主脚と胴体後部下面。このへんの外板は前後縁が機軸と垂直で、小さいパネル部分だけ六角形になってます。


キャノピー後方には環境制御システムECS(電子機器冷却装置)の排気部やアンテナがあります。ステルス機は形状から熱がこもりやすいので、冷却は重要。ECS排気口前後縁を鋸歯状にしてステルス性に配慮しています。よく見るとその上の黒いところにもメッシュが張ってある部分があります。
アンテナはボタン状のがGPS、ブレード状のが無線機用でしょうか。

機首はステルス性を考慮して断面がソロバン玉状なので、陰影がピシッと分かれます。いかにもレドームであるかのように塗装が分かれてますが、レーダーは積んでません。
2本のトゲみたいなのと、その前の3つの丸いのは、ピトー静圧システム用センサーです。その後ろの外板のつなぎ目が鋸歯状になっているのが細かい工夫。

後部胴体の微妙な曲線がエロティック。

一見して翼幅が短く感じましたが、機体全長との比だとF-15やF-35と同じくらいでした。胴体形状の関係かな。
垂直尾翼とエアインテイク外側の角度がピッタリ揃っているのがステルス機の証。

機体後部下面には緊急事態発生時の着陸に備えてアレスティングフックを装備。

内側に傾けたガードプレートでカバーしています。

主翼前縁はほぼフルスパンのフラップ。

いろいろ重なってますが、翼端部。翼端灯は側面でなく上下面に付いてます。

エアインテイク前縁は外側下方に傾け、更にRAMも塗ってステルス性を保っています。エアインテイクを塞ぐ器材から「REMOVE BEFORE FLIGHT」の布が垂れ下がっていますが、また飛ぶことがあるのかどうか。若干悲哀を感じます。

推力偏向エンジンなどによる高機動・失速後機動能力やステルスの研究に使用された実験機で、2016-17年に試験飛行を行いました。
これは2019年の岐阜基地航空祭で公開された時の写真。状態は極めて良好、塗装もピカピカで、周囲の風景が映り込んでいます。



脚支柱がゴツい。



主脚扉はステルス性を考慮した形状となっています。

主翼の動翼と水平安定板はフルダウンの状態でした。フラッペロン内外縁と水平安定板外縁・内縁前部の傾斜角がそろえてあります。

エアインテイク前方の機体外板は、前後方向の継ぎ目が機軸と垂直にならないように加工してあります。細かい。

正面から見たエアインテイク。残念ながら塞がれてましたが、スネークダクト構造で内部が内側に曲げられており、ファンが直接見えないようにしてあるはずです。
エアインテイク内側隔壁は境界層を吸い込まないようにするダイバーター兼用で、ダイバーターレス・スーパーインレットよりも高速を出せる構造となっています。
エアインテイク内側の境界層吸い込み口の後方真上あたりにECS排気口があるので、吸い込んだ境界層の空気を冷却装置に流用するのかな。



機首下面にはアンテナなどが突き出しています。ステルス性を考慮するならこういう出っ張りは無くしたいところで、将来戦闘機ではスマートスキンで外皮と一体化することになるでしょう。

緊急時に外部からキャノピーを除去する機構。こういうところも抜かりはありません。

外からキャノピーを開けるための穴と、使用燃料を示す注意書き。飛行時には穴に蓋をすると思われます。

計器板上面にHUDを完備。計器板は見えませんが、多機能ディスプレイ4枚を備えたグラス・コクピットだそうです。

逆光なので細部は後ほど。エンジンは国産新開発のXF5-1双発です。機体もエンジンも新型だとテストパイロットは飛行時にかなり緊張するとのことですが、32回の試験飛行を無事に終えました。

燃料給油口も四角形でなく六角形。徹底しています。

機首側面の外板傾斜角の差による鋭いライン、段差の無いぶ厚い胴体、外側に傾けた双垂直尾翼、主脚扉後縁の鋸歯状構造など、分かりやすいステルス構造が各所に取り入れられています。
X-2(その2)に続く



写真館に戻る     トップページに戻る
X2先進技術実証機



主脚は前脚と同様にT-2からの流用です。

主翼後縁の大型フラッペロン。

前脚はT-2からの流用。2006年の完全退役から久しいですが、随分と物持ちが良いですね。
例によってカバーは前後縁が鋸歯状になっています。

後席部分には計測機器か何かが積まれています。キャノピーからの反射が緑やら紫やらに色づいているのは、レーダー波の侵入を防ぐ特殊コーティングのせいでしょうか。

ヒンジ周りの処理が若干甘い気がしますが、この辺は性能と価格のトレードオフかな。

単座なのにキャノピーが大きいのは、T-4複座練習機から流用しているため。射出座席もT-4と同じものを使っています。