めた開口部。その手前では背の低い装甲板が前に倒されています。開口部の上には車長用広角ペリスコープ、その後ろのドームはビジョンブロック付き車長用ハッチ、開口部の向かって右側には操縦手用ペリスコープ、その上には操縦手用ハッチがあります。
こちらは車長用ビジョンブロック下の銘板2枚。なぜか砲架重量の項目があります。
足回り。エンジンは車体後部にありますが、トランスミッションは車体前部に搭載されているので、起動輪も車体前部にあります。
操縦手用ハッチ。まあ、ただのハッチです。
60式自走106mm無反動砲
戦後初の装甲戦闘車両。敵機甲部隊に対する待ち伏せ攻撃・一撃離脱がコンセプトの車両ですが、対戦車部隊だけでなく普通科中隊無反動小隊にも配備されており、突撃砲・突撃歩兵砲的な役目も果たしていたのでしょう。対戦車ミサイルに出番を奪われることも無く、21世紀に入っても使われ続け、2008年3月にようやく退役しました。
役目的な後継車両は16式機動戦闘車ということになるのかな。
車体底部を後方から見たところ。
砲尾はこの位置にあり、排莢や再装填は隊員が外に出て行うことになります。よって、撃ったらすぐに身を隠しつつ次の陣地まで移動し、そこで次弾を込めて再び敵を待つ、という戦い方になるでしょう。
砲身の上にある丸い穴が空いた器具は、60式50口径スポッティングライフルを固定するためのもので、右砲(この写真では手前側)にだけ装着します。
第3・第4転輪にはショックアブソーバーが無いので、空いたスペースに予備履帯を装着しています。
ライフリングが美しい。
車長と無反動砲がある砲架部分だけ持ち上げているので、車体との間に隙間ができています。前面の隙間は起倒式装甲板でカバー。
内部の様子。照準眼鏡など重要器材は外されているでしょうが、スイッチ類がいくつか残されていました。
装填手用ビジョンブロック上に取り付けられた銘板。製造時期から、A型であることが分かります。
ちなみに船岡駐屯地の展示車両は一時期こんな感じでしたが、見事に塗り直されて上から2・3枚目の状態となりました。
実際の戦闘ではこんな感じの待ち伏せ攻撃を仕掛けます。
106mm無反動砲を並列2連装で搭載しています。両方いっぺんに支えられるガン・トラベリング・ロック付き。
相手から見えるのはこの部分だけ。
スポッティングライフル固定部と車長用ハッチ。車長用ペリスコープの上に枠があり、後方に金属棒が伸びてますが、何だろ。
後方から見たところ。持ち上がった部分の左側面は剥き出しとなっています。
ちなみにマフラーと排気管がこの位置にあるのはC型の証左。
後ろから見ると、ビジョンブロックが横に並んでいます。右側が車長用、左側が装填手用。装填手の前には操縦手がいる訳ですが、バックの際には装填手に後方を見てもらうのか、装填手の頭をずらしてもらって自分でビジョンブロック越しに見られるのかは、知識が無いので分かりません。
操縦手用ペリスコープが外れていた時があって、中を覗いてみました。半分水没していますが、操縦手席の一部などが確認できます。
さすがに照準器までは装備されてません。
操縦手用ペリスコープや車長用ハッチの周辺を構成する装甲板は、曲面を出すため鋳造していると思われ、車体前面など平面の部分とは質感が違っています。