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＜セアラ＞：ブラジル海軍トーマストン級ドック型揚陸艦Ceara。元はアメリカ海軍トーマストン級ドック揚陸艦LSD-34ハーミテイジで、1989年にリースし、2001年に購入した。参考：月刊世界の艦船2,’14

＜制圧火力＞：火力を参照。

＜正圧リリーフ・バルブ・テスト器材＞：自衛隊の機器。川崎重工製。参考：月刊軍事研究9,’16

＜西安＞：153（駆逐艦）を参照。

＜西安航空機会社＞：中国の航空機会社で、XAC（Xi’an Aircraft Company）と略す。西安航空機工業、西安飛機工業ともいう。1958年に設立された。参考：月刊JWings3,’16

＜西安事件＞：昭和11年12月12日、蒋介石が共産党に対する攻撃のため西安に滞在していたところ、部下の張学良らに身柄を拘束されて共産党への攻撃の即時停止と対日戦への戦力投入を求められたとされる事件。様々な証言があるため具体的な内容は不明だが、その後蒋介石率いる国民党は共産党への攻撃を停止し、日華事変では第２次国共合作により日本軍と戦った。参考：歴史群像6,’08

＜静安定緩和＞：ACTの１つ、略称RSS（Relaxed Static Stability）。機体の固有安定性（主に縦安定性）を減少させること。通常の機体では揚力中心が重心より後ろにあり、機体を水平に維持するため水平尾翼で下向きの力を発生させているが、その分だけ主翼の揚力が打ち消されてしまう。これに対し、RSSでは水平尾翼でも上向きの力（揚力）を発生させ、水平尾翼の揚力を主翼の揚力に加えることで、主翼面積を縮小して構造重量軽減や抗力低下に繋げ、後部胴体や水平尾翼も軽量化できる。重心が揚力中心より後ろになるので、ピッチ方向の静安定性がマイナスになるが、センサーやコンピュータによる高度な電子制御装置により補正することで、安定的に飛行させる。超音速飛行時は揚力中心が重心よりも後方に移るため、水平尾翼で下向きの力を発生させる必要があるが、通常機よりも少なくて済む。着陸時の接地直前までは機体姿勢が機首上げだが水平尾翼は機首下げ位置にあり、主輪接地時には機軸とほぼ平行になり、空力ブレーキングで機速が低下するに従って機首上げ位置に移行、ブレーキングが終わったら機軸と平行にして前輪が接地する。縦安定性を得るためには電子制御と高い信頼性が不可欠で、制御コンピュータが故障すれば瞬時に墜落に繋がる。参考：日本の防衛戦力Part8、F-16ファイティングファルコン、月刊JWings8,’02、月刊航空ファン9,’17

＜静安定性＞：Static stability。釣り合い状態から攪乱を受けた時、生じる力とモーメントによって元の釣り合い状態に戻っていくかどうかの傾向のこと。元の釣り合いに戻る（転倒モーメントが負を示す）静的安定、戻らずますます発散する静的不安定、攪乱を受けたままの位置に止まる静的中立安定の３つに分類される。飛翔体の重心よりも後方に空力中心を持ってくると、離軸角が自動的に減少する方向にモーメントが働くので、静的安定が得られ、安定した飛翔が可能となる。矢が後部に羽を持つのも、静安定性を静的安定に持っていくためである。参考：航空用語事典増補改訂版、月刊JWings8,’02、火器弾薬技術ハンドブック

＜清遠＞：589（コルベット）を参照。

＜西欧ブリュッセル条約＞：経済的、社会的及び文化的協力並びに集団的自衛のための条約。1948年3月17日に署名され、8月25日に発効した。締約国はベルギー、フランス、ルクセンブルク、オランダ、イギリス。締約国は経済的、社会的、文化的に相互協力し、武力攻撃を受けた際には他の締約国はできる限りの軍事的協力を行う。また、NATOとも緊密に協力すると定めている。1954年にドイツ連邦とイタリア共和国が加入した。参考：軍縮条約・資料集第２版

＜精華＞：陸軍経理学校の軍歌集。参考：軍医サンよもやま物語

＜制海艦＞：SCSを参照。

＜制海拒否＞：Sea Denial。ソ連海軍が冷戦期に行っていた海洋戦略で、潜水艦と長距離爆撃機に対艦核ミサイルや核魚雷を積み、西側海軍（特に機動部隊）の自由な行動を阻止して西側の制海戦略を阻害するものである。参考：月刊世界の艦船9,’18

＜制海権＞：水陸両用作戦を成功させる上でも必要である。20世紀に入り、潜水艦や航空機が出現し、水上艦艇による制海権には制限が加えられるようになった。参考：世界大海戦史考

＜青海湖＞：885（補給艦）を参照。

＜清海鎮＞：ASR21（潜水艦救難艦）を参照。

＜清海鎮型＞：韓国海軍潜水艦救難艦チョンヘジン（Chunghaejin）型。レスキュー・チェンバーや再圧タンクなどの各種救難機材を装備し、充電や燃料補給などの潜水母艦能力も持つ。DSRVはイギリスのLR-5を参考にしたLR-5Kを１隻搭載し、艦尾のＡフレーム・クレーンで揚収する。ただ揚収時の波浪によるクレーン負荷変動を吸収するシステムに問題があるらしく、度々ワイヤーを切断する事故を起こし、シーステート３以下でないと運用出来ないらしい。全長102.8m、幅16.4m、吃水4.6m、満載排水量4369トン。主機はディーゼル・エレクトリック方式、ディーゼル４基・電動機２基、出力5440馬力、２軸推進、速力18ノット。兵装は20mm多砲身機関砲１基、12.7mm単装機銃６丁。乗員130名。ASR21清海鎮が1996年に就役した。2008年12月にDSRVをDSAR-5に換装している。後継のASR-�Uを開発中。参考：月刊世界の艦船4,’09、12,’13、6,’01、7,’13、月刊軍事研究5,’05、6,’18

＜清海部隊＞：ソマリア沖海賊対処（韓国）を参照。

＜盛海丸＞：北日本汽船貨物船Seikai maru。大元は第１次大戦中に進水したイギリス戦時標準船ウォー・ビーコンで、大正8年7月にイギリスのストリック・ライン所属シャーリスタンとして竣工し、ニュージーランドと中国を経て昭和13年に北日本汽船が購入、盛海丸に改称した。垂線間長100.89m、幅14.2m、深さ7.77m、総トン数3108トン、重量トン数5169トン。主機は三連成レシプロ蒸気機関１基、公称出力429馬力、１軸推進、航海速力8.1ノット、最大速力13.1ノット。太平洋戦争中も北日本汽船で運航した。昭和17年8月24日、金華山灯台南西11kmでSS-217ガードフィッシュの雷撃を受けて沈没した。参考：月刊世界の艦船9,’23

＜西�獄�成龍＞：993（イージス艦）を参照。

＜静荷重試験＞：Static load test。航空機構造の強さや剛性を調べるため、静的荷重をかける試験のこと。油圧ジャッキ、ワイヤー、吸着パッチ、錘、砂袋、鉛ベルトなどを使う。１分間以上の荷重をかけて有害な残留変形が生じるか調べる保証試験（Proof test）と、壊れるまで荷重をかける破壊試験（Destructive test）がある。参考：航空用語事典増補改訂版

＜青瓦台襲撃未遂事件＞：1968年1月21日夜、５日前に侵入した北朝鮮人民軍総参謀部偵察局第124軍部隊第１中隊第１小隊コマンドー31名と韓国大統領警備府との間で起きた銃撃戦。コマンドーは韓国陸軍情報部訓練隊を装って休戦ラインを越え、重武装のままソウル市内に入り、検問所で身分がばれた時には大統領府の800m手前まで到達しており、危うく大統領が暗殺されるところだった。その場で５名が射殺され２名が捕虜となり、韓国第６軍団により29日までに残り全員も射殺された。北朝鮮は犯行を認めず、遺体も引き取っていない。これをきっかけに穴熊作戦が計画された。また、コマンドーはアメリカ軍の警備担当地域をくぐり抜けており、アメリカが頼りにならないと感じた韓国側は国連の指揮権が及ばない郷土予備軍を創設し、乙支演習を開始している。参考：月刊軍事研究5,’17、3,’02、4,’04、10,’10、7,’18

＜清輝＞：日本海軍スループSeiki。明治維新後に初めて日本国内で建造された軍艦である。木造３檣バーク型機帆走式。長さ60m、排水量897トン。速力9.6ノット。兵装はアームストロング砲１門、クルップ砲５門。乗員159名。明治6年11月、横須賀造船所で起工。明治8年3月進水、明治9年6月竣工。明治10年、西南戦争に参加。明治11-12年、日本軍艦として初めてヨーロッパを訪問した。訪問航海に掛けた予算は2019年現在換算で５億円にのぼる。参考：月刊世界の艦船5,’19、朝雲

＜正規空母＞：CTOL機を運用できる空母のこと。艦上機をカタパルトで射出するCATOBAR方式と、艦上機が自力滑走で発艦するSTOBAR方式がある。艦上機のジェット化や高性能化に伴い大型化し、満載排水量は遂に10万トンを超えた。そこまで行かなくても、4-5万トンは無いと余裕のある運用は無理である。参考：JShips Vol.44

＜正義のためのニジェール運動＞：ニジェールの反政府組織で、ドゥアレグ族が2007年2月に組織した。1995年に政府とトゥアレグ族の間で締結された自治を認める和平合意を完全履行することと、現地ウラン工場でトゥアレグ族を雇用することを求めている。参考：月刊軍事研究5,’08

＜清級＞：中国海軍032型（Type-032）実験潜水艦のNATOコード、Qing class。031型の後継として巨浪２型SLBMの発射実験を行うために建造したもので、2010年9月に初めて画像が明らかとなった。世界最大の通常動力潜水艦である。船体は元級と類似した二重船殻涙滴型で、潜舵は上構前部に格納式に装備する。艦内配置（の想像図）は前から魚雷発射管（上）／艦首ソナー（下）、潜対艦・潜対地巡航ミサイル用VLS４セル（２×２）、居住区（上）／発令所（下）、弾道ミサイル発射筒貫通部、機関室。艦後部に特殊部隊50名・UUV水中発進揚収設備を持つともいわれるが、どのスペースを割り当てているのかは不明。また、発令所とセイルの間に居住区を挟んでいるが、潜望鏡の死腔が長くなるだけで特に意味は無く、過失か故意かで間違えたのか、本当は非貫通式潜望鏡を使っているのか、詳細は良く分からない。セイル（長さ22m、幅3.6-4m、高さ5-6m）は付け根前縁に整流フェアリングを持ち、後半内部に弾道ミサイル単装発射筒２本（３本・６本説あり）が通っている。ミサイル全長に比べるとセイルが低いので、艦底部も下に張り出しているようだ。巨浪２型SLBMだけでなく、東風21D対艦弾道ミサイルの発射試験も行うといわれる。中国潜水艦として初めて乗員脱出用救難ポッドを搭載しており、セイル前半部の一部がすっぽり外れる形で海面に浮き上がる。艦尾に十字舵を持つ。全長92.6m、幅10.6m／13m（潜舵展開時）、吃水6.85m、高さ17.2m、水上排水量3797トン（5000トン？）、水中排水量6628トン。主機はディーゼル・エレクトリック方式（AIP装備説あり）、７翅スキュード・プロペラ１軸推進、水上速力10ノット、水中速力14ノット、安全潜航深度160m、最大潜航深度200m（600m？）、連続行動日数30日（乗員88名時）／５日（乗員＋試験要員計130名時）／３日（乗員＋試験要員計200名時）。兵装は魚雷発射管２門（右舷が650mm、左舷が533mmらしい。潜対艦ミサイルと潜対地巡航ミサイルも発射可能）、潜対艦ミサイル（潜対空ミサイル？）／潜対地巡航ミサイル用VLS４セル（セイル前方）、弾道ミサイル単装発射筒２基（セイル後部から船体内）。乗員88名。１番艦艦番号201が2012年10月に就役した。2017年2月、セイル後半部がかさ上げされているのが確認された。巨浪２乙／巨浪３型SLBMのテストに備えたものらしく、吃水が7mに増えている。参考：月刊世界の艦船10,’14、4,’16、11,’16、10,’16、3,’18、2,’19、4,'21、2,'24、10,’13、5,’15、6,’14、3,’13、10,’11、9,’11、5,’12、月刊軍事研究5,’14、10,’11、11,’15

＜生協さくら＞：防衛省職員生活協同組合の女性マスコットキャラクター。三自衛隊の各制服バージョンがある。ツンデレらしいが、パンフレットや新聞広告で共済の紹介をしている姿しか見かけないので、設定が全く活かされていないのが残念。参考：防衛省職員生活協同組合広報誌

＜制御増強＞：CA（Control Augmentation）と略す。操縦性最適化、操縦応答最適化とも呼ばれる。ACTの１つで、速度や高度などの飛行状態によって異なる操縦感覚を、電子制御によって一定にさせる技術のことである。パイロットによる操縦装置への入力を、飛行状態による修正を加えた上で舵面に伝え、機体を反応させるので、パイロット側が飛行状態による操縦操作の修正を加えたり、機体反応の差を感じたりする事は無く、どの高度をどの速度で飛んでいても同じ操舵操作で同じＧを体感することができ、ストレスフリーの操縦が行える。参考：日本の防衛戦力Part8、月刊軍事研究10,’17

＜制御増強システム＞：CASを参照。

＜精勤章（自衛隊）＞：自衛隊の曹士向け表彰で、甲と乙がある。士長以下の自衛官は、その階級になった日（自衛官候補生から引き続き自衛官となった場合には当該自衛官候補生となった日）または直前に精勤章を授与された日以降に精勤した期間が６ヶ月間以上で、かつ過去６ヶ月間に戒告以外の懲戒処分を受けたことの無い者から選考する。曹長や曹は、その階級になった日または直前に曹長・曹に対する精勤賞を授与された日以降に精勤した期間が１年間以上で、かつ過去１年間に戒告以外の懲戒処分を受けたことの無い者から選考する。公務上の負傷又は疾病により勤務しなかった期間、派遣隊員が派遣先の期間で勤務した期間、派遣隊員が派遣先の期間の業務上の負傷又は疾病により勤務しなかった期間は、精勤期間に含む。授与員数は、各階級につき授与単位ごとに授与資格保有者の35%を基準とし、毎年４月と10月の初日に授与する。着用は自衛官服装規則に従うが、士長以下の階級から曹以上に昇任した者に昇任前に授与された士長以下の精勤章、曹長・曹から准尉以上または士長以下となった者に昇任・降任前に授与された曹長・曹に対する精勤章、精勤章甲を授与される前に授与された精勤章乙、戒告を除く懲戒処分を受けた場合（減給なら１ヶ月、停職なら停職中、降任なら降任直後の階級・職務にある期間）は着用できない。つまり、士や曹でなくなったら当該階級向け精勤章は返納し、精勤章を５の倍数回受章して甲を貰う度にそれまで着用していた乙４本は全部外して甲１本に纏め、軽からぬ処分を受けた者は一定期間付ける資格を失うということである。参考：表彰等に関する訓令、MAMOR vol.156

　＜精勤章乙＞：表彰回数が５の倍数以外の場合に授与する。参考：表彰等に関する訓令

　＜精勤章甲＞：精勤章乙の５線分にあたり、表彰回数が５の倍数にあたる場合に授与する。参考：表彰等に関する訓令

＜精勤章（日本陸軍）＞：日本陸軍の奨励賞。赤地の山形で、上衣の右上腕部に縫い付ける。半年ごとに勤務成績優秀な者に対して授与されるが、進級できる程ではないそこそこ優秀な兵に、内務係准尉が温情として与えることもあった。周囲には要領が悪いクソ真面目な兵という印象を与えるものでもあり、バカ章とも通称され、ビンタの時には余計に数発喰らうことも多かった。参考：新兵サンよもやま物語

＜晴空＞：二式輸送飛行艇を参照。

＜星空２＞：中国の乗波体（ウェーブライダー）実験機Xing-Kong-2またはStarry Sky-2。2018年8月3日に弾道ミサイルで打ち上げられ、高度30000mまで上昇し、マッハ5.5-6で飛翔したらしい。極超音速兵器として2025年の運用開始を目指している。参考：月刊航空ファン10,’18、月刊世界の艦船11,’21

＜制空権＞：航空優勢を参照。

＜制空戦闘＞：対空作戦の１つで、敵戦闘機を撃墜破して航空優勢を確保すること。航空撃滅戦、味方航空部隊護衛（直掩）、戦闘空中哨戒などがある。参考：月刊JWings8,’17

＜制空戦闘機＞：Air superiority fighter。敵戦闘機を撃墜して航空優勢を確保するため運用される戦闘機で、優れた空中戦能力が要求される。味方のレーダーが届かない地点まで航空優勢獲得に進出する可能性を考えて十分な索敵能力も求められ、AEW/AWACSなどの助けを借りるならデータリンクが要る。参考：アメリカジェット戦闘機、月刊JWings10,’09別冊付録、8,’17

＜制空論＞：イタリアの将官ジュリオ・ドゥエが1921年に著述した本。第１次大戦の考察から、戦線の膠着を解決する唯一の手段は航空機であるとし、陸海軍及び随伴航空隊は最小限の配備に止め、余力を全て戦略的空中艦隊（大型爆撃機隊）に集中すべきであると論じた。爆撃目標は工場や都市で、化学兵器も惜しみなく使って敵国民の士気を喪失させることにより、航空戦力のみで戦争に勝利することが可能であるとし、そのための絶対制空権確保の重要性を説いている。参考：英独航空決戦、歴史群像4,’16

＜聖訓五箇条＞：軍人勅諭を参照。

＜成型火薬＞：日本海軍用語で、美濃紙の袋に火薬を詰めてパラフィンを塗り、弾体に挿入するタイプの炸薬のこと。参考：日本海軍の爆弾

＜成型炸薬＞：円筒形の炸薬先端を半球状または円錐状に彫り込んだもの。後端から起爆させることでノイマン効果が発揮できる。

＜成型炸薬弾＞：HEATを参照。

＜制限荷重＞：Limited load、Limit load。航空機が飛行中にかけても構造に異常を生じない最大の荷重のこと。構造物に荷重をかけ、その荷重を除去しても有害な歪みが残らない荷重を以て制限荷重とする。多少オーバーしても破壊までには至らないが、損傷をきたすことはあるので、帰投後に点検に入る。参考：月刊JWings10,’09別冊付録、航空用語事典増補改訂版

＜制限荷重倍数＞：Limit load factor。制限荷重を定常運用状態の荷重で割った値のことで、上向きをプラス、下向きをマイナスにとる。機体全体の場合には、航空機の総重量で割る。参考：航空用語事典増補改訂版

＜制限主権論＞：ブレジネフ・ドクトリンを参照。

＜制限全天候戦闘機＞：Limited Weather Fighter。レーダーなどにより夜間・悪天候でも敵を発見できるが、目視外射程ミサイルを装備できないために目視戦闘に頼らざるを得ない戦闘機のこと。参考：月刊JWings7,’04、9,’10

＜制限速度＞：Limiting speed。航空機の運用上、超えてはいけない安全上の速度。設計上超えてはいけない設計急降下速度、通常の運用上限となる超過禁止速度、Ｔ類飛行機の最大運用速度である最大運用限界速度がある。参考：航空用語事典増補改訂版

＜制限点射＞：バースト射撃を参照。

＜靖江＞：810（掃海艇）を参照。

＜成功＞：FFG1101（フリゲート）を参照。

＜成功級＞：台湾陸軍23フィート級快速艇。全長7m、幅2.4m、排水量1.4トン。主機はディーゼル（115馬力）２基、最大速力33ノット。乗員５名。第101両棲偵察営に配備された。参考：ストライクアンドタクティクスマガジン5,’12

＜成功級＞：台湾海軍ミサイル・フリゲートCheng Kung（チェンクン）級、調達計画名は光華１号。オリヴァー・ハザード・ペリー級のライセンス生産型で、艦対艦ミサイルを雄風�U型に換え、40mm機関砲を搭載、戦闘情報処理装置をH-930MCSにするなどしている。全長138.1m、全幅13.7m、吃水4.5m、満載排水量4105トン。主機はCOGAG方式、出力41000馬力、１軸推進、速力29ノット。兵装は雄風�U艦対艦ミサイル４連装発射筒２基、SM-1MR艦対空ミサイル単装発射機Mk13が１基（40発。ハープーン艦対艦ミサイルは使わない）、76mm単装砲１基、20mmCIWSファランクス・ブロック�TＢ１基、ボフォース40mm機関砲２門、324mm短魚雷Mk46用３連装発射管Mk32が２基。SM-1MR管制用STIR240レーダー方位盤、Mk92砲射撃指揮装置を装備する。S-70Cヘリ２機を搭載可能。乗員234名。FFG1101成功、FFG1103鄭和、FFG1105継光、FFG1106岳飛、FFG1107子儀、FFG1108班超、FFG1109張騫、FFG1110田単が1993-2004年に就役した。後に５隻に対して雄風�V艦対艦ミサイル運用能力が付加され、４連装発射筒のうち後方から見て右側の２本を雄風�V用に換装した。ただミサイルとキャニスターが大型すぎて重心上昇に悩まされているらしい。2013年11月20日、ノックス級の代替としてFFG-50テイラー、FFG-51ゲアリー、FFG-52カー、FFG-55エルロッドの４隻を有償譲渡する法案がアメリカ下院外交委員会で承認され（台湾のライセンス生産ラインは既に閉鎖）、2014年12月18日に議会の承認と大統領の署名を得た。中国の圧力で潰された場合はシー・スイフト級双胴コルベットを国産化するらしい。2017年5月13日、FFG-50テイラーとFFG-51ゲアリーが左営基地で引き渡されてFFG-1112銘傳及びFFG-1115逢甲と命名され、2018年11月8日に両艦の就役式典が行われた。アメリカ海軍時代に外したスタンダード艦対空ミサイル単装発射機Mk13を積み直しており、AN/SQQ-89統合対潜システムは搭載したままとなっている。76mm砲はステルス防楯にした。参考：中国／台湾海軍ハンドブック改訂第２版、月刊軍事研究6,’05、11,’12、7,'15、月刊世界の艦船2,’14、5,’14、3,’15、8,’17、9,’17、2,’19、11,’19

＜井崗山＞：999（揚陸艦）を参照。

＜整合フィルタ＞：フィルタを参照。

＜政策調整室＞：アメリカの秘密工作機関。1948年の国家安全保障会議指令10の２に基づいて創設された。1952年、CIAに組み込まれ、作戦本部として再編された。参考：月刊軍事研究8,’11

＜西沙諸島＞：Paracel Islands。南シナ海にある岩礁や珊瑚礁が集まった地域で、満潮時には海没する無人のものが多い。第２次大戦前からフランスが占領していたが、1955年に撤退、10月26日に南ベトナムが永興島の西側に兵士数十名を派遣して占領した。これに対して中国が抗議し、1956年には永興島の東側に漁船と小艦艇を派遣したが、南ベトナムを支援していたアメリカ軍が偵察機を派遣して威圧、衝突には至らなかった。1960年代初め、中国が永興島に軍事施設の建設を開始。1971年、中国が永興島の西端に港湾の建設工事を開始。中国南海艦隊が永興島の南ベトナム軍を攻撃したが、撃退された。1973年3月29日、アメリカが南ベトナムから撤退すると、同年末から中国漁船群が南ベトナム支配地域に度々侵入。南ベトナムは1974年1月15日にフリゲートを派遣し、砲撃を行って漁船を退去させ、1月17-18日にはフリゲート２隻と海兵隊を増派した。これに対して中国は南海艦隊のフリゲート４隻とLST、海軍歩兵中隊３個、偵察中隊１個、武装民兵２個小隊を派遣して1月19日からベトナムと交戦し、南ベトナムのフリゲート１隻を撃沈、２隻を損傷させ、49名を捕虜にして西沙諸島全域を支配下に置いた。1982年、中国海軍が永興島を二級海軍基地とした。2007年11月、中国が周辺海域で大規模な軍事演習を実施。2011年、中国が永興島で港湾施設の建設を開始。2012年7月21日、中国が南沙諸島、西沙諸島、中沙諸島を纏めて海南省三沙市と命名した。２日前の7月19日には共産党中央軍事委員会が三沙市に三沙警備区を設置すると決定している。2013年、永興島に364m×250-270mの港湾が完成し、運用が始まった。また、同島の2500m級滑走路も改修を行っている。中国企業が観光クルーズを開始。2014年5月2-7日、中国がベトナムのEEZ内に大型石油掘削リグ海洋石油981を送り込んで石油掘削を強行したため、ベトナム船艇が出動し、中国海警局公船とベトナム船艇が衝突、中国公船がベトナム船艇に放水を繰り返した。先に衝突したのは相手側であると双方が非難合戦を行っている。6月5日、ベトナム外務省が会見を開き、中国が掘削リグ周辺に駆逐艦２隻、フリゲート４隻、哨戒艇４隻、掃海艦４隻、揚陸艦３隻、巡視船33-42隻、曳船9-11隻、輸送船20-22隻、給油船1-3隻、漁船15-60隻を展開し、三重の哨戒網を構築、航空機も飛ばしていると発表した。2015年1月6日、海南省産三沙市が永興島、七連嶼、永楽群島に人民武装部を発足させたと発表。2016年初め、中国が永興島にHQ-9地対空ミサイルを密かに配備。4月中旬までに中国が永興島にJ-11戦闘機16機を配備した。6月、中国が永興島にBZK-005無人偵察機を配備した。7月、中国遠洋海運集団（COSCOシッピング）が海南島三亜から西沙諸島を回る観光クルーズを開始。7月5日0800から7月11日0800、中国海軍が北海・東海・南海艦隊による大規模演習を実施。フィリピンがハーグの常設仲裁裁判所に提訴した南シナ海領有権に関する裁定が7月12日に下るのを前に、武力で支配を主張したものとみられる。2017年10月末、永興島に中国空軍J-11B戦闘機が演習のため展開した。11月15日、Y-8輸送機（ELINT用らしい）５機が永興島に展開した。2018年5月、永興島に中国の重爆撃機（H-6Kなど）が着陸した。5月12日、永興島に殲撃11BH戦闘機が駐機しているのが確認された。5月27日、CG-54アンティータムとDDG-76ヒギンズが航行の自由作戦を実施し、ツリー島／木島、リンカーン島／東島、ウッディ島／永興島の12海里内を航行した。中国は領海侵入に対抗するため海空軍防衛レベルを引き上げると発表している。2020年4月、中国が西沙諸島及び周辺海域を西沙区として行政区に編入した。7月1-5日、中国海軍が西沙諸島近海で演習を実施。中国海警局も加わっている。7月4日、CVN-68ニミッツ空母打撃群及びCVN-76ロナルド・レーガン空母打撃群からなるCVN-68ニミッツ空母打撃軍が、南シナ海でデュアル・キャリアー・フライト・オペレーション訓練を開始。7月13日、アメリカのポンペイオ国務長官が、中国による南シナ海ほぼ全域の海洋権益の主張は完全に違法であるという声明を発表した。7月23日、オーストラリア政府が国連事務総長に中国の南シナ海での領有権や海洋権益の主張には法的根拠が無いとする書簡を送った。参考：月刊軍事研究8,’10、1,’13、1,’15、11,’15、10,’18、11,’18、1,’19、月刊世界の艦船3,’10、7,’14、9,’14、8,’16、9,’16、2,’19、9,'20、月刊航空ファン9,’16、10,’16、月刊JWings9,’20、朝雲

＜青鮫＞：K745（短魚雷）を参照。

＜青酸ガス＞：血液剤の一種で、シアン化水素のことである。ACと略す。無色の気体または液体で、桃の芯の臭いがする。空気よりも軽く、散布後はすぐに拡散して効果が無くなるため、散布後の侵入が可能である。融点マイナス15度、沸点26度、比重1.42、空気に対する比重は3.5。半数致死量は2600-5000mg・min／立方メートル。シアン化ナトリウムに強酸を混ぜるだけで作れるので、オウム真理教も新宿駅のトイレで発生させようとした。参考：化学・生物兵器概論、軍事分析湾岸戦争、戦争がやってくる、図解雑学生物・化学兵器

＜生残性＞：Survivability、生存性、抗堪性。投入戦力のうち、どれくらいの戦力が戦闘をこなして任務を完遂し帰還して来られるかを示す値で、防御力の強さを表す。また、攻撃効力も生残性に比例するので、攻撃力の強さも表している。装甲、セルフシーリングタンク、自動消火装置などの他、スタンドオフ・ウェポン運用能力、電子装備、ステルス性、ECM能力なども生残性を向上させるのに有効である。参考：航空用語事典増補改訂版、月刊JWings10,’01、10,’09別冊付録

＜静止形自動電源転換器＞：自衛隊の機器。富士電機製。参考：月刊軍事研究5,’17

＜制式＞：軍用に定められた兵器のこと。参考：GUN用語事典

＜制式化＞：軍用に定められ、採用された兵器のこと。参考：GUN用語事典、月刊PANZER5,’13、月刊軍事研究6,’13

　＜制式化（自衛隊）＞：「装備品の制式化に関する達」「装備品等の制式に関する訓令」で規定されていたが、2007年度に廃止された。参考：月刊PANZER5,’13、月刊軍事研究6,’13

　＜制式化（日本海軍航空機）＞：軍令部が航空機種及性能標準を策定して基本性能を提示、航空本部技術部と海軍航空廠／海軍航空技術廠が細部を詰めて各性能の優先順位を決め、更に細かい諸元を纏めて試作発注先の民間会社（複数の競争試作になることもある）に計画要求書として発出する。試作に際しては海軍航空廠／海軍航空技術廠が技術支援を行い、空技廠飛行実験部が試作機の飛行試験を実施、横須賀航空隊で実用試験を行い、結果を航空本部技術会議で検討して制式化され、内令兵によって海軍部内に制式採用が伝達される。参考：月刊丸3,'18別冊

　＜制式化（日本軍）＞：まず秘匿のために代用名称（日本陸軍ならキ番号など）を付けて設計を命じ、出来上がった設計案を検討する設計審査を行い、合格すると試作を入り（この時点では試用と呼ばれる）、基本審査と実用試験を経て仮制式化する。実質的にはこの時点で実用化に至っており、制式名称を付与、部隊に配備する。暫く運用して支障が無ければ制式化（制式制定）され、構造要領書という文書に兵器の内容を記載する。輸入品や民需品をそのまま導入した場合は仮制式ではなく準制式化され、制式化はされない。制式名称の頭には制式化された年が付き、明治30年までは年号の数字で○○年式、明治31-45年は○○式、大正1-15年は○○年式、昭和1-14年は皇紀年数末尾２桁で○○（八五から九九まで）式、昭和15年は陸軍が一〇〇式で海軍が零式、昭和16-20年は皇紀年数末尾１桁で○（一から五まで）式となる。大正と明治で○○年式が被るが、ほぼ全て大正のもので、明治に該当するのは十三年式村田銃くらいなので大した問題にはならない。八七式重爆や九二式重爆は制式化年の１年前の年数が付いているが、理由は不明。参考：大日本帝国陸海軍軍装と装備、月刊丸6,’14、月刊航空ファン10,’18、12,’18

＜星式戦闘機＞：F-104海外シリーズ（戦闘機）を参照。

＜制式二十五瓩爆弾＞：十二年式二十五瓩爆弾を参照。

＜静止軌道＞：GEO（Geostational Earth Orbit）と略す。地球から見て常に同じ位置に衛星があるように周回する軌道で、軌道傾斜角ゼロ（赤道上）高度36000kmの円軌道である。通信衛星、早期警戒衛星、気象衛星、放送衛星が使用する。西太平洋赤道上空では、混信を防ぐため、隣接する衛星との間隔を軌道上で４度以上開けることになっている。参考：月刊軍事研究4,’07、3,’08、月刊JWings7,’16

＜政治将校＞：ソ連軍に配置されていた共産党要員。部隊指揮官と同じ階級を持ち、指揮官や兵士の監視を行う。1918年の赤軍創設時にミハイル・トハチェフスキー陸海軍人民委員兼最高軍事会議議長が創設したもので、師団・旅団・連隊に派遣して師団長・旅団長・連隊長と同等の責任を負わせたり、方面軍や軍に配置して革命軍事会議のメンバーにし、司令官や参謀長と対等に位置付けたりしている。参考：月刊軍事研究7,’16、歴史群像6,’01

＜静止推力＞：Static thrust。エンジンを固定した状態で得られる推力のこと。ジェットエンジンの推力というと通常は静止推力を指す。プロペラ機ではプロペラが立ち止まり状態における推力で、飛行機が離陸滑走を開始する直前の推力にあたり、これが大きいと離陸滑走距離が短くて済む。参考：航空用語事典増補改訂版

＜脆弱コーン＞：ヴァルネラビリティ・コーン。機体の後方半頂角45度以内、距離1500m以内の円錐空間を指す。ここに敵機が位置すると危険。参考：図解現代の航空戦、戦闘機のしくみ

＜青州＞：845（掃海艇）を参照。

＜蜻州丸＞：日本陸軍特殊起重機船Seishu maru。ワシントン条約で廃棄された海軍艦の主砲を譲り受けた陸軍が、沿岸要塞まで運ぶために使用した船である。設計したのは海軍で、前部に150トンクレーンを搭載する。垂線間長61m、幅15.25m、深さ5.27m、総トン数1300トン、排水量2035トン。主機は三連成汽機１基１軸1400馬力、航海速力９ノット、最大速力10.22ノット。大正15年4月30日竣工。巡洋戦艦伊吹の主砲を大間第一砲台に運搬したり、巡洋戦艦生駒の主砲を洲崎第一砲台に運搬したりした。太平洋戦争中はシンガポール方面で救難任務を実施。昭和21年7月、香港で暴風に遭って擱座した。参考：月刊世界の艦船4,’13、海軍こぼれ話

＜靖州丸＞：日本陸軍輸送船。船内に大発や小発を搭載しており、航行中に船尾のランプを開いて海上に降ろす。上甲板は航空甲板で、カタパルトを装備する。参考：工兵入門

＜静粛型魚雷用動力装置（その１）の研究試作＞：自衛隊の研究試作。三菱重工が受注している。参考：月刊軍事研究12,’17

＜静粛型魚雷用動力装置（その２）の研究試作＞：自衛隊の研究試作。三菱重工が受注している。参考：月刊軍事研究12,’18

＜静粛夜襲＞：日本陸軍が第１次大戦の戦訓を元に編み出した、陣地突破戦法。砲兵弾量ではどうしても敵に劣るため、弾着観測が困難で敵が砲兵火力を発揮できない夜間に、多数の小部隊で敵陣内に密かに突入し、縦深構成を取っているため比較的薄い前哨陣地を白兵戦で突破、一気に主陣地まで攻め込むというものである。隠密行動をとるので発砲は控え、軽機関銃手も着剣して白兵戦に参加した。日華事変では成功したが、太平洋戦争の南方戦線でジャングルが夜の闇と同じ効果を発揮するとみて突撃をかけたところ、アメリカ軍の突撃破砕射撃に阻止されている。また、将校が抜刀した軍刀に月明かりが反射し、夜襲がばれてしまうことも多かったという。参考：歴史群像10,’08、世界の軍用銃

＜青春作戦＞：イスラエルのモサドとサイレット・マトカルが実施した、ミュンヘン・オリンピック選手村占拠事件に対する報復作戦。1973年4月9日、ベイルートでPLOのカマル・ナセルら３人を殺害した。暗殺部隊を指揮したバラク（後の第10代イスラエル首相）は女装してベイルートに出撃している。参考：月刊軍事研究12,’07

＜青城山＞：937（揚陸艦）を参照。

＜生死を分けるワンコインゲーム＞：F-35戦闘機（イギリス）を参照。

＜精神教育（日本軍）＞：軍人精神を体得させるための教育のこと。理想とする軍人精神の内容は軍人勅諭に纏められている。参考：陸海軍学校と教育

＜精神棒＞：バッターを参照。

＜聖人峯＞：685（揚陸艦）を参照。

＜誠心丸＞：石原汽船1TM型戦時標準油槽船。総トン数5240トン。昭和17年5月22日起工、11月10日進水、昭和18年1月20日竣工。参考：戦時標準船入門

＜製図具＞：日本陸軍の測量器材。参考：工兵入門

＜青星＞：韓国陸軍第６師団のニックネーム。

＜斉斉哈爾＞：121（ミサイル駆逐艦）を参照。

＜精製マスタード＞：マスタードガスを参照。

＜聖戦＞：ジハードを参照。

＜聖戦と救済＞：オサマ・ビンラディンがソ連との戦いのため創設した、アフガニスタン義勇兵斡旋組織。世界中のビンラディン商会事務所を義勇兵募集窓口にして募集し、ペシャワールまで運び、基礎訓練終了までの費用を負担し、訓練キャンプ自体も建設・運営していた。主にイスラム連合とヘクマチアル派に義勇兵を送っている。参考：月刊軍事研究8,’01

＜成層圏＞：Stratosphere。対流圏の上部にある温度一定で混合しない領域で、概ね高度11000mよりも上空を指すが、赤道近くでは15000mくらい、極地では8000mくらいより上空のことである。高度20000mまでは気温は216.65ケルビン（マイナス56.5℃）で一定、それ以上は1000mにつき１ケルビンずつ上昇する。温度一定という条件なら高度30000m（通常はこちらを採用）、混合が無く等質という条件なら高度100000mくらいが上限になる。毎秒100mに達することもある強烈な水平方向の風が吹いており、雲は殆ど存在しないが、成層圏下部では晴天乱流が発生するので注意。気温は低いが、空気密度も低いので、油断しているとエンジンがオーバーヒートする。人間は生きていられないので、与圧または酸素供給装置と暖房が要る。参考：航空用語事典増補改訂版、月刊JWings3,’03、図解現代の航空戦、月刊軍事研究9,’16、月刊航空情報3,’18

＜清掃船＞：海上自衛隊第１種支援船YS（Yard Sweep）。飛行艇の離着水海面の漂流物や油を除去するのが主任務である。双胴船体を持つものもある。参考：月刊世界の艦船1,’95、1,’11、自衛隊装備カタログ1981

＜清掃船１号＞：YS-01を参照。

＜清掃船１号型＞：海上自衛隊清掃船。鋼製の双胴船で、船体間に漂流物や油を入れるように航行し、後部タンクに回収する。船尾にはクレーンがあり、大きな漂流物はこれで収容・曳航する。全長22m、全幅7.8m、深さ2.5m、吃水1.5m、基準排水量80トン。主機はディーゼル、出力460馬力、２軸推進、速力９ノット。YS-01清掃船１号が建造された。参考：月刊世界の艦船1,’95、自衛隊装備カタログ1981

＜精測進入レーダー＞：精密進入レーダーを参照。

＜生存性＞：生残性を参照。

＜セイダー＞：CVE-117（護衛空母）を参照。

＜セイチェルズ＞：K592（フリゲート）を参照。

＜静的浮力＞：Buoyancy。静止流体中にある物体に作用する浮力のこと。静的浮力の大きさは物体が押しのけた流体の重量に等しく、これをアルキメデスの原理という。参考：航空用語事典増補改訂版

＜晴天乱流＞：CAT（Clear Air Turbulence）と略す。ジェット気流の下面など、対流圏界面の近くに発生する乱気流で、雲が存在しないため存在を事前に認識することができない。JAXAが17.5km先から検知する軽量システム（重量83.7kg）を開発しており、2018年からボーイング社の協力を得てフェデックスのB777大型貨物機に装備して飛行テストに入る予定。参考：航空用語事典増補改訂版、月刊軍事研究10,’17

＜成都＞：120（ミサイル駆逐艦）を参照。

＜青島＞：113（駆逐艦）を参照。

＜青島＞：日本海軍青島型運送船Seito。元は明治39年に進水したドイツ貨物船デュレンダートで、青島港閉塞のため自沈していたのを大正3年11月7日に捕獲して引き揚げ、大正4年8月23日に運送船に類別し、青島と改称した。大正7年、横須賀工廠で兵装搭載工事を実施。大正8年、主缶不調により特務艦関東の円缶に換装した。その後も主缶のトラブルが続き、もう１回換装している。昭和11年4月1日に除籍され、廃艦第８号となった。昭和14年4月30日、土佐沖で標的となり撃沈処分された。参考：日本海軍特務艦船史

＜青島型＞：日本海軍運送船Seito型。元は第１次大戦時に青島港閉塞に使用されたドイツ貨物船で、サルベージして給糧・給炭設備を追加したものである。垂線間長104.16m、最大幅15.06m、吃水6.62m、常備排水量8300トン。主機は直立式３気筒３段膨張レシプロ蒸気機械１基、主缶は石炭専焼円缶３基、出力1261馬力、１軸推進、速力10ノット、石炭搭載量758トン。兵装は安式40口径８サンチ単装砲２門（大正7年に搭載）。乗員114名。青島が就役した。参考：日本海軍特務艦船史

＜制動出力＞：軸馬力を参照。

＜制動手被＞：日本陸軍の器材。参考：工兵入門

＜制動用パラシュート＞：ドラッグ・シュートを参照。

＜制動践板＞：ブレーキペダルの日本軍名称。参考：機械化部隊の主力戦車

＜生徒学校＞：海軍兵学校、海軍機関学校、海軍経理学校のこと。生徒という非公式階級を与えられたので、こう呼ばれる。参考：月刊世界の艦船9,’13増刊

＜成都級＞：中国海軍フリゲートのNATOコードで、チョントゥー級（Chengdu級）と読む。ソ連のリガ級警備艦を中国が1960年代に就役させたものである。全長91.5m、全幅10.1m、吃水3.2m、満載排水量1460トン。主機は蒸気タービン、出力20000馬力、２軸推進、速力28ノット。兵装は海鷹２型艦対艦ミサイル連装発射機１基、100mm単装砲３門、37mm連装機関砲２基、14.5mm連装機銃２基、爆雷投射機２基、爆雷投下軌条２条、機雷。４隻が就役した。参考：月刊世界の艦船3,’92増刊、月刊軍事研究4,’05

＜生徒倶楽部＞：単に倶楽部ともいう。海軍兵学校が指定する民家で、学校近くにあり、外出許可の出た生徒に休憩所を提供し、遊具を貸し出したり、飲食物を販売したりする。学年別なので、上下関係を気にすることなく、軍装からドテラなどに着替えて気ままに過ごす。家の人は老若男女の区別無く「おばさん」と呼ぶ。その時の民家の状況ですき焼きや汁粉なども出してくれるので、普段の反動から食べ過ぎて翌日に胃腸炎を起こす者が多発し、月曜に胃腸カタルになるので月曜カタルという病名まで誕生するほどだった。太平洋戦争勃発後はさすがに食糧事情が厳しくなってきたが、江田島ではサツマイモと蜜柑が採れるので、これを大量に詰め込んで月曜カタルになるのは相変わらずだった。台湾東港の海軍予備学生にも倶楽部が指定されており、戦時中でも豚肉料理、バナナ、ぜんざい、駄菓子、からすみなどを提供していて、やはり月曜カタルが続出した。参考：海軍兵学校よもやま物語、海軍こぼれ話

＜成都軍区＞：中国軍の大軍区で、戦時には南西軍となる。山岳地帯が多いので、装備の質は悪くても人員の質は高いらしい。1955年4月14日に創設され、雲南軍区を兼務した。1968年12月、西蔵軍区を編入した。1985年6月の改編で四川省、貴州省、雲南省、重慶警備区（重慶直轄市）、チベット自治区が管轄地域となった。2016年2月1日、西部戦区と南部戦区に改編された。参考：月刊軍事研究4,’05、9,’17、月刊航空ファン5,’16

　＜成都軍区（１９８９年）＞：四川省軍区、貴州省軍区、雲南省軍区、西蔵軍区からなる。集団軍２個、ミサイル師団１個、歩兵師団10個が配置されている。参考：ミリタリー・バランス1989-1990

　＜成都軍区（２０１５年）＞：重慶警備区、四川省軍区、貴州省軍区、雲南省軍区、西蔵軍区からなる。第13集団軍（特殊部隊旅団１個、機甲旅団１個、即応自動車化歩兵師団１個、自動車化歩兵師団１個、航空旅団１個、砲兵旅団１個、防空旅団１個、工兵連隊１個、電子戦連隊１個）、第14集団軍（機甲旅団１個、自動車化歩兵旅団２個、山岳歩兵旅団２個、航空連隊１個、砲兵旅団１個、防空旅団１個、工兵連隊１個）、チベット軍区部隊（特殊部隊群１個、機械化歩兵旅団２個、山岳歩兵旅団２個、砲兵連隊１個、防空旅団１個、工兵旅団１個、電子戦連隊１個）、成都軍区空軍第４輸送機師団（Y-8/Y-9輸送機連隊１個、Y-7輸送機連隊１個、Mi-17V-5/Y-5輸送機連隊１個）、第20特殊作戦師団（Y-7輸送機連隊１個、Y-8CB/G/XZ電子戦連隊１個）、第33戦闘機師団（殲撃７型Ｅ戦闘機連隊１個、殲撃11型戦闘機連隊１個）、第44戦闘機師団（殲撃７型戦闘機連隊１個、殲撃10型／10型Ａ／10型Ｓ戦闘機連隊１個）、地対空ミサイル・高射砲混成旅団１個、独立地対空ミサイル連隊３個が配置されている。参考：THE MILITARY BALANCE 2016

＜生徒増加食＞：日本海軍が昭和6年の海軍糧食表改訂で制定した海軍生徒用増加食。6月から9月（夏季幕営訓練期間中を除く）は一日当たり骨付生獣肉50g、骨付生魚肉20g、白砂糖5gが基本食に加えられ、摂取カロリーは一日当たり3711-3736kcalとなる。10月から5月と夏季幕営訓練期間中は、一日当たり生麺麭80g、白米30g、圧搾麦10g、生野菜80gが基本食に加えられ、摂取カロリーは一日当たり3873-3898kcalとなる。参考：写真で見る海軍糧食史

＜生徒隊＞：航空自衛隊航空教育隊隷下の技術空曹養成部隊。熊谷基地に置かれており、中学校を卒業した15才以上17才未満の者を試験で選抜して三等空士として入隊させ、４年間の教育で普通高校と同じ科目に加えて自衛隊の専門知識や技能も学習させて三等空曹に昇任、各部隊の技術部門へと配属させる。1955年5月に一期生が入隊した。2006年度、新規採用を停止。2011年3月10日の最後の期末点検の講評は「優秀」だった。3月19日午前に卒業式が行われ、53期生51名が卒業し、午後に隊旗が空幕長へ返還されて廃止された。参考：MAMOR vol.52、月刊JWings6,’11、月刊軍事研究6,’11、朝雲

＜成都飛行場＞：太平洋戦争時、アメリカが戦略爆撃に使用するため1944年春から成都近郊に建設した飛行場。周辺に住んでいた中国人数千名を雇い、建設資材はインドから運び込んだが、建設機械は一切無く、埋まっている大きな石を手製の踏み割り機で砕き、もっこに積んで運び出し、石で作った大きなローラーで整地、ふるいにかけた砂をコンクリートにし、ほぼ手作りのB-29爆撃機用滑走路を完成させた。完成後、飛行機を初めて見た現地住民が、プロペラに当たって死ぬと天国に行けるという迷信を信じてしまい、離陸中の飛行機に次々と飛び込むという事態が発生した。参考：ミリタリーエアクラフト1,’97

＜生徒物語＞：少年工科学校副校長三原光明一等陸佐が自ら描いた漫画で、自衛隊生徒を主人公としており、第１話は2009年9月に少年工科学校ホームページに掲載された。高等工科学校に改称された後も引き続き同校ホームページで閲覧できる。参考：朝雲

＜西南軍区＞：中国軍の大軍区（一級軍区）。1950年2月9日に新編された。1955年の改編で廃止された。参考：月刊航空ファン5,’16

＜西寧＞：117（駆逐艦）またはFF1203（フリゲート）を参照。

＜済寧＞：636（コルベット）を参照。

＜性能改善型小型係維掃海具＞：自衛隊の機器。ユニバーサル特機製。参考：月刊軍事研究9,’16

＜性能試験（海上自衛隊）＞：技術試験が行われない、直接購入する完成品の性能を確認するための試験のこと。参考：月刊世界の艦船12,’14

＜清野英治＞：日本陸軍エース。大正10年、山形県生まれ。逓信省仙台養成所に入り、２級操縦士として大日本航空に内定を取ったが、陸軍予備下士コースに入り、飛行第５・第13戦隊で教育を受け、大刀洗飛行学校の助教となった。昭和16年1月、独立飛行第10中隊所属となった。12月8日、広東から香港に攻撃を行い、地上機を銃撃した。昭和17年2月、漢口に移動。10月、部隊が飛行第25戦隊に改編され、第１中隊に編入された。昭和17年夏、白螺磯上空でP-40戦闘機１機を撃墜し、初戦果を挙げた。昭和19年12月18日、武漢でP-51戦闘機１機を撃墜したが被弾して負傷、１ヶ月間入院した。その後は揚子江付近で任務に就き、朝鮮の京城で終戦を迎えた。総撃墜機数十数機。最終階級は准尉。参考：日本陸軍戦闘機隊

＜セイバー＞：AN/APG-83（レーダー）またはF-86シリーズ（戦闘機）またはH18（Ｓ級駆逐艦・旧型）またはスコーピオン・シリーズ（偵察車）またはピオニール（中距離弾道ミサイル）を参照。

＜セイバー＞：オランダ海軍デ・ゼーベン・プロビンシェン級フリゲート用ESM/ECM装置、Sabre。イギリスで開発された。周波数帯0.5-18GHzの電波を精度４度（0.5-2GHz）／２度（2-18GHz）で探知して発信源を自動追尾・識別・解析でき、7.5-18GHzの周波数帯にジャミングをかけられる。参考：月刊世界の艦船5,'22、月刊軍事研究10,’06

＜セイバー＞：ロイメック社の装輪自走多連装ロケット弾発射機。マンバMk2レジャー・ビークルをピックアップトラックに改造し、後部荷台に12連装ロケット弾発射機を搭載したものである。参考：月刊軍事研究3,’97

＜セイバー・シリーズ＞：ネピア社の液冷ガソリンエンジン。1940年に開発し、ブリストル社の協力で開発したスリーブ・バルブを搭載したが、構造が複雑で、更にネピア社の工作精度自体にも問題があり、故障が頻発した。1942年11月にネピア社を傘下に入れたイングリッシュ・エレクトリック社が品質向上に方針転換させて漸く解決している。参考：月刊丸10,’93、月刊JWings10,’22

　＜セイバー�T＞：180度Ｖ型12気筒ガソリンエンジンを上下に重ね、それぞれのクランクシャフトをギアトレインで繋いだ横Ｈ型24気筒ガソリンエンジンである。出力2000馬力。参考：月刊JWings10,’22

　＜セイバー�U＞：総排気量36650cc、出力2300馬力。ファイアブランド戦闘機に搭載された。参考：月刊JWings10,’22

　＜セイバー２Ａ＞：出力2200馬力。タイフーン戦闘機に搭載された。参考：月刊軍事研究6,’16、月刊丸10,’93

　＜セイバー２Ｂ＞：離昇出力2420馬力。テンペスト５戦闘機に搭載された。参考：月刊丸10,’93

　＜セイバーＥ．１２２＞：ターボ・スーパーチャージャー付き。出力3500馬力。参考：月刊JWings10,’22

＜セイバー�U＞：殲撃７型シリーズ（戦闘機）を参照。

＜セイバー４５＞：F-100シリーズ（戦闘機）を参照。

＜セイバー・ストライク２０１５＞：NATO加盟国などが2015年6月8-19日（20日？）に実施した多国籍演習Saber Strike 2015。アメリカ軍の演習に、アメリカ軍による航空支援を受けたヨーロッパ諸国軍地上部隊の演習を組み込んだもので、バルト三国とポーランドで行われ、アメリカ、イギリス、エストニア、カナダ、スロベニア、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、フィンランド、ポーランド、ポルトガル、ラトビア、リトアニアが参加した。参考：THE MILITARY BALANCE 2016

＜セイバー・ストライク２０１７＞：NATO加盟国及び関係諸国の演習Saber Strike 2017。2017年5月28日から6月24日、バルト海周辺で行われ、20カ国11000名が参加した。参考：月刊航空ファン11,’17

＜セイバー・ダンサーズ＞：F-86セイバー戦闘機初のアクロバットチーム。参考：世界の傑作機No.39

＜セイバードッグ＞：F-86D（戦闘機）を参照。

＜セイバーホークス＞：HSM-77（海洋戦闘ヘリコプター飛行隊）を参照。

＜セイバーライナー＞：T-39シリーズ（練習機）を参照。

＜セイバー・ランドローバー＞：ランドローバーの改良型Saber land rover。ホイールベースを広げてキャビンの収容能力を増した。機銃やミラン対戦車ミサイルを搭載した車両もある。参考：月刊PANZER12,’04

＜静波丸＞：日本サルヴェージの救難船Seiha maru。垂線間長59.44m、幅10.67m、深さ5.18m、満載吃水4.54m、総トン数984トン。主機は三連成レシプロ蒸気機関２基２軸2525馬力、航海速力11.5ノット、最大速力14.6ノット。昭和13年6月29日竣工。太平洋戦争で日本海軍に徴用され、戦艦プリンス・オブ・ウェールズや巡洋戦艦レパルスの水中調査、那珂の救難作業、沈没船処理作業などに従事した。昭和19年3月14日、バリクパパン港で触雷して沈没した。その後浮揚・修理され、終戦時はバタビアにあった。邦人局地輸送に従事した後、昭和21年7月にオランダ海軍に引き渡された。参考：月刊世界の艦船3,’18

＜制波揚収＞：帰投した水上機を速やかに回収する方法。水上機が母艦上空に帰投してきたのを見計らい、速力を15ノット程度にして面舵一杯で右旋回すると、航跡の内側の波が収まるので、ここに水上機を着水させ、デリックで一気に回収する。参考：海軍よもやま物語

＜静反動装置＞：ラムジェットエンジンを参照。

＜整備＞

＜整備（アメリカ海軍・海兵隊）＞：航空機は日常的に実施するゼロレベル整備、整備補給中隊で行う中級レベル整備（可動部・エンジン整備など）、航空機整備センターなどで行うデポ・レベル整備（オーバーホールなど）がある。参考：月刊JWings2,’18

＜整備（海上自衛隊）＞：艦艇は出港すると乗員以外に整備する人員はいないので、乗員それぞれが担当機器の整備を行う。大規模な整備修理はドックインして民間メーカーが実施する。艦艇整備専門の教育課程は無いが、全職種の教育に整備の項目が含まれており、各部隊でも先輩から後輩へと整備技術の教育が行われる。航空機は第３術科学校で教育を受けた専門の隊員が整備を行う。ＡからＤの４区分があり、Ａ区分はメーカー、Ｂ区分（定期修理など）は航空修理隊（ヘリと小型固定翼機は第１航空修理隊、大型固定翼機は第２航空修理隊）、Ｃ・Ｄ区分は各航空基地の整備補給隊で実施する。参考：MAMOR vol.141、vol.148

＜整備（航空機）＞：機体の信頼性を維持向上させるために実施される作業のこと。点検、検査、サービシング修理、改修、改造などがある。整備方式としては、ハードタイム（オーバーホール）、オン・コンディション、コンディション・モニタリングの３種に分類される。整備間隔では飛行前点検、状態点検（500-600時間ごと）、機能点検（１年半ごと）、機体構造検査（数年ごと）に分類される。参考：飛行機のしくみ

＜整備（航空自衛隊）＞：航空機では、整備小隊が行う部隊整備（各種点検、給油、弾薬搭載など）、整備補給群が行う支援整備（定期的な計画整備、臨時の計画外整備など）、第２補給処が行う処内整備（部品の修理交換など）、メーカーが行う外注整備（定期整備IRAN）の順に規模が大きくなる。前二者は纏めて基地整備、後二者は纏めて補給処整備ともいう。航空機関連では航空機装備品の整備を行う航空機装備品整備員と、飛行前・飛行後点検や燃料補給などを行う航空機整備員がおり、第１術科学校で教育が行われる。また、第２術科学校でレーダーや防空ミサイル、第３術科学校で車両、第４術科学校で通信・気象器材などの整備教育が行われる。参考：月刊JWings3,’14、MAMOR vol.141

＜整備（日本陸軍）＞：各部隊の所有兵器は自ら整備する。戦闘間には部品交換や予備兵器の交付を受け、戦闘が終結したら修理機関を前方に派遣し巡回修理を行うなどして兵器の修理にあたる。また、兵器部長指揮下の兵器勤務隊が各部隊と連携して戦車・自動車以外の修理整備を行う他、補給廠移動修理班が師団や軍補給廠直轄に配属されて巡回修理を実施する。移動修理班の手に負えないものは軍補給廠に送る。参考：作戦要務令

＜整備（陸上自衛隊）＞：部隊装備品の日常的な整備は直接支援部隊が担当する。航空機の整備は部隊整備、野整備、補給処整備の３段階がある。整備教育は武器学校、施設学校、航空学校、化学学校などで行われる。参考：MAMOR vol.141、月刊JWings10,’20

＜整備学校＞：航空自衛隊の教育機関。1954年9月、浜松基地で創設された。1955年12月1日、実験航空隊が新編された。1959年6月、第１術科学校と第３術科学校に改編された。参考：航空自衛隊パーフェクトガイド2015、月刊航空ファン2,’16、航空教育集団ホームページ

＜整備作業車１号＞：�T号戦車ファミリーを参照。

＜整備作業台＞：自衛隊の機器。東亜工業製。参考：月刊軍事研究3,’18

＜整備士（自衛隊）＞：整備の航空業務を行う自衛隊員。防衛大臣が隊員に行う航空従事者技能証明は、整備士の１種のみで、自衛隊の整備士正規教育課程を修了して所要の実務経験期間を経過し、航空法第24条の１等または２等航空整備士の技能証明を有して防衛大臣の指定する講習を修了し、整備士として必要な経験を有し且つ防衛大臣の指定する講習を修了すると、技能証明が与えられる。参考：航空従事者技能証明及び計器飛行証明に関する訓令

＜整備所天幕（一般用）＞：自衛隊の機器。帝国繊維製。参考：月刊軍事研究3,’18

＜整備性＞：Maintenability。ある一定の信頼性を維持するのに必要な整備作業時間、必要人員器材、経費などを総合したもの。同じ信頼性を得るための時間を短く、人員や器材を少なく、経費を小さく済まして整備性を良好とすべく、設計段階から各種の工夫がなされる。参考：航空用語事典増補改訂版

＜整備の４群＞：第４護衛隊群を参照。

＜整備補給群（航空自衛隊）＞：航空自衛隊の航空機整備部隊。航空団や航空警戒管制団の隷下にあり、群本部、検査隊、装備隊、修理隊、車両器材隊、補給隊からなる。基地内で行う基地整備のうち、飛行隊整備小隊や飛行場勤務隊外来機支援班が行う部隊整備では整備しきれない部分である支援整備を担当する（それ以上の整備が必要な場合は補給処に送る）。2024年3月21日、検査隊が整備隊に改編された。参考：月刊軍事研究2,’13、月刊JWings6,’24

＜整備補給隊（海上自衛隊）＞：海上自衛隊の部隊。各航空基地に置かれており、航空機のＣ・Ｄ整備などを担当する。参考：MAMOR vol.148

＜整備用自動車（パネルバン型）＞：自衛隊の車両。トヨタ自動車製。参考：月刊軍事研究9,’11

＜整備用トラック（二トン積載用シャシ）＞：自衛隊の車両。日野自動車製。参考：月刊軍事研究8,’11

＜セイフ＞：F-264（フリゲート）を参照。

＜政府暗号解読学校＞：イギリスの暗号解読機関Government Code and Cypher School。イギリス海軍省ルーム40と戦争省MI1bが秘密活動委員会の仲介で統合したものである。第１次大戦後に活動を開始し、第２次大戦でも暗号解読を行った。参考：太平洋戦争情報戦

＜政府安全保障能力強化支援＞：日本政府が同志国軍に防衛装備品の無償供与などを行う制度で、OSAと略す。2022年末に改定された国家安全保障戦略で創設が決まり、2023年4月に発足した。2023年11月3日、マニラで開催された岸田総理とマルコス大統領との日比首脳会談で初適用が決定し、沿岸監視レーダーを供与することになった。参考：朝雲

＜セイフガード＞：ARS-50（救難艦）またはT-ARS-50（救難艦）を参照。

＜セイフガード＞：アメリカ軍のICBM基地用弾道ミサイル迎撃システム。使用するのはセンチネルと同じスパルタンとスプリントである。1969年に開発を決定し、1975年にノーフォークスへ配備したが、MIRVの登場で効果が薄れたとして４ヶ月で退役に追い込まれた。参考：月刊軍事研究9,’11

＜セイフガード級＞：アメリカ海軍救難艦Safeguard級。外形からジャンク・ボートとも呼ばれる。航行不能艦船や沈没艦船のサルベージ、潜水作業の支援、消火作業などを行う多目的海上作業艦で、レスキュー・チェンバーを用いての潜水艦乗員の救出も可能である。消防ポンプ、放水銃４基（放水能力毎分3.8トン。旗甲板に２基、艦首に１基、前部キングポスト上に１基）、Mk12潜水装置、再圧タンク１基、7.5トン及び40トンデリックブーム１本ずつ、吊り上げ能力150トンの艦首シーブ、バウ・スラスターなども装備している。ニミッツ級空母を５ノットで曳航可能。全長77.7m、満載排水量3336トン。主機はキャタピラー社製ディーゼル４基、出力4200馬力、可変ピッチ型コルト・ノズル・プロペラ２軸推進、速力14ノット。兵装は25mm単装機関砲２門。乗員104名（99名？98名？78名？）。ARS-50セイフガード、ARS-51グラスプ、ARS-52サルヴァー、ARS-53グラップルが1985-86年に就役した。2006-07年、MSCに転属し、艦種記号がT-ARSになった。参考：月刊世界の艦船2,’13、4,’15、1,’10、4,’04増刊、6,’01

＜制服＞：イギリスのばら戦争でランカスター家が赤いばら、ヨーク家が白いばらを胸に付けて敵味方識別に使用したのが大元と言われ、その後ばらがエンブレムになり、服装も統一するようになって制服が誕生した。当初は目立つ色のものが大半だったが、長射程のライフル銃と大砲の発達で自殺行為となり、だんだん地味な迷彩服に変化していった。階級章は普通肩に付ける（肩章、エポーレット）が、海軍では袖に付ける（袖章）ものもある。参考：MAMOR Vol.50

　＜制服（アメリカ海軍）＞：2008年からの３年間で３回制服が替わっており、下士官・兵だけで年間１億3000万ドルの費用がかかっていて、予算の無駄遣いという声が内部からも上がっている。参考：月刊世界の艦船1,’12

　＜制服（アメリカ空軍）＞：1990-94年のメリル・Ａ・マックピーク空軍参謀総長時代に海軍風の制服を採用したが、マックピーク大将が退役するとすぐ元に戻された。参考：月刊軍事研究3,’16

＜制服（海上自衛隊）＞：1970年に改訂があり、海士常装のデザインなどが変更され、航空学生・自衛隊生徒向けに海軍予科練以来の７つボタン制服が採用された。女性航空学生は2016年（第67期・第68期）から７つボタン制服の着用試行が始まっており、2017年春から正式採用予定。常装第１種夏服幹部用男性（白詰め襟スーツ、靴も白）、常装第２種夏服幹部用男性（ジャケット無し黒スーツ、靴は黒）、常装第３種夏服幹部用男性（半袖開襟シャツに白スラックス、白靴）、常装冬服幹部用男性（黒ダブルジャケット３つボタン掛け６つボタン、袖に階級章付き）、常装第１種夏服海曹用男性（白詰め襟スーツ、靴は黒）、常装第２種夏服海曹用男性（幹部用の帽子違い）、常装第３種夏服海曹用男性（幹部用の黒靴バージョン）、常装冬服海曹用男性（幹部用の帽子違い）、常装夏服海曹候補者用男性（７つボタン白詰め襟、黒靴）、常装第１種夏服海士用男性（白セーラー服にペンネント帽）、常装第２種夏服海士用男性（幹部用の帽子違い）、常装第３種夏服海士用男性（第１種のプルオーバーシャツバージョン）、常装冬服海士用男性（黒セーラー服）、常装第１種夏服幹部用女性（白シングルブレストスーツ３つボタン、靴も白）、常装第２種夏服幹部用女性（ジャケット無し黒スーツ、靴は黒）、常装第三種夏服幹部用女性（ネクタイ・ジャケット無し白スーツ、靴は白）、常装冬服幹部用女性（ダブルブレスト黒ジャケット６つボタン）、常装第１種夏服海曹用女性（幹部用の黒靴バージョン）、常装第２種夏服海曹用女性（幹部用の帽子違い）、常装第３種夏服海曹用女性（幹部用の黒靴バージョン）、常装冬服海曹用女性（幹部用の帽子違い）、常装第１種夏服海士用女性（海曹用の帽子違い）、常装第２種夏服海士用女性（幹部用の帽子違い）、常装第３種夏服海士用女性（海曹用の帽子違い）、常装冬服海士用女性（海曹用の帽子違い）、第１種礼装夏服男性（常装第１種夏服＋白手袋）、第１種礼装冬服男性（常装冬服＋白手袋）、第２種礼装夏服男性（白帽子、蝶ネクタイ、白ジャケット、白手袋、黒スラックス、黒靴）、第２種礼装冬服男性（夏服のジャケット黒バージョン）、第１種礼装夏服女性（常装第１種夏服＋白手袋）、第１種礼装冬服女性（常装冬服＋白手袋）、作業服装幹部用（紺色作業着に上部の尖った帽子）、作業服装海曹士用（野球帽型帽子版。服の色は濃い青）、甲武装冬服幹部用（儀式・警備用。黒スーツ、白脚絆、ジャケットの上から白ベルト、ヘルメット）、乙武装海曹士用（教練・野外訓練用。ブルー服、上着の上から緑ベルト、ヘルメット）、通常演奏服装夏服（白スーツに白靴、ベルトはジャケットの上から。デザインは男女共通で、指揮官は白手袋をはめる）、通常演奏服装冬服男性（夏服の黒バージョン、ベルトだけ黒）、通常演奏服装冬服女性（夏服の黒バージョン、ベルトだけ白）、演奏略服装（常装第１種夏服または冬服に飾緒と白ベルト）、簡易服（服装規定に無いもの。セーターやジャンパーがある）、雨衣（紺色防水コート）、外とう海士用（ダブルの紺色ピーコート）、航空服装（オリーブ・ドラブのツナギ）、防暑服装幹部用（帽子、半袖、膝までの半ズボン。色は靴も含め全て白）、防暑服装海曹士用（幹部用の黒靴下・黒靴版）、航空整備服装（青のツナギ）、航空整備服装航空誘導服（濃い黄色と黒の菱形を組み合わせた目立つ上着）、消防服装（消防士と同様の服）、体育服装（紺色ジャージ、半袖シャツ、短パン）、陸上戦闘服装（陸自に準ずる迷彩を施した服、帽子、黒ブーツ）、艦艇戦闘服装（全身黒服に面覆）、立入検査服装（目立たない濃紺一色。防弾チョッキ海上用、防刃手袋を着用）、エアクッション艇服装（航空服装と同じ）、機上救難員服装洋上用（ウェットスーツ、ヘルメット、ゴーグル、シュノーケル、橙色ベスト）、潜水服EOD用（市販半開式潜水機と市販潜水服で、オーダーメイド。冬はドライスーツを使う）、ジブチ作業服装（カーキ系長袖長ズボンと全周に幅広のツバを持つ帽子）などがある。いわゆるセーラー服は常装冬服海士用男性と常装第１種夏服海士男性（以前は第２種夏服だった）で、女性は着られない。作業服装はズボンの裾を靴下の中に入れて引っ掛からないようにする。また、尻ポケットには右に軍手、左に手拭いを収容する。2019年4月、第２種夏服を上下ともカーキ色に変更し、スーツと作業服の中間という位置付けにして軽作業にも対応、海自初のベレー帽も付けた。海幕男性隊員から支給されている。第２種夏服女性も同様のパンツスタイルに変更するが、支給開始は数年後になる。参考：MAMOR vol.50、vol.91、vol.100、vol.115、vol.116、月刊世界の艦船1,’79増刊、5,’02増刊、8,’11増刊、朝雲

＜制服（航空自衛隊）＞：常装第１種夏服男性（黒のシングルスーツ）、常装第２種夏服男性（ジャケット抜き）、常装第３種夏服男性（半袖薄青ワイシャツ、ノーネクタイ）、常装冬服男性（第１種夏服の厚手生地版）、常装第１種夏服女性（黒のスーツ。女性の常装は全てスカートとズボンあり）、常装第２種夏服女性（ジャケット抜き）、常装第３種夏服女性（半袖ノーネクタイ）、常装冬服女性（第１種夏服の厚手生地版）、第１種礼装男性（常装第１種夏服または常装冬服に白手袋と礼装用階級章）、第２種礼装夏服男性（白ジャケット、白ワイシャツ、蝶ネクタイ、黒スラックス、黒靴）、第２種礼装冬服男性（濃青ジャケット版）、通常礼装第２種夏服男性（常装第２種夏服に白手袋）、通常礼装冬服男性（常装冬服に白手袋）、第１種礼装女性（常装第１種夏服または常装冬服に白手袋と礼装用階級章）、第２種礼装夏服女性（白ジャケット、白ワイシャツ、蝶ネクタイ、黒ロングスカート、黒靴）、第２種礼装冬服女性（濃紺ジャケット版）、通常礼装第２種夏服女性（常装第２種夏服に白手袋）、通常礼装冬服女性（常装冬服に白手袋）、作業服装男性（迷彩作業服に迷彩作業帽、編上靴）、作業服装女性（男性と同様）、甲武装第２種夏服男性（常装第２種夏服に編上靴、弾薬帯、正帽または中帽）、甲武装冬服男性（常装冬服のジャケットの上から弾薬帯を巻く）、甲武装儀じょう（甲武装に儀仗用着用品）、甲武装第１種夏服女性（常装第１種夏服ズボンに編上靴、弾薬帯など）、甲武装冬服女性（常装冬服ズボンのジャケットの上から弾薬帯を巻く）、乙武装男性（ヘルメット、迷彩作業服、弾薬帯、編上靴）、乙武装女性（男性と同様）、通常演奏服装冬服男性（ダブルのスーツ、正帽、モールなど）、簡易制服（貸与被服以外の服。セーターやジャンパーがある）、航空服装（耐水服、耐Ｇスーツ、ライフジャケット、航空ヘルメット）、航空服装ブルーインパルス（航空服装の青色版）、救難服装（山岳救難用と海上救難用がある）、整備服装夏服（半袖服にストラップ付きキャップとプラスチック製インナーキャップ、イヤーマフ、整備靴。1995年採用）、整備服装冬服（ジャンパーとストームガードパンツで防寒）、戦闘服装野外用（迷彩カバー付きヘルメット、迷彩服、ブーツ）、消防服装（普通消防衣と特殊防火衣がある）、簡易制服（セーターとジャンパーがある）など。参考：MAMOR vol.50、vol.100

＜制服（自衛隊）＞：防衛庁／防衛省訓令の自衛官服装規則で服制として定められている。規律と品位を保つため、服装と容儀は端正にしなければならないと規定されていて、野外用ブーツであってもずぼらは許されない。防衛庁／防衛省職員給与施行細則に被服基準期間が定められていて、この期間を過ぎると新しいものが支給される。礼服は私的な冠婚葬祭時でも着用可能で、レンタル業者もある。目立つ、即時対応に支障が出るといったことから、傘は使わず、レインコートを着る。参考：月刊世界の艦船1,’79増刊、MAMOR vol.50、vol.91、vol.100、日本の防衛戦力Part1

＜制服（日本海軍）＞：下士官と兵は礼装と軍装がある。水兵の軍装夏服は上衣が純白の綾織り、ズボンが黄色がかった麻地で、気の利いた水兵は機関科倉庫に出向いて晒粉と真水をギンバイし、ズボンも真っ白にした。ただ晒粉が濃すぎてズボンを孔だらけにした者もいたようである。上衣の下には夏襦袢と呼ばれる首周りだけ黒い白Ｔシャツを着るが、南方では暑いので、襟周りだけを再現した白い布きれ（売れ行きが良いのか市販もされている）を被って済ませ、上衣を着てそしらぬ顔をする者もいた。ズボンは上の方がパツパツで、足先の広がったラッパズボンであり、海に飛び込んだ時に脱ぎやすいようになっていた。そのためズボンに吊りバンドをかけることは厳禁で、巡邏隊などに見つかると上陸止めや進級停止を喰らう。下士官の軍装は詰襟服である。准士官以上には正装（正帽、正衣、正肩章、正袴、正剣帯、長剣、短靴からなる）、礼装（士官は正帽、礼衣、正肩章、礼袴、剣帯、長剣、短靴。特務士官と准士官は正装と同じ）、通常礼装（軍帽、礼衣、礼袴、剣帯、短剣、短靴からなる）、第一種軍装（冬用のチュニック式紺色詰襟）、第二種軍装（夏季用白麻）がある。ちなみに准士官以上は長髪が可能。下士官と兵にはゴム引きの雨衣が支給されているが、それ以外の傘などを使用してはいけない。将校はマントと頭巾だが、頭巾の方はよほどの雨でないと着用しなかった。他に、事業服、作業服、軍帽、略帽第１、略帽第２、特殊被服（陸戦隊被服、航空被服、防空服、防暑服など）、診察着、装填衣といったものがある。服装を綺麗に保つのは当然だが、特に靴の手入れとカラーの交換にはやたらと厳しく、かかとを磨くのをサボったり、汚れていないからとカラーを取り替えなかったりすると、最悪外出止めや上陸止めといった処分を受ける。ちなみに一番汚れるのは三等兵の靴下（洗う暇が無く、靴もボロボロで泥水と汚れが染みる）と一等兵の褌（淋病が多い）といわれた。士官は自分で購入し、下士官と兵には給与品（特殊被服は貸与品、診察着や装填衣は各部署の備品）として交換期限ごとに支給される。天皇陛下の制服は海軍服装令ではなく皇室令第９号で規定されており、服自体は士官と同じで、階級章（襟章と肩章）に大将を示す桜３個に加えて一回り大きい菊の御紋が１個付いている。菊の御紋は階級を示すものではないので、大元帥の称号を示すものだったらしい。第一種軍装の袖章に限って細い黒線が大将よりも１本多く、海軍服装令では黒線の多少が階級の上下を示すので、この服だけは天皇陛下が大将よりも上の階級であることを表しているということになるが、どういう経緯なのかは不明である。明治3年に服装の統一を図り、イギリス式を採用した。明治6年に改訂を実施。明治29年の改訂で、海軍兵学校生徒の制服が七つ釦になった。大正3年、冬期用の第一種と夏季用の第二種を制定した。昭和8年、海軍陸戦隊の制服を緑褐色・開襟の陸戦衣に変更した。昭和13年7月に日華事変長期化で正装、礼装、通常礼装が使用停止となり、昭和19年夏には第一種・第二種軍装の代用として第三種軍装（褐青色の略帽と略衣袴）が制定された。参考：海軍よもやま物語、続海軍よもやま物語、月刊世界の艦船9,’13増刊、8,’11増刊、大日本帝国陸海軍軍装と装備、日本戦車隊戦史、海軍こぼれ話

＜制服（日本陸軍）＞：儀式用は第一装、勤務・外出用は第二装、演習・野戦用は第三装と呼ばれる。礼服は正確には正衣と呼び、正袴、正肩章、正帽、正剣帯、正剣、飾帯、飾緒とセットになっている。通常軍装の肩章だけ通常礼肩章に付け替えたのを通常礼装と呼ぶ。歩兵の軍装は軍衣袴（昭五型軍衣など）に鉄帽（戦闘時以外は略帽。日除けとして帽垂れを付けたりする）、背嚢、携帯天幕、飯盒、外套、水筒、雑嚢、小円匙、被甲（ガスマスク）、銃剣、小銃、弾入などを携帯する。営内居住下士官兵（歩兵科）の被服所持定数は軍帽４、冬衣袴４，夏衣袴５、外套２、雨外套２，襟布３，冬襦袢袴下４、夏襦袢袴下４、靴下３、編上靴４、営内靴１、巻脚絆４、背嚢２、雑嚢２、飯盒２、水筒２、毛布４、包布１、布団１、敷布２、枕１、携帯天幕１、被服手入具１組、鉄帽１、防毒面（甲）１。留守部隊営内居住下士官兵（歩兵科）の被服所持定数は軍帽１、略帽１、冬衣袴２、夏衣袴３、外套１、雨外套１、襟布２、冬襦袢袴下２、夏襦袢袴下２、編上靴２、巻脚絆２、靴下３、背嚢１、雑嚢１、飯盒１、水筒１、被服手入具一式、営内靴２、毛布４、包布１、敷布２、枕１、布団１、蚊帳１人分。定期的に給与され、靴下は３分の２ヶ月に１回、襟布は４ヶ月に１回なので新品が手に入るが、雨外套は６年、外套は９年、飯盒や毛布は20年、水筒は23年も使うので、新品（一装用）から古々品（三装用）まで様々な状態となる。褌は支給されないので、私物を使う。戦車兵は歩兵と同じ軍衣袴を使用、ゲートルを巻き、戦車帽、防塵眼鏡、防塵眼鏡盒（ベルトに付ける）、拳銃嚢、雑嚢、水筒、銃剣などを装着する。明治3年に服装の統一を図り、フランス式を採用した。普仏戦争でプロシアが勝つとプロシア式に変更している。明治7年に肋骨式将校服を採用した。日露戦争で中国大陸の地面色に合わせ戦闘服を将兵共にカーキ色の立て襟５つボタンに変更。大正12年、防寒服と防暑服を制定。昭和13年、ドイツの制服をベースにした折襟服を採用した。参考：日本戦車隊戦史、衛兵勤務必携、大日本帝国陸海軍軍装と装備、歴史群像8,’17、4,’18

＜制服（陸上自衛隊）＞：通常時や外出などの際に着用する常装（一般に制服と呼ばれる）、礼装、通常の訓練や作業で着用する作業服装、公の儀式や警衛の際に着る甲武装、野外戦闘訓練や災害派遣時に着用する乙武装、任務別の特別な服装（特別儀仗服装、演奏服装、特殊服装など）がある。以前は乙武装や作業服装では緑系単色の上下衣で、迷彩付きのコンバット・スーツは特殊服装の迷彩服装という分類だったが、乙武装や作業服装が迷彩になると迷彩服装が戦闘服装に呼称変更された。一等陸曹以下の自衛官には無料貸与されるが、准陸尉以上の自衛官には常装夏冬服のみの支給で、それ以外の服装や、支給品を公務以外で亡失損傷したような場合には自費で調達する。1954年の自衛隊創設時は警察予備隊以来の制服をそのまま使っていた。常装はジャンパー型茶褐色の夏服、背広型緑褐色の第一種冬服、ジャンパー型緑褐色の第二種冬服で、ジャンパー型はアメリカ陸軍戦闘服ベースである。1958年、58式冬服を採用。常装冬服を背広型紺灰色のみとし、婦人自衛官誕生に伴いスカート型の58式冬服女性も制定している。1960年、60式第一種夏服男性／女性などを採用。常装夏服を背広型灰青色に変更した。1970年、70式冬服男性／女性を採用。茶灰色に変更し、正帽の帽章を桜星の下と側方に桜葉と蕾を配したデザインに更新した。1971年、71式第一種夏服男性／女性などを採用。色が淡茶灰色になった。1991年、91式第一種夏服男性／女性、91式冬服、略帽などを採用。夏服は淡緑色、冬服は濃緑色となり、ポケットを大型化するなどの改良を行った。2017年4月、特別儀じょう服装と特別儀じょう演奏服装を52年振りに改訂した。特別儀じょう服装はコシノジュンコ氏のデザインで、コンセプトは威厳、伝統、統制美、華やかさ。詰め襟タイプで、ベース色は夏服がホワイト単色、冬服がジャパンブルー単色または上ジャパンブルー・下ホワイトであり、朱のラインをあしらって日本を表示し、余白を作る左右非対称の日本的な感覚を取り入れている。素材やデザインは隊員の要望に基づいて寒暖に関わらず快適なものとし、通気性にも優れ、完全オーダーメイドなので体型にフィットし運動性も良好である。2018年3月27日、新しい制服の着用を開始。常装第一種夏服男性、常装第一種夏服（パンツ）女性、常装第一種夏服（スカート）女性、常装第二種夏服男性、常装第二種夏服（パンツ）女性、常装第二種夏服（スカート）女性、常装第三種夏服男性、常装第三種夏服（パンツ）女性、常装第三種夏服（スカート）女性、常装冬服男性、常装冬服（パンツ）女性、常装冬服（スカート）女性、通常礼装男性／女性、甲武装第一種夏服（中帽）男性／女性、甲武装第一種冬服（中帽）男性／女性、甲武装第２種夏服男性／女性、第一種礼装（乙）男性／女性、簡易服セーター（ハーフジップ）、簡易服セーター（フルジップ）、簡易服ジャンパー、妊婦服夏服、妊婦服冬服、雨衣、外とうが改定され、サイズも常装で男性39種、女性29種に増えた。軽量化と耐久性向上を図った新素材（夏服はポリエステル・麻混紡、冬服は羊毛・ポリエステル混紡で、カシミヤドスキン織）を使用、カラーを濃緑色から紫紺色に変更し、ジャケット袖口に袖章・ズボン側面に側章（階級を示すライン。将官は金と銀、尉官・佐官は金、曹士は黒）を入れ、ジャケット腰部左右ポケットのフラップに金メッキのボタンが付いた。第２種夏服兼冬服の長袖シャツと第３種夏服の半袖シャツの色をアイボリーからライトグレーに、襟をオープンカラーからレギュラーカラーに変更し、後見頃はボックスプリーツを採用している。男性自衛官は襟がセミピークドラペルからピークドラペルになり、胸ボタンを上にずらし、後見頃をセンターベントからサイドベンツに変更、ベルトを布から革にし、靴をラウンドトゥからロングノーズにした。女性自衛官は胸ポケットがアウトポケットからセットインポケットになり、腰ポケットのフラップに金ボタンを追加、スカート後面のプリーツが１本から２本に増え、ネクタイを棒タイからクロスタイに変更している。正帽の階級を示す刺繍と色は従来通りで、曹士は帽子のつばが無地で顎紐（男性）とモール（女性）が黒、尉官は帽子のつばが無地で顎紐とモールが金、佐官は帽子のつばが刺繍入りで顎紐とモールが金、将官は帽子のつばが大きい刺繍入りで顎紐とモールが金である。また、水陸機動団用に戦闘服装水陸一般用が制定された。参考：日本の防衛戦力Part1、MAMOR vol.137、vol.131、月刊JWings6,’18、月刊PANZER6,’18

＜制服（陸自、１９７７年）＞：常装は70式冬服と71式夏服。常装冬服男性（茶灰色スーツ）、同女性、常装第１種夏服男性（淡茶灰色スーツ）、同女性（上が薄緑、下が茶灰色スーツ。ネクタイ無し）、常装第２種夏服男性（明るめの緑長袖シャツに淡茶灰色スラックス。ネクタイ無し）、同女性（上下とも薄緑の半袖スーツ。ネクタイ無し）、常装第３種夏服男性（明るめの緑半袖シャツに淡茶灰色スラックス。ネクタイ無し）。同女性（上が明るめの緑半袖シャツ、下が茶灰色スーツ。ネクタイ無し）があり、正帽、略帽、礼帽をかぶり、短靴を履く。外套や雨衣通常服装用も用意されている。礼装には第１種礼装（甲）夏服、同冬服、第１種礼装（乙）夏服、同冬服、第２種礼装夏服、同冬服、通常礼装があり、第１種と第２種は幹部専用で、陸将補以上は飾緒を付ける。第１種礼装（甲）は礼服上下と礼帽、白手袋、礼服用階級章からなり、短靴を履く。第１種礼装（乙）は常装に礼帽と白手袋、礼服用階級章の組み合わせ。第２種礼装は第１種礼装（甲）のネクタイを蝶ネクタイにしたものである。通常礼装は第３種夏服以外の常装に正帽、短靴、白手袋を着ける。作業服装（65式作業服）は作業服装一般と作業服装空挺用があり、オリーブドラブ単色で、上衣、ズボン、作業帽、作業外被、雨衣（ポンチョ）からなり、半長靴を履く。上衣はジッパー式で、裾はズボンの中に入れる。甲武装は第３種夏服以外の常装に半長靴、弾帯、拳銃帯、正帽／中帽／鉄帽を着ける。公の儀式の時は白手袋もはめる。乙武装は作業服装、半長靴、弾帯、中帽／鉄帽。特別儀仗服装は第302保安中隊の特別儀仗任務用で、指揮官夏服、同冬服、隊員夏服、隊員冬服がある。演奏服装は音楽隊用で、指揮官夏服（行進用）、指揮官夏服（定置吹奏）、指揮官冬服（行進用）、指揮官冬服（定置吹奏）、夏服（行進用）、夏服（定置吹奏）、冬服（行進用）、冬服（定置吹奏）がある。これらは公式行事、国際儀礼、演奏会用で、他に常装ベースの演奏略服装も定められている。特殊服装は防寒服装、防暑服装、航空服装、空挺服装、戦車服装、単車服装、施設服装、迷彩服装、体育服装、消防服総、整備服装、炊事服装、衛生服装、患者服装、特殊勤務服装の15種類。防寒服装は防寒帽、防寒覆面、防寒外套、防寒手袋、防寒大手袋、防寒靴、防寒靴下からなる。防暑服装は防暑帽、防暑服、防暑靴という構成。航空服装は航空ヘルメット／航空帽、航空眼鏡、航空マフラー、航空服上衣、航空服ズボン、航空手袋、航空靴からなり、誘導員用に誘導服と誘導帽、整備員用に靴が用意されている。空挺服装は作業服装空挺用または迷彩服装の上下衣、マフラー、手袋、空挺靴、空挺用鉄帽／中帽／作業帽。戦車服装は作業服装一般の上下衣、戦車帽、戦車眼鏡、戦車手袋、戦車靴。単車服装は偵察用オートバイ乗員向けで、安全帽／鉄帽、戦車眼鏡／防塵眼鏡、防塵襟巻、単車服、単車手袋、腹帯、半長靴／単車靴からなる。施設服装は作業服装に地下足袋、ゲートル、特殊手袋／作業手袋を追加。迷彩服装は迷彩柄の上下衣と鉄帽覆いからなる。体育服装は体育訓練時に着用する。消防服装は防火用消防服と耐熱用消防服の２種類。整備服装は整備や燃料取扱作業の際に着る。炊事服装は炊事服、炊事前掛け、炊事用ゴム長靴からなる。衛生服装は治療・手術・防疫に従事する隊員向けと、看護用（男女別）がある。患者服装は入院患者が着る。特殊勤務服装は普通の背広で、広報員などが業務上の理由で自衛官制服での勤務が行えない場合に着用する。参考：日本の防衛戦力Part1

＜制服（陸自、２０１１年）＞：常装は91式制服。常装第１種夏服男性（淡緑色スーツ）、同女性、常装第２種夏服男性（上が長袖ワイシャツ）、同女性、常装第３種夏服男性（上がネクタイ無しの半袖開襟シャツ）、同女性、常装冬服男性（第１種夏服よりも厚手で濃緑色）、同女性（スカートとズボンの２種がある）、第１種礼装甲夏服男性（純白スーツの肩に礼装用階級章、手袋あり）、同女性（ジャケットと手袋だけ白、蝶ネクタイ着用）、第１種礼装甲冬服男性（黒スーツ版）、同女性（ジャケット黒版）、第１種礼装乙男性（緑系スーツ＋礼装用階級章＋白手袋）、同女性（緑系スーツ、下はスカート、礼装用階級章と白手袋付き）、第２種礼装夏服男性（黒スラックスに白燕尾服ジャケット、蝶ネクタイ）、同女性（メスドレスタイプの白ジャケットに黒のロングスカート、蝶ネクタイ、白手袋）、第２種礼装冬服男性（ジャケットが黒、襟が赤）、同女性（ジャケット黒版）、通常礼装男性（緑系スーツ＋白手袋）、同女性（緑系スーツ、下はスカート、白手袋付き）、作業服装（いわゆる迷彩服に迷彩キャップを被る）、甲武装冬服（常装冬服のジャケットの上からベルトを巻いた感じ、白手袋付き。警衛や旗衛は帽子でなく中帽と呼ばれるヘルメットを被る）、乙武装戦闘服（いわゆる迷彩服を着て上着の上からベルトを巻き、鉄帽を被る）、特別儀じょう服装夏服（特別儀仗隊用の白スーツで、左胸から肩にかけ金モールが付く。従来は開襟型だったが2017年4月に詰め襟に変更）、特別儀じょう服装冬服（従来はオリーブ・ドラブ開襟型だったが2017年4月に上着紺色詰め襟・ズボン紺色または白に変更）、特別儀じょう演奏服夏服男性（中央音楽隊用白スーツ。特別儀仗隊用と同じデザイン）、同女性（男性用と基本的デザインは同じ）、特別儀じょう演奏服冬服男性（こちらも特別儀仗隊用と同じデザイン）、同女性、通常演奏服装夏服男性（濃い色のスーツで、ジャケットの上からベルトを巻く。ジャケットの肩にはライオンと月桂樹をモチーフとした刺繍が施され、スラックスの横に赤いラインがある。1970年に三宅一生氏がデザイン）、同女性（薄い緑系スーツで、ロングスカートタイプ。チョーカータイ着用）、通常演奏服装冬服男性、同女性（夏服の色の濃いバージョン）、簡易服（服装規定に無い制服は男女とも全て簡易服と称する）、雨衣男性（トレンチコートタイプの薄緑色防水服。着脱フード付き）、雨衣女性（襟の合わせが逆なだけで男性用とほぼ同じ）、外とう男性（黒のトレンチコート）。外とう女性（襟の合わせが逆）、妊婦服１、妊婦服２（どちらも濃い緑系のマタニティー服）、戦闘服装一般用（上着、ズボン、半長靴、鉄帽からなる。鉄帽の代わりに戦闘帽を被ることもある）、戦闘服装航空用（難燃性生地で出来ている。上着の裾はズボンに入れる）、戦闘服装空挺用（空挺傘などを装備。総重量60kg以上）、戦闘服装装甲用（上着、ズボン、戦車靴、戦闘手袋・装甲用、装甲車帽、ヘッドセット、ゴーグルなどからなる）、単車服装（オートバイ隊員用。専用のヘルメットと手袋を装備）、個人用防護装備（NBC戦闘用。ガスマスク着用）、化学防護衣（NBC偵察・除洗用）、整備服装（青いつなぎ）、警務官服（甲武装冬服ベースで青系、白色帽を被る）。参考：MAMOR vol.50、vol.125

＜制服組＞：自衛官の通称。自衛隊の制服を着ているのでこう呼ばれる。対義語は背広組。参考：月刊JWings6,’20

＜制服を着た外交官＞：防衛駐在官を参照。

＜西部軍（日本陸軍）＞

　＜西部軍（昭和１９年後半）＞：防衛総司令部隷下で、第86師団などからなる。参考：比島決戦

＜西部軍管区（ロシア軍）＞：ロシア軍の軍管区。参考：THE MILITARY BALANCE 2016

＜西部軍管区（ロシア軍、２０１５年）＞：司令部はサンクト・ペテルスブルグにある。陸軍部隊は軍司令部３個、スペツナズ旅団２個、戦車師団１個、戦車旅団１個（＋編成中１個）、自動車化狙撃師団１個、自動車化狙撃旅団４個、砲兵旅団２個、多連装ロケット旅団１個、イスカンデルＭ地対地ミサイル旅団２個、9K79トチカ地対地ミサイル旅団１個、防空旅団２個、工兵旅団１個、憲兵旅団１個、NBC連隊２個、兵站旅団２個、予備役自動車化狙撃旅団２個。海軍部隊は北洋艦隊とバルチック艦隊。空軍部隊は第６航空防空軍のMiG-29SMT連隊１個、MiG-31/Su-27連隊１個、Su-27連隊１個、Su-34/Su-24MR連隊１個、An-30部隊１個、Mi-8PPA飛行隊１個、An-12/An-26/Tu-134連隊１個、Ka-52A/Mi-28N/Mi-35/Mi-26/Mi-8MTV-5旅団１個、Mi-24飛行隊２個、Mi-8飛行隊３個、9K317/S-300V連隊１個、S-300PS/PM連隊４個からなり、MiG-31戦闘機31機、Su-27/-27UB戦闘機65機、MiG-29SMT戦闘機28機、Mi-29UBT戦闘機６機、Su-34戦闘機24機、An-30情報収集機４機、Su-24MR偵察機15機、An-12/An-26/Tu-134輸送機12機、Ka-52A攻撃ヘリ12機、Mi-24武装ヘリ30機、Mi-28N攻撃ヘリ12機、Mi-35攻撃ヘリ４機以上、Mi-8PPA電子戦ヘリ10機、Mi-8輸送ヘリ50機、9K317地対空ミサイル、S-300PS/PM地対空ミサイル、S-300V地対空ミサイルを保有する。空挺軍部隊は特殊作戦（空挺偵察）旅団１個、空挺師団３個。参考：THE MILITARY BALANCE 2016

＜西部軍集団（ソ連軍、１９８９年）＞：西部戦略方面の隷下で、東ドイツのツォッセン−ヴュンスドルフに司令部を置く。兵力38万名。軍司令部５個に戦闘機飛行連隊８個、攻撃機飛行連隊12個、攻撃ヘリ連隊６個、戦車師団11個、自動車化狙撃師団８個、砲兵師団１個、空挺強襲旅団１個、SS-21旅団５個、スカッド旅団７個、砲兵旅団５個、独立戦車連隊５個、戦車訓練連隊３個を置く。MiG-21/-23/-25/-29戦闘機305機、Su-17/-24/-25/MiG-27戦闘機400機、Su-17/-24/MiG-25偵察機65機、Yak-28電子戦機15機、Mi-24攻撃ヘリ250機、Mi-8輸送ヘリ120機、Mi-8電子戦ヘリ25機を配備する。参考：ミリタリー・バランス1989-1990

＜西部航空音楽隊＞：航空自衛隊の音楽隊。元は1963年3月1日に新編された西部航空方面隊司令部人事部厚生班音楽隊で、1976年10月1日に西部航空音楽隊に改編され、西部航空方面隊隷下に春日基地で創設された。2011年3月11日に発生した東日本大震災の災害派遣に参加。2016年8月22日、熊本県益城町立広安西小学校の２学期始業式で演奏会を実施。2019年3月1日、アクロス福岡シンフォニーホールで定期演奏会を実施。4月13日、日田市立日隈小学校と藤蔭高校で演奏指導を実施。4月14日、パトリア日田で西部航空音楽隊ふれあいコンサートを実施。7月28日、背振山分屯基地開設63周年記念行事でミニコンサートを実施。2020年1月19日、佐賀県神埼市でふれあいコンサートを実施。7月1日、隊員自主募集の功績で、丸茂空幕長から第４級賞状を授与された。12月11日、築城基地でランチタイム・コンサートを実施。2021年7月2日、芦屋基地創設60周年ふれあいコンサートで演奏支援を実施。2022年4月17日、宮崎市立久峰中学校吹奏楽部に演奏指導を行った。7月2日、宮崎県木城町総合交流センターでアンサンブルコンサートを実施。7月7日、令和3年度隊員自主募集の功績で、井筒空幕長から３級賞状を授与された。7月8日、岡垣サンリーアイハミングホールで芦屋基地と福岡県岡垣町が共催した岡垣町町制60周年記念ふれあいコンサートに参加。2023年5月5日、博多どんたく港まつりに参加。9月16日、福岡空港国内線ターミナルビルで開催された空の日イベントでクラリネット四重奏の演奏を行った。参考：月刊JWings8,’14、11,’19、MAMOR vol.52、vol.108、朝雲

　＜西部航空音楽隊（２０１５年）＞：西部航空方面隊隷下で、春日基地に置かれている。参考：航空自衛隊パーフェクトガイド2015

＜西部航空警戒管制団＞：航空自衛隊の航空警戒管制団。春日基地に置かれている。1975年10月、隷下に奄美通信隊が新編された。1978年10月、奄美通信隊が南西航空警戒管制隊の隷下に移った。2009年2月23-27日、新田原基地、九州西方空域、四国沖空域で、米軍再編に係る嘉手納飛行場から空自新田原基地への訓練移転（共同訓練）に参加。9月7日、春日ヘリコプター空輸隊の支援を得てCH-47J輸送ヘリによる体験搭乗を実施。2011年3月11日に発生した東日本大震災の災害派遣に参加。2012年3月4日、福岡県那珂川町で行われた防災訓練に参加。2015年8月21日から9月3日、米軍再編に係る嘉手納飛行場から築城基地への共同訓練移転に参加。12月8-11日、米軍再編に係る嘉手納飛行場から空自新田原基地への訓練移転（共同訓練）に参加。2016年4月14日と16日に発生した熊本地震の災害派遣に参加。2017年7月5日に発生した九州北部豪雨の災害派遣に参加。9月30日から10月7日、米軍再編に係る訓練移転（共同訓練タイプ�U）に参加。第８航空団と共に、九州北方・西方空域で第35戦闘航空団第13戦闘飛行隊と戦闘機戦闘訓練などを行った。2018年7月5-8日に発生した西日本豪雨の災害派遣に参加。10月24日から山口県周防大島町で給水支援に係る災害派遣に参加。2019年2月22日と2月25日から3月1日、平成30年度日米共同統合防空・ミサイル防衛訓練に参加。8月28日から佐賀県大雨の災害派遣に参加。2021年7月10日早朝、鹿児島・宮崎・熊本県に大雨特別警報が発令されたため、自主派遣で情報収集を行った。2022年6月29日、東シナ海と日本海上で日米共同訓練に参加。第２航空団F-15戦闘機４機、第６航空団F-15戦闘機４機、第８航空団F-2戦闘機４機、北部航空警戒管制団、中部航空警戒管制団、西部航空警戒管制団と共に、アメリカ空軍第34爆撃飛行隊B-1B爆撃機２機と、編隊航法訓練を行った。7月6日と7月11-12日、日本海・太平洋・東シナ海上空で、アメリカ空海軍との共同訓練に参加。10月27日、日本海上空で日米共同訓練に参加。第２航空団、第７航空団、第８航空団、北部・中部航空警戒管制団と共に、アメリカ空軍B-52H戦略爆撃機２機と、編隊航法訓練を行った。12月20日、日本海上の空域で日米共同訓練に参加。第６航空団F-15戦闘機４機、第８航空団F-2戦闘機４機、中部航空警戒管制団と共に、アメリカ空軍B-52爆撃機２機及びC-17輸送機１機と、編隊航法訓練を行った。2023年3月2日、日米共同訓練に参加。第３航空団F-35A戦闘機４機、第７航空団F-2戦闘機４機、第８航空団F-2戦闘機４機、北部・中部航空警戒管制団と共に、アメリカ空軍第28爆撃航空団B-1B爆撃機１機、第35戦闘航空団F-16戦闘機４機、第18航空団KC-135空中給油輸送機１機と、日本海上で各種戦術訓練を行った。3月3日、日米共同訓練に参加。第３航空団F-35A戦闘機４機、第６航空団F-15戦闘機４機、第８航空団F-2戦闘機４機、北部・中部航空警戒管制団と共に、アメリカ空軍第28爆撃航空団B-1B爆撃機１機と、日本海上で各種戦術訓練を行った。3月6日、日米共同訓練に参加。第８航空団F-2戦闘機２機と共に、アメリカ空軍第２爆撃航空団B-52H爆撃機１機と、日本海上で各種戦術訓練を行った。3月30日、日米共同訓練に参加。第２航空団F-15戦闘機４機、第５航空団F-15戦闘機４機、第６航空団F-15戦闘機４機、第８航空団F-2戦闘機４機、北部・中部航空警戒管制団と共に、アメリカ空軍第２爆撃航空団B-52H爆撃機２機と、日本海及び東シナ海上で各種戦術訓練を行った。4月24日、東シナ海上空で日米共同訓練に参加。第８航空団F-2戦闘機４機と共に、アメリカ空軍B-52H爆撃機２機、F-35A戦闘機６機、KC-135空中給油輸送機１機と、各種戦術訓練を行った。6月7日、四国南方海空域で日仏共同訓練オグリ・ヴェルニー23-3に参加。空自第８航空団F-2戦闘機４機と共に、FFM-2くまの、海自潜水艦、フランス海軍D-657ロレーヌと、各種戦術訓練（対潜戦、対空戦、対水上戦、LINKEXなど）を行った。7月26-29日、新田原基地・同周辺空域・関東周辺空域で日仏共同訓練を実施。第５航空団F-15戦闘機３機、第８航空団F-2戦闘機２機、第１輸送航空隊KC-767空中給油輸送機１機、第２輸送航空隊C-2輸送機１機、中部航空警戒管制団が、フランス空軍第４航空団第１・第２飛行隊ラファール戦闘機２機、第31航空団第１飛行隊A330-200MRTT空中給油輸送機１機、第61航空団第１飛行隊A400M輸送機１機と、各種戦術訓練を行った。9月28日、四国南方の太平洋上で日米共同訓練に参加。第８航空団F-2戦闘機４機と共に、アメリカ空軍F-15E戦闘機２機・KC-135空中給油輸送機１機、アメリカ海兵隊F-35B戦闘機４機と、各種戦術訓練を行った。10月22日、九州北西で日米韓共同訓練に参加。第８航空団F-2戦闘機４機と共に、アメリカ空軍B-52H爆撃機１機、F-16戦闘機３機、韓国空軍F-15K戦闘機２機と、編隊航法訓練を行った。12月18-19日、春日基地と背振山分屯基地でモンゴル空軍士官４名と警戒管制分野の部隊レベル専門家交流を実施。2024年1月24日、四国南方の太平洋上で日米共同訓練に参加。第５航空団F-15戦闘機２機と共にアメリカ空軍B-1B爆撃機２機と各種戦術訓練を行った。1月30日、日本海と東シナ海上空で日米共同訓練に参加。第２航空団F-15戦闘機４機、第７航空団F-2戦闘機４機、第８航空団F-2戦闘機４機、北部・中部航空警戒管制団と共に、アメリカ空軍B-52H爆撃機１機と、各種戦術訓練を行った。4月2日、九州北西で日米韓共同訓練に参加。第８航空団F-2戦闘機４機と共に、アメリカ空軍B-52H爆撃機２機、F-16戦闘機３機、韓国空軍F-15K戦闘機２機と、各種戦術訓練を行った。6月20日、日本海上でアメリカ空軍との共同訓練に参加。第８航空団F-2戦闘機２機と共に、アメリカ空軍B-1B爆撃機２機及びF-16戦闘機５機と、各種戦術訓練を行った。

参考：月刊JWings8,’14、5,’19、9,'22、10,'22、1,'23、3,'23、5,'23、10,'23、12,'23、1,'24、4,'24、6,'24、9,'24、MAMOR vol.52、vol.144、vol.154、月刊航空ファン11,'15増刊、2,’16、航空自衛隊パーフェクトガイド2015、奄美大島分屯基地ホームページ、月刊世界の艦船8,’23、朝雲

　＜西部航空警戒管制団（１９７５年）＞：西部航空方面隊隷下で、春日基地に置かれている。高尾山分屯基地、見島分屯基地、背振山分屯基地、海栗島分屯基地、福江島分屯基地、高畑山分屯基地、下甑島分屯基地にレーダーサイトを置く。参考：月刊軍事研究10,’75

＜西部航空警戒管制団（２０１０年）＞：西部航空方面隊隷下で、春日基地に置かれている。隷下に西部防空管制群（春日基地）、第７警戒隊（高尾山分屯基地、J/FPS-4）、第９警戒隊（下甑島分屯基地、J/FPS-5）、第13警戒群（高畑山分屯基地、AN/FPS-20）、第15警戒隊（福江島分屯基地、J/FPS-4）、第17警戒隊（見島分屯基地、J/FPS-2）、第19警戒隊（海栗島分屯基地、J/FPS-2）、第43警戒群（背振山分屯基地、J/FPS-3改）、第３移動警戒隊（春日基地）、第７移動警戒隊（美保基地）、土佐清水通信隊（土佐清水分屯基地）を置く。参考：月刊航空ファン4,’10、月刊軍事研究6,’10

＜西部航空警戒管制団（２０１５年）＞：西部航空方面隊隷下で、司令部は春日基地にある。西部防空管制群、第７警戒隊、第９警戒隊、第13警戒群、第15警戒隊、第17警戒隊、第19警戒隊、第43警戒群、第３移動警戒隊、整備補給群、基地業務群、土佐清水通信隊を隷下に置く。参考：航空自衛隊パーフェクトガイド2015、月刊航空ファン4,’16

＜西部航空警戒管制団（２０２０年）＞：西部航空方面隊隷下で、春日基地に置かれている。参考：月刊JWings6,’20

＜西部航空施設隊＞：航空自衛隊の航空施設隊。芦屋基地に置かれている。1961年2月、芦屋基地で新編された。1967年10月、新田原基地に第２作業隊が新編された。1991年3月、築城基地に第３作業隊が新編された。2011年3月11日に発生した東日本大震災の災害派遣に参加。2012年9月13日、日出生台演習場で実爆を伴う滑走路被害復旧訓練を実施。演習場に作成した25m×50mの模擬滑走路にMk82爆弾とM117爆弾を１発ずつ埋め込んで爆破し、第８航空団不発弾処理隊が爆発を確認、資料収集隊がクレーター（直径13m・深さ3mと直径10m・深さ3m）を検証し、第５航空団隊員が防護マスクと戦闘防護衣を着用してNBC兵器が使用されていないと確認、２個小隊がブルドーザー、ショベルローダー、油圧ブレーカー、油圧ショベルを使ってクレーターを埋め戻し、ローラーとグレーダーで整地を完了、グラスファイバー製FFMマット（18m×16m）と金属製AM2マット（24m×17m）を敷き詰め、非常用滑走路灯を設置して訓練を終了した。2016年4月14日と16日に発生した熊本地震の災害派遣に参加。2017年8月30日、日出生台演習場で平成29年度実爆を伴う滑走路被害復旧訓練に参加。2019年8月28日から佐賀県大雨の災害派遣に参加。2020年7月1日、隊員自主募集の功績で、丸茂空幕長から第３級賞状を授与された。参考：MAMOR vol.52、vol.154、月刊JWings8,’14、朝雲、芦屋基地ホームページ、築城基地ホームページ、新田原基地ホームページ

　＜西部航空施設隊（１９７５年）＞：西部航空方面隊隷下で、芦屋基地に置かれている。芦屋基地と新田原基地に部隊を置く。参考：月刊軍事研究10,’75

＜西部航空施設隊（２０１０年）＞：芦屋基地に本部がある。隷下に第１作業隊（芦屋基地）、第２作業隊（新田原基地）、第３作業隊（築城基地）を置く。参考：月刊JWings2,’11

＜西部航空施設隊（２０１５年）＞：西部航空方面隊隷下で、隊本部は芦屋基地に置かれている。隊本部、管理班、第１作業隊（芦屋基地）、第２作業隊（新田原基地）、第３作業隊（築城基地）からなる。参考：芦屋基地ホームページ、航空自衛隊パーフェクトガイド2015

＜西部航空司令所＞：航空自衛隊の航空司令所。1959年3月1日、春日基地で創設された。1960年7月1日、第５航空団と第８航空団が隷下に入った。1961年7月15日、西部航空方面隊司令部に改編された。参考：月刊航空ファン1,’15

＜西部航空方面隊＞：航空自衛隊の航空方面隊。1961年7月15日に春日基地で創設され、西部航空司令所が西部航空方面隊司令部（春日基地）に改編された。1966年2月（1964年4月？）、第２高射群が新編された。1976年10月1日、西部航空音楽隊が新編された。2009年3月1日、春日基地で創設50周年記念式典を実施。2011年1月3日2000前、熊本空港から北九州空港に向かう途中に矢護山付近で２人乗り民間機が行方不明となったため、東京空港事務所長から災害派遣要請が出された。第８師団にも協力を仰ぎ、1月4日未明からU-125A救難捜索機とUH-60J救難ヘリ１機ずつで捜索を開始、第42普通科連隊の90名も地上からの捜索を行った。U-125A救難捜索機が救難信号を受信し、連絡を受けた第42普通科連隊が付近を捜索したところ、1500過ぎに大破した機体が発見された。2015年2月12-13日、訓練飛行中に行方不明になった第211教育航空隊OH-6DA練習ヘリの捜索に参加。3月12日、司令部が平成26年度体力測定�T練度向上の部で２位となり、空幕長から表彰された。2016年4月14日と16日に発生した熊本地震の災害派遣に参加。11月5日、北九州空港で緊急消防援助隊合同訓練に参加。C-130H輸送機で福岡市消防局救助工作車を北九州空港から長崎空港に輸送している。2017年8月30日、日出生台演習場で平成29年度実爆を伴う滑走路被害復旧訓練を実施。2018年7月5-8日に発生した西日本豪雨の災害派遣に参加。2019年2月4日、司令部が平成30年度空自働き方改革推進のための取り組みコンテストで特に優秀と認められ、丸茂空幕長から表彰状が授与された。8月28日から佐賀県大雨の災害派遣に参加。2020年7月1日、隊員自主募集の功績で、司令部が丸茂空幕長から第５級賞状を授与された。2022年7月10日、鳥取県境港市民交流センターみなとテラス開館記念式典で演奏支援を行った。2023年3月16日、第２高射群が西部高射群に改編された。9月30日から10月1日、水島港で行われた第９回玉島ハーバーフェスティバルで岡山地本が実施した広報に司令部が協力した。11月29日、屋久島沖で墜落した第21特殊戦飛行隊CV-22B特殊戦機の捜索活動に参加。鹿児島県災害対策本部に連絡員１名を派遣した。参考：月刊JWings1,’04、6,'23、月刊航空ファン1,’15、MAMOR vol.141、vol.154、朝雲

　＜西部航空方面隊（１９７５年）＞：航空総隊隷下で、司令部は春日基地に置かれている。第５航空団、第８航空団、第２高射群、西部航空警戒管制団、西部航空施設隊、西部航空方面隊司令部支援飛行隊などを隷下に置く。参考：月刊軍事研究10,’75、月刊JWings7,’24

　＜西部航空方面隊（１９８０年代前半）＞：西部航空方面隊司令部、第５航空団、第８航空団、第２高射群、西部航空警戒管制団などを隷下に置く。参考：日本の戦力、自衛隊装備カタログ1981

　＜西部航空方面隊（１９８５年）＞：航空総隊隷下で、司令部は春日基地にある。第５航空団、第８航空団、西部航空方面隊司令部支援飛行隊などを隷下に置く。参考：月刊JWings7,’24

　＜西部航空方面隊（１９９５年）＞：航空総隊隷下で、司令部は春日基地にある。第５航空団、第８航空団、西部航空方面隊司令部支援飛行隊などを隷下に置く。参考：月刊JWings7,’24

　＜西部航空方面隊（２００５年）＞：航空総隊隷下で、司令部は春日基地にある。第５航空団、第８航空団、西部航空方面隊司令部支援飛行隊などを隷下に置く。参考：月刊JWings7,’24

　＜西部航空方面隊（２００７年度）＞：第５航空団、第８航空団、西部航空警戒管制団、第２高射群、西部航空方面隊司令部支援飛行隊、西部航空施設隊、西部航空音楽隊、第501基地防空隊を隷下に置く。参考：戦闘機のしくみ、月刊JWings6,’07

　＜西部航空方面隊（２０１０年）＞：航空総隊隷下で、春日基地に置かれている。隷下に第５航空団、第８航空団、西部航空警戒管制団、第２高射群、西部航空方面隊司令部支援飛行隊（春日基地。T-4練習機配備）、西部航空施設隊、西部航空音楽隊（春日基地）を置く。参考：月刊航空ファン4,’10

　＜西部航空方面隊（２０１５年）＞：航空総隊隷下で、司令部は春日基地にある。第５航空団、第８航空団、西部航空方面隊司令部支援飛行隊、西部航空警戒管制団、第２高射群、西部航空施設隊、西部航空音楽隊を隷下に置く。参考：航空自衛隊パーフェクトガイド2015、月刊航空ファン4,’16

　＜西部航空方面隊（２０２０年）＞：航空総隊隷下で、司令部は春日基地にある。第５航空団、第８航空団、西部航空方面隊司令部支援飛行隊、西部航空警戒管制団、第２高射群などを隷下に置く。参考：月刊JWings6,’20

＜西部航空方面隊司令部支援飛行隊＞：航空自衛隊西部航空方面隊司令部の支援飛行隊。春日基地に置かれており、春日基地板付空輸ターミナルに飛来するC-1/C-130H輸送機定期便及びKC-767空中給油輸送機臨時便の支援、陸自・海自機の発着支援、その他外来機の全般支援、陸自高射部隊への支援、災害時の航空偵察などを行う。1972年に新編された。2011年3月11日に発生した東日本大震災の災害派遣に参加。2021年7月1日、令和2年度隊員自主募集の功績で、司令部が井筒空幕長から第５級賞状を授与された。11月1日、山口県宇部市の宇部市制施行100周年記念でT-4練習機１機が第８飛行隊T-4練習機１機と共に祝賀飛行を実施。2023年3月10日、令和4年度体力測定�T錬成成果の部３位の功績で、空幕長から表彰を伝達された。参考：朝雲、MAMOR vol.52、月刊JWings8,’14、1,’22、7,’24

　＜西部航空方面隊司令部支援飛行隊（１９７５年）＞：西部航空方面隊隷下で、板付基地に置かれている。T-33A練習機、T-34練習機を装備する。参考：月刊軍事研究10,’75、月刊JWings7,’24

　＜西部航空方面隊司令部支援飛行隊（１９８５年）＞：西部航空方面隊隷下で、春日基地に置かれている。T-33A練習機を装備する。参考：月刊JWings7,’24

　＜西部航空方面隊司令部支援飛行隊（１９９５年）＞：西部航空方面隊隷下で、春日基地に置かれている。T-4練習機を装備する。参考：月刊JWings7,’24

　＜西部航空方面隊司令部支援飛行隊（２００５年）＞：西部航空方面隊隷下で、春日基地に置かれている。T-4練習機を装備する。参考：月刊JWings7,’24

　＜西部航空方面隊司令部支援飛行隊（２０１５年）＞：西部航空方面隊隷下で、春日基地に置かれている。T-4練習機を装備する。参考：月刊航空ファン4,’16、航空自衛隊パーフェクトガイド2015

　＜西部航空方面隊司令部支援飛行隊（２０２０年）＞：西部航空方面隊隷下で、春日基地に置かれている。T-4練習機を装備する。参考：月刊JWings6,’20

＜西部高射群＞：航空自衛隊の高射群。2023年3月16日、第２高射群から改編されて春日基地で新編された。2024年2月28日、PAC-3部隊機動展開訓練を実施。福岡県海の中道海浜公園にPAC-3器材を展開した。9月24日から11月23日（展開・撤収を含む派遣期間は9月4日から12月5日）、令和6年度統合防空ミサイル防衛実弾射撃訓練に参加。参考：月刊JWings6,’23、12,'24、朝雲

＜西部戦区＞：中国軍の戦区。2016年2月1日に創設された。蘭州軍区と成都軍区が担当していた新疆ウイグル自治区、チベット自治区、青海省、甘粛省、寧夏回族自治区、四川省、重慶を管轄する。戦略方面は中央アジア、南アジア、自治区独立勢力。連合作戦指揮機構は成都、陸軍司令部は蘭州、空軍司令部は成都に置かれている。2017年4月、第47集団軍が廃止され、第13集団軍が第76集団軍に改編され（軍部が成都に移ったという説あり）、第21集団軍が第77集団軍に改編されて軍部が青海省西寧に移った。参考：月刊航空ファン5,’16、月刊軍事研究5,’16、9,’17

　＜西部戦区（２０１６年２月１日）＞：連合作戦指揮機構は成都にある。戦区陸軍司令部は蘭州にあり、第13集団軍（重慶）、第21集団軍（陝西宝鶏）、第47集団軍（陝西臨潼）、新疆軍区、南疆軍区、西蔵軍区を置く。戦区空軍司令部は成都、指揮所は烏魯木斉基地（新疆ウイグル自治区ウルムチ）、西安、和田、昆明、拉薩に置かれ、第４輸送航空団、第６航空団、第７航空団、第33航空団、第37航空団、第44航空団、ミサイル試験航空隊が配備されている。火箭軍基地は青海省西寧の第56基地。宇宙ロケット発射基地として第22基地が陝西宝鶏にあるが、所属軍種は不明。参考：月刊軍事研究5,’16、月刊航空ファン5,’16

＜政府専用機＞：政府首脳が外遊の際に使用する専用の航空機。民間機チャーターだと安全面などに問題があり、外国の政府・軍専用空港に降りられず民間空港に警備部隊を派遣してもらうような手間を掛けてしまうため、専用機を使う。空軍が運用していることが多いが、仲の悪い国に行く時に揉めることがあるため、運用組織を軍から切り離して要員だけ軍人を派遣してもらうこともある。頻繁に使わない国では、普段は民間航空で旅客機になっていたりする。長い航続距離（太平洋横断なら11000km以上）と、随伴職員や報道陣を同乗させるなら50-100人程度の搭乗能力が必要で、エアバスA310やボーイングB757クラスを採用する国が多い。陸続きの近隣諸国に単独で出掛けることが多い国や資金面に課題がある国だと、ビジネス・ジェットで済ませたりする。自国や各組織との連絡を常時取れるよう、高性能の秘匿通信設備を備える必要があり、政府要人向けの豪華な内装よりも通信設備代の方が遙かに高額になる。国の偉容を保つという面もあるため、財政難でも新品の機体を揃えることもある。参考：月刊JWings9,’14、1,’01、8,’11、月刊航空情報3,’18、月刊軍事研究7,’16

＜政府専用機（日本）＞：コールサインは、総理大臣搭乗時がジャパニーズ・エアフォース・ワン、皇族搭乗時がジャパニーズ・エアフォース・ツー、要人を乗せない場合はシグナス（CYGNUS。はくちょう座）である。B747-400政府専用機またはB777-300ER政府専用機を参照。参考：月刊丸9,’20、月刊JWings12,’18

＜西部戦略方面（ソ連軍、１９８９年）＞：司令部はレグニツァにある。北部軍集団、中部軍集団、西部軍集団、バルト軍管区、白ロシア軍管区、カルパチア軍管区、独立軍団１個に戦車師団31個、自動車化狙撃師団30個、空挺師団３個、砲兵師団６個、空中強襲旅団４個を配備し、動員によりワルシャワ条約軍含め５個方面軍103個師団に増える。装備はソ連軍だけで主力戦車18800両、火砲／多連装ロケットランチャー／迫撃砲16000門、フロッグ／9K79地対地ミサイル252基、スカッド弾道ミサイル300基、ヘリコプター1850機。また、Su-24戦闘機300機からなる航空軍１個があり、隷下部隊の作戦機総数は1885機。戦略兵器は629A型弾道ミサイル潜水艦４隻、UR-100N弾道ミサイル、ピオニール弾道ミサイル、R-12弾道ミサイル、Il-20/-22電子情報収集機で、軍中央の管理下にある。防空部隊はミンスクのOTH-Bレーダー２基、タリンの早期警戒施設１箇所、Su-15/MiG-23/-25戦闘機325機、S-75/S-125/S-200/S-300防空ミサイルサイト200箇所以上で、防空軍の管理下にある。参考：ミリタリー・バランス1989-1990

＜西部地区指揮官会議＞：西部・南西地域の三自衛隊指揮官が意見交換を行う会議。1963年に初開催された。2003年度から年に２回開催されるようになった。2015年は3月4日に行われ、西部方面総監、呉地方総監、佐世保地方総監、西部航空方面隊司令官、南西航空混成団司令が出席した。参考：朝雲

＜政府通信本部＞：GCHQを参照。

＜生物剤警報器＞：陸上自衛隊の生物兵器検知装置、略称BAWS（Biological Aerosol Warning System）。ロッキード・マーチン社製で、伊藤忠アビエーションが受注している。ノートパソコン及びGPSを搭載したベースステーションと全長6mのマストアンテナからなる警告部、検知部ユニットとバッテリーと三脚からなる検知部で構成される。監視地点から風上5000mに500m間隔で弧状に複数（１セットあたり10機）が設置される検知部は、空気を自動吸入して赤外線レーザー照射により測定し、微粒子を探知するとベースステーションに連絡すると共に分析試料を作成する。また、GPSで計測した自己位置と気象観測装置で得た気象状況をベースステーションに伝える。警告部はベースステーションに置かれており、これらのデータを元に警告や警報を発令する。ただ微粒子が生物兵器かどうかまでは分からないので、後は生物偵察車に任せる。ウイルスや毒素など小さすぎるものは探知できないのが欠点。全化学科部隊に配備予定で、2011年までに24セットが納入された。2018年10月26日、検知部から警告部にデータを伝える通信用電波の出力を記した定期検査結果が、実際には訓令で定められた基準値を超えていたにも関わらず、基準値内に収まるよう補給統制本部内で書き換えられていた疑いがあると、陸上幕僚監部が発表した。運用を停止して原因調査に入っている。参考：月刊軍事研究6,’11、8,’10、12,’06、12,’11、朝雲

＜生物剤検知・識別装置＞：自衛隊の機器。丸紅エアロスペースが受注している。参考：月刊軍事研究12,’11

＜生物剤衛生対処ユニット＞：陸上自衛隊の生物兵器被害者治療装置、通称Ｂユニット。衛生検査ユニット（衛生前処理車と衛生分析車）で散布された生物兵器の種類を特定し、患者を患者移送装置、陰圧式で陰圧病室ユニットに運び込み、検査や応急処置を行う。対特殊武器衛生隊第101・第102対特殊武器治療隊に１ユニットずつ配備された。参考：スピアヘッドNo.16、No.13、MAMOR vol.147

＜生物偵察車＞：陸上自衛隊の生物兵器検知車両、略称PBDS-J（Precision Biological Detection System-Japan）。73式大型トラックまたは３・1/2トントラックの後部荷台にイギリスのスミス・ディテクション社製精密生物剤検知システム収容機密コンテナ（与圧装置付き）を搭載し、コンテナ上面の吸気筒から吸入した空気の分析を行うものである。コンテナにはディーゼルAPUが搭載されていて、排気を吸気筒から吸い込まないよう、長いホースで離れた所に排気する。エアロゾルを吸入すると、エアロゾル形状分析システムが形状や数量などから生物剤かどうかを大まかに判断し、その恐れが高ければヒューマン・コンピュータ・インターフェースが警告を発すると共に、サンプル収集システムが液体試料を作成、バイオディテクタが抗原抗体反応により自動的に識別し、データをパソコン上に表示する。データはチャンネル数として表示されるので、これを分析要員が無線で後方の指揮所に告げると、指揮所で照合して生物剤の種類を判断する。分析要員に生物剤の種類が直接表示されないのは、恐怖心対策である。分析機器は微生物安全キャビネット（フィルター付き密閉スペース）に収容されており、分析要員が外気に暴露する恐れは無く、防護服を着用せずに済む。ただしキャビン（鋼製ハードトップ型）は密閉されていないので、操縦手は防護服とガスマスクが要る。付近の気象（気温、湿度、気圧、風速、風向）を観測する能力も持つ。全長7.9m、全幅2.5m、全高3.7m／8.1m（気象観測装置・吸気筒用マスト伸長時）、全備重量13トン。分析要員は２名で、交代要員も乗り込む。化学学校化学教導隊、中央特殊武器防護隊第102・第103特殊武器防護隊、第１師団第１特殊武器防護隊、第３師団第３特殊武器防護隊、第４師団第４特殊武器防護隊、第６師団第６特殊武器防護隊に配備された。参考：月刊軍事研究6,’11、8,’10、12,’06、8,’09、スピアヘッドNo.2、No.16、陸上自衛隊パーフェクトガイド2015

＜生物・毒素兵器禁止条約＞：正式名称は細菌兵器（生物兵器）及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約、略称BWC。1968年からジュネーブ軍縮委員会が作成し、1972年に成立、1975年3月26日に発効した。日本は1982年6月8日に批准し、同日発効している。締約国は、平和目的による正当化ができない生物剤・毒素及びそれを使用するための兵器・装置・運搬手段を開発・生産・貯蔵・取得・保有することを禁じられる。また、発効後９ヶ月以内に保有・管轄・管理下にある生物剤・毒素及びそれを使用するための兵器・装置・運搬手段を廃棄するか、平和目的のために転用する。これらの移譲や取得援助も禁止。有効期限は無期限。査察体制が不十分なのが欠点とされる。参考：軍縮条約・資料集第２版、図解雑学生物・化学兵器

＜生物・毒素兵器禁止条約実施法＞：生物・毒素兵器禁止条約締結を受けて日本が1982年6月8日に定めた法律。生物剤を「微生物であって、人、動物もしくは植物の生体内で増殖する場合にこれらを発病させ、死亡させ、もしくは枯死させるものもしくは毒素を産生するもの」、毒素を「生物によって産生される物質であって、人、動物又は植物の生体内に入った場合にこれらを発病させ、死亡させ、又は枯死させるものをいい、人工的に合成された物質で、その構造式がいずれかの毒素の構造式と同一であるものを含む」、生物兵器を「武力の行使の手段として使用されるもので、生物剤又は生物剤を保有しかつ媒介する生物を充填したもの」、毒素兵器を「武力の行使の手段として使用されるもので、毒素を充填したもの」と定め、条約に基づいてこれらの開発、生産、貯蔵、取得、保有を禁止している。参考：軍縮条約・資料集第２版

＜生物兵器＞：1957年、カナダで行われた第５回パグウォッシュ会議（科学技術の発展が人類に与える危険性を検討する国際会議）で定められた性質は、「少量で人を殺戮もしくは廃人化する作用を有し、貯蔵または撒布によって病原性・毒性を失わず、衛生上の注意や通常の予防接種で予防できず、その病気または病原体自体を容易に診断できず、引き起こされる疾患が通常の薬品や抗生物質で治療できないもの」である。微生物兵器、毒素兵器、人工毒生物兵器に分けられる。家畜や穀物に感染させて死滅させるものも研究されている。エアロゾルとして散布したり、水などに混入したり、弾頭に入れたり、テロ用に使ったりする。一般的には、感染力が高いが味方に影響を及ぼさず（インフルエンザとかは向かない）、感染に気づかず蔓延させるのに十分な潜伏期間を持ち、大量生産が可能で、薬剤に耐性があり、長期保存ができるというのが条件となる。１平方メートルに被害を与えるために必要な経費は僅か１ドルで、化学兵器（600ドル）や核兵器（800ドル）よりも遙かに安価である。生物兵器というか病原体一般の特性として、自力（ウイルスは半自力だが）で増殖できる、検査に一定の時間がかかりリアルタイムで検出できない、感染してから増殖して検出可能となるまでに時間を要し（ウインドウ・ピリオド）、その間にも他人に感染していく（感染性ウインドウ・ピリオド）、潜伏期間中や無症候性感染では本人が感染に気付かず他人に感染させてしまう、といった厄介な性質を持つ。欠点は、生物を使用する関係から炸薬でばらまくわけにいかない、使用前の損害見積もりが立てにくい、自然環境に影響されやすいため効果が不確実、使用後の評価もしにくい、など。現代では交通手段が発達しているので、潜伏期間の内に感染者が飛行機などで旅行に行ってしまうと、旅行先でも発症者が多発して世界中の人間が被害に遭ってしまう恐れがある。また、使用すれば世界を敵に回す上に相手国からNBC兵器の反撃を喰らうのが確実なため、正規軍で使う意義が薄くなっており、代わりにテロリストなどが撒布を仄めかして脅迫に使うようになった。紀元前300年頃、ギリシャ人が敵の水源地に動物の死体を投げ入れる行為を始めたとされる。1154年、神聖ローマ皇帝バルバロッサはイタリア遠征で兵士の死体を井戸に投げ入れた。1344年、タタール軍が自軍のペスト死者をカタパルトでベネチア支配下のカッファに投げ入れ、カッファのベネチア軍を退却させている。1710年、ロシア軍が自軍のペスト患者をスウェーデン軍のレバル城要塞に投げ込んだ。16世紀、中南米でスペインから持ち込まれた天然痘が猛威をふるい、アステカ王国やインカ帝国が征服された。アメリカの植民地争奪戦争ではイギリスがフランス側に付いているアメリカ先住民部族に天然痘病院から持ってきた毛布２枚とハンカチ１枚を送って大流行させ、部族の半数以上を殺害している。1775年からのアメリカ独立戦争で、種痘を受けていたイギリス軍は、天然痘をアメリカ軍に流行させて優位に立ったため、アメリカ側は人痘を受けさせて対抗した。1936年、関東軍防疫給水部（後の731部隊）が設立され、人体実験などによる生物兵器の開発が開始された。太平洋戦争終結後は731部隊の資料が米英ソに渡り、各国で開発されている。1984年、オレゴン州でカルト教団信徒がサルモネラ菌をレストランにばらまいて750人を食中毒に罹患させた。2001年10月、アメリカで炭疽菌テロが発生。参考：MAMOR vol.147、月刊PANZER4,’98、化学・生物兵器概論、図解雑学生物・化学兵器

　＜生物兵器（１９４８年ブリュッセル条約に対する議定書）＞：有毒昆虫又は他の生きている又は死んだ有機体、あるいはそれらの有毒産出物を軍事目的で使うために特に設計された装備又は装置。参考：軍縮条約・資料集第２版

＜生物兵器（アメリカ）＞：1942年、生物兵器研究所を設立し、炭疽菌の兵器化を開始した。1943年、生物兵器は報復攻撃にしか使用しないとした。太平洋戦争終結後は731部隊の資料を押収し、生物兵器研究所のあるキャンプ・デトリックをフォート・デトリックに格上げすると共に、ユタ州のダグウェイに生物兵器実験施設を設置した。参考：図解雑学生物・化学兵器

＜生物兵器（ソ連）＞：1925年に窒息性ガス、毒性ガスまたはこれらに類するガス及び細菌学的手段の戦争における使用の禁止に関する議定書を批准したが、使用のみ禁止していて研究開発などは対象外であり、1928年にレニングラード軍事アカデミーでチフス菌兵器が制式化された。1933年、モスクワに赤軍微生物化学研究所を設立。1941年6月の第２次大戦独ソ戦勃発で、生物兵器研究施設をキーロフに移した。1942年にスターリングラード周辺だけで1941年・1943年におけるソ連全国での年間発生数の10倍に達する野兎病が発生しており、生物兵器説が出ている。太平洋戦争終戦間際に731部隊の資料を押収し、1946年からスヴェルドロフスクで陸軍生物兵器開発施設の稼働を開始。1953年、ソ連参謀本部第15総局が創設され、生物兵器研究機関が軍との関連を疑われないよう都市中心部に多数設置された。1972年、生物兵器禁止条約に加盟したが、査察が無いのを良いことに研究開発を強化、1973年には47カ所の研究製造貯蔵施設からなるバイオプレパラットを完成させ、炭疽菌数百トン、ペスト菌数十トン、兵器用天然痘ウイルス20トン以上などを備蓄した。人口密集地に撒布して人口を減らす戦略使用と、戦線後方100-150kmに撒布する戦術使用を研究していたとされる。1978年、ペスト菌の兵器化に成功。1979年、スヴェルドロフスクで炭疽菌が漏れる事故が発生。1989年、超純粋物質研究所所長がイギリスに亡命し、バイオプレパラットの全容が明るみに出た。１990年、天然痘ウイルスの兵器化に成功したといわれる。1992年2月、エリツィン大統領が化学・生物兵器条約問題に関するロシア大統領付属委員会を創設。4月、大統領令で生物兵器開発を禁止し、第15総局を廃止して放射能・化学・生物防護総局を設立した。しかし軍は大統領令を履行せず、実験場のうち２カ所が閉鎖されたに留まっている。9月、アメリカ、イギリス、ロシアの３カ国会合でロシアによる生物兵器禁止条約違反が問題となり、立ち入り検査などが行われることになったが、軍が拒否して実効性が低いものになってしまった。参考：月刊軍事研究6,’13、図解雑学生物・化学兵器

＜セイフティ＞：安全装置を参照。

＜西部電機＞：2022年11月25日、護衛艦向けオートノマスバルブ（自律的制御バルブ）の開発により、防衛基盤整備協会から令和4年度防衛基盤整備協会賞を贈呈された。参考：朝雲

＜セイフ・ドミニア＞：フォークランド駐留イギリス軍用宿泊施設Safe Dominia。フォークランド紛争で増派されたイギリス兵士を駐留するために建造された応急宿泊施設で、艀の上に４層のコンテナ式宿泊設備を積み重ねている。Fo/Fo（Float on/ Float off）船ファーンキャリアーに搭載されてイギリス本土から輸送され、1982年12月15日にポート・スタンリーに到着した。参考：月刊世界の艦船6,’83

＜西部防衛衛生学会・衛生集合訓練＞：陸自西部方面隊管内の三自衛隊衛生科隊員に対する教育訓練で、自衛隊福岡病院、自衛隊熊本病院、自衛隊佐世保病院が持ち回りで実施している。第56回は2013年2月21-22日に自衛隊佐世保病院と佐世保衛生隊が主催して行われた。参考：朝雲

＜西部防空管制群＞

＜西部防空管制群（２０１５年）＞：西部航空警戒管制団隷下で、春日基地に置かれている。参考：月刊航空ファン4,’16

＜西部方面衛生隊＞：陸上自衛隊の方面衛生隊。2011年3月11日に発生した東日本大震災の災害派遣に参加。2016年4月14日と16日に発生した熊本地震の災害派遣に参加。2018年4月6日、健軍駐屯地でシミュレーション・ラボ開所式を実施。5月24日、熊本地本と共に、熊本県立第２高校防災訓練に参加。2019年3月8-18日、MEDEX2019に10名で参加。5月18-20日、鹿児島県屋久島で大雨により孤立した登山者などの救助に係る災害派遣に参加。2021年3月11日、新型コロナウイルス対応の功績で、１級賞状が授与された。2023年7月10-17日、レゾリュート・ドラゴン23前段演習に参加。10月14-31日、レゾリュート・ドラゴン23後段訓練に参加。2024年7月28日から8月7日、レゾリュート・ドラゴン24演習に参加。参考：MAMOR vol.52、vol.151、朝雲

＜西部方面音楽隊＞：陸上自衛隊の方面音楽隊。2012年10月4日、神戸朝日ホールで開催された第13回大阪国際音楽コンクールの金管楽器部門（一般の部）でチューバ奏者の森園陸士長が第一位を獲得した。2014年12月13-14日、長崎市内のショッピングセンターで陸上自衛隊西部方面音楽隊ニューイヤーコンサートin長崎のプレコンサートを開催。2016年3月5日、熊本市民会館で西部方面音楽まつりに参加。3月6日、健軍駐屯地と菊池市立七城中学校で熊本県内中高の吹奏楽部学生を対象とする演奏指導を実施。5月7-8日、在日米陸軍軍楽隊と共に、熊本市南区役所と錦ヶ丘公園で熊本地震被災者への慰問演奏会を開催。8月28日、唐津市民会館でサマーコンサートin唐津を実施。2017年1月9日、兵庫県立芸術文化センターで平成28年度中部方面隊音楽まつりに参加。2018年7月21日、みすみ港まつりで演奏会を実施。2019年6月8日、佐賀県唐津市民会館で演奏会を実施。2020年5月、ユーチューブなどに応援動画第１弾をアップロードした。6月12日、ユーチューブなどに応援動画第２弾をアップロードした。7月30日、九州豪雨で被災した熊本県球磨郡山江村で慰問演奏を実施。10月10日、1964年の東京オリンピック開会式の日に合わせ、東京オリンピックファンファーレ〜君が代行進曲の演奏動画をユーチューブに配信した。10月27日、玖珠駐屯地で演奏会を実施。2021年3月6日、熊本市民会館で令和2年度西部方面音楽まつりを実施。4月18日、佐賀市文化会館で巡回演奏会を実施。6月5日、熊本県立劇場コンサートホールで第48回定期演奏会を実施。7月10日、熊本県益城町文化会館で復活！アーミーサウンズinましきを開催。10月5日、三百六十五歩のマーチの演奏動画をユーチューブにアップロードした。12月18日、熊本市火の君文化ホールでトライアングルコンサート2021に参加。2022年3月21日、熊本市で行われた桜馬場城彩苑11周年誕生記念祭で演奏支援を行った。11月3-5日、オマーン軍楽祭に招待され、隊員35名、第４師団第４音楽隊４名、第８師団第８音楽隊３名、第15旅団第15音楽隊７名、中部方面音楽隊１名、第301映像写真中隊１名で参加。12月4日、大分市J:COMホルトホール大分で巡回演奏会を実施。参考：朝雲

＜西部方面会計隊＞：陸上自衛隊の方面会計隊。2011年3月11日に発生した東日本大震災の災害派遣に参加。参考：MAMOR vol.52

＜西部方面管制気象隊＞：陸上自衛隊の方面管制気象隊。1962年3月、目達原駐屯地に第１派遣隊が新編された。参考：目達原駐屯地ホームページ

＜西部方面軍（ソ連軍）＞：ソ連軍の方面軍。1944年4月24日（12日？）、第２・第３白ロシア方面軍に分割された。参考：歴史群像6,’10、8,’17

＜西部方面警務隊＞：陸上自衛隊の方面警務隊。2019年3月5-7日、警務隊逮捕術競技会の選考も兼ねて持続走・警務業務・逮捕術の競技会を実施。2021年6月15日、第303保安警務中隊が隊務優秀部隊として警務隊本部から表彰された。参考：警務隊の組織及び運用に関する訓令、朝雲

＜西部方面警務隊（２０１２年）＞：隊本部（担当区域は健軍駐屯地の所在する区域）、第303保安警務中隊、第134地区警務隊、第135地区警務隊、第136地区警務隊からなる。参考：スピアヘッドNo.15、警務隊の組織及び運用に関する訓令

＜西部方面航空隊＞：陸上自衛隊の方面航空隊。西部方面隊隷下で、離島防衛のため、V-107/CH-47J/CH-47JA輸送ヘリを装備して空中機動能力を高めている。1968年3月、西部方面ヘリコプター隊が新編された。1990年3月、第３対戦車ヘリコプター隊が新編された。2011年3月11日に発生した東日本大震災の災害派遣に参加。4月4-6日、高知県香美市で発生した山林火災の災害派遣に参加。5月14日、都城駐屯地にUH-60JA多用途ヘリを派遣し、宮崎地本による募集・援護協力者に対する体験搭乗に協力した。8月10-12日、瀬戸内海の石島で発生した山林火災の災害派遣に参加。2014年4月24-25日、大分県別府市湯山付近で発生した火災の災害派遣に参加。5月10-12日、熊本県の平家山で発生した山林火災の災害派遣に参加。5月10-27日、平成26年度自衛隊統合演習（実動訓練）に参加。2015年1月8日、年初編隊飛行訓練を実施。5月16-17日、九州西方海域で日米仏共同訓練に参加。5月29日、口永良部島噴火の災害派遣に参加。7月13日0252頃に大分県南部で発生した最大震度５強の地震の情報収集をLR-2連絡偵察機１機で実施。10月19日から11月19日、鎮西27に参加。10月20-23日、徳島県那賀町で発生した山林火災の災害派遣に参加。2016年4月6日、鹿屋航空基地の北10kmで行方不明になった飛行点検隊U-125飛行点検機の捜索に参加。4月14日と16日に発生した熊本地震の災害派遣に参加。2017年5月21日、鹿児島県総合防災訓練に参加し、CH-47JA輸送ヘリでDMAT隊員を種子島に緊急空輸した。7月5日に発生した九州北部豪雨の災害派遣に参加。7月11日1156頃、鹿児島湾を震源とするマグニチュード5.3・最大震度５強の地震が発生したため、航空機で情報収集を実施。9月17-18日、大分県臼杵市と津久見市で台風18号豪雨に対する水防活動の災害派遣に参加。2018年3月1日1100頃、鹿児島県霧島山新燃岳が噴火し、宮崎県高原町で降灰が確認されたため、1228-1420にヘリ映伝搭載UH-1多用途ヘリによる情報収集を実施。4月11-23日、大分県中津市耶馬溪町で発生した土砂崩れの災害派遣に参加。5月8-24日、九州西方海域、種子島、種子島周辺海域で水陸機動団演習に参加。7月4日、台風７号の影響で長崎県五島市と南松浦郡新上五島町で停電が発生したため、第４師団に人員・資機材輸送の災害派遣要請があり、CH-47輸送ヘリ２機で輸送した。2019年1月3日、熊本地方を震源とする最大震度６弱の地震が発生したため、ヘリ映伝搭載UH-1J多用途ヘリ２機で情報収集を行った。1月4日もUH-1J多用途ヘリ１機で情報を収集している。5月10日、宮崎県日向灘を震源とする最大震度５弱の地震が発生したため、情報収集を行った。5月19-24日、鹿児島県口之永良部島で発生した、大雨による床上浸水や導水管破損による断水の災害派遣に参加。7月3-4日、鹿児島県の土砂災害・洪水災害の準備及び対処に係る災害派遣に参加。2020年7月4日に発生した九州南部豪雨の災害派遣に参加。9月4-5日、台風10号接近に伴う離島住民避難の災害派遣に参加。10月26日から11月5日、キーン・ソード21に参加。2021年1月21日、アメリカ第31海兵遠征隊との共同水陸両用戦訓練に参加。3月18日、第３対戦車ヘリコプター隊が第１戦闘ヘリコプター隊に改編された。5月11-17日、アメリカ海兵隊及びフランス陸軍との共同実動訓練ARC21に参加。7月10日早朝、鹿児島・宮崎・熊本県に大雨特別警報が発令されたため、自主派遣で情報収集を行った。8月13日に発生した九州豪雨の災害派遣に参加。2022年3月16日に発生した大分県竹田市の山火事消火の災害派遣に参加。4月10日に宮崎県綾町で発生した山林火災消火の災害派遣に参加。9月20日、台風14号被害確認のため、UH-1J多用途ヘリ２機で宮崎県を航空偵察した。2023年2月16日から3月12日、アイアンフィスト23に参加。7月10-17日、レゾリュート・ドラゴン23前段演習に参加。10月14-31日、レゾリュート・ドラゴン23後段訓練に参加。11月29日、屋久島沖で墜落した第21特殊戦飛行隊CV-22B特殊戦機の捜索活動に参加。1731、LR-2連絡偵察機１機が映像伝送を開始。11月30日1414、LR-2連絡偵察機１機が映像伝送を開始。2024年7月28日から8月7日、レゾリュート・ドラゴン24演習に参加。

参考：MAMOR vol.52、vol.91、vol.138、vol.141、vol.151、vol.153、目達原駐屯地ホームページ、陸上自衛隊地上戦力の全容、月刊JWings3,’15、8,’15、10,’15、1,'16、6,'16、12,’17、5,’18、7,’18、3,’19、9,'20、4,'21、6,'21、7,'21、5,'23、月刊航空ファン7,’16、10,’17、朝雲

＜西部方面航空隊（２００７年度）＞：西部方面隊隷下で、高遊原分屯地に置かれている。本部／本部付隊、西部方面ヘリコプター隊、第３対戦車ヘリコプター隊などを隷下に置く。参考：月刊JWings6,’07

＜西部方面航空隊（２００９年度）＞：西部方面隊隷下で、高遊原分屯地に置かれている。本部／本部付隊（LR-2連絡偵察機）、西部方面ヘリコプター隊、第３対戦車ヘリコプター隊、西部方面管制気象隊、西部方面航空野整備隊を隷下に置く。参考：月刊航空ファン4,’10

＜西部方面航空隊（２０２０年）＞：西部方面隊隷下で、高遊原分屯地に置かれている。本部／本部付隊（LR-2連絡偵察機）、西部方面ヘリコプター隊、第３対戦車ヘリコプター隊などを隷下に置く。参考：月刊JWings6,’20

＜西部方面航空隊（２０２３年）＞：西部方面隊隷下で、高遊原分屯地に置かれている。本部／本部付隊、西部方面ヘリコプター隊、第１戦闘ヘリコプター隊、第109飛行隊、西部方面航空野整備隊、西部方面管制気象隊を隷下に置く。参考：月刊世界の艦船7,’23

＜西部方面後方支援隊＞：陸上自衛隊の方面後方支援隊。2003年3月27日、西部方面隊隷下の補給整備部隊、西部方面武器隊、西部方面輸送隊、不発弾処理隊を統合して目達原駐屯地で新編された。2010年1月27-29日、目達原駐屯地で陸自初の防衛法制競技会を実施。瞬時の状況判断による適正な不審者対応を競い、特科直接支援隊が優勝した。2011年3月11日に発生した東日本大震災の災害派遣に参加。2012年3月5日、西部方面輸送隊第103輸送業務隊が沖縄県内の企業など187団体が作る東日本大震災支援協力会議から感謝状を贈呈された。2013年3月26日、第304普通科直接支援中隊（福岡駐屯地）と第302対舟艇対戦車直接支援隊（玖珠駐屯地）が新編された。2015年3月26日、第302対舟艇対戦車直接支援隊が第８師団の隷下に移った。2016年4月14日と16日に発生した熊本地震の災害派遣に参加。2018年3月27日、大隊規模弾薬補給部隊として初のコア部隊である第101弾薬大隊が大分分屯地で新編された。4月21日、第101弾薬大隊が大分分屯地で訓練開始式を実施。2019年8月28日から佐賀県豪雨の災害派遣に参加。10月13日から台風19号・21号被害の災害派遣に参加。2020年7月4日に発生した九州南部豪雨の災害派遣に参加。2022年8月8日から9月16日、第５施設団と共に、支援部隊早期展開プロジェクトに参加。インドネシアのジャワ島ボゴールにあるインドネシア平和安全保障センターでインドネシア工兵要員20名にドーザ・バケットローダ・ローラ操縦手教育を行った。2023年7月10-17日、レゾリュート・ドラゴン23前段演習に参加。10月14-31日、レゾリュート・ドラゴン23後段訓練に参加。2024年7月28日から8月7日、レゾリュート・ドラゴン24演習に参加。参考：西部方面後方支援隊ホームページ、目達原駐屯地ホームページ、MAMOR vol.52、vol.154、朝雲

　＜西部方面後方支援隊（２０１５年）＞：隊本部／本部付隊、西部方面輸送隊、第106全般支援大隊（本部／本部付隊、補給中隊、整備中隊、整備中隊建軍派遣隊）、第102高射直接支援大隊（本部／本部付隊、整備隊、第１直接支援中隊、第２直接支援中隊）、第103施設直接支援大隊（本部／本部付隊、整備隊、第１直接支援中隊、第１直接支援中隊湯布院派遣隊、第２直接支援中隊、第２直接支援中隊都城派遣隊）、第101特科直接支援隊（本部、整備隊、第１直接支援小隊、第２直接支援小隊、直接支援中隊）、第104不発弾処理隊、第304普通科直接支援中隊（本部、整備小隊）、第301通信直接支援中隊（本部、火器車両整備小隊、通信整備小隊）、第301普通科直接支援隊（本部、整備小隊、直接支援小隊３個）からなる。参考：西部方面後方支援隊ホームページ

＜西部方面混成団＞：陸上自衛隊の混成団。新隊員・陸曹・即応予備自衛官の一元管理・教育部隊で、第３教育団と第19普通科連隊を統合して2013年3月26日に相浦駐屯地で新編された。隷下に第19普通科連隊、第113教育大隊、第118教育大隊、第５陸曹教育隊を置く。2014年5月1日、第113教育大隊が第７期一般陸曹候補生の訓練参観を実施。７期生295名と父母ら340人が参加した。2015年5月1日、第113教育大隊が第８期一般陸曹候補生父兄464人に訓練参観を実施。2016年6月26日、第19普通科連隊が自衛官候補生課程修了式を実施。2017年6月3日、佐世保自衛隊パレードに参加。2018年3月2日、第113教育大隊が持続走競技会（3km個人走）を実施。団体の部では第322共通教育中隊が優勝した。3月27日、久留米駐屯地に移駐し、第24普通科連隊が第８師団から隷下に入った。4月8日、第24普通科連隊が自衛官候補生137名の入隊式を実施。10月7日、第24普通科連隊長以下103名で第17回霧島登山マラソンを支援した。2019年1月14日、第19普通科連隊が日出生台演習場で福岡地本の即応予備自衛官訓練見学会に協力した。4月6日、第118教育大隊が女性自衛官候補生195名の入隊式を実施。6月、隊員自主募集優秀部隊等褒賞を受賞した。6月6日、第24普通科連隊が霧島演習場で連隊訓練・自衛官候補生教育隊総合訓練を実施。宮崎地本が海軍カレー150食分を提供した。6月29日、第24普通科連隊が自衛官候補生課程104名の修了式を実施。8月28日に発生した佐賀県豪雨災害の災害派遣に参加。2020年2月26-28日、第24普通科連隊が沖縄の中部訓練場で日米射撃競技会に参加。3月24日、第24普通科連隊が宮崎県えびの市で発生した山林火災の災害派遣に参加。4月4-5日、新隊員730名の入隊式を実施。4月5日、第24普通科連隊が第15期一般陸曹候補生課程101名の入隊式を実施。4月21-22日、第24普通科連隊が川内川で連隊漕舟訓練を実施。渡河ボートのトラックへの積載、運搬、卸下、へん水、組み立て、櫓櫂操作、救助活動の一連の訓練を行った。5月15日、第24普通科連隊一般陸曹候補生課程教育隊が第15期一般陸曹候補生課程97名のミニ観閲式（観閲行進、基本教練、自衛隊体操）を行い、えびの駐屯地公式ツイッターで発信した。7月4日に発生した九州豪雨の災害派遣に参加。10月14-15日、第19普通科連隊が福岡駐屯地で連隊統制持続走訓練（19時間耐久駅伝）を実施。12月29-30日、第24普通科連隊が宮崎県小林市の養鶏場で発生した鳥インフルエンザの災害派遣に参加。2021年1月6日、第113教育大隊が訓練始めの綱引き大会を行い、大隊本部が優勝した。3月8日、第８師団第43普通科連隊が行った霧島演習場の野焼きに第24普通科連隊が参加。2022年7月27-28日、隊員自主募集優秀部隊等表彰で２級賞状を授与された。8月20日、第19普通科連隊が福岡駐屯地で令和4年度前期転入家族オリエンテーション（コア部隊特性紹介、装備品展示、装着体験、車両試乗、茶話会）を実施。9月18-22日、第118教育大隊が予備自衛官補の技能公募招集教育訓練を実施。熊本地本が招集した予備自衛官補（技能）６名には最終日に修了証書が授与され、9月23日付で技能公募予備自衛官となった。2023年4月9日、第24普通科連隊が一般陸曹候補生84名の令和5年度一般陸曹候補生課程入隊式を実施。7月10日1400-1800、九州北部の大雨により福岡県久留米市で発生した土石流の災害派遣に参加。8月31日から9月5日、佐賀県唐津市の養豚場で発生した豚熱の災害派遣に参加。参考：朝雲、第８師団ホームページ、西部方面隊ホームページ、月刊世界の艦船11,’19

＜西部方面指揮所訓練支援隊＞：陸上自衛隊の指揮所訓練支援隊。2022年6月2日、令和4年度熊本県自衛官募集会議参加者（市町村職員と募集相談員）の部隊研修に協力し、健軍駐屯地でシミュレーションを活用した大規模災害対処に関する指揮所活動訓練や、災害派遣で使用する装備品の説明を行った。参考：朝雲

＜西部方面システム通信群＞：陸上自衛隊のシステム通信群。2019年3月、西部方面通信群から改編され、健軍駐屯地で新編された。西部方面隊隷下で、第102基地システム通信大隊、第103指揮所通信大隊、第301システム防護隊（方面隊野外情報通信システムのサイバー防衛担当）、第302中枢交換通信中隊などからなる。8月22日、日米共同サイバー戦競技会サイバーサンダーに参加。8月28日に発生した佐賀県豪雨の災害派遣に参加。2021年3月29日、隷下に第301電子戦中隊（隊員80名。健軍駐屯地）が新編された。2023年7月10-17日、レゾリュート・ドラゴン23前段演習に参加。10月14-31日、レゾリュート・ドラゴン23後段訓練に参加。2024年7月18-26日、オリエント・シールド24に参加。7月28日から8月7日、レゾリュート・ドラゴン24演習に参加。参考：月刊JWings6,’19、11,’19、朝雲

＜西部方面情報隊＞：陸上自衛隊の方面情報隊。2010年7月9日、西部方面無人偵察機隊が日出生台演習場で無人偵察機システムの初飛行訓練を行った。2015年9月29日、台風21号の被害を受けた与那国島で、沖縄県知事の災害派遣要請により隊員16名が道路啓開作業などを行った。2016年3月28日、隷下に与那国沿岸監視隊が新編された。4月14日と16日に発生した熊本地震の災害派遣に参加。2023年7月10-17日、レゾリュート・ドラゴン23前段演習に参加。10月14-31日、レゾリュート・ドラゴン23後段訓練に参加。10月29日から11月13日、雷神2023演習に参加。2024年7月28日から8月7日、レゾリュート・ドラゴン24演習に参加。参考：朝雲、月刊航空ファン6,’16

＜西部方面戦車隊＞：陸上自衛隊西部方面隊直轄の戦車隊。第８師団の機動師団化に伴い、第８戦車大隊を第４師団第４戦車大隊と統合したもので、部隊マークは第４戦車大隊から鉄牛の角を引き継ぎ、牛の頭は西を意匠化したものとし、顔の中央に隷下中隊を示す四菱を配した。2018年3月27日に新編され、玖珠駐屯地で隊旗授与式が挙行された。隷下に４個中隊を置き、10式戦車と74式戦車を配備する。平時は第４師団隷下だが、有事は西部方面隊直轄となる。4月11-23日、大分県中津市耶馬溪町で発生した土砂崩れの災害派遣に参加。2019年3月10日、日田ひなまつり健康マラソンの炊事支援を実施。3月26日、平時も第４師団隷下から西部方面隊直轄となり、74式戦車装備の第３・第４中隊を廃止し、配備戦車を全て10式戦車とした。8月17日、日出生台演習場で戦車射撃競技会を実施。2020年6月10-16日、第４師団の第１次訓練検閲に参加。2021年5月10-14日、炊事要員養成のため、炊事訓練を実施。6月10-18日、日出生台演習場で西部方面総監直轄訓練検閲を受閲した。2022年2月17日、用途廃止される74式戦車の最後の２両を輸送するあたり、送別行事を実施。2022年3月24-30日、十文字原・日出生台演習場で対馬警備隊及び西部方面特科連隊と協同射撃訓練を実施。10式戦車の射撃訓練を行った。2023年2月15-16日、日出生台演習場戦車射場で令和4年度戦車射撃競技会を実施。第１・第２戦車中隊隷下の４個小隊から10式戦車計12両が参加し、中隊の部で第２戦車中隊が優勝、最優秀小隊には第２戦車中隊第２小隊が選出された。参考：月刊PANZER6,’18、西部方面隊ホームページ、MAMOR vol.138、朝雲

＜西部方面総監部＞：陸上自衛隊西部方面隊の方面総監部。2012年7月31日、アメリカ第３海兵遠征軍からポール・バートック大尉を初の連絡将校として受け入れた。2013年5月20-21日、九州・沖縄地区防衛協議会を実施。9月3日、韓国合同軍事大学正規課程学生354名の訪問を受けた。2015年5月16-17日、九州西方海域で日米仏共同訓練に参加。2016年1月18日から3月7日、アイアンフィスト16に参加。4月14日と16日に発生した熊本地震の災害派遣に参加。6月30日から8月4日、リムパック2016に参加。2018年8月9-10日、自衛隊ツアーのパワーアドベンチャーを実施し、高校生が新田原基地、えびの駐屯地、鹿屋航空基地を見学した。2019年5月18-20日、鹿児島県屋久島で大雨により孤立した登山者などの救助に係る災害派遣に参加。2020年6月4日、ベルコ社と災害時における施設使用に関する協定を締結した。8月4-6日、若者向け広報のパワーアドベンチャーを実施。DD-157さわぎり見学、佐世保音楽隊演奏鑑賞、水陸機動団AAV7見学、春日基地訓練展示などを行った。2021年4月9日、令和3年度西方オピニオン・リーダー委嘱式を実施。2023年7月10-17日、レゾリュート・ドラゴン23前段演習に参加。10月14-31日、レゾリュート・ドラゴン23後段訓練に参加。2024年7月28日から8月7日、レゾリュート・ドラゴン24演習に参加。参考：朝雲、月刊世界の艦船3,’16、8,’16、月刊航空ファン7,’16、MAMOR vol.151

＜西部方面隊＞：陸上自衛隊の方面隊。九州沖縄地区の防衛が主任務で、担当区域は南北1200km・東西900kmに及び、尖閣諸島を含む2500の離島と対馬を含む200の有人島があり、防衛上重要であるが守り難い地域のため、甲師団と地元出身者（自衛官には九州出身者が多い）を配置して北部方面隊に次ぐ精強さを保っている。1955年12月1日に新編された。1964年3月、西部方面武器隊が新編された。1975年3月、西部方面輸送隊が新編された。1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災の災害派遣に参加。2002年3月、西部方面普通科連隊が編成された。2003年3月、西部方面武器隊が廃止され、西部方面後方支援隊が新編された。2009年2月17-20日、西部方面対空情報戦闘訓練を実施。第２高射特科団などから隊員2300名、車両360両などが参加した。5月27-28日、長崎県佐世保市で平成21年度募集・防災等会議を開催。2011年1月20日から2月3日まで日米共同方面隊指揮所演習に参加。11月10-18日、日出生台演習場や大矢野原・霧島演習場などで平成23年度方面隊実動演習を実施。隊員5400名、車両1500両、航空機30機が参加し、第８師団第42普通科連隊と増援の第１空挺団を基幹とする第42戦闘団による島嶼防衛や、第７師団第11普通科連隊と第４師団第４戦車大隊・第８師団第８戦車大隊による機動攻撃、物資事前集積・輸送、野外病院開設・負傷者治療を含めた訓練を実施した。2012年2月3日、平成23年度西部方面音楽まつり熊本公演を熊本の祟城大学市民ホールで実施。2月7-17日、コブラ・ゴールド12に参加。8月22日、西日本高速道路株式会社（NEXCO西日本）と災害発生時の相互協力及び円滑な連携を目的とする実施協定を締結。11月2-22日、日出生台演習場、十文字原演習場、目達原駐屯地、健軍駐屯地、空自春日基地などで方面隊実動演習を実施。第４師団、第８師団、第12旅団、中央即応集団などから隊員5400名、車両1500両、航空機30機が参加し、警戒監視、防御、基地警備、兵站施設開設運営などの訓練を実施した。11月5-16日、キーン・ソード13に参加。2014年3月28日、KDDI九州総支社及び沖縄セルラー電話と災害発生時における通信確保のための相互協力に関する協定を締結。5月10-27日、平成26年度自衛隊統合訓練（実動訓練）に参加。6月10日、健軍駐屯地で第１回水陸両用セミナーを実施。西部方面隊主要部隊指揮官、最先任上級曹長、統幕、陸幕、各学校、研究機関、自衛艦隊、航空総隊、第３海兵遠征軍司令官、在日米陸軍第１軍団前方司令官、太平洋海兵隊副司令官、第７艦隊揚陸部隊司令官など200名が参加し、水陸両用部隊の運用や訓練成果の発表、ブリーフィングなどを行った。2015年8月18日から9月9日、ドーン・ブリッツ2015に参加。9月26日から10月12日、PHIBLEX2015にオブザーバー参加した。10月19日から11月19日、鎮西27演習に参加。10月23日から11月13日、平成27年度自衛隊統合演習に参加。12月1-13日、ヤマサクラ69に参加。2016年1月19日から2月19日、コブラ・ゴールド16に参加。3月5日、熊本市民会館で西部方面音楽まつりを実施。第15旅団音楽隊、第８師団第８音楽隊、西部方面音楽隊、第４師団音楽隊、アメリカ第３海兵遠征軍音楽隊が参加した。6月12-22日、ヤマサクラ70に参加。6月18-19日、第３海兵遠征軍音楽隊と第８師団第８音楽隊による演奏会を熊本県南阿蘇村と益城町で実施。7月25-26日、三自衛隊統一募集広報パワー・アドベンチャーを実施。新田原基地見学、第８特科連隊訓練展示、護衛艦DE-234とね体験航海を行った。9月3日、八重山諸島南西沖地震を想定した平成28年度離島統合防災訓練に参加。10月4-12日、PHIBLEX2016に研修要員を派遣。10月10日から11月11日、鎮西28演習に参加。10月13-15日、平成28年度国内における統合訓練に参加。11月30日から12月13日、ヤマサクラ71に参加。2017年3月27日、西部方面普通科連隊教育隊が廃止され、水陸機動教育隊が新編された。3月28日、マルエーフェリー、マリックスライン、鹿児島荷役海陸運輸、琉球海運と、災害発生時における輸送協力に関する覚書を締結した。5月3-22日、アメリカ、イギリス、フランス、自衛隊の共同訓練に参加。5月22日、LST-4001おおすみ、LCAC-2102エアクッション艇２号と共に、鹿児島県種子島西之表市浦田海水浴場でビーチング訓練に参加。8月2-8日、相浦駐屯地でイギリス海軍・海兵隊教官による水陸両用作戦教育に20名で参加。9月2日、沖縄県と周辺海空域で沖縄本島北西沖地震を想定した平成29年度離島統合防災訓練に参加。10月23日から11月22日、鎮西29演習に参加。2018年3月27日、西部方面戦車隊が新編された。5月22日、九州地方知事会（福岡、佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄、山口）と相互協力に関する協定を締結した。7月6日に発生した西日本豪雨の災害派遣に参加。10月22日から11月24日、平成30年度方面隊実動演習に参加。12月11-14日、平成30年度在外邦人等保護措置訓練（国内）に参加。2019年3月、西部方面通信群が西部方面システム通信群に改編された。6月11日、西日本豪雨災害派遣の功績で、住田陸上総隊司令官から３級賞状が伝達された。7月17-30日、ヤマサクラ76に参加。7月21-22日、統一募集広報パワーアドベンチャーを実施。門司港での護衛艦艦内見学、築城基地見学、小倉駐屯地での軽装甲機動車試乗などを行った。9月1日、令和元年度離島統合防災訓練に参加。9月29日から10月6日、令和元年度統合展開・行動訓練に参加。10月21日から11月22日、鎮西演習を実施。11月12-15日、西部方面総監以下７名（内局国際政策課、統幕、陸幕、九州地区三自衛隊司令部要員）が日中防衛交流の一環として中国を訪問し、12日は南京で東部戦区司令官と会談、13日は杭州で空軍基地を視察、14日は上海で海軍基地を視察、15日は北京で中央軍事委員会連合参謀部副参謀長と懇談した。2020年2月24-28日、令和元年度日米共同統合防空・ミサイル防衛訓練に参加。4月22-24日、医官らがコスタ・アトランチカ船員の新型コロナウイルスPCR用検体採取支援を実施。4月26日から5月10日、医官ら延べ60名がコスタ・アトランチカ船員延べ20人に船外医療活動を実施。5月2-14日、コスタ・アトランチカの新型コロナウイルス診療支援のため、隊員を現地に派遣した。8月22-31日、沖縄県知事から新型コロナウイルス市中感染拡大防止に係る災害派遣要請があり、看護官ら10名が沖縄県内医療機関で医療支援を行った。11月17日、九州電力と協力して災害時に於ける孤立地域への電力供給を想定した高圧電源車空輸訓練を実施。12月2-15日、ヤマサクラ79に参加。

2021年2月12-13日、日米共同統合防災訓練TREXに参加。2月22-26日、令和2年度日米共同統合防空・ミサイル防衛訓練に参加。11月2日、令和3年度離島統合防災訓練に参加。2022年2月21-25日、令和3年度日米共同統合防空・ミサイル防衛訓練に参加。6月29日から8月4日、第５地対艦ミサイル連隊がリムパック2022に参加。11月28日から12月13日、ヤマサクラ83に参加。2023年2月16日から3月12日、アイアンフィスト23に参加。2月17日と20-22日、令和4年度日米共同統合防空・ミサイル防衛訓練に参加。3月23-26日、日米共同訓練に参加。DDH-182いせ、CVN-68ニミッツ、DDG-73ディケイター、DDG-108ウエイン・Ｅ・メイヤーと、太平洋から東シナ海で各種戦術訓練（対潜戦、対空戦、対水上戦）、PHOTOEXなどを行った。2024年2月16日と19-22日、令和5年度日米共同統合防空・ミサイル防衛訓練に参加。2月25日から3月17日、アイアン・フィスト24に参加。

参考：月刊軍事研究10,’10、2,’12、4,’17、兵器最先端５、月刊世界の艦船4,’12、1,’13、7,’14、1,'16、4,'16、1,’17、7,’17、8,’17、11,’19、1,’22、5,'22、陸上自衛隊地上戦力の全容、朝雲、ストライク・アンド・タクティカルマガジン3,’12、月刊JWings10,’15、11,’16、6,’19、5,’20、5,'21、10,'22、5,'23、日本の防衛戦力Part1、MAMOR vol.129、vol.140、vol.166、月刊世界の艦船9,'22、西部方面隊ホームページ

　＜西部方面隊（１９７７年）＞：総監部は熊本にある。第４師団、第８師団、第１混成団、第２高射特科団、第３特科群、第５施設団、第３教育団、西部方面通信群、西部方面航空隊、九州地区補給処、福岡地区病院、熊本地区病院、別府地区病院などを隷下に置く。参考：日本の防衛戦力Part1

　＜西部方面隊（１９８０年）＞：総監部は健軍駐屯地にある。隷下に第４師団、第８師団、第１混成団、第２高射特科団、第３特科群、第５施設団、第３教育団、九州地区補給処、福岡地区病院、熊本地区病院、別府地区病院などを置く。参考：自衛隊装備カタログ1981

＜西部方面隊（１９８０年代後半）＞：総監部は健軍駐屯地にあり、九州・沖縄の防衛を担当する。第４師団、第８師団、第１混成団、第２高射特科団、第３特科群、第５施設団、第３教育団を基幹とする。参考：兵器最先端５、日本の戦力、月刊軍事研究3,’10、陸上自衛隊地上戦力の全容

＜西部方面隊（２００７年度）＞：第４師団、第８師団、第１混成団、第２高射特科団、第５施設団、第３教育団、西部方面航空隊、九州補給処などを隷下に置く。参考：月刊JWings6,’07

＜西部方面隊（２００９年度）＞：西部方面総監部／総監部付隊、西部方面航空隊、第４師団、第８師団、第１混成団（2010年3月から第15旅団）、西部方面特科隊、第２高射特科団、第５施設団、第３教育団、西部方面普通科連隊、西部方面後方支援隊、西部方面通信群、西部方面衛生隊、西部方面会計隊、西部方面指揮所訓練支援隊、西部方面情報隊、西部方面音楽隊、九州補給処、自衛隊福岡病院、自衛隊熊本病院、自衛隊別府病院、各駐屯地業務隊、各地方協力本部を隷下に置く。参考：月刊軍事研究10,’10、3,’10、月刊航空ファン4,’10

＜西部方面隊（２０１５年）＞：西部方面総監部、西部方面総監部付隊、第４師団、第８師団、第15旅団、西部方面普通科連隊、西部方面混成団、西部方面航空隊、西部方面後方支援隊、西部方面通信群、西部方面情報隊、西部方面指揮所訓練支援隊、西部方面衛生隊、西部方面会計隊、西部方面音楽隊、第２高射特科団、第５施設団、九州補給処、自衛隊福岡病院、自衛隊熊本病院、自衛隊別府病院、各駐屯地業務隊を隷下に置く。参考：陸上自衛隊パーフェクトガイド2015

＜西部方面隊（２０２０年）＞：西部方面総監部／総監部付隊、第４師団、第８師団、第15旅団、西部方面航空隊、第２高射特科団、第５施設団、西部方面混成団などを隷下に置く。参考：月刊JWings6,’20

＜西部方面対舟艇対戦車隊＞：陸上自衛隊の対舟艇対戦車隊。名称に反して西部方面隊ではなく第８師団（2015年3月25日まで第４師団）の隷下にある。2013年6月4日、玖珠町で大分県・玖珠郡防災訓練に参加。2015年3月25日、玖珠駐屯地で第４師団による編成解組式に参加。3月26日、第４師団から第８師団の隷下に移った。参考：陸上自衛隊パーフェクトガイド2015、朝雲

＜西部方面通信群＞：陸上自衛隊の方面通信群で、西部方面隊の隷下にある。2009年3月26日、新方面隊電子交換システムを運用する部隊として、隷下に第103指揮所通信大隊と第302中枢交換通信中隊が新編された。2011年3月11日に発生した東日本大震災の災害派遣に参加。2014年4月、群本部中隊映像写真小隊地上伝送班別府地上組を新編し、別府駐屯地に置いた。2016年4月14日と16日に発生した熊本地震の災害派遣に参加。2017年7月5日に発生した九州北部豪雨の災害派遣に参加。2019年3月、西部方面システム通信群に改編された。参考：MAMOR vol.52、朝雲、別府駐屯地ホームページ、月刊JWings6,’19

＜西部方面特科隊＞：陸上自衛隊の方面特科隊で、西部方面隊の隷下にある。2003年、湯布院駐屯地で新編された。2009年1月7日、平成21年訓練始めとなる徒歩行進訓練を実施。2011年3月11日に発生した東日本大震災の災害派遣に参加。2012年4月8日、湯布院駐屯地で自衛官候補生24名の入隊式を実施。7月12日から平成24年7月九州北部豪雨の災害派遣に参加。2015年10月19日から11月19日まで、鎮西27に参加。2016年4月14日と16日に発生した熊本地震の災害派遣に参加。2017年1月30日から3月10日、アイアン・フィスト17に参加。7月5日に発生した九州北部豪雨の災害派遣に参加。11月6-24日、平成29年度自衛隊統合実動演習に参加。2018年3月26日、第112特科大隊が廃止され、要員は水陸機動団特科大隊に移った。2019年8月26日から9月23日、オリエント・シールド19に参加。10月11-15日、予備自衛官５日間招集訓練を実施。2022年3月16日に発生した大分県竹田市の山火事消火の災害派遣に参加。7月18日、佐伯基地分遣隊が実施したサマーフェスタinさいき2022に参加し、音楽部が演奏を行った。2023年3月16日、第303地対艦ミサイル中隊が石垣駐屯地に配備された。7月10-17日、レゾリュート・ドラゴン23前段演習に参加。10月14-31日、レゾリュート・ドラゴン23後段訓練に参加。参考：MAMOR vol.52、vol.114、月刊JWings2,’18、6,'23、朝雲、湯布院駐屯地ホームページ、月刊PANZER6,’18

＜西部方面特科隊（２０１０年）＞：西部方面隊隷下で、湯布院駐屯地に置かれている。隊本部／本部中隊、第302観測中隊、第５地対艦ミサイル連隊、第112特科大隊（M110A2）、第132特科大隊（MLRS）からなる。参考：月刊軍事研究10,’10

＜西部方面特科連隊＞：陸上自衛隊の特科連隊。2018年3月27日、第８特科連隊から改編されて北熊本駐屯地で新編され、第８師団の隷下に入った。3月31日、北熊本駐屯地で隊旗授与式を実施。4月7日、天草桜まつりを支援し、82式指揮通信車を展示、熊本西特連太鼓の演舞を披露した。2019年8月28日から佐賀県大雨の災害派遣に参加。2020年6月4-5日、第１大隊が熊本県八代市で山地機動訓練と漕舟訓練を実施。6月10-16日、第４師団の第１次訓練検閲に参加。7月4日に発生した九州南部豪雨の災害派遣に参加。12月29-30日、宮崎県小林市の養鶏場で発生した鳥インフルエンザの災害派遣に参加。2021年3月8日、第８師団第43普通科連隊が行った霧島演習場の野焼きに参加。8月13日に発生した九州豪雨の災害派遣に参加。2022年3月24-30日、十文字原・日出生台演習場で対馬警備隊及び西部方面戦車隊と協同射撃訓練を実施。155mm榴弾砲FH70の大隊射撃訓練を行った。4月26日、黒石原演習場で令和4年度連隊武装走競技会を実施。連隊本部・大隊本部、本部管理中隊、射撃中隊に分けて隊員計223名が参加し、連隊旗・大隊旗・中隊旗をタスキ代わりにリレーする組断郊走駅伝方式で行われ、それぞれ第３大隊本部、第１大隊本部管理中隊、第１大隊第１中隊が優勝した。2023年3月12-18日、日出生台演習場で第４師団総合戦闘射撃に参加。5月27-28日、エコパーク水俣で行われたみなまた港フェスティバル第68回恋龍祭を支援し、155mm榴弾砲FH-70を展示した。7月10日2230、佐賀県唐津市で土石流が発生したため、佐賀県知事から第４師団長に災害派遣要請が出された。7月11日早朝から西部方面特科連隊第４大隊基幹の250名が捜索活動を行い、7月14日1350に撤収要請を受け活動を終了している。8月5日、みなまた防災体験フェスで装備品を展示した。8月31日から9月5日、第４大隊が佐賀県唐津市の養豚場で発生した豚熱の災害派遣に参加。参考：第８師団ホームページ、MAMOR vol.154、朝雲

＜西部方面武器隊＞：陸上自衛隊の方面武器隊。1964年3月、目達原駐屯地で西部方面隊隷下に新編された。1994年3月、第104不発弾処理隊が新編された。2003年3月27日、西部方面後方支援隊に統合されて廃止された。参考：目達原駐屯地ホームページ、西部方面後方支援隊ホームページ

＜西部方面普通科連隊＞：陸上自衛隊の水陸両用戦部隊で、西普連またはWAiR（Western Army infantry Regiment）と略す。西部方面隊直属の南西方面離島防衛部隊として新編された。南北1600km・東西1200kmに点在する約2500の島を防衛するため、機動力の高い部隊となっている。沖縄、宮古島、石垣島に配備する案は政治的に見送られたようである。連隊本部／本部管理中隊と３個普通科中隊からなり、本部管理中隊は中隊本部班、情報小隊、重迫撃砲小隊（120mm迫撃砲RT）、施設作業小隊、通信小隊、衛生小隊、補給小隊、各普通科中隊（定員200名）は中隊本部班、小銃小隊３個（うち１個がレンジャー小隊）、対戦車小隊、迫撃砲小隊という編成である。隊員数は定員700名・実数680名で、70%がレンジャー訓練受講済み。装備は9mm機関拳銃、89式小銃、MINIMI、対人狙撃銃、84mm無反動砲、81mm迫撃砲、120mm迫撃砲RT、中距離多目的誘導弾、野外無線機、高機動車、トラック、戦闘強襲偵察用舟艇CRRCで、ヘリまたは輸送艦艇により島嶼に急行するが、輸送艦は佐世保にあるもののヘリが近場に無いのが欠点。全体で９個小隊しかないので、占領軍に対する正面戦闘は考えられておらず、隠密偵察、警戒監視、増援阻止、襲撃・伏撃、小規模武装集団の掃討などを主任務とし、正面戦闘部隊の上陸作戦を補助する。配属された隊員は本連隊での水陸両用基本訓練課程教育が必須となっており、その後必要に応じて洋上潜入課程、艇長課程、潜水課程などの教育を受ける。2002年3月1日、相浦駐屯地で新編された。当時は尖閣諸島や南沙諸島への中国の脅威もさほどでなく、水陸両用戦も手探り状態で、戦闘強襲偵察用舟艇といった専用装備品も配備されておらず、全て部隊と隊員が自力で賄う状態だった。2005年、アメリカ海兵隊との共同訓練アイアンフィストを開始。2006年1月に125名がアメリカ海軍コロナド基地で海兵隊との共同訓練を実施した。2009年1月15日から2月19日、カリフォルニア州キャンプ・ペンドルトンで平成20年度派米訓練を実施。連隊本部と１個普通科中隊を基幹とする222名、89式小銃、MINIMI、対人狙撃銃、87式対戦車誘導弾、120mm迫撃砲RT、73式小型トラック、高機動車、重迫牽引車などが参加した。2010年1月19日から2月25日、第８師団第12普通科連隊と共に、アメリカ海兵隊との共同実動訓練を行った。2011年2月8日から3月3日、カリフォルニアでアメリカ海兵隊との共同訓練を実施。島嶼防衛戦術戦闘能力向上を図るため、水路潜入や海兵隊との連携要領を訓練した。2012年1月16日から2月23日、カリフォルニア州キャンプ・ペンドルトンなどで島嶼防衛などを目的としたアメリカ海兵隊との平成23年度実動訓練アイアンフィストに参加。7月23-24日、相浦駐屯地とその沿岸で総合戦技競技会を実施。47個分隊が完全武装で50m泳いだ後、ボートを2km漕ぎ、上陸して300m走り、丸太ボートを2km運搬する競技に挑み、第１中隊第１小隊第３分隊が優勝した。8月、グアムとテニアンでアメリカ第31海兵遠征隊との上陸訓練を実施。2012年12月17日から2013年3月28日、在沖縄第３海兵遠征軍に隊員18名を派遣し、水陸両用訓練研修を行った。2013年1月15日から2月22日、アイアンフィスト13に参加。6月10-26日、ドーン・ブリッツ2013に参加。2014年1月7日、相浦駐屯地で高負荷訓練を実施。重さ150kgのゴムボートを６名で担ぎ上げて1km走り、更にこれと同じ重さ・大きさの組丸太（注連飾り付き）を担いで1km走った。3月26日、島嶼防衛に必要な水路戦技を教育する西部方面普通科連隊教育隊の編成完結式を相浦駐屯地で実施。4月7日、レンジャー訓練を開始。5月10-27日、平成26年度自衛隊統合演習（実動訓練）に参加。6月5日、レンジャー帰還式を実施。15名にレンジャー徽章が授与された。2015年1月19日から3月7日、アイアンフィスト15に参加。7月7-21日、タリスマン・セイバー2015に参加。10月19日から11月19日、鎮西27演習に参加。2016年1月18日から3月7日、アイアンフィスト16に参加。1月24-25日の九州・中国地方寒波に対する災害派遣に参加。4月14日と16日に発生した熊本地震の災害派遣に参加。6月30日から8月4日、リムパック2016に参加。10月10日から11月11日、鎮西28演習に参加。2017年1月30日から3月10日、アイアンフィスト17に参加。3月27日、西部方面普通科連隊教育隊が廃止された。6月3日、佐世保自衛隊パレードに参加。10月7日から11月4日、ドーン・ブリッツ2017に参加。11月6-24日、平成29年度自衛隊統合実動演習に参加。2018年1月8日から2月18日、アイアンフィスト18に参加。3月27日、陸上総隊水陸機動団第１水陸機動連隊に改編された。参考：月刊軍事研究5,’15、3,’07、10,’10、4,’12、12,’12、5,’15、4,’18、JGround VOL.4、スピアヘッドNo.17、朝雲、月刊世界の艦船12,’14、8,’13、3,'16、8,’16、12,’17、MAMOR vol.91、月刊JWings2,’18

＜西部方面普通科連隊教育隊＞：陸上自衛隊の部隊で、水戦教と略す。教官は赤のＴシャツや帽子、学生は黄色のＴシャツや帽子を着用するので、赤鬼とヒヨコに例えられているらしい。2014年3月26日、西部方面普通科連隊隷下に相浦駐屯地で新編された。2017年3月27日に廃止された。参考：月刊世界の艦船10,’15、朝雲

＜西部方面ヘリコプター隊＞：陸上自衛隊の方面ヘリコプター隊。1968年3月、西部方面航空隊隷下に目達原駐屯地で新編された。1978年3月、高遊原分屯地にKV-107装備の第３飛行隊が新編された。1981年3月3日、第１飛行隊のUH-1H多用途ヘリが、飯塚駐屯地での体験飛行終了後に天候不良で冷水峠の砥上岳に激突して炎上し、隊員４名が死亡した。1994年3月、OH-6観測ヘリ４機とOH-1観測ヘリ３機が増強された。2000年3月28日、第３飛行隊がCH-47JA輸送ヘリに機種改変した。2010年5月17日、熊本県人吉市で発生した山火事の災害派遣に参加し、CH-47JA輸送ヘリ１機が30トンを放水した。6月20日、沖縄県での訓練に参加するため1250に高遊原分屯地を出発した第３飛行隊CH-47JA輸送ヘリが、天候不良で引き返すとの連絡を行った後、1330頃に鹿児島県出水市沖の八代海に不時着水した。乗員４名のうち３名が腰や大腿骨を骨折する重傷、１名が軽傷を負ったが、自力で離水し、1400頃に帰投している。機体からはアンテナ１本と外板数枚が脱落した。原因は、本来なら高度を保ったまま引き返すか計器飛行に切り換えるべきところを、機長が視界を確保しようと高度150mから更に降下をかけたためで、雲・靄・降水で視程不良のまま空間識失調に陥ってしまい、着水してはじめて高度ゼロであることに気が付いたという。9月30日、第１飛行隊が30年間航空無事故飛行（１機あたり7482時間以上）を達成し、陸幕長から第２級賞状が授与された。10月21日、鹿児島県知事から奄美大島豪雨に対する災害派遣要請を受け、午後にUH-60JA多用途ヘリ１機とCH-47JA輸送ヘリ１機で駐屯地から奄美市内ヘリポートに物資・人員・車両の輸送を行った。2011年1月24-26日、兵庫県高砂市阿弥陀町の鷹巣山で起きた山林火災の災害派遣に参加。3月11日に発生した東日本大震災の災害派遣に参加。3月21日、1730、気仙沼市海上中学校に支援物資を空輸。6月5日、第３飛行隊が平成23年度福岡県総合防災訓練に参加。2012年1月29日、長崎空港で実施された国民保護訓練にCH-47JA輸送ヘリで参加。2013年6月10-26日、ドーン・ブリッツ2013にCH-47JA輸送ヘリ２機で参加。2015年6月5日に九重町、6月7日に日田市で行われた大分県西部地区総合防災訓練に参加。9月12日、天草駐在員事務所による募集対象者、募集協力者、インターネット公募者ら16人に対するCH-47JA輸送ヘリ体験搭乗に協力した。2016年4月14日と16日に発生した熊本地震の災害派遣に参加。5月21日、新田原基地で宮崎地本によるCH-47JA輸送ヘリ体験搭乗に協力した。2017年9月2日、沖縄周辺海域で平成29年度離島統合防災訓練に参加。10月23日から11月22日、鎮西29演習に参加。11月6-24日、平成29年度自衛隊統合実動演習に参加。2018年4月11日、宮崎県東臼杵郡未郷町で発生した山林火災の災害派遣に参加。5月27日、第８師団第12普通科連隊と共に指宿市で鹿児島県総合防災訓練に参加。7月3日、台風７号の影響で停電が発生したため、7月4日0840に長崎県知事から第４師団長に災害派遣要請が出され、0850に第３飛行隊CH-47JA輸送ヘリ２機が高遊原分屯地を離陸して人員と資機材を輸送し、1047に撤収要請が出された。2019年5月26日、雲仙市多比良港埋立地で行われた長崎県総合防災訓練に第３飛行隊CH-47JA輸送ヘリ１機が参加。8月28日から佐賀県大雨の災害派遣に参加。10月26日、大分地本が日本文理大学学園祭で行った広報活動に協力し、UH-1J多用途ヘリを展示した。2020年3月24日に発生したえびの市山林火災の災害派遣に参加。7月4日に発生した九州南部豪雨の災害派遣に参加。2021年11月13日、第３飛行隊が若者や募集協力者など51人に飯塚駐屯地でCH-47JA輸送ヘリによる体験搭乗を実施。2022年4月30日、UH-60JA多用途ヘリがDD-105いなづまへの発着艦訓練を実施。参考：西部方面ヘリコプター隊ホームページ、目達原駐屯地ホームページ、MAMOR vol.52、vol.154、月刊航空ファン6,’11、7,’16、月刊JWings4,’12、8,’11、9,’10、11,’17、2,’18、7,’18、9,’18、9,’19、6,’20、スピアヘッドNo.17、月刊世界の艦船8,'22、朝雲

＜西部方面ヘリコプター隊（２００９年度）＞：西部方面航空隊隷下で、目達原駐屯地に置かれている。本部付隊（OH-6D観測ヘリ）、第１・第２飛行隊（UH-1H多用途ヘリ、UH-1J多用途ヘリ、UH-60JA多用途ヘリ）、第３飛行隊（高遊原分屯地。CH-47J輸送ヘリ、CH-47JA輸送ヘリ）からなる。参考：月刊航空ファン4,’10

＜西部方面ヘリコプター隊（２０２０年）＞：西部方面航空隊隷下で、目達原駐屯地に置かれている。本部付隊（OH-1観測ヘリ）、第１飛行隊（UH-60JA多用途ヘリ）、第２飛行隊（UH-1J多用途ヘリ）、第３飛行隊（高遊原分屯地。CH-47J/JA輸送ヘリ）を隷下に置く。参考：月刊JWings6,’20

＜西部方面輸送隊＞：陸上自衛隊の方面輸送隊。1975年3月、目達原駐屯地で新編された。1980年3月、健軍駐屯地に移駐した。2003年3月27日、西部方面後方支援隊の隷下に入った。2010年3月26日、第103輸送業務隊が那覇駐屯地で新編された。2019年9月9日に上陸した台風15号被害の災害派遣に参加。2020年7月4日に発生した九州南部豪雨の災害派遣に参加。参考：目達原駐屯地ホームページ、西部方面後方支援隊ホームページ、MAMOR vol.155

　＜西部方面輸送隊（２０１５年）＞：西部方面後方支援隊隷下で、健軍駐屯地に置かれている。隊本部／本部付隊、第103輸送業務隊、第307輸送中隊、第304輸送隊からなる。参考：西部方面後方支援隊ホームページ

＜セイブル＞：IX-81（練習空母）を参照。

＜セイブル級＞：アメリカ海軍練習空母Sable級。元は５大湖で使用されていた外輪船グレーター・バッファローで、ウォルバリン級と同様の改造を施された。飛行甲板は鋼製で、着艦制動索を持ち、マスト上にはYEホーミング・ビーコンを装備する。シカゴの海軍桟橋を基地として５大湖で訓練にあたった。全長163.1m、幅17.7m、吃水4.7m、排水量8000トン。主機はレシプロ、推進は外輪、出力12000馬力、速力18ノット。IX-81セイブルが1942年に就役した。参考：第２次大戦のアメリカ軍艦、月刊丸8,’95

＜セイブルフィッシュ＞：SS-303（潜水艦）を参照。

＜生兵＞：日本陸軍に徴兵され新兵教育を受けていて、まだ階級が付いていない兵士のこと。参考：朝雲

＜西方艦隊（ドイツ海軍、１９３９年）＞：総旗艦は砲艦ガゼルで、ポケット戦艦部隊の旗艦は掃海艇母艦ヤグト。ポケット戦艦アドミラル・シェーア、戦艦シャルンホルスト、グナイゼナウ、重巡アドミラル・ヒッパー、軽巡ニュルンベルク、ライプチヒ、ケーニヒスベルク、エムデン、ケルン、第２駆逐隊（Z5、Z6、Z7、Z10、Z20、Z21）、第４駆逐隊（Z12、Z17、Z18、Z19）、第５水雷艇隊、第６水雷艇隊、魚雷艇母艦チンタウ、第２魚雷艇隊、特設敷設艦タンネンベルク、コブラ、ローラント、イルベンからなる。参考：グラフィックアクション44

＜西方電撃戦＞：黄作戦を参照。

＜西北軍区＞：中国軍の大軍区（一級軍区）。陜西省、甘粛省、寧夏回族自治区、山西省、内蒙古自治区の一部を担当する。1949年2月1日、陝甘寧晋綏連防軍区から改称されて創設された。11月30日、第１野戦軍と統合された。1955年の改編で廃止された。参考：月刊航空ファン5,’16

＜精密器材運搬車＞：自衛隊の車両。日産自動車製。参考：月刊軍事研究7,’15

＜精密器材運搬車（ＳＵＶ）＞：自衛隊の車両。三菱自動車工業製。参考：月刊軍事研究7,’15

＜精密器材及び人員運搬車＞：自衛隊の車両。トヨタ製。参考：月刊軍事研究2,’13

＜精密軽量ＧＰＳ＞：PLGRを参照。

＜精密攻撃航法／目標照準ポッド＞：スナイパーXR海外シリーズを参照。

＜精密攻撃ミサイル＞：PAMまたはPrSMを参照。

＜精密出力計測システム＞：PPMSを参照。

＜精密進入経路指示灯＞：PAPIと略す。計器着陸装置ILSを有する空港の接地帯付近の滑走路脇にある灯火で、白と赤の２色灯が４つ、横１列に並んでいる。内側は公称進入角から0.5度高くなっており、外側にいくと0.33度ずつ低くなる。正しい進入角でアプローチすると、外側２個が白、内側２個が赤に見える。進入角が高すぎると白、低すぎると赤が増える。参考：飛行機のしくみ、月刊JWings3,’16

＜精密進入着艦装置＞：アメリカ海軍の空母用電波着艦誘導装置、略称PALS（Precision Approach Landing System）。AN/SPN-46(V)で精密測定した着艦機の三次元位置に飛行甲板の動揺などによる補正を加え、着艦機を全自動（モード�T、モード�TＡ）／半自動（モード�U）／手動（モード�V）で着艦点に導くものである。全自動では艦側コンピュータが着艦機の高度と滑空角（グライド・スロープ）、着艦機側コンピュータがエンジン推力を自動制御する。半自動では着艦点へのコースや速度などをディスプレイに表示し、パイロットがそれに合わせて着艦機を操縦する。手動では艦上の管制官が音声でコースや速度などの修正情報を伝え、パイロットがそれに合わせて操縦する。ニミッツ級空母に搭載された。参考：月刊軍事研究4,’16、月刊世界の艦船2,’16

＜精密進入レーダー＞：精測進入レーダーともいう。略称PAR（Precision Approach Radar）。空港に設置される精密進入用レーダーで、最終進入経路沿いに滑走路から10海里・左右20度・上下７度の空域内において、着陸進入する航空機を捉えて地上管制官のモニターにある円形スコープ上に水平方向と垂直方向に分けて位置を表示する。地上管制官はモニターを見て最適進入コースとのずれを判断し、針路・降下率修正や距離情報などを航空機へと超短波音声無線で伝える着陸誘導管制を行う。誘導限界は決心高までで、航空機が誘導限界を通過した後は、滑走路進入端に達するまでのレーダー監視のみに使用される。参考：航空用語事典増補改訂版、月刊JWings3,’16

＜精密測距機＞：自衛隊の機器。トプコンソキアポジショニングジャパン製。参考：月刊軍事研究4,’17

＜精密直流電圧基準機＞：自衛隊の機器。TFF製。参考：月刊軍事研究9,’14

＜精密電波測定機＞：自衛隊の機器。加賀ソルネット製。参考：月刊軍事研究2,’13

＜精密電波測定機�U型＞：自衛隊の機器。日本電計製。参考：月刊軍事研究9,’15

＜精密爆撃＞：軍施設や軍需工場などの重要施設を目標とし、事前に航空写真など綿密な偵察を行い、昼間に比較的低空から通常爆弾を集中投下して爆撃を行うこと。ピンポイント攻撃と違い、無誘導爆弾を大量投下して命中率を補う方式なので、精密といえども失敗は多く、天候（風や雲）にも左右される。このため太平洋戦争ではエリア・ボミングに切り替えられ、多数の民間人死者を出す結果となった。参考：歴史群像2,’05

＜精密誘導射程延伸野戦砲弾＞：エクスカリバーを参照。

＜精密誘導信管キット＞：M1156（信管）を参照。

＜精密誘導兵器＞：PGMを参照。

＜姓名申告＞：海軍兵学校の非公式入校儀式。在校生が新入生に対して係と姓名、新入生が在校生に対して出身校と姓名を自己紹介しあうものである。新入生の自己紹介の際には在校生が声が小さい、聞こえんと足を踏みならして怒鳴るので、何回もやり直さなければならない。参考：陸海軍学校と教育

＜セイモア＞：K563（フリゲート）を参照。

＜セイモア・Ｄ・オーエンス＞：DD-767（駆逐艦）を参照。

＜正陽＞：DDG928（駆逐艦）を参照。

＜清洋丸＞：日本海軍特設運送船（油槽艦）。昭和19年6月15日、あ号作戦に参加するため、第１機動艦隊第１補給部隊の一員としてフィリピンのビサヤ諸島ネグロス島ギマラス泊地を出撃。同日、駆逐艦白露と衝突し、白露が沈没した。6月20日、アメリカ機動部隊艦上機の攻撃で大破し、雪風に処分された。参考：月刊世界の艦船4,’19

＜晴嵐シリーズ＞：日本海軍特殊攻撃機。潜特型潜水艦（伊400型）に搭載される水上攻撃機で、昭和16年度に計画され、当初は彗星艦爆（十三試艦爆として試験中）を流用する案が出されたが、専用機を開発した方が良いということで昭和17年度に要求が纏まり、十七試特殊攻撃機の計画名称が付いた。アメリカ本土近くでの通商破壊作戦及び遠距離哨戒に使用する予定だったが、途中でパナマ運河を爆撃するという壮大な計画に切り替わって愛知航空機で開発が進められた。参考：丸エキストラ版No.71、月刊丸3,'18別冊

＜晴嵐＞：略符号M6A1。開発当初は南山と呼ばれており、フロート投棄時の飛行性能を確認するためフロートの代わりに手動式引き込み脚を付けた陸上試験機に晴嵐の名称が与えられていたが、開発中（昭和19年前半？）に水上機型の南山が晴嵐に、陸上試験機の晴嵐が晴嵐改に改称された。潜水艦から発進するため、暖機運転の要らない液冷の熱田エンジンを採用。攻撃機なので攻撃手段は水平爆撃または雷撃であり、機体強度もそれに合わせて設計された。コクピットはタンデム複座。防御兵装は二式十三粍旋回機銃で、十分な仰角を確保できるよう、座席ごと俯仰するようにした。発艦はカタパルトで行い、揚力を確保するためダブル・スロッテッド・フラップを採用している。主翼下にフロートを付けられるが、800kg爆弾を搭載する時はカタパルト射出重量制限の関係からフロート無しで出撃、帰還時は海上に不時着水して乗員だけ引き上げることになっていた。フロートを投棄する場合には、垂直尾翼の折り畳み部分から上も同時に投棄され、横安定性を保つ。250kg爆弾を搭載するなら機体も回収できるので、潜水艦に収納してある予備爆弾を積んで再出撃できる。潜水艦に収容する際は、主翼取り付け金具を１本抜いて主翼を下に90度回転させて後方に（外部油圧を使う）、水平尾翼を胴体中心線から0.9mのところで下に90度（手動）、垂直尾翼上部0.21mのところを右に118度折り畳んで（手動）、幅2.3m・高さ2.9mとする。要所には夜光塗料が塗られており、夜間でも折り畳みや展開が可能。主翼展開に57秒、折り畳みに５分35秒（止めピン抜き25秒＋折り畳み５分10秒）、尾翼展開に１分２秒、折り畳みに２分20秒、フロートの取り付けには10名で45秒、取り外しには10名で20秒かかる。全長10.64m、全幅12.262m、全高4.58m、自重3362kg、正規全備重量4250kg、過荷時総重量4900kg。翼面荷重１平方メートルあたり158kg。エンジンは熱田三二型倒立Ｖ型12気筒液冷ガソリン（離昇出力1400馬力）、プロペラは３翅定速直径3.2m、巡航速度296km、最大速度474km（フロートあり）／559km（フロート無し、高度5200m）、実用上昇限度9900m、上昇力5000mまで８分９秒、燃料容量962リットル、航続距離642海里（攻撃・160ノット）／1100海里（偵察）。防御武装は後席の13mm旋回機銃１丁。胴体下面（前席の真下あたり）やや右寄りに兵装ラックがあり、一式航空魚雷（1000kg）または九一式航空魚雷（800kg）なら１本、800kg爆弾なら１発、250kg爆弾なら２発（１発？）を搭載できる。九六式空二号無線電信機と一式空三号無線帰投方位測定機を装備する。乗員２名（操縦士、無線手兼銃手。雷爆撃兵装は操縦士、航法は無線手兼銃手が担当）。昭和19年12月7日の東南海地震、12月13日からの名古屋空襲、昭和20年1月13日の三河地震で愛知航空機名古屋工場周辺が被害を受けて生産が進まず、昭和18年に１機、昭和19年に10機、昭和20年に17機の計28機が完成した。第631航空隊に配備され、ウルシー環礁攻撃の嵐作戦に出撃したが、実行前に終戦を迎えた。参考：丸エキストラ版No.71、月刊丸3,'18別冊、6,’01、9,'20、月刊JWings11,’15、11,’03、6,’07、第２次世界大戦軍用機ハンドブック・日本篇、日本の潜水艦パーフェクトガイド、歴史群像8,’17

＜晴嵐改＞：晴嵐の陸上機型M6A1-K。当初はこちらが晴嵐という名称だったが、開発中（昭和19年前半？）に晴嵐改に改称された。800kg爆弾を装備してフロートを外した際の飛行性能確認や訓練を行うための機体で、手動引き込み式主脚と尾輪を取り付け、フロート、操縦席前方の射爆照準器、垂直尾翼端を撤去している。２機が改造された。参考：月刊JWings11,’03、6,’07、月刊丸3,'18別冊、日本の潜水艦パーフェクトガイド

＜整理整頓（自衛隊）＞：自衛官の基本事項。有事や災害で停電した真っ暗闇の中でも素早く即応体制を整えるために必須のスキルである。ロッカー内の制服・帽子などの置き場所から、本棚に本を入れる際には窓に近い方から背の高い順に収納する、というところまで細かく決められている。机を離れる時には筆記具や本を全て収納し、置きっぱなしにはしない。参考：MAMOR vol.76

＜セイリナ＞：ギリシャ軍のGPS誘導キット。SGM500/SGM1000/SGM2000の尾部に取り付けられている。参考：軍用機ウェポン・ハンドブック

＜せいりゅう＞：SS-509（潜水艦）を参照。

＜整流器（庫内電源装置）＞：自衛隊の機器。多摩川エアロシステムズ製。参考：月刊軍事研究1,’17

＜ゼイリン＞：アメリカ海軍上陸作戦兵員輸送艦。1945年1月12日、リンガエン湾付近で陸軍特攻を受け、１機が命中して損傷した。参考：第２次大戦日本海軍作戦年誌

＜セイル＞：潜水艦の上面、耐圧船殻の外に突き出している構造物で、内部にシュノーケル、潜望鏡、レーダー・アンテナ、ESMマストなどを収容しており、これらによる水中抵抗を減らし、水流から保護ための覆いである。また、乗員用出入り口、艦橋、上部指揮所も設けられていて、側面に潜舵（セイル・プレーン）が付いていることもある。付け根の艦内には司令塔がある。セイル内部には昇降用の梯子が用意されているが、頂上付近で足を滑らせると司令塔まで10mくらい落ちて命に関わるので注意。非水防構造であり、潜航時は内部が海水で満たされ、内外の圧が釣り合うので、耐圧船殻のような頑丈な耐圧能力は要らないが、北極の氷を叩き割って浮上するような用法をする場合には、相応に強固にしておく。参考：現代の潜水艦、続潜水艦気質よもやま物語、日本の防衛戦力Part3、月刊世界の艦船10,’16、6,'21

＜セイルタワー＞：海上自衛隊佐世保史料館を参照。

＜セイルドローン・エクスプローラー＞：アメリカ海軍帆走USV、Saildrone Explorer。船体と帆の付け根に太陽電池パネルを備えており、他に燃料が要らないので１年間連続行動できる。全長7m。ソナーや気象・海象観測装置を搭載可能。参考：月刊世界の艦船5,’22

＜セイルフィッシュ＞：SS-192（潜水艦）またはSSR-572（セイルフィッシュ級潜水艦）を参照。

＜セイルフィッシュ級＞：アメリカ海軍レーダー・ピケット潜水艦Sailfish級。セイルにAN/BPS-2対空捜索レーダー、セイル後方の甲板上にAN/BPS-3高角測距レーダーを搭載し、レーダー・ピケット任務に就く。AN/BPS-2によるレギュラス巡航ミサイルの中間誘導も行える。ソナーはAN/BQR-2BとAN/BQS-2。全長106.8m、最大幅8.9m、吃水5m、水上排水量1990トン、水中排水量3168トン。主機はディーゼル・エレクトリック方式、フェアバンクス・モース式ディーゼル４基・エリオット式主発電機４基・エリオット式電動モーター２基、水上出力6000馬力、水中出力8200馬力、水上速力20.5ノット、水中速力10ノット、エレクトリック・ストレージ・バッテリー社製サーゴ�U型蓄電池126セル４群計504セル、水上航続距離16000海里（10ノット）、水中航続距離120海里（３ノット）。兵装は533mm魚雷発射管６門（艦首。魚雷18本）。乗員95名。SSR-572セイルフィッシュとSSR-573サーモンの２隻が1956年に竣工した。早期警戒機の高性能化で用無しになり、1961年に攻撃潜水艦SSに艦種変更され、対空レーダーを撤去、セイルの潜望鏡を後ろにずらした。AN/BPS-3の大型パラボラ・アンテナを撤去したため、水中抗力が激減し、水中速力が14ノットに向上している。1964年からFRAM�U改装（ガピー�V改装相当）を受け、AN/BQG-4ソナーを装備、上甲板前中後部にフィン型ソナー・アレイが付いた。1977-78年に除籍された。参考：アメリカ潜水艦史

＜セイル・プレーン＞：セイルに装備されている潜舵のこと。重心に近いので小さいトリム変化で大きい深度変更を行うことができ、艦首ソナーに対する操作音の影響も少ない。氷海でそのまま浮上しようとすると舵が折れるので、舵軸を頑丈にすると共に舵角90度を取れるようにしておき、舵前縁で氷を叩き割る。参考：月刊世界の艦船10,’16、9,’12増刊、世界の潜水艦ハンドブック改訂第２版

＜整列＞：日本海軍の兵にとっては殆ど楽しい思い出の無い号令。甲板整列を参照。参考：海軍よもやま話

＜整列は後列＞：日本海軍用語で、整列する時は後列に付くと目立たず無難に過ごせるということ。休暇は前期などと同じ意。参考：海軍よもやま物語、帝国陸海軍事典

＜整列休め（自衛隊）＞：自衛隊の号令。立て銃（不動の姿勢）から足を25cm幅に開き、小銃を持つ右手を体の前に、左手は肘を曲げて背部（腰の上）に置く。参考：MAMOR vol.152

＜セイレム＞：CA-139（重巡洋艦）を参照。

＜セイロン＞：30（軽巡洋艦）を参照。

＜セイロン級＞：フィジー級（軽巡洋艦）を参照。

＜セイロン島攻撃＞：太平洋戦争劈頭の真珠湾攻撃によりアメリカ海軍が当面積極的作戦を行えないと判断した日本海軍連合艦隊司令部は、機動部隊主力を南方作戦支援に投入、昭和17年2月にセイロン島のイギリス東洋艦隊と陸上施設（商港コロンボと軍港ツリンコマリ）を撃破してイギリス軍の海上機動を阻止すると共に自軍のシーレーンを安定化することにより、アンダマン諸島・ビルマ攻略作戦を安全に進める作戦を立案し、3月9日に山本五十六連合艦隊司令長官が機密連合艦隊電令作第86号で南方部隊指揮官近藤信竹中将に作戦を下命、作戦目的をセイロン島方面艦隊奇襲撃滅に据えて奇襲予定日は4月1日とした。日本海軍戦力は南雲忠一中将率いる南方部隊機動部隊の第１航空艦隊第１航空戦隊（空母赤城）、第２航空戦隊（空母蒼龍・飛龍）、第５航空戦隊（空母翔鶴、瑞鶴）、艦上機計315機、第３戦隊（戦艦比叡、霧島、金剛、榛名）、第８戦隊（重巡利根、筑摩）、第１水雷戦隊（阿武隈、第17駆逐隊谷風、濱風、磯風、浦風、第18駆逐隊陽炎、不知火、霞、霰、第４駆逐隊第２小隊萩風、舞風、駆逐艦秋雲）、第１補給隊（特設給油艦神国丸、健洋丸、日本丸、東栄丸、国洋丸、旭東丸）、第２補給隊（特設給油艦３隻）と、小澤治三郎中将率いる馬來部隊機動部隊の機動部隊主隊（鳥海、由良）、第４航空戦隊（龍驤、汐風）、第７戦隊（熊野、鈴谷、三隈、最上）、第20駆逐隊（夕霧、朝霧、白雲、天霧）、警戒隊（第３水雷戦隊川内、第11駆逐隊初雪、白雪、吹雪、第19駆逐隊磯波）である。第１航空戦隊空母加賀も参加予定だったが、直前に触礁して修理に入っていた。イギリスはマレー、シンガポール、ビルマに続いてセイロン島を失えばインド洋どころか中東・紅海方面のシーレーンまで脅かされかねない状況だったため、イギリス極東方面軍はビルマ経由でのインド侵攻に備えてインド北東部の陸上戦力を増強すると共に、日本軍のセイロン島上陸を阻止するため海空戦力の保持を図ることにした。3月18日、イギリス国防委員会が極東方面軍の方針を承認したが、イギリス東洋艦隊が踏ん張っている限りは日本軍がセイロン島上陸作戦に出ることは無く、戦力を回復させつつあるアメリカ太平洋艦隊に備えて日本海軍が太平洋方面に一定の戦力を止めざるを得ない現状では、東洋艦隊を撃滅させるほどの戦力をインド洋方面に回すことは無いと判断していた。この国防委員会の判断に基づき、極東方面軍でも東洋艦隊をできるだけ温存してインド洋の制海権を保持し続ける方針としている。3月26日、南雲機動部隊がセレベス島ケンダリーを出撃し、スマトラ島南西の海上を北上してセイロン島に向かった。小澤機動部隊はアンダマン諸島とニコバル諸島の間を通って北上し、シーレーン遮断のためベンガル湾北部に向かっている。イギリス東洋艦隊は3月26日までに空母３隻と戦艦５隻を主力とする部隊をセイロン島に集結させた。ただ速力の関係で部隊を高速機動部隊フォースＡ（空母92インドミタブル、67フォーミタブル、戦艦03ウォースパイト、重巡56コーンウォール、40ドーセットシャー、軽巡I66エメラルド、I52エンタープライズ、駆逐艦６隻）と低速機動部隊フォースＢ（空母I95ハーミーズ、戦艦05ロイヤル・サブリン、06リヴェンジ、07ラミリーズ、09レゾリューション、軽巡３隻、駆逐艦８隻）に分けて運用せざるを得ず、艦上機も総数93機しか無かった。3月28日、極東合同局などの情報機関が解読した日本軍の暗号情報が東洋艦隊に入り、4月1日に日本海軍機動部隊が来襲するという内容であったことから、レーダー搭載のソードフィッシュ艦攻（アルバコア？）により夜間待ち伏せ攻撃を仕掛けることにした。3月29日、アッヅ環礁からフォースＢが出撃。3月30日、コロンボとツリンコマリからフォースＡが出撃。3月31日にはフォースＡとフォースＢが一旦合流した後、再び分かれてセイロン島周辺を遊弋し、カタリナ飛行艇と共に南雲機動部隊を捜索した。しかし南雲機動部隊の第５航空戦隊がウェーク島周辺にアメリカ機動部隊出現の報（誤報だった）を受けてそちらに回されていたため、準備の遅れから攻撃予定が急遽4月5日に延期されたという情報が入って来ず、日本軍の来襲が無かったことから、4月2日夜に修理のため重巡ドーセットシャーとコーンウォールをコロンボに、マダガスカル島攻略準備のため空母ハーミーズと駆逐艦１隻をツリンコマリーに、残りは補給のためアッズ環礁に向かわせた。4月4日昼過ぎ、イギリス軍のカタリナ飛行艇が南雲機動部隊を発見。機動部隊は直ちに零戦18機を出撃させてカタリナ飛行艇を撃墜したが、戦艦３隻、空母１隻、針路305度といった内容の無線を打電されてしまった。南雲機動部隊は無線傍受で敵に通報されたことを掴んでいたが、翌日の襲撃予定は変更せず、艦攻隊の一部を雷装させて格納庫に待機させ、敵艦隊の反撃に備えることにしている。イギリス艦隊は主力がアッズ環礁で燃料補給中のためすぐには出撃できず、1945（現地時間。日本時間4月5日0015）にドーセットシャーとコーンウォールがセイロン島を出港して南西に待避。4月5日0245、アッズ環礁の部隊が出撃して北東のセイロン島に向かった。0430（日本時間0900）、軽巡などから水上偵察機が発艦し、西方の索敵を開始。淵田美津雄中佐率いる第１次攻撃隊零戦36機（赤城、蒼龍、飛龍、瑞鶴９機ずつ）、九七式艦攻54機（赤城・蒼龍・飛龍18機ずつ）、九九式艦爆38機（翔鶴・瑞鶴19機ずつ）計128機がコロンボ軍港に向け出撃。イギリス軍はレーダーで日本海軍機編隊を探知したが、迎撃部隊に伝えるのが遅れ、ハリケーン戦闘機35機とフルマー戦闘機６機による反撃が開始されたのは視認できてからだった。零戦部隊はハリケーン戦闘機17機とフルマー戦闘機４機、ついでにソードフィッシュ艦攻６機（12機？８機？）を撃墜し（被撃墜は零戦１機）、爆撃部隊は0615にコロンボ軍港を空襲。軍港には軍艦５隻、特務艦８隻、商船21隻が停泊していたが、真珠湾攻撃の反省で港湾施設を優先したらしく、船舶への戦果は駆逐艦H04テネドスと特設巡洋艦ヘクター撃沈、潜水母艦ルシヤ小破、商船ベンレデ中破のみで、爆撃終了頃にハリケーン戦闘機の迎撃で九九式艦爆６機（瑞鶴５機、翔鶴１機）が撃墜された。船舶への爆撃戦果が不十分と見た淵田中佐は、0648に敵商船多数あり、第２次攻撃隊を要すと機動部隊司令部に打電。南雲中将は敵艦隊の反撃に備え雷装待機させていた艦攻隊の兵装を魚雷から800kg爆弾に転換し、第１次攻撃隊収容後に発艦させるよう下命した。その兵装転換中の0830、重巡利根から出撃した水上偵察機が母艦西方300海里の地点でドーセットシャーとコーンウォールを発見。南雲中将は艦攻部隊の兵装を爆弾から魚雷に戻すよう命じた。その後、発見したのは重巡でなく駆逐艦の可能性が高い、とされたため、敵空母の出現に備えて温存していた九九式艦爆隊（赤城17機、蒼龍18機、飛龍18機）が1019-1133に出撃。その最中の1025、水上偵察機から発見したのはやはりケント型重巡２隻であるとの報告が入り、急降下爆撃では撃沈困難と考えた南雲中将は800kg通常爆弾か魚雷を積んだ艦攻の出撃を急がせたが、兵装転換作業に手間取っていて結局間に合わなかった。空母フォーミタブルがレーダーで艦爆隊を数分間探知したが、フォーミタブルから逸れていったため、フォーミタブルは艦戦による迎撃を考えずそのまま素通りさせてしまっている。艦爆隊は1124にセイロン島の南西を27.5ノットで航行中の重巡２隻を発見し、正確無比の急降下爆撃（ドーセットシャーには36発中31発命中、コーンウォールには16発中15発命中）を行い、1228までに２隻とも撃沈した。未帰還機は７機。コロンボ空襲を終えた南雲機動部隊は一旦南東に退避した。イギリス側は通信傍受で南雲機動部隊が方位230に向かっていると判断し、アッズ環礁を出撃した艦隊を北西に転じて夜戦をかけようとしたが、実際の南雲機動部隊の針路とは反対方向で、会敵できなかった。4月6日、小澤機動部隊が任務海域に到達し、通商破壊を開始。索敵していたアルバコア艦攻が重巡２隻の沈没の痕跡を発見し、東洋艦隊は南東に変針して救出に向かった。4月8日、東洋艦隊がアッズ環礁に帰投。イギリス海軍省からＲ型戦艦は債権でなく債務であることが分かっただろうからアフリカまで退避させた方が良いという内容の電文が入ったため、フォースＢをアフリカのキリンジニ、フォースＡをインドのボンベイに向かわせることとした。また、カタリナ哨戒飛行艇がツリンコマリに向かう南雲機動部隊を発見したため、空母ハーミーズと駆逐艦バンパイアはツリンコマリを緊急出港して退避した。4月9日0430、淵田中佐率いる第１次攻撃隊九九式艦爆91機（赤城18機、蒼龍18機、飛龍18機、翔鶴19機、瑞鶴18機）と零戦30機（各空母６機ずつ）がツリンコマリ軍港に向け出撃。戦艦などに搭載されている水偵は索敵を開始した。0538、カタリナ哨戒飛行艇が南雲機動部隊を発見したが、直掩機に撃墜された。同じ頃、ツリンコマリのレーダーが第１次攻撃隊を探知したため、ハリケーン戦闘機16機とフルマー戦闘機６機が迎撃に向かい、零戦３機と艦攻２機（艦爆１機？）を撃墜したが、ハリケーン戦闘機８機とフルマー戦闘機１機が撃墜された。残る第１次攻撃隊はツリンコマリ軍港に到達して爆撃を実施。東洋艦隊はツリンコマリから全て退避しており、滑走路と駐機していた艦上機13機（ハリケーン戦闘機２機？）、港湾施設、商船１隻などを破壊した。0625、榛名から出撃した水上偵察機が西方155海里に空母ハーミーズ率いる艦隊（空母１隻と駆逐艦３隻と打電したが、実際は空母と駆逐艦が１隻ずつだった）を発見。この無電をハーミーズが傍受しており、ハーミーズは北に転じてツリンコマリに戻り、セイロン島基地航空隊の制空権内に逃げ込むことにした。0630、南雲中将がイギリス艦隊への攻撃を下命。0645、コロンボからブレニム爆撃機12機が離陸、エンジン故障で引き返した２機を除く10機が南雲機動部隊に向かった。0713、高橋少佐率いる第２次攻撃隊九九式艦爆85機と零戦６機がイギリス艦隊に向け発艦。艦爆のうち飛龍所属は18機で、12機は九九式二十五番通常爆弾を、６機は対空火器制圧用に九九式二十五番陸用爆弾を搭載していた。0900、第２次攻撃隊が24ノットでツリンコマリに向け北上するハーミーズを発見。ハーミーズは艦上機を全て降ろしており、格納庫に故障したソードフィッシュ艦攻１機があるだけで為す術が無く、0905から翔鶴機18機、瑞鶴機14機、飛龍機11機、赤城機２機の急降下爆撃45発中37発を被弾して0925に沈没した。駆逐艦バンパイアも九九式艦爆16機の急降下爆撃16発中13発被弾して沈没。商船２隻と哨戒艇１隻も急降下爆撃を喰らって沈められた。たまたま近くに病院船がいたため、海に放り出された生存者600名が救出されている。爆撃が終わった後でコロンボのラットマラナ基地から迎撃に向かったフルマー戦闘機８機が到着し、九九式艦爆４機を撃墜したが、２機が撃墜された。0905頃、南雲機動部隊の上空にブレニム爆撃機10機が到着し、高度3300mから奇襲の水平爆撃をかけたが、爆弾は全て外れ、直掩機により4-5機が撃墜された（直掩機も１機が撃墜されている）。日本海軍の総未帰還数は艦攻２機、艦爆４機、零戦４機。日本海軍はこの勝利で昭和20年2月までインド洋からイギリス艦隊の脅威を取り除く事に成功し、日本海軍甲先遣支隊（特設巡洋艦２隻、潜水艦５隻）、ドイツ海軍Ｕボート最大11隻、イタリア海軍潜水艦６隻によるインド洋通商破壊作戦が可能となって終戦までに271隻150万トンを撃沈した。ただ、セイロン島奇襲攻撃の間は太平洋方面ががら空きになってしまい、ドゥーリットル隊による日本本土奇襲作戦を許してしまった。また、陸上・水上目標同時攻撃による兵装転換の混乱や、対空警戒能力の貧弱さなどの問題点が、ミッドウェイ海戦では致命的に作用することとなった。インド洋通商破壊作戦も戦局を左右するには至っていない。ミッドウェイ海戦直後の昭和17年6月、ドイツ・アフリカ軍団のエジプト侵攻を受け日本陸軍がセイロン攻略の準備に入り、西アジアにドイツ軍が到達したらセイロン攻略を開始すると天皇に上奏、6月20日に大本営陸軍部が大陸指第1196号でセイロン島攻略11号作戦準備を発動し、海軍も大海指でインド洋での水上艦による海上交通破壊作戦Ｂ作戦を指示した。7月7日にはインド洋作戦を上奏してマレー半島メルギーに重巡２隻、軽巡３隻、駆逐艦18隻を集結させたが、ミッドウェイ海戦で空母を失いセイロン島上陸作戦時の制空権を得られる確証が無く、カルカッタまで侵攻してインド大陸からエアカバーを掛けるのも無理があり、先延ばしになっているうちにガダルカナル戦が始まってしまい、北アフリカ戦でもエル・アラメインでドイツ・アフリカ軍団が敗退、イギリスもフランス領マダガスカルを占領してアフリカ東岸にロイヤル・サブリン級戦艦を居座らせ巡洋艦以下の水上艦艇によるインド洋海上交通破壊作戦を封じており、西アジア・中東で日独が手を結ぶ可能性は無くなり、セイロン島攻略は中止された。参考：帝国海軍太平洋作戦史�T、日本海軍艦隊総覧、激闘太平洋戦記、第２次大戦日本海軍作戦年誌、歴史群像4,’17、日本航空母艦史、日本海軍の爆弾、月刊JWings4,’12

＜セイン＞：D48（護衛空母）を参照。

＜セインツ＞：VFC-13（混成飛行隊）を参照。

＜セイント・クロイクス＞：APA-231（攻撃輸送艦）を参照。

＜セヴァーン＞：N57（潜水艦）を参照。

＜セヴァーン＞：イギリス海軍哨戒艦。2022年6月26日、大西洋イギリス海峡で日英共同訓練に参加。TV-3508かしま及びTV-3521しまかぜと戦術運動訓練などを行った。参考：月刊世界の艦船9,’22

＜セヴァストーポリ＞：B-587（潜水艦）を参照。

＜セヴァストーポリ＞：ソ連海軍69型／69i型重巡洋艦２番艦Sevastopol。1939年11月5日起工。1941年7月10日、完成度12%で建造中止となった。ドイツ軍がニコラエフを占領した際に接収され、解体された。参考：ソ連／ロシア巡洋艦建造史

＜セヴァストーポリ＞：ロシア海軍ガングート級戦艦Sevastopol。1911年起工、1914年竣工、1915年就役。1920年代後半、３番主砲塔上にハインケル社から導入したカタパルトを搭載し、KR-1飛行艇（後にKOR-1水偵）１機を運用した。1928年、パリジスカヤ・コンムナ（Parizhskaya Kommuna、パリ・コンミューン）に改称された。1941年6月、独ソ戦開戦時にはセヴァストーポリに配備されていた。10月末、クリミア半島にドイツ軍が迫ったため、ノヴォロシスクに移動。11月26日、ノヴォロシスクを出撃し、クリミア半島に向かった。11月28日までクリミア半島のドイツ軍・ルーマニア軍基地に12インチ（304.8mm）砲弾146発と4.7インチ（119.4mm）砲弾229発を撃ち込んだ。12月29日、セヴァストーポリ南方に出撃し、ドイツ軍基地に12インチ（304.8mm）砲弾179発、4.7インチ（119.4mm）砲弾265発を撃ち込んだ。12月31日、セヴァストーポリで負傷者1025名を収容し、ノヴォロシスクに戻った。1942年1月5-6日と1月12日にスタリー・クリムとイシュモフカを砲撃。1月16日、ドイツ軍機の爆撃を受けたが、至近弾のみだった。2月26-28日、フェオドシアとスタリー・クリムに砲撃を実施。3月20-22日、フェオドシア地方に300発を撃ち込んだ。その後はポティで修理を実施。4月21日に完工したが、護衛艦船が尽きていて出撃できず、ポティに繋留されたままとなった。1943年5月、セヴァストーポリに改称された。1944年11月、行動可能となった。1945年7月、赤旗章を授与された。第２次大戦終結後は練習艦に艦種変更され、1956年頃に除籍された。参考：月刊丸11,’09、近代戦艦史、月刊世界の艦船4,’12、4,’17

＜セヴァストーポリ＞：ソ連海軍クレスタ�T級巡洋艦４番艦Sevastopol。1966年6月3日艦籍編入、6月8日起工、1967年4月28日進水、1969年9月25日竣工。10月21日、北洋艦隊第20ミサイル艦旅団に配備された。1970年3-4月、オケアン大演習に参加。1971年7-12月、大西洋と地中海で作戦任務に就いた。地中海ではアメリカ戦略原潜を発見して長期追跡を行っている。1972年10月から1973年4月、中部大西洋で作戦任務に就き、北洋艦隊対潜演習にも参加した。1973年4月、巡航ミサイル原潜と共同ミサイル発射演習を実施。5月、大西洋北部で対潜捜索を実施。1975年12月からムルマンスクで修理に入った。1977年8月、ミサイル巡洋艦に艦種変更された。1980年3月、修理を完了。10月19日、太平洋艦隊第10作戦小艦隊第175ミサイル艦旅団に転属した。1981年7月、ウラジオストクに回航され、インド洋で作戦任務に就いた。1983年10月、大韓航空撃墜事件の捜索に参加。機体の一部を収容した。1984年7月、カムチャツカ中艦隊第173対潜艦旅団に転属。1986年1月、カムチャツカのイリチョフに回航された。1988年、訓練中に氷山と衝突して中破した。1989年12月15日に除籍された。1990年夏、ビリュチンスクの第49船舶修理工場に停泊中、火災を発生した。その後インドにスクラップとして売却された。参考：ソ連／ロシア巡洋艦建造史、月刊軍事研究11,’98、近代巡洋艦史

＜セヴァストーポリ＞：ソ連海軍11641型スラヴァ級ミサイル巡洋艦Sevastopol。1988年11月1日艦籍編入。建造中止となり、1990年10月4日に除籍された。参考：ソ連／ロシア巡洋艦建造史

＜セヴァストーポリ＞：ロシア海軍ミストラル級強襲揚陸艦２番艦Sevastopol。2013年6月18日起工。2014年4月30日、バルチック造船所で後部船体が進水。フランスに回航されて前部船体と結合された。11月21日進水、2015年3月公試開始。ウクライナ紛争で引き渡しが凍結され、結局エジプト海軍に回されて艦番号1020アンワル・エル・サダトになった。参考：月刊世界の艦船10,’12、9,’13、10,’14、4,’15、6,’15、7,’16

＜セヴィアー＞：APA-233（攻撃輸送艦）を参照。

＜セヴェルスタル＞：TK-20（潜水艦）を参照。

＜セヴェロドヴィンスク＞：K-266（949A型潜水艦）またはK-329（885型潜水艦）を参照。

＜セヴェロモルスク＞：ソ連海軍ウダロイ�T級ミサイル駆逐艦８番艦Severomorsk。元はシムフェロポル（Simferopol）という名称だった。1987年12月就役。2016年10月15日、空母アドミラル・クズネツォフ、キーロフ級巡洋艦ピョートル・ヴェリキー、ウダロイ�T級ミサイル駆逐艦ヴィッセ・アドミラル・クラコフと共にムルマンスクを出港。10月21日、英仏海峡を通過。11月1日、地中海に到着してシリア作戦に参加。2017年1月6日、シリア作戦を終了。1月27日、英仏海峡を通峡。2018年8月8日、スラヴァ級巡洋艦マーシャル・ウスチノフと共にイギリス海峡を通過。その後アルジェリアのアルジェに入港した。11月10日、アデン湾でDD-107いかづちと海賊対処訓練を実施。参考：月刊世界の艦船6,’15、2,’19、月刊軍事研究3,’17、2,’19

＜ゼウサ＞：海上自衛隊の略号で、情報幕僚のこと。参考：日本の防衛戦力Part3

＜ゼウス＞：HMMWVファミリー（地雷啓開車）またはT-ARC-7（電纜敷設艦）を参照。

＜ゼウス＞：ZSU-23-4自走高射機関砲のアフガニスタン名称。

＜ゼウス＞：ギリシャ空軍F-16ソロディスプレイ・デモチームZEUS。使用機はF-16Cブロック52で、2010年11月に初デモフライトを行った。2015年7月17-19日、RIAT2015に参加。参考：月刊航空ファン10,’15

＜ゼーアドラー＞：03（哨戒艇）またはJu290A-5（洋上哨戒機）を参照。

＜ゼーアドラー＞：ドイツ海軍メーヴェ級水雷艇Seeadler（海鷲）。1926年7月15日進水、1927年3月15日竣工。1940年4月、ノルウェー攻略ヴェーゼル演習作戦に参加。1942年5月13日、ドーバー海峡でイギリス海軍MBTの攻撃を受け沈没した。参考：写真集ドイツの巡洋艦、月刊世界の艦船9,’23

＜ゼークト教範＞：連合兵種の指揮及び戦闘を参照。

＜セージ＞：アメリカ海軍掃海艇。1944年2月16日、クェゼリン付近で呂40潜水艦をDD-360フェルプスと共同撃沈した。参考；第２次大戦日本海軍作戦年誌

＜セーシェル軍＞：2012年4月27日、Do228捜索救難機初号機の引き渡し式典を実施。2024年7月13日、ビクトリア周辺で日セーシェル親善訓練を実施。ドルニエ輸送機がDD-113さざなみと通信訓練及びPHOTOEXを行った。参考：月刊世界の艦船10,’24、月刊JWings10,’24

＜セーシェル軍（１９８９年）＞：兵力1300名（陸軍1000名、海上部隊200名、航空部隊100名）。歩兵大隊１個、砲兵部隊２個、支援中隊からなる。BRDM-2偵察車６両、ショーランド偵察車８両、BTR-152装甲兵員輸送車４両、122mm砲D-30を３門、122mm自走多連装ロケットBM-21を２両、82mm迫撃砲M-43を６門、RPG-7対戦車ロケット、9M32携帯地対空ミサイル10基を保有する。海上部隊はポート・ビクトリアに基地があり、アンドロマッシュ級高速哨戒艇１隻、ゾロアスター級高速哨戒艇（ツリャ級の水中翼抜き）１隻、小型高速哨戒艇２隻、小型哨戒艇１隻、戦車揚陸艇１隻を保有する。航空部隊はBN-2ディフェンダー洋上哨戒機１機、マーリン�VＢ連絡機１機、R-235E連絡機１機、チェタック汎用ヘリ２機を保有する。参考：ミリタリー・バランス1989-1990

＜セーシェル軍（２０１５年）＞：現役総兵力420名（地上部隊200名、沿岸警備隊200名・うち海兵隊80名、航空部隊20名）。特殊作戦ユニット１個、歩兵中隊１個、保安ユニット１個、憲兵ユニット１個からなる。BRDM-2偵察車６両、82mm迫撃砲M-43を６門、14.5mm対空機銃ZPU-2/-4、37mm高射機関砲M-1939、哨戒艇10隻、DHC-6-320輸送機１機、Do-228輸送機１機、Y-12輸送機２機を保有する。参考：THE MILITARY BALANCE 2016

＜ゼーシュレンゲ＞：西ドイツ海軍水上艦用対潜魚雷。直径533mm、弾頭重量100kg。速力35ノット、航走距離14km。誘導は有線＋アクティブ／パッシブ音響式。参考：月刊丸3,’90

＜ゼータクト＞：ドイツ軍の艦載対水上捜索レーダー。使用波長0.6m。探知距離15-20km（大型艦）、方位精度プラスマイナス３度（大型艦）。1938年から搭載された。参考：英独航空決戦

＜ゼーチョン＞：776（コルベット）を参照。

＜セーデルマンランド＞：スウェーデン海軍A17ヴェステルイェトランド級潜水艦３番艦Södermanland。1985年2月2日起工、1988年4月12日進水、1989年4月21日就役。2018年6月1-15日、バルトップス2018に参加。参考：月刊軍事研究2,’03、世界の潜水艦ハンドブック改訂第２版、現代の潜水艦、月刊世界の艦船9,’18

＜セーデルマンランド級＞：改ヴェステルイェトランド級（潜水艦）を参照。

＜ゼートイフェル＞：ドイツ軍試作水陸両用艇で、海神の意。エレファント（象）ともいう。第２次大戦時に開発した。重量30トンの小型潜航艇に履帯を付けたもので、敵に近い発進場所まで自走して移動できる。実験艇２隻が作られたが、1945年5月に破壊された。参考：Ｕボート入門

＜セーヌ＞：フランス海軍支援船Seine。満載排水量2265トン。2020年11月30日、原潜S-604エムロードと共にグアムのアプラ基地に入港した。参考：月刊世界の艦船2,’21

＜ゼーノート・ディーンスト＞：ドイツ空軍の航空救難部隊。1936年にキール港で編成され、当初は小型の救助艇を使用しての洋上救難を行っていたが、1939年にHe59水上機を導入した。第２次大戦では北海やドーバー海峡での任務に従事した。参考：英独航空決戦

＜セーフティ＞：安全装置を参照。

＜ゼーブラ＞：Il-22M-11（空中コマンドポスト）を参照。

＜セーフライフ構造＞：Safe life structure、安全寿命構造。構造に一定の寿命を定め、その期間は絶対に疲労破壊を起こさないよう強度設計を行うこと。ただ疲労破壊を起こすまでの時間はかなりのばらつきがあるため、これだけで強度を保証しようとすると相当の余裕を持たせなければならず、また腐食、衝突、被弾など他の原因で損傷破壊が起きることもあるので、フェイルセーフ構造を併用して重大事故を防ぐ。参考：航空用語事典増補改訂版

＜ゼーフント＞：Ｕボート�]�]�ZＢ型（潜水艦）を参照。

＜ゼーフント＞：ドイツ海軍ゼーフント級無人掃海艇Seehund。2015年5月15-28日、バルト海でオープン・スピリット2015に参加。参考：月刊世界の艦船8,’15

＜ゼーフント級＞：ドイツ海軍無人掃海艇HL351型Seehund級。トロイカ無人掃海システムを構成する無人掃海艇で、エンスドルフ級掃海艇から遠隔操作される。船体は機雷の爆発にも耐えられるよう頑丈に作ってあり、上部に無線アンテナ、内部に磁気掃海具の磁界発生装置、前部に音響掃海具の中周波発音体、後部に音響掃海具の低周波発音体を持つ。掃海海面まで有人で運行され、その後無人で掃海作業を実施する。全長26.9m、満載排水量99トン。主機はディーゼル、速力10ノット。18隻が1980-82年に就役した。参考：月刊世界の艦船3,’07、8,'82増刊

＜ゼーヘヒト＞：DM2A3（魚雷）を参照。

＜セーラー服＞：背中まで達する独特の大きな襟の下にスカーフを巻くスタイルの制服の通称。1857年にイギリスで制式化された水兵服がベースで、日本海軍では同じタイプを1872年（明治5年）に採用した。大きな襟の役目は、立てて集音に使う説、伸びた髪の油を服に付けないようにする説などがある。海上自衛隊では常装冬服海士用男性と常装第１種夏服海士男性がこのタイプで、女性自衛官用セーラー服は無い。こちらはアメリカ海軍式で、1970年に日本海軍式とされたが妙なデザイン変更が加えられていてクレームが付きまくり、元に戻された。イギリスで子供服として流行したのをきっかけに民間でも流行し、日本では大正9年に平安女学院が制服として採用、太平洋戦争終結後に一般学校の女子学生用制服として拡散した。参考：MAMOR Vol.50、月刊世界の艦船8,’11増刊

＜ゼーラント＞：P841（哨戒艦）を参照。

＜ゼーリン＞：アメリカ海軍兵員輸送艦。1942年11月6日、ソロモン方面で急降下爆撃を受けて損傷した。参考：第２次大戦日本海軍作戦年誌

＜ゼーレーヴ＞：S-803（潜水艦）を参照。

＜ゼーレーベ作戦＞：ドイツ軍が第２次大戦時に計画したイギリス本土侵攻作戦で、ゼーレーベはアシカのこと。1939年11月15日、ドイツ海軍がイギリス本土上陸の可能性について研究を開始。1940年5月21日と6月20日、ドイツ海軍総司令官がヒトラーにイギリス本土上陸に関して説明し、制空権の確保が必須であるとした。国防軍と陸軍は6月初めから研究に着手、空軍はこの作戦をヒトラーが考慮していないとして上陸作戦支援の研究には着手せず、6月30日からイギリス本土戦略爆撃の研究を開始した。ヒトラーは当初フランスを占領することでイギリスとの和平を成立させることができるとみていたが、イギリスが徹底抗戦の構えだったため、1940年7月2日に8月中旬までの作戦準備完了を命じた。7月16日、ゼーレーベ作戦準備に関する総統司令16号を発令。7月19日、ヒトラーが国会でイギリスに対し和平呼びかけの演説を行ったが、7月22日に拒絶された。7月29日にドイツ海軍が作戦準備の遅れを報告したため、8月1日、国防軍総司令部は作戦準備を9月15日までに完了させることとした。また7月31日には海軍がヒトラーに対して作戦を1941年5月まで延期する案を出し、ヒトラーは今後８日間で空軍が決定的な戦果を挙げられない場合には延期することにした。輸送船155隻、曳船471隻、ボート1161隻、艀1722隻が必要と見積もられたが、民間から徴用しても全く足りない状態で、凪の日しか作戦を実行できない、海軍戦力がイギリスに劣るなどの弱点もあった。陸軍は明け方にカレー地区対岸のマーゲートからシェルブール対岸のウェーマスまで300km正面の広範囲に第１梯団13個師団を上陸させ、３日以内に第２梯団９個師団、更に第３梯団と第４梯団８個師団ずつを上陸させる作戦を立てたが、海軍は輸送船舶や護衛の関係から不可能として、カレー地区対岸のフォークストンからル・アーブル対岸のワージングまでの100km正面とし、上陸時間は満潮の２時間後に変更、期間も12日に延長する案を立てた。天候や月齢、潮位の問題から作戦が可能なのは9月19-26日である。両者とも持論を譲らず、8月末にヒトラーの裁定と国防軍総司令部の仲介でＡ軍集団がフォークストンからワージングまでの100km正面に上陸することに決定した。英仏海峡には駆逐隊２隊、水雷艇隊３隊、大型掃海艇隊９隊、機動掃海艇隊５隊、魚雷艇隊３隊、魚雷艇母艦チンタウ、タンガ、リュデリツ、哨戒隊５隊、上陸用舟艇1277隻、輸送船155隻、曳船471隻、モーターボート1161隻が集結した。しかしその間もドーバー海峡と南部イングランドの制空権を確立できなかったため、8月30日に9月15日までの作戦準備完了が不可能として上陸日が9月21日以降にずらされた。9月10日、ヒトラーが作戦開始日を9月24日に延期。9月14日、ヒトラーが上陸日を9月27日以降に延期。9月17日、ヒトラーは作戦の大幅な延期を決定し、10月12日に国防軍総司令部は1941年春までの延期を決定、1941年1月10日に特殊機材設計と欺瞞行動を残して作戦を中止することになり、1942年2月3日に全作戦の中止が決まった。�V号・�W号潜水戦車、�U号浮航戦車、LWSなどの新兵器を開発したが、これらは独ソ戦などに回されている。1940年後半からドイツ情報機関アプヴェーアはイギリス本土へのスパイ侵入リーナ作戦を行ったが、MI5に見破られて失敗した。参考：英独航空決戦、写真集ドイツの巡洋艦、月刊軍事研究5,’10

＜ゼーレン＞：S-323（潜水艦）を参照。

＜ゼーン＞：アメリカ海軍掃海駆逐艦。昭和17年10月25日、ガダルカナル島シーラーク水道で艦砲射撃を受けて損傷した。参考：第２次大戦日本海軍作戦年誌

＜背負型落下傘＞：航空自衛隊の緊急脱出時保命用落下傘JBA-18。主傘（直径8.53m）、誘導傘、吊索（長さ6.96m、28本）、収納袋、クオーターバッグ、装着帯などで構成される。手動・自動（高度や時間をセット）両方での開傘が可能。F-86F戦闘機、T-33A練習機、T-1練習機、C-1輸送機、C-130H輸送機、U-125A救難捜索機に搭載されている。藤倉航装製。参考：自衛隊装備年鑑1996、航空自衛隊パーフェクトガイド2015

＜セオドア＞：ドイツ軍の列車砲ThK(E)。ドイッチュラント級前弩級戦艦に搭載されていた24cmSKL/40艦砲を流用したもので、当初はセオドア・カールと呼ばれていた。砲車長18.45m、実口径238mm、砲身長9.55m、全備重量94トン。射界は左右１度ずつで、旋回レールに載せて旋回角を決定する。使用弾重量148.5kg、初速毎秒810m、最大射程26750m。３門が1936-37年に製造され、1941年には第664・第674列車砲中隊が１門ずつを使用していた。参考：第２次大戦ドイツ戦闘兵器カタログVol.4

＜セオドア・Ｅ・チャンドラー＞：DD-717（駆逐艦）を参照。

＜セオドア・カール＞：セオドア（列車砲）を参照。

＜セオドア・ブルノ＞：ブルノ・シリーズ（列車砲）を参照。

＜セオドア・ルーズヴェルト＞：CVN-71（空母）またはSSBN-600（潜水艦）を参照。

＜セオドア・ルーズヴェルトとレイテ・ガルフの衝突事故＞：1996年10月14日、CVN-71セオドア・ルーズヴェルトはノース・カロライナ沖で夜間主機運転訓練を実施。4000ヤード（3658m）後方をCG-55レイテ・ガルフが後続することになったが、訓練内容は知らされなかった。0012、CVN-71はジグザグ行動に入り、0120に訓練のためレーダーと通信系の一部をカットした。0145、CVN-71の当直士官がCG-55に対し、ジグザグ行動を取ること、通信系に問題がある状況を想定していること、針路速力をいつでも変更できるよう準備しておいて欲しいことを発光信号で伝えたが、CG-55の信号員が平文化に手間取り、0210に了解と自艦針路速力をCVN-71に伝えた。0218、CVN-71は夜間主機運転訓練を開始。0222、CVN-71は前進全力を下命し、30ノットで航行するCG-55との距離を5600ヤード（5121m）に引き離した。0224、CG-55の艦長がCICに移動。0232、CVN-71が主機を停止。0233、CVN-71が後進半速を下命。CG-55との距離は3980ヤード（3639m）に縮まった。0238、CVN-71はCG-55に対し、間も無く針路と速力を変更すると通報。CG-55は速力を25ノットから20ノットに落とし、距離を4000ヤード（3658m）とした。その後CVN-71は前進微速（５ノット）を下命。0241、CVN-71は前進原速（15ノット）に切り替え、CG-55との相対速力は３ノット、距離3680ヤード（3365m）となった。0244、CVN-71は後進全力を下命。CG-55の当直士官がSH-60ヘリの着艦準備を命じた。0248、CG-55の当直士官は信号員に対してCVN-71に針路速力を問い合わせるよう指示した。0245、CG-55は速力２ノットを下命。両艦の距離は2600ヤード（2377m）に接近しており、CVN-71は後進で更に近づいていたが、CG-55ではSH-60ヘリの収容に気を取られて気付かず、副長がヘリ収容に関して艦長と連絡を取り合っていた。CVN-71は前進半速に切り替え、0252には前進一杯として衝突警報を吹鳴。CG-55はヘリ収容のため艦を反転させようと、舵をきかせるため増速に入っており、衝突寸前に気付いた時には既に手遅れだった。直後にCVN-71は後進13ノット、CG-55は前進７ノットで艦尾と艦首が衝突、CG-55はCVN-71に押されて船体が40度右に傾き、艦首は時計回りに270度も回転したが、沈没は免れている。人的被害は軽傷者のみで、修理にCVN-71が700万ドル、CG-55が300万ドルかかった。参考：月刊世界の艦船6,’01

＜世界的軍事指揮管制システム＞：WWMCCSを参照。

＜セカンド・ドラゴンズ＞：アメリカ陸軍第７軍第７軍団第２機甲騎兵連隊のニックネーム。参考：月刊グランドパワー4,’95

＜赤煙硝酸＞：液体ロケット用酸化剤の１つ。硝酸80-90%に４酸化２窒素10-20%を混合したもので、蒸発した４酸化２窒素が赤い煙状になるため、この名称がある。純粋な４酸化２窒素（融点マイナス11℃）より融点が低く、寒冷地でも固まりにくい。ヒドラジンまたは非対称ジメチルヒドラジンを推進薬にした場合には自然発火するので点火機構がいらないが、石油系推進剤を推進薬として使用する場合には、点火剤が必要である。常温での長期貯蔵が可能なので、ロケットのタンク内に入れたままに出来る。参考：月刊軍事研究6,’09、2,’18

＜赤外線＞：可視光よりも波長の長い電磁波の１つ。1800年に天文学者ウィリアム・ハ−シェルがプリズムを使って太陽光を分離し、それぞれの温度を測定している時に赤色光の外側のスペクトラムでも温度上昇域があることを発見し、こう命名した。波長1-3ミクロンの領域を短波長赤外線（SWIRと略す。近赤外線ともいう）、3-8ミクロンの中波長赤外線（MWISと略す。中赤外線ともいう）、8-13ミクロンの長波長赤外線（LWIRと略す。遠赤外線ともいう）、14-30ミクロンの超長波長赤外線（VLWIRと略す。長遠赤外線ともいう）に分類される。波長3-4ミクロン（近赤外線と中赤外線の間）と8-14ミクロン（遠赤外線）の領域では、可視光よりも大気での透過率が高く（それぞれ90%、80%。可視光は60%前後）、遠距離を見通すのに適する。全ての物体は温度に応じて赤外線を放射しており、高温になるほど赤外線波長が短くなる。近赤外線は紫外線及び可視光領域をフィルターでカットすれば映像が得られるが、夜間には赤外線フラッシュを焚く必要がある。遠赤外線は単純な写真では植物カモフラージュの判別（枯れているものは濃く写る）程度の利用しかできないが、温度差を電子信号に換えてグロウ・モジュレータに投影しフィルムに露光するというラインスキャンを行えば、人為活動に伴う温度上昇まで判別できるため、建造物の中に人がいるかいないかも判別できる。ただし近赤外線に比べて波長が長いため解像度に劣る、温度に敏感なため陽炎で画像が歪む、雲が存在すると撮影できないという欠点がある。参考：月刊軍事研究12,’98、8,’01、A-5ビジランティ

＜赤外線暗視装置＞：赤外線を使用して夜間の視界を得る装置。FLIR、熱線暗視装置などいろいろな呼び方がある。レーダーに比べると有効距離が短く、雨や霧など悪天候では赤外線の減衰が激しく、更に有効距離が短くなる。方位は分かるが距離は分からないので、複数を組み合わせて基線長式測距器のような測り方をするか、他の測距装置と組み合わせる必要がある。参考：月刊軍事研究8,’01、月刊PANZER1,’02、月刊世界の艦船2,’87、MAMOR vol.98

　＜第１世代＞：アクティブ式。目標地域に自ら赤外線を投射し、反射波を赤外線暗視望遠鏡の光電陰極に当てて電子を放出させ、電圧をかけてエネルギーを強化、蛍光面にぶつけて光子を放出させ、映像化する。赤外線照射器はタングステンまたはキセノン灯に赤外線フィルターを付けたものを使い、望遠鏡は銀セシウムの光電陰極を使用した。1944年頃からドイツ軍が実戦使用し、同じ頃にアメリカも開発、1950年代半ばからソ連軍が装備し、西側諸国も1960年代には各種車両に搭載した。敵が同波長の望遠鏡を持っていると、こちらの位置がばれてしまうのが欠点。また、赤外線をスポットライトのように照射するので、目標が赤外線反射／吸収率の高いものの影に隠れていると、見つけられなくなる。参考：月刊PANZER1,’02、月刊軍事研究8,’01、歴史群像10,’08

　＜第２世代＞：パッシブ式。TISと略す。全ての物体が絶対零度を超えると放出する固有の自然放射赤外線を捉えて映像化するもので、温度差により昼夜問わず目標を識別できる。囮と実目標の差を捉えることも可能。探知波長は8-14ミクロンに設定されている。検知器として、十数種類の金属を組み合わせた半導体（各金属により探知できる波長が違う）を用い、高圧ガスで冷却して感度を上げている。参考：月刊PANZER1,’02、月刊軍事研究8,’01、航空用語事典増補改訂版

　＜第３世代＞：焦点面アレイ方式。平面に検知素子を並べ、それぞれの素子が検知した赤外線を統合して映像を作る。1990年代にはIR-CCD（赤外線荷電結合素子。フォトダイオードを検知器として使用）が登場、解像度が大幅に向上し、カラー表示も可能となった。参考：月刊PANZER1,’02、月刊軍事研究8,’01

＜赤外線カメラ応急用＞：自衛隊の機器。コーンズテクノロジー製。参考：月刊軍事研究8,’18

＜赤外線検知器＞：近赤外線から遠赤外線では水銀・カドミウム・テルル化合物CMT（対応波長8-14ミクロン）またはインジウム・アンチモン化合物InSb（対応波長1-5ミクロン）を使用し、長遠赤外線ではシリコンまたはゲルマニウム（対応波長1-3ミクロン）を使用する。他に硫化鉛（対応波長1-3ミクロン）や硫化セレン（対応波長3-5ミクロン）なども使える。低温であるほど検知精度が高まるが、冷却装置などで装置が大型化してしまうので、非冷却式の開発も進められている。参考：月刊軍事研究12,’98、8,’13、月刊PANZER1,’02

＜赤外線シーカー＞：赤外線探知器のこと。

＜赤外線遮蔽用煙幕剤＞：赤外線の透過を防ぐ煙幕を張るための煙幕剤。Mie散乱を利用する。近赤外線透過防止には、六塩化エタンなど、燃焼して径0.8-1.0μmの粒子を生成させる発煙剤を用いる。遠赤外線領域では径2-4μmの粒子を形成させる必要があり、赤燐を主剤として金属粉末と酸化剤を加えているようだ。参考：火器弾薬技術ハンドブック

＜赤外線ジャマー＞：赤外線受動誘導式ミサイルを妨害する装置。第３世代までの赤外線受動誘導式ミサイルに対抗できる。レティクル照準のシステムを逆利用しており、赤外線光源をパルス明滅させることでミサイルがずれたと勘違いさせ、飛翔方向を逸らせる。第５世代のサーマル・イメージ方式には赤外線レーザーでイメージセンサーを破壊してしまう方式のものを開発中。参考：月刊軍事研究4,’04

＜赤外線ズームレーザー照射目標指示＞：略称IZLID。AH-64攻撃ヘリの機関砲脇に取り付ける赤外線レーザーで、機関砲弾の着弾予想地点を表示することができる。参考：月刊軍事研究4,’08

＜赤外線センサー＞：赤外線検知器を光学系や電子回路と組み合わせたもの。光学系により検知器の焦点を目標に合わせ、検知器で検出した信号を電子回路で処理して赤外線形状を読み取る。参考：月刊軍事研究12,’98

　＜凝視型赤外線センサー＞：特定地域を連続的に監視し、赤外線放射の変化を監視するセンサー。連続監視なので見逃しがないが、センサーが大型化するという欠点がある。参考：月刊軍事研究12,’98

　＜走査型赤外線センサー＞：狭範囲のスキャンを移動させることで広範囲をカバーするタイプのセンサー。全地域を同時に監視できないという欠点があるが、センサーは小型で済む。参考：月刊軍事研究12,’98

＜赤外線センサー技術実証装置＞：STAIRを参照。

＜赤外線対抗自衛システム＞：AN/APQ-17を参照。

＜赤外線対抗手段＞：略称IRCM（Infra-Red Counter Measure）。赤外線受動誘導兵器を回避するための装置のこと。排気を冷やしてロックオンされにくくする排気冷却装置、強い赤外線を発してそちらに向かわせるフレア、赤外線ジャマーなどがある。参考：月刊JWings10,’09別冊付録

＜赤外線探知装置用レーザーレンジ・ディジグネータ＞：自衛隊の機器。SH-60Kに搭載されている。住商エアロシステムが受注。参考：月刊軍事研究9,’10

＜赤外線探知測距追跡セット＞：AN/AAS-44を参照。

＜赤外線通信機＞：哨信儀を参照。

＜赤外線受動誘導＞：赤外線パッシブ・ホーミング。目標が放出する赤外線を探知して追跡する誘導方式のこと。受動誘導なので機構が単純に出来て価格が安い、火器管制レーダーが無くても運用でき自衛用に便利、レーダーに比べて目標分解能が高い、赤外線放射特性を分析することで高い目標識別能力が得られる、電子妨害に強い、撃ちっ放しができる、という利点があるが、気象条件に左右されやすい、太陽や地表（高温の砂漠や、水面の反射）に向かってしまうことがある、偽熱源により妨害を受ける、などの欠点がある。参考：月刊軍事研究3,’04、6,’14、ジェット戦闘機

　＜第１世代＞：シーカーはローゼット（バラ結び）・スキャンまたはレティクル処理方式と呼ばれる狭視野シーカー（視野角0.6度程度）で、４つ葉のクローバー状に前方象限をスキャンして目標を捜索する。数キロメートル先の目標を捉えるため、シーカーには望遠鏡レンズ（カセグレン反射望遠鏡が主）が取り付けられており、焦点にはレティクルという放射状の模様が描かれた回転シャッターと、その裏に硫化鉛で出来た赤外線センサーが装着されていて、全体がジンバル（ジャイロスコープ）内部に支持されて安定化されている。レティクルの中心から目標がずれると、焦点に入る赤外線がシャッターにより点滅する。また、ずれが大きくなるほど赤外線センサーに入る入射光も大きくなるようにし、照準線の上下左右のどちらにずれたかを感知する位相差検出器を付けておけば、目標がどの位置にいるかが分かる。こうして目標位置を算定し、レティクルの中心に目標が来るようにエルロンのサーボ・モーターを動かして飛翔コースを修正、目標を追跡していく。赤外線センサーの性能が低いため、エンジン排気口など超高温部に向けておかないと正確にロックオンできない。よって、航空機を狙う場合には後方から発射する必要があり、追尾コースは単純追跡航法コースと呼ばれる後方象限から目標を追う方式しか取れず、ミサイルを高速にしておかないと目標に追いつけなかった。参考：月刊軍事研究3,’04、月刊世界の艦船9,’96

　＜第２世代＞：シーカーを冷却して感度を上げたもの。高速飛行時の空力加熱を探知可能で、機体前方象限の高温部をロックオンして比例航法コースによる全方位（オール・アスペクト）攻撃を行えるようになった。シーカーをマイナス200度くらいにする必要があるので、液体窒素などの低温冷却剤を使うか、冷却器を作動させる電力が必要である。参考：月刊軍事研究3,’04、月刊JWings4,’02、ジェット戦闘機

　＜第３世代＞：紫外線シーカーなども組み合わせてフレアに対抗できるようにしたもの。参考：月刊軍事研究4,’04

　＜第４世代＞：シーカー視野を120度程度に拡大してオフ・ボアサイト攻撃を可能としたもの。参考：月刊軍事研究1,’12

＜第５世代＞：赤外線二次元フォーカル・プレーン・アレイ・センサー（赤外線CCDカメラ）で取得した目標赤外線画像をロックオンして攻撃するもの。フレアや赤外線ジャマーが通用しない。視野が広く、オフ・ボアサイト能力も持っている。参考：月刊軍事研究1,’12、4,’04

＜赤外線分光遠隔画像転送テストベッド＞：SPIRITTを参照。

＜赤外線妨害装置（輸入）＞：自衛隊の機器。三菱商事が受注している。参考：月刊軍事研究9,’16

＜赤外線ミサイル警報装置＞：AN/AAR-47シリーズを参照。

＜赤外線誘導ミサイル用標的＞：自衛隊の標的。日本飛行機製。参考：月刊軍事研究1,’09

＜赤外線ラインスキャン＞：略称IRLS。回転反射鏡または回転プリズムを使用し、首尾線と平行の中心軸を持つ円周上を赤外線検知器で走査して赤外線を探知、横方向を細い帯状に走査する。前後方向は装備する航空機などが移動すれば自動的にカバーされるが、隙間ができず、かつ重複が大きすぎないように適度な幅を持って走査が行われる。赤外線検知器にはカドミウム・水銀・テルルや鉛・硫黄化合物といった半導体が使用され、3-5ミクロン波長対応のインジウム・アンチモン化合物が使われることもある。レンズやプリズムの素材としてガラスは断熱性が高く使用できないため、赤外線透過度の高い特殊素材を利用する。参考：スパイ機

＜戚継光＞：83（練習艦）を参照。

＜戚継光級＞：680型（練習艦）を参照。

＜石家荘＞：116（駆逐艦）を参照。

＜関口寛＞：日本陸軍エース。大正3年、埼玉県生まれ。昭和8年、飛行第５連隊に入隊し、昭和11年7月に所沢飛行学校を卒業、明野航空学校を経て飛行第５連隊に復帰した。昭和12年7月、飛行第２大隊に転属。10月25日、コルセア１機を共同撃墜して初戦果を挙げた。昭和13年3月25日、帰徳上空で１機を撃墜。8月、飛行第64戦隊に転属、ノモンハン事件に参加し、停戦までに４機を撃墜した。昭和16年4月、本土に帰還。昭和18年8月、航空士官学校を卒業し、11月に少尉に任官され、飛行第68戦隊に転属した。12月末、三式戦闘機に乗ってウエワクに進出。昭和19年2月、事故で負傷。8月、本土に帰還、飛行第105戦隊に転属となり、終戦時は台湾に展開していた。総撃墜数７機。最終階級は中尉。参考：日本陸軍戦闘機隊

＜赤軍野外教令＞：ソ連軍の軍団・師団レベルの戦術教範。1925年に赤軍野外教令草案として起草され、1929年に改訂されて赤軍野外教令となった。1936年には完全に内容を刷新した新たな教令（1936年発布臨時労農赤軍野外教令）を発行している。参考：歴史群像6,’08

　＜赤軍野外教令（１９２９年版）＞：機動力を重視しているが、機械化が進んでいなかったため、歩兵を中心に騎兵や戦車が協同する方式だった。参考：月刊軍事研究7,’16

　＜臨時労農赤軍野外教令＞：1936年に公布された。綱領、捜索及び警戒、後方勤務、政治作業、戦闘指揮の原則、遭遇戦、攻撃、防御、夜間行動、冬季行動、特殊状況における行動、軍隊の移動、宿営並びに宿営間の警戒の13章からなる。冒頭では、軍の任務が社会主義国家の防衛にあると記されている。また、教令にこだわらず状況に応じて適切な判断を下すことも求めている。社会主義国家を犯すものがあるならば何であろうと全力で反撃し、更に進んで敵国領内に侵入、敵国を完全に覆滅することが戦争の目的であると定めており、これを達成するためには敵国の大衆をプロレタリア革命化する必要があることから、軍内外の幹部、政治部員、政治機関が政治作業を同時に進めるとした。戦闘行為の主眼は常に敵を求める闘志であり、敵に接すれば命令が無くても直ちに攻撃せよとあるが、必ず敵に対して優勢であるとは限らないので、ただがむしゃらに突撃するのではなく、非重点方面は敵を牽制するに止め、その間に重点方面に兵力や資材を集結し、決定的な量的優勢を確保し、歩兵を中心とした適切な諸兵連合を構成して攻勢に出よとも記されている。また、敵の意表を突く事も重視され、技術的・戦術的奇襲が重用された。戦闘の大部分は火力で構成されるとしており、近代戦では弾薬を大量に消費することから、事前に十分な備蓄を行うことが指揮官や幕僚の最大の使命であると述べられている。陣地に関しては、あくまでも敵を一時的に拘束するためのものであり、その隙に主力が別の場所に集結して機動戦により敵に圧倒的な打撃を与えるとした。攻撃は全縦深同時打撃で、主攻方面と助攻方面の２方向から攻勢をかけ、戦車と機械化歩兵を中心とする攻撃部隊を打撃部隊と拘束部隊に分けて数個梯団ずつ配置し、航空部隊と空挺部隊で後方予備に、砲兵で前線全縦深に打撃を与えて敵部隊の協同行動を不可能にした上で、攻撃部隊第１梯団で第１陣地帯、第２梯団で第２陣地帯、第３梯団で第３陣地帯、…と各個撃破し、全陣地帯を突破したらそのまま後方に突入して退路を断ち、包囲殲滅する。遭遇戦では機先を制して主導権を握るのが重要であるとしており、敵情の正確な把握を待っていると時期を逃すので、取り敢えず地形だけ把握して攻撃に入ることもある。参考：歴史群像10,’08、6,’08、10,’11、月刊軍事研究7,’16

＜赤鮫＞：K-ASROC（艦対潜ミサイル）を参照。

＜石嘴山＞：609（コルベット）を参照。

＜赤十字記章＞：赤十字条約に基づいて戦時傷病者を救済する団体及びその活動を保護するための記章。敵方であっても、着用している者に対して故意に危害を加えてはならない。当然ながら濫用も禁止されており、赤十字条約に基づいて各国で使用を規制する法律（日本は明治42年の商標法改正で赤十字記号の乱用禁止を定め、大正2年に勅令第16号赤十字記章名称等使用者処罰の件を制定、昭和13年に陸海軍奨励第１号赤十字記章使用許可規定を制定、昭和22年12月10日に法律第159号赤十字の標章・名称等の使用の制限に関する法律を公布・昭和23年1月1日施行）を定めている。参考：日本赤十字社社史稿第５巻、第６巻

　＜赤十字記章（１９２９年７月２７日のジュネーブ条約）＞：ジュネーブ条約第６章（殊別記章）に記載がある。スイスに対して敬意を表するため、スイス国旗の色を逆転させて作成した白地赤十字の紋章は、軍隊の衛生勤務の標章及び殊別記章として維持される。赤十字の代わりに白地に赤新月または赤の獅子及び太陽を殊別記章として既に使用している諸国については、その標章を本条約の意義に於いて同様のものとする。白地赤十字の標章及び赤十字又はジュネーブ十字の語は、平時と戦時とを問わず、本条約により保護された衛生上の部隊及び営造物並びに人員及び材料を保護し又は表示するためでなければ、使用してはならない。各国赤十字（赤新月又は赤の獅子及び太陽）社の明白な許可を得た場合は、専ら傷病者の無料看護に充てられた救護所の場所を指示するため、平時に於いて本条約の標章を使用できる。参考：日本赤十字社社史稿第５巻

　＜赤十字記章（ジュネーブ第１条約）＞：ジュネーブ第１条約第７章「特殊標章」に規定されている。スイスに敬意を表するため、スイス連邦の国旗の配色を転倒して作成した白地に赤十字の紋章。赤十字の代わりに白地に赤新月または赤のライオン及び太陽を標章として既に使用している国については、それらの標章を同様に認める。権限のある軍当局の指示に基づき、衛生機関が使用する旗、腕章及び全ての材料に表示しなければならない。紛争当事国は、軍事上の事情が許す限り、敵対的行為が行われる可能性を除くため、敵の陸軍、空軍、海軍が衛生部隊及び衛生施設を表示する特殊標章を明白に識別することができるようにするため、必要な措置を執らなければならない。赤十字標章及び赤十字またはジュネーブ十字という語は、平時・戦時を問わず、ジュネーブ第１条約及びその条約と同様な事項について定める他の条約によって保護される衛生部隊、衛生施設、要員及び材料を表示または保護するためでなければ、使用してはならない。ただし、各国赤十字社は、平時に於いて自国の国内法令に従い、赤十字国際会議が定める原則に適合する自己のその他の活動のため、赤十字の名称と標章を使用することができる。それらの活動が戦時に行われる時は、標章の使用が本条約の保護を与えるものと認められる恐れが無いような条件（比較的小型の標章とし、腕章や建物の屋根には付けない）で使用しなければならない。また、赤十字国際機関及び正当に権限を与えられたその職員は、いつでも白地に赤十字の標章を使用することを許される。例外的措置として、国内法令に従い、かつ各国赤十字社の一から明示の許可を受けて、救急車として使用される車両を識別するため、及び傷病者に無償で治療を行うために専ら充てられる救護所の位置を表示するため、平時に於いて使用することができる。公私を問わず、個人、団体、商社、会社で、本条約に基づく使用の権利を与えられていないものが赤十字またはジュネーブ十字またはこれらを模倣した標章・記章または名称を使用することは、目的と採用日時如何を問わず、常に禁止する。ちなみに、赤十字記章のベースとなったスイス連邦国旗に敬意を払うためと、赤十字記章との混同を避けるため、商標としてであると又はその一部としてであるとを問わず、商業上の道徳に反する目的で又はスイス人の国民感情を害する恐れのある状態で、私人・団体・商社がスイス連邦の紋章またはそれを模倣した記章を使用することも、常に禁止されている。参考：日本赤十字社社史稿第６巻

＜赤十字条約＞：ジュネーブ条約またはジュネーブ第１条約を参照。

＜赤十字通信＞：赤十字機関が仲介する通信で、戦争中に通信ができない敵国または中立国にいる親戚・知人と消息を交換するものである。参考：日本赤十字社社史稿第５巻

　＜赤十字通信（太平洋戦争時、日本）＞：昭和17年10月12日から日本赤十字社で事務を開始した。発信人は本邦人、同盟国人、中立国人、抑留敵国人で、受信者の制限は無い。カタカナ50字以内（濁音、半濁音、捉音、拗音などは１字に算定）で、内容は個人や家族の安否、消息、照会、通報、並びにその返答に限定され、特例を除いて一人あるいは一家族が２ヶ月に１回のみ行える。希望者は日本赤十字社俘虜救恤委員部または日本赤十字社支部で通信送達依頼書を受領し、所要事項を記入して封筒に赤十字通信と朱書きし、郵税・手数料計70銭を添え俘虜救恤委員部に申し込む。日本赤十字社は不適当な箇所を削除または訂正し（内容によっては引き受けないこともある）、依頼された通信を所定の用紙に印書し、ジュネーブの赤十字国際委員会に送付、赤十字国際委員会は敵国または中立国の赤十字社に転送し、その国の赤十字社が名宛て人に送る。当時のアメリカ政府は、敵地宛または敵地からの私信に関し、出生証明・婚姻証明・死亡証明・離婚判決・訴訟などに関する法律上の通告、各種法定文書、各種手当の請求、私有財産・営業・不動産・債務弁済に関するものなど私用目的を有する文書の送達は許可しないこと、赤十字通信は安否や所在照会を含む簡単かつ意味が明瞭で検閲を経て平文で送達する場合に限り郵便や電信での送達を許可することを、修正対敵取引法で規定していた。昭和18年度の発信数は39521通で、うち17000通が第２回日米交換船で送付された。受信数は日本人宛35000通（うち17000通が交換船）、外国人宛86486通だった。安否調査は発信2184通、回答・調査依頼1345通。昭和19年は発信43900通強、受信4500通強、安否調査5800通強、捕虜・抑留者郵便99900通強だった。昭和20年は日本人向け発信9583通、外国人向け発信588通、安否調査発信4508通、消息通信発信436通、日本人向け受信19339通、外国人向け受信6133通、安否調査受信2614通、消息通心受信98通、捕虜・抑留者電報2493通だった。昭和21年は赤十字通信213157通、安否調査64835通、捕虜通信149208通だった。昭和22年は赤十字通信7748通、安否調査167通、捕虜通信2400通だった。昭和23年は赤十字通信4703通、安否調査493通、捕虜通信824通だった。昭和24年は赤十字通信2654通、安否調査964通、捕虜通信511通だった。昭和25年は赤十字通信2414通、安否調査400通、捕虜通信731通だった、昭和26年は赤十字通信131通、安否調査1492通だった。昭和27年は赤十字通信980通、安否調査196通だった。昭和28年は赤十字通信０通、安否調査98通だった。昭和29年は赤十字通信2640通、安否調査60通だった。昭和30年は赤十字通信・安否調査とも０通だった。昭和21-24年にソ連抑留邦人から日本の家族に直接送られた捕虜通信は102万通だが、受取人転居や住所誤記などで配達不能のものが12760通あったので、郵政省、引揚援護庁、日本赤十字社で受取人を探し出して2149通を届けている。参考：日本赤十字社社史稿第５巻、第６巻

＜石炭＞：1kgあたりのカロリーは5000-8500kcal、熱効率50-70%。炭素含有量などの違いで、無煙炭（炭素含有量90%以上）、半無煙炭（80%以上）、瀝青炭（83-90%）、亜瀝青炭（78-83%）、褐炭（70-78%）、亜炭（70%以下）に分類され、炭素含有量が多いほど重量あたりの熱量が大きく、黒煙や灰が出ない。人力で炉に投入するため継続的な安定燃焼には熟練の業が必要である。燃料庫に積む際も、ベルトコンベアやショベルカーで適当に放り込むと粉塵爆発を起こすので、人力に頼らざるを得ず、上甲板から缶室の隣にある燃料庫まで運ばなければならないので、補給に時間がかかる。サイズがバラバラなので、貯蔵する際のデッドスペースが多く、レンガ状の練炭にするといった工夫が要る。参考：月刊軍事研究12,’16、12,’07

　＜石炭（ドイツ）＞：第１次大戦で使用していたのは褐炭で、発熱量7000kcal/kg弱とイギリスのカージフ炭（7700kcal/kg）よりも熱量が小さく、揮発分の多い軟質炭のため煤煙が酷く、岩石質も多いので多量の灰が火床に蓄積し、最大出力を継続的に発揮するのが困難だった。参考：月刊世界の艦船1,’12

　＜石炭（日本）＞：日本国内では天草などで無煙炭が産出したが、粉炭のため燃料に出来ず、唐津の瀝青炭はカロリーは高いものの煤煙が酷く、福岡県の赤池炭坑のものを使用した。それでも煤煙に悩まされ、カロリーも低めで出力が落ちたため、戦時にはイギリスから高カロリーで無煙のカージフ炭を輸入することにしている。しかし日清戦争では輸入が間に合わず、この戦訓から明治32年にフランスと同じく粉炭をピッチで固形化して練炭にするという方法を採用した。輸入したカージフ炭が輸送中に10%ほど粉炭になるので、これも練炭にしている。粉炭の産地は山口県の美祢に決定、練炭製造器はフランスから輸入したものの、徳山の練炭製造所に到着して稼働を始めたのが日本海海戦の１ヶ月前で、練炭は日露戦争に間に合わなかった。日露戦争時には巡航時に国産の有煙炭、戦闘中にカージフ炭を使用している。参考：月刊軍事研究12,’07

＜石炭専焼缶＞：燃料として石炭のみを使用する主缶のこと。手間を省こうとベルトコンベアで石炭を適当に流し込んだりすると出力が安定しないので、燃え具合を見ながら人力で均等に投入する必要があり、奥行きが8.5フィート（2.59m）しか取れず、出力強化に限界がある。石炭の産地による発生熱量のばらつきが大きく、燃え滓を取り除いてやる必要があり、石炭庫への積み込みも面倒で、混焼缶を経て重油専焼缶に取って代わられた。参考：月刊軍事研究1,’16

＜せきちく＞：LSSL-435（警備艇）を参照。

＜赤道（海軍兵学校）＞：海軍兵学校岸壁から500mのところに海岸線と平行に1000m間隔で置かれている、２つの赤いブイを結んだ仮想ラインのこと。海軍兵学校の占有海面を示すもので、ここを越えて沖に出ると一般海面になる。参考：海軍兵学校よもやま物語

＜赤道＞：ニューカレドニア駐留フランス軍による多国間訓練。2003年から隔年で実施されている。参考：朝雲

　＜赤道１３＞：自衛隊が隊員２名をオブザーバー参加させた。参考：朝雲

　＜赤道１５＞：2015年9月28日から10月7日に行われ、フランス、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、自衛隊（統幕５名、空幕１名、中央即応集団１名）、シンガポール、チリ、トンガ、ニュージーランド、バヌアツ、パプアニューギニア、フィジーが参加し、国際緊急援助活動に関する多国間調整力向上を目的として島嶼における人道支援・災害救援活動の訓練を行った。参考：朝雲

　＜赤道１７＞：2017年9月4-15日にニューカレドニアで行われ、フランス、アメリカ、イギリス、オーストラリア、自衛隊（統幕学校１名）、トンガ、ニュージーランド、バヌアツ、パプアニューギニア、フィジーが参加し、島嶼における人道支援・災害救援の多国間指揮所活動訓練などを実施した。参考：朝雲

　＜赤道１９＞：2019年9月21日から10月5日にニューカレドニアで行われ、フランス、アメリカ、イギリス、インドネシア、オーストラリア、カナダ、自衛隊（統幕幹部自衛官３名）、フィジーなど13カ国が参加し、人道支援・災害救援の多国籍指揮所訓練を実施、国際緊急援助活動に関する運用能力向上や相互理解増進などを図った。参考：朝雲

＜赤道ギニア海軍＞：2014年、ウェレンザス級フリゲート１隻が就役。参考：月刊世界の艦船3,’16

＜赤道ギニア海軍（１９８９年）＞：兵力100名。マラボとバタに基地がある。小型内海高速哨戒艇２隻を保有する。参考：ミリタリー・バランス1989-1990

＜赤道ギニア海軍（２０１５年）＞：現役兵力120名。バタ級哨戒艇１隻、ウェレンザス級フリゲート１隻、OPV62級哨戒艇２隻、シャルダグ�U型哨戒艇２隻、小型哨戒艇５隻、デビッド・イーヤマ・アンゲ・オサ大佐級Ro-Ro貨物輸送艦１隻を保有する。参考：THE MILITARY BALANCE 2016

＜赤道ギニア空軍＞：

＜赤道ギニア空軍（１９８９年）＞：兵力100名。Yak-40輸送機１機を保有する。また、C-212輸送機３機をスペインから借りている。参考：ミリタリー・バランス1989-1990

＜赤道ギニア空軍（２０１５年）＞：現役兵力100名。Su-25戦闘機２機、Su-25UB戦闘機２機、An-32B輸送機１機、An-72輸送機２機、ファルコン900要人輸送機１機、L-39C練習機２機、Mi-24P/V攻撃ヘリ５機、Mi-17汎用ヘリ１機、Mi-26輸送ヘリ１機、Ka-29汎用ヘリ１機、エンストロム480軽輸送ヘリ２機を保有する。参考：THE MILITARY BALANCE 2016

＜赤道ギニア軍＞：

　＜赤道ギニア軍（２０１５年）＞：現役総兵力1320名（陸軍1100名、海軍120名、空軍100名）。準軍事組織として市民防衛隊２個中隊と沿岸警備隊（哨戒艇１隻保有）がある。参考：THE MILITARY BALANCE 2016

＜赤道ギニア陸軍＞：

＜赤道ギニア陸軍（１９８９年）＞：兵力1100名。歩兵大隊３個からなる。BRDM-2偵察車６両、BTR-152装甲兵員輸送車10両を保有する。参考：ミリタリー・バランス1989-1990

＜赤道ギニア陸軍（２０１５年）＞：現役兵力1100名。歩兵大隊３個からなる。T-55戦車３両、BRDM-2偵察車６両、BMP-1歩兵戦闘車20両、BTR-152装甲兵員輸送車10両、Reva装甲車12両（を保有しているという報告あり）を保有している。参考：THE MILITARY BALANCE 2016

＜赤道祭＞：艦船が赤道を通過する時に行う、船乗りの慣例行事。海自遠洋航海でも行われる。参考：月刊軍事研究9,’13

＜責任トン数＞：船舶油濁損害賠償保障法、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律で定められるトン数のこと。国際総トン数と同じ値である。参考：図解船の科学

＜赤峰丸＞：日本陸軍輸送船Sekiho maru。大元は1920年（大正9年）7月に竣工したカナダ政府の標準貨物船カナディアン・インヴェンターで、昭和8年9月に大連汽船が購入して改称され、太平洋戦争勃発で日本陸軍に徴用された。垂線間長121.9m、幅15.97m、深さ9.4m、満載吃水7.66m、総トン数5403トン、重量トン数8274トン。主機は三連成レシプロ蒸気機関１基１軸2800馬力、航海速力９ノット、最大速力12ノット。昭和19年11月13日、マニラ港内で爆撃を受けて沈没した。参考：月刊世界の艦船3,’15

＜関谷喜芳＞：せきやきよし。日本海軍エース。大正10年、栃木県生まれ。昭和14年、海軍に入隊し、昭和15年11月に丙種飛行予科練習生となり、昭和16年11月に飛行練習生課程を卒業、昭和17年春に第３航空隊に配属された。昭和17年6月16日のダーウィン攻撃が初陣である。秋、第582航空隊に転属してラバウルに展開。昭和18年7月、第204航空隊に転属した。11月、横須賀航空隊に転属し、本土に帰還。昭和19年6月、あ号作戦のため硫黄島に進出。6月24日、硫黄島上空で未帰還となり、戦死認定された。公認撃墜数11機。最終階級は飛曹長。参考：日本海軍戦闘機隊

＜関山演習場＞：陸上自衛隊の演習場で、高田関山演習場ともいう。新潟県にある。面積1408万平方メートル。在日米軍の地位協定に基づく日米共同施設区域である。ヘリが離着陸する際には民家上空を飛行しないという取り決めがある。2015年7月11日、即応予備自衛官雇用企業主ら10社15人に訓練公開を実施。即応予備自衛官58名の訓練の様子を見学した。参考：月刊軍事研究4,’10、3,’10、朝雲

＜石油＞：可燃性液状炭化水素で、炭素を79-88%、水素を10-14%、窒素を1%、酸素を0-3.3%、硫黄を0-4%含む。これよりも炭素が少ないものは天然ガスとなり、多いものはアスファルトとなる。動植物など有機生物の死骸が地中で変化して生じたという説（有機成因説）が有力で、一部には高圧環境下で炭素と水素が重合して自然生成するという説（無機成因説）もある。性質の違いでアスファルト系とパラフィン系に分かれる。原油からの精製は各種炭化水素の沸点の差を利用した分留法により行う。50度で天然ガスが分離し、50-100度でガソリン（軽質ナフサ）が、100-180度で重質ナフサが、180-240度で灯油（ケロシン）が、280-360度で軽油と重油がそれぞれ分離、アスファルトや石ロウ（残渣油）が残る。重量比はナフサ20%、ケロシン13%、軽油10%、重油50%、アスファルト・石ロウ7%。常圧で分留した場合、200度以上で分離するものを燃料油と総称し、比重または動粘度により軽油と重油に分ける。また、残渣油を更に分解して分解軽油や分解重油を取り出すこともできる。参考：月刊軍事研究12,’07、2,’08、自動車メカニズム図鑑

＜セキュリティー・クリアランス＞：アメリカ国家機密を漏らす恐れが無いという認定証。参考：JGroundVol2

＜セキュリティ装置＞：自衛隊の機器。日立製作所製。参考：月刊軍事研究5,’17

＜せきりゅう＞：SS-508（そうりゅう型潜水艦）を参照。

＜赤燐＞：空気を遮断して白燐を250度に加熱すると生じる燐の同素体で、見た目が赤いのでこう呼ばれる。参考：月刊軍事研究4,’09

＜赤燐発煙剤＞：主に救難用として使用される発煙剤。赤燐に酸化剤として二酸化マンガンを加え、燃焼持続のためにマグネシウム・アルミニウム粉末や珪素粉末などを添加し、バインダー兼ガス発生物質として油脂を加えている。自然発火はしないので、点火してやる必要がある。参考：火器弾薬技術ハンドブック

＜セクション＞：イギリス陸軍の分隊のこと。参考：コンバット・バイブル

＜セクストン＞：ラム中戦車ファミリーを参照。

＜セクター捜索パターン＞：中心点を定め、そこに一旦戻っては周囲の捜索を続けるパターンで、目標位置が判明している場合に用いる。飛行経路が常に変化するため、レーダーや赤外線暗視装置のポジション・スキャン機能を使用した捜索に適する。参考：月刊JWings12,’99

＜セグマ型＞：671RT型（潜水艦）を参照。

＜セグラ級＞：スペイン海軍掃海艇Segura級。サンダウン級の拡大改良型である。６隻が1999年から就役した。参考：月刊世界の艦船10,’15

＜セグンド＞：SS-398（潜水艦）を参照。

＜セゴ＞：RS-10（ICBM）を参照。

＜せ号作戦＞：太平洋戦争中の昭和17年4月18日、日本本土奇襲攻撃を行ったB-25爆撃機が中国へと飛び去ったのを受け、大本営陸軍部は中国南部沿岸にある飛行場を壊滅させることにし、4月30日に支那派遣軍に対して浙江省方面への攻勢作戦「せ号作戦」を発令した。5月15日、第13軍が６個師団で杭州・寧波から南西に攻勢を開始。5月31日、第11軍が２個師団で南昌から東に攻勢を開始。ついでに杭州と南昌を結ぶ浙贛鉄道沿線も制圧することになり、浙贛作戦と呼ばれるようになった。第13軍は衢州、玉山、麗水の飛行場を制圧し、7月1日には第13軍と第11軍が横峯で手を結び、打通に成功した。参考：歴史群像8,’15

＜セ号飛行＞：A-26（長距離機）を参照。

＜セゴシェゴン・パワー＞：フランスのネクスター社が開発した装輪車両（４×４から10×10まで）用タイヤ圧／姿勢自動制御システム。路上、路外、砂地、緊急時の４モードを持つ。イーグル装甲車、ボクサー装甲車、ハスキー2G地雷処理車、RG-32装甲車が採用しており、陸自16式機動戦闘車も使用する予定である。参考：月刊軍事研究8,’11

＜セコンド＞：日本海軍士官のスラングで、後妻のこと。参考：帝国陸海軍事典

＜セサ＞：海上自衛隊の略号で、先任幕僚や首席幕僚のこと。参考：月刊軍事研究10,’13、日本の防衛戦力Part3

＜セザール・チャベス＞：T-AKE-14（貨物弾薬補給艦）を参照。

＜セ作戦＞：ルンガ沖航空戦を参照。

＜セシ＞：海上自衛隊の略号で、船務士のこと。参考：月刊軍事研究10,’13

＜世昌＞：82（航空練習艦）を参照。

＜世昌級航空練習艦＞：中国海軍初の航空練習艦シーチャン（Shichang）級。ROROコンテナ船がベースで、前部に背の高い上構があり、中央から後部がヘリ甲板で、艦後部右舷に煙突があり、その前後に１カ所ずつのヘリ発着スポットを持つ。ヘリ格納施設などをモジュール化していて、医療関連コンテナを搭載すれば病院船になる。航海訓練艦や重量物輸送艦としても使用でき、20フィート型コンテナなら312個積むことが可能で、ミサイル艇を輸送したこともある。全長120m、全幅18m、吃水7m、満載排水量10160トン。主機はディーゼル、速力17.5ノット。Zhi-9Aヘリ２機を搭載できる。乗員170名＋教官30名＋実習員200名。艦番号82世昌が1997年に就役した。参考：中国／台湾海軍ハンドブック改訂第２版、月刊世界の艦船6,’14、3,’13、9,’11、7,’98

＜世宗大王＞：991（イージス艦）を参照。

＜セジョンデワン＞：991（イージス艦）を参照。

＜セシル＞：APA-96（攻撃輸送艦）を参照。

＜セジル＞：イラン空軍長射程空対空ミサイルSedjeel。F-14戦闘機用AIM-54空対空ミサイルの代替としてホーク地対空ミサイルをベースに開発したが、2019年現在、実用化できていないらしい。参考：月刊航空ファン9,’19、軍用機ウェポン・ハンドブック

＜セジル・シリーズ＞：イラン革命防衛隊空軍IRBM、別名アーシュラ。2007年秋に開発が公表された。参考：月刊軍事研究11,’11

＜セジル１＞：2008年11月に発射テストが行われた。全長18.21m、胴体直径1.25m、発射総重量21.5トン、弾頭重量１トン。推進は２段式固体燃料ロケット、射程2500km。ギリシャ、スロベキア、ハンガリー、ブルガリア、ポーランド、ルーマニアが射程内に入る。参考：月刊軍事研究11,’11、2,’10

＜セジル２＞：セジル１の誘導航法装置改良型Sajjil-2。2007年11月と2008年11月に発射試験に失敗し、2009年5月と12月16日に成功した。イラン側はRAMを塗っているなどとしているが、本当かどうかは不明。全長19m、直径1.5m。推進は２段式固体燃料ロケット、射程2000km。参考：月刊航空情報3,’10、月刊軍事研究11,’11、THE MILITARY BALANCE 2016

＜セシル・Ｊ・ドイル＞：DE-368（護衛駆逐艦）を参照。

＜ゼスト＞：R02（駆逐艦）を参照。

＜セスナ１７２シリーズ＞：テキストロン・アビエーション社／セスナ社の単発プロペラ機Cessna172、別名スカイホーク（Skyhawk）。参考：世界航空機年鑑2018-2019

＜セスナ１７２＞：セスナ170の降着装置を前輪式固定脚に変更したものである。主翼は高翼配置で、コクピット上面から突き出しており、支柱が１本付いている。最大速度230km、実用上昇限度4000m以上、航続距離1000km。1985年に製造を終了した。参考：世界航空機年鑑2018-2019、月刊JWings10,’17

＜セスナ１７２Ｒ＞：製造再開型で、ＲはRestartの略。ついでにエンジンを燃料直噴式（定格出力180馬力を160馬力に減格）とし、ハネウェル製アビオニクスを積んで計器飛行装備を強化した。1995年4月19日に原型機が初飛行している。参考：世界航空機年鑑2018-2019

＜スカイホークＳＰ＞：SPはSpecial Performanceの略。セスナ172Rのエンジン減格使用を止めて最大離着陸重量を45kg増やし、内装を豪華にした。1998年7月から納入された。参考：世界航空機年鑑2018-2019

＜セスナ１７２Ｓ＞：セスナ172Rの改良型。主翼端、主翼支柱、車輪カバーなどを空力的に改善した。全長8.28m、全幅11m、全高2.72m、自重746kg、最大離陸重量1111kg。翼面積16.17平方メートル。エンジンはライカミング製IO-360-L2A（160馬力）単発、巡航速度226km（高度2440m、80%出力）、最大速度227km（海面上）、失速速度87km（フラップ下げ）、実用上昇限度4115m、海面上昇率毎分219m、航続距離1074km（＋余裕燃料）。乗員１名。客席数３。2001年から2005年9月に3245機が生産された。参考：世界航空機年鑑2018-2019

＜セスナ１７２海外シリーズ＞

　＜セスナＦ１７２Ｐ＞：フランスでライセンス生産されたもの。1985年に西ドイツから飛び立って赤の広場に着陸した機体もこれで、後に巡り巡って一時日本に置かれていたことがあり、宇都宮スポーツプラザの駐車場に展示されていた。参考：月刊JWings4,’04

＜セスナ１７２海外ファミリー＞

　＜テキストロン・アビエーション式１７２Ｓ型＞：海上保安庁練習機、公式略称セスナ172型、メーカー名称セスナ172JT-A型。操縦士教官予定者の技量維持用と操縦士の基礎訓練に使用される。コクピットは並列複座で、計器板はMFD２枚によるグラス・コクピットである。地方空港で航空機用ガソリンを扱わない所が増えたので、エンジンをディーゼルにしてジェット燃料を使えるようにした。全長8.28m、全幅10.97m、全高2.72m、自重813kg、最大離陸重量1157kg。エンジンはターボ・ディーゼル（180馬力）単発、巡航速度124ノット、最大速度163ノット、最大航続距離640海里。最大搭乗者数４名。５機が2018年に就役した。参考：月刊世界の艦船10,'20、7,’18

＜セスナ１８０＞：セスナ社の単発プロペラ軽飛行機。降着装置は尾輪式。参考：世界航空機年鑑2018-2019

＜セスナ１８０海外シリーズ＞

＜セスナ１８０（ビルマ空軍）＞：ビルマ空軍軽貨物機。1956年、アメリカから10機を輸入した。21世紀に入ってから除籍されたらしい。参考：月刊航空ファン12,’16

＜セスナ１８２シリーズ＞：テキストロン・アビエーション社／セスナ社の軽飛行機、別名スカイレーン（Skylane）。1956年から販売され、1986年に一旦販売を中止、1997年に再開し、21世紀に入って再び中止、その後また生産しており、2019年現在で各型（フランス製含む）計19812機、引込脚のRGシリーズは各型（フランス製含む）計2102機が製作された。10カ国が軍用に採用している。参考：世界航空機年鑑2018-2019

　＜セスナ１８２＞：セスナ180の降着装置を前輪式にしたもの。セスナ172と同様の形状で、乗員・乗客数も同じだが、エンジン出力に余裕があり、装備も豪華にしてある。参考：世界航空機年鑑2018-2019

　＜セスナ１８２Ｓ＞：1996年7月16日に初飛行し、1997年4月から販売された。アビオニクスを新型にして計器飛行装備を強化、座席を26G（ダイナミック）耐空基準対応とし、エンジンを強化、プロペラを定速３翅にしている。参考：世界航空機年鑑2018-2019

　＜セスナ１８２Ｔ＞：セスナ182Sの空力性能改善型。翼端や車輪カバーの形状を変更した。全長2.84m、全幅10.97m、全高2.84m、自重873kg、最大離陸重量1406kg。翼面積16.3平方メートル。エンジンはコンチネンタル製IO-540-AB1A5（230馬力）単発、巡航速度269km（高度2135m、80%出力）、最大速度278km（海面上）、失速速度91km（フラップ下げ）、実用上昇限度5515m、海面上昇率毎分282m、航続距離1722km（高度3050m、55%出力、余裕燃料あり）。乗員１名。客席数３。2001年から販売された。参考：世界航空機年鑑2018-2019

　＜セスナＴ１８２Ｔ＞：エンジン強化型、別名ターボスカイレーン。エンジンをライカミング製TIO-540-AK1A（235馬力）に換装した。2002年2月に初号機が納入されている。参考：世界航空機年鑑2018-2019

＜セスナ２０６シリーズ＞：テキストロン・アビエーション社／セスナ社の軽飛行機、別名ステイショネア（Stationair）。センチュリオンの固定脚型である。1985年末までに各型計7556機が生産された。1998年12月からエンジンをライカミング社製IO-540に換装したタイプを販売している。参考：世界航空機年鑑2018-2019

　＜ステイショネア６＞：標準仕様の６人乗り型。胴体左に乗員用ドア、右に両開き貨物ドアがある。1964年から販売された。参考：世界航空機年鑑2018-2019

　＜ステイショネア７＞：７人乗り型。参考：世界航空機年鑑2018-2019

　＜ステイショネア８＞：８人乗り型。参考：世界航空機年鑑2018-2019

　＜ターボステイショネア＞：高々度型。酸素吸入装置を標準装備する。1966年から販売された。参考：世界航空機年鑑2018-2019

　＜Ｔ２０６Ｈ＞：ターボ・スーパーチャージャー付き再販型、別名ターボステイショネア。原型機は1996年11月6日に初飛行した。主翼はキャビン天井から横に延びる高翼配置で、支柱が１本付いている。降着装置は前輪式固定脚。全長8.61m、全幅10.97m、全高2.83m、自重987kg、最大離陸重量1633kg。翼面積16.3平方メートル。エンジンはライカミング製IO-540-AJIA（310馬力）単発、巡航速度304km（高度5180m、75%出力）、失速速度100km（フラップ下げ）、実用上昇限度8230m、海面上昇率毎分320m、燃料搭載量333リットル。乗員１名。客席数５。参考：世界航空機年鑑2018-2019

＜セスナ２０６海外ファミリー＞

　＜セスナ２０６型＞：海上保安庁小型飛行機。セスナ206ステイショネア６に物件投下口や機外拡声器などを追加したもので、海難救助や港外監視を主任務とし、訓練にも使用された。１機が就役し、2015年に退役した。参考：月刊世界の艦船7,’18

＜セスナ２０８シリーズ＞：テキストロン・アビエーション社／セスナ社の軽多用途機Cessna 208、別名キャラバン�T（Caravan�T）。セスナ社初のターボプロップ機で、1982年12月9日に初飛行した。参考：世界航空機年鑑2018-2019

＜セスナ２０８＞：主翼は高翼配置で、支柱が１本付く。横操縦はエルロンとスポイラーで行う。降着装置は前輪式固定脚、脚支柱はテーパー鋼管。全長11.46m、全幅15.88m、全高4.32m、機体重量1.724トン。翼面積25.96平方メートル。エンジンはプラット＆ホイットニー・カナダ社製PT6A-114A（675馬力）。貨物容積9.5立方メートル、ペイロード1.361トン。1985年から販売された。参考：月刊航空ファン1,’17、世界航空機年鑑2018-2019

＜セスナ２０８Ｂ＞：胴体延長型、別名スーパーカーゴマスター。フェデラル・エクスプレスの要求により開発した。胴体を1.2m延長し、エンジンを換装、貨物容積とペイロードを拡大した。エンジンはPT6A-114A（675軸馬力）単発。貨物容積12.7立方メートル（カーゴポッド含む）、ペイロード1.588トン。参考：世界航空機年鑑2018-2019

＜セスナ２０８−６７５＞：セスナ208の機体にセスナ208Bと同じエンジンを積んだもの。全長11.46m、全幅15.88m、全高4.51m、空虚重量2.139トン、最大離陸重量3.629トン。翼面積25.96平方メートル。エンジンはプラット＆ホイットニー・カナダ社製PT6A-114A（675軸馬力）単発、巡航速度325km、最大速度344km、失速速度113km（フラップ下げ）、実用上昇限度7620m、海面上昇率毎分376m、燃料搭載量1268リットル。乗員１名。客席数９。1998年4月から引き渡された。参考：世界航空機年鑑2018-2019

＜グランドキャラバン＞：汎用輸送型Grand Caravan。セスナ208Bがベースである。全長11.46m、全幅15.87m、全高4.53m、最大離陸重量3.629トン。エンジンはプラット＆ホイットニー・カナダ社製PT6A-114A（675軸馬力）単発、巡航速度344km、上昇限度7620m、航続距離1982km。乗員２名。客席数12。2017年から、オプションでPT6A-42Aエンジン（850馬力）＋複合材製カウリング＋５翅軽量低騒音プロペラを選択できるようになった。参考：世界航空機年鑑2018-2019

＜グランドキャラバンＥＸ＞：汎用輸送型Grand Caravan EX。グランドキャラバンの高温高湿度対応型で、2013年に初飛行した。機体を拡大してエンジンを強化し、カービン製G1000NXiアビオニクス・スイートを装備、計器板に液晶ディスプレイ３基を装着した。全長12.67m、全幅15.87m、全高4.6m、最大離陸重量3.995トン。エンジンはPT6A-140（867馬力）単発、巡航速度361km、上昇限度7620m、航続距離1785km。乗員２名。客席数12。参考：世界航空機年鑑2018-2019

＜スーパーカーゴマスターＥＸ＞：グランドキャラバンEXの貨物専用型。参考：世界航空機年鑑2018-2019

＜セスナ２０８海外シリーズ＞

　＜Ｃ−９８シリーズ（ブラジル空軍）＞：C-98シリーズを参照。

　＜セスナ２０８（イラク空軍）＞：イラク空軍軽輸送機、別名Grand Caravan。参考：THE MILITARY BALANCE 2016

＜セスナ２０８海外ファミリー＞

　＜Ｕ−２７Ａ＞：U-27A（COIN機）を参照。

＜セスナ２０８Ｂ（ＩＳＲ用）＞：ヨルダン空軍ISR機。セスナ208Bにウェスカム社製MX-15FLIRとデータリンクを搭載しており、1920×1020ピクセルの高画質ビデオ画像なら20-30km、通常画質のビデオ画像なら90km先に送信可能。コクピットはNVG対応である。攻撃機への改造も検討中。参考：月刊軍事研究8,’10

＜セスナ３１０＞：セスナ社の双発プロペラ機Cessna 310。アスペクト比7.61。参考：航空機設計法

＜セスナ３３７＞：セスナ社の軽飛行機、別名スーパースカイマスター。胴体内にエンジンを前後で並べたタンデム・エンジン機で、機首にプル・プロペラ、胴体尾部にプッシャー・プロペラが付く。プッシャー・プロペラがあるので通常形式の尾翼は付けられず、胴体長さを最小限にしてツイン・テールブーム機にした。片発停止時にヨーイング・モーメントを発生させない目的で採用したタンデム・エンジン配置だったが、後方エンジンの冷却不良でトラブルが多発している。アメリカ軍がO-2前線航空統制・心理戦機として配備した。参考：航空機設計法、月刊航空ファン9,’17

＜セスナ３３７海外シリーズ＞

＜セスナ３３７Ｆ（スリランカ空軍）＞：スリランカ空軍COIN機。1972年に４機、1984年に２機を配備した。当初は軍の商業運航ヘリツアーズに使用されたが、スリランカ内戦激化でキャビンに機銃を積んでCOIN機に転用され、更に沿岸哨戒機となり1993年に退役した。参考：月刊航空ファン9,’17

＜セスナ４０１Ａ（インドネシア空軍）＞：インドネシア空軍双発人員輸送機。1969年に５機を導入して第17飛行隊に配備し、1983年に第４飛行隊に移った。参考：月刊航空ファン2,’19

＜セスナ４０２＞：セスナ社の双発プロペラ機Cessna 402。アスペクト比8.6。参考：航空機設計法

＜セスナ４０２Ａ（インドネシア空軍）＞：インドネシア空軍双発汎用輸送機。1969年に２機を導入して第17飛行隊に配備し、1983年に第４飛行隊に移った。参考：月刊航空ファン2,’19

＜セスナ５００＞：セスナ525シリーズを参照。

＜セスナ５１０＞：セスナ社のVLJ（Very Light Jet）級ビジネスジェット機、別名マスタング（Mustang）。サイテーション・ジェットの最小型で、2002年に計画が発表され、2005年4月23日に原型機が初飛行し、2006年9月8日にFAAの形式証明を取得した。双発リアジェット機で、主翼は低翼配置、尾翼はＴ字、降着装置は前輪式引込脚。全長12.37m、全幅13.16m、全高4.09m、運航自重2.427トン、最大離陸重量3.921トン。エンジンはプラット＆ホイットニー社製PW615F（推力0.662トン）双発、最大速度463km・マッハ0.63、航続距離2130km。乗員２名。客席数４。2007年4月から量産機が引き渡された。当初は高めの価格設定で売り上げが伸び悩んだが、既存のセスナ機パイロットが簡単に移行できるので、2017年時点で479機を売り上げている。参考：世界航空機年鑑2018-2019

＜セスナ５２５シリーズ＞：セスナ社の小型ビジネスジェット機Cessna 525、計画名セスナ500（Cessna 500）。参考：世界航空機年鑑2018-2019

　＜セスナ５２５＞：商品名CJ1。機体は全金属製。主翼は直線テーパー翼で、胴体下面フェアリングから出る低翼配置である。エンジンはリアジェット方式、尾翼はＴ字。2000年2月16日にFAAの形式証明を取得し、3月から納入された。エンジンはウイリアムズ社製FJ44双発。参考：世界航空機年鑑2018-2019

　＜ＣＪ１＋＞：エンジンをFJ44-1A（推力0.846トン）双発に換装したもの。2005年末から納入された。参考：世界航空機年鑑2018-2019

　＜セスナ５２５Ａ＞：商品名CJ2。キャビンを広げ、操縦性能やSTOL性能を強化、速度性能に目を瞑って安価に纏めたものである。2000年6月にFAAの形式証明を取得した。参考：世界航空機年鑑2018-2019

　＜ＣＪ２＋＞：エンジンをFJ44-3A-24（推力1.089トン）双発に換装したもの。2005年10月に形式証明を取得した。参考：世界航空機年鑑2018-2019

　＜セスナ５２５Ｂ＞：商品名CJ3。胴体延長型で、2003年4月17日に原型機が初飛行し、2004年10月15日にFAAの形式証明を取得した。胴体を1m延長してキャビン長を0.61m延ばし、翼スパンを拡大、エンジンを強化している。全長15.29m、全幅16.26m、全高4.62m、空虚重量3.713トン、最大離陸重量6.291トン。エンジンはウイリアムズ社製FJ44-3A（推力1.279トン）双発、最大巡航速度772km、最大運用速度482km、失速速度154km、実用上昇限度13715m、海面上昇率毎分332m、航続距離3472km（NBAA IFR Rev）／3518km（VFR）。乗員１名。客席数4-5。2004年末に初号機が納入された。参考：世界航空機年鑑2018-2019

　＜セスナ５２５Ｃ＞：商品名CJ4。セスナ525Bの胴体を更に延長したもので、2008年5月5日に試作機が初飛行し、2010年3月にFAAの形式証明を取得、4月から納入された。キャビンはセスナ525Bより２フィート（0.61m）長いアンコールの流用で、他にもアンコールのコクピット、セスナ525Bの貨物室、セスナ510の乗降ドア、サイテーション・ソブリンの主翼（後退角12度30分）を組み合わせて開発期間短縮とコスト削減を図っている。アビオニクスはコリンズ社製プロライン21とロックウェル・コリンズ社製Venueキャビン管理システムで、計器板は大型MFD４基によりグラス・コクピット化し、放送型自動位置情報伝送監視装置ADS-B対応トランスポンダー、TCAS�U、TAWSクラスＡ、マルチスキャン気象レーダーなどを搭載した。全長16.26m、全幅15.49m、全高4.67m、空虚重量4.654トン、最大離陸重量7.688トン。エンジンはウイリアムズ製FJ44-4A（推力1.542トン）双発、最大巡航速度806km、最大運用マッハ数0.77、最大運用高度13715m、航続距離3379km（NBA IFR Rev）。乗員1-2名。客席数6-8。国土交通省航空局が飛行検査機として３機を導入した。参考：世界航空機年鑑2018-2019

＜セスナＴ１８２Ｔ＞：セスナ182シリーズを参照。

＜セスナ社＞：アメリカの航空機会社Cessna Aircraft Company。クライド・セスナが1927年に創設した。世界大恐慌で1931年に事業停止に追い込まれ、会社は甥のドゥエイン・ウォレスに売却されたが、その後持ち直して軽飛行機や軍用練習機などを生産している。1952年1月、サイベル・ヘリコプター社を吸収した。1985年、ジェネラル・ダイナミクス社に買収された。1992年、テキストロンに買収され、テキストロン・アビエーションの子会社になった。参考：月刊JWings1,’18、10,’14、世界航空機年鑑2018-2019

＜セスナ・デナリ＞：テキストロン・アビエーション社が開発している軽飛行機Cessna Denali。機体やエンジンの製造に3Dプリンターを取り入れており、チタンやスチールを3Dプリンターで一体成型して部品点数を大幅に減少させた。FADECを備えており、レバー１本でエンジンとプロペラを両方とも制御できる。アビオニクスはガーミン製G3000で、気象レーダー、地形回避警報装置TAWS、放送型自動位置情報伝送監視装置ADS-Bなどを標準装備し、計器板は14インチ（355.6mm）LCDディスプレイ３基（うちタッチパネル２基）でグラス・コクピット化した。オプションでシートトイレも付けられる。全長14.86m、全幅16.54m、全高4.62m。エンジンはジェネラル・エレクトリック製アドバンスド・ターボプロップ（1240馬力）単発、プロペラはマコーリー製複合材５翅（直径2.67m）、巡航速度519km、上昇限度9449m、航続距離3295m。乗員２名。客席数９。2020年の形式証明取得を予定している。参考：世界航空機年鑑2018-2019

＜セスプローラー＞：チェンタウロVBM（歩兵戦闘車）を参照。

＜ゼタ＞：913（潜水艦）を参照。

＜勢多＞：日本海軍勢多型砲艦２番艦Seta。大正12年10月6日竣工、二等砲艦に類別された。昭和6年6月1日、単なる砲艦に類別変更された。昭和12年7月7日、日華事変勃発時は第３艦隊第11戦隊に所属していた。昭和18年6月6日、揚子江上流で爆撃を受けて小破した。昭和20年9月、国府海軍に接収され、長徳（Changteh）と改称された。9月30日、日本の艦籍から除かれた。参考：日本海軍特務艦船史、第２次大戦日本海軍作戦年誌、日本海軍艦隊総覧

＜セダー＞：九五式三型練習機を参照。

＜勢多型＞：日本海軍河用砲艦Seta型。揚子江上流の急流を遡れるよう速力を16ノットとしたが、居住性改善に伴い吃水が1mを超えたため、それまでの河用砲艦よりも行動範囲が狭くなった。船型は平甲板型で、艦首にブルワークを持つ。２本マストで、角型の艦尾を持ち、舵３枚を装備する。水線長54.86m、最大幅8.23m、吃水1.02m、基準排水量305トン、常備排水量338トン。主機は直立式２気筒２段膨張レシプロ蒸気機械２基、主缶はロ号艦本式混焼水管缶２基、出力2100馬力、２軸推進、速力16ノット、燃料搭載量は石炭20トン・重油74トン、航続距離1750海里（10ノット）。兵装は四〇口径三年式八サンチ高角砲２門（上構前後）、13ミリ連装機銃１基（上構後部上面）、13ミリ単装機銃１丁（上構中央上面。一時は機銃を外して15cm曲射砲を載せていたらしい）。勢多、比良、堅田、保津が大正12年から竣工した。上海事変後、高角砲に防楯を付けている。昭和13年頃、錨甲板をブルワーク上端の位置まで持ち上げた。参考：日本海軍特務艦船史、小艦艇入門、月刊世界の艦船11,’00、月刊モデルアート9,’15増刊

＜セタン価＞：軽油の性能を表す指標で、着火性能を表す。α−メチルナフタレン100%の燃料をセタン価０、ノルマルセタン100%の燃料をセタン価100として計測し、値が高いほど着火性能が良く、優れたディーゼル燃料である。値が低いとディーゼル・ノックを起こしやすい。一般的な軽油では35-55。また、120−２×セタン価＝オクタン価という式が成り立つので、セタン価の高い軽油をガソリンエンジンに入れてしまうと、逆にノッキングが発生する。参考：自動車エンジンの技術、自動車メカニズム図鑑

＜積極防空＞：防空を参照。

＜接近角＞：履帯前端が地面となす角度のこと。参考：M1A1戦車とM2/3戦闘車

＜接近拒否戦略＞：A2/ADを参照。

＜設計運動速度＞：機体に制限荷重一杯の加速度をかけることができる最小の速度のこと。これを下回る速度で大きなＧをかけると失速する。参考：月刊JWings9,’16

＜設計最大離陸重量＞：Maximum Design Takeoff Weight。スペック上の最大離陸重量のこと。参考：月刊航空情報5,’18

＜斥候＞：Scout。

　＜斥候（日本陸軍）＞：勤務にあたる者は剛胆、慧敏、熱心、沈著、責任観念旺盛でなければならず、一般の状況と自己の任務とを十分に理解し、それに合った捜索の順序と方法を定める。人馬特に斥候長の人選が重要となる。敵に長時間接触させたり、同じ場所に潜伏させ続けたりするのが有効なことが多い。展望点から展望点に躍進しつつ、目視で捜索するのを主任務とするが、敵の斥候や小部隊に対しては可能な限り攻勢的な行動を取るようにする。撒毒地域に遭遇したら、速やかに報告し、任務に支障の無い限り最寄り部隊に通報し、所要の標示を行う。斥候同士や後方への連絡のため、簡単な記号や夜間識別用の合言葉を決めておくと良い。徒歩斥候は隠蔽行動や夜間潜行に優れ、敵に近接している場合に有利。戦車（装甲車）斥候は、地形が機動に適していれば、短時間での強行捜索に向いている。通常２両以上で編成するが、近距離では１両にすることもある。撒毒が予想される地域、既に撒毒されている地域、一時的に化学兵器が滞留している地域で細部捜索を行う際は、瓦斯勤務員を主体とする瓦斯斥候を派遣する。派出の際には斥候が帰ってくる大凡の時刻を予め決めておく。斥候が歩哨線を通過する時は、近隣の歩哨に任務、経路、帰来地点、時刻などの概要を報告し、歩哨が見聞した新状況を聴取、帰来の際には見聞した事件特に歩哨に必要な事項を告知する。派出された斥候が敵襲を受けた場合、信号又は急射撃により部隊へと急報する。参考：作戦要務令

　＜斥候（陸上自衛隊偵察隊）＞：小隊未満の部隊（組や班など）が実施する情報収集活動のこと。参考：スピアヘッドNo.12

＜浙贛作戦＞：せ号作戦を参照。

＜斥候の五原則＞：斥候が敵情を視察・報告する際の基本事項。いつどこで、誰が、何を、どうして、どうなったか、である。参考：海軍よもやま物語

＜石工鑿＞：日本陸軍の石工器材。参考：工兵入門

＜セッジウィック＞：AKA-110（攻撃貨物輸送艦）を参照。

＜折畳機舟＞：日本陸軍の渡河器材。参考：工兵入門

＜折畳式舟艇積載用自動車＞：日本陸軍の器材。日野重工業製。参考：工兵入門

＜折畳式重門橋＞：日本陸軍の渡河器材。参考：工兵入門

＜雪上車（改）用ゴム履帯＞：自衛隊の履帯。大原鉄工所製。参考：月刊軍事研究9,’09

＜雪上車（航空自衛隊）＞：航空自衛隊の装軌式人員輸送用雪上車SM31DN。佐渡分屯基地ではハイルーフ型を使用している。全長4.2m、全幅2.5m、全高2.9m、車重2.6トン。エンジンは水冷４サイクル直列OHC方式４気筒ディーゼル（総排気量2771cc、出力75馬力）、トランスミッションはMSB-5S（前進５段・後進１段）、最大速度30km、燃料タンク容量80リットル。乗員２名。人員なら８名、荷物なら600kgを乗せられる。大原鉄工所製。参考：航空自衛隊パーフェクトガイド2015、自衛隊装備年鑑1996

＜雪上車用履帯＞：自衛隊の機器。大原鉄工所製。参考：月刊軍事研究1,’17

＜接続水域＞：国連海洋法条約第33条に規定がある。領海の基線から外側24海里で、領海を含まない（つまり領海の更に外側12海里）。沿岸国が通関、財政、出入国管理、衛生に関連する法令の遵守や違反（密輸など）取り締まりのために必要な規制を行うことができる。領海の外側であり、国際海域のため、通航は自由で、潜水艦が潜航していても問題無い。日本は1977年5月2日公布・7月1日施行の領海法（1996年6月14日に領海及び接続水域に関する法律に改称）で接続水域を設けると定めた。参考：月刊JWings4,’13、月刊世界の艦船6,’17、4,’18、ベーシック条約集2018

＜接続標柱＞：日本陸軍の測量器材。参考：工兵入門

＜セッター＞：A189（曳船）を参照。

＜絶対高度＞：Absolute altitude、略称AGL（height Above Ground Level）。地表からの高度の実測値。真高度から真下の地面の標高を引いた値である。参考：航空機設計法

＜絶対国防圏＞：昭和18年9月25日の御前会議で決定された、太平洋戦争における日本軍の防衛ライン。5月12日に北アフリカ戦がドイツ・アフリカ軍集団の降伏で終結、9月8日にはイタリアが降伏し、日独伊でイギリスを降伏させてアメリカとの講和に持ち込む見込みが立たなくなったため、消耗戦を避けて日本の国力に応じたレベルにまで戦線を後退させ、南方地域と本土とのシーレーンを保持する新たな戦略方針として策定した。日本陸軍はマリアナ諸島、西カロリン諸島、西部ニューギニアまで縮小すべきだと主張したが、海軍は連合艦隊根拠地の東カロリン諸島トラック島、艦隊決戦の舞台となる予定のギルバート諸島・マーシャル島までの確保を主張し、結局千島列島、小笠原諸島、マリアナ諸島、カロリン諸島、ニューギニア中央部、小スンダ列島、大スンダ列島、インド・ビルマ国境を結ぶラインで落ちついた。しかしマリアナ諸島やカロリン諸島などには防衛拠点が殆ど構築されておらず、絶対国防圏の圏外に置かれてしまったラバウルの第８方面軍20万名が玉砕覚悟で時間を稼ぐ（ただし補給は無い）ことになっていた。実際、東部ニューギニアの12万名のうち終戦時に生存していたのは８千名で、戦死よりも餓死や病死の方が多かった。また、マーシャル諸島やギルバート諸島は絶対国防圏の外に置かれたが、海軍はここでの艦隊決戦構想を捨てておらず、昭和18年11月にギルバート諸島、昭和19年1月にマーシャル諸島に上陸されると基地航空隊で反撃に出たため、なけなしの航空戦力をすり減らす結果となった。絶対国防圏設定により、島嶼防衛に陸軍部隊が本格的に投入されることとなり、松輸送により島嶼の防御要員の輸送が終わったのは昭和19年5月末だったが、それより前の2月17-18日にトラック島が空襲を受けて基地としての機能を失い、6月にはサイパンに上陸され、マリアナ沖海戦で西太平洋の制海権を失い、7月9日にサイパン守備隊が玉砕、絶対国防圏は崩壊した。参考：月刊軍事研究10,’05、歴史群像10,’06、日本海軍艦隊総覧、激闘！太平洋戦争地上戦、日本戦車隊戦史

＜絶対上昇限度＞：Absolute ceiling。航空機がそれ以上上昇できなくなる（上昇率毎分0m）高度のこと。ただ１つの速度でのみ水平飛行が可能で、増速しても減速しても高度が失われる。理論上の数値であり、絶対上昇限度に達するには無限時間が必要なので、実際に到達することはできない。参考：航空用語事典増補改訂版、月刊JWings10,’09別冊付録

＜絶対的航空優勢＞：エア・スープレマシー。航空優勢を長期間継続できる状態になるまで敵を排除すること。参考：月刊軍事研究1,’08

＜接地圧＞：接地部分の地面にかかる圧力のこと。１平方センチメートル当たり人間の足の裏で0.4-0.5kg、装輪車両で1.5-2.5kg、現用戦車で0.8-1.2kg、戦車以外の装軌車両で0.4-0.6kgくらい。参考：戦車の戦う技術

＜接地速度＞：Touch down speed。航空機の着陸装置または艇体が滑走路に接触する際の速度のこと。着陸面上50フィート（15m）の地点を失速速度の1.3倍で正常に通過してから、着陸装置などが初めて接触する速度であり、通常は失速速度の1.25倍くらいになる。参考：航空用語事典増補改訂版

＜接地帯＞：TDZ（TouchDown Zone）と略す。滑走路末端から滑走路内3000フィート（914.4m）までの部分のこと。滑走路中心線の左右対称に100フィート（30.5m）おきに３個１組の接地帯灯火（Touchdown zone light）、500フィート（152.4m）おきに滑走路標識（Runway marking）が設置されている。直線進入の計器進入方式では、設置帯内の最も標高の高い点を設置帯標高として最低気象条件を設定する。精密進入では、グライドパスと滑走路表面との交わる点を接地点とするが、通常は滑走路末端から750-1250フィート（228.6-381m）内側の設置帯内に設定されている。参考：航空用語事典増補改訂版

＜攝津＞：日本海軍河内型戦艦Settsu。明治42年起工、明治45年7月1日竣工・就役。第１次大戦初期に青島攻略部隊輸送船団を間接護衛した。大正4年11月1日から12月13日、連合艦隊旗艦を務めた。ワシントン会議で廃棄対象となり、攝津型標的艦への改造工事を受け、大正12年10月1日に標的艦に艦種変更された。大正13年、呉工廠で標的曳航設備を搭載。大正15年、新型標的が開発されたため不要となり、予備艦に編入されて呉に繋留された。無条約時代突入で装甲を施すことが可能となり、昭和11-12年に呉工廠で改装を受けて無線操縦による爆撃標的艦となった。昭和15年、有人操縦方式の爆撃・砲撃標的艦となった。昭和16年12月8日、太平洋戦争開戦時は連合艦隊付属だった。昭和20年7月24日、広島港で空襲を受けて着底した。11月20日に除籍され、昭和22年8月5日に解体を完了した。参考：日本海軍特務艦船史、近代戦艦史、戦艦入門、月刊世界の艦船12,’10、1,’12、5,’19、第２次大戦日本海軍作戦年誌、小艦艇入門、日本海軍艦隊総覧

＜攝津型標的艦＞：日本海軍標的艦Settsu型。元は河内型戦艦攝津で、ワシントン条約に基づき兵装と装甲を全て撤去して標的曳航艦に改造したものである。垂線間長152.4m、最大幅25.6m、基準排水量14130トン（26500トン？）。機関出力25000馬力、速力21ノット。昭和11-12年、条約切れで装甲の復活が可能となったため、呉工廠で30kg演習爆弾の4000mからの投弾に耐えられる装甲を施した上で駆逐艦矢風から無線操縦できるように改装され、無人標的艦となった。この際、主缶の大部分を陸揚げして第３缶室に金剛から降ろしたロ号艦本式水管缶２基を搭載、第２缶室を廃止し、煙突を２本に減らしている。煙突頂部には演習爆弾が入り込まないように蓋が設置された。その後、昭和15年に有人標的艦に戻され、艦長や航海長が乗り込んで急降下爆撃や雷撃をかわす訓練にも使用されるようになった。第２缶室を復帰してロ号艦本式水管缶２基を追加し、煙突を３本に増やしている。また、艦橋から後方を見通せるよう第１煙突は低くされ、第１煙突頂部カバーも石炭専焼缶からの濃い排煙が後ろに流れるような形状に変更された。この時の諸元は以下の通り。垂線間長152.40m、最大幅25.45m、吃水8.38m、基準排水量20650トン。主機はカーチス式直結蒸気タービン２基、主缶は宮原式石炭専焼水管缶４基・ロ号艦本式重油専焼水管缶４基、出力16000馬力、２軸推進、速力18.01ノット。射距離17-22kmで発射される20サンチ特型演習弾と、高度4000mから投下される30kg演習爆弾に耐える装甲を持つ。参考：日本海軍特務艦船史、小艦艇入門

＜摂津丸＞：日本陸軍上陸用舟艇母船。第１次戦時標準船の予算で建造され、大阪商船が運航した。太平洋戦争終結後は日本水産に売却され、南氷洋捕鯨船団冷凍母船となった。昭和28年3月、南極ロス海で事故により沈没した。参考：戦時標準船入門

＜セット・イル沖海戦＞：第２次大戦時の1943年10月、ドイツ封鎖突破船ミュンスターラントを撃沈すべく、イギリス海軍軽巡88カリブディスと駆逐艦６隻が出撃。10月22日、英仏海峡フランス沿岸でミュンスターラントと護衛のドイツ海軍T-22級水雷艇５隻（T-26など）及びＲボート６隻を発見して交戦した。10月23日まで続いた戦闘で軽巡88カリブディスが魚雷２本を被雷して沈没し、艦長以下464名が戦死。大破した駆逐艦L57リンボーネも曳航に失敗して処分された。参考：月刊世界の艦船4,’23

＜セットバック電源＞：発射永久磁石がコイル内を移動することにより発電する電源。発生電源は小さい。参考：火器弾薬技術ハンドブック

＜ゼットユー＞：日本海軍士官のスラングで、図々しい人のこと。Zuzushiの頭２文字。参考：帝国陸海軍事典

＜ゼットランド＞：L59（駆逐艦）を参照。

＜ゼッパーＳＲＶ＞：クリエーション社がイギリス軍に提案した４×４輪装甲車で、SRVはSpecial Requirement Vehicleの略。防御力は耐弾レベル２、耐地雷レベル２で、増加装甲を付けるとレベル３になる。戦闘重量７トン。最大速度130km。ペイロード2.5トン。戦闘重量10トン・ペイロード５トンの６×６輪型も計画中。参考：月刊軍事研究11,’09

＜ゼッピア＞：イタリアの係維機雷。円筒形で、航空機からも敷設可能。全長1.56m、直径0.66m、重量870kg、炸薬重量200kg。参考：艦載兵器ハンドブック改訂第２版

＜設備機械員＞：航空自衛隊の職種。基地のインフラ整備が主任務で、設備の管理点検整備だけでなく、水道の水質管理まで行っていたりする。クラッシュ・バリアの点検整備も担当する。第３術科学校で課程教育が行われる。参考：MAMOR vol.125

＜設標・救難船＞：海上自衛隊第１種支援船、船種記号YR（Yard Rescue）。消防船と設標船の機能を合わせたもので、1999年度計画で建造された。飛行艇の離着水に際し、海面警戒、着水路標識設置、事故時の消火救難を行うのが主任務である。参考：月刊世界の艦船1,’11、MAMOR vol.160

＜設標・救難船１号＞：YR-01を参照。

＜設標・救難船１号型＞：海上自衛隊設標・救難船。船体は鋼とアルミニウム合金で出来ている。泡兼用放水銃３丁、自衛噴霧ノズル８基、消防ホース６本、膨張式救命筏（10名用）を装備する。全長25m、幅5.5m、吃水1.1m、基準排水量60トン。主機はいすゞマリンUM6WG1TCG型ディーゼル（750馬力）１基・いすゞマリンUM6RB1TCGディーゼル（520馬力）２基、３軸推進、速力19ノット。乗員10名。YR-01が2001年に竣工した。参考：月刊世界の艦船6,’01

＜設標船＞：海上自衛隊第１種支援船、船種記号YV。船体中央部に油圧式小型クレーンを備え、前部操舵室上方に夜間作業用投光器を装備し、後部にボートを搭載している。飛行艇の離着水水路にブイを設置し、海面浮遊塵の除去や消防活動を行うのが主任務で、岩国航空基地隊と大村航空基地隊に１隻ずつ配備された。また、第１術科学校にも１隻が配備されており、ダッシュ訓練支援に使用されている。参考：月刊世界の艦船1,’95、1,’79増刊、自衛隊装備カタログ1981

＜設標船１号型＞：海上自衛隊設標船。船体は鋼製。全長20m、全幅4.4m、深さ1.8m、吃水1m、基準排水量45トン。主機はディーゼル（240馬力）、２軸推進、速力10ノット。YV-01、YV-02、YV-03の３隻が1967-69年度計画で建造された。参考：月刊世界の艦船1,’95、1,’79増刊、自衛隊装備カタログ1981

＜雪峰山＞：935（揚陸艦）を参照。

＜絶滅収容所＞：ナチスがユダヤ人抹殺のために建設した収容所で、ポーランドにアウシュビッツ、マイダネック、シュツットホーフ、ケルムノ、ベルゼック、ソヴィボール、トレブリンカの７つが設立された。アウシュビッツが最大の収容所だが、他の６収容所でも第２次大戦終結までに200万人が殺害されている。1944年後半からソ連軍が迫ってきたため、徒歩でドイツ国内に移動させられ、多数が死亡した他、ドイツ国内の収容所も収容能力を大幅に超える囚人で溢れかえり、悲惨な状況となった。1945年4月10日にイギリス軍に対してドイツ国内の収容所が明け渡され、4月15日にイギリス調査官が入った。参考：ゲシュタポ、月刊軍事研究8,’04

＜切網器＞：防潜網を切断するための器材で、巨大なノコギリのような形状をしており、潜水艦の艦首に取り付ける。ただ強引に切断突破すると、見張り所に通報されたり防潜網に取り付けられた爆雷が炸裂したりするので、後進をかけて脱出した方が賢明であり、廃れた。参考：続潜水艦気質よもやま物語

＜窃話機＞：日本陸軍の器材。大正13年6月に制式化された。参考：工兵入門

＜セティス＞：F-357（フリゲート）を参照。

＜セティス＞：ドイツ海軍防空艦。元はノルウェー海軍海防艦ハラルド・ハールファグレで、第２次大戦時に接収して要塞用浮き砲台に改造したものである。兵装は10.5cm高角砲６門、対空機銃。戦後はノルウェーに返還され、スクラップになった。参考：写真集ドイツの巡洋艦

＜セティス級＞：デンマーク海軍フリゲートThetis級、別名スタンフレックス300（SF300）型。ヴィビェルネン級フリゲートの後継で、普段はグリーンランド周辺海域などで漁業保護にあたっているが、有事の際には対艦ミサイルや対空ミサイルを搭載して戦闘艦になる。船型は長船首楼型、艦首はタートル・デッキを採用し、船体は耐氷構造で、厚さ1mの砕氷能力を持つ。戦闘システムはボフォース・エレクトロニック製9LV200、対空／対水上レーダーはプレッシーAWS6（タワーマスト頂部）。全長112.5m、幅14.4m、吃水6m、基準排水量2600トン、満載排水量3500トン。主機はディーゼル・エレクトリック方式、ディーゼル３基１軸12500馬力、速力20.8ノット、航続距離8300海里（18ノット）。兵装はオットー・メララ社製76mm単装砲１門、20mm単装機関砲1-2門、スティンガー艦対空ミサイル連装発射機２基。リンクスMk80/90B/91ヘリ１機を搭載できる。乗員61名。F-357セティス、F-358トリオン、F-359ヴァエデレン、F-360ヴィビューネンの４隻が1991-92年に就役した。2017年に改装を受け、MH-60Rヘリを搭載可能とした。参考：月刊世界の艦船5,’91、3,’92増刊、9,’96、6,’19、THE MILITARY BALANCE 2016

＜セティス・ベイ＞：CVE-90（護衛空母）またはCVHA-1（強襲ヘリコプター母艦）またはLPH-6（強襲揚陸艦）を参照。

＜セティス・ベイ級＞：アメリカ海軍強襲ヘリコプター母艦／強襲揚陸艦Thetis Bay級。カサブランカ級護衛空母CVE-90セティス・ベイを強襲揚陸艦に改造したもので、当初は強襲ヘリコプター母艦の艦種だった。カタパルト、着艦制動索、エレベーター、20mm機関砲などを撤去し、飛行甲板を艦尾でカット、ヘリ発着スポット５カ所を設け、飛行甲板後端に大型エレベーター１基を新設、HR2S輸送ヘリ15-20機を搭載可能とし、海兵隊と装備・資材の収容区画を設置した。全長152.7m、最大幅32.9m、吃水6.1m、満載排水量10800トン。主機はスキナー・レシプロ蒸気機関２基、主缶はフォスター・ホイーラー缶２基、出力11200馬力、２軸推進、速力19ノット。兵装は40mm連装機関砲４基。乗員538名。海兵隊員1004名（士官38名＋海兵隊員900名？）を搭載可能。1955-56年に改造工事を受けてCVHA-1セティス・ベイとなり、1959年6月にLPH-6セティス・ベイに艦種変更され、1964年に退役した。参考：アメリカ揚陸艦史、月刊世界の艦船12,’13、12,’20

＜瀬戸内分屯地＞：陸上自衛隊の分屯地。奄美駐屯地の分屯で、司令は奄美警備隊普通科中隊長が務める。奄美大島南部の山間部にあり、総面積48万平方メートル。敷地の３分の２は火薬庫で、他に隊舎、厚生棟、グラウンド、燃料施設、車両整備工場などがある。2019年3月26日に開設され、第８師団奄美警備隊普通科中隊、第５地対艦ミサイル連隊第301地対艦ミサイル中隊（12式地対艦誘導弾システム）など210名が配置された。3月30日、分屯地開設記念市中パレードを実施。6月16日、瀬戸内町節子浜で33年振りに行われた浜下り集落行事に隊員・家族40人で参加。2021年4月18日、岸防衛大臣が視察した。参考：月刊JWings6,’19、月刊航空ファン6,’19、月刊軍事研究9,’18、朝雲

＜せとぎり＞：DD-156（護衛艦）を参照。

＜せとしお＞：SS-575（潜水艦、初代）またはSS-599（潜水艦、２代目）を参照。

＜瀬戸水葡＞：岡山地方協力本部のマスコットキャラ海自版。参考：朝雲

＜セトメ・シリーズ＞：スペイン国産の突撃銃。セントロ・デ・エスタディオス・テクニコス・デ・マテリアーレス・エスペシアール（CETME）が開発したのでこう呼ばれる。ベースは第２次大戦中にドイツが開発したディレイド・ブローバック式軽量突撃銃StG45(M)である。参考：最新軍用ライフル図鑑、月刊軍事研究6,’01、拳銃・小銃・機関銃

　＜セトメ・モデルＡ＞：作動は反動利用式（ディレイド・ブローバック？）で、銃身前部に二脚を標準装備する。全長1020mm、銃身長480mm、重量4.65kg。ライフリングは４条右回り。使用弾は7.62mm×51弾、装弾数20発。1956年からオビエド造兵廠が生産した。参考：最新軍用ライフル図鑑、兵器最先端５

　＜セトメ・モデルＢ＞：冷却用の孔が開いた金属製フォアストックを装着したもの。1958年に制式化された。参考：最新軍用ライフル図鑑

　＜セトメ・モデルＣ＞：モデルＢのフォアストックを木製にし、二脚を外したもの。スペインに採用された他、輸出もされた。全長1023mm、銃身長480mm、重量4.75kg。ライフリングは４条右回り。使用弾は7.62mm×51弾、装弾数20発。参考：最新軍用ライフル図鑑

　＜セトメ・モデルＬ＞：モデルＣの使用弾を5.56mm×45弾に換えたもので、レシーバー表面に緑色のコーティングがなされており、ストックなどのプラスチック部品も緑色である。全長945mm、銃身長400mm、重量3.61kg。ライフリングは４条右回り。単射、連射、バーストが選択できる。装弾数30発（10発・20発マガジンもある）。1984年に制式化された。参考：最新軍用ライフル図鑑、兵器最先端5

　＜セトメ・モデルＬＣ＞：モデルＬのカービン型。ショルダーストックを金属製伸縮式に換え、銃身を短縮している。全長860mm／665mm（ストック短縮時）、銃身長320mm、重量3.4kg。ライフリングは４条右回り。使用弾は5.56mm×45弾、装弾数30発。特殊部隊及び警察の対テロ部隊が採用した。参考：最新軍用ライフル図鑑

＜せとゆき＞：DD-131（護衛艦）を参照。

＜ゼニート偵察衛星シリーズ＞：ソ連の光学偵察衛星Zenit（天頂）。１959年5月22日にソ連共産党政治局がコロリョーフ特別設計局（OKB-1）の偵察衛星及び有人衛星船計画を正式承認したのが開発の始まりである。有人宇宙船のカプセルを利用しているので大口径長焦点カメラが搭載できず、高度を低くして解像度を稼いだ。このため、寿命が短く、最長でコスモス2267号の400日強である。参考：月刊軍事研究6,’15、8,’03

　＜ゼニート１＞：有人宇宙船ボストークの原型。これの人間が乗る直径2.3mの球形部分（降下装置。小球Sharikともいう）に偵察カメラを載せると偵察衛星になる。参考：月刊軍事研究6,’15

　＜ゼニート２＞：写真偵察衛星型。搭載するカメラはクラスノゴルスク光学機械工場で開発されたフトール（Ftor、フッ素）で、焦点距離1000mm、フィルム幅300mm、撮影数1500枚。また、レニングラードにある380科学研究所で開発されたバイカール写真画像撮像送信システムも搭載されており、衛星の中で現像した写真をテレビカメラで撮影し、地上に送信する事が可能である。打ち上げから1-2週間で降下装置を地上に落とす。1961年12月11日に初号機が打ち上げられたが、第３段の燃焼が途中で停止したため、自動自爆装置（TNT3kg）で爆破処理された。1962年4月26日のコスモス４（ゼニート２の２号機）で初めて軌道に投入され、３日後に降下装置も回収されている。フトールの方は解像度5-7mの写真が撮れたが（姿勢制御装置が不調でちゃんと撮れた枚数は少なかった）、バイカールの画像は不鮮明で役に立たなかった。7月28日、コスモス７の打ち上げに成功。コスモス10からはバイカールの代わりにカメラを追加し、焦点距離1000mmのカメラ３台と焦点距離200mmのカメラ１台を搭載した。この他にコスモス９、12、13、15、16、18、20を1963年10月までに軌道へと投入、実用段階に達したとして計画をクイブィシェフにあるOKB-1支所の第３工場に移し、量産を開始している。1970年のコスモス244まで81機が打ち上げられ、58機が成功、11機が部分成功と判断された。参考：月刊軍事研究6,’15

　＜ゼニート２Ｍ＞：ゼニート２の改良型。カメラを換装し、太陽電池パネルを追加して長期間周回を可能としている。1968年3月にコスモス208として初号機が打ち上げられ、1978年10月のコスモス1044を最後に退役した。参考：月刊軍事研究6,’15

　＜ゼニート４＞：ゼニート2Mの改良型。中央特別設計局（1974年に第３工場から改称）が開発した。反射鏡を内蔵して光路を曲げることにより、焦点距離3000mmのカメラを搭載している。1963年11月にコスモス22として初号機が打ち上げられた。参考：月刊軍事研究6,’15

　＜ゼニート４Ｍ＞：ゼニート４の改良型。推進装置の再稼働により近地点高度を通常の205kmから170kmくらいまで下げられるようにしている。1968年10月にコスモス251として初号機が打ち上げられた。参考：月刊軍事研究6,’15

　＜ゼニート４ＭＫ＞：ゼニート4Mの改良型。1969年12月に初号機が打ち上げられた。参考：月刊軍事研究6,’15

　＜ゼニート４ＭＴ＞：地図作成専用型で、ＴはTopografiyaの略。参考：月刊軍事研究6,’15

　＜ゼニート６Ｕ＞：ＵはUniversal’niy（万能）の略。広角と近接撮影の両方に対応可能。1976年に初号機が打ち上げられた。参考：月刊軍事研究6,’15

＜ゼニート８＞：地形撮影専用型。1985年に16基が打ち上げられた。参考：月刊軍事研究5,’13、6,’15

＜ゼニス＞：R95（駆逐艦）を参照。

＜セネカ＞：PA-34シリーズ（自家用機）またはUH-41シリーズ（ヘリ）を参照。

＜セネガル海軍＞：2024年7月23日、ダカール周辺で日セネガル親善訓練を実施。沿岸哨戒艇ニアニがTV-3508かしま及びTV-3521しまかぜと戦術運動訓練、捜索救難訓練、通信訓練、PHOTOEXを行った。参考：月刊世界の艦船10,’24

＜セネガル海軍（１９７７年）＞：兵力250名。ミサイル艇３隻、哨戒艇14隻、戦車揚陸艇１隻、上陸用舟艇６隻を保有する。参考：軍事力バランス78年版

＜セネガル海軍（１９８９年）＞：兵力700名。ダカール、カーサマンスに基地がある。フォウタ級沿岸哨戒艇１隻、ヌジャムブール級高速沿岸哨戒艇１隻、サン・ルイ級内海哨戒艇３隻、小型内海哨戒艇３隻、戦車揚陸艇２隻、機械化揚陸艇２隻を保有する。参考：ミリタリー・バランス1989-1990

＜セネガル海軍（２０１５年）＞：現役兵力950名。コマンドー中隊１個を擁する。ヌジャムブール級哨戒艇１隻、哨戒艇11隻、エディック700級LCT２隻、LCM３隻、兵站支援船３隻を保有する。参考：THE MILITARY BALANCE 2016

＜セネガル空軍＞：2020年から初のジェット戦術機となるL-39NG練習機／軽攻撃機４機を導入予定。参考：月刊航空ファン7,’18

＜セネガル空軍（１９７７年）＞：兵力200名。C-47輸送機６機、F27輸送機２機、ブルサード輸送機４機、セスナ337輸送機１機、アルエート�Uヘリ２機、ガゼル１機を保有する。参考：軍事力バランス78年版

＜セネガル空軍（１９８９年）＞：兵力500名。CM-170対ゲリラ戦機５機、R-235ゲリエ対ゲリラ戦機４機、DHC-6-300M洋上哨戒機１機、EMB-111洋上哨戒機１機、F-27-400M輸送機６機、MH-1521輸送機２機、PA-23連絡輸送機１機、ラリエ235A練習機２機、ラリエ160練習機２機、SA318Cヘリ２機、SA330ヘリ２機、SA341Hヘリ１機を保有する。参考：ミリタリー・バランス1989-1990

＜セネガル空軍（２０１５年）＞：現役兵力750名。BN-2T輸送機１機（政府所有で軍用）、C-212-100輸送機１機、CN-235輸送機２機、ビーチB200キングエア輸送機２機、F-27-400M輸送機２機（＋保管中３機以上）、A319要人輸送機１機、B727-200要人輸送機１機、R-235練習機１機、TB-30練習機６機、Mi-35P攻撃ヘリ２機、AW139汎用ヘリ１機、Mi-171Sh汎用ヘリ２機、AS355F汎用ヘリ１機、ベル205汎用ヘリ（UH-1H）１機、ベル206汎用ヘリ２機、Mi-2汎用ヘリ２機を保有する。参考：THE MILITARY BALANCE 2016

＜セネガル軍＞：

＜セネガル軍（１９８９年）＞：兵力9700名。国連イラン・イラク軍事監視団にオブザーバーを派遣している。フランス海兵歩兵連隊１個1100名が駐留している。参考：ミリタリー・バランス1989-1990

＜セネガル軍（２０１５年）＞：現役総兵力13600名（陸軍11900名、海軍950名、空軍750名）、準軍事組織（憲兵）5000名。中央アフリカ共和国にMINUSCA要員１名とオブザーバー１名、コートジボアールにUNOCI要員739名、歩兵大隊１個、ヘリ飛行隊１個、オブザーバー７名、コンゴ民主共和国にMONUSCO要員６名とオブザーバー７名、ギニアビサウにECOWASのECOMIB要員200名、マリにMINUSMA要員675名、歩兵大隊１個、工兵中隊１個、南スーダンにUNMISS要員１名とオブザーバー２名、スーダンにUNAMID要員805名、歩兵大隊１個を派遣している。フランス軍350名、ファルコン50MI１機、C-160輸送機１機が駐留している。参考：THE MILITARY BALANCE 2016

＜セネガル陸軍＞：

＜セネガル陸軍（１９７７年）＞：兵力5500名。歩兵大隊４個、工兵大隊１個、偵察中隊１個、空挺中隊２個、奇襲攻撃中隊２個、砲兵中隊１個からなる。AML装甲車、分解式75mm榴弾砲、105mm榴弾砲６門、81mm迫撃砲８門、30mm/40mm高射機関砲を配備する。参考：軍事力バランス78年版

＜セネガル陸軍（１９８９年）＞：兵力8500名。軍管区司令部４個、機甲大隊１個、歩兵大隊５個、連邦兵力歩兵大隊１個、空挺大隊１個、コマンドー大隊１個、砲兵大隊１個、工兵大隊１個、大統領親衛隊（騎馬）１個、建設中隊３個からなる。M-8偵察車10両、M-20偵察車４両、AML-60偵察車30両、AML-90偵察車27両、パナールM3装甲兵員輸送車16両、M-3ハーフトラック12両、75mm砲M-116を６門、105mm砲M-101を６門、155mm砲タイプ50を６門、81mm迫撃砲８門、120mm迫撃砲８門、ミラン対戦車ミサイル、89mmロケットランチャーLRAC、20mm高射機関砲M-693を21門、60口径40mm高射機関砲12門を保有する。参考：ミリタリー・バランス1989-1990

＜セネガル陸軍（２０１５年）＞：現役兵力11900名。軍管区司令部７個、機甲偵察大隊４個、コマンドー大隊１個、歩兵大隊６個、空挺大隊１個、大統領警護乗馬騎兵大隊１個、砲兵大隊１個、工兵大隊１個、通信大隊１個、建設中隊３個、兵站大隊１個、医療大隊１個、訓練大隊１個からなる。AML-60偵察車30両、AML-90偵察車74両、M8偵察車10両、M20偵察車４両、RAM-2000偵察車６両以上、ラテル−20歩兵戦闘車26両、M3ハーフトラック12両、パナールM3装甲兵員輸送車16両、キャスパー装甲車８両、プーマM26-15装甲車39両、105mm砲HM-2/M101、155mm砲モデル50を６門、155mm砲TR-F1を８門、81mm迫撃砲ブラント８門、120mm迫撃砲ブラント８門、ミラン対戦車ミサイル４基、20mm高射機関砲M693を21門、60口径40mm高射機関砲12門を保有する。参考：THE MILITARY BALANCE 2016

＜セネット＞：SS-408（潜水艦）を参照。

＜ゼノタ＞：オランダの油槽船。1942年5月9日、日本海軍に捕獲された。1944年3月30日、パラオでアメリカ軍機の攻撃を受けて沈没した。参考：日本海軍艦隊総覧

＜ゼノビア＞：AKA-52（攻撃貨物輸送艦）を参照。

＜セバー生産協会＞：ソ連の核関連施設。核兵器の自動化小組立品の製造を1958年から行っている。参考：核兵器事典

＜セバスキー陸上複座戦闘機＞：P-35海外シリーズ（戦闘機）を参照。

＜セバストポリ攻略戦＞：セバストポリはクリミア半島南端西側にあり、ソ連黒海艦隊の基地で、地形を活かして三重の防御施設（塹壕・トーチカ・地雷ベルト、ベトン堡塁・要塞砲帯、市街地周囲の機銃座・砲兵陣地）で固められていた。海上も内陸も撃てる射程30kmの305mm沿岸砲まで備え付けてあり、航空基地からルーマニアの油田地帯を爆撃することも可能だった。第２次大戦独ソ戦時の1942年6月3日、ドイツ軍砲兵が攻撃準備射撃を開始。第８航空軍団の爆撃機も加わり、毎日野砲1300門の砲撃と爆撃1000-2000ソーティでソ連軍陣地を破砕した。6月7日、第１防御施設への攻撃を開始。更に第２防御施設への攻撃用にグスタフ列車砲、カール自走臼砲、M1臼砲といった重砲が配置され、グスタフ列車砲が地下30mの弾薬庫を撃ち抜き、M1臼砲がマキシム・ゴーリキー�T砲台の天蓋を吹き飛ばした。6月17日、マキシム・ゴーリキー�T砲台をドイツ軍が制圧。6月27日、ドイツ軍はセバストポリ市街外縁に到達。7月1日、セバストポリ市内にドイツ第22装甲師団が突入。7月3日、ドイツ軍がセバストポリを占領。ソ連軍は徹底交戦し、捕虜は僅かだった。参考：歴史群像8,’02

＜セパル＞：4K44（地対艦ミサイルシステム）またはルベズ（地対艦ミサイルシステム）を参照。

＜背広組＞：防衛省事務官・技官の通称。防衛省職員だが自衛官では無く、自衛隊の制服でなく背広を着ているのでこう呼ばれる。対義語は制服組。参考：月刊JWings6,’20

＜セプ＞：ポーランド海軍コッベン級潜水艦２番艦Sęp。元はノルウェー海軍コッベン級潜水艦スコルペンである。2002年就役。2017年6月1-16日、バルトップス2017に参加。6月17-25日、キール・ウイーク2017に参加。参考：世界の潜水艦ハンドブック改訂第２版、月刊世界の艦船9,’17

＜ゼファ＞：PC-8（哨戒艇）を参照。

＜ゼファー＞：イギリス軍の高々度滞空固定翼無人機Zephyr。計画名は高々度擬似衛星HAPS（High-Aotitude-Psudo Satellite）で、キネティックの開発をエアバス・ディフェンス・アンド・スペース社が引き継いだ。棒状の胴体に翼スパン33mの主翼とＴ字尾翼を取り付けたもので、主翼上面にソーラーパネルが取り付けられており、主翼内側前縁の２翅プロペラを駆動、高度25000mを30-90日間飛行できる。偵察やデータ中継に使用可能で、人工衛星より安い。2018年7月11日から原型機ゼファーＳが25日23時間57分の連続飛行を行った。参考：月刊JWings2,’18、11,’18、月刊航空ファン10,’18、11,’18、朝雲

＜ゼフィール＞：R19（駆逐艦）を参照。

＜ゼフィーロ＞：F577（フリゲート）を参照。

＜ゼブス＞：ソ連海軍超低周波（極超長波）通信ステーション。コラ半島に存在する対戦略原潜用通信設備で、深度200-300mを航行中の潜水艦に対して交信を行っている。通信速度が極端に遅いため、普段は異常無しを示す単純な信号を常時送っており、有事にはそれを止めて別の信号に換える。参考：ソ連／ロシア原潜建造史

＜セプター＞：P215（Ｓ級潜水艦第２グループ）またはS-104（スイフトシュア級原潜）を参照。

＜セプホフ＞：ロシア海軍プロジェクト21631ブヤンＭ型コルベット４番艦Sepukhov。2015年11月18日、黒海艦隊に配備された。参考：月刊世界の艦船2,’16

＜セブモルプーチ＞：ソ連の砕氷貨物船プロジェクト10081。北極海航路でのコンテナ輸送や、河川遡行用艀を使用してのシベリア地方への物資輸送を主任務とし、２ノット航行で厚さ1mの連続砕氷能力を持つ。全長260.1m、幅32.2m、排水量61880トン。主機は原子力蒸気タービン方式、KLT-40原子炉１基（熱出力135MW）・蒸気タービン４基、出力39000軸馬力（29.4MW）、１軸推進、速力20.8ノット。20フィート・コンテナ1328個または370トン級艀74隻を搭載可能。乗員91人。1988年に竣工した。参考：月刊軍事研究11,’18

＜ゼブラ＞：R81（駆逐艦）を参照。

＜ゼブラ・ミッション＞：アメリカ陸軍M26戦車の実戦テスト。第２次大戦時、1944年12月のドイツ軍反攻ラインの守り作戦でケーニッヒス・ティーガーとヤークト・パンターに遭遇、M4中戦車が太刀打ちできず、マスコミも戦車スキャンダルとして報道し大騒ぎになったため、テスト用の40両が生産されたばかりのT26E3戦車のうち、半分の20両を実戦テストも兼ねてヨーロッパ戦線に送ることになった。新兵器の技術上の問題点を確認するため編成されていたゼブラ調査団にT26E3を担当する分科会が作られ、新型対戦車砲などと一緒にヨーロッパに派遣することを決定。1945年1月に20両がアントワープに到着し、アメリカ陸軍第１軍第３機甲師団第32・第33機甲連隊の各中隊に１両ずつ（計10両）、同軍第９機甲師団第14機甲大隊の１個中隊に５両、第19機甲大隊の３個中隊に1-2両ずつが配備された。第３機甲師団のT26E3配備中隊はラプレディー任務部隊に加わってルール川の戦闘に投入され、2月25日にエルット川渡河作戦に参加。エルスドルフで第33機甲連隊Ｅ中隊の車両がドイツ陸軍第９戦車師団所属と思われる�Y号戦車ティーガー�T１両に射距離820mでT30E16HVAPとT33APを１発ずつ命中させて内部弾薬を誘爆させ破壊、�W号戦車２両を射距離1100mでどちらも初弾により撃破した。Ｆ中隊の車両は障害物で前進できなくなったところを�Y号戦車ティーガー�Tの射撃を受け、乗員に死者が出たが、戦車は修理を受けて復帰している。3月1日、第９機甲師団第14機甲大隊のT26E3がルール川での戦闘に加わったが、夜に150mm野砲の直撃弾２発を喰らって１両が行動不能になった。3月6日、ケルン大聖堂の中庭にいたドイツ第９戦車師団所属�X号戦車パンターがM4中戦車を待ち伏せで破壊。第３機甲師団第32機甲連隊Ｅ中隊ボブ・アーリー軍曹搭乗T26E3が呼ばれ、パンターを発見すると側面に向け初弾を撃ち込んだが、効果が無かった。パンターはT26E3に向けて砲塔を旋回し始めたが、そこに２発目を命中させ、パンターは炎上して破壊された。この様子は通信隊のカメラマンが両車を画面に入れつつ撮影しており、様々な戦争記録映画で使用されている。第３機甲師団所属の別の１両は、ケルン郊外で�Y号戦車ティーガー�Tと�W号戦車を１両ずつ撃破した。第33機甲連隊Ｈ中隊の車両がケルン北方のニーヘルで射距離270mからナスホルン対戦車自走砲の射撃を受け、砲塔内部の弾薬が誘爆して全損した。これが第２次大戦における唯一の修理不能損失である。3月7日、第９機甲師団第14機甲大隊の４両が同機甲師団Ｂ戦闘団に加わってレマーゲンに突入。1400にルーデンドルフ橋のたもとに到達し、機銃座と兵員輸送列車を榴弾で吹っ飛ばして制圧した。3月中旬、T26E4スーパーパーシング１両がドイツに到着。3月25日に全車両が一旦後方に下げられ、その後再び前線投入された。3月末、T26E3の第二陣がアントワープに到着し、第９軍第２機甲師団に22両、同第５機甲師団に18両が配備された。4月、第三陣が第３軍第11機甲師団に加わった。4月4日、T26E4がドイツ北西部ヴェーザー川付近でティーガーまたはパンター１両を射距離1370mで撃破した。終戦までにヨーロッパ戦線に送られたT26E3は310両で、うち200両が前線部隊に配備されたが、時期が遅すぎて対戦車戦は上記分のみである。参考：M26/46パーシング戦車1943-1953、月刊軍事研究7,’07、月刊丸7,’09別冊

＜セフリー・ランサー＞：AN/USQ-71（ELINT装置）またはRU-21J（ELINT機）を参照。

＜背振山分屯基地＞：航空自衛隊の分屯基地。第43警戒群が駐屯しており、対北朝鮮用SIGINT基地も設置されている。所在地は佐賀県神埼市背振町服巻字背振山1358。2008年度、J/FPS-3をJ/FPS-3改に改修した。2016年5月13日、西部航空方面隊司令の初度視察を受けた。2019年7月2日、ベトナム軍佐官級研修プログラムで来日したベトナム軍佐官級訪日団14名が視察した。2022年11月2-6日、佐賀インターナショナルバルーンフェスタ2022で佐賀地本が行った広報に協力し、軽装甲機動車を展示した。11月25日、モンゴル空軍司令官トゥルー空軍大佐が視察した。参考：月刊JWings6,’10別冊付録、月刊軍事研究9,’11、5,’12、朝雲

＜セブン・シスターズ＞：メジャー（石油会社）を参照。

＜セマグ＝ベッカー砲＞：スイスのゼーバッハ機械工作所が開発した20mm砲。第１次大戦後の世界大恐慌でベッカー鉄鋼会社が売却したベッカー砲の特許を買い取り、口径を1mm拡大して軽２輪砲架に載せ、歩兵支援用軽砲としたものである。1924年にゼーバッハ機械工作所が倒産するとエリコン工作機械会社に生産権が移り、中南米、欧州、中国などに輸出された。1937年に更なる改良を加えたエリコン機関砲となった。参考：月刊丸4,’17

＜セミ＞：日本陸軍の制裁の１つ。柱にしがみついてセミの鳴き真似をする。参考：帝国陸海軍事典

＜セミアクティブ・レーザー・ホーミング＞：Semi-Active Laser Homing、SALHと略す。目標に特殊な変調を施した赤外線レーザー（波長10.6ミクロン）を目標に照射し、その反射波をミサイルや誘導爆弾が受信して自動的に舵を修正、目標に命中する。レーザーはミサイルや誘導爆弾以外の手段（航空機や観測員など）で照射する必要があるので、完全撃ちっ放しにはできないが、レーザー・コードを合わせておけば射手以外が誘導用レーザーを照射可能で、射手は発射後に退避することができる。レーザー誘導爆弾、第2.5世代対戦車ミサイル、地対空ミサイルの一部などがこれを採用している。参考：月刊JWings4,’02、攻撃ヘリコブラ＆アパッチ、月刊軍事研究12,’06

＜セミアクティブ・レーダー・ホーミング＞：Semi-Active Radar Homing、SARHと略す。ミサイル誘導方式の１つで、発射母機・艦・システムのレーダーが目標を照射して生じた反射波をミサイルのシーカーでキャッチして追尾していく方式である。開発当初は連続波レーダーで誘導を行っていたが、目標探知用パルス・ドップラー・レーダーと別に目標追尾・ミサイル誘導用連続波レーダーを用意しなければならないため、後にパルス・ドップラー・レーダーでも誘導できるよう改良が加えられた。ミサイルには受信専用アンテナだけ積んでおけば良いので誘導装置を小型化でき、目標に近づくほど反射波のエネルギーが強くなりビーム幅も狭くなるので長射程にも対応できる。ただし命中するまで誘導用レーダー波を当て続けなければならず、目標から反撃された時に回避行動を取ると、目標がレーダー・アンテナの覆域外に出てしまいロックオンが外れる場合がある。また、単一の誘導用レーダーで複数目標を同時攻撃するには時分割照射などの工夫が要る。このため、空対空ミサイルとしては、レーダーの小型高性能化が進むと共にアクティブ・レーダー・ホーミング方式が主流となった。艦対空ミサイルとしては、高性能レーダーを艦に搭載できるので性能を保ちつつミサイルを軽量安価にできる、誘導用レーダーとミサイル発射機の位置を自由にすることが可能、反射レーダー波のドップラー効果を検出することで低空目標を攻撃できるといった利点がある。対艦ミサイル相手ならレーダー・アンテナの旋回俯仰速度を超える急激な運動を行うことも少ないので、適切な位置にアンテナを置いておけば目標が覆域外に出る恐れも無く、艦の大きさを活かして誘導用レーダーを複数置けば多目標同時攻撃が可能になる。参考：ジェット戦闘機、U.S.ウェポンハンドブック、図解現代の航空戦、丸スペシャルNo.77、月刊世界の艦船11,’17、月刊JWings8,’19

＜セミインテグラルタンク＞：燃料タンクの一部を翼構造材で構成しているもの。参考：歴史群像2,’08

＜セミオート＞：自動機構を参照。

＜セミオートマチック＞：自動機構を参照。

＜セミオートマチック・トランスミッション＞：Semi-automatic Transmission。マニュアル・トランスミッションのクラッチ操作を自動化したもの。反応が鈍く一旦廃れたが、レーシングカーの技術を取り入れて再興した。またはオートマチック・トランスミッションに手動ギア変速機を付けたもの。セレクトレバーによりギア比を選択すればクラッチ操作無しにシフトチェンジできる。参考：クルマのすべてがわかる事典、自動車メカニズム図鑑

＜セミトレーラ１０トン＞：自衛隊の車両。日本トレクス製。参考：月刊軍事研究7,’09

＜セミトレーラ２０トン型＞：自衛隊のセミトレーラ。東急車輌製造または日本トレクス製。参考：月刊軍事研究11,’08、3,’11

＜セミトレーラ５０００Ｇ燃料給油車＞：航空自衛隊の給油支援用セミトレーラ。全長10.24m、全幅2.49m、全高3.1m、車両重量10.4トン。ペイロード15トン。参考：航空自衛隊パーフェクトガイド2015

＜セミトレーラ大型給水車＞：航空自衛隊のセミトレーラ式給水車両。セミトレーラに大型タンクを搭載し、最後部にポンプ駆動用ディーゼルエンジン、軽油タンク、バッテリーなどを積んだもので、６トントラクターで牽引する。タンクに水と消化液を搭載し、泡消化液を1kmに亘り散布できる。全長10.43m、全幅2.49m、全高3.15m、車両重量10.5トン。ペイロード16.5トン。タンク容量は水15.6kl＋薬液0.75kl、最大吐出量毎分5000リットル。東急車輌製造または東急車輌特装製。参考：航空自衛隊パーフェクトガイド2015、月刊軍事研究6,’11、2,’14

＜セミトレーリングアーム式サスペンション＞：トレーリングアーム式サスペンションを参照。

＜セミノール＞：AKA-104（攻撃貨物輸送艦）またはU-8シリーズ（連絡輸送機）を参照。

＜セミノール＞：アメリカ海軍大型曳船。昭和17年10月25日、ガダルカナル島沖で艦砲射撃を受けて沈没した。参考：第２次大戦日本海軍作戦年誌

＜セミパラチンスク核実験場＞：ソ連の核実験場。カザフスタン共和国北東部にある。1991年8月に閉鎖された。参考：朝雲

＜セミファウラー・フラップ＞：フラップを参照。

＜セミブラック＞：日本海軍士官のスラングで、半玄人女性のこと。参考：帝国陸海軍事典

＜セミモノコック構造＞：Semi-monocoque structure、半張殻構造。半応力外皮構造（Semi stressed skin structure）ともいう。長軸の骨組みであるストリンガー（縦通材）に短軸の補強材であるフレーム（肋材、円きょう）を付け、荷重を分担させる外板を貼り付けたもので、骨組みと外板の両方で剛性を保つ。1920年代後半にドイツのロールバッハ社ワグナー技師が発見した張力場理論が元である。格子型の骨組みを作り、一辺を固定して反対側に下向きの力を掛けると、平行四辺形に変形してしまうが、骨組みに薄い金属板を張っておくと、少し変形したところで金属板に皺が寄り、それ以上の変形を防ぐ。ワグナー技師はまず主翼桁に応用し、トラス骨組みを細いスティフナ＋薄板に変えて軽量化に成功。その後、胴体や翼にも応用され、モノコック構造だと重くなりすぎる金属製機にもってこいだったため、1930年代初め頃から爆発的に広まった。曲げの力は縦通材、引張り力は縦通材と外板、ずれや捻れは外板で耐える。特に薄い板を使っている低速機などは飛行中に外板に皺が寄りまくり、見た目は不安だが、強度が高くなっている証拠なので、余計な心配は無用である。コクピット、爆弾倉、脚引き込み部など、構造に大きな開口部を設ける必要がある場合は、縦通材だと本数が限定され強度が保てなくなるので、ロンジロン（強力縦通材）を長軸四隅に通したり、キールを胴体下部中心線に１本通したりする。ロンジロンやキールを開口部周辺のみに配置し、他は縦通材で済ませることもある。参考：航空用語事典増補改訂版、月刊航空ファン1,’98、月刊JWings10,’09別冊付録

＜セミョールカ７号＞：R-7（ICBM）を参照。

＜セミラミスホテル占拠事件＞：1976年、シリアのダマスカス中心部にあるセミラミスホテルをパレスチナ解放戦線ゲリラ組織黒い９月のメンバー４人が突撃銃と手榴弾で武装して襲撃。90人を人質に取り、シリアが拘束したメンバーの釈放を求めた。シリアのアサド大統領は軍に鎮圧を命じ、9月26日に強行突入、リーダーを射殺し、３人を逮捕。人質は４人が死亡し、34人が負傷した。逮捕された３人は9月27日に公開絞首刑となっている。参考：月刊軍事研究7,’97

＜セミリジット式メインローター＞：半関節式ローターを参照。

＜セミリムド薬莢＞：薬莢を参照。

＜セム＞：海上自衛隊の略号で、船務長のこと。参考：日本の防衛戦力Part3

＜ゼムケの狼群＞：アメリカ陸軍航空隊第56戦闘航空群にドイツ空軍が付けたニックネーム。参考：グラフィックアクション36

＜セムシ＞：海上自衛隊の略号で、船務士のこと。参考：日本の防衛戦力Part3

＜セムズ＞：DDG-18（駆逐艦）を参照。

＜セメ＞：PL-2（情報収集機）を参照。

＜セモベンテ・シリーズ＞：Semovente。イタリア陸軍自走砲のこと。後に突撃砲も含むようになった。参考：月刊PANZER6,’14

　＜Ｌ４０ｄａ４７／３２＞：イタリア陸軍対戦車自走砲。L6/40軽戦車の車体にオープントップ式の固定戦闘室を設け、32口径47mm砲M35（70発）を左にオフセットして搭載したもので、射界54度、俯仰角マイナス12度からプラス20度、初速毎秒630m、装甲貫徹力43mm（射距離500m）／31mm（1000m）。車体右が操縦手席で、戦闘室右前面に視察スリット、戦闘室右側面に大きな乗降ドアがあり、ガンポートが付く。サスペンションはトーションバー式で、下部転輪を２枚１組にしてアーチ型サスペンションアームで支え、それをトーションバーで繋いでいる。全長3.78m、全幅1.86m、全高1.72m、戦闘重量6.4トン。エンジンはフィアットSPA18D液冷４気筒ガソリン（68馬力）、最大速度36km（42km？）、燃料搭載量367リットル（145リットル？）、航続距離200km。副武装はブレダ8mm機銃１丁（1608発）。装甲厚は車体前面30mm、側後面15mm、上面6mm（オープントップになっていない部分）、底面6mm、防楯10mm。乗員３名。1940年に制式化され、1941-43年に300両が生産された。主砲をダミーに換え、無線機を強化した指揮車もある。80両がイタリア降伏後にドイツ国防軍に接収され、L6 mit 47/32-770(i)として後方保安任務に使用された。参考：世界の軍用車両（１）、月刊PANZER6,’14、1,’02、8,’03、5,’05

　＜Ｍ４０ｄａ７５／１８＞：イタリア陸軍突撃砲。ドイツの�V号突撃砲に刺激された軍が1939年にフィアット・アンサルド社へ開発を依頼し、1941年に採用された。M13/40中戦車の上部構造物を突撃砲型のリベット止め固定式戦闘室に改造し、18口径75mm榴弾砲M35（44発）を搭載している。砲架は内防楯を有するジンバル式で、旋回角右20度・左18度、俯仰角マイナス12度からプラス22度。初速毎秒430m、最大射程7800m。全長4.92ｍ、全幅2.17m、全高1.8m（2.18m？）、戦闘重量14.4トン。エンジンはフィアットSPA8T M.40ディーゼル（125馬力）、最大速度30km、燃料搭載量360リットル（145+35リットル？）、航続距離210km。副武装は6.5mm機銃ブレダM30または8mm機銃M38が１丁（1104発）。装甲厚は車体前面30mm、側・後面25mm、上面9mm、底面14mm、戦闘室前面25+25mm、側・後面25mm、上面9mm。乗員３名。60両が生産された。イタリア降伏後はドイツ国防軍に接収されてM40 mit 75/18(i)として使用された。参考：月刊PANZER6,’14、11,’02、5,’05

　＜Ｍ４１ｄａ７５／１８＞：イタリア陸軍突撃砲。M14/41中戦車にM40da75/18と同じ改修を施したもの。エンジンがフィアットSPA15TM41ディーゼル（145馬力）になったため、機動力が改善した。1942年から161両が生産され、イタリア降伏後はドイツ国防軍に接収されてM41 mit 75/18(i)として使用された。参考：月刊PANZER6,’14、5,’05、11,’02

　＜Ｍ４１ｄａ７５／３２＞：イタリア陸軍突撃砲。M13/40中戦車と同じ短い泥避けが付いたM14/41中戦車初期型車体に、32口径75mm野砲モデル37を車載型に改造した主砲（装弾数42発）を固定式に搭載した。砲口初速毎秒610m、最大射程12000m。全長5.09m、全幅2.25m、全高1.8m、戦闘重量15トン。エンジンはSPA15TB42ガソリン（145馬力）、最大速度38km、航続距離230km。乗員３名。M42Mda75/34の主砲が量産できるまでの繋ぎとして25両程度が生産され、1943年9月から配備された。参考：月刊PANZER6,’14、3,’03

　＜Ｍ４１Ｍｄａ９０／５３＞：イタリア陸軍対戦車自走砲。アンサルド社が設計した。M14/41中戦車の車体を0.28m延長、エンジンを車体中央部に移し、53口径90mm対地・対空両用砲M39を車体後部に搭載する。ただ設計ミスで操縦手用ハッチを閉じると操縦できなくなるという欠点があり、移動時にはハッチを開け放しにする必要があった。懸架装置の取り付け位置はやや後方に移されている。起動輪と誘導輪には異物掻き出し用のスクレーパーを取り付けた。履帯はシングルピンで、幅260mm。主砲旋回角左右40度ずつ（80度ずつ？）、俯仰角マイナス５度からプラス24度。砲身左右両方に俯仰角ハンドル、砲身付け根には上に駐退管２本、下に復座管１本が付く。重量10kgの徹甲弾で砲口初速毎秒830m、装甲貫徹力は射距離500ヤード（457.2m）で143mm。砲架の前・側・上面に各10mm（前面25mm・側上面10mmという説、前面41mm・側面9mmという説もある）の装甲板が張られている。弾薬搭載数は６発（後部車体内に搭載）で、L6軽戦車改造の弾薬運搬車（26発）と牽引式弾薬車（40発）が付随する。戦闘時には砲要員が車体後方に位置して射撃する。全長5.2m、全幅2.2m、全高2.14m、戦闘重量17トン。エンジンはSPA15TM41（145馬力）、最大速度25km、航続距離200km。装甲厚は車体前面25mm、側面25mm、底面14mm。乗員４名で、操縦手と無線手が機関室前方の車内に、車長兼砲手と装填手が砲架に搭乗する。1942年4月に制式化されて生産に入り、同年後半から使用された。1943年までに30両が生産され、シシリー島に大規模投入（24両）されている。イタリア降伏後はドイツ国防軍に接収され、M41Mda90/53(801)(i)の名称で使用された。参考：月刊グランドパワー6,’99、月刊PANZER6,’14、3,’03、5,’05、異形戦車ものしり大百科

　＜Ｍ４２ｄａ７５／１８＞：イタリア陸軍突撃砲。M15/42中戦車の車体にM40da75/18と同じ改造を施したもので、本当はM42Mda75/34として完成する予定だったが、主砲の完成が遅れたので取り敢えずあり合わせの18口径75mm砲（100発）で間に合わせた。全長5.04m、全幅2.23m、全高1.8m、戦闘重量20トン。エンジンはSPA15TM.41ディーゼル（192馬力。145馬力？）、燃料搭載量190リットル。乗員３名。1943年から190両が生産され、イタリア降伏後はドイツ国防軍に接収されてM42 mit 75/18-850(i)として使用された。参考：月刊PANZER6,’14、5,’05、11,’02

　＜Ｍ４２Ｌｄａ１０５／２５＞：イタリア陸軍突撃砲、ニックネームはバソット（ダックスフントの意）。75mm砲搭載セモベンテM42の任務が対戦車戦闘に移ったため、歩兵支援用の車両が必要となり開発された。P40重戦車の車体を使う予定だったが、生産が間に合わずM15/42中戦車をベースにしている。車体はM43と呼ばれ、車体幅を2.25mから2.5mに増やし、車体前部形状を鋭角に変更、サイドスカートを装着した。これに戦闘室を設けて25口径105mm砲（48発）を搭載している。射界左右19度ずつ、俯仰角マイナス12度からプラス22度（マイナス10度からプラス16度？）。全長5.52m、全幅2.5m、全高1.72m、戦闘重量18.5トン。エンジンはフィアットSPA15TB42液冷８気筒ガソリン（192馬力）、最大速度38km、燃料搭載量190リットル、航続距離200km。副武装は対空用8mm機関銃ブレダ・モデル38が１丁（864発）。装甲厚は車体前面50mm、側後面25mm、上面15m、底面15mm、戦闘室前面75mm、側面45mm、後面25mm、上面15mm。乗員３名。主砲を外して13.2mm機銃を搭載した指揮車型もある。1943年4月に試作車が完成して200両が発注され、更に254両が追加されたが、イタリア降伏前に26両が完成したのみだった。イタリア降伏後にドイツ国防軍が接収してSturmgeschutz M43mit105/25(853)(i)の名称を付け、更に61両を追加生産させている。参考：月刊PANZER6,’14、5,’05、3,’03、世界の軍用車両(1)

＜Ｍ４２Ｍｄａ７５／３４＞：イタリア陸軍対戦車自走砲。M15/42中戦車の車体にP40重戦車と同じ34口径75mm戦車砲（42発）を搭載したもので、戦闘室はそれまでと同じ構造である。全長5.07m、全幅2.45m、全高1.74m、戦闘重量15トン。エンジンはSPA15TB42液冷８気筒ガソリン（192馬力）、路上最大速度38km、燃料搭載量360リットル、航続距離230km。副武装は対空用8mm機関銃ブレダ・モデル38が１丁（888発。1104発？）。乗員３名。200両が発注され、後に500両に増やされたが、主砲の生産が間に合わずM41da75/32を繋ぎとして製作する羽目になり、量産が始まって間も無くイタリアが降伏、90両のみ生産された。イタリア降伏後はドイツ国防軍で使用され、Sturmgeschutz　M42mit75/34-851(i)と呼ばれた。参考：月刊PANZER6,’14、5,’05、3,’03

＜Ｍ４３ｄａ７５／３４＞：M43mit75/34-851(i)を参照。

＜Ｍ４３ｄａ１０５／２５＞：M42Lda105/25を参照。

　＜Ｍ４３Ｔｄａ７５／４６＞：M43mit75/46(852)(i)を参照。

　＜セモベンテｄａ１４９／４０＞：イタリア陸軍試作自走カノン砲。自走カノン砲の計画自体は以前からあったが、長大なカノン砲にふさわしい車体が無く、先延ばしとなっていたのを、M41Mda90/53がいけるなら40口径149mmカノン砲M35も積めるだろうということで、同じアンサルド社に発注したものである。さすがに車体は流用とはいかず、専用の大型車体を新規開発してM13中戦車やP40重戦車の足回りを組み合わせ、車体後部にカノン砲を剥き出しで搭載し、車体後面左右に駐鋤を付けた。射界は左右53度ずつ、仰角は45度まで。砲口初速毎秒800m、最大射程23700m。積める弾薬は６発だけで、砲要員も乗せられないので、弾薬輸送車が同伴する。全長6.6m、全幅3m、全高2.01m、戦闘重量24トン。エンジンはSPA228ガソリン（246馬力）、最大速度35km、燃料搭載量190リットル、航続距離200km。装甲厚は車体前面25mm、側面14mm、上面14mm。1943年に試作車１両が製作され、採用されて20両が発注されたが、メーカーに作る余裕が無く先延ばしにされ、イタリア降伏で計画が消滅した。試作車はチュニジアでテスト中にアメリカ軍が鹵獲している。参考：月刊PANZER6,’14、世界の軍用車両(1)

＜セモベンテ・ファミリー＞

　＜Ｌ４０ｄａ４７／３２指揮戦車＞：イタリア陸軍指揮戦車。中隊指揮用で、通信能力を強化した。主砲はダミーに換えられ、ダミー砲身内に8mm機銃１丁が内蔵されている。イタリア降伏後はドイツ国防軍に接収されてL6 mit 47/32-770(i)指揮車両として使用された。参考：月刊PANZER5,’05

　＜カルロ・コマンドＭ４２＞：イタリア陸軍指揮戦車。セモベンテM42Mda75/34の車体をベースに、カルロ・コマンドM41と同様の改修を施したものである。主武装の13.2mm機銃ブレダM31には12発入り弾倉35個、8mm機銃ブレダM38には24発入り弾倉８個が用意された。空軍管制車型もあり、この場合はRF3M2長距離無線機を搭載する代わりに13.2mm機銃の搭載弾倉数が29個に減っている。イタリア降伏後はドイツ国防軍に接収され、M42 772(i)として使用された。参考：月刊グランドパワー10,’00別冊、月刊PANZER5,’05

＜セモベンテ海外シリーズ＞

　＜Ｌ６　ｍｉｔ　４７／３２　７７０（ｉ）＞：ドイツ国防軍対戦車自走砲。セモベンテL40da47/32を接収して使用したものである。主砲は4.7cm47/32（70発）、射界27度、俯仰角マイナス12度からプラス20度。乗員３名。78両が接収され、16両が第12特別編成戦車中隊に配備され、残りは1944年にクロアチアに輸出された。参考：ジャーマンタンクス

　＜Ｍ４２　ｍｉｔ　７５／１８　８５０（ｉ）＞：ドイツ国防軍突撃砲。セモベンテM42da75/18を接収して使用したものである。全長5.04m、全幅2.23m、全高1.85m、重量15トン。主砲は7.5cmStuK75/18(i)L/18（44発）で、旋回角左右20度ずつ、俯仰角マイナス12度からプラス22度。車内に8mmMG38(i)機銃１丁（1104発）を搭載する。装甲厚は車体前面30mm（曲面）、側面25mm０度、後面25mm20度、底面15mm90度、戦闘室前面50mm５度、側面25mm９度、後面25mm０度、上面10mm84度または90度、防楯50mm（曲面）。エンジンは15TB（185馬力）、トランスミッションは前進５速・後進１速、最大速度38km、航続距離230km。無線機はRF1CA。乗員３名。1943年9月に123両が接収され、イタリアやバルカン半島で使用された。参考：ジャーマンタンクス

　＜Ｍ４２　ｍｉｔ　７５／３４　８５１（ｉ）＞：ドイツ国防軍対戦車自走砲。セモベンテM42Mda75/34を接収して使用したものである。全長5.69m、全幅2.23m、全高1.85m、重量15トン。主砲は7.5cmStuK75/34(i)L/34（42発）、旋回角左16度・右18度、俯仰角マイナス12度からプラス22度。車内に8mmMG38(i)機銃１丁（1104発）を搭載する。装甲厚は車体前面30mm（曲面）、側面25mm０度、後面25mm20度、底面15mm90度、戦闘室前面50mm５度、側面25mm９度、後面25mm０度、上面10mm84度または90度、防楯50mm（曲面）。エンジンは15TB（185馬力）、トランスミッションは前進５速・後進１速、最大速度38km、航続距離230km。無線機はRF1CA。乗員３名。1943-44年に169両が接収され、イタリアやバルカン半島で使用された。参考：ジャーマンタンクス

　＜Ｍ４３　ｍｉｔ　７５／３４　８５１（ｉ）＞：ドイツ国防軍突撃砲、イタリア側名称セモベンテM43da75/34。セモベンテM42Lda105/25の車体に46口径75mm高射砲M34を搭載しようとしたが生産数が足りず、取り敢えず34口径75mm砲（43発）を搭載したタイプである。全長5.97m、全幅2.45m、全高1.74m、重量16トン。主砲は7.5cmStuK75/34(i)L/34（43発）、旋回角左右18度ずつ、俯仰角マイナス10度からプラス20度。車内に8mmMG38(i)機銃１丁（864発）を収容する。装甲厚は車体前面50mm55度、側面40mm０度、後面25mm13.5度、底面15mm90度、戦闘室前面20mm20度＋75mm０度、側面15mm０度＋45mm15度、後面25mm０度、上面15mm86度または90度、防楯50mm（曲面）。エンジンは15TB（185馬力）、トランスミッションは前進５速・後進１速、最大速度38km、航続距離180km。無線機はRF1CA。乗員３名。1944-45年に29両が生産され、イタリアで使用された。参考：ジャーマンタンクス、月刊PANZER5,’05

　＜Ｍ４３　ｍｉｔ　７５／４６　８５２（ｉ）＞：ドイツ国防軍対戦車自走砲、イタリア側名称セモベンテM43Tda75/46。ドイツ軍がセモベンテM42Lda105/25の車体にイタリア製46口径75mm高射砲M34の戦車砲型を搭載したものである。薬室を改造して75mm対戦車砲PaK40の砲弾を使用できるようにしてあり、砲身先端にカウンター・ウェイトが付く。砲口初速毎秒800m、装甲貫徹力119mm（射距離500m）／106mm（1000m）。戦闘室前側面に増加装甲を装着し、内装式防楯に加えて外装式防楯も装備した。全長5.97m、全幅2.45m、全高1.74m、全備重量16トン。主砲は7.5cmStuK75/46(i)L/46（43発）、旋回角左右18度ずつ、俯仰角マイナス10度からプラス20度。車内に8mmMG38(i)機銃１丁（864発）を収容する。装甲厚は車体前面50mm55度、側面40mm０度、後面25mm13.5度、底面15mm90度、戦闘室前面20mm20度＋75mm０度、側面15mm０度＋45mm15度、後面25mm０度、上面15mm86度または90度、防楯50mm（曲面）。エンジンはSPA15TB42ガソリン（192馬力）、トランスミッションは前進５速・後進１速、最大速度38km、燃料搭載量360リットル、航続距離180km。無線機はRF1CA。乗員３名。1944-45年に11両が生産され、イタリアで使用された。参考：ジャーマンタンクス、月刊PANZER6,’14、3,’03、5,’05

　＜Ｍ４３　ｍｉｔ　１０５／２５　８５３（ｉ）＞：ドイツ国防軍突撃砲。セモベンテM43da105/25を接収して使用したものである。全長5.52m、全幅2.42m、全高1.74m、重量15.7トン。主砲は10.5cmStuK105/25(i)L/25（48発）、旋回角左右18度ずつ、俯仰角マイナス10度からプラス16度。車内に8mmMG38(i)機銃１丁（864発）を収容する。装甲厚は車体前面50mm55度、側面25mm０度、後面25mm13.5度、底面15mm90度、戦闘室前面75mm０度（1943年10月以降生産型の一部は25mm20度＋75mm０度）、側面45mm15度（1943年10月以降生産型の一部は15mm０度＋45mm15度）、後面25mm０度、上面15mm86度または90度、防楯50mm（曲面）。エンジンは15TB（185馬力）、トランスミッションは前進５速・後進１速、最大速度38km、航続距離180km。無線機はRF1CA。乗員３名。1943年9月に26両が鹵獲され、イタリアの第26戦車師団と第336歩兵師団で使用された。また、生産途中の資材を押収して1943年10月5日に60両が発注されており、1944年12月30日にはイタリア及びバルカン半島で66両が使用されていた。参考：ジャーマンタンクス

＜セモベンテ海外ファミリー＞

　＜Ｍ４２　７７２（ｉ）＞：ドイツ国防軍装甲指揮車。カルロ・コマンドM42を配備したもので、イタリア占領時に16両を接収し、89両分の資材を押収した。全長5.04m、全幅2.23m、全高1.82m、重量13.3トン。武装は車体右の13.2mm機銃MG31(i)で、旋回角左右13度ずつ、俯仰角マイナス８度からプラス20度、弾薬数420発。車内に8mm機銃MG38(i)を搭載し、弾薬数1560発。装甲厚は車体前面下部30mm（曲面）、上部30mm11度、側面下部25mm０度、上部25mm９度、後面下部25mm９度、上部25mm０度、底面15mm90度、上面15mm90度。エンジンは15TB（185馬力）、トランスミッションは前進５速・後進１速、最大速度40km、航続距離200km。無線機はRF1CA、RF2CA、RF3M2。乗員４名。1944年にイタリアとバルカン半島で使用された。参考：ジャーマンタンクス

＜ゼライ・デレス級＞：ペチャ�U級ミサイル艇・海外シリーズ（エチオピア海軍）を参照。

＜ゼラーズ＞：DD-777（駆逐艦）を参照。

＜ゼラス＞：R39（駆逐艦）を参照。

＜ゼラニウム＞：K16（コルベット）を参照。

＜セラピス＞：G94（駆逐艦）を参照。

＜セラフ＞：P219（潜水艦）を参照。

＜セラミック＞：焼き物や陶磁器の意味で、語源はギリシャ語の焼き物（Keramos）。軍事的にはアルミニウム酸化物（アルミナ、三酸化二アルミニウム）、シリコン炭化物、ボロン炭化物、ガラスなどを指す。ブリネル硬度は鋼板の2-4倍に達し、ヴィッカーズ硬度は1500-3400でダイヤモンドに近く、徹甲弾弾芯やHEATメタルジェットをすり減らす（場合によっては弾芯を砕く）ことができる。降伏強さも特にHEATメタルジェットの速度領域で高くなるので、装甲として有効である。ただし脆いのと、クラック伝播速度が毎秒10km（セラミック内の音速と同じ）に達するため徹甲弾が貫通するよりも先に全体が壊れてしまうので、金属に包んで圧縮応力をかけることで複合装甲に加工し、砕け散らないようにして強力な防御力を発揮させる。また、プレート状に加工して防弾ベストに挟むことで、自らが破砕することにより弾丸の運動エネルギーを吸収し、着用者へのダメージを防ぐことが可能。1000度以上の高熱でも強度を保つことができ、昇温速度が速いという特性も持つ。参考：月刊軍事研究10,’12、5,’04、6,’07、自動車メカニズム図鑑

＜セラミック・アップグレード・プレート＞：CUPを参照。

＜セランゴール＞：176（コルベット）を参照。

＜セランディン＞：K75（コルベット）を参照。

＜せりあ丸＞：三菱商事2TL型油槽船。総トン数10238トン。2TL型油槽船６番船で、昭和19年3月11日起工、5月9日進水、6月20日竣工。シンガポールに向かい、重油やガソリンなど15000トンを日本に還送した。10月、シンガポールから重油やガソリンなど15000トンを日本に還送した。12月19日、ヒ八五船団として六連島泊地を出港し、シンガポールに向かった。昭和20年1月7日、シンガポールに到着。1月20日、南号作戦のヒ八八Ａ船団としてシンガポールを出港。2月7日、六連島泊地に到着。その後またシンガポールへと往復する予定だったが、シーレーンが完全に断絶したため中止された。太平洋戦争後はフランス国際船級資格BV級の外洋航海油槽船へと改造され、日本油槽船社が中東からの石油輸送に使用している。参考：戦時標準船入門

＜セリウムリーダー＞：RU-21A/B/C（電子偵察機）を参照。

＜セリゲル＞：ロシア海軍セリゲル級海洋観測艦Seliger。2012年就役。参考：月刊世界の艦船6,’15

＜セリゲル級＞：ロシア海軍11982型海洋観測艦Seliger級。海洋観測機器の他に深海調査艇も積める。全長59.7m、満載排水量1135トン。主機はディーゼル・エレクトリック方式、速力13ノット。１番艦セリゲルが2012年に就役した。参考：月刊世界の艦船6,’15

＜セリ車＞：九七式中戦車ファミリーを参照。

＜セリナー＞：AKA-41（攻撃貨物輸送艦）を参照。

＜ゼリョーヌィ・ドル＞：ロシア海軍プロジェクト21631ブヤンＭ型５番艇Zeleni Dol。2015年11月18日、黒海艦隊に配備された。2016年8月19日、地中海東部からカリブル巡航ミサイルを発射し、シリアのアレッポにあるイスラム過激派弾薬庫などを破壊した。9月20日、地中海東部からシリアのアレッポにカリブル巡航ミサイルを発射した。参考：月刊世界の艦船2,’16、月刊軍事研究2,’17、6,’18

＜セル＞：熱電池の構成部分である素電池のこと。

＜セル＞：B-52爆撃機による航空支援の最小単位。１個編隊３機１組で構成され、１個セルで幅1km、長さ3kmを担当する。ターゲットボックスと呼ばれる目標面積に応じて投入兵力を決定する。参考：月刊軍事研究10,’02

＜セルヴァル作戦＞：マリ内戦を参照。

＜セルゲイ・オシポフ＞：ソ連海軍ボリス・チリキン級補給艦Sergei Osipov。参考：月刊世界の艦船6,’15

＜セルゲイ・コトフ＞：383（コルベット）を参照。

＜ゼルザル＞：イラン革命防衛隊空軍の地対地ミサイルZelzal。参考：THE MILITARY BALANCE 2016

＜ゼルザル２＞：イランのロケット弾。全長8.325m、直径610mm、重量3400kg、弾頭重量600kg。クラスター弾頭バルシも搭載できる。最大射程110km前後（公称は210km）。メルセデスベンツ社製トラックを改造した自走発射機に１発が搭載される。ヒズボラにも引き渡され、南レバノン侵攻時には30発前後を保有していたとされる。参考：月刊軍事研究11,’06、3,’17

＜セルジッペ＞：D35（駆逐艦）を参照。

＜セルストロム＞：DE-255（護衛駆逐艦）を参照。

＜ゼルダ＞：M113海外シリーズ（装甲車）を参照。

＜セルナ級＞：ロシア海軍高速汎用揚陸艇11770型／プロジェクト11770 Serna級。艇首底部から空気を噴射して水の抵抗を減らし、高速性を発揮する。全長26.3m、満載排水量107トン。主機はディーゼル、速力30ノット。戦車１両または装甲車３両または貨物45トンまたは人員92-100名を搭載できる。1995年からDKA-56、DKA-1142、D-56セルマ、艦番号791コントル・アドミラル・デミドフなどを建造した。参考：月刊世界の艦船6,’15、12,’12、11,’17、10,'21

＜セルビア海軍＞：2006年6月5日にモンテネグロが独立して海が無くなり、ドナウ川艦隊もモンテネグロに譲ったため、河川防衛用小規模艦隊に縮小された。参考：月刊世界の艦船3,’14

＜セルビア海軍（２０１３年）＞：兵力900名。哨戒艇５隻、掃海艇４隻、揚陸艇５隻、小型指揮艦１隻を配備する。参考：月刊世界の艦船3,’14

＜セルビア空軍防空軍＞：Vazduhoplovstvo i protivvaz-dusnaodbrana。2006年にセルビア・モンテネグロ共和国がセルビア共和国とモンテネグロ共和国に分かれたため、空軍もそれぞれに分かれてセルビア空軍防空軍が誕生した。隷下に２個航空旅団７個飛行隊と、航空試験評価センターを置く。航空基地はバタイニツァ、ラデブシ（民間兼用）、ニーシの３カ所。2017年3月28日、ロシアとMiG-29A/MiG-29C/MiG-29UB戦闘機２機ずつ計６機（全てオーバーホール済み中古機）の供与で合意した。10月2-20日に全機引き渡される。2018年、H145Mヘリの受領を開始。2019年、中国からFK-3地対空ミサイルシステムの導入を開始。2022年、中国からCH-92A彩虹無人機とFT-8C空対地ミサイルの導入を開始。4月26-29日、シュティット2022演習を実施。参考：月刊JWings5,’11、6,’17、12,’17、8,'22、月刊航空ファン2,’19

　＜セルビア空軍防空軍（２０１１年）＞：MiG-29戦闘機３機、MiG-29UB戦闘機１機、MiG-21bis戦闘機23機、MiG-21UM戦闘機６機、G-2Aガレブ練習機５機、G-4/4Mスーパーガレブ練習・攻撃機23機、J-22オラオ攻撃機11機、NJ-22練習機７機、IJ-22攻撃機８機、INJ-22練習機２機、UTVA-75練習機12機、An-2TD輸送機１機、An-26輸送機６機、Yak-40輸送機３機、Do28D-2輸送機２機、SA341H汎用ヘリ31機、SA342L汎用ヘリ18機、Mi-8T輸送ヘリ６機、Mi-17輸送ヘリ２機保有する。参考：月刊JWings5,’11

　＜セルビア空軍防空軍（２０１５年）＞：現役兵力5100名。年間飛行時間40時間。MiG-21bis戦闘機20機、MiG-21UM戦闘機６機、MiG-29戦闘機３機、MiG-29UB戦闘機１機、J-22戦闘攻撃機17機、IJ-22R偵察機10機、MiG-21R偵察機２機、An-2輸送機１機、An-26輸送機４機、To-28輸送機２機、Jak-40（Yak-40）輸送機２機、PA-34輸送機１機、G-4スーパーガレブ練習機24機、UTVA-75練習機11機、ラスタ95練習機10機、Mi-24攻撃ヘリ２機、Mi-17輸送ヘリ１機、HI-42（SA341H）汎用ヘリ２機、HN-42/-45（SA341H）汎用ヘリ34機、HO-42（SA341H）・HO-45（SA342L1）汎用ヘリ13機、HT-40（Mi-8T）ヘリ８機、S-125地対空ミサイル６基、2K12地対空ミサイル９基、9K32地対空ミサイル、9K310地対空ミサイル、ボフォース70口径40mm高射機関砲24基、R-60空対空ミサイル、AGM-65空対地ミサイル、A-77サンダー空対地ミサイルを保有する。参考：THE MILITARY BALANCE 2016

＜セルビア軍＞：2006年、海軍をモンテネグロに移管し、陸軍隷下にダニューブ川艦隊を新編した。2015年9月2-5日、スラブの絆2015演習に参加。参考：月刊軍事研究12,’15、THE MILITARY BALANCE 2016

　＜セルビア軍（２０１５年）＞：現役総兵力28150名（陸軍13250名、空軍防空軍5100名、訓練コマンド3000名、警備隊1600名、その他国防省組織5200名）、予備役50150名。ボスニア・ヘルツェゴヴィナにOSCE要員１名、中央アフリカ共和国にEUMAM RCA要員４名とMINUSCA要員70名（うちオブザーバー２名、医療中隊１個）、コート・ジボアールにUNOCIオブザーバー３名、キプロスにUNFICYP要員46名、コンゴ民主共和国にMONUSCO要員８名、レバノンにUNIFIL要員177名、機械化歩兵中隊１個、リベリアにUNMILオブザーバー５名、中東にUNTSOオブザーバー１名、ウガンダにEUTMソマリア要員５名、ウクライナにOSCE要員10名を派遣している。KFORでアイルランド軍12名・OSCE要員４名、アメリカ軍688名・旅団司令部分遣隊１個・歩兵中隊１個・OSCE要員４名、アルバニア軍14名・OSCE要員１名、アルメニア軍34名、イギリス軍１名・OSCE要員13名、イタリア軍52名・偵察戦闘群司令部１個・憲兵ユニット１個・OSCE要員13名、ウクライナ軍33名・OSCE要員１名・UNMIKオブザーバー２名、エストニア軍２名、オーストリア軍505名・機械化歩兵中隊２個・OSCE要員２名、オランダ軍５名、カナダ軍５名・OSCE要員４名、ギリシャ軍119名・歩兵中隊１個・OSCE要員４名、クロアチア軍28名・OSCE要員４名、ジョージア軍OSCE要員２名、スイス軍218名・歩兵中隊１個・OSCE要員１名、スウェーデン軍５名・OSCE要員３名、スペイン軍OSCE要員１名、スロバキア軍OSCE要員２名、スロベニア軍307名・自動車化歩兵中隊２個、チェコ軍11名・OSCE要員１名・UNMIKオブザーバー２名、デンマーク軍35名、ドイツ連邦軍795名・OSCE要員６名、トルコ軍394名・歩兵中隊１個・OSCE要員４名・UNMIKオブザーバー１名、ノルウェー軍２名、ハンガリー軍357名・歩兵中隊１個・OSCE要員４名、フィンランド軍21名・OSCE要員２名、フランス軍２名・OSCE要員４名、ブルガリア軍12名・OSCE要員１名、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ軍OSCE要員10名、ポーランド軍240名・歩兵中隊１個・OSCE要員１名・UNMIKオブザーバー１個、ポルトガル軍186名・空挺中隊１個・OSCE要員１名、マケドニア軍OSCE要員19名、モルドバ軍41名・UNMIKオブザーバー１名、モンテネグロ軍OSCE要員１名、ラトビア軍OSCE要員１名、リトアニア軍１名、ルーマニア軍53名・OSCE要員２名・UNMIKオブザーバー１名、ルクセンブルグ軍25名、ロシア軍OSCE要員１名が駐留している。参考：THE MILITARY BALANCE 2016

＜セルビア警備隊（２０１５年）＞：兵力1600名。（儀仗）警備旅団１個からなる。参考：THE MILITARY BALANCE 2016

＜セルビア陸軍＞：2017年3月28日、ロシアとT-72戦車30両及びBRDM-2偵察車30両の無償供与で合意した。参考：月刊JWings6,’17

　＜セルビア陸軍（２０１５年）＞：現役兵力13250名。特殊部隊旅団１個、第１旅団（戦車大隊１個、機械化歩兵大隊２個、歩兵大隊１個、自走砲兵大隊１個、多連装ロケット大隊１個、防空大隊１個、工兵大隊１個、兵站大隊１個）、第２旅団（戦車大隊１個、機械化歩兵大隊２個、歩兵大隊２個、自走砲兵大隊１個、多連装ロケット大隊１個、防空大隊１個、工兵大隊１個、兵站大隊１個）、第３旅団（第２旅団と同編成）、第４旅団（第２旅団と同編成）、砲兵旅団１個（砲兵大隊４個、多連装ロケット大隊１個、支援大隊１個）、ポンツーン橋大隊１個、NBC大隊１個、通信大隊１個、憲兵大隊１個、ダニューブ川艦隊、予備役歩兵旅団８個からなる。M-84戦車199両、T-72戦車13両、BRDM-2偵察車46両、M-80歩兵戦闘車323両、BOV VP M-86装甲兵員輸送車39両、2S1自走砲67両、D-30榴弾砲78門、M-46カノン砲18門、152mm榴弾砲M-84を36門、155mm榴弾砲M-1を66門、155mm榴弾砲M-65を６門、128mm多連装ロケットM-63プラメン18基、128mm多連装ロケットM-77オルガニ60両、262mm多連装ロケット砲オルカン３基、82mm迫撃砲M-69を106門、120mm迫撃砲M-74/-75を57門、9K11マリュートカ対戦車ミサイル搭載BOV-1(M-83)自走対戦車ミサイル48両、9K11マリュートカ対戦車ミサイル、9K111対戦車ミサイル、90mm対戦車ロケットM-79を６両、2K12地対空ミサイル77基、S-1M（SA-9）地対空ミサイル12基、SAVA S10M地対空ミサイル５基、S-2M（SA-7）地対空ミサイル、シロ（SA-16）地対空ミサイル、ボフォース70口径40mm高射機関砲36基、IWT装甲工兵車、M84A1戦車回収車、T-54/-55戦車回収車、MT-55戦車橋、TMM戦車橋、河川哨戒艇５隻、ネスティン級掃海艇４隻、22型LCU５隻、兵站支援船５隻を保有する。参考：THE MILITARY BALANCE 2016

＜セルビオラ級＞：スペイン海軍Serviola級。全長68.7m、幅10.4m、吃水3.4m、満載排水量1106トン。主機はディーゼル、出力7500馬力、２軸推進、速力19ノット。兵装は76mm単装砲１門、12.7mm機銃２丁。ヘリコプター１機を搭載できる。４隻が1991年から竣工した。参考：月刊世界の艦船3,’92増刊

＜セルフ・シャープニング＞：劣化ウラン弾が装甲に突入した時、侵徹体先端部が剥がれていき、先端が鋭い形状を保つこと。これにより劣化ウラン弾は高い貫徹力を持つ。参考：火器弾薬技術ハンドブック

＜セルフ・フォージング＞：弾頭を空中で放出してパラシュート降下させ、地表近くで弾片を水平に高速発射して地上目標を撃破する方式のこと。参考：攻撃ヘリコブラ＆アパッチ

＜セルフ・プロテクション・ジャミング＞：ジャミングを参照。

＜セルプホフ＞：ロシア海軍プロジェクト21631ブヤンＭ級コルベット５番艦Serpokhov、艦番号563。2015年12月就役。2016年8月19日、地中海東部からカリブル巡航ミサイルを発射し、シリアのアレッポにあるイスラム過激派弾薬庫などを破壊した。9月20日、地中海東部からシリアのアレッポにカリブル巡航ミサイルを発射した。2017年6月28日から7月2日、IMDS2017に参加。7月30日、サンクト・ペテルブルグでロシア海軍記念日の式典に参加。2018年7月30日、サンクト・ペテルブルグでロシア海軍記念日の式典に参加。参考：月刊軍事研究10,’17、2,’17、6,’18、月刊世界の艦船11,’17、11,’18

＜セルフリッジ＞：DD-357（駆逐艦）を参照。

＜セルベルス＞：へロー社の統合レーザー探知・煙幕発射システム。アビモLWD2レーザー警告探知機にヘロー・コントロール・ディスプレイパネルとてき弾発射機を連動させたもので、探知機と発射機は砲塔４隅に搭載され、全周をカバーする。自動モードと手動モードがあり、自動モードでは脅威方向180度に発射される。車内から再装填できないのが欠点。参考：月刊軍事研究11,’99

＜セルマ＞：D-56（LCU）を参照。

＜セレーネ＞：P254（潜水艦）を参照。

＜セレクター＞：セーフティ、セミオート、フルオートなどの機能を切り替えるスイッチのこと。参考：GUN用語事典

＜セレス＞：フランス海軍ミネルブ級潜水艦Ceres。1939年竣工。1942年11月、オランで自沈した。参考：第２次大戦のフランス軍艦

＜ゼレスニャコフ＞：ソ連海軍チャパエフ級巡洋艦Zhelezniakov。1939年10月31日起工、1941年6月25日進水、1950年4月19日竣工。9月7日、第４艦隊（後のバルチック艦隊）に編入された。1951年7月30日、北洋艦隊に転属した。1957年10月から1961年8月、レニングラードで大修理を実施。1961年4月18日、戦闘艦艇リストから除かれて練習巡洋艦に艦種変更された。1968年8月7日、レニングラード海軍基地に転属。1972年、スウェーデンを訪問。1973年5月28日、バルチック艦隊に転属した。1974年、ポーランドを訪問。1975年10月21日に兵装を撤去して除籍され、1977年に解体された。参考：ソ連／ロシア巡洋艦建造史、近代巡洋艦史

＜セレックス・センサーズ・アンド・エアボーン・システムズ＞：SELEX Sensors and Airborne Systems。BAEシステムズ・アビオニクスとガリレオ・アヴィオニカが合併して2005年に設立された。ユーロシステムズの子会社で、軍用センサーや電子器材の開発などを担当する。イギリスの他にイタリアに事業所があり、イタリアではガリレオ・アヴィオニカとして販売を行っている。2007年にBAEシステムズ保有の25%の株式が全てフィンメカニカに売却された。参考：月刊軍事研究2,’08、月刊JWings7,’19

＜セレニア社＞：1990年、アエリタリアと合併してアレニア社になった。参考：月刊JWings3,’16

＜ゼレニー・ドル＞：ロシア海軍プロジェクト21631ブヤンＭ型コルベットZeleny Dol。2022年7月31日、サンクト・ペテルブルグでロシア海軍記念日祝賀行事に参加。参考：月刊世界の艦船10,’22

＜セレノ＞：アメリカ海軍貨物運送艦。1943年6月16日、ルンガ沖航空戦で損傷した。参考：第２次大戦日本海軍作戦年誌

＜ゼレノグラード＞：K506（原潜）を参照。

＜ゼレノドルスク＞：ロシア海軍パルヒム�U型コルベットZelenodolsk。参考：月刊世界の艦船6,’15

＜セレベス＞：オランダ海軍スマトラ級巡洋艦Celebes。1916年に起工されたが、第１次大戦勃発で建造中止になった。参考：近代巡洋艦史

＜セレベス島攻略作戦＞：太平洋戦争で蘭印資源地帯の中心であるジャワ島周辺の制空権・制海権を掌握する一環として立案された。昭和16年11月26日、新田丸が一〇〇一部隊の海軍横須賀鎮守府第１・第３特別陸戦隊を乗せて東京を出港。12月1日、新田丸は高雄に入港し、部隊は訓練に励んだ。下旬、ミンダナオ島ダバオに横須賀鎮守府第１特別陸戦隊が進出。12月26日、蘭印攻略準備を開始。昭和17年1月11日0400、佐世保連合特別陸戦隊1800名がセレベス島北端のメナド市南北海岸に、1400名が東海岸のケマに上陸を開始した。0630、横須賀鎮守府第１特別陸戦隊324名（334名？）を乗せた第１航空隊輸送機隊九六式陸上輸送機二一型27機（28機？）が護衛の第１空襲部隊と共にダバオ飛行場を離陸し、メナド南方のランゴアン飛行場に向かった。途中でスコールに遭遇し、降下扉から雨が吹き込んできたため、横須賀鎮守府第１特別陸戦隊は落下傘が濡れないよう四苦八苦する羽目になっている。0830、佐世保連合特別陸戦隊が敵の抵抗を排除してメナド市街を占領。0952、第１航空隊輸送機隊がランゴアン飛行場上空に到達。水上機母艦瑞穂の零式観測機による誤射で１機が撃墜されたが、高度150m・時速100ノットで落下傘降下を開始し、1030までに降下を完了した。敵の真っ只中に降下した上、個人装備を物料傘で兵士とは別個で降ろしたため、かなり苦戦したものの、横須賀鎮守府第１特別陸戦隊は午前中に飛行場を占領し、北東のカカスに向かっている。1400、佐世保連合特別陸戦隊がケマ−メナド街道を占領。1500、横須賀鎮守府第１特別陸戦隊がカカス市街及び水上機基地を占領。1930、佐世保連合特別陸戦隊がメナド南方25kmのトモホンを占領。1月12日0630、横須賀鎮守府第１特別陸戦隊第２次降下部隊185名が第１航空隊輸送機隊九六式陸上輸送機二一型18機に分乗してダバオを離陸し、ランゴアン飛行場に降下して第１次降下部隊と合流した。この際、第１航空隊輸送機隊指揮官機がエンジン不調でランゴアン飛行場に強行着陸したが、幸い占領済みで、指揮官は降下隊員から胴上げの歓迎を受けている。横須賀鎮守府第１特別陸戦隊はランゴアン市付近を1230までに制圧、佐世保連合特別陸戦隊との連絡を付け、1月16日までに残敵の掃討を完了した。横須賀鎮守府第１特別陸戦隊の損害は戦死32名・戦傷32名だった。1月25日にはセレベス南東のケンダリーを佐世保連合特別陸戦隊が無血占領した。2月8日、セレベス南端のマカッサル港に佐世保連合特別陸戦隊が上陸。2月9日昼には市街地を占領し、夕方には飛行場を制圧した。参考：激闘太平洋戦記、月刊丸12,’90、月刊軍事研究11,’16、月刊航空ファン3,’19

＜ゼロアワー＞：日本が太平洋戦争中に行った対米謀略放送。オーストラリア軍捕虜の少佐が提唱し、昭和18年3月からアジア・太平洋に展開するアメリカ軍兵士に向かって放送が開始された。アナウンサーは自称孤児のアン、アメリカ兵通称東京ローズのアイバ戸栗らが務めている。参考：戦時用語の基礎知識

＜ゼロ・イン＞：零点規正を参照。

＜ゼロ・カジュアルティ＞：技術研究本部が研究しているコンセプト。ACIESを装備する隊員や無人システムなどを有機的に連携させ、隊員の被害をゼロに抑えつつ、複雑多様な環境下での任務達成を可能とするものである。参考：月刊軍事研究3,’13

＜ゼロ観＞：零式水上観測機シリーズを参照。

＜セロス２００シリーズ＞：スウェーデンのサーブ社が開発した追尾レーダー／電子光学方位盤Ceros200。参考：月刊軍事研究12,’07、月刊世界の艦船4,’22

　＜セロス２００＞：Ｋバンド追尾レーダーとＸバンド連続波イルミネーター・レーダーを組み合わせている。オーストラリア海軍アンザック級フリゲート、カナダ海軍ハリファックス級フリゲート、デンマーク海軍イーヴァル・ヒュイトフェルト級フリゲート、ドイツ海軍F123級フリゲート、ニュージーランド海軍テ・カハ級フリゲート、フィンランド海軍ポーヤンマー級コルベットに搭載された。参考：月刊世界の艦船4,’22

＜セロス２００Ｍｋ４＞：ステルス版。架台や電子光学部を傾斜面で構成し、アンテナ前面は必要な周波数だけが通過するようになっており、低サイドローブや、パルスごとの周波数アジリティなどECCMも強化した。追尾レーダーの使用周波数はKuバンド（15.5-17.5GHz）、信号処理方式はCHASE（Celsius tech High Accuracy Sea skimmer Estimator）と呼ばれるもので、低空目標追尾時のマルチパス現象を極限まで抑制し、静水時で追尾誤差0.2ミリラジアン以下、荒天時でも追尾誤差0.4ミリラジアン以下であるとされる。アンテナ形状は円形カセグレン型、ピーク出力2kW、探知距離100km。電子光学センサーはCCDカメラ、3-5及び8-12ミクロンのパッシブ赤外線カメラ、波長1.57ミクロン・パルス繰り返し周波数10Hz以上のアイセーフ・レーザー測距器で構成され、レーダーで捉えた目標の確認や、レーダーの補完としても使用できる。スウェーデン海軍ヴィスビー級コルベットやノルウェー海軍ショルド級コルベットに搭載された。参考：月刊軍事研究12,’07、12,’11、3,’17、月刊世界の艦船1,’15増刊、4,’22

＜ゼロゼロ射出座席＞：Zero-zero ejection seat。高度ゼロ・対地速度ゼロ（地上静止状態）でも脱出可能な射出座席のこと。参考：月刊JWings12,’06、ワイルドウエポン、軍事力バランス78年版

＜ゼロ戦＞：零式艦上戦闘機シリーズを参照。

＜零燃料重量＞：運航重量にペイロードを加えたもの。更に燃料重量を加えると離陸重量になる。参考：世界航空機年鑑2018-2019

＜零揚力角＞：Zero lift angle。揚力係数が零になる時の迎え角のこと。対称翼では０度、正のキャンバーを持つ翼ではマイナスになる。参考：航空用語事典増補改訂版

＜遷移＞：Transition。滑らかな流れである層流が、不規則な乱流に移行すること。参考：航空用語事典増補改訂版

＜戦域＞：Theatre。戦争が行われている地域のこと。参考：月刊JWings5,’21

＜戦域安全保障部隊＞：TSP（Theater Security Package）と略す。アメリカ空軍の迅速展開部隊で、ヨーロッパの安全保障が揺らぐ事態が発生するなどした際に、アメリカ本土からヨーロッパへと急速展開する。参考：月刊JWings5,’15

＜戦域核戦争＞：核戦争を参照。

＜戦域核兵器＞：核兵器を参照。

＜戦域空中警戒システム＞：TAWSを参照。

＜戦域高々度地域防衛システム＞：THAADシステムを参照。

＜戦域戦闘管理統制システム＞：TBMCSを参照。

＜戦域弾道ミサイル＞：Theater Ballistic Missile（TBM）。射程数百−千数百キロメートルの弾道ミサイルを指す。参考：月刊JWings12,’03

＜戦域弾道ミサイル防衛＞：TBMDを参照。

＜戦域偵察＞：戦術偵察を参照。

＜戦域特殊作戦コマンド＞：アメリカ地域統合軍隷下の特殊作戦部隊Theater Special Operations Command。アメリカ太平洋軍USPACOM隷下の太平洋特殊作戦コマンドSOCPAC（Special Operation Command Pacific）、アメリカ中央軍USCENTCOM隷下の中央特殊作戦コマンドSOCCENT（Special Operations Command CENTCOM）、アメリカ欧州軍USEUCOM隷下の欧州特殊作戦コマンドSOCEUR（Special Operations Command Europe）、アメリカ・アフリカ軍USAFRICOM隷下のアフリカ特殊作戦コマンドSOCAFRICA（Special Operations Command Africa）、アメリカ南方軍隷下の南方特殊作戦コマンドSOCSOUTH（Special Operations Command South）がある。参考：月刊軍事研究3,’13

＜戦域任務計画センター＞：トマホーク武器システムを参照。

＜戦域ミサイル防衛＞：TMDを参照。

＜銭維昌＞：25（測量艦）を参照。

＜遷移点＞：Transition point。境界層が層流から乱流に移行する際、その間には層流と乱流が混合している遷移領域が発生するが、境界層全体に比べると小さく、混合具合を計算に入れて考えると煩雑になるだけなので、遷移領域の中央で層流から乱流に切り替わると仮定するが、この切り替わる点を遷移点と称する。参考：航空用語事典増補改訂版

＜前衛（日本陸軍）＞：行軍中の部隊の前方に展開する警戒部隊。部隊前進時の主任務は、敵小部隊を含む進路上の障害を排除し、敵大部隊と近接したら捜索を密にして本隊戦闘の初動が有利に展開するようにし、追撃の際には速やかに敵主力に追いつき逃げられないよう拘束することである。側敵行や退却行でも前衛を配置することがある。通常は前衛本隊と前兵に分けて運用し、前兵は尖兵中隊を、尖兵中隊は尖兵を分出して警戒にあたる。前兵の兵力は通常前衛歩兵の３分の１以内に所要の騎兵を加えたものとし、砲兵、工兵、消毒部隊などを配属させることもある。前兵と前衛本隊との距離は師団では500-1500mを標準とする。尖兵中隊の兵力は歩兵中隊１個くらいで、状況に応じ機関銃、歩兵砲、工兵などを配属する。トップは尖兵中隊長で、縦隊の進路を誤らない事に関して責任を持つ。尖兵中隊と派出部隊との距離は300mないし500mが標準。尖兵は歩兵小隊１個以下の兵力で、尖兵長（将校）が指揮し、進路上の捜索を行う。尖兵長は尖兵主力前方に位置し、前方で生じた事件を速やかに判別する。尖兵と派出部隊との距離は300ないし400mが標準。騎兵尖兵は長以下少数兵力で構成され、縦隊の最先頭を進み、主に進路上の捜索を行い、常に後続部隊との連絡を保つ。参考：作戦要務令

＜前衛１＞：QW1シリーズ（地対空ミサイル）を参照。

＜前衛２＞：QW2（地対空ミサイル）を参照。

＜前衛３＞：QW3（地対空ミサイル）を参照。

＜前衛４＞：QW4（地対空ミサイル）を参照。

＜尖鋭弾＞：ボート状に成型した弾丸のこと。射程は延びるが、精度がやや落ちる。大正時代後期に開発され、高射砲や野砲用に配備された。参考：大砲入門

＜戦役＞：Campaign。時空間的に一定の広がりを持つ複数の作戦を互いに関連付け、一連の軍事行動として捉えたもの。参考：歴史群像4,’16

＜前縁＞：Leading edge。翼断面の前端点のこと。翼断面の輪郭を小さく区切っていくと、円弧とほぼ同じ形状になるが、この円の半径は翼断面の前端付近で一番小さくなる。この一番小さな半径になる円の輪郭上の点をその翼断面の前縁と称する。参考：航空用語事典増補改訂版

＜前縁後退角＞：翼前縁の後傾角のこと。普通、後退角という場合には25%翼弦での後退角の方を指す。

＜前縁失速＞：Leading-edge stall。翼の迎え角を増大させていった際、主翼上面前部に層流剥離泡（ショートバブル）が生じ、更に迎え角を増やしていくとショートバブルが再付着を起こさなくなり（バースト）、翼上面の境界層が一気に剥がれ、揚力が急減して失速に陥る失速形態のこと。翼厚が薄い場合、バーストしても境界層が一気に剥がれず、層流剥離泡の再付着点が後方にずれてロングバブルに移行する薄翼失速になる。参考：航空機設計法

＜前縁スラット＞：スラットを参照。

＜前縁前進角＞：前進角を参照。

＜前縁半径＞：Leading edge radius。翼断面の前縁の輪郭と等しい円の半径のこと。翼弦長を100%とし、％弦長で表される。飛行速度が遅い場合には翼厚比が同じでも前縁半径が大きい方が揚力を高められる。音速に近くなると、前縁半径が大きい場合には翼面付近に音速を超える部分が出現して衝撃波により抵抗が増大するので、前縁半径を小さくした方が良い。音速を超えると、丸みのある前縁のすぐ前に衝撃波が出て抵抗を生じるので、前縁半径がほぼゼロの薄翼を使ったりする。参考：航空用語事典増補改訂版

＜前縁フラップ＞：フラップを参照。

＜前縁包装金具＞：日本陸軍のプロペラ防護用金属カバー。飛行中に木製プロペラが雨滴で損傷を受けるのを防ぐため、ブレード前縁から先端部に打ち付ける真鍮製金属板のことである。参考：月刊航空ファン9,’18

＜遷音速＞：Transonic。マッハ0.75-1.25辺りの音速近辺の速度域のこと。マッハ0.82-0.87くらいが燃費と速度効率のバランスに優れるため、ジェット機の巡航速度はこのあたりに設定される。機体周囲は超音速領域と亜音速領域が混在し、機体前方で発生し音速で伝播する圧力波が密集して機体前方の空気が圧縮され、これの影響で操縦性や安定性に支障が出ることもある。機体の姿勢や速度の僅かな変化により超音速・亜音速領域が移り変わるので、機体に作用する空気力が大きく変化し、釣り合いや安定に多大な影響を与え、バフェット、ウイング・ドロッピング、ピッチアップを引き起こす。翼面上で局所的に流れが音速を超えると、抗力が一気に増大する（抵抗発散）。翼後縁では翼上下面の気流が合流するが、やや上流の舵面あたりで衝撃波が発生し、不安定に動き回るため、機体の不規則運動や操舵特性の異常の誘因となる。主翼には抵抗発散マッハ数を可能な限り高くする設計が求められ、後退翼（後退角25-40度）、遷音速翼型、低翼厚比（翼根部15%）、翼胴フェアリング、捩り下げといった工夫を施す。参考：航空用語事典増補改訂版、月刊JWings10,’09別冊付録、月刊航空情報9,'17、航空機設計法、朝雲

＜遷音速風洞＞：風洞を参照。

＜遷音速翼型＞：遷音速領域における抵抗発散を可能な限り遅くする工夫をこらした翼型で、ルーフ・トップ翼型、ピーキー翼型、スーパー・クリティカル翼などがある。舵面上での衝撃波発生を防止するため、翼後縁を厚くして翼上下面の気流を翼後方で合流させるようにするが、抗力が増えるという欠点がある。参考：航空機設計法、朝雲

＜旋回＞：

＜旋回（航空機）＞：Turn。航空機が飛行方向を変更すること。方向舵を使うだけでは向心力が生じず、機首が向きを変えるだけで機体はそのまま真っ直ぐ横滑りしていってしまうため、機首の向きとバランス良く機体を傾ける必要がある。旋回中は内側と外側で主翼の対気速度に差が付くため、揚力にも差が生じて機体の傾きが深くなっていくので、エルロン操作による補正が必要になる。参考：航空用語事典増補改訂版

＜旋回（装軌車両）＞：緩旋回、信地旋回、超信地旋回がある。参考：戦車の戦う技術

＜船外機（救難ボート用）＞：自衛隊の機器。双信商事が受注している。参考：月刊軍事研究11,’10

＜旋回計＞：Turn indicator。旋回傾斜計（Turn and bank indicator）ともいう。１自由度（ジンバル１個）のレートジャイロを使用して航空機のロールと横滑りの状態を示す計器で、針玉とも呼ばれる。ジャイロの回転軸は水平で翼幅方向に一致しており、回転方向は飛行方向に見て上面が前向き・下面が後ろ向き（右舷側から見て時計回り）で、機体がロールすると常に反対方向へと歳差運動を行う。旋回計の針はジャイロジンバルと連動し、機体が右に傾いてジャイロジンバルが左に傾くと、針が右に振れるように支点を設けている。旋回計の目盛りは中央上部に針幅だけの指標を置いてあることが多く、この幅だけ針が振れると、標準旋回（毎秒３度）となるよう調整される。横滑りを示すのはアルコールを満たした横置きガラス管（軽く下に弧を描いている）内にある鋼球または黒瑪瑙玉で、横滑りが無い時は中央に位置しているが、横滑りを起こすと過大な遠心力や向心力により左右にぶれる。参考：丸メカニック別冊１、航空用語事典増補改訂版

＜旋回速度＞：Turning speed。旋回に入り、旋回を維持する速度のこと。バンクを取ることで失速速度が増加し、主翼の揚力分布も左右非対称になっているため、失速速度に達する前に失速したり、エルロンによるバンクの修正が効かなくなったりする。旋回中は水平飛行よりも必要な揚力が大きく、それに伴って抗力が増えるので、エンジン出力を上げないと高度や速度を維持できない。限界に近い速度で旋回に入った際にうっかり機首を下げると、そのまま降下加速して限界速度を超えてしまうことがあるので注意。参考：航空用語事典増補改訂版

＜浅海用感応機雷システム＞：SWIMSを参照。

＜旋回率＞：航空機が１秒間に何度旋回できるかを示す値。機体に掛かる加速度に比例し、速度に反比例する。設計運動速度で制限荷重一杯の旋回をする時が最大旋回率になるが、機体姿勢の関係で抗力が大きくなり余剰推力が一気に低下するため、最大旋回率を維持するのは難しい。よって、実用上は制限荷重を維持できる最小速度（設計運動速度より速い）における最大維持旋回率が重要となる。参考：月刊JWings9,’16

＜尖閣諸島＞：石垣島の北170kmにある島々で、魚釣島、北小島、南小島、久場島、大正島、沖の北岩、沖の南岩、飛瀬岩からなり、行政区域では沖縄県石垣市に属する。一番大きな魚釣島でも3.5km×1kmの大きさで、北小島と南小島以外は海岸線からすぐ傾斜地になっており、港の建設や車両による移動は難しい。日本の民間船が周辺海域に入域するのは自由だが、尖閣諸島への上陸は日本政府が禁止しているので、島から１海里以内に入ると海保巡視船から警告を受ける。大規模部隊の展開は無理で、少人数の部隊が占領したとしても、制海権と制空権が無ければ艦砲射撃と爆撃を喰らって全滅するか（住民はいないので誤射の心配は無い）、飲料水すら確保できず干上がるしかない。あまり良い漁場でもなく、中国漁船100隻くらいが周辺で漁をしているが、中国政府の命を受けて自国領アピールをしつつ隙を窺っている感が否めない。宮古島分屯基地からは210kmの距離にあり、ここからは電波水平線の下に潜る高度2000m以下の航空機は監視できない。1859年に日本人の調査が入り、1885年に沖縄県が出雲丸を派遣して現地調査を実施、日本の民間人がアホウドリを捕獲するため借地契約を請求した。これにより政府が調査を開始、1895年（明治28年）1月14日に沖縄県への編入を決定し、現地に標杭を設置して日本領としている。日清戦争の下関条約第２条に基づいて清国から割譲された台湾と澎湖諸島には含まれていない（つまり清の領土だったという認識は無い）。1896年、民間人への無償貸与（魚釣島、北小島、南小島、久場島）を許可した。魚釣島には鰹節工場が置かれて事業が始まり、200人が居住していて、1932年に有償貸与となったが、アホウドリの乱獲で採算が取れなくなり工場を撤退（借地契約自体は続行）、1940年に尖閣諸島は無人島となった。太平洋戦争のサンフランシスコ講和条約第２条にある放棄領土の対象ではなく、第３条に基づく南西諸島の一部として琉球政府の管轄下にあり、アメリカ軍の射爆場（久場島の黄尾嶼射爆撃場と大正島の赤尾嶼射爆撃場。在沖縄米海軍艦隊基地隊の管理下にある）が置かれて借地料が支払われていた。1968年、国連アジア極東経済委員会が行った東シナ海の海底調査で尖閣諸島周辺に石油資源（1000億バレル、800兆円）が埋蔵されている可能性があることが判明。9月2日、台湾海軍兵士が魚釣島に上陸し、台湾国旗を掲げたため、日本政府は抗議すると共に琉球政府は9月15日に旗を撤去した。1971年、中国と台湾が領有権の主張を始めたが、1960年代末までの中国の教科書の記述では尖閣諸島が日本の領土と認識されている。1971年6月17日、琉球諸島及び大東諸島に関する日本国と米国との間の協定が署名され、日本に施政権が返還された。1972年・1978年、４島の貸借権が別の日本人に渡った。1972年5月15日0000、沖縄本土復帰を受けて海上保安庁が尖閣諸島の領海警備業務を開始。1978年、日本青年社が魚釣島に灯台を建設。以降、中国と台湾の民間団体抗議船が来るようになった。4月12日、上海市革命委員会が組織し、海軍兵などが乗り込んだ漁船140隻が尖閣諸島周辺海域で操業、最大40隻が領海を侵犯したため、海上保安庁は巡視船13隻と航空機７機を出して退去命令を出した。4月14日午後には漁船から自動小銃を向けられる事件が発生し、13-14日に中国に対して抗議したが、4月15日になり中国は偶発的事件と非公式に伝えたのみだった。1979年からアメリカは射爆場の使用を停止しているが、日米合同委員会の決定に基づく借り上げは続いており、アメリカは尖閣諸島が日本の領土であると認めていることの証左となっている。

1992年2月15日、中国が中華人民共和国領海及び接続水域に関する法律（領海法）を制定し、尖閣諸島を中国領と明記、中国軍が許可無く侵入する外国軍艦を実力で排除できるとした。1995年、石垣市の緑地公園に古賀辰四郎尖閣諸島開拓記念碑が建立された。1996年、国連海洋法条約が発効し、周辺200海里が日本の排他的経済水域となった。日本青年社が魚釣島に新たな灯台を設置。隣国の不法侵入者がこれを破壊することも考えられたため、万が一の事態に備えて海上保安庁特殊警備隊SSTが巡視船しきしまからヘリで隠密上陸し、３週間程かけて島の地勢状況を調査、ついでにヘリで撮影した映像を巡視船経由で海上保安庁や管区本部に伝送するヘリテレ機材を設置した。9月22日、全世界華人防衛大連盟（香港の尖閣諸島中国帰属運動団体）が貨物船で香港を出港、9月26日に領海を侵犯した。海上保安庁の巡視船が針路を塞いだが、４人が強行上陸のため海に飛び込み、２人が溺れて重体となった。救助要請を受けて海上保安庁は石垣島から医師をヘリで派遣し、応急処置の後八重山病院に搬送したが、１人が死亡した。香港では日本側が殺害したというプロパガンダ報道が流されている。これに関し、駐日アメリカ大使は、尖閣諸島はアメリカの日本防衛義務を定めた日米安保条約第５条の対象外であると述べた。10月6日、台湾の抗議団体の船49隻が出港し、10月7日に２隻が巡視艇50隻の包囲網をくぐりぬけて尖閣諸島に接近、活動家４人が上陸した。1998年6月28日、台湾と香港の活動家が６隻の船で尖閣諸島の領海を侵犯。そのうち１隻が救難信号を発して乗員が退去したため、海上保安庁が移乗して調査したところ、機関室内のエンジン冷却水パイプが人為的に切断されて浸水しており、２日後に沈没した。活動家側は巡視船に体当たりされたと主張している。2004年3月24日、中国の活動家が魚釣島に上陸したため、沖縄県警八重山署の署員がヘリで上陸して７人を逮捕、中国に強制送還した。2005年、魚釣島に灯台を設置。2008年12月8日、中国国家海洋局監視船海監46と海監51が領海を侵犯し、海上保安庁巡視船の警告を無視して９時間ほど侵犯し続けた。これが中国公船による初の意図的な領海侵犯である。2009年4月3日1330頃、魚釣島北北東350kmを東に航行する中国海軍渦池型掃海艇艇番号805を第５航空群P-3C哨戒機が確認した。1600頃、魚釣島北北東350kmを南東に航行する中国海軍渦蔵型掃海艇艇番号804霍邱を第５航空群P-3C哨戒機が確認した。

2010年8月17日、西日本新聞でアメリカが尖閣諸島は安保対象と明言しなかったと伝えられたが、8月18日には尖閣諸島にも安保条約は適用されるとアメリカ国務省次官補が発言したと朝日新聞が伝えた。9月、尖閣諸島周辺で中国漁船270隻が操業し、多い日で70隻が領海に侵入していた。9月7日、尖閣諸島の領海内に侵入した中国トロール漁船閩晋漁5179に対し、1015に海上保安庁の巡視船よなくにが退去するよう勧告した。しかし漁船は停船命令を無視し、よなくにの艦尾に衝突して逃走した上、1056には再び巡視船みずきに衝突したため、1256に海上保安官が乗り移ってエンジンを止めさせ、立ち入り検査を行った。その間に政府などで対応を慎重に検討したようで、船長の逮捕は13時間も経った9月8日0200過ぎとなった。それより前の9月7日1400頃、外務省アジア大洋州局審議官が駐日中国大使館公使参事官を外務省に呼んで抗議したが、中国側は領有権の問題だと従来の主張を繰り返した。中国側は中国外務省次官補が駐中国日本大使を9月7日と8日に呼んで抗議、9月11日には東シナ海ガス田開発の政府間交渉の延期を通告し、9月12日には夜中の0100に国務委員が日本大使を呼び出して船長の即時釈放を要求した。9月13日、日本は漁船と船員14人を解放。9月14日、台湾の抗議船が尖閣諸島に接近しようとしたが、領海外で巡視船に阻止された。9月16日、中国交通省海事局と中国海上捜救センター、台湾海岸巡防署が、予定を１ヶ月前倒しして初の大規模海難救助訓練を実施。台湾には中国から日本メディアの取材を受けないよう通達が出されたという。9月18日、満州事変勃発79周年を迎え、北京や上海などで反日デモが行われた。9月19日、船長の拘留期限を10日間延長。中国の外務省報道局長は船長の即時釈放を求め、実施されない場合は強硬な対抗措置を執ると表明、閣僚以上の交流停止と航空交渉の中止を発表した。9月21日、中国首相が船長の即時釈放を要求。釈放されない場合、更なる行動を取ると脅しをかけた。アメリカ海軍掃海艦MCM-2ディフェンダーが友好親善名目で宮古島平良港に寄港。9月22日、日本の官房長官はあらゆる可能性を追求すると表明。9月23日、希土類の対日輸出が停止されていることが分かった。中国は軍事区域に侵入したとして日本人４人を拘束。アメリカ国務長官が日本の外相と会談し、尖閣諸島に日米安保条約第５条が適用されると名言した。9月24日、那覇地検が日中関係などを理由として船長を処分保留で釈放すると発表。中国の漁業監視船２隻（漁政201、202）が10月6日まで尖閣諸島周辺海域を遊弋したため、海上保安庁巡視船が監視を行った。9月25日、中国政府のチャーター機で船長が帰国。中国外務省は日本に対して謝罪と賠償を要求。9月26日、日本の首相は謝罪と賠償を拒否。9月28日、希土類の通関が再開された。9月30日、中国は拘束していた日本人のうち３人を釈放。この件に関し、ジェーンズディフェンスウィークリー誌は日本の態度を「屈辱的な譲歩」と表現している。10月1日、千葉県犬吠埼東1100海里を航行中の中国コンテナ船で発生した急病人を、第71航空隊US-1A救難飛行艇が救助して厚木まで輸送した。10月9日、中国は拘束していた日本人の残り１人を釈放。10月15-19日、海上自衛隊練習艦隊が中国の青島に寄港する予定だったが、キャンセルされた。11月4日深夜から11月5日未明、9月7日の中国漁船衝突の映像がインターネットの動画サイトにアップロードされた。11月8日、海上保安庁は動画サイトへの投稿者を被疑者不詳のまま刑事告発。11月10日、消防巡視艇うらなみの主任航海士が動画サイトへの投稿を認めた。

2011年3月5日、中国漁業監視船漁政202が尖閣諸島近海を遊弋。3月9日、中国漁業監視船漁政202が尖閣諸島近海を遊弋。3-4月、東日本大震災の隙を突いて中国海軍が尖閣諸島周辺の東シナ海で艦隊演習を実施。7月3日朝、中国の漁業監視船漁政201が魚釣島の北西31kmを南南東に進んでいるのを海上保安庁の航空機が発見した。海上保安庁は船艇と航空機で監視と警告を行ったが、漁政201は接続水域に入り、領海侵犯はせずに去っている。7月31日0725頃、魚釣島の北北西60kmで中国海洋調査船北斗が海洋調査を行っているのを海上保安庁第11管区海上保安本部の航空機が発見、EEZ圏内での不法調査であるとして警告を行ったが、北斗は無視して1630頃まで調査を続けた。8月24日、中国の漁業監視船漁政201と漁政31001が尖閣諸島に接近。漁政201が0636から0709までと0741から0748まで、漁政31001が0644から0713まで領海に侵入したため、海上保安庁の巡視船が警告したが、領海を出た後も1530頃まで領海線に沿って航行を続け、1700頃に接続水域を出た。9月25日から10月7日にかけ、中国の測量船北斗、科学３号、漁業監視船漁政32501、漁政202が尖閣諸島周辺に接近し、測量船２隻がEEZ内で海洋調査を行ったため、海上保安庁が退去警告と監視を行った。11月15日1318頃、大正島北北西26海里（EEZ内）で東方紅２号がワイヤーやロープを曳航して違法に海洋調査を行っているのを海上保安庁の航空機が発見。警告したところ、調査を中止した。12月6日1012頃、久米島北北東55海里（EEZ内）で科学１号がワイヤーやロープを曳航して海洋調査を行っているのを海上自衛隊の航空機が発見。事前通報と異なる海域であると警告したところ、通報海域に移動した。

2012年、中国がEEZ内で日本の同意を得ずに行った海洋調査は４件だった。2月19日、久米島の北北西170kmのEEZ内で海洋調査をしていた海上保安庁測量船昭洋が中国国家海洋局海監66から無線で調査中止要求を受けた。昭洋が拒否すると、海監66は550mまで接近して並走を続けている。2月28日、久米島の北北西170kmのEEZ内で海洋調査をしていた海上保安庁測量船昭洋と拓洋が中国側から無線で調査中止要求を受けたが、正当な調査であると回答して任務を続けた。4月12日1200過ぎ、白樺ガス田近くの日中中間線の日本側で警戒監視を行っていたDD-132あさゆきに、中国国家海洋局Y-12輸送機が50mの至近距離まで接近し、周囲を２周した。4月17日、東京都の石原知事がワシントン市での講演で尖閣諸島の一部を購入すると表明。5月13日、日中首脳会談で双方が尖閣諸島の領有権を主張。7月4日0635頃、台湾の活動家が乗船した遊漁船１隻と台湾巡視船４隻が魚釣島南西の領海内に侵入。海上保安庁が巡視船３隻で退去するよう要求し、1200頃に領海を出た。その後海保巡視船みずきと台湾巡視艇PP10033が接触し、双方とも軽微な損傷を負ったが、死傷者は出ていない。7月6日、日本政府は東京都が購入を目指していた魚釣島、北小島、南小島の国有化を目指すと表明。7月11日未明、中国の漁業監視船３隻が尖閣諸島の領海内に侵入、0800頃まで航行した。海上保安庁が退去するよう警告したが、監視船側は逆に中国の領海であるから離れるよう告げている。8月、香港の活動家らが乗る船舶１隻が領海に侵入し、活動家７人が魚釣島に上陸したため、逮捕して強制送還した。9月11日、日本政府が尖閣諸島魚釣島、北小島、南小島の民有地を一般会計予備費20億5000万円で購入し、海上保安庁が取得・保有する形で国有化した。以降は尖閣諸島周辺に中国海警局巡視船と漁船多数（領海侵犯だけで年間延べ数百隻）が侵入しては海上保安庁が追い払い、100-200km離れて展開する中国海軍軍艦を海自護衛艦・哨戒機が監視するという事態が続いている。毎日0630に第５航空群と第11管区海上保安本部がホットラインで状況を確認、那覇航空基地や鹿屋航空基地からP-3C哨戒機が離陸して尖閣諸島北方60-100kmに常駐している中国海軍軍艦3-4隻の様子を伺い、E-2C早期警戒機・E-767早期警戒管制機が中国空軍戦闘機のスクランブル発進を警戒、近づいてきたらF-15J戦闘機をスクランブル発進させ、1830に再び第５航空群と第11管区海上保安本部がホットラインで状況を確認し、同様の夜間哨戒を開始する、というスケジュールで対策した。9月14日、海上保安官に離島での逮捕権を与える改正海上保安庁法の対象に尖閣諸島が含まれることになった。中国国家海洋局監視船６隻が領海に侵入。9月18日、中国国家海洋局と漁業局の監視船が接続水域や領海に侵入。9月21日、台湾の抗議船１隻が午前中、台湾の巡視船１隻が夜に尖閣諸島接続水域に侵入した。9月25日、台湾の漁船40-50隻と巡視船12隻が尖閣諸島沖に出現、一部が領海を侵犯した。夕方以降、台風17号が接近したので中国船は待避していたが、10月1日から中国海洋監視船海監・漁政計10隻以上が尖閣諸島接続水域と領海に侵入している。10月1日、台湾巡視船１隻が接続水域に侵入。10月4日、台湾巡視船１隻が接続水域に侵入。10月10日、中国船は一旦全て接続水域を出たが、10月20日朝から再び接続水域と領海への侵入が始まった。10月の中国公船領海侵入は５日延べ19隻、接続水域入域は22日延べ122隻だった。11月5-16日、日米共同統合演習（実動演習）キーン・ソード13が実施されたが、予定されていた島嶼奪還訓練が日中関係に配慮した日本政府の申し入れにより中止された。11月の中国公船領海侵入は４日延べ15隻、接続水域入域は27日延べ124隻だった。12月13日1106頃、中国国家海洋局Y-12�U輸送機が魚釣島の南15kmの日本領空を侵犯しているのを海上保安庁巡視船が発見、第83航空隊F-15J戦闘機８機と那覇基地に展開していた警戒航空隊飛行警戒監視隊E-2C早期警戒機１機がスクランブル発進した。これが中国による初領空侵犯である。12月22日、Y-12�U輸送機が尖閣諸島周辺を飛行した。12月の中国公船領海侵入は８日延べ21隻、接続水域入域は21日延べ80隻だった。

2013年1月19日1700頃、東シナ海で護衛艦DD-111おおなみのSH-60K哨戒ヘリが中国海軍054級フリゲート526温州から火器管制用とみられるレーダー照射を受け、緊急回避行動をとった。1月24日、台湾の抗議船１隻が台湾巡視船４隻と共に接続水域に入域。1月30日1000頃、東シナ海で護衛艦DD-103ゆうだちが3km先の江衛�U型フリゲート522連雲港から火器管制レーダーによる照射を受けた。2月、中国公船が領海に７回侵入した。2月5日、SH-60K哨戒ヘリと護衛艦DD-103ゆうだちに対する火器管制レーダー照射について、日本政府が中国に厳重な抗議を行った。2月11日、SH-60K哨戒ヘリと護衛艦DD-103ゆうだちに対する火器管制レーダー照射について、アメリカが日本の立場を指示すると表明。2月17日、チェコのテレビクルーを乗せた日本漁船に中国公船が異常接近した。3月6日、中国公船が領海に侵入。海上保安庁は2012年度予備費と2012年度補正予算により1000トン型巡視船10隻を建造、第11管区海上保安本部のヘリコプター搭載型巡視船を２隻に増やし、2013-15年度に要員を確保、石垣港も機能強化して平成27年度末には尖閣警備専従部隊を創設する予定である。4月23日午前、中国国家海洋局海洋監視船８隻が領海に侵入。4月29日、ヘーゲル米国防長官が尖閣諸島は日米安保条約第５条の適用範囲内であると明言した。5月2日、国籍不明の潜航潜水艦が奄美大島西方の接続水域内を航行した。5月6日、アメリカ国防総省が中国軍事・安全保障における進展2013を議会に提出。中国が尖閣諸島周辺に独自に領海基線を設定したことに対し、国際法に合致していないと批判した。これに対して中国政府は強烈な不満を表明している。5月12日深夜、第５航空群P-3C哨戒機が久米島南方の接続水域内を東に進む潜航潜水艦１隻を発見。5月13日朝には久米島南方の接続水域内を南東に航行していった。5月19日早朝、南大東島付近の接続水域内を航行する国籍不明の潜航潜水艦をP-3C哨戒機が発見した。6月下旬に中国軍の無人機が密かに尖閣諸島領空に侵入していたと、カナダ軍事雑誌KDR（漢和防務評論）2014年6月号が報じた。ただソースが「信頼すべき軍事工業会情報」としか書いていないので、本当かどうかは不明。7月1日、海洋監視船海監5001を含む中国公船４隻が尖閣諸島沖の領海に侵入。7月24日、中国海警局の公船４隻が尖閣諸島の接続水域に進入。7月26日、中国海警局に所属する公船４隻が発足後４日目にして早々に領海を侵犯した。7月29日、アメリカ上院が尖閣諸島周辺で挑発を繰り返す中国に対する非難決議を採択。8月2-3日、中国海警局の公船４隻が領海を侵犯。8月7-8日、中国海警局公船が28時間にわたり領海に侵入。8月13日夕方、中国海警2151が久場島の北西から接続水域に進入。8月16日午前、中国海警2151が大正島北西から領海に侵入。夜、中国海警1123、同2112、同2113が魚釣島の西から接続水域に進入。8月26日、中国国家海洋局Y-12輸送機が魚釣島の北120kmに接近。9月4日夜、中国海警1115が久場島の北西から接続水域に進入。9月10日1030過ぎ、中国海警局の巡視船７隻が久場島北西から領海に侵入した。尖閣諸島国有化から１年で中国公船による領海侵入は延べ63日・216隻、接続水域侵入は延べ259日・1051隻に上っている。11月23日、中国が東シナ海の尖閣諸島など日本の領空やアメリカの訓練場・訓練空域を含む範囲に防空識別圏を設定。ただ圏内を飛行する航空機が中国軍の指示に従わない場合は軍事的措置を執るとしており、領空（というか動物の縄張り的なもの）と勘違いしているフシがある。日本政府は中国に対して厳重に抗議し、アメリカなどは懸念を表明した。11月26日、アメリカ空軍B-52H戦略爆撃機２機が、中国により東シナ海に設定された防空識別圏内で飛行した。

2014年1月12日0840-1039、中国海警局巡視船３隻が領海を侵犯。3月19日、P-3C哨戒機が宮古島の東の接続水域を北西に航行する潜航潜水艦を確認。その後3月20日午前に接続水域を抜けた。3月23日、国家海洋局Y-12輸送機１機が東シナ海から南西諸島に飛来。2013年度の中国公船による領海侵犯は延べ45回160隻に及んだ。4月24日、日米首脳会談でオバマ大統領が尖閣諸島は日米安保条約第５条の適用対象であると明言した。5月24日、東シナ海の公海上を飛行していた海自OP-3C画像情報収集機と空自YS-11EB電子情報収集機に中国空軍Su-27SK戦闘機２機が距離30-50mまで接近。日本政府が抗議した。6月11日1100-1200、東シナ海の公海上を飛行していた海自OP-3C画像情報収集機と空自YS-11EB電子情報収集機に中国空軍Su-27UBK戦闘機２機が30-45mまで異常接近した。日本政府が中国側に厳重抗議し、防衛大臣や空幕長が中国の行為を批判している。8月18日、魚釣島西方の接続水域を中国海警局巡視船４隻が航行した。

2015年、中国がEEZ内で日本の同意を得ずに行った海洋調査は23件だった。1月19-21日、中国海警局巡視船３隻が久場島の接続水域や魚釣島の領海に侵入。1月24日、中国海警局巡視船３隻が久場島の接続水域に侵入。1月26日、中国海警局巡視船２隻が久場島の領海を侵犯。5月14日、日本政府が「離島等に対する武装集団による不法上陸等事案に対する政府の対処について」を閣議決定。上陸した武装集団には警察や海上保安庁が退去を求め、警察や海保で対処しきれない場合には閣議決定（迅速な決定を要する場合には電話などによる了解でも可）を経て海上警備行動や治安出動を発令することとなった。6月30日、第13回総合海洋政策本部会合で海洋管理のための離島の保全・管理のあり方に関する基本方針が改正され、尖閣領海警備専従体制の確立と、隙の無い海上保安体制の構築が明記された。7月22日、日本政府が中国による東シナ海ガス田開発の状況を発表。日中中間線の中国側で2013年に３ヵ所、2014年に５ヵ所、2015年に４ヵ所の海洋プラットホームを建設しているとし、強い遺憾の意を示した。8月20日、アメリカ国防総省がアジア太平洋海洋安全保障戦略を公表し、尖閣諸島の施政権は日本に属しており、日米安保条約第５条に基づいて日本の施政権を侵そうとする全ての一方的行動を今後も反対し続けると明記した。11月9日、中国海警局巡視船が領海に侵入。11月23日、中国海警局巡視船が領海に侵入。11月29日、中国海警局巡視船が領海に侵入。12月22日、海警31239（元江衛�T型フリゲート539安慶）が久場島の接続水域に侵入。武装公船として初の入域である。

2016年、中国がEEZ内で日本の同意を得ずに行った海洋調査は11件だった。1月3日、中国海警31241（元江衛�T型フリゲート540淮北）が魚釣島の接続水域に入った。1月8日、海警31241が久場島西の領海に侵入。1月12日、中谷防衛大臣が、中国軍艦による尖閣諸島周辺の領海侵犯が発生した場合には、自衛隊に海上警備行動を発令すると表明した。2月24日、海上保安庁尖閣警備専従部隊所属船が全て竣工した。4月16日、海上保安庁が石垣島の第11管区海上保安本部石垣海上保安部で尖閣警備専従体制完成披露式を実施。尖閣警備専従部隊はつがる型ヘリコプター１機搭載型巡視船２隻（那覇海上保安部にローテーション配備）と、くにがみ型巡視船10隻（石垣海上保安部などに配備）からなる。くにがみ型のうち６隻の乗員は３隻あたり４クルーで運用する複数クルー交代運用制（アメリカ海軍戦略原潜やLCSと同じ方式）で、石垣保安部特定運用巡視船第１クルー船長（2014年10月25日任命）、同第２クルー船長（2014年9月30日任命）、同第３クルー船長（2014年9月30日任命）といった役職名が誕生している。石垣海上保安部は桟橋を新設し、乗員待機所などの施設も整備した。6月7日、東シナ海の公海上で中国空軍殲撃10型戦闘機２機がアメリカ空軍RC-135V/W電子偵察機１機に異常接近（30mくらいらしい）したため、アメリカ政府が中国に抗議した。6月8日朝、中国海警2151、2337、31241が久場島の接続水域に侵入し、その後魚釣島の領海内に昼まで侵入した。2150頃、ロシア海軍駆逐艦など３隻が久場島と大正島の間の接続水域に南から侵入、島の間を抜けて北に航行するのが確認された。6月9日0050頃、中国海軍054級フリゲート１隻が久場島北東の接続水域に侵入（中国軍艦として初）するのを、DD-156せとぎりが確認した。その後0310頃に大正島北北西で接続水域を出て北に向かっている。日本政府は中国大使を外務省に呼んで抗議した。同じ頃、ロシア海軍ウダロイ級ミサイル駆逐艦など３隻が久場島と大正島の間の接続水域に侵入し、南から北に航行した。中国中央電視台のミニブログは中国とロシアの軍艦による共同行動と報じたが、ロシアのニュースサイトであるスプートニクは偶然の産物としている。6月15日0330、中国海軍東調型情報収集艦艦番号855が口之永良部島西側から屋久島南にかけての領海に侵入し、南東に航行、0500頃に屋久島南で領海を出るのを、海自P-3C哨戒機が確認した。無害通航なら国際法の範囲内だが、外務省アジア大洋州局長が中国次席公使に懸念を伝えている。中国国防部はトカラ海峡が国際海峡であり国連海洋法条約に違反しないとしたが、トカラ海峡は国際海峡ではない。6月16日1505頃、東調型情報収集艦艦番号855が北大東島北の接続水域に侵入するのを、DDH-181ひゅうがが確認した。1600頃に接続水域を出ている。6月19日1700頃、東調型情報収集艦艦番号855が北大東島の接続水域外側を東に進むのを、AOE-424はまなが確認した。6月20日、東調型情報収集艦艦番号855が北大東島周辺を東西に数回往復した。8月3日夕方、海警３隻が接続水域に入域。8月5日、海警７隻が接続水域に入域し、うち２隻と中国漁船６隻が領海に侵入した。8月6日から尖閣沖の中国公船と中国漁船が急増し、海警だけでなく漁政（農業部漁業局）や海監も投入、漁船は200隻以上に達していて、0800までに中国公船延べ36隻と漁船延べ73隻が領海に侵入した。8月7日、中国公船13隻が接続水域に入域し、５日間で７隻が領海に侵入した。8月8日午後、尖閣諸島周辺に中国公船16隻が遊弋し、15隻が同時に接続水域に入った。漁船は通常の３倍の300隻に達し、8月5-8日に公船延べ17隻と漁船延べ43隻が領海内に侵入したため、海保巡視船が全て追い払っている。8月10日午前、中国公船と漁船が乗員を移乗させたため、巡視船が警告した。8月11日0530頃、尖閣諸島沖を哨戒中の海保巡視船が国際遭難信号を受信したため、発信源の魚釣島北西67kmに向かったところ、中国漁船とギリシャ船籍貨物船が衝突して漁船が沈没していた。漁船乗員14人のうち漂流していた６人を巡視船が救助して石垣島に搬送したが、残る８人が行方不明になっている。その後大量の中国公船と漁船は姿を消した。11月6日午前、中国公船４隻が魚釣島北北西の領海に侵入。11月22日、東シナ海の公海上を航行しているウダロイ�T型ミサイル駆逐艦から発進したとみられるKa-27対潜ヘリ１機が大正島と久場島の接続水域内を飛行した。12月5日、中国海警2302が久場島の領海に侵入した。

2017年1月4日1000頃、中国公船４隻が魚釣島の領海に侵入し、１時間に渡り領海を侵犯した。1月8日午前、中国公船３隻が魚釣島の領海に侵入し、１時間に渡り領海を侵犯した。2月6日午後、中国海警巡視船３隻が魚釣島の領海に侵入。2月11日未明（現地時間10日午後）に行われた日米首脳会談で、尖閣諸島が日米安保条約第５条の適用を受けることが共同声明に盛り込まれた。5月18日、中国海警2308が尖閣諸島の領海内に侵入し、魚釣島西北西14kmで小型無人機１機を発進させて1052-1056に領空も侵犯した。東シナ海上空を飛行していたアメリカ空軍WC-135C気象偵察機を中国軍Su-30戦闘機がインターセプトした。5月24日、香港南東150海里を飛行していたアメリカ海軍P-3C哨戒機に対し、中国軍戦闘機２機が200m以内まで接近した。7月23日、東シナ海を飛行中のアメリカ海軍EP-3E電子戦機を中国軍J-10戦闘機がインターセプトした。8月17日、日米安全保障協議委員会で尖閣諸島が日米安保条約第５条の適用対象であることを改めて確認した。9月14日、海上保安庁の発表資料によると、2012年9月11日に尖閣諸島を国有化してから５年間の中国公船による領海侵入は延べ643隻・199日、接続水域への入域は延べ4000隻・1000日以上に達すると、海上保安新聞が発表した。

2018年1月3日、中国海警警備船４隻が尖閣諸島沖に出現。1月7日、中国海警警備船が尖閣諸島周辺を去った。1月10日午後、DD-111おおなみと第５航空群P-3C哨戒機が宮古島東北東の接続水域を北西に航行する潜没潜水艦を確認。1月11日午前、潜没潜水艦が宮古島北北東で接続水域を出て東シナ海に入り、尖閣諸島大正島北東の接続水域に入域した。同日午前、DE-231おおよどとDD-111おおなみが大正島北東の接続水域に入域する054A型フリゲート１隻を確認。一旦接続水域から出た後、再び入域した。午後、潜没潜水艦と054A型フリゲートが接続水域を出た。1月12日午後、尖閣諸島北西で潜没潜水艦が浮上して中国国旗を掲げ、中国海軍093B型商級攻撃原潜であることが確認された。日本政府が中国に抗議している。093B型攻撃原潜の音紋はバッチリ入手できただろうから、原潜の艦長には感謝状か勲章を贈呈すべきかもしれない。1月15日、中国海警警備船３隻が尖閣諸島周辺に出現。午前には魚釣島北西で領海に侵入し、昼頃に接続水域に出た。3月19日、中国海警警備船４隻が魚釣島の接続水域に入った。8月24日、久場島北北西の接続水域に中国公船４隻が入域し、その後魚釣島の領海に侵入した。9月18-24日、救難能力強化型と呼ばれる新型巡視船の中国海警1401が尖閣諸島の接続水域に入域。11月、接続水域に中国公船延べ72隻が19日間、領海内に延べ４隻が１日間侵入した。

2019年6月16日夜、海警1310が魚釣島西から接続水域に入域した。6月17日朝、海警1310、海警2306、海警2502、海警35115が久場島南島から領海に侵入した。8月16日、中国海警053H2G級江衛�T型改造哨戒船海警2203、北海分局3000トン型哨戒船海警1302、東海分局1000トン級哨戒船海警2102、北海分局1500トン型哨戒船海警1103が交替部隊として尖閣諸島の接続水域に入った。8月29日、中国海警哨戒船が領海に侵入した。8月31日、海警2203、海警1302、海警2102、海警1103が、北海分局3000トン型哨戒船海警1301、北海分局3000トン型哨戒船海警1305、海警14603に交代した。9月15日、海警1301、海警1305、海警2501、海警14603が引き揚げ、北海分局1500トン型哨戒船海警1102、東海分局053H2G型江衛�T型改造哨戒船海警2201、東海分局3000トン型哨戒船海警2302ともう１隻が加わった。9月16日、前日新たに到着した４隻が領海に侵入。10月31日、海警1102、海警2201、東海分局3000トン型哨戒船海警2301が尖閣諸島周辺海域に入域。11月4日、海警2302が加わった。11月16日、東海分局第２支隊053H2G型江衛�T型改造哨戒船海警2202と北海分局第６支隊3000トン型哨戒船海警6303が久場島の接続水域に入った。11月25日、海警2202と6303が接続水域を出た。11月30日、北海分局第６支隊3000トン型哨戒船海警6304が久場島の接続水域に入った。12月11日、海警6304が久場島の領海に侵入した。12月15日、海警1301、海警2201、海警2301、北海分局第６支隊5000トン型哨戒船海警6501が久場島の接続水域に入り、それまでのチームと交代した。12月17日、海警6501が久場島の領海に侵入。12月30日、海警6501が久場島の領海に侵入。2019年１年間の中国海警局による接続水域入域は282日・延べ1097隻とどちらも過去最多だった。

2020年1月1日、東海分局第１支隊3000トン型哨戒船海警1304、北海分局第６支隊3000トン型哨戒船海警6302、海警2502が久場島の接続水域に入り、それまでのチームと交代した。1月2日、海警2102が加わった。1月4日、中国海警哨戒船４隻が大正島の領海に侵入。2月15日、海警1301と北海分局第６支隊海警6402（2018年初確認の海警1041の艦番号を変更したものらしい）が久場島の接続水域に入った。2月28日、海警6402が尖閣諸島周辺海域を離れた。3月3日、海警6402が再度尖閣諸島周辺海域に出現した。3月15日、海警1301、海警2301、海警6402が海警1103、海警1401（海警6402と同型。2018年初確認の海警1401が海警6402に変更された後、艦番号を引き継いだらしい）、海警2201、海警2502と交代した。3月20日、海警1401が魚釣島の領海に侵入。3月31日、海警1401が尖閣諸島周辺を去った。4月3日、海警1401が尖閣諸島周辺に入域。4月8日、海警1401が魚釣島の領海に侵入。4月15日、中国側公船が海警1304、海警2102、海警2501、海警14603に交代した。4月17日、中国海警４隻が領海に侵入。5月8日、中国海警４隻が領海に侵入。同日、海警2501と海警14603が領海に侵入し、操業中の日本漁船１隻に接近して追尾を始めたため、海上保安庁巡視船が保護に入り、中国船に領海からの退去を命じたが、中国船は漂泊して5月10日夜まで付近に止まり、その後も接続水域内を遊弋している。5月11日、中国外務省報道局長が日本漁船の中国領海内違法操業を主張したため、5月12日に菅官房長官が否定し、不快感を表明した。7月2日、中国公船２隻が魚釣島の領海に侵入し、日本漁船１隻に接近を図ったため、巡視船がインターセプトして領海外への退去を要求。大正島に移動した漁船を追って公船も大正島の領海内に移動し、漁船が大正島から離れると公船も退去した。8月18日、中国側の申し入れで河野防衛大臣が中国の孔駐日大使と防衛省で会談し、河野防衛大臣は尖閣諸島周辺での活動に関して強い懸念を表明、自制を強く求めた。10月13日、中国海警船の領海連続侵入時間が過去最長の57時間超に達した。10月28日、久場島沖の接続水域に海警14608が入域した。11月15日、中国海警船４隻が交代し、久場島の接続水域に入域した。11月22日朝、中国海警船が接続水域を出た。11月25日、中国海警船が接続水域に入域。11月30日、中国海警船が接続水域を出た。12月8日、中国海警船が接続水域に入った。12月9日、海警1303が魚釣島の領海に侵入した。12月14日、岸防衛大臣が中国国務委員兼国防相の魏上将とテレビ会談し、尖閣諸島周辺での中国船活動に強い懸念を伝えた。2020年中に中国海警船は接続水域に333日間延べ1161隻入域し、領海には29日間88隻侵入、日本の漁船に接近して巡視船が追い払う事案が６件発生している。

2021年1月24日、岸防衛大臣とアメリカのオースチン国防長官が初の電話会談を行い、尖閣諸島が日米安保条約第５条の適用範囲である事を再確認し、尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的行動にも反対することで一致した。1月28日、菅総理とアメリカのバイデン大統領が初の電話会談を行い、尖閣諸島への日米安保条約第５条の適用を含め、日本の防衛に対する揺るぎないコミットメントを表明した。2月、在日米軍が尖閣諸島周辺海域で軍事空輸訓練を計画したが、悪天候で中止された模様。輸送機から物資を空中投下し、洋上で回収する訓練だったらしい。自民党国防部会・安全保障調査会合同会議で、尖閣諸島を中国の領土と主張する中国海警船の接近・上陸は重大凶悪犯罪であるとして、相手が公船であっても、海保法20条１項に定める警職法７条の準用に基づき、危害射撃が可能との判断を示し、内閣官房長官もこれを確認した。3月16日に開催された日米安全保障協議委員会の共同文書で、日米安保条約第５条の下での尖閣諸島を含む日本の防衛に対するアメリカの揺るぎないコミットメント（責任ある関与）について議論し、日米は現状変更を試みる、あるいは尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも引き続き反対する、と表明した。4月16日、日米首脳会談後の共同声明で、尖閣諸島が日米安保条約第５条の対象となることを再確認し、尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する、とした。4月27日午前、空母16遼寧からZ-18早期警戒ヘリ１機が発艦し、大正島領空北東50-100kmを飛行したため、空自がスクランブル発進した。5月15日、中国海警船４隻がそれまでの船隊と交代し、魚釣島の接続水域に入域した。10月5日、岸田総理とバイデン大統領が電話会談し、尖閣諸島が日米安保条約第５条の適用対象であることを確認した。2021年の中国海警による領海侵入は計40日、接続水域の航行は322日1222隻だった。

2022年1月31日、石垣市の中山市長が、尖閣諸島周辺海域調査を行う東海大学海洋調査研修船望星丸に同乗し、海上から尖閣諸島を初視察した。中国海警2502が領海に侵入して近づいてきたため、海保が尖閣警備船１隻とヘリ巡視船１隻で海警船を挟み込んで阻止している。3月16日、中国公船が領海に侵入した。4月12日0945頃、久場島南東の領海内に中国公船４隻が侵入した。海保巡視船が退去要求と進路規制を行い、２時間後に久場島北方で領海から退去している。5月23日、日米首脳会談でバイデン大統領が尖閣諸島に日米安保条約第５条が適応されると明言し、日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対すると表明した。7月4日0705-0816頃、ステレグシュチイ�U級フリゲート337グレムヤシチィが魚釣島の接続水域を航行した。0744頃、江衛�U型フリゲート566懐化が魚釣島南西の接続水域に入り、0750に出域して西南西に向かうのを、DE-229あぶくまが確認した。1900頃、沖縄県久場島南東50kmを北に航行するウダロイ�T級ミサイル駆逐艦マーシャル・シャポシニコフ、ステレグシュチイ�U級フリゲート337グレムヤシチィ、ドゥブナ級補給艦１隻をDE-229あぶくまが確認した。その後これらは久場島と大正島の間の接続水域内を北に進み、出域後は北東に航行して東シナ海に向かっている。11月15日、中国海警公船４隻（うち１隻は76mm単装砲装備）が尖閣諸島周辺の接続水域に出現し、11月25日に４隻とも領海に侵入した。2022年中に海保が尖閣諸島接続水域で中国海警船を確認したのはこれまで最多の336日に及んだ。

2023年3月30日、中国海警公船４隻が日本の漁船３隻を追尾して領海に侵入。１隻は4月1日夜、３隻は4月2日夜に領海を出たが、侵入時間は80時間36分に及び、2012年の尖閣諸島国有化後最長を記録した。4月11-12日、中国海警局海警1302と海警1102が領海に侵入したため、第11管区海上保安本部が警告を行いつつ、領海内で操業中の日本漁船２隻の安全を確保した。10月16日、中国沿岸の国際空域を飛行していたカナダ空軍CP-140哨戒機が、中国軍殲撃10型戦闘機・殲撃15型戦闘機から複数回の異常接近を受け、最小5m以内まで近接された。カナダ国防相は非常に無謀と非難したが、中国はカナダ側が釣魚群島（尖閣諸島）領空を侵犯したと非難している。12月10日、魚釣島南西5kmの領海内で操業中の日本漁船１隻に中国海警局シュオシ�U型巡視船海警2501とシュチャ�U型巡視船海警2301が接近したため、第11管区海上保安本部巡視船が領海からの退去要求と進路規制を行い、安全を確保した。

参考：月刊軍事研究9,’06、11,’16、4,’10、8,’10、11,’10、9,’11、10,’12、8,’13、8,’14、10,’14、12,’14、4,’16、8,’16、4,’18、月刊世界の艦船6,’17、7,’18、2,’19、4,’10、12,’10、1,’11、4,’11、5,’11、9,’11、10,’11、11,’11、12,’11、2,’12、5,’12、9,’12、10,’12、12,’12、1,’13、2,’13、4,’13、5,’13、7,’13、8,’13、9,’13、10,’13、11,’13、12,’13、2,’14、6,’14、7,’14、12,’14、1,’15、3,’15、4,’15、5,’15、9,’15、12,'15、2,'16、3,'16、4,'16、7,'16、8,’16、9,’16、10,’16、1,’17、2,’17、3,’17、4,’17、5,’17、8,’17、10,’17、11,’17、12,’17、2,’18、3,’18、4,’18、6,’18、11,’18、12,’18、1,’19、2,’19、3,’19、9,’19、11,’19、12,’19、1,’20、2,’20、3,’20、5,'20、6,'20、7,'20、9,'20、10,'20、1,'21、2,'21、7,'21、8,'21、1,'22、4,'22、5,'22、7,'22、2,'23、6,'23、7,'23、10,'23、1,'24、月刊丸12,’10、月刊航空ファン5,’11、3,’13、8,’15、2,'16、4,'16、7,'16、9,’16、11,’16、12,’16、2,’17、3,’17、5,’17、10,’17、11,’17、2,’18、3,’18、5,’18、6,’18、7,’18、10,’18、月刊JWings3,’13、4,’13、5,’13、10,’13、11,’13、12,’13、1,’14、2,’14、3,’14、5,’14、6,’14、8,’14、12,’14、2,’15、10,’15、8,’16、9,’16、11,’16、1,’17、5,’17、10,’17、2,’18、4,’18、5,’18、7,’18、8,’18、11,’18、1,’19、2,’19、5,'21、MAMOR vol.89、朝雲

＜銭学森＞：873（海洋調査艦）または海洋22号（海洋調査船）を参照。

＜戦艦＞：明確な定義がワシントン条約の文言くらいしか無いので困るが、大口径火砲を主兵器とし、同クラスの砲撃に耐えられる強力な装甲を備えた軍用艦艇で、大艦巨砲主義の主役であり、海戦が主に砲撃戦で行われた時代における海の王者だった。投射弾量の多さから対艦戦闘だけでなく対地砲撃でも絶大な威力を発揮する。元は戦列艦で、一列に並んで敵艦隊に集中砲撃を浴びせ撃破するのを主任務としていた。戦艦の嚆矢はフランスが1860年に就役させた舷側錬鉄装甲（水線部で厚さ120mm）を持つ木造航洋装甲艦（蒸気戦列艦）グロアールや、それに対抗して1861年にイギリスが就役させた鉄製船体＋舷側装甲（水線部で厚さ114mm）の航洋装甲艦（蒸気戦列艦）ウォーリアとされる。1870年頃から砲塔が装備されるようになり、徐々に攻撃力と防御力を拡大、1892年からイギリスで就役したロイヤル・サブリン級が初めて「戦艦」という艦種に定められ、広い射界の主砲、舷側ケースメート式副砲、舷側とバーベットの装甲（トップヘビー防止のため主砲塔はオープンだった）、十分な速力を備えた近代的な戦艦の様式が完成した。当時の技術では大口径主砲の故障が多く、発射速度も遅く、砲側照準射撃が基本で命中率も悪く、主砲に加えて中間砲や副砲を山ほど積んでいたが、日露戦争で日本海軍が公算射法による主砲斉射を行い、主砲の命中率向上で中間砲を廃止できる見込みが立っている。1906年にドレッドノートが建造されて弩級戦艦が誕生し、それまでの基準戦艦を前弩級戦艦として全て旧式に追いやった。その僅か６年後の1912年には超弩級戦艦が完成している。主砲・射撃指揮装置改良と交戦距離増大、それに抗堪できる水平防御の付加、雷撃に対抗するための直接・間接防御強化、これらにより巨大化した船体を高速で推進する強力な主機搭載などで建造費が跳ね上がり、ワシントン軍縮会議で建造休止期間に入らざるを得なくなった。この会議で建造が認められたポスト・ジュットランド級７大戦艦が竣工すると、同会議で合意された主力艦建造10年間停止とロンドン条約での５年間停止延長で暫く新造休止期間に入っている（各国で条約範囲内の大改装は実施した）。条約切れで制限が無くなると、その間の技術進歩による機関出力増大で重装甲と高速力を兼ね備えた新戦艦（高速戦艦とも呼ばれる）を作れるようになり、第２次大戦中に大和型やアイオワ型などが竣工した。第２次大戦開戦後はタラント空襲ジャッジメント作戦や真珠湾攻撃など泊地航空攻撃による戦艦撃沈・着底に加え、マレー沖海戦で戦闘航海中の戦艦も航空戦力によって沈められてしまうことが判明、更には空母と艦上機の発達で戦艦の存在意義が薄れて建造が止まり、想定していた艦隊決戦に使われることは無く沿岸砲撃や機動部隊対空護衛などに活躍の場を移した。第２次大戦後は対艦ミサイルの登場などによりますます存在感が無くなり、湾岸戦争を最後に戦艦は世界の海軍から消滅した。保存されているのは戦艦三笠（横須賀）、BB-35テキサス（テキサス州ヒューストン）、BB-55ノースカロライナ（ノースカロライナ州ウィルミントン）、BB-59マサチューセッツ（マサチューセッツ州フォールリバー）、BB-60アラバマ（アラバマ州モービル）、BB-61アイオワ（ロサンゼルス）、BB-62ニュージャージー（ニュージャージー州）、BB-63ミズーリ（パールハーバー）、BB-64ウィスコンシン（ノーフォーク）である。参考：戦艦入門、月刊JWings2,’00、月刊丸8,’95、月刊世界の艦船4,'24、12,’15、1,’12、9,’14、4,’17、9,’17、日本の防衛戦力Part3、山本五十六と米内光政、歴史群像6,’16

　＜戦艦（アメリカ海軍）＞：独立の経緯から、イギリス海軍一等戦艦が仮想敵に設定されていた。その後の日本との関係悪化で太平洋での戦闘にも使えるよう航続距離を重視する方針に変更している。1895年、インディアナ級３隻が竣工。1900年、キアサージ級２隻が就役。1910年、アメリカ初の弩級戦艦で、主砲塔を背負い式に配置したサウス・カロライナ級２隻が竣工。1911年、フロリダ級２隻が竣工。1912年、ワイオミング級２隻が竣工。標準型戦艦のコンセプトを纏め、それに基づくオクラホマ級を起工した。1914年、アメリカ初の超弩級戦艦であるテキサス級２隻が竣工。1916年、オクラホマ級２隻とペンシルベニア級２隻が竣工。第１次大戦が始まってみると、戦艦の数が足りず太平洋に回す分が無い事が判明し、1916年5月策定の第１次３年計画ダニエルズ・プランで戦艦10隻（後のメリーランド級４隻とサウス・ダコタ級計画戦艦６隻）を作ることにした。1917年に第１次大戦に参戦したが、ドイツＵボートに対抗する対潜艦艇の建造に追われて戦艦どころでは無くなり、更に仮想敵だったイギリスは味方に変わり、ドイツは敗戦で海軍が消滅、1921年のワシントン条約締結でメリーランド級３隻だけ建造することになった。同条約ではイギリスと同等の戦力を確保できたため、主敵を日本海軍の戦艦に変更している。1917年、ニュー・メキシコ級３隻が竣工開始。1920年、カリフォルニア級２隻が竣工開始。1921年、406mm砲装備のメリーランド級３隻が竣工開始。ワシントン条約・ロンドン条約で保有戦艦は弩級戦艦４隻と、テキサス級２隻、オクラホマ級２隻、ペンシルベニア級２隻、ニュー・メキシコ級３隻、カリフォルニア級２隻、メリーランド級３隻の超弩級戦艦14隻（将来的に15隻）とされ新規建造はできなくなり、サウス・ダコタ級計画戦艦は建造を中止、制限内の改装を実施した。対日艦隊決戦での想定交戦距離は20km前後で、垂直防御を重視していた。第２次ロンドン条約締結と同条約エスカレーター条項発動で、これの基準内に収まる戦艦を作ることにした。1941年、ノースカロライナ級２隻が竣工。1942年、サウス・ダコタ級４隻が竣工。1943年、アイオワ級４隻が竣工開始。第２次大戦勃発後はモンタナ級、1944年には改アイオワ級高速戦艦や10万トン級戦艦などが検討されたが、結局起工されなかった。1992年にアイオワ級戦艦BB-63ミズーリが退役して戦艦が無くなった。参考：月刊世界の艦船3,’15、4,’20

　＜戦艦（イギリス海軍）＞： 1892年、近代戦艦の嚆矢とされるロイヤル・サブリン級（初代）が就役開始。1895年、マジェスティック級が竣工。1902年、ロンドン級が就役開始。1906年、ドレッドノートが就役。1909年、ベレロフォン級３隻が就役。1910年、セント・ヴィンセント級３隻が就役。1911年、ネプチューン級１隻とコロッサス級２隻が竣工。1912年、オライオン級超弩級戦艦４隻が竣工。1912年、キング・ジョージ�X世級（初代）４隻が竣工開始。1914年、エジンコート級１隻、エリン級１隻、アイアン・デューク級４隻が竣工。1915年、カナダ級１隻が竣工。クイーン・エリザベス級５隻が竣工開始。1916年、ロイヤル・サブリン級（２代目）５隻が竣工開始。1922年、N3戦艦を計画したが、建造には至らなかった。ワシントン条約締結でセント・アンドリュー級は計画中止になった。1927年、ワシントン条約制限内のポスト・ジュットランド級戦艦ネルソン級２隻が就役。1940年、ロンドン条約制限内のキング・ジョージ�X世級（２代目）５隻が就役開始。16インチ（406mm）砲装備のライオン級は第２次大戦勃発で建造中止となった。1946年（1948年？）、ヴァンガードが就役。1960年にヴァンガードが除籍されて戦艦が無くなった。参考：近代戦艦史、第２次大戦のイギリス軍艦、月刊世界の艦船6,’16、4,’17、4,’18

　＜戦艦（イタリア海軍）＞：1913年、初の弩級戦艦であるダンテ・アリギエーリ級１隻が就役。1914年、コンテ・ディ・カブール級３隻が竣工開始。1915年、アンドレア・ドリア級２隻が就役開始。フランチェスコ・カラッチオーロ級は第１次大戦中に工事を中断、1921年に解体された。1940年、イタリア初の超弩級戦艦であるワシントン条約新造枠のヴィットリオ・ヴェネト級３隻が就役開始。1956年にアンドレア・ドリア級２隻が除籍されて戦艦が無くなった。参考：月刊世界の艦船4,’17、6,'20

　＜戦艦（オーストリア＝ハンガリー海軍）＞：1912-15年、フィリブス・ウニーティス級４隻が竣工。第１次大戦勃発で改テゲトフ級は計画中止になった。参考：月刊世界の艦船6,’20

　＜戦艦（オランダ海軍）＞：日露戦争で日本が勝利すると、蘭領東インドの防衛力強化を図ってドイツとイギリスに戦艦設計案を要求した。ゲルマニア社は1914年に排水量24600トン・速力22ノット・35.6cm連装砲塔４基の案を送っている。ただ直後に第１次大戦が勃発したため、それ以上は進まなかった。参考：月刊世界の艦船6,’20

　＜戦艦（ギリシャ海軍）＞：1912年にサラミス、1914年にバシレウス・コンスタンティノスを発注したが、第１次大戦勃発で両方とも未成に終わった。参考：月刊世界の艦船6,’20

　＜戦艦（スペイン海軍）＞：1913年に排水量21000トン・速力21ノット・34cm連装砲塔４基の戦艦３隻を計画したが、第１次大戦勃発で中止になった。参考：月刊世界の艦船6,’20

　＜戦艦（チリ海軍）＞：1911年、イギリスにアルミランテ・ラトーレ級戦艦２隻を発注したが、建造途中に第１次大戦が始まってイギリスに徴発され、アルミランテ・コクレーンは空母に改造されてしまったため、戦後にアルミランテ・ラトーレだけ買い戻した。参考：月刊世界の艦船6,’20

　＜戦艦（ドイツ海軍）＞：1893年、ドイツ初の前弩級戦艦であるブランデンブルク級が就役開始。1898年竣工のカイザー・フリードリヒ�V世級前弩級戦艦で当時主流だった２軸推進より１軸多い３軸推進を採用。１軸あたりの主機と機械室を小型化でき、中央軸のみで経済巡航が可能で、中央軸後方に舵を設置する事で操縦性も高まりキール運河を楽に航行できるという利点があり、他国で４軸推進艦が主流になってもそのまま使い続けた。1904年、ブラウンシュヴァイク級５隻が竣工開始。1906年、ドイッチュラント級５隻が竣工開始。1910年、ドイツ海軍初の弩級戦艦であるナッソー級４隻が竣工。1911年、ヘルゴラント級４隻が竣工開始。1912年、カイザー級５隻が竣工開始。1914年、ケーニッヒ級４隻が竣工。1916年、ドイツ海軍初の超弩級戦艦であるバイエルン級２隻が竣工。第１次大戦終戦でザクセン級２隻は建造中止となり、L20αは計画のみとなった。第１次大戦後はベルサイユ条約でブラウンシュヴァイク級など前弩級戦艦８隻のみ沿岸防衛用として保有が許可されている。英独海軍協定締結で1938-39年にシャルンホルストとグナイゼナウが就役して第２次大戦を迎えたが、実質的には巡洋戦艦で、他に前弩級戦艦シュレジエンとシュレスヴィヒ・ホルシュタインを一応保有していたが戦力とは言えず、開戦後の1940-41年にビスマルクとティルピッツが就役した。ビスマルク級の後継となるＨ級戦艦は未成に終わっている。1945年にグナイゼナウが自沈し、全艦失われた。参考：月刊世界の艦船7,’15、6,’16、4,’17、4,’18、6,'20、月刊丸4,’17

　＜戦艦（トルコ海軍）＞：1911年、レシャディエ級戦艦３隻をイギリスに発注したが、1912年に１隻が発注取り消し、1914年に１隻がイギリスに徴発され、同年に１隻が解体されて結局１隻も完成しなかった。1914年にブラジル海軍が発注したリオ・デ・ジャネイロを購入してスルタン・オスマン�T世と命名したが、回航直前にイギリスに徴発された。参考：月刊世界の艦船6,’20

　＜戦艦（日本海軍）＞：トップは艦長（大佐）で、その下に副長、更に下に砲術長、航海長、運用長、通信長、機関長、主計長、軍医長、飛行長、整備長がいる。砲術長は主砲分隊、側砲分隊、高角砲分隊、機銃分隊、測的分隊、航海長は操舵分隊、信号分隊、運用長は運用分隊、通信長は電信分隊、機関長は気缶分隊、電機分隊、補機分隊、工作分隊、主計長は糧食分隊、衣服分隊、軍医長は看護分隊、飛行長は飛行分隊、整備長は整備分隊を指揮する。艦隊決戦主義をとる日本海軍の頂点に君臨する軍艦と言っても良いくらいなので、訓練の厳しさは並大抵ではなく、「日向行こうか、伊勢行こか、いっそ海兵団で首吊ろか」「鬼の山城、地獄の金剛、音に聞こえた蛇の長門」という戯れ句が詠まれる程だった。ロシアに対抗すべく前弩級戦艦をイギリスから輸入することにしたのが近代戦艦の始まりで、明治30年から富士型２隻が竣工。明治31年3月の軍艦及水雷艇類別等級標準で正式な艦種として軍艦の下の類別に置かれ、排水量10000トン以上を一等戦艦、未満を二等戦艦とした。鎭遠が二等戦艦に類別されている。明治35年、戦艦三笠が就役。明治38年9月、鹵獲戦艦肥前が就役。明治38年12月に区分が改訂され、排水量7000トン以上を一等戦艦、3500トン以上を二等戦艦、3500トン未満を三等戦艦とした。明治39年、香取型２隻が竣工。明治40年4月、帝国国防方針で八八艦隊を整備することになり、艦齢８年以下の戦艦８隻を備えることとした。仮想敵はアメリカであり、アメリカ戦艦よりも攻撃力・防御力・機動力で優位に立てる設計にしている。明治43年、初の国産戦艦である薩摩型２隻が竣工開始。明治45年、初の弩級戦艦（準弩級とも呼ばれる）である河内型２隻が竣工。大正元年8月に区分が改訂され、排水量7000トン以上を一等戦艦、7000トン未満を二等戦艦とした。大正4年、初の超弩級戦艦となる扶桑型２隻が竣工開始。大正6年、伊勢型２隻が竣工開始。大正9年、世界初のポスト・ジュットランド級戦艦である長門型２隻が竣工開始。昭和6年6月1日、金剛型４隻が巡洋戦艦から艦種変更された。ワシントン・ロンドン条約締結で保有戦艦は金剛型、扶桑型、伊勢型、長門型の10隻（将来的に９隻）とされ新規建造はできなくなり、加賀型戦艦の建造を中止、制限内の改装を行ったが、昭和8年からは条約破棄を見越して制限以上の大規模改装に入った。対米艦隊決戦では想定交戦距離30km前後のアウトレンジ砲撃を採用しており、この距離を保てるよう艦隊速力を４ノットくらい優速に設定、大落角での被弾に備えて水平防御を重視した。ただしFCSの限界から命中率が低くなるのは避けられず、洋上の漸減戦法と（観測機などによる十分な弾着観測が可能なら）アウトレンジ砲撃によりアメリカ戦艦を極力減らし、最終的には自艦の測距儀で敵艦を観測可能な交戦距離24km以内での殴り合いに突入して決着を付ける方針としている。条約切れで大和型5-6隻の建造に入り、昭和16-17年に大和型２隻が就役したが、残りは建造中止になった。マル五計画では51cm砲8-9門・速力30ノットの戦艦も立案されたが、排水量90000トン級になるので建造に無理があり、51cm砲６門（連装３基）・速力27ノットに抑えたものの、戦局の推移で中止になっている。参考：続日本海軍よもやま物語、歴史群像10,’08、月刊世界の艦船9,’13増刊、3,’15、9,’14、4,’18、月刊丸3,’14、日本海軍艦隊総覧

　＜戦艦（ブラジル海軍）＞：リオ・デ・ジャネイロをイギリスに発注したが、建造資金不足でトルコに売却された。1914年にリアシュエロをイギリスに発注したが、こちらも起工に至っていない。参考：月刊世界の艦船6,’20

　＜戦艦（フランス海軍）＞：1890年、オッシュ級１隻が竣工。1895年、フランス初の前弩級戦艦であるブレニュスが就役。1911年、ダントン級６隻が就役。1913年、フランス初の弩級戦艦であるクールベ級４隻が就役開始。1915年、フランス初の超弩級戦艦であるブルターニュ級３隻が就役開始。ノルマンディ級は第１次大戦勃発で建造中止になり、ベアルンが終戦後に空母に改造されている。リヨン級は計画中止になった。1937年、ロンドン条約制限内のダンケルク級２隻が就役開始。更に条約新造枠でリシュリュー級２隻を建造中に第２次大戦が勃発し、ガスコーニュ級１隻は建造中止、アルザス級は計画中止となった。1969年にリシュリュー級２番艦ジャン・バールが退役して戦艦が無くなった。参考：月刊世界の艦船4,’17、4,’18、6,'20、9,’23

　＜戦艦（ロシア海軍）＞：1896-98年頃、トリ・スヴィアティテリアが竣工。1901年、ペレスウェート級３隻が竣工開始。1901年、レトヴィザンが就役。1903年、ポチョムキンが就役。1904年、ボロジノ級５隻が竣工開始。1910年、インペラトール・パウエル�T世級２隻が就役開始。1914年、ガングート級弩級戦艦４隻が竣工開始。1915年、インペラトリーツァ・マリーヤ級３隻が竣工開始。インペラトール・ニコライ�T世級は未成のまま破壊された。第２次大戦開戦時にはガングート級３隻が配備されていた。1944年、アルハゲリンスク級戦艦１隻が就役。終戦後は練習艦に艦種変更されている。参考：月刊世界の艦船4,’17、3,’16、6,'20

＜全関節型メインローター＞：Fully Articulated Rotor。ローターハブに近い方からフラッピング・ヒンジ、リード・ラグ・ヒンジ（ドラッギング・ヒンジ）、フェザリング・ヒンジと３つのヒンジを装着し、これを介してローターブレードを取り付けてあるメイン・ローターのこと。フラッピング、ドラッギング、フェザリングの３方向の動きをフラッピング・ヒンジ、リード・ラグ・ヒンジ、フェザリング・ヒンジにより独立して行うことが可能である。フラッピングは自由に行えるが、ドラッギングはダンパーにより拘束され、フェザリングはピッチ制御リンク機構の制約を受ける。ローターの遠心力によりヒンジやベアリングに大きな力がかかる、リード・ラグ・ヒンジが地上共振の要因になるという欠点がある。また、フラッピングによりローター円錐の中心軸と駆動軸が不一致となりコリオリの励振が発生するため、ラグ・ダンパーによる減衰機構が必要になり、構造が複雑になる。参考：航空用語事典増補改訂版、月刊軍事研究9,’07、月刊JWings10,’09別冊付録

＜前甲板＞：Corecastle Deck、商船ではForedeck（船首甲板）。船首から揚錨機のあたりまでを指す。単に艦前部の露天甲板を指す事もある。平甲板型以外の船型では一段高くなっていることが多い。参考：米海軍サバイバルマニュアル

＜戦技（海上自衛隊）＞：各艦の戦闘能力のこと。または各艦の戦技を競わせて戦闘能力を評価すること。参考：月刊世界の艦船8,’11増刊

＜戦技（航空自衛隊）＞：ある程度の技術や技量を要する業務のこと。戦闘関連技術のみならず、後方支援業務も戦技のうちである。参考：月刊JWings12,’13

＜戦技乙＞：訓練検閲乙（海上自衛隊）を参照。

＜戦技甲＞：訓練検閲甲（海上自衛隊）を参照。

＜全機ジャッキアップ・システム＞：自衛隊の機器。堀口エンジニアリング製。参考：月刊軍事研究8,’16

＜全機静強度試験＞：航空機が安全な飛行に必要な強度を備えているかどうか、実物大の試験機を使用して検証評価する試験。想定される全飛行条件下での最大荷重を機体全体や各部分に負荷して変形や破壊の有無を確認し、最後に終極荷重に耐えられるかをテストする。その後は主翼が折れるまで荷重を加えるのが一般的だったが、旅客機ではB777を最後に、B787、A350XWB、A380、MRJなどでは行われていない。参考：月刊航空ファン2,’17

＜戦技等に直結する体力検定＞：体力検定を参照。

＜前脚＞：Nose gear。航空機の胴体前部に装着された降着装置のこと。与圧胴体に引き込み式で装着する場合、前部圧力隔壁の更に前方に配置できれば面倒が無いが、通常は収容スペースが乏しく、主脚から離れすぎてしまうため、前脚収容部を耐圧壁にして前部圧力隔壁の後方に設ける。参考：航空機設計法、月刊JWings7,’15

＜前脚交換器材＞：自衛隊の機器。川崎重工製。参考：月刊軍事研究4,’16

＜前脚保管用ドーリー＞：自衛隊の機器。川崎重工製。参考：月刊軍事研究10,’18

＜戦給品＞：戦時特別給与品の略。戦時に将兵の士気を鼓舞するため、日常生活や嗜好品には事欠かないように行う配給のことである。海軍では明治27年8月の海軍戦時給与規則が根拠で、昭和16年12月30日には海軍戦時特例給与規則に改正された。参考：歴史群像2,’05

＜船渠＞：ドックを参照。

＜戦競＞：航空総隊戦技競技会を参照。

＜殲教１型＞：中国空軍国産亜音速ジェット練習機、別名JJ-1。瀋陽飛行機設計室が1956年10月から設計し、1957年からソ連で風洞実験に入った。エンジンも黎明発動機設計室で国産開発した噴発1A（PF-1A）を搭載する予定だったが、テストでタービンに亀裂が入ったため断念し、ソ連製エンジンを積んでいる。コクピット両脇にエアインテイクを持つ。主翼は低翼配置の直線テーパー翼。降着装置は前輪式引込脚。全長10.56m、翼スパン11.43m、全高3.94m、空虚重量3.149トン、通常離陸重量4.159トン、最大離陸重量4.601トン。固定武装は23mm機関砲GSh-23が１門（機首左）。主翼下にハードポイント１カ所ずつがあり、小型爆弾または増槽を搭載できる。1958年7月26日に初飛行し、10月1日の国慶節で２機が天安門上空を飛行したが、生産数は３機のみで、量産には至らなかった。参考：月刊航空ファン1,’20

＜殲教５型＞：殲撃５型戦闘機ファミリーを参照。

＜殲教６型＞：殲撃６型戦闘機ファミリーを参照。

＜殲教７型＞：殲撃７型戦闘機ファミリーを参照。

＜殲教９型シリーズ＞：AVIC貴州飛行機工業の練習機、別名JL-9または教練９または山鷹、輸出名称FTC-2000。2001年から開発され、2003年12月13日に初飛行した。参考：世界航空機年鑑2018-2019、月刊航空ファン3,’11、1,’17、4,’18、11,’19

＜殲教９型＞：殲教７型にレーダーを追加してアビオニクスを改良したもので、エアインテイクを機体側面に移動させて機首にレーダーを起き、コクピットをタンデム複座にしてある。主翼は殲撃７型Ｅと同様のダブル・デルタ形状とした。計器板にはMFDが設置されており、前席にはHUDもある。電子飛行計器システムEFIS、HOTAS、GPS/INSを装備する。全長14.55m、全幅8.32m、全高4.11m、総重量7.8トン（標準）／9.8トン（最大）。翼面積26.15平方メートル。エンジンは渦噴13F（ミリタリー推力4.4トン、A/B時推力6.45トン）単発、最大速度1200km、運用限界速度マッハ1.6、実用上昇限度16000m、航続距離2500km。固定武装は機関砲１基。PL-8空対空ミサイル２発、PL-9空対空ミサイル２発を搭載可能。乗員２名。中国空軍に提案したが、練15型に負けて採用されなかった。参考：世界航空機年鑑2018-2019、月刊航空ファン3,’11、1,’17、4,’18

　＜ＪＬ−９Ｈ＞：中国海軍艦上練習機、別名JT-9。エアインテイクをダイバーターレス・スーパーインレットに変更してエンジン効率を上げ発艦性能を向上させ、主翼形状を変更して着艦速度を210km以下とし、主翼に折り畳み機構を追加、ベントラル・フィンは廃止し、着艦フックを取り付けた。2013年から陸上試験を行っている。参考：月刊航空ファン4,’18、月刊軍事研究12,’11、月刊JWings10,’11

＜殲教９型・海外シリーズ＞

　＜神鷹＞：輸出型、別名FTC-2000G。2018年2月27日から開発され、9月29日に初飛行動画がウェブ上に公開された。参考：月刊航空ファン12,’18

＜殲教１１ＢＳ＞：殲撃11型戦闘機ファミリーを参照。

＜戦区＞：中国軍が2016年2月1日に７大軍区を廃止して新たに創設した。英語ではTheaterまたはTheater Command。東部、南部、西部、北部、中部の５つがある。軍政と軍令の両方を担当していた大軍区と異なり、軍令のみを担当しており（軍政は各軍種が担当）、戦区連合作戦指揮機構が各軍種（陸海空軍、ロケット軍、人民武装警察隊）の指揮を執る。戦区党委員会も置かれており、各部隊に政治委員と政治指導員を派遣して中国共産党の指導を徹底させる。戦区司令員も政治委員も職位等級は正大軍区級。管轄地域は公式発表が無く、戦略方向への連合作戦（統合作戦のこと）が主任務で軍政は行わないため、管轄地域をそれほど重要視していないようである。これにより、戦区や軍種を跨いだ戦力運用が活発になるとみられる。また、それまで省軍区が担当していた国境警備や予備役部隊指揮を担任するようになった。参考：月刊軍事研究5,’16、9,’17、月刊航空ファン5,’16

＜線形最小２乗フィルタ＞：非干渉形追尾フィルタの１つLinear least squares filter。目標位置ゲインαと目標速度ゲインβが自動的に決まるα−βフィルタである。目標位置ゲイン及び目標速度ゲインはサンプリング回数の単調減少関数で、サンプリング回数をｋとすると、目標位置ゲインは2(2k+1)/{(k+1)(k+2)}、目標速度ゲインは6/{(k+1)(k+2)}で表される。サンプリング回数が多くなると算出精度が向上し、観測値１回あたりの重みが減少していくが、精度が良くなりすぎると目標が等速直線運動しなかった場合に追尾から外してしまう可能性が大きくなるので、あるサンプリング時刻で以降のゲインを固定してそれを防ぐ。参考：レーダの基礎

＜殲撃＞：中国空軍が戦闘機に付ける名称で、ジャンジー（Jianji）と読む。殲轟を使う見込みが無くなったためか、J-10以降は殲（ジャン）で済ませているようである。参考：月刊JWings4,’13

＜殲撃５型シリーズ＞：中国空軍戦闘機、別名J-5。ソ連のMiG-17戦闘機をライセンス生産したもので、1954年にライセンス生産権を取得し、1955年から瀋陽航空機工場で生産した。1956年7月13日に全て中国製部品で作られた初めての機体が完成し、9月8日の収用式典の際に東風101型／59式戦闘機と命名され、1964年の全国航空機統一附番規則制定を受けて殲撃５型に改称されている。殲撃５型・５型Ａを計767機量産した。参考：月刊軍事研究4,’11、月刊航空ファン1,’17、2,’17

　＜殲撃５型＞：J-5。MiG-17Fのライセンス生産型。参考：月刊軍事研究4,’11

　＜殲撃５型Ａ＞：J-5A。MiG-17PFのライセンス生産型。レーダーなどの生産技術獲得に手間取り、西安航空機工場で1965年から生産された。主翼下にパイロンを追加したものもある。参考：月刊軍事研究4,’11、4,’13

＜殲撃５型ファミリー＞

　＜殲教５型＞：中国空軍タンデム複座練習機JJ-5（Jian Jiao 5）、輸出名称FT-5。殲撃５型の胴体にMiG-15UTI練習機のコクピット部分を取り付け、アフターバーナー無しのエンジンを装備したもので、1964年から開発し、1966年5月8日に初飛行、1967年から量産した。キャノピーは前席が右開き、後席が後方スライド式で、座席は射出座席。胴体内燃料容量と最大速度が減少した。機首右にガンカメラが付いており、胴体下面23mm機関砲パックを使用しての射撃訓練や、主翼下面パイロンに100-250kg爆弾１発ずつを搭載しての爆撃訓練も可能である。全長11.5m、全幅9.6m、全高3.8m、自重4.2トン、総重量5.4トン。エンジンは渦噴５丁型（クリモフVK-1のライセンス生産版。推力2.7トン）単発、巡航速度418ノット、最大速度マッハ0.932、実用上昇限度14300m、燃料容量1400リットル＋250リットル／400リットル増槽２個、航続距離664海里。固定武装は23mm機関砲１門。乗員２名。アルバニア、パキスタン、バングラデシュなどに輸出もされた。参考：世界の軍用機1982、月刊軍事研究4,’11、4,’13、月刊航空ファン2,’17、10,’17

＜殲撃５型・海外シリーズ＞

　＜殲撃５型（インドネシア空軍）＞：インドネシア空軍戦闘機。12機が供与された。参考：月刊航空ファン7,’17

　＜壁画式戦闘機（台湾空軍）＞：台湾空軍戦闘機。中国から亡命してきたものを鹵獲した。1983年11月14日に飛来した中国海軍機が台湾航空教育展示館に展示されている。参考：月刊航空ファン6,’16

＜殲撃５型・海外ファミリー＞

　＜殲教５型（スリランカ空軍）＞：スリランカ空軍練習機。1991年に２機を輸入し、2001年まで使用した。参考：月刊航空ファン10,’17

　＜殲教５型（バングラデシュ空軍）＞：バングラデシュ空軍練習機。1979年に輸入した。参考：月刊航空ファン10,’15

　＜殲教５型（ベトナム空軍）＞：ベトナム空軍練習機。1974年に供与された。参考：月刊航空ファン5,’18

＜殲撃６型シリーズ＞：中国空軍戦闘機、別名J-6またはF-6。MiG-19のライセンス生産版である。1959年9月18日（23日？）に原型機が初飛行して59式戦闘機と命名されたが、中ソ対立でソ連技術者がいなくなり、本格量産は1963年にずれ込んだ。1964年の全国航空機統一附番規則制定を受けて殲撃６型に改称されている。組み立てたは良いものの、中国製治具の不良で全く使い物にならず、空軍に受け取りを拒否された機体も多数あったらしい。それでも中ソ対立と文化大革命の混乱で後継機の開発が遅れたこともあり、3000機以上が生産された。アルバニア、イラン、エジプト、北朝鮮、ザンビア、スーダン、タンザニア、パキスタン、バングラデシュ、ベトナムに輸出されている。参考：月刊JWings11,’01、1,’03、3,’09、5,’11、世界の軍用機1982、月刊軍事研究4,’11、月刊航空ファン1,’17、1,’18

　＜殲撃６型丙＞：別名J-6。開発当初は東風102と呼ばれていた。最初の量産型で、最多量産型でもある。MiG-19SファーマーＣのライセンス生産型で、夜間戦闘能力を持たない。計器板が漢字表記になっているのがオリジナルとの違い。後期型では垂直尾翼付け根後縁にドラッグ・シュート収容コンテナ（円筒形で、上ヒンジの蓋がある）が付いているのも変更点となった。主翼後退角は25%翼弦55度・前縁58度、下反角は4.5度。超音速性能を持たせるため薄翼で、内部には燃料タンクが入らない。主翼上面中央に大きめの境界層フェンスが装着されていて、その内側後縁にファウラー・フラップ、外側後縁にエルロンがある。全長14.9m、胴体長11.82m、全幅9m、全高3.89m、自重5.4トン、総重量7.6トン、最大離陸重量8.83トン。エンジンは渦噴６型（ミリタリー推力2.6トン、A/B時推力3.25トン）双発、巡航速度512ノット（948km）、最大速度マッハ1.34、実用上昇限度17500m、燃料容量2170リットル＋800リットル増槽２個、航続距離1389km（機内燃料のみ）／2204km（増槽あり）、戦闘行動半径370海里。固定武装は30mm機関砲NR-30が３門（225発。主翼付け根と胴体右下面）。主翼下に左右計４箇所のハードポイントを持ち、K-13空対空ミサイル２発、500kg爆弾２発、212mmロケット弾８発など２トンまでの兵装を搭載できる。乗員１名。瀋陽航空機で生産された。参考：世界の軍用機1982、世界軍用機年鑑1990-91、月刊JWings11,’01、1,’03、3,’09、月刊軍事研究4,’11、月刊航空ファン8,’19

　＜殲撃６型甲＞：別名J-6A。開発当初は東風103号と呼ばれていた。MiG-19PFファーマーＢのライセンス生産型で、機首に迎撃レーダーを搭載した制限全天候型である。南昌航空機で少数が生産された。参考：月刊JWings1,’03、月刊軍事研究4,’11

　＜殲撃６型乙＞：別名J-6B。全天候戦闘機型で、MiG-19PMのライセンス生産版。当初は東風105型と呼ばれていた。南昌航空機で生産されたが、アビオニクスなどに当時の中国の技術が追いつかず、少数配備に止まっている。参考：月刊軍事研究4,’11、世界の軍用機1982

　＜殲撃６型�T＞：別名J-6�T。最大速度をマッハ1.5に引き上げた改良型だが、開発中止になった。参考：月刊軍事研究4,’11

　＜殲撃６型�U＞：別名J-6�U。殲撃６型�Tの改良型だが、開発中止になった。参考：月刊軍事研究4,’11

　＜殲撃６型新＞：別名J-6�V。エンジンをA/B時推力3.75トンの強化型に換装し、エアインテイク内に測距レーダーを装備、機首側面補助エアインテイクを片側４個ずつに増やしている。開発中止になった（生産された？）。参考：世界の軍用機1982、月刊軍事研究4,’11、4,’13、世界軍用機年鑑1990-91

　＜殲撃６型�W＞：別名J-6�W。レーダーを新型とし、PL-2空対空ミサイルを搭載可能としたもの。貴州航空機で少数のみ生産された。参考：月刊軍事研究4,’11

＜殲撃６型ファミリー＞

　＜殲教６型＞：複座練習機型、別名JJ-6またはFT-6。MiG-19Uのコピーである。参考：月刊JWings1,’03、月刊軍事研究4,’13

　＜殲偵６型＞：戦術偵察機型、別名JZ-6。殲撃６型Ｃに中低空昼間偵察用航甲13-40カメラと航甲11-10カメラを搭載したもので、1967年から原型機を製造し、1972年までに49機を生産した。1973年3月には殲撃６型Ｃ�Uに高空用航甲15-60カメラと中低空赤外線夜間偵察用航甲13-40カメラ及び航甲11-10カメラを搭載したタイプの製造を開始、３機ほど製作してテストしたが、能力不足で没になっている。そこで航甲11-10カメラを航甲18-7カメラに変更し、撃墜したU-2戦略偵察機から手に入れたカメラの技術を参考にして改良を加えた新型を開発、1976年12月18日に制式化された。最大速度マッハ1.34、航続距離1780km。後継機が無いので、21世紀になっても使用され続けている。参考：月刊航空ファン9,’11

　＜Ｂ−６＞：無人攻撃機型。遠隔操縦装置、GPS、データリンクを追加して無人飛行が行えるようにしたもので、翼下パイロンに250kg爆弾１発ずつを搭載して超音速巡航ミサイル代わりに使うらしい。最大速度マッハ1.3、航続距離1400km。1000機以上が改造され、台湾や尖閣諸島に近い連城基地や水門基地などに配備されている。参考：月刊軍事研究10,’14、1,’14、8,’13、月刊航空ファン2,’18

＜殲撃６型・海外シリーズ＞

　＜殲撃６型（カンボジア空軍）＞：カンボジア空軍戦闘機。1975年頃に15機が供与されたが、ポルポト政権奪取後の職業軍人粛正でパイロットがおらず、ベトナム軍の侵攻を受けた際には何も出来ずに鹵獲されてしまった。参考：月刊航空ファン8,’19

　＜殲撃６型（パキスタン空軍）＞：パキスタン空軍戦闘機。マーチン・ベーカー製射出座席に換装し、胴体下面に容量1140リットルのコンフォーマル燃料タンクを搭載、AIM-9サイドワインダー空対空ミサイルとフランス製68mmロケット弾ポッドを装備可能とした。参考：月刊JWings11,’01

　＜殲撃６型（バングラデシュ空軍）＞：バングラデシュ空軍戦闘機。1979年に24機を導入した。1989年にはパキスタンからF-6とFT-6を計40機輸入している。1991年のサイクロン被害で大部分が失われた。参考：月刊航空ファン10,’15

　＜殲撃６型（ベトナム空軍）＞：ベトナム空軍戦闘機。1969年に36機が中国から供与されたが、当初は兵装が機関砲しか無く、9K32携帯地対空ミサイルの搭載改修を行った。1974年に24機が追加供与されると共に、R-3S空対空ミサイルを装備している。航続時間が短かったため、配備先の第925戦闘機連隊ではMiG-17F戦闘機と併用した。1975年末には高等練習機に転用されている。1978年にカンボジア侵攻で何機か鹵獲して配備したらしい。参考：月刊航空ファン5,’18

　＜農夫式戦闘機（台湾空軍）＞：台湾空軍戦闘機。中国から亡命してきたものを鹵獲した。1987年11月19日と1989年9月6日に飛来したものが台湾航空教育展示館に展示されている。参考：月刊航空ファン6,’16

＜殲撃６型・海外ファミリー＞

　＜ＦＴ−６（ミャンマー空軍）＞：ミャンマー空軍練習機。A-5C攻撃機の練習用として1992年に２機を輸入した。参考：月刊航空ファン12,’16

　＜農夫式戦闘偵察機＞：台湾空軍偵察機。中国から亡命してきた殲偵６型を鹵獲したものである。1977年7月7日に飛来したものが台湾航空教育展示館に展示されている。参考：月刊航空ファン6,’16

＜殲撃７型シリーズ＞：中国空軍戦闘機、別名J-7（Jianji 7）またはF-7 Airguard、NATOコードはFishbed。MiG-21戦闘機のライセンス生産機だが、中ソ対立でソ連側技術者が引き揚げてしまったため、残された図面だけで設計し、生産ラインは自力で立ち上げた。試作機初飛行は1966年1月17日だが、生産が軌道に乗るのに時間がかかり、1970年代中期以降から2500機前後が生産されている。当初の名称はMiG-21F-13戦闘機を導入した年にちなんで62式戦闘機だったが、1964年の全国航空機統一附番規則制定を受けて殲撃５型に改称された。アルバニア、タンザニア、ザンビアなどに輸出されている。参考：月刊JWings12,’06、10,’01、9,’12、世界の軍用機1982、月刊軍事研究4,’11、月刊航空ファン1,’17、THE MILITARY BALANCE 2016

　＜Ｊ−７＞：初期量産型。ショックコーンが固定式で、胴体背部のバルジが無い。渦噴７型エンジンの信頼性が低く、空対空ミサイルの運用能力も無く、少数のみが生産された。参考：月刊軍事研究4,’11、月刊JWings4,’13

　＜Ｊ−７改＞：ベトナム戦争で入手したMiG-21PF/PFS戦闘機を参考に改良を加えたもので、空対空ミサイルが運用できるようになった。少数のみ生産されている。参考：月刊軍事研究4,’11

　＜Ｊ−７�T＞：MiG-21F-13戦闘機に準ずるもの。全長13.95m、全幅7.15m、全高4.11m、自重5.275トン、総重量7.5トン、最大重量8.15トン。エンジンは成都製渦噴13型（ミリタリー推力4.1トン、A/B時推力6.6トン）単発、巡航速度520ノット（963km）、最大速度マッハ2.1、実用上昇限度18000m、燃料容量2340リットル＋490リットル増槽３個、航続距離960km／950海里（1759km。増槽あり）、戦闘行動半径150-270海里（278-500km）。固定武装は23mm機関砲２門。K-13空対空ミサイル２発や500kg爆弾２発を搭載可能。乗員１名。1967年6月から250機前後が生産された。参考：月刊JWings10,’01、12,’03、世界の軍用機1982、中国／台湾海軍ハンドブック改訂第２版

　＜Ｊ−７�U＞：改良型。エンジンを渦噴7Bに強化し、射出座席を装備するなどしている。1974年（1975年？）から開発され、1978年12月20日に初飛行し、1980年代初めに実用化されたが、少数生産のみに留まった。参考：月刊JWings10,’01、月刊軍事研究4,’13、4,’11

　＜Ｊ−７�V＞：全天候戦闘機型。エジプトから1979年2月に入手したMiG-21MF戦闘機をベースに1979年5月から開発（というかほぼコピー）した。ショックコーンを拡大し、内部にJL-7捜索レーダー（Ｊバンド）を搭載する。キャノピーを横開きにし、ドーザルスパインを拡大、エンジンも強化した。全長14.89m（機首プローブあり）／13.95m（無し）、全幅7.15m、全高4.11m、空虚重量5.275トン、最大離陸重量8.15トン。エンジンは成都製渦噴13型（R13-300のコピー。ドライ推力40.2kN、A/B時推力64.7kN）単発、最大速度マッハ2.35、実用上昇限度18200m、戦闘行動半径324海里、航続距離518海里（機内燃料のみ）／1025海里（増槽あり）。固定武装は23mm連装機関砲タイプ23-2が１基。乗員１名。レーダーやエンジンの開発に手間取り、試作機初飛行は1984年4月26日で、実用化は1992年となってしまった。しかも視界外戦闘能力に欠け、少数生産に終わっている。参考：月刊JWings3,’09、12,’06、10,’01、月刊軍事研究4,’13、4,’11

　＜Ｊ−７�W＞：改設計型。主翼を外翼部前縁後退角42度のダブル・デルタ翼としており、外翼部前縁にフラップを追加し、主翼後縁に前進角を付けた。レーダーをJL-7Aに換装し、エンジンも強化している。参考：月刊JWings10,’01、月刊軍事研究8,’07、4,’05、4,’13

　＜Ｊ−７ＢＧ＞：殲撃7BG。全長14.88m、全幅8.32m、全高4.11m、自重11667ポンド（5.29トン）、最大離陸重量16220ポンド（7.357トン）。エンジンは渦噴13F（推力14550ポンド・6.6トン）単発、巡航速度マッハ0.9、最大速度マッハ２、実用上昇限度18000m、航続距離2230km。固定武装は30mm機関砲２門。乗員１名。参考：月刊JWings2,’20

　＜Ｊ−７Ｅ＞：殲撃7E。J-7�Uの改良型で、1987年から開発された。J-7�Vが失敗作だったため、全天候能力を諦める代わりに機動性を改善したものである。構造材をジュラルミンからアルミ・リチウム合金に変更して強度を34%高めると共に17%軽量化し、座席後方の装甲板も撤去した。重量バランスが改善したため、機首の荷重用燃料タンクを撤去している。主翼は前縁スラット付きのダブル・デルタ翼で、外翼部前縁後退角42度、翼面積を増やしており、境界層板は無い。エンジンは渦噴13F（ドライ最大推力4.5トン、A/B時推力6.6トン）に換装し、西側アビオニクスのコピー製品を搭載した。ミサイルの性能向上に伴い、機関砲を１門撤去している。中国初のHOTAS装備機である。1990年に初飛行し、1993-2001年に260機が配備された。参考：月刊航空ファン5,’13、4,’18、月刊軍事研究4,’11、4,’13

　＜Ｊ−７ＥＨ＞：海軍航空隊向けJ-7E（J-7�W？）。防錆・防塩処理を施しており、C-802空対艦ミサイルの運用が可能。1990年代に登場した。参考：月刊軍事研究8,’10、4,’13、月刊航空ファン5,’13

　＜Ｊ−７Ｇ＞：殲撃7G。J-7Eの改良型で、イスラエル製エルタ2001レーダーを勝手にコピーしたKLJ-6Eパルス・ドップラー・レーダー（重量60kg。探知距離30km）、レーダー警戒装置、ECM、チャフ／フレア・ディスペンサーを搭載している。ロシアからライセンス生産したHMDを運用可能で、PL-8空対空ミサイルによるオフ・ボアサイト交戦能力を持つ。2002年6月に初飛行し、2004年11月から空軍に配備され、2006年まで生産された。パキスタン、ナミビア、バングラデシュ、ナイジェリアに輸出されている。参考：月刊航空ファン5,’13、月刊軍事研究4,’11、12,’09、8,’10

　＜Ｊ−７ＭＦ＞：計画改良型。胴体を改設計してエアインテイクを胴体下面に移動した。計画のみに終わっている。参考：月刊JWings5,’11

　＜Ｊ−７Ｘ＞：J-7MFの計画改良型。こちらも計画のみに終わった。参考：月刊JWings5,’11

　＜セイバー�U＞：CATICとグラマンが1988年10月に共同開発で合意した改良型。エアインテイクを機体両側に移し、機首にレーダーを搭載する。パキスタンに採用されかけたが、パキスタン空軍では既にF-16A戦闘機を手に入れており、結局没になった。参考：世界軍用機年鑑1990-91、月刊航空ファン5,’13

　＜スーパー７＞：超７、中国名称は殲撃7CP。セイバー�Uの改良型で、セイバー�Uと同じ機体にAN/APG-66レーダーとGE製F404またはターボユニオンRB199ターボファンエンジンを搭載し、キャノピーをF-20戦闘機と同じもの、HUDをF-16戦闘機類似のものとした。全長15.04m、全幅7.92m、最大離陸重量10.25トン。固定武装は30mm機関砲２門。主翼下ハードポイントに短距離空対空ミサイルを搭載できる。乗員１名。1988年10月にアメリカとの間で機材の輸入契約を結んだが、天安門事件でご破算となり、開発中止となった。参考：世界軍用機年鑑1990-91、月刊JWings5,’11、月刊軍事研究4,’13

　＜Ｊ−７改（艦上機型）＞：計画艦上機型。1980年代に空母建造計画を立てるにあたって検討されたが、アビオニクスが不十分ということで蹴られた。参考：月刊航空ファン4,’17

＜殲撃７型ファミリー＞

　＜Ｊ−７ＥＢ＞：アクロバット機型。J-7Eがベースである。参考：月刊軍事研究4,’13

　＜Ｊ−７ＦＳ＞：テストベッド機型。エアインテイクを機首下面に移している。J-7�Uから２機が製作されて1998年に初飛行した。参考：月刊軍事研究4,’13、月刊JWings5,’11

　＜Ｊ−７ＧＢ＞：八一飛行表演隊用アクロバット機型、殲撃7GB。J-7Gベースで、固定武装を外して軽量化した。参考：月刊軍事研究12,’09

　＜ステルス技術実証機＞：RCS計測用テストベッド機。J-7�Uを改造してコクピット、レドーム、エアインテイクをステルス設計にしており、RAMやファセット構造の効果も確認した。得られたデータは殲撃20型戦闘機や殲撃31型戦闘機の開発に繋げている。参考：月刊航空ファン4,’17

　＜殲教７型＞：複座練習機型、別名JJ-7。中国の独自設計で、1985年7月に初飛行して1986年から生産され、1987年のパリ航空ショーで初公開された。F-7Mをベースに複座化したもので、胴体下面中央のハードポイントに480リットル増槽または800リットル増槽または23mm連装機関砲パックを搭載できる。主翼下にも片側１カ所ずつのハードポイントがあり、PL-2/-2B空対空ミサイル、18連装ロケットポッドHF-18A57を装着して軽攻撃機としての使用も可能。オプションでフライト・リフュエリング社製空中給油キットを搭載できる。全長14.87m（機首プローブ含む）、全幅7.15m、全高4.1m、自重5.33トン、最大離陸重量7.59-8.6トン。エンジンは渦噴７型（ミリタリー推力4.4トン、A/B時推力6.1トン）単発、巡航速度500ノット、最大速度マッハ２、実用上昇限度17300m、燃料容量2340リットル＋480リットル／800リットル増槽、航続距離545海里／701海里（増槽使用時）。乗員２名。2010年5月6日夜、訓練中の１機のエンジンが停止して住宅地近郊に墜落、機体を直前までコントロールしていた操縦士は高度32mで射出座席により脱出したが、パラシュートが開かず墜死した。2016年7月24日に最終生産機の出荷前テストが終わって生産を終了、教練９型の量産に移行している。参考：世界軍用機年鑑1990-91、月刊JWings10,’01、月刊航空ファン8’10、11,’16

　＜無人標的機＞：空中戦訓練用無人機型。翼下パイロンに爆弾を搭載できるので、無人攻撃機に転用することも可能らしい。参考：月刊軍事研究1,’14

＜殲撃７型・海外シリーズ＞

　＜Ｆ−７Ａ＞：J-7�Tの輸出型。参考：月刊JWings10,’01

　＜Ｆ−７Ｂ＞：J-7�Uの輸出型。マジック空対空ミサイルの装備が可能。参考：月刊軍事研究4,’11

　＜Ｆ−７ＢＧＩ＞：計器板をカラーMFD３基でグラス・コクピット化し、HOTASを採用、先進型空対空ミサイルやGPS誘導兵器を使用可能としたもの。2012年にバングラデシュ空軍が16機を配備する予定。参考：月刊航空ファン2,’12、月刊軍事研究5,’12

　＜Ｆ−７Ｃ＞：J-7�Vの輸出型。参考：月刊JWings10,’01

　＜Ｆ−７Ｄ＞：J-7�Vの輸出型。参考：月刊JWings10,’01

　＜Ｆ−７Ｅ＞：J-7�Wの輸出型。参考：月刊JWings10,’01

　＜Ｆ−７Ｇ＞：J-7�Wの輸出型。参考：月刊JWings10,’01

　＜Ｆ−７Ｍ＞：J-7�Vの輸出型で、FECマルコーニのアビオニクスを搭載している。全長14.89m／13.95m（機首プローブ除く）、全幅7.15m、全高4.1m、自重5.275トン、最大離陸重量7.531トン。翼面積23平方メートル。エンジンは渦噴7B（ミリタリー推力4.4トン、A/B時推力6.1トン）単発、最大速度マッハ2.05（高度12500m）、実用上昇限度18200m、海面上昇率毎分10800m、燃料容量2385リットル＋800リットル胴体下増槽、航続距離939海里（空対空ミサイル＋2500リットル増槽３個）／1203海里（フェリー時）、戦闘行動半径650km（空対空ミサイル２発＋500リットル増槽３本、空対空戦闘５分）。固定武装は23mm機関砲２門。マジック空対空ミサイルを搭載できる。乗員１名。参考：世界航空機年鑑2018-2019、世界軍用機年鑑1990-91、月刊軍事研究4,’13

　＜Ｆ−７Ｍ（ミャンマー空軍）＞：ミャンマー空軍戦闘機。1990年と1994年に28機ずつを輸入した。後に36機がイスラエルで近代化改修を受けている。参考：月刊航空ファン12,’16

　＜Ｆ−７ＭＧ＞：バングラデシュ空軍戦闘機。J-7E（J-7�W？）の輸出型で、GECマルコーニ製スーパー・スカイレンジャー・レーダーを搭載する。全長14.88m（機首プローブ含む）、全幅8.32m、全高4.11m、自重5.292トン、最大離陸重量9.1トン。エンジンは成都・渦噴13F型（ドライ推力44.1kN、A/B時推力64.7kN）単発、最大速度マッハ２、実用上昇限度17500m、戦闘行動半径850km（制空）／297海里（Lo-Lo-Hi）、フェリー航続距離1187海里。固定武装は30mm機関砲タイプ30-1が２門。乗員１名。参考：月刊JWings4,’13、月刊軍事研究4,’13

　＜Ｆ−７Ｐ＞：パキスタン空軍戦闘機、別名スカイボルト（Skybolt）。F-7Mのパキスタン向けである。参考：月刊軍事研究4,’13

　＜Ｆ−７ＰＧ＞：パキスタン空軍戦闘機、別名エアガード（Airguard）。J-7Eがベースで、レーダーをイタリア製グリフォ７に換装している。57機が配備された。参考：月刊航空ファン5,’13、月刊軍事研究4,’13

　＜Ｆ−７Ｘ＞：J-7Xの輸出型。計画のみ。参考：月刊JWings5,’11

＜殲撃７型・海外ファミリー＞

　＜ＦＴ−７＞：複座練習機型。殲教７型JJ-7の輸出向けで、ベントラル・フィンが２枚に増えた。参考：月刊JWings10,’01

　＜ＦＴ−７Ｍ（ミャンマー空軍）＞：ミャンマー空軍複座練習機。1990年と1994年に２機ずつを輸入した。参考：月刊航空ファン12,’16

　＜ＦＴ−７ＰＧ＞：F-7PGの複座型。パキスタンに９機が輸出された。参考：月刊航空ファン5,’13

＜殲撃８型シリーズ＞：中国軍戦闘機、別名J-8（Jianji 8）、西側識別名F-8フィンバック（Finback）。殲撃７型のエンジンを強化して双発にしたもので、1966年に設計を完了、1969年7月5日に試作機が初飛行したが、文化大革命の影響や、バフェッティングの改善に難渋するなどで開発スケジュールが遅れ、量産が始まったのは1985年7月になってからである。公式に存在が発表されたのは1980年、機体写真が公開されたのは1982年だった。空軍に配備された他、海軍でも基地・艦隊防空に使用している。輸出には失敗した。参考：月刊JWings12,’03、12,’06、9,’12、月刊軍事研究4,’05、4,’13、世界軍用機年鑑1990-91、月刊航空ファン11,’16

　＜Ｊ−８�T＞：エアインテイクは機首に１つのままで、中央に大型のショックコーンがあり、内部にレーダーを収容する。主翼は中翼配置のデルタ翼で、前縁後退角55-60度。水平尾翼は低翼配置で、前縁・後縁共に後退角を持つ。後部胴体下面にベントラル・フィン２枚がある。全長21.59m、全幅9.35m、全高5.41m、自重9.82トン、最大重量17.8トン。エンジンは成都・渦噴13型Ａ�U（ミリタリー推力4.355トン、A/B時推力6.721トン）双発、最大速度マッハ2.2、戦闘行動半径800km、航続距離1187海里。固定武装は30mm機関砲２門（23mm２砲身機関砲タイプ23-2が１門？）。空対空ミサイル４発を搭載可能。乗員１名。1981年には国産のSL-7Aレーダーを搭載した改良型が開発されたが、性能が悪く測距にしか使えず、セミアクティブ・レーダー誘導式PL-4空対空ミサイルの開発にも失敗し、赤外線受動誘導式空対空ミサイルしか装備出来ない昼間戦闘機でしかなく、1987年までに100機程度が生産されるに止まった。2007年から退役が始まり、2011年に完全退役した。参考：月刊JWings12,’03、3,’09、世界軍用機年鑑1990-91、中国／台湾海軍ハンドブック改訂第２版、月刊軍事研究4,’11、8,’10、月刊航空ファン10,’16

　＜Ｊ−８�U＞：エジプトから入手したMiG-23ベースの改良型。ただし外形はSu-15類似である。前部胴体を大幅に改設計して側面にF-4類似のエアインテイクを取り付け、機首レドームを大型化してSL-7Aレーダー（208型レーダー）を搭載した。エアインテイク下面にエアブレーキを持つ。中部・後部胴体はJ-8�Tのままで、後部胴体下面中央に折り畳み式ベントラル・フィンを装備する。主翼は前縁後退角60度のデルタ翼で、翼端近くの上面に境界層板、内翼後縁に２分割シングル・スロッテッド・フラップ、外翼後縁にエルロンがある。全長21.39m（機首プローブ含む）、全幅9.35m、全高5.41m、空虚重量9.84トン、最大離陸重量15.228トン。エンジンは渦噴13B／WP-13B（ミリタリー推力43.5トン、A/B時推力68.7kN）双発、最大速度マッハ2.2、実用上昇限度18000m、燃料容量5400リットル、戦闘行動半径432海里、航続距離1187海里。固定武装は前部胴体下面の23mm連装機関砲パック23-3（200発）。外部兵装搭載量4.5トン。ハードポイントは７カ所（主翼下３カ所ずつ、胴体下１カ所）で、PL-2B空対空ミサイル、PL-7空対空ミサイル、57mm対空ロケット、90mm対地ロケット、増槽などを搭載できる。乗員１名。1980年から開発され、1984年6月12日に初飛行し、1986年のファーンボロ航空ショーで初公開され、1988年10月15日に制式化され、1993年までに少なくとも24機が量産された。レーダーが予定の性能に及ばず、1980年代後半にAN/APG-66を初めとする西側アビオニクスやGE社製F404エンジンを導入する計画があり、グラマン社に２機を持ち込んだが、天安門事件でご破算になり、セミアクティブ・レーダー誘導式空対空ミサイルの開発も失敗、所定の能力を発揮できなかった。参考：世界軍用機年鑑1990-91、中国／台湾海軍ハンドブック改訂第２版、月刊軍事研究8,’10、4,’05、月刊JWings12,’06、3,’09、9,’12、月刊航空ファン11,’11、11,’16、世界航空機年鑑2018-2019

　＜Ｊ−８�UＢ＞：別名J-8�Uブロック02。J-8�Uのレーダーをルックダウン・シュートダウン能力ありのKLJ-1（208A型）レーダーに換装、HUDをHK-13Eとし、セミアクティブ・レーダー誘導式空対空ミサイルを運用できるようにしたもの。試作機初飛行は1989年11月だが、レーダーと空対空ミサイルの開発が難航し、生産は1996年になった。参考：月刊軍事研究4,’11

　＜Ｊ−８�UＭ＞：アビオニクス改良型。ロシアのファザトロン製ズーク８多機能パルス・ドップラー・レーダーやフライ・バイ・ワイヤを導入したものである。1996年4月19日に初飛行し、主に輸出用とされた。参考：月刊軍事研究4,’13、4,’05、世界航空機年鑑2018-2019

　＜Ｊ−８�W＞：J-8Dを参照。

　＜Ｊ−８Ｃ＞：計画改良型。エンジンを渦噴14型に、アビオニクスをイスラエル製に換装する予定だったが、天安門事件でアビオニクスが導入できず、開発中止になった。参考：月刊軍事研究4,’11

　＜Ｊ−８Ｄ＞：別名J-8�W。コクピット右に固定式空中給油受油装置を取り付けたもので、1999年の軍事パレードで初公開された。参考：月刊軍事研究12,’09、4,’13、2,’09、4,’11

　＜Ｊ−８Ｆ＞：J-8�UＭの対地攻撃能力強化型。レーダーをMiG-29用ズークをベースとした1492型（JL-10型）多機能レーダーに改良し、エンジンを渦噴13B�Uに強化、グラス・コクピットを採用した。PL-12空対空ミサイルを運用できる。1999年から開発され、2000年に初飛行し、2003年から運用された。参考：月刊軍事研究4,’05、12,’09、8,’10

　＜Ｊ−８Ｈ＞：SEAD能力付与型。2002年から配備された。参考：月刊軍事研究4,’11

　＜Ｊ−８�U改（艦上機型）＞：計画艦上機型。1980年代に空母建造計画を立てるにあたって検討されたが、翼面積が小さすぎて発着艦が困難で、計画のみに終わった。参考：月刊航空ファン4,’17

＜殲撃８ファミリー＞

　＜ＪＺ−８＞：写真偵察機型、殲偵８。J-8�Tがベースで、フェアチャイルド社とMBB社が開発したKA-112Aカメラを３台収容したポッドを搭載する。撮影時機速900-1593km、撮影高度9000-15000m。乗員１名。1987年4月から1989年8月に８機が完成した。参考：月刊航空ファン5,’16、4,’18、月刊軍事研究4,’11

　＜ＪＺ−８Ｆ＞：写真偵察機型、殲偵8F。J-8F（J-8D？）がベースで、機関砲を撤去してカメラを収容しており、他に合成開口レーダーも積む。参考：月刊航空ファン5,’16、月刊軍事研究4,’11

＜殲撃８型・海外シリーズ＞

　＜Ｆ−８�UＭ＞：輸出型。全長21.59m（ピトー管含む）、全幅9.34m、全高5.41m、自重10.371トン、最大離陸重量18.88トン。翼面積42.2平方メートル。エンジンは成都・渦噴13B型（ドライ推力47.1kN・4.8トン、A/B時推力68.7kN・７トン）双発、最大速度マッハ2.2、上昇限度20200m、海面上昇率毎分13440m、燃料搭載量4.2トン、戦闘行動半径1000km。固定武装は23mm連装機関砲タイプ23-3が１門。ハードポイントは７ヵ所。R-27空対空ミサイルなら２発、WVRAAMなら６発、爆弾類なら10発まで積める。乗員１名。1998年に初飛行したが、どこにも採用されなかった。参考：月刊JWings4,’13、世界航空機年鑑2018-2019

＜殲撃９型＞：JF-17（戦闘機）を参照。

＜殲撃９型＞：中国の試作戦闘機。1970年代に開発され、様々な形状のものが検討された挙げ句、カナード付きデルタ翼機を採用したターボファン双発・最大速度マッハ2.6のJ-9B�Wに纏まったが、細かい設計に苦慮しているうちに計画中止となった。参考：月刊JWings5,’11、月刊軍事研究4,’11

＜殲撃１０型＞：中国が1970年代に開発していた双発複座戦闘機。無尾翼デルタ翼機で、双垂直尾翼を持つ。計画中止となった。参考：月刊JWings5,’11

＜殲撃１０型シリーズ＞：中国軍第４世代戦闘機J-10（Jianji 10）、NATOコードはファイアバード（Firebird）、西側通称はヴィゴラス・ドラゴン（Vigorous Dragon、猛龍）。ソ連との関係が悪化した時期にMiG-29戦闘機やSu-27戦闘機に対抗できる戦闘機として1986年（1980年代末？）から開発され、F-16戦闘機を超えることを目指した。中東戦争でソ連兵器を叩きのめしたイスラエルから技術の提供を受けているとされており、イスラエルで開発中止となったラヴィを参考にして（設計図や技術者を丸ごと買ったともいわれる）設計、パキスタンからF-16Aの情報も得たらしい。当初西側からの技術導入を行う予定だったが、天安門事件で西側からのエンジン・アビオニクス技術供与が途絶えたため、試作初号機は1996年に初飛行したが、試作２号機が1997年末に墜落して失敗作認定され、無かったことにされた。その後関係が改善したロシアの技術を導入して試作３号機が1998年3月23日に初飛行、こちらが公式の初飛行日とされている。1999年にフライ・バイ・ワイヤの不調で試作３号機が墜落したため、更に改良を行い、2002年6月に量産型初号機が初飛行し、2006年（2004年8月？2005年？）に量産機が実戦部隊に就役した。メーカーは成都飛行機工業。開発中の情報は高度に秘匿されていて、1999年5月に情報をインターネットに漏洩した人物は懲役８ヶ月の判決を受けている。2007年現在65機、2009年現在100機が配備されており、300機以上を生産予定。2010年4月23日0935、広州軍区第９航空団司令が自ら操縦していた機体が湖南省で墜落し、司令は死亡した。参考：月刊軍事研究4,’05、5,’07、8,’10、月刊JWings4,’07、6,’17、月刊航空ファン8’10、2,’11、6,’16、8,’18、世界航空機年鑑2018-2019

　＜殲撃１０型Ａ＞：全遊動式前方カナード翼付き無尾翼デルタ翼機で、機体下面に２次元可動式境界層分離板付きエアインテイクがあり、外見はMiG-MAPO1.44やユーロファイターにも似ている。カナード翼には軽い上反角が付く。ブレンデッド・ウイング・ボディを採用していて、主翼内翼部に下反角を持つ。主翼は前縁外側にフラップ、後縁にエルロン４枚がある。機体後部にはF-16のようなベントラル・フィン２枚が付く。スピードブレーキは主翼後上部に２枚、主翼の間に２枚あり、着陸時にはカナード翼を立ててスピードブレーキを補助する。垂直尾翼付け根にはドラッグ・シュートを収容している。飛行システムは４重デジタル式フライ・バイ・ワイヤで、フライ・バイ・ワイヤは殲撃８型�U改造機、CCVは殲撃６型改造機でテストした。計器板はHUD、大型スクリーン、多機能液晶ディスプレイ３基によりグラス・コクピット化されており、HMD（ウクライナ製のコピー）とHOTASも採用している。全長15.5m（14.57m？16.43m？）、全幅9.75m（8.78m？）、全高5.43m（4.78m？6m？）、空虚重量8.3トン、戦闘重量13.2トン、最大離陸重量19.227トン（18.5トン？18トン？）。翼面積39平方メートル。エンジンはサチュルン・リューリカAL-31FNターボファン（ドライ推力79.34kN、A/B時推力12.505トン・123kN）単発、最大速度マッハ1.85（マッハ2.2？）、実用上昇限度18000m、燃料搭載量4.5トン、戦闘行動半径250-350海里、フェリー航続距離3000km（1000海里？）。固定武装は23mm機関砲１門。外部兵装搭載量5.5トン。ハードポイントは11箇所（胴体中心線上１箇所、胴体下面両側前後計４箇所、主翼下面計６箇所）で、赤外線・レーザー照射ポッド、90mmロケットポッド、PL-8/PL-9/PL-11/PL-12空対空ミサイル、PJ-9/YJ-9K/YJ-91対地ミサイル、LT-2/LT-6レーザー誘導爆弾などを搭載可能。乗員１名。ファゾトロンNIIRソコルまたはジュークFCSレーダーにより前方80-180km、後方40-80kmを走査して15-24目標を追跡、2-6目標と同時交戦できる。また、ファゾトロン製ゼムチュク多機能レーダー（ジュークFCSレーダーの改良型）を搭載しているともいわれ、どれを装備しているのかは不明だが、中国軍での名称はKLJ-3／1473型レーダーである。エンジンは国産化する予定だったが、渦扇10の開発が上手くいかず、AL-31Fの輸入となっており、これが生産数を制限している。参考：月刊航空ファン2,’11、月刊JWings12,’06、1,’16、12,’03、4,’07、3,’09、12,’09、9,’12、10,'15、1,'22、月刊軍事研究6,’02、4,’05、MORIBITO Vol.3

　＜殲撃１０ＡＨ型＞：殲撃10A型の海軍型。2010年から配備された。参考：月刊航空ファン11,’16

　＜殲撃１０Ｂ型＞：成都航空機が開発した改良型。機首レドーム付近で機体を延長し、レーダーをKLJ-7Aパッシブ・フェイズド・アレイ・レーダー（AESA？）に換装してアンテナ直径を拡大、エアインテイクから可変ランプを外してダイバーターレス・スーパーインレットにしてあり、エアインテイク下面のリップが前方に張り出している。エンジンは渦扇10A（WS-10A）に換装した（AL-31Fのまま？）。風防前方にIRST、垂直尾翼端にECMアンテナを持つ。コクピット下方と胴体後部にテープ状のものが張られており、ECMアンテナとも編隊灯ともいわれている。ベントラル・フィンは後ろに延びた。PL-12空対空ミサイル用並列連装ランチャーを開発しており、主翼下パイロンに装着可能。レーザー誘導爆弾やKD88空対地ミサイルの運用能力を持つ。全長16.9m、全幅9.8m、全高5.7m、自重21500ポンド（9.75トン）、最大離陸重量42500ポンド（19.3トン）。エンジンはサチュルンAL-31FN（推力31000ポンド・14.2トン）単発、巡航速度マッハ0.9、最大速度マッハ1.8、実用上昇限度18000m、航続距離2950km。固定武装は23mm機関砲２門。乗員１名。2008年12月に試作機が初飛行したようで、2009年5月24日から本格的な試験飛行が始まった。2014年11月15日1500頃、成都飛行機工業近くの四川省成都市新都区青杠樹村に試験機が墜落し、乗員は脱出したが、住民７人が負傷した。離陸後すぐにエンジンが停止したとみられる。2017年12月25日、推力偏向パドルを装備した機体が飛行した。50機で生産が打ち切られ、殲撃10C型の量産に移行した模様である。参考：月刊JWings6,’09、2,’20、月刊航空ファン8,’09、7,’11、2,’15、1,’17、8,’17、7,’18、8,’18、朝雲

　＜殲撃１０Ｃ＞：殲撃10Bの改良型J-10C、開発名称は殲撃10Bブロック�U。レーダーをAESA式に換装し、12目標を探知して６目標と同時交戦できるようにした。計器板には国産MFDを搭載し、HUDは広角ホログラフィ式に換装している。電子戦アンテナ・フェアリングを機首側面からカナード基部に移設し、胴体背部にはブレードアンテナが３本あり、編隊灯を追加した。RCSは１平方メートルらしい。増槽の燃料表示が満タンと空の２つしか無いので、若干不便である。エンジンはAL-31FN推力偏向ターボファン単発。兵装ペイロード４トン以上。PL-10WVRAAM、PL-12/-13/-15BVRAAMを装備できる。AN/AAQ-28ライトニング・ポッドに準じるターゲッティング・ポッドを搭載可能。150機を生産予定。2017年7月30日の建軍90周年閲兵式で初公開され、2018年4月16日からアラート任務に就いている。2019年中期以降の生産機はエンジンを国産のWS-10Bに換装した。参考：月刊航空ファン8,’18、月刊JWings8,’23

　＜殲撃１０ＣＥ＞：殲撃10Cの輸出型。参考：月刊航空ファン2,’20

　＜殲撃１０型（艦上型）＞：中国が建造を予定している通常動力型空母に搭載すると噂されているが、開発中であるという情報は無い。また、無尾翼デルタ機なので着艦時にかなりの頭上げ姿勢を取らねばならない、主脚ホイール・トラックが短いので着艦事故を起こしやすい、単発なので故障に弱い、洋上作戦用としては航続距離が短いといった欠点があり、艦上運用向きではないとみられる。参考：月刊軍事研究1,’09

＜殲撃１０型ファミリー＞

　＜殲撃１０ＡＹ＞：単座アクロバット専用機で、Ｙは演の頭文字。レーダーや機関砲を外し、スモーク発生装置を追加した。ただ胴体内のスモークタンク容量が少なく、両主翼下パイロンにスモーク放出筒を装着して２本スモークを描いていることが多い。八一飛行表演隊に配備された。その後スモークタンク容量を拡大して排気ノズル上部にスモークノズルを追加しており、2016年のエアショー・チャイナからは１本スモークとなっている。殲撃10CYに後を譲った。参考：月刊航空ファン2,’11、1,’17、4,’19、月刊JWings8,’23

　＜殲撃１０Ｂ（推力偏向ノズル型）＞：エンジンを全周推力偏向ノズル搭載型のWS-10B3に換装したもの。エアショー・チャイナ2018でコブラやクルビットを披露した。参考：月刊航空ファン1,’19

　＜殲撃１０ＣＹ＞：単座アクロバット専用機。殲撃10AYの後継で、LIMA’23で初展示飛行を行った。殲撃10Cがベースで、機関砲を外してフェアリングで成形し、垂直尾翼基部にスモーク放出パイプを追加した。増槽の残燃料を表示可能としている。エンジンはAL-31FNターボファン。参考：月刊JWings8,’23

　＜殲撃１０Ｓ＞：J-10S。殲撃10AS／J-10ASかも。Ａ型の複座練習機型で、Ｓは双の頭文字。2003年12月13日に初飛行した。参考：月刊航空ファン2,’11、11,’16、月刊軍事研究8,’10、月刊JWings4,’13

　＜殲撃１０ＳＹ＞：複座アクロバット専用機。殲撃10AYと同様の改造を施してある。こちらも八一飛行表演隊に配備され、2016年のエアショー・チャイナからスモークタンク容量拡大・１本スモーク型が登場している。参考：月刊航空ファン2,’11、1,’17、4,’19

＜殲撃１０海外シリーズ＞

　＜殲撃１０型（イラン）＞：イラン空軍戦闘機。2008-10年に24機を導入し、２個飛行隊を編成する。エンジンはロシアから供給される予定。参考：月刊軍事研究7,’08

　＜殲撃１０型（北朝鮮）＞：中国に供与要請を出したが、蹴られた。参考：世界航空機年鑑2018-2019

　＜殲撃１０型（パキスタン空軍）＞：パキスタン空軍戦闘機。FC-20の名称で2014-15年（2012-13年？）に殲撃10B型36機を14億ドルで調達する予定。参考：月刊軍事研究5,’09、5,’10、月刊JWings6,’09、月刊航空ファン11,’16

＜殲撃１０型・兵装＞

　＜空対空＞：PL-12空対空ミサイル４発＋PL-8空対空ミサイル２発＋800リットル増槽２本またはPL-12空対空ミサイル２発＋PL-8空対空ミサイル２発＋1600リットル増槽２本。参考：月刊航空ファン2,’11

＜殲撃１１型＞：中国の試作戦闘機。1970年代に開発していたが、1978年頃に計画中止となった。参考：月刊JWings5,’11

＜殲撃１１型シリーズ＞：中国軍戦闘機。ロシアからSu-27SK/Su-27UBK/Su-30MKK/Su-30MK2戦闘機を導入したもので、ライセンス生産が許可されるまでは蘇27と呼ばれていた。Su-27SKのみを指すという説もある。1992年にまず単座型20機と複座型４機を購入して南京軍区第３航空団に配備し、1996年にSu-27を24機、Su-27SKを16機、Su-27UBKを６機購入して広州軍区第２航空団に配備した。その後も100機以上を購入、1997年にはライセンス生産が許可されている。総数はSu-27SKが36機、Su-27UBKが40機、Su-30MKKが76機、Su-30MK2が24機、ライセンス生産機が97機（96機？100機？）の計273機で、12個連隊に配備した。本当は200機ほどライセンス生産する予定だったが、中国が勝手にコピー生産（2013年現在で136機に達する）を始めたために関係がこじれ、この機数に留まっている。価格は2002年発注のSu-30MKKで１機3750万ドル。チベットの航空基地４ヵ所及び中国南部の航空基地３ヵ所に配備してインドへの睨みをきかせているともいわれるが、高度3480mに基地があるため、作戦運用は困難という説もある。手持ちの空中給油機ではリセプタクルの形状が合わず空中給油ができないので、ロシアにIl-78給油機を発注したが、コピー生産問題があって配備が遅れた。また、対地攻撃兵器に一部ロシア製のものを使用する必要もあり、本来の能力を発揮しきれていないようである。Su-27SK/Su-27UBKは2017年から退役する予定。参考：月刊軍事研究4,’05、8,’08、9,’08、月刊JWings9,’10、月刊航空ファン2,’11、11,’16、7,’17

＜殲撃１１型＞：ロシアで製作して輸入したものを指す。アビオニクスは劣化版を搭載している。参考：月刊軍事研究4,’05、月刊航空ファン2,’11

＜殲撃１１Ａ型＞：中国製部品を使用してロシアが製作した殲撃11型。R-77空対空ミサイルを運用できる。参考：月刊軍事研究8,’10、4,’05

＜殲撃１１Ｂ型＞：中国ライセンス生産版殲撃11型。1995年にライセンス契約を結んだが、1990年代にロシアから輸入したSu-27SKを違法コピーして製作したという話もあり、ロシアからクレームが付いているらしい。また、勝手にパキスタンに売ろうとしてロシアから止められた。MIL-STD-1553Bデータバスを使用し、各種システムを統合している。兵装ペイロードは最大８トンで、PL-8空対空ミサイル４発、PL-12空対空ミサイル６発、YJ-91対レーダーミサイル、KD-88空対地ミサイル、YJ-82空対艦ミサイルなどを搭載可能。操縦システムは四重デジタル式フライ・バイ・ワイヤに変更した。機首レドームには放電索の筋が６本追加されている。レーダーを1471型多機能フェイズド・アレイ・レーダー（同時追尾目標数6-8、同時攻撃目標数４）または1493型パルス・ドップラー・レーダーに換装した独自型という説もあり、エンジンも渦噴10Aの改良型を搭載する予定だったが、これは断念されたという。2004年までに96機が生産された。参考：月刊軍事研究4,’05、8,’08、1,’10、12,’09、8,’10、6,’13、月刊航空ファン6,’10、3,’11、9,’19、月刊世界の艦船4,’22

＜殲撃１１ＢＨ型＞：中国海軍艦上戦闘機。殲撃11B型を単座艦上戦闘機にしたもので、Su-33相当らしい。殲撃15型シリーズが名称変更されたものともいわれる。エンジンはWS-10Aターボファン（推力12.8トン）双発。2014年8月19日に海南島の東でアメリカ海軍P-8A哨戒機に異常接近したのはこのタイプ。参考：月刊軍事研究11,’10、3,’15、月刊航空ファン6,’11

＜殲撃１１ＢＳ型＞：Ｂ型の複座型。2009年末に事故を起こした。参考：月刊軍事研究8,’08、12,’10

＜殲撃１１ＢＳＨ型＞：中国海軍複座艦上戦闘機。中国空軍Su-27UBK戦闘機がベースで、エンジンを渦扇10Aに換装している。参考：月刊世界の艦船2,’20、月刊軍事研究6,’13、11,’10

＜殲撃１１Ｄ型＞：AESAレーダー搭載型。風防前方の光学赤外線監視装置が大型化し、位置が右にずれた。エンジンはWS-10系。ハードポイントは12カ所で、PL-15BVRAAMを搭載できる。乗員１名。2015年前半から試験飛行に入ったが、Su-35S戦闘機輸入までの繋ぎらしく、完成前に輸入が始まったので、量産しないらしい。参考：月刊航空ファン7,’15、11,’15、2,’17、6,’17

＜殲撃１１ファミリー＞

　＜殲教１１ＢＳ＞：複座練習機型JJ-11BS。参考：月刊航空ファン4,’18

＜殲撃１２型＞：中国の試作軽戦闘機J-12。第３次中東戦争とベトナム戦争の空中戦を中国空軍で独自に解析した結果、機動性の高いSTOL小型戦闘機が望ましいという結論が得られたため、殲撃７型をベースに1969年4月から開発し、1970年12月26日に初飛行した。外見はF-100戦闘機を小型化したような感じで、エアインテイクが丸いのとダクトがコクピットの両側を通っているのが違う。空虚重量3.1トン、通常離陸重量4.45トン。エンジンは渦噴6B（A/B時推力4.05トン）単発、巡航速度マッハ0.95、最大速度マッハ1.5、実用上昇限度17410m、燃料搭載量は機内1250kg＋400リットル増槽２本、航続距離1385km。固定武装は30mm機関砲１門と23mm機関砲１門。エアインテイクにショックコーンを追加したJ-12Iも1975年に初飛行し、計５機が製作されたが、毛沢東主席死去でドクトリンが変更されたことや、殲撃７型・８型とあまり性能が変わらなかったことなどから1978年2月に計画中止となった。中国航空博物館に２機、南京航空航天大学に１機、洪都航空工業に２機が展示保存されている。参考：月刊航空ファン8,’16、月刊JWings3,’11、5,’11、月刊軍事研究4,’11、4,’13

＜殲撃１２型＞：中国の研究機。F-22戦闘機にカナード翼を付けたような形をしている。2006年に製作された。参考：月刊JWings3,’11、月刊軍事研究5,’07

＜殲撃１３型＞：中国の計画単発単座軽戦闘機J-13。1970年代半ばに殲撃９型と競争試作されたが、計画のみに終わった。参考：月刊JWings5,’11、3,’11

＜殲撃１３型改＞：瀋陽飛行機工業の計画艦上戦闘機。2000年代以降の実用化を見込んで開発した。主翼はストレーキと折り畳み機構を持つ。エンジンは渦噴15単発。実用化には至らなかった。参考：月刊航空ファン4,’17

＜殲撃１４型＞：中国の計画戦闘機J-14。F-22戦闘機に対抗して開発したもので、成都航空機と瀋陽航空機の案を統合し、2008年の初飛行を目指していたが、計画のみに終わった。参考：月刊JWings3,’11、月刊軍事研究5,’07

＜殲撃１５型シリーズ＞：中国海軍艦上戦闘機。参考：月刊航空ファン10,’18

＜殲撃１５型＞：別名J-15飛鯊（Fēi shā、トビハゼ）／フライングシャーク（Flying Shark）、NATOコードはフランカーＤ（Flanker-D）。その後殲撃11BHに名称変更されたという説が出たが、聞かなくなった。当初はSu-33艦上戦闘機を輸入する方針だったが、殲撃11Bでの無断コピー問題があってロシアからアビオニクス、エンジン、着艦機構に関する技術導入ができず、ウクライナから購入したSu-27K（Su-33の原型機T-10K-3）と殲撃11Bをベースに開発した。機体構造を強化し、主翼と水平尾翼に折り畳み機構を追加、胴体尾部下面にアレスティング・フックを装着しており、着艦時に迎え角が取れるようテイルブームは短縮した。機首に全遊動式カナード翼を持つ。レーダーは1474型または1493型多機能パルス・ドップラー・レーダーで、風防前方にIRSTを装備し、国産３軸安定型四重デジタル・フライ・バイ・ワイヤを搭載する。エンジンは渦噴10（WS-10）ターボファンを積む予定だったが、信頼性などに問題があるらしく、ロシア製を積んだ。ハードポイントは12カ所で、PL-8/PL-9/PL-12空対空ミサイル、YJ-62/YJ-83K/YJ-91空対艦ミサイル、KD-88空対地ミサイル、LD-10対レーダーミサイル、LT-2レーザー誘導爆弾（FT-2？）、LS-6滑空誘導爆弾、Kh-59MEなどを搭載可能。前輪はダブルタイヤ、主輪はシングルタイヤである。中国国防大学の専門家によると、Su-33に勝るとも劣らない能力を持つとされ、アビオニクスなどは最新のものに改良されている筈である。ただロシア筋によるとSu-33の劣化コピーであり、空母で運用できるかどうかは疑わしいという。戦闘行動半径も陸上基地から発進すれば700kmだが、スキー・ジャンプ台から発艦すればもっと少なくなる。「航空知識」誌によると、PL-12BVRAAMとPL-8WVRAAMを２発ずつ積んで遼寧級空母第１発艦域（滑走距離105m）から甲板合成風速ゼロで発艦すると発艦重量27トン・燃料搭載量９トン・戦闘行動半径300km・滞空時間２時間であり、PL-12BVRAAMとPL-8WVRAAMを４発ずつ積むなら燃料搭載量を7.5トンに減らさなければならず、合成風速10ノットで発艦重量を28.5トンに増やしても、空対空フルのPL-12BVRAAM４発＋PL-12BVRAAM８発なら燃料搭載量は7.5トンから増やせない。2013年9月15日のテストでPL-12BVRAAM２発とYJ-83空対艦ミサイル２発を積んで遼寧級空母第２発艦域（滑走距離195m）から発艦した際には、発艦重量31トン、燃料搭載量９トン、兵装ペイロード５トンだったという。ペイロードの限界から燃料満載でYJ-83空対艦ミサイルを積みスキー・ジャンプ台運用をするとPL-12のようなBVRAAMを積めず、アメリカ機動部隊のE-2D早期警戒機とF/A-18E/F戦闘機による艦隊防空網を突破して空母を攻撃するのは難しい。艦上空中給油機が無いので、何機かにUPAZ-1Aバディ・ポッドを取り付けて運用するようだが、給油用の燃料搭載量も制限されるため、空中給油任務の殲撃15型は発艦−空中給油−着艦−燃料補給を頻繁に繰り返すことになる。全長21.19-22.28m、全幅14.7-15m、全高5.92m、空虚重量17.5トン、最大離陸重量32.5-33トン。翼面積62.04平方メートル。エンジンはリューリカAL-31Fターボファン（A/B時推力12.5トン）双発、最大速度マッハ2.165-2.4、実用上昇限度20000m、航続距離3500km。最大許容加速度8G。固定武装は30mm機関砲GSh-30-1が１門。乗員１名。2009年8月31日にAL-31Fターボファンを積んで陸上から初飛行し（2011年初めに完成したという説もある）、2012年11月22日に空母16遼寧での初発着艦テストを実施した。2016年4月27日1259、陸上基地での模擬着艦訓練中に操縦系統が故障した１機が墜落し、パイロット（中隊長）が死亡した。9月15日、瀋陽航空機が前脚にランチ・バーを装着した機の写真を公表した。2017年8月17日、共産主義青年団の機関紙が、陸上基地を離陸直後に左エンジンのバードストライクを起こし、パイロットが軽傷を負った事故を報じた。エンジンは爆発炎上して機体の損傷も激しく、再生は不可能らしい。原型機Su-27Kが抱えていた飛行制御システム不具合まで引き継いでしまったのと、レーダーが旧式化したのとで、2017年までに試作機７機＋量産機30機（うち２機が事故全損）を配備したところで量産が止まっており、生産停止命令が出されたらしい。参考：月刊軍事研究2,’15、4,’14、11,’15、月刊航空ファン10,’18、8,’10、6,’11、8,’11、9,’11、10,’16、12,’16、月刊JWings5,’14、11,’14、3,’11、7,’11、1,’17、月刊世界の艦船3,’20、6,’14、3,’17、8,’17、8,'22、朝雲

＜殲撃１５Ａ型＞：改良型J-15A。レーダーをアクティブ・フェイズド・アレイ式に換装し、PL-10/-15空対空ミサイルを運用可能とした。参考：月刊世界の艦船3,’20

　＜殲撃１５Ｂ型＞：開発中のカタパルト対応型J-15B。レーダーをアクティブ・フェイズド・アレイ式にして機首ピトー管を廃止し、主翼前縁スラットにＬバンド（1-2GHz）レーダー・アンテナらしきものを追加、前脚柱を短縮した。データリンク能力も強化したらしい。エンジンを渦扇10Bに換装するかもしれない。参考：月刊世界の艦船4,'22、5,'24、月刊航空ファン10,’18、2,’18

　＜殲撃１５Ｔ型＞：カタパルト対応型J-15T。2014年10月から開発され、電磁カタパルトへの対応も検討中らしい。エンジンを推力偏向式WS-10に換装し、前脚にランチ・バーを追加した。2016年7月に試作初号機が初飛行し、11月に陸上滑走路の電磁カタパルトによる離陸試験に成功したらしい。参考：月刊世界の艦船8,'22、2,’20、4,’21

＜殲撃１５型ファミリー＞

　＜殲撃１５Ｄ型＞：複座電子戦機型J-15D。殲撃16D型と同じ電子戦システムと電子戦ポッドを積み、レーダーをアクティブ・フェイズド・アレイ式にして機首のピトー管を廃止、IRSTと機関砲を撤去し、機体にアンテナを追加した。2016年に試作機が初飛行（2018年に瀋陽飛行機工業をロールアウト？）し、2021年に初期量産型とみられる映像が公開された。参考：月刊世界の艦船4,’22、月刊航空ファン7,’18

＜殲撃１５Ｓ型＞：転換訓練機型。タンデム複座で、多用途艦上戦闘機や電子戦機としての能力も持つらしい。2013年11月6日に公開され、2018年12月から引き渡された。参考：月刊世界の艦船2,’20、月刊航空ファン2,’17、10,’18、月刊軍事研究4,’14

＜殲撃１５Ｄ型（中国空軍）＞：中国空軍複座戦闘爆撃機。見た目はSu-30MKKと同じである。参考：月刊世界の艦船2,’20

＜殲撃１６型＞：中国軍複座戦闘爆撃機J-16。瀋陽航空機が2011年から開発した。当初の説では殲撃11Bをベースとしたステルス戦闘機で、胴体内ウェポンベイまたはコンフォーマル・ウェポンベイを装備するといわれていたが、2014年春に公開された写真ではSu-30MKK/MK2/殲撃15D（空軍型）の短テイルブーム版であり、2017年7月30日の中国軍創設90周年記念パレードで航過飛行している。機体は複合材を多用し、RAMも使用、レーダーは国産AESAに換装した。エンジンは後にWS-15（推力18トン）に換装するとみられる。全長21.9m、全幅14.7m、最大離陸重量35トン。エンジンは渦扇10/WS-10ターボファン（A/B時推力135kN）双発、航続距離3000km。固定武装は30mm機関砲（150発）。兵装ペイロード８トン（12トン？）。PL-8空対空ミサイル、PL-10空対空ミサイル、PL-12空対空ミサイル、PL-13空対空ミサイル、鷹撃62型空対艦ミサイル、鷹撃83型空対艦ミサイル、鷹撃91型空対艦ミサイル、鷹撃９型多用途ミサイル、KD-88空対地ミサイル、天戈レーザー誘導貫徹爆弾、LS-500Jレーザー誘導爆弾、LD-10対レーダーミサイル、LT-2レーザー誘導爆弾、LS-6滑空爆弾、200A型対航空基地爆弾、500-1500kg汎用爆弾などを搭載可能。乗員２名（タンデム複座）。2011年10月17日に初飛行し、2013年の段階で中国海軍向けに16機が配備されていた。海軍では計24機を配備予定。空軍も１個飛行隊24機を配備予定とされるが、どうなったかは不明である。参考：月刊軍事研究6,’14、8,’12、月刊JWings10,’17、3,’11、4,’20、月刊航空ファン4,’18、11,’16、2,’18、12,’18、月刊世界の艦船2,’20

＜殲撃１６型ファミリー＞

　＜殲撃１６Ｄ型＞：電子戦機型J-16D。電殲16型DJ-16になるかもしれない。固定武装の機関砲とIRSTを外し、翼端に戦術ジャミング受信機アンテナ内蔵ポッド（AN/ALQ-218類似）を装着、主翼下面と胴体下部両側面にジャミング・ポッドを１基ずつ搭載し、対レーダー・ミサイルを運用する。2015年12月18日に初飛行した。2021年11月6日、中国中央放送が実動訓練開始を報じた。参考：月刊軍事研究6,’16、月刊JWings4,’16、9,’17、10,’17、12,'21、1,'22、月刊航空ファン2,’18

＜殲撃１７型＞：殲撃11B型ベースのSu-34類似長距離戦闘爆撃機とも、欠番ともいわれる。参考：月刊航空ファン7,’11、月刊軍事研究6,’13

＜殲撃１８型＞：瀋陽航空機が開発していた試作ステルス機J-18。カナード翼付きで、水平尾翼も持っており、垂直尾翼は外側に傾けた双垂直尾翼である。ステルス性では殲撃19型に勝っていたらしいが、開発リスクが大きいと判断されたらしく、2008年に殲撃19/20型に負けて不採用となった。一時STOVL能力を持つ重戦闘機という説も出されていたが、重戦闘機でVTOLは無理である。参考：月刊JWings3,’11、4,’11、月刊軍事研究3,’11、月刊航空ファン7,’11

＜殲撃１９型＞：成都航空機が開発していた試作ステルス機J-19。これが発展して殲撃20型になったらしい。参考：月刊JWings3,’11

＜殲撃２０型シリーズ＞：中国空軍戦闘機J-20、別名威龍。ステルス機っぽいので第５世代戦闘機に分類する意見もあるが、中国独自の分類では第４世代戦闘機らしい。ただ2018年3月13日付チャイナ・デイリー紙は、第５世代マルチロール戦闘機殲撃20の新型バリエーションとして第６世代戦闘機の研究を開始、という記事を載せている。軍では自国防空のみに使用すると発表していて、他国への脅威とならないことを強調しているが、ステルス侵攻が出来るほどの能力をまだ有していないだけかもしれない。アメリカの軍事誌やニュースサイトでは、ステルス性や飛行性能においてF-117攻撃機並の能力しか無く、主任務は地上攻撃とせざるを得ないとか、少数生産のテスト機として使用し殲撃31型を本格量産するといった説が出されている。ただし航続距離は防空用としてはオーバースペックであり、航空優勢獲得機、対AWACS・電子戦機、空中給油機などに後で発展していく可能性はある。1997年から718工程の名称で成都飛行機工業が開発し、瀋陽飛機の案に勝って採用され、2009年に技術検証機が完成、初号機（機体番号2001号機）は2011年1月11日（要人招待での飛行で、アメリカのゲイツ国防長官が訪中していたタイミングであり、実際にはもっと前に飛んでいた説あり）、2002号機は2012年5月16日、2011号機は2014年3月1日、2012号機は2014年7月26日、2013号機は2014年11月28日、2015号機は2014年12月19日、2016号機は2015年9月18日、2017号機（ステルスコーティング付き広視野キャノピー装備）は2015年11月24日、2101号機は2016年1月18日に初飛行した。ちなみに2001-2002号機が技術検証機、2003号機が静強度試験機、2004号機が2002号機改造の技術検証機、2011-2017号機が原型機、2101以降が初期量産機である。塗装は2001-2002号機がブラック単色、2011-2015号機がグレー単色、2016号機以降がF-22戦闘機と同様の翼エッジ部分だけ色の薄いグレー二色となっている。2014年に制式化された。2016年11月1-6日の第11回中国国際航天博覧会／エアショー・チャイナでフライパスを行った。その際、右ウェポンベイ後方にF-22戦闘機類似の円筒形レーダー・リフレクターを装着している。2016年8月に量産初号機が中国空軍へ引き渡されたとされ、12月までに第１期量産型４機が納入された。2017年3月9日に中国国営中央電視台が中国空軍への配備を報じ、9月28日に国防部報道官も就役を発表したが、まだ試験評価中である。11月、初めて演習に参加し、殲撃16型や殲撃10型Ｃと交戦した。詳しい場所や内容は不明。2018年2月9日、中国空軍が実動部隊への配備を発表したが、実際には内陸部甘粛省の鼎新戦術訓練センターにあるテスト部隊しか配備されておらず、真の実戦配備は2020年頃の予定らしい。その後、河北省滄州基地の訓練実験部隊（有事には実戦投入される）にも配備された。5月20日、インド空軍がチベット自治区空域を訓練飛行する殲撃20型を確認し、Su-30MKI戦闘機を離陸させてレーダーで探知したと発表した。訓練飛行中なので、恐らくレーダー・リフレクターを装備していたと思われる。2021年10月26-27日、インターネット上に成都飛機工業集団公司の飛行場で撮影された複座型の画像が出回った。2022年、中国空軍が全戦区で配備を開始したと発表した。2023年現在、防衛白書では配備数を140機と推定している。参考：月刊航空ファン3,’11、11,’16、5,’11、7,’11、10,’14、2,'16、11,’16、1,’17、12,’17、4,’18、月刊JWings3,’11、4,’11、2,’17、1,'22、4,'24、月刊軍事研究2,’15、5,’14、4,’11、5,’11、12,’14、8,’17、10,’17、6,’18、8,’18、12,’18、世界航空機年鑑2018-2019、朝雲

　＜殲撃２０型＞：全遊動式カナード翼付きの無尾翼デルタ翼機で、胴体断面をチャイン形状とし、エッジ・マネージメントやセレーションを施し、全遊動式双垂直尾翼を外側に傾けるなど、ステルス機としての一通りの配慮を行っている。多分RAMも使用していて、翼面などの縁の部分が明るい塗装になっているのはF-22戦闘機などと同じだが、似たような技術を使っているのか、塗装だけ真似たのかは不明である。キャノピーも一体型で、電波反射源となる風防フレームが無い。スネークダクトも採用しているらしいが、胴体側面ウェポンベイがエアインテイク側にちょっと張り出しているだけという説もある。ただ機体が推定全長20.3-22.86m（23-25m説あり）、全幅12.88-13.88m、全高4.45-4.7m、空虚重量17-19.5トン（25トン？）、最大離陸重量32-39トン（F-111戦闘爆撃機並みか、それより大きい）とやたらと大きかったり、カナード翼があったりと、本格的なステルス機というよりは第4.5世代戦闘機のようなパックマン・シグニチャー（観測性低減RO）機といった様相である。胴体下面ウェポンベイ右後方に小さいポッド状のレーダー・リフレクターを装備可能。カナード翼はエアインテイク脇に装備しており、クリップド・デルタ形状で、翼スパン7.1m、上反角付きで、前縁後退角49度。後縁も後退角が付いており、前進角付きの主翼後縁とはエッジ・マネージメントになっていない。カナード翼で機動性能を高めてステルス機同士の近距離格闘戦を想定しているともいわれるが、全遊動式垂直安定板の背が低く、ドッグファイトで大迎え角を取った時に安定性が不十分になる可能性がある。それを補うためか、垂直安定板付け根下面に外側に傾けたベントラル・フィン２枚を装備しているが、RCSを増大させる要因にもなりうる。主翼はクリップド・デルタ翼で、翼面積73-78平方メートル、アスペクト比2.6、25%翼弦後退角39度、前縁後退角49度、後縁前進角12度、付け根前縁にLERXを有する。主翼前縁にほぼフルスパンの空戦フラップ、後縁に２分割のフラッペロンを持つ。エアインテイクはダイバーターレス・スーパーインレットで、最大速度はマッハ1.6-1.8程度が限界とみられる。エンジンはリューリカAL-31F（推力127.5kN）または渦噴10A（推力149kN）またはサリュート99M2（推力137.3kN）双発だが、パワー不足のため、量産型には117SまたはWS-12（渦扇12）ターボファンまたはWS-15（渦扇15）ターボファン（推力155-176.5kN）を搭載するらしい。エアインテイク形状とエンジン出力の関係で、超音速巡航は困難とみられる。排気口は普通の円形をしていて、推力偏向機能は付いていないようである（後付けかもしれない）。機体が大型なので燃料搭載量には余裕があるとみられ、機内燃料搭載量12トン、最大燃料搭載量25トン、戦闘行動半径1850-2000km、航続距離2970海里−6500kmという説もある。コクピット右に引き込み式空中給油受油プローブ装着スペースが用意されている。実用上昇限度は20000m（30000m？）らしい。レーダーは1475型AESA（送受信モジュール1856個）を開発中だが、ステルス任務に必要なパッシブ・センサーやデータリンクをどの程度備えているかは不明。中国のネット報道ではAN/AAQ-37に匹敵する機能を持つセンサーを搭載するとされているが、どうだか。コクピットはタッチパネル式カラーMFD（８×10インチ・203×254mm・1280×1024dpi）２基（を横に並べて１画面で使う）と補助表示装置３基でグラス・コクピット化され、音声によるディスプレイ操作も可能である。HUDはホログラフィ式（HUD無しのHMD式？）。操縦装置は四重デジタル式フライ・バイ・ワイヤ（フライ・バイ・ライト？）、操縦桿はサイドスティック方式である。胴体尾部上面中央にドラッグ・シュート収容部がある。固定武装はGSh-301機関砲（150発）を装備予定らしいが、搭載されていない。胴体下ウェポンベイ（長さ4.5m）に６カ所、胴体両側面ウェポンベイ（長さ3.3m）に１カ所ずつ、両翼下に２カ所ずつのハードポイントを持つらしく、主翼下に左右２本ずつ増槽を吊って飛行している写真がある。胴体下ウェポンベイの扉は両開きで、開く際には左右扉の中央がヒンジで内側に折れ曲がる。胴体下ウェポンベイ内にはPL-12/PL-15/PL-21BVRAAMやLS-6誘導爆弾を６発搭載可能とみられる。エアショー・チャイナ2018でウェポンベイを開いた時にはPL-15空対空ミサイルを４発並列に収容して満杯になっており、６発積む時は互い違いに重ねる感じにするらしい。胴体両側面ウェポンベイにはPL-8/PL-10WVRAAMを１発ずつ搭載でき、パイロンを下方に振り出して兵装全体を外に露出させる方式を取っていて、兵装を機外に出したまま扉を閉められる。乗員１名。参考：月刊航空ファン3,’11、5,’11、7,’11、10,’14、3,’17、4,’18、1,’19、4,’19、月刊JWings3,’11、4,’11、2,’18、2,’19、月刊軍事研究11,’17、5,’14、4,’11、5,’11、12,’14、2,’15、6,’18、朝雲

＜殲撃２０型（試作１−２号機、技術検証機）＞：黒塗りの初号機（機首番号2001）は2010年12月末から地上テストに入り、2011年1月11日に成都黄田堤飛行場で初飛行したが、これはアメリカ国防長官の訪中に無理矢理合わせたらしく、２回目の飛行は4月17日になった。5月5日には脚を収納しての飛行を行っている。2012年にRAMを塗ったらしく機体色がライトグレーになった。黒塗りの２号機（機首番号2002）は2012年5月16日に初飛行し、その後機首番号が2004に変更されている。参考：月刊航空ファン3,’11、5,’11、7,’11、10,’14、3,’17、4,’18、月刊JWings3,’11、4,’11、2,’18、2,’19、月刊軍事研究11,’17、5,’14、4,’11、5,’11、12,’14、2,’15、6,’18、朝雲

＜殲撃２０型（試作３−６号機、原型機）＞：主脚後方で胴体が絞り込まれ、テイルブームが延長され、ベントラル・フィンが大型化されている。キャノピーにフレームが１本追加され、機首下面に電子光学センサー収容部とみられるフェアリングが設けられ（ただしガラス面は無い）、脚扉のファセッティングが省略され、主脚を下げた時に主脚扉が閉まるようになっている（前脚扉は開いたまま）。ストレーキが直線状となり、エアインテイク外側上部のラインが変更され、カナード翼と垂直尾翼の後縁が切り取られた。機首、エアインテイク、垂直尾翼両側面、胴体下面に自己防御用センサーを持ち、機体全体にRAMが塗布された。試作３号機（機首番号2011）は2014年3月11日（1日？）に初飛行した。4月、片方の排気ノズルをステルス型に変更した。対レーダー・ステルスではなく、排気無煙化による光学ステルスまたは排熱抑制による対赤外線ステルスのようで、ノズルが延長されているらしい。試作４号機（機首番号2012）は2014年7月26日に初飛行した。試作５号機（機首番号2014）は2014年11月29日に初飛行した。試作６号機（機首番号2015）は2014年12月19日に初飛行した。参考：月刊軍事研究2,’15、11,’17、月刊JWings2,’17、月刊航空ファン7,’18

＜殲撃２０型（試作７−８号機、改良型原型機）＞：ダイバーターレス・スーパーインレット内側のバルジ部分の形状とキャノピー形状を変更し、射出座席を新型にした。テイルブームにチャフ／フレア・ディスペンサー２組を搭載している。試作７号機（機首番号2016）は2015年9月18日に初飛行した。試作８号機（機首番号2017）は2015年11月24日に初飛行した。試作８号機はキャノピーのメッキを改良してレーダー波の散乱を低減させている。参考：月刊軍事研究11,’17、月刊航空ファン7,’18

＜殲撃２０型（初期量産型）＞：低率初期生産LRIP相当。初号機（機首番号2101）は2016年1月18日に初飛行した。参考：月刊軍事研究11,’17

＜殲撃２０Ａ型＞：エンジンを渦扇10X（推力137kN。渦扇10B？渦扇15？）に換装したタイプ。2017年初頭にロールアウトした機首番号2021がテストに使用されているらしく、排気ノズルの形状が違う。参考：月刊軍事研究11,’17、月刊航空ファン3,’17、1,’19

＜殲撃２０Ｂ型＞：エンジンを渦扇15に換装し、排気ノズルに推力偏向パドルを装着、超音速巡航と失速後機動を可能とする。2025年頃に完成させる予定。参考：月刊航空ファン7,’18

＜殲撃３１型＞：瀋陽飛機工業集団が開発しているステルス戦闘機。中国人民解放軍の公式開発計画では無いとされ、パキスタン空軍が参加しているともいわれる。2012年9月16日にインターネットで画像が公開された際の機首ナンバー31001から殲撃31型（Jianji-31、J-31）と名称が推定され、垂直尾翼に鶻鷲と書かれていることからファルコンイーグル（シロハヤブサ）とも呼ばれたが、実際には310検証機という呼称らしい。形状は横から見るとF-22戦闘機、下から見ると双発のF-35戦闘機で、主翼や尾翼は翼端をカットした菱形翼、エアインテイクはF-35戦闘機類似のダイバーターレス・スーパーインレット。エンジンはRD-93ターボファンを双発にしてF135ターボファン単発並の推力を確保しているとみられ、排気口は通常の円形をしているが、後に推力偏向ノズルを装着するという説もある。双発化で自重がかさむのに推力がF-35戦闘機と同じでは不十分なので、量産型ではWS-13A／渦噴13A（WS-10系統。推力9.5トン級）に積み換えるらしい。前輪がダブルタイプのため、艦上機に発展するかもしれない。風防とキャノピーの間にフレームがあり、後方ヒンジでキャノピーだけ開く。PL-12空対空ミサイルを２発収容できるウェポンベイ（ペイロード5000ポンド・2.27トン）が胴体下面に左右２つ並んでいる。全長16.9m（15.47m？）、全幅11.5m（10.7m？）、全高4.8m（4.57m？）、最大離陸重量25トン（27.215トン？）。エンジンはクリモフRD-93ターボファン（ミリタリー推力5.037トン、A/B時推力8.618トン）双発、最大速度マッハ1.8、上昇限度16500m（18000m？）、戦闘行動半径1250km。ハードポイントは機内４カ所・主翼下８ヵ所（６カ所？）、兵装ペイロードは機内２トン・機外６トン。乗員１名。2012年10月31日に初飛行した。2014年11月11-16日の珠海航空ショー（エアショー・チャイナ）でフライトディスプレイを行い、FC-31（Fighter China-31）という名称の輸出向け戦闘機であることが明らかにされた。ただ西側諸国向けはF-35戦闘機で固められ、MiG-21/-23／殲撃７／殲撃８の後継としては高額高性能に過ぎ、輸出先はインドのFGFAに対抗する必要があるパキスタンくらいしか思いつかないが、アルゼンチンも興味を示しているらしい。屋内展示されたモックアップでは主尾翼の形状が変更されており、垂直尾翼はF-35戦闘機の後上部をカットしたような形状になっている。また、キャノピーが一体型後ろ開きとなり、機首下面にEOTSのコピーのようなセンサーフェアリングが付いていた。2014年11月13日、パキスタン空軍が30-40機の導入を表明した。2016年12月23日、試作２号機が初飛行した。機体を全長で0.508m・重量で３トン大型化してペイロードを増大し、機体外側のモールドラインを変更してRCSを減少させ、垂直尾翼を後退角の大きいものに変更、レーダーを更新すると共に電子光学照準装置を追加するなどアビオニクスを改良しているらしい。艦上機として使うための構造強化なども加えてあるという説もある。全長17.3m、全幅11.5m、全高4.8m、最大離陸重量28トン。翼面積40平方メートル。エンジンはクリモフ製RD-93（推力84.5kN）双発、最大速度マッハ1.8、戦闘航続距離670海里。乗員１名。2019年に量産初号機が初飛行する予定だったが、実際には2020年に初期量産型が初飛行したとされる。2022年までにIOC、2022年にFOCを獲得する予定。折り畳み主翼、強化型降着装置、カタパルト・ランチバー、着艦フックを備え、エンジンを推力偏向式渦扇19／渦扇21に換装した艦上機型（名称は殲撃35型らしい）も開発中で、2021年10月22日に初飛行したという情報が流れたが、これは普通の殲撃31型の誤認だった。参考：月刊航空ファン1,’15、2,’15、10,’16、4,’18、8,'22、世界航空機年鑑2018-2019、月刊軍事研究2,’15、5,’14、4,’13、2,’13、5,’15、3,’17、10,’17、月刊JWings9,'24、11,’14、12,’12、1,’13、1,’15、2,’15、2,'16、月刊世界の艦船2,’22、朝雲

＜宣言＞：スペイン語圏の中南米諸国でよく行われるため、プロヌンシアミエントというスペイン語も使われる。正規軍の将校らが政権に対して退陣などの要求を宣言するものである。参考：月刊軍事研究8,’95

＜漸減口径砲＞：スクイーズド・ボアを参照。

＜先遣部隊（連合艦隊、太平洋戦争第一段作戦第一期兵力部署）＞：連合艦隊隷下で、第６艦隊司令長官清水光美中将が指揮する。香取、第１潜水部隊（伊９、伊15、伊17、伊25、靖国丸）、第２潜水部隊（伊７、伊１、伊２、伊３、伊４、伊５、伊６、さんとす丸）、第３潜水部隊（伊８、伊74、伊75、伊68、伊69、伊70、伊71、伊72、伊73、大鯨）、特別攻撃隊（伊16、伊18、伊20、伊22、伊24）、要地偵察隊（伊10、伊26）、補給隊（補給艦船６隻）からなる。参考：帝国海軍太平洋作戦史�T

＜潜航＞：潜水艦が潜入して海中を航行すること。メイン・バラスト・タンクとトリム・タンクで潜水艦にかかる重力と浮力が釣り合う中正浮力状態とし、ピッチは潜舵と横舵、ヨーは縦舵で制御する。潜望鏡が海面上に出せる深さ（潜望鏡深度）を潜航する露頂状態と、それより深い全没深度を潜航する全没状態がある。参考：潜水艦気質よもやま物語、続潜水艦気質よもやま物語、月刊世界の艦船10,’16

＜全高＞：Height overall。航空機ではｈと略す。参考：月刊JWings10,’09別冊付録、世界航空機年鑑2018-2019

　＜全高（回転翼機）＞：機体を地上に置いた時の最大高。ローターは含まないが、普通はローターヘッド頂部が最大高になる。ローターヘッド頂部にレドームが載っていて、そこが一番高い場合は、レドームの最高点が最大高になる。参考：月刊JWings9,’02、航空用語事典増補改訂版、世界航空機年鑑2018-2019

　＜全高（固定翼機）＞：機体を地上に置いた時の最大高。格納時や整備時に必要な値なので、地上で測るのが基本らしく、水平姿勢の値は水平姿勢と付記する。普通は垂直尾翼頂部が一番高くなるが、アンテナや衝突防止灯が付いている場合にはこれを含めない値を測る。ただしアンテナマストやレドームなど大型のものは含む。重量によってサスペンションが沈むので、自重か最大離陸重量かで微妙に値が異なる。尾輪式の機体では、地上三点姿勢でプロペラが一番高くなることがあるが、その場合はプロペラ頂上までが全高となる。参考：航空用語事典増補改訂版、月刊JWings9,’02、世界航空機年鑑2018-2019

　＜全高（車両）＞：可倒式・脱着式アンテナは含まない。参考：クルマのすべてがわかる事典

　＜全高（ティルトローター）＞：飛行姿勢時の全高（ローター含まない）と発着時にエンジンナセルを垂直にした時の全高を併記する。V-22輸送機は格納状態で主翼を畳むので、この時の全高も併記している。参考：月刊JWings9,’02

＜殲轟７型シリーズ＞：中国軍戦闘爆撃機、別名フライング・レオパルド（飛豹）またはJH-7（Jian Hong 7）。轟炸５型と強撃５型の後継となる対艦ミサイル運用全天候複座戦闘爆撃機として海軍航空隊が要求を出し、空軍も加わって1970年代後半から開発されたが、タンデム複座の海軍に対して空軍は並列複座に拘り一旦採用中止にする（代わりにSu-30MKKを導入した）など混乱があり、初号機は1985年にロールアウトしたが、空対艦ミサイルの完成を待って初飛行は1988年12月14日となり、海軍航空隊への配備開始は1998年とかなり遅れた。2008年11月の中国エアショー2008で空軍型が登場し、最終的に海空軍５個飛行隊ずつに配備されている。生産は西安飛行機工業。参考：月刊航空ファン6,’10、11,’16、月刊JWings12,’03、5,’04、9,’12、中国／台湾海軍ハンドブック改訂第２版、月刊軍事研究4,’11、世界航空機年鑑2018-2019

＜殲轟７型＞：機首に232H型モノパルス式多用途レーダーを装備し、エアインテイクが胴体両側面にある。主翼は肩翼配置、後退角47.5度、下反角７度で、前縁にドッグトゥース、その上部に境界層板があり、後縁内翼部にフラップ、外翼部にエルロンを持つ。垂直尾翼は１枚で後退角45度、水平尾翼は後退角55度の全遊動式。デザイン的にはジャギュア攻撃機、アルファ・ジェット攻撃機、F-1支援戦闘機に似ている。燃料タンクはブラダー式10カ所。降着装置は前輪式で、脚支柱に冷却装置が内蔵されており、前輪はダブルタイヤ560×210、主輪はダブルタイヤ800×210。緊急脱出装置はHTY-2Cゼロゼロ射出座席。計器は前席がHK-13-03Gディスプレイ（HUD含む）とモノクロ多機能ディスプレイ２基、後席がカラー多機能ディスプレイ１基で、HMDも用意されている。自衛装置は統合自衛コンピュータ、RKL-800A総合電子対抗機（AAP、KJ-8602/RW-1045レーダー警戒機などからなる）、960-2ノイズジャマー（後にKG-8605ジャマー）、KG-8601応答式電子デコイ、KZ-8608電子偵察器、941-4Gチャフ・フレアディスペンサー２基。アビオニクスはKF-1三軸自動操縦システム、8415型エアデータコンピュータ、HZX-1B姿勢指示器、安全高度警報システムなど。油圧は主系統、補助系統、応急系統の三重システム。航法装置はHG-563GB型INS/GPS、210型ドップラーシステム、XS-6Aシグナル受信機、HGY-10B型IFF/ATC、マイクロ波着陸システム、WL-7ラジオコンパス、265A型電波高度計、XS-6A信号受信機、計器着陸装置。通信装置は170型HF単方向短波無線機、651型VHF/UHF超短波無線機、483DデジタルTACAN、JT型機内通話機、605B型敵味方識別装置。主電源は交流式の三相四線15kW定速パルス油圧発電機２台（115/200V400Hz三相交流、115V400Hz単相交流）、応急電源はDBL-500A型単相コンバータ（115V400Hz単相交流）と20GNG-40型NiCd蓄電池（24V直流）。全長22.325m／21.03m（プローブ無し）、全幅12.705m、全高6.575m、最大離陸重量28.475トン。翼面積50平方メートル。エンジンはロールスロイス製スペイMk202（ドライ推力5.341トン、A/B時8.928トン）双発、最大速度マッハ1.7（高度12200m）、実用上昇限度15600m、燃料容量6000リットル、戦闘行動半径1650km、フェリー航続距離3650-4000km。固定武装は23mm連装機関砲23�V型（300発）。ハードポイントは両翼端を含め主翼４カ所と胴体下面中心線１カ所。外部兵装搭載量6.5トン（7.5トン？）。各種爆弾、57mmロケットポッドHF-7C/D、90mmロケットポッドHF-9、130mmロケットポッドHF-14、PL-5B/C/E空対空ミサイル、PL-9/9C空対空ミサイル（PL-8？）、YJ-91ミサイル、YJ-81K/鷹撃２型（C-802K）/YJ-82K/YJ-83K/Kh-41空対艦ミサイル４発などを搭載できる。増槽は1400リットル３本か、1400リットル１本＋760リットル２本。乗員２名。エンジンを50基しか輸入できず、18機のみの生産に止まった。参考：月刊航空ファン6,’10、月刊JWings12,’06、12,’03、5,’04、3,’09、月刊軍事研究4,’05、世界航空機年鑑2018-2019

＜殲轟７Ａ＞：改良型。機体の一部に複合材を使用して0.4トンほど軽量化し、主翼境界層板７枚を廃止、主翼下ハードポイントを２カ所増やして６カ所（計11カ所？）とし、ベントラル・フィンを左右２枚に変更、レーダーをJL10A神鷹（シェンウィン）パルス・ドップラー式フェイズド・アレイ射撃指揮レーダー（使用周波数Ｊバンド。ルックアップ捜索半径80km、同追尾半径40km、ルックダウン捜索半径54km、同追尾半径32km、空中目標４機同時追尾）に換装し、エンジンをライセンス生産版の渦噴９（WS9）ターボファンに換えている。PL-12空対空ミサイル、FILAT多機能赤外線／レーザー捜索ポッド、ヘルメット・マウンテッド・サイトの運用能力も持つ。飛翔制御は完全デジタル・フライ・バイ・ワイヤで、藍天前方低高度地形捜索システムを搭載しての地形追随飛行が行える。戦闘行動半径900km。外部搭載量6.5トン。海軍航空兵に100機超、空軍に60機の計170機前後（海軍航空兵と空軍に96機ずつ計192機？）が配備された。2011年10月14日、2014年6月7日、2016年10月22日に墜落事故を起こしている。参考：月刊航空ファン6,’10、3,’17、2,'18、月刊軍事研究11,’05、月刊軍事研究4,’11

＜殲轟７Ａ�U型＞：

＜殲轟７Ｂ＞：改良型JH7-250。ステルス性を考慮してエアインテイクをダイバーターレス・スーパーインレットとし、推力偏向パドルを追加したらしい。2009年9月末に初飛行したとされる。2018年1月に画像がインターネット上に流れたが、殲撃16型の量産を進めており、これはフェイクらしい。参考：月刊航空ファン6,’10、4,’18

＜殲轟７型・海外シリーズ＞

　＜ＦＢＣ−１シリーズ＞：FBC-1シリーズを参照。

＜潜行作業機＞：掘進車を参照。

＜善行章（アメリカ陸軍）＞：アメリカ陸軍の徽章Good Conduct Medal（GCM）。アメリカ陸軍に勤務した下士官・兵に３年ごとに授与される。いわゆる年功章である。参考：月刊コンバットマガジン7,’06

＜善行章（日本海軍）＞：日本海軍の記章。参考：海軍よもやま物語、帝国陸海軍事典

＜普通善行章＞：幅1cmくらいの赤い山型で、幅0.5cmくらいの黒い縁取りがある。３年間従軍するごとに１本授与され、最大５本もらえる。家族の病気や死去で帰省（看護休暇）したり、戦闘以外の傷病（第２種傷病）で入院したりすると、その分授与される時期が遅れる。機密漏洩、逃亡、上官侮辱などで剥奪される。参考：海軍よもやま物語、帝国陸海軍事典、大日本帝国陸海軍軍装と装備

＜特別善行章＞：特別に褒賞として授与されるもの。山型の中心に黄金色の金属製桜花が付く。参考：海軍よもやま物語

＜潜航深度＞：水中にある潜水艦の深度で、海面から潜水艦底部までの距離を示す。水上船の底に擦らないようにするには、潜航深度50m以下を航行する必要がある。指示する際に「深度○○」というと「針路○○」と間違えるので、「深さ○○」という。ちなみに単位は海自ではメートルだが、欧米ではフィートを使う。「上げ舵／下げ舵○○度」と舵角の細かい指示を追加することもある。参考：月刊世界の艦船8,’82増刊、9,’12増刊

＜潜航水雷艇＞：潜水艦（日本海軍）を参照。

＜潜航操縦訓練装置＞：海上自衛隊の潜水艦用シミュレータ。装置は油圧シリンダーで支えられており、操縦や注排水に伴う傾斜を再現することが可能。タイプに合わせてはるしお型潜水艦潜航操縦訓練装置、おやしお型潜水艦潜航操縦訓練装置、そうりゅう型潜水艦潜航操縦訓練装置が用意されている。潜水艦教育訓練隊に配備された。参考：月刊世界の艦船9,’12増刊

＜閃光発音筒＞：自衛隊の火工品。豊和工業製。参考：月刊軍事研究10,’08

＜閃光発音筒１形＞：自衛隊の火工品。京三製作所製。参考：月刊軍事研究5,’10

＜千光丸＞：日本海軍特設艦船。昭和16年12月8日の太平洋戦争開戦時は第３艦隊補給部隊所属だった。参考：帝国海軍太平洋作戦史�T

＜潜小型＞：小型を参照。

＜全国物流便＞：陸上自衛隊の隊内物流ネットワーク。中央輸送隊が運行管理を担当し、各方面隊補給処などの物流拠点と全国の駐屯地を結んで定期的（臨時の特別便もある）に主要装備品や生活用品といった物資を輸送するものである。中央輸送隊自体は輸送力が無く、各部隊に対して輸送に関する命令を出す権限も無いが、全国物流便の月間運行計画を各方面隊に通知することで、各方面総監部が隷下輸送部隊に物資の輸送を命令して実行する。輸送力としては輸送部隊の輸送トラックを使い、足らない場合は民間輸送力を活用している。2019年4月、三自衛隊の物資陸上輸送を効率的に行うと共に、有事に民間輸送力が使えなくなる事態にも備えるため、海自・空自の貨物陸上輸送を開始した。9月4-5日、西部方面後方支援隊西部方面輸送隊トラックが海自弾薬を積み、佐世保弾薬整備補給所から呉弾薬整備補給所に輸送した。12月、海自徳島基地から木更津基地に航空機用部品を輸送した。2020年4月、民間輸送力として、トラック輸送に加え、JR貨物によるコンテナ輸送を開始した。参考：朝雲

＜センサー校正器＞：自衛隊の機器。横川電機製。参考：月刊軍事研究3,’14

＜センサー信管兵器＞：CBU-97/BシリーズまたはCBU-105/Bシリーズを参照。

＜センサーフュージョン技術＞：各種センサーから得られた大量の情報をそのまま人間に伝えると処理しきれないので、自動的に分析統合して運用する人間に分かり易く伝える技術のこと。参考：月刊JWings5,’11、月刊航空情報8,’12

＜銭三強＞：22（測量艦）を参照。

＜全自衛隊美術展＞：防衛省が主催する美術展で、文化・教養活動の振興とそれによる生活の充実を目的に開催されており、絵画、写真、書道の３部門がある。応募資格は自衛官を含む防衛省職員、その家族、職員OB、その家族で、外部専門家が審査を行い、最高賞の内閣総理大臣賞や、特選（家族の部は特別賞）、入選を決定する。1958年度に第１回が開催され、当初は毎年１回だったが、第16回から隔年開催となった。2014年度で第36回を迎えている。参考：MAMOR vol.105

＜戦時海軍砲撃条約＞：戦時海軍力を以てする砲撃に関する条約。1907年10月18日に署名され、1910年1月26日に発効した。日本では1912年（明治45年）2月11日に発効した。防守されていない港、都市、村落、住宅、建物は砲撃禁止。また、これらの地域の港に自動触発海底水雷を敷設してあることだけで砲撃の理由にすることはできない。砲撃禁止地域・建造物には、軍事上の工作物、陸海軍建設物、軍事貯蔵所、艦隊若しくは軍用の工場・設備、港内の艦隊を含まない。指揮官は、警告を与えて相当期間の後にこれらを砲撃で破壊することができる。防守されていない港、都市、村落、住宅、建物に対し、付近の海軍が目下必要な食料や軍需品の徴発を正式の催促によって命じたにも関わらず、これを拒んだ場合、通告した後に砲撃を加えることができる。この場合、徴発は地方の資力に相応のもので、海軍指揮官の許可のもとに行われ、即金で報酬を支払うか、領収書を発行するものとする。取り立て金の拒否を理由として砲撃してはならない。砲撃の際には、公共の建物を保護する。また、砲撃を受ける側はこれらの建物に、四角い板に対角線を引いて上を黒・下を白で塗った標識を表示しておく。軍事上やむを得ない場合を除き、砲撃に際しては事前通告を行う。都市などでの略奪は禁止。参考：軍縮条約・資料集第２版

＜戦時交換船＞：戦時に交戦国同士が外交官、民間人、捕虜などの交換輸送を行うための船舶。民間船を使用し、安導券が付与され、戦時国際法に基づいて安全が保障される。太平洋戦争では日米間で２回運航され、日本は第２次に帝亞丸、アメリカは第１次・第２次ともグリップスホルムを使用した。参考：月刊世界の艦船9,’16

＜戦時広報局＞：OWIを参照。

＜戦時国債＞：War bond。戦費に充てるため発行する国債のこと。戦時には食料や日用品が統制下に置かれ、贅沢もできないので、収入の使い道が無くなってしまうが、これで国債を買ってもらって戦費にする。参考：比島決戦

＜戦時国際法＞：戦争は国家間紛争解決のためのやむを得ない手段なので、してしまうのは仕方がないが、やり方についてはある程度制限しようということで定められた国際法。帝国主義・植民地獲得戦争の中で発達し、第１次大戦まで続いた考え方である。参考：月刊軍事研究2,’05

＜戦時宰相論＞：中野正剛氏による東条独裁政権批判論。東条首相から内務省には掲載された朝日新聞朝刊を発禁・差し押さえ処分にするよう指示が出されたが、建設的意見であるとして内務省がサボタージュをかけ、朝刊の配達と販売が終わったのを見計らって1100に漸く各府県特別高等警察へと処分の実施を命じた。参考：月刊丸3,’14

＜戦時船舶管理令＞：日本政府が昭和17年3月に公布した法律。総トン数100トン以上の汽船と150トン以上の機帆船を国家管理下に置くもので、運用は船舶運営会が担当した。参考：輸送船入門

＜戦時増援演習＞：RSOIを参照。

＜全自動機構＞：自動機構を参照。

＜戦時特別給与品＞：戦給品を参照。

＜戦時標語（日本）＞：昭和17年11月、大東亜戦争１周年で大政翼賛会、読売新聞社、東京日々新聞社、朝日新聞社が募集した。入選したのは「さあ２年目も勝ち抜くぞ」「たった今、笑って散った友もある」「ここも戦場だ」「頑張れ、敵も必死だ」「すべてを戦争へ」「その手をゆるめば戦力にぶる」「今日も決戦明日も決戦」「理屈言う間に一仕事」「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」「欲しがりません勝つまでは」の10作品である。昭和18年2月、「進め一億火の玉だ」が登場。3月10日、陸軍省は神武天皇が東征した際に詠んだ歌から「撃ちてし止まん」を決戦標語と定め、浪花節や紙芝居、落語、漫才、漫画にまで登場させた。参考：戦時用語の基礎知識

＜戦時標準設計型青函連絡船＞：Ｗ型戦時標準船を参照。

＜戦時標準設計船＞：戦時標準船ともいう。日本の略称は戦標船、アメリカの通称はUgly Duckling（醜いアヒルの子）。戦時における人員や物資の海上輸送量増大や、戦闘による輸送船舶の損耗に対応するため、戦争中でも短期間に大量生産できるよう、船体設計を標準化・簡易化し、安価に作れるようにした輸送船舶のこと。第１次・第２次大戦で潜水艦などにより大量の商船を沈められたイギリス、イギリスの支援にあたったアメリカ、太平洋戦争で海上交通破壊作戦を喰らった日本が建造した。第１次大戦時は大型造船所を突貫工事で作って生産数を稼ぎ、第２次大戦時はブロック建造方式と電気溶接を採用して工期短縮を図っている。参考：戦時標準船入門

＜戦時標準設計船（アメリカ）＞：第１次大戦でイギリスに供給するため、総トン数5000トン級と8000トン級のイギリス仕様貨物船を2500隻800万トン建造した。電気溶接やブロック建造はまだ開発されていない時代なので、構造の一部を簡易化した程度の設計である。世界大恐慌を受けて1936年に制定された商船法に基づき、1937年にアメリカ運輸省外郭団体のアメリカ海事委員会が各種商船の規格標準化を決定し、客船はP1からP4、貨物船はC1からC4、貨客船はC1PからC4P、油槽船はT1からT3という規格化船型仕様を決め、この規格で建造された商船は戦時に海軍の補助艦艇として運用すると定められた。第２次大戦勃発後もこの規格で建造を続け、一部を徴用して護衛空母や給油艦などに改造したが、これらは戦時急造を主眼とした設計を取り入れたものではなく、戦時標準設計船ではない。第２次大戦でイギリス商船がＵボートにより大損害を受けたため、1940年9月にイギリスから戦時商船建造使節団が到着し、アメリカ政府や造船業界と協議した結果、イギリス戦時標準設計船エンパイア型（の前型であるオーシャン型）をアメリカ商船規格に改設計したアメリカ版戦時標準設計船を量産することになった。まだ中立国だったので、イギリスと共同開発した輸送船を世界情勢に鑑みて量産し、イギリスにも貸し出すという立場を取っている。設計と量産体制が整うまでは第１次大戦時に作った簡易設計貨物船を係船施設から引っ張り出して貸与した。アメリカ海事委員会の中に編成された戦時委員会で戦時標準設計船を制定し、1940年12月には詳細設計を完了、1941年1月31日に大統領が建造を正式発表し、200隻140万総トンの生産計画を立て、造船所の増設も開始された。リバティー型（EC-2型）やヴィクトリー型（VC型）があり、1941-45年に5171隻3850万トンが生産された。うちリバティー型は2712隻1944万トン、ヴィクトリー型は438隻333万トンである。参考：戦時標準船入門、護衛空母入門、月刊世界の艦船10,’22

＜戦時標準設計船（イギリス）＞：1938年6月、世界情勢の悪化を受け、海運会社、造船会社、船舶修繕会社の合同組織である海運協議会を設立した。第２次大戦勃発時には商船4000隻2100万総トンを保有し、年間90万総トンの造船能力を有していて、イギリス海軍戦力もドイツ海軍を圧倒できると考えており、海上交通破壊作戦に十分耐えられる船腹量と造船能力を確保していると判断していた。しかし開戦後１年で310万総トンを失い、月ごとの損失も右肩上がりだったため、オーシャン型標準設計船の建造を開始し、1940年9月に海運協議会が戦時商船建造使節団をアメリカに派遣。アメリカにもオーシャン型を60隻作ってもらうことにし、リバティー型戦時標準船の建造も依頼した。アメリカから旧式貨物船数十隻の供与も受けている。２年目には480万総トンも沈められたため、オーシャン型をベースにしたエンパイア型戦時標準設計船の量産を開始し、カナダ・アメリカへの建造依頼を実施することとした。戦略物資の輸送は国で建造したエンパイア型で行い、民需輸送は民間海運会社の貨物船で行っているが、この民需用貨物船もエンパイア型をベースに設計して建造期間短縮を図っている。エンパイア型を官民合わせて1042隻731万総トン生産した。また、アメリカとカナダに120隻82万総トンを発注している。戦闘による損失は185隻150万総トンだった。参考：戦時標準船入門

＜戦時標準設計船（日本）＞：世界大恐慌による造船不況を受け、日本政府は昭和7年に第一次船舶改善助成施設、昭和10年に第二次・第三次船舶改善助成施設という制度を実施し、優秀な海運船舶の生産を援助。更に昭和12年には優秀船舶建造助成施設を打ち出し、これによる資金援助で建造した船舶を有事に徴用できるようにした。この頃になると世界経済は不況の影響を漸く抜け出し、海運船舶の需要が増加してきたため、昭和12年6月に日本政府は船舶改善協会を設立し、各民間造船所で建造する海運船舶の設計を標準化して生産の効率化を図ることになった。取り敢えずＡ型、Ｂ型、Ｃ型、Ｄ型、Ｅ型、Ｆ型と６種類の貨物船を設計したが、当初はこの設計に基づいて建造させる強制力は無く、昭和14年4月から各社でこの設計による建造計画が散見される程度だった。日華事変長期化と国際情勢悪化に伴い、昭和15年2月に海運統制令及び造船統制令が施行され、昭和16年から船舶改善協会による貨物船設計案に鉱石運搬船と油槽船が追加され、建造に強制力も付与されて戦時標準設計船が誕生した。貨物船はＡ型、Ｂ型、Ｃ型、Ｄ型、Ｅ型、Ｆ型、鉱石運搬船はＫ型、油槽船TL型、TM型、TS型という船型に分けられ、鋼材や主機・補機が統一されており、建造の際の設計審査承認の手間を省いて国による建造許可制をとり、造船所に対しても建造船種を指定して効率化を図っている。ただし、戦時量産を考慮して設計も一部を単純化してはいたが、舷弧を直線的にしたり、煙突を簡素化したりするくらいで徹底したものではなく、多少建造期間の短い（実際には進水まで半年くらいかかった）量産向きな船舶程度だった。太平洋戦争開戦前の予想では輸送船舶の損失が最大年間80-100万トン程度で、日本の勢力範囲が拡大するにつれ被害は減る筈であり、既存の造船所が頑張れば損害を穴埋めできる予定だったため、開戦後もこの設計でのスローペースな生産が暫く続いている。しかし民間造船所でも海軍艦艇を作っていたため、輸送船舶の生産量が圧迫されてしまい思ったほど伸びず、開戦後に新規民間造船所の建造（Ａ型用１箇所、Ｅ型用４箇所、日本海重工業富山造船所）に入ったものの稼働には時間がかかる状態（実際に船舶建造が始まったのは昭和18年半ば以降）で、昭和17年5月に計画造船確保に関する件を閣議決定して戦時標準船の建造を促進すると共に、ソロモン周辺で輸送船舶の被害が急増した昭和17年後半になって海軍艦政本部が改四線表計画を指示。建造中の通常商船の工事簡素化、未起工通常商船の戦時標準船への切り替え、建造中及び起工予定の戦時標準船の更なる設計簡素化（曲面加工廃止、デリックブーム・煙突単純化など）・製造期間短縮を行うことにより、昭和17年度の船舶建造目標数を45万総トンから47.5万総トン、昭和18年度を60万総トンから75万総トン、昭和19年度を80万総トンから95万総トンに増やした。また、ミッドウェイ海戦の戦訓により、可燃性内装を廃止することになり、木甲板や布地内装を全廃して鋼板に耐火・防錆塗料仕上げのみとしたため、若干工事が単純化している。しかし実際には戦時標準船の工数をあまり減らせず、建造に少なくとも５ヶ月強かかり、昭和17年度は42.5万総トンしか生産できなかった。最低限19万人が必要とされた工員も不足がちで、囚人、捕虜、学徒をかき集めている。開戦前から不足していた長距離油槽船は、1TL型８隻46000総トンでは全く足りないため、既存の貨物船45隻101000総トンと戦時標準貨物船21隻79000総トンを油槽船に改造して昭和18年初めまでに計226000総トンを確保した。昭和17年11月、船舶建造数を大幅に増大させるため、第２次戦時標準船の設計を開始。船齢短縮と低速に目を瞑って徹底的な簡略化を図り建造期間を短縮、積載量と航続距離は極力増やすことにした。ブロック建造方式と電気溶接を全面的に取り入れ、シーア、キャンバー、曲面加工を廃止、附属装置や機器も可能な限り簡素化し、運航する民間側の反対を押し切って二重底も省略している。内装も鉄板に錆止めを塗っただけ、照明は裸電球とした。船種も貨物船2A型、2D型、2E型、油槽船2TL型、2TM型に絞り込んだが、南方から日本に石油を運ぶための油槽船が潜水艦により沈められていったため、2A型や2E型の一部を油槽船に改造（計32隻221000総トン）することにし、昭和18年5月に設計を終えた。建造中の前設計の戦時標準船（第１次戦時標準船。区別のため船種の前に１を付けた）も更に簡素化して船台を空け、極力早期に第２次戦時標準船への建造移行を図ると決定。また、設計や建造の担当も海軍艦政本部に統一（第１次は海軍艦政本部、海軍省兵備局、造船連絡会、海運協会が共同で担当）している。これに基づき、海軍艦政本部は改六線表を策定し、昭和18年度の船舶建造目標数を120万総トン、昭和19年度を180万総トンに増やした。ただ建造期間の短縮を重視しすぎたために水密検査まで省略してしまい、電気溶接に工作不良が多発したことや工員自体の不足に熟練工不足（最低限必要な工員数32万人に対して最大でも昭和19年9月の26万人。構成は男性工員72%、学徒12.9%、女性5.2%、囚人4%、社外工2.6%、捕虜1.8%、中国・朝鮮人1.5%）もあって竣工後に長期の手直し作業を要する事態が多発している。2E/2ET型は昭和18年6月、それ以外は10月頃から建造され、大型船建造期間３ヶ月前後、2A型貨物船最短建造記録55日（進水まで25日）、Ｅ型小型船建造期間１ヶ月前後といった短期間竣工を達成した。特殊用途の戦時標準船として、青函連絡船（Ｗ型）、博釜連絡船（Ｈ型）、被曳航油槽船（TE型）、コンクリート貨物船（EC型）、戦時標準設計木造機帆船も建造・計画されている。海軍艦政本部では昭和18年12月に改七線表を決定し、戦訓から水密区画を増やし速力を増大させた第３次戦時標準船（3A型貨物船、3B型貨物船、3D型貨物船、3E型貨物船、3TL型油槽船、3ET型油槽船）の製作も決定、建造目標数を昭和19年度190万総トン、昭和20年度180万総トンとした。その後、駆逐艦用蒸気タービンを積んで潜水艦を振り切る（当然ながら航空機を振り切るのは無理）第４次戦時標準船も計画されたが、4ET型油槽船の試作型が１隻竣工したところで終戦を迎えている。第１次戦時標準船は各型計185隻720530総トン、第２次戦時標準船は各型計819隻1846080総トン、第３次戦時標準船は各型計35隻が竣工した。総計では1340隻338万総トンを生産している。太平洋戦争終結時に残っていた民間船舶80万総トンのうち656000総トンが第２次戦時標準船だったが、大部分は小型船舶で、40隻くらい大型船があったものの二重底が無いので海外からの復員・引揚船としては使えず、国内沿岸航路で使用された。昭和24年から残存する2A型貨物船・2TL型輸送船などにAB級・BV級国際船級資格を取得させるための大規模な改造が運輸省の資金提供で開始され、完成次第国際航路へと投入されている。昭和51年に日本郵船の永任丸が解体された。参考：戦時標準船入門

＜戦時標準設計木造機帆船＞：日本の戦時標準設計船。昭和17年5月に閣議決定された計画造船確保に関する件で建造が決定された。木造船体にマスト２本と焼玉機関やディーゼルを載せ、前部マストに船首縦帆（ガフ）と主帆（メインセール）、後部マストに船尾縦帆（スパンカー）を装着する。船型は船首尾楼型で、凹甲板の下にある船体内が船倉となっており、船尾楼に上構、艦橋、煙突がある。昭和17年6月に70トン、100トン、150トン、7月に200トン、250トン、300トンの各クラスの設計が終わり、8月から各地の造船所に建造命令が出され、主要海運会社には新造船所の創設も命じられた。昭和18年後半からは建造期間短縮と資材節約を図った第２次戦時標準船型（100トン、150トン、250トン）の建造に移り、国内や海外で沿岸輸送や短距離島嶼間輸送に使用された。建造予定数3919隻600400総トンに対して竣工数2701隻416000総トンで、517隻79000総トンが進水済み、425隻65000総トンが起工済み、276隻43000総トンが未起工のまま終戦を迎えている。木材の乾燥に時間を取られ、乾燥不十分で修復が必要な事も多く、1200隻が未完成となってしまった。マレーやビルマで現地生産されたものもあるが、数量などは不明である。近海だけでなく海上輸送大隊（最大で20個が編成された）に配備されて東南アジア、ニューギニア、ソロモン方面にも駆り出され、ビルマ方面では後方輸送の主力を担った。装甲板を張り、武装化して戦闘にも投入されている。昭和19年5月、日本海軍が150トン級を100隻（予備を含めると200隻）揃えてタラカンからマニラまで石油をドラム缶で毎月7000キロリットル運ぶ作戦を立案。最終的に300隻を徴用し、9月3日に最初の10隻が門司を出港したが、沖縄西で６隻が機関不調により引き返し、10月23日にマニラに入港して２隻を加え、11月13日に６隻でマニラを出港したが直後に艦上機の空襲を受けて乗員計106人ごと全滅、作戦は中止された。昭和19年9月に油槽船型（150トン、250トン）が設計されているが、実際に建造はされていない。小型鈍足の船舶であり、護衛艦も付けられず、航空機や魚雷艇などにより相当の被害が出ていると思われるが、詳細は記録が無く不明。参考：戦時標準船入門、比島決戦

＜戦時捕虜章（アメリカ陸軍）＞：アメリカ陸軍の徽章Prisoner Of War Medal（POWM）。戦時に捕虜になったものに授与される。参考：月刊コンバットマガジン7,’06

＜戦車＞：英語ではタンク（tank）、ドイツ語ではパンツァー（Panzer）、フランス語ではChars de combat、中国語では担克。日本で戦車という訳語ができたのは大正11年頃で、それまではタンクと呼んでいた。第１次大戦時、機関銃と砲兵射撃と鉄条網に阻まれて塹壕から出られない歩兵を支援し、敵陣を突破する兵器として誕生したもので、イギリスのチャーチル海軍大臣が、イギリス帝国防衛委員会E.W.スウィントン中佐による陸上戦艦のアイディアを支援して開発させたのが最初である。塹壕と鉄条網を乗り越える履帯、敵火力を制圧する砲及び機銃を搭載したMk.�T菱形戦車が世界初の戦車で、後に機銃弾に対抗できる装甲を付けた。1916年9月15日のソンム会戦が初実戦投入である。次いでフランスがシュナイダー戦車を開発し、ドイツ軍もA7V戦車を生み出した。この時は、履帯、装甲、武装（機銃含む）が戦車の３要件だった。戦車は戦費の節約にも貢献しており、1917年のフランドル会戦では３週間の戦闘で砲弾425万発・２億1250万円を消費したのに対し、同年のカンブレー会戦では戦車378両と砲弾29万3000発の計3355万円で済み、戦果は後者の方が高かった。フランスがルノーFTを生み出した後は履帯、装甲、全周旋回銃砲塔が３要件となり、第２次大戦開戦前後から履帯、装甲、全周旋回砲塔が３要件となっている。戦車の３要素は打撃力、防御力、機動力で、もう１つ加えるなら衝撃効力。大量破壊火力下やNBC脅威下でも戦場機動力及び機動打撃力を発揮できるほぼ唯一の兵器である。弱点は、地域制圧能力に欠けること、死角が大きいこと（前方9m、側方12m、後方は砲塔のハッチから顔を出しても10-15m。主砲の死角は俯角限度にもよるが20mくらい）で、歩兵が戦車に追随してそれを補う必要がある。ハッチを閉めると上方も死角になり、ビルの上層階から信管をアクティブにした対戦車ロケットの弾頭や大きめの迫撃砲弾を手で落とされたり、自爆UAVに突っ込まれたりすると危ない。第１次大戦末期には重量で軽戦車・中戦車・重戦車に分類され、それぞれ偵察、長距離機動戦・追撃戦、歩兵支援・陣地突破を担っていた。また、運用ドクトリンにより歩兵戦車・巡航戦車などとも分類されている。第１次大戦後の予算不足状況の中で、小型安価な豆戦車が発達した。第２次大戦ではソ連で走攻守全てに優れたT-34戦車が登場し、それまで用途ごとに開発されていた戦車のドクトリン統一化が図られ、第２次大戦後には主力戦車（かつての中戦車）とそれ以外（軽戦車）という分類になった。第２次大戦後も暫く重戦車は残っていたが、主力戦車が重戦車並に強力になり、消滅している。冷戦末期の1988年には世界中で167100両が現役にあった。冷戦終結後、戦車同士が正面切って戦う場面は減り、一時は無用論も台頭したが、代わりに対テロ市街戦が主要任務となった。全周射界と強力な直射火力を持ち、自動車爆弾や大型車両の突撃に耐えられ、突入チームや退避する市民の楯となることができ、敵に与えるプレッシャーも大きいため、各地で対テロ任務を遂行しており、冷戦終結後に一旦戦車の退役を進めたカナダ軍は対テロ戦参加後に再導入する羽目になっている。平和維持活動の際の威圧・抑止力としても十分な能力を持ち、本気度を示す指標にもなる。2006年には世界中で113700両が現役にあった。参考：異形戦車ものしり大百科、月刊PANZER12,’99、5,’06、軍縮条約・資料集第２版、機甲入門、兵器最先端５、月刊軍事研究5,’08、2,’09、戦車の戦う技術、M1A1戦車とM2/3戦闘車、歴史群像6,’10、ウォーマシン・レポートNo.26

　＜戦後第１世代戦車＞：第２次大戦後すぐに開発された戦車。概ね1950年代中に登場したものを指す。主砲ｊ￥は口径90-100mmのライフル砲、装甲は装甲鋼板単一、FCSは基線長式測距儀など、といったところである。T-54/55、M26/M46/M47/M48、センチュリオン、61式戦車などがこれにあたる。参考：JGround VOL.4

　＜戦後第２世代戦車＞：第１世代戦車に勝つことを目的に作られた戦車。最初に登場したのはM26やセンチュリオンに勝てるT-62である。主砲は口径105-115mm（チーフテンは120mm）のライフル砲、装甲は装甲鋼板単一または初期の複合装甲、FCSは基線長式測距儀など。M60シリーズ、レオパルト１、チーフテン、AMX-30、74式戦車などがこれにあたる。レオパルト１は機動力重視、チーフテンは火力・防御力重視、74式はレーザー測距器装備といった相違点がある。参考：JGround VOL.4、月刊軍事研究10,’15

　＜戦後第３世代戦車＞：第４次中東戦争で対戦車ミサイルが脅威となったため、これに対抗できるようにすると共に、第２世代戦車に勝てるようにしたもの。複合装甲を採用して砲塔は角張ったものとなり、これを貫徹できるよう主砲も口径120-125mmの滑腔砲を装備、FCSは高性能コンピュータを導入し、レーザー測距器などと組み合わせて初弾命中率が80%を超えるようになった。T-64/T-72/T-80/T-90、M1、チャレンジャー、レオパルト２、90式戦車などがこれにあたる。参考：JGround VOL.4

　＜戦後第３．５世代戦車＞：第３世代戦車に高度な電子機器を搭載し、車長用独立サイト、車両間データ交信システムなどの高度C4Iシステムを導入したもの。ルクレール、M-1A2、10式戦車などがこれにあたる。参考：JGround VOL.4

　＜戦後第４世代戦車＞：10km先の見通し外攻撃能力、モジュラー装甲とアクティブ防御システム、電気推進機関、高度なC4I能力、ステルス性（対レーダー、対赤外線、音響）を持つ戦車。アメリカがMCSで具現化する予定だったが、開発中止になった。ロシアのT95も開発が中止されたが、無人砲塔、モジュラー装甲、アクティブ防御システム装備のT-14を開発している。参考：月刊軍事研究2,’10、10,’15

　＜戦車（ＣＦＥ条約）＞：自走装甲戦闘車両であって、装甲その他の目標の攻撃に必要な高初速度直接照準主砲を主とする重火力能力を有し、路外機動力に優れ、自己防衛能力が高く、主として戦闘兵員の輸送用に設計されかつ装備されてはいないもの。地上軍戦車その他の機甲部隊の主要な兵器システムとして使用される。装軌式装甲戦闘車両で、空車重量が16.5トン以上、口径75mm以上の360度旋回砲を装備する。この他、就役することのある装輪式の装甲戦闘車両で、上の他の全ての基準を満たすものも戦車とみなされる。参考：軍縮条約・資料集第２版

＜戦車（通常兵器登録制度）＞：高度路外機動力及び高度自己防衛能力を有する装軌式または装輪式の自走装甲戦闘車両で、空車重量が16.5トン以上あり、口径が75mm以上の高初速度直接照準主火砲を装備したもの。参考：軍縮条約・資料集第２版

＜戦車（アメリカ陸軍）＞：第１次大戦ではフランスのFT17軽戦車を軽戦車大隊、イギリスのMk.�X菱形戦車を重戦車大隊に配備した。1920年、Mk�[菱形戦車を量産。同年、国防省は戦車を歩兵科に所属すると決め、戦車の役目を「攻撃に際して歩兵が前進を持続できるようにすること」とした。作戦上及び軍事費上の理由から、戦車を軽戦車と中戦車の２種類に分け、軽戦車はトラックで運べるよう戦闘重量５トン、中戦車は中型ポンツーン橋を渡れるよう戦闘重量15トンという制限を付けている。おかげで1920年代に試作された戦車は２種類しかないという有様だった。1927年、アメリカ参謀本部が小規模の実験機械化部隊を創設。これは同時期のイギリスで考案された歩兵戦車・軽戦車の用法に基づくものだったが、1931年にマッカーサーが機械化部隊に着目、騎兵隊の馬の代わりに戦車と装甲車を配備し、歩兵の補助でなく独立で行動する部隊として完成させることにした。ただ戦車は歩兵科、と決まっていたため、取り敢えず「コンバット・カー」という名称にして誤魔化している。当初は独自開発しようとしたが、経費節減のため歩兵科軽戦車との共通化を図り、M1/M2コンバットカーを制式化した。中戦車に関してはテスト用に限定され、ヨーロッパで戦車の用法が確立するのを待っている状態であり、1939年の第２次大戦開戦時にはM1中戦車18両とM2中戦車18両しか無かった。また、工場もロックアイランド造兵廠しか無かったが、第２次大戦勃発で戦車の量産が必要になると見るや機関車や鉄道車両の生産会社に協力を依頼し、クライスラー社にはデトロイトに新しい工場まで作ってもらっている。中戦車の配備先は歩兵師団隷下の独立戦車大隊と機甲師団で、前者の役割は歩兵支援、後者の役割は戦線突破後の戦果拡大である。任務に対戦車戦闘が抜けているが、そちらは駆逐戦車の役目で、中戦車には自衛程度の対戦車能力しか持たせていない。本当は歩兵支援用の重装甲戦車を作りたいところだったが、ドイツ電撃戦に触発されて鈍重なM6重戦車（性能的にも時代遅れになっていた）の開発を止めたのと、多系統の戦車を作ると海の向こうにあるヨーロッパ戦線まで兵站を維持するのが難しいという理由で、M4中戦車に一本化して大量生産した。1940年7月、機甲軍司令部を創設し、コンバット・カーを戦車（軽戦車）に統一・改称した。1942年2月、M5軽戦車を採用した。ヨーロッパ反攻が始まる頃にはドイツ軍が独ソ戦の戦訓から大火力・重装甲戦車にシフトしていたため、1944年6月のオーバーロード作戦後に�X号戦車パンターや�Y号戦車ティーガーから大損害を受け、急遽M26重戦車の開発を促進したものの、ほぼ間に合わなかった。第２次大戦末期の1945年1月2日、アメリカ陸軍地上軍司令部司令官ジョセフ・Ｗ・スティルウェル大将が自らを委員長とする装備審査委員会（通称スティルウェル委員会）を設立し、6月20日に将来の装備兵器に関する提言を纏めた。戦車に関しては、戦闘重量25トンまでの軽戦車、戦闘重量45トンまでの中戦車、戦闘重量75トンまでの重戦車の３本立て（プラス戦闘重量150トンの試作超重戦車）とし、FCSに測距レーダー（航空機用IFFを流用）とリード・コンピューティング・システム（弾道計算機）を採用、主砲に自動装填装置を付け、エンジンは多燃料ディーゼルまたはガスタービンとし、機動力向上のため改良型走行装置を開発するとした。これに基づき、第２次大戦後の1950年代に戦後第１世代のM41軽戦車、M46/M47/M48中戦車、M103重戦車を開発。戦後第２世代は軽・中・重を一本化して1959年にM60戦車を制式化し、後継として1980年から第３世代のM-1戦車を配備した。参考：M26/M46パーシング戦車1943-1953、British and American tanks of World War Two、歴史群像10,’08、月刊PANZER3,’12、5,’83、10,’85、ウォーマシン・レポートNo.17

＜戦車（イギリス陸軍）＞：歩兵直協用兵器として世界で初めて戦車を開発した国である。第１次大戦中の1914年10月、イギリス陸軍アーネスト・スウィントン中佐がトラクターベースの装軌式戦闘車両を考案し、帝国防衛委員会が陸軍大臣に伝えたが、反応は無かった。また、機関銃に対抗するためホルト・トラクターに武装と装甲を装着するという案も出されたが、1915年2月末にイギリス陸軍省が却下している。直後にチャーチル海軍大臣がこれらの案に注目してランドシップ・コミュニティー（陸上艦委員会）という専門委員会を設立、6月から陸海軍省が共同で戦車開発にあたることになり、委員会はタンク・コミュニティーと改称され、9月から陸軍省が開発を主導することとなった。ペドレイル・ランドシップ、No.1リンカーン・マシーン、リトル・ウイリー、マザーといった試作戦車を製作した後、Mk�T菱形戦車を1916年9月15日にソンムの戦いで初実戦使用した。1917年4月、Mk�W菱形戦車の引き渡しが始まった。第１次大戦では多数の戦車を集中的に運用する戦法を開発し、更に追撃用の高速戦車と組み合わせる戦術も使用した。1918年、機動力重視のホイペットＡを実戦投入した。5月、Mk�X菱形戦車を配備。Mk.C快速中戦車は第１次大戦には間に合わなかった。第１次大戦末期には機動力のある中戦車で敵陣を突破し、重戦車で穴を広げ、そこから機械化歩兵と中戦車が突入して後方を制圧するというプラン1919も打ち出し（他に偵察主任務の軽戦車がある）、第１次大戦後もこの構想に基づいて戦車の開発を進めている。1923年、Mk.�T中戦車、Mk.�U中戦車の量産を開始。1929年、Mk.�U軽戦車を採用した。対戦車砲の威力向上を受け、1934年にイギリス陸軍兵器局長となったヒュー・エリス中将は対戦車砲弾を弾き返す重装甲を持つ（ただし鈍足）の歩兵戦車を開発して戦車旅団に配備することにし、軽量高速で従来の中戦車の役割をする戦車を巡航戦車と名付けてこちらも戦車旅団に配備、1936年に戦車区分を変更して正式に分類名称を変えた。ただ歩兵戦車と巡航戦車で任務まで明確に区分してしまったため、搭載する戦車砲も使用弾種が二分されており、徹甲弾と榴弾のどちらかしか撃てないという徹底ぶりで、第２次大戦時に苦労することになった。1935年、Mk.�X軽戦車を制式化。1936年、Mk.�Y軽戦車の量産を開始。第２次大戦中も巡航戦車と歩兵戦車の２本立てで開発を進めたが、アメリカのM3中戦車（1942年配備）とM4中戦車（1942年10月実戦投入）を大量に導入したことで、巡航戦車と歩兵戦車を統一する方向に進んだ。他に空挺戦車としてテトラーク軽戦車を1940年から配備し、アメリカからM3軽戦車、M5軽戦車／スチュアート�Y（1943-44年）、M24軽戦車／チャーフィーを供与されている。1944年にMk�[軽戦車を量産したが、既に軽戦車の時代では無く、実戦配備はされなかった、第２次大戦後は走攻守にバランスの取れたセンチュリオンを開発。ただソ連のIS-3重戦車相手には力不足とみられたため、1952年に重戦車プロトタイプのFV221カーナヴォンを10両作り、量産型のFV214コンカラー重戦車を製作した。1963年、火力と防御力を重視した重戦車寄りのチーフテンの量産を開始。1982年に複合装甲チョーバム・アーマーを取り入れたチャレンジャー１を採用。1994年、チャレンジャー２の配備を開始。参考：歴史群像8,’08、10,’08、月刊グランドパワー11,’12、3,’11、月刊軍事研究5,’16

＜戦車（韓国陸軍）＞：1949年にアメリカから３個大隊分189両を導入することで合意したが、引き渡される前に朝鮮戦争が勃発、北朝鮮軍のT-34/85に圧倒された。朝鮮戦争中にM36駆逐戦車、M4A3E8中戦車、M24軽戦車を供与され、1950年10月には１ヶ月限定でM46中戦車も21両レンタルされている。1958年、M47戦車の導入を決定。1965年、M48戦車の導入を開始。1986年、K-1戦車の量産を開始。1996年、ロシアからT-80U戦車が借金のカタに引き渡された。2014年、K2戦車の配備を開始。参考：月刊PANZER8,’13

＜戦車（ドイツ陸軍）＞：第１次大戦でイギリスが戦車を投入したのを受けて1916年11月13日に戦車（Panzerkraftwagen、装甲自動車という名称だった）の開発を決定、A7Vの設計に入った。1917年1月23日に初の戦車部隊である第１突撃戦車大隊が編成され、9月20日に第２突撃戦車大隊、11月に第３突撃戦車大隊が編成されてA7V戦車５両ずつが配備された。1917年3月、A7V-Uの開発を開始。Ｋヴァーゲン超重戦車、LK�T／�U軽戦車の設計も開始したが、これらは実用化されずに終わっている。1918年頃からSturmpanzerwagen（突撃装甲車）と呼ばれるようになった。1918年3月21日、A7Vが初実戦参加した。1934年、第１次大戦以来初の戦車となる�T号戦車の生産を開始。秘匿のため農業トラクターと呼んでいた。1938年にPanzerkampfwagenという名称になった。1938年1月、�W号戦車を配備。チェコスロバキア併合で38(t)式戦車を配備。第２次大戦では電撃戦に対応するため無線を活用し、中隊本部から旅団司令部にまで指揮戦車を配備した。黄作戦の頃には中隊長車に送受信無線機、小隊長車に受信のみの無線機が装備されていたが、各小隊車には無線機は無く、小隊長の旗やハンドサインで通信を行っていた。1944年1月、ティーガーＢの量産を開始。参考：月刊PANZER8,’10、グラフィックアクション39

　＜戦車（日本陸軍）＞：大正14年の戦車使用方案には「戦車は最も威力ある歩兵兵器にして、主要なる任務は、歩兵と緊密なる協同の下に至近距離に於いて発揚する火力、重力による踏破力及び指揮上の威力を以て的を圧倒蹂躙し、わが歩兵の戦闘に著しく障害を与える敵の抵抗を排除し、殊に機関銃の撲滅制圧及び障害物の破壊蹂躙に任じ、以てその突撃及び爾後の戦闘を容易ならしむるにあり」とある。大正6年、日本陸軍軍用自動車調査委員会は委員をヨーロッパに送り、Mk.�W菱形戦車（フィーメイル型）１両を購入、大正7年10月24日に横浜港に陸揚げし、当時唯一自動車を扱えた輜重科に配備した。その２ヶ月前の大正7年8月にはイギリス大使館付武官とフランス大使館付武官がMk.Aホイペット４両とFT17軽戦車10両を購入している。12月、陸軍輜重兵学校に自動車隊を創設し、Mk.�W菱形戦車を配備して研究を開始した。大正8年、ホイペットとFT17軽戦車が到着。大正9年、これらの戦車を使用して陸軍騎兵学校で運用試験を開始。また、陸軍技術本部では第１次大戦の戦訓を元に、これらの戦車の中からFT17軽戦車の研究を始めることにした。大正14年、軍縮を行う代わりに軍の近代化を進めることになり、フランスに倣って戦車を輜重科や騎兵科から歩兵科の管轄に移し、ドイツ陸軍の編成をベースに戦車隊２個（陸軍歩兵学校教導隊戦車隊と第１戦車隊。本部と１個中隊からなり、ホイペット３両とFT17軽戦車５両を装備）を創設した。戦時には戦車隊を軽戦車大隊３個＋重戦車大隊１個に拡大する予定だったが、必要な軽戦車190両・重戦車30両に対して実保有数16両という有様だったため、陸軍科学研究所長らがヨーロッパを訪れて戦車を買うことになった。目的だったイギリスMk.�T中戦車の購入は断られてしまい、フランスから余剰FT17軽戦車の提供を提案され、陸軍省が陸軍技術本部にFT17軽戦車本格導入の可否を相談したところ、これくらいなら自国で生産できそうだということになり、試製第一号戦車を昭和2年2月に完成させた。3月、参考用に購入したヴィッカーズMk.C中戦車が到着。12月、重量18トンの重戦車と11トン以内の軽戦車を開発することになり、昭和3年8月に初の国産実用戦車となる八九式軽戦車（後に八九式中戦車）の開発を開始、昭和4年に制式化した。昭和5年、試製九一式重戦車の開発を開始し、ヴィッカーズ６トン戦車Ａタイプ、NC27軽戦車、カーデンロイドMk�Yを輸入した。昭和6年、騎兵科用戦車を開発することになり、九二式重装甲車が発注された。昭和10年、九五式軽戦車を制式化し、後継として九八式軽戦車の開発に入った。九五式重戦車を制式化。昭和12年、九七式中戦車を制式化。日華事変では敵の装備が貧弱なため単独で突入することが多かった。ノモンハン事件では砲兵攻撃準備射撃の後に２波に分かれて進撃、第１波は前線を突破した後にそのまま後方の砲兵陣地に突入し、第２波は歩兵と協同して敵陣を制圧する戦法をとったが、45mmカノン砲装備のソ連軍戦車・装甲車を相手に大損害を被っている。基本的にはこのまま太平洋戦争に突入し、九八式軽戦車の後継として二式軽戦車、九七式中戦車の後継として一式中戦車を開発したが、どちらも量産開始は昭和19年にずれこみ、主力は九七式のままで、昭和17年4月に主砲強化型の九七式中戦車改を制式化したが、M3軽戦車にすら正面から戦えない状態だった。無線機の性能も悪く、連絡旗を使っていたため、狙い撃ちされる事態も生じている。連合軍戦車の情報収集も進まず、東部戦線でT-34/76戦車、北アフリカでM4中戦車が駆け回り、�X号戦車パンターの登場が間近となった昭和18年3月の段階でも、陸軍機甲本部が月刊誌で米軍Ｍ三型戦車攻撃法（M3軽戦車の倒し方）の特集を組んでいる有様だった。防御戦主体となった戦争末期には掩体内に籠もっての迎撃戦闘が主となり、移動は敵攻撃機の活動が低調になる夜間に限られた。とにかく敵戦車の装甲を貫通できる主砲を持った戦車をくれという前線の悲痛な声も届かず、強力な連合軍戦車に対抗するため開発した三式・四式・五式中戦車は本格投入前に終戦となった。参考：歴史群像12,’10、機甲入門、日本戦車隊戦史、月刊PANZER3,’10、戦車隊長

　＜戦車（フランス陸軍）＞：第１次大戦中の1917年4月16日、エーヌ会戦でシュナイダーCA-1を実戦投入。この時は砲兵の管轄で、突撃砲兵と呼ばれていた。5月5日にはサンシャモン戦車を実戦投入したが、どちらも大損害を受けている。1917年1月から歩兵に随伴するFT17を量産し、シャール2C重戦車の開発に入ったが、後者は第１次大戦に間に合わなかった。第１次大戦終結後、1920年にエティエンヌ将軍は戦車の機動力に注目した将来戦構想を考案し、１921年の会議では戦車と自動車化歩兵により一晩で80km進撃する計画が披露され、1924年5月に固定式75mm砲と機銃を装備した試作戦車を開発、戦車を独自部隊として運用するプランも立てられたが、1921年1月以来戦車は歩兵科の隷下に置かれたままで、新規生産も殆ど行われなかった。1926年の会議でも戦車はあくまで歩兵に随伴するものとされ、戦車のカテゴリーが重量13トン以下の軽戦車、19-22トンの戦闘戦車、70トン以下の重戦車（シャール2C）に分けられてシャールＤ軽戦車とシャールＢ戦闘戦車の開発が始まった。1931年、シャールD1/D2軽戦車を配備。1932年、騎兵科にも戦闘装甲車AMCという名称で戦車の配備を開始。1933年、戦車のカテゴリーが軽戦車、中戦車（シャールＢとシャールＤ）、重戦車（シャール2C）に変更されたが、相変わらず歩兵随伴が主任務だった。ドイツ再軍備を受けてマジノ線では防衛が不十分との声も上がったが、軍内部では第１次大戦でドイツ軍を崩壊に追い込んだのは歩兵と火砲であり、戦車は限定的防衛兵器としてのみ役に立つ兵器で、敵戦車は地雷と勇気と精神力で何とかなるという意見が主勢となっており、運用改善は図られなかった。1934年、シャールB1を制式化。最初の軽機械化師団（騎兵部隊を機械化したもの）が編成された。1935年、歩兵随伴用としてR35、騎兵用としてH35とS35を採用。1936年、FCM36を採用。1939年9月、最初の予備装甲師団（中身は機甲師団）が編成された。1940年、シャールF1を発注。ドイツの侵攻を受けた時にはスペック上はドイツを上回る戦車を大量に配備していたが、歩兵師団の配下に置かれており主任務は歩兵支援のままで、ほぼ全て１名用砲塔装備だったため運用の柔軟性に欠け、広い戦線に分散配置されていて電撃戦には全く対応できずに惨敗した。第２次大戦中は自由フランス政府にイギリス式の機甲師団、ビシー政府に小規模のドイツ式機甲部隊が編成されていて、終戦直後には�X号戦車パンター装備の戦車大隊１個を配備している。1952年、インドネシアとアルジェリアの独立戦争の戦訓から、被空輸能力に優れたAMX-13軽戦車の量産を開始。1960年代後、核戦争に対応できるAMX-30の配備を開始。1992年、ルクレールの配備を開始。参考：月刊PANZER10,’85、歴史群像6,’10、月刊戦車マガジン5,’89、月刊軍事研究5,’16

　＜戦車（陸上自衛隊）＞：当初は特車という名称を付けたが、61式戦車の生産が開始された1962年に戦車という名称になった。大型特殊免許を取得し、戦車操縦課程教育を修了して特技（MOS）を得ると戦車の操縦が可能となる。警察予備隊時代の1952年頃からM24軽特車を導入。1954年、M4A3E8中特車の配備を開始。1961年、M41軽特車を導入。1961年、第１世代の61式戦車を制式化。1974年、第２世代の74式戦車を制式化。1990年、第３世代の90式戦車を制式化。2010年、第3.5世代の10式戦車を制式化。参考：陸上自衛隊地上戦力の全容、MAMOR vol.89

　＜戦車（ロシア陸軍）＞：部隊の移動を鉄道に依存せざるを得ないため、T-34以降、戦車のサイズは殆ど一定になっている。携行弾数が少ない、砲塔がコンパクトすぎて主砲の俯角が取れない、死角が多い、燃料を車体外のドラム缶に積んでいて航続距離が短いといった欠点があるが、数でカバーする。1927年、T18の量産を開始。1930年代、クリスティー戦車ベースのBTシリーズを開発。1931年、T-26を採用。1932年、BT-2の量産を開始。1933年、BT-5の量産を開始。T-35重戦車を制式化。T-37浮航戦車を採用。1935年、BT-7の量産を開始。1937年、T-38浮航戦車の量産を開始。BTシリーズの後継としてA-32/A-34試作戦車を開発し、走攻守に優れたT-34/76に進んだ。第２次大戦緒戦では戦車のカタログスペック自体は世界最強だったが、分散配備して歩兵や砲兵の支援を受けられない状態で突進させたため、各個撃破されて多大な損害を出している。また、事前の地形偵察や工兵との協同も不十分で、地雷や地形障害による損失も多かった。1940年、T-34/76中戦車、KV-1重戦車、KV-2重戦車の量産を開始。T-40浮航戦車を制式化。1942年秋に訓令が出され、戦車は連隊や旅団単位で纏めて運用し、歩兵と400m以上離してはならないと厳命された。1944年以降は戦車の数が揃ったので、戦車連隊や戦車旅団だけでなく、狙撃連隊にも戦車を回し、より歩兵と協同しての作戦を行うようになった。また、戦車軍団と機械化軍団を統合した戦車軍を創設し、迅速な敵の制圧を可能としている。1944年、T-34/85の量産を開始。7月、T-44を制式採用。第２次大戦後は西側の戦後第１世代戦車に対抗できるT-10重戦車やT-54（1949年量産）／T-55中戦車（1958年量産）を開発。西側がこれに対抗する戦後第２世代戦車を開発すると、T-62（1962年量産）を開発し、更にT-64（1964年量産）やT-72（1973年制式化）を送り出した。西側第３世代戦車と同時期にT-80を開発、ガスタービンエンジンや砲発射式ミサイルといった新機軸を採用して1976年から量産している。湾岸戦争で輸出したT-72が滅多打ちにされると改良型のT-90を製作した。1996年、戦車の調達を一旦中止。2004年、戦車の調達を再開し、T-90Aの配備を開始。2008年からの軍改革で現役戦車を2000両台に削減し、残りは予備・保管状態（または他国に輸出・供与）とすることになった。2010年、T-90Aの配備を停止し、T-72BをT-72B3へと改修することにした。チョールヌイ・オリョールや第４世代のT-95は開発中止になったが、移動に大型輸送機を使うことでサイズや重量の問題を解決して完全新作T-14戦車を開発中である。2015年、空挺軍に初めて戦車部隊を編成した。2016年、T-72B3が能力不足のため、T-72B3Mの配備を開始した。参考：月刊丸8,’87、月刊PANZER4・5,’17、月刊軍事研究10,’18

＜戦車安全五訓＞：陸上自衛隊機甲科隊員が暗唱する５つの訓辞のこと。戦車に乗ったら目の色変えろ、障害には正体　アクセル離せ、危ないと思ったら戦闘室にもぐれ、不安な時は止まって確かめよ、車内通話で全員に警告。参考：月刊軍事研究7,’07

＜戦車運搬艦＞：日本海軍計画戦車揚陸艦。艦首吃水は1-2mで、擱座着岸して艦首道板を降ろし、搭載する戦車を揚陸させる。排水量5000トン。主機は蒸気タービン１基（5500トン型軽巡と同じもの片舷分）、出力45000馬力、速力20ノット以上。戦車50両を搭載できる。昭和18年春に計画したが、設計案のみに終わった。参考：月刊丸9,’03

＜戦車運搬車＞：ドイツ軍BP42/BP44装甲列車に接続された貨車。38(t)式戦車を搭載しており、いつでも降車できるように昇降斜面は降りたままにされていた。参考：月刊グランドパワー5,’99

＜戦車回収車＞：略称ARV（Armoured Recovery Vehicle）。前線で故障・損傷・スタックして動けなくなった戦車を回収する車両である。牽引フック、強力なウインチ、牽引バー、ワイヤーロープといった回収装置を持ち、前線で活動できるよう装甲と自衛装備を搭載、不整地でも踏ん張れるよう装軌式の足回りと駐鋤を装備する。ついでに前線でのパワーパック交換なども行えるよう、クレーンを備えることもある。戦車の運用には必須の車両であり、戦車の開発ついでに車体と大出力エンジンを流用して製作されることが多い。参考：スピアヘッドNo.17

＜戦車兜＞：日本陸軍の戦車搭乗員用ヘルメット。Mk�W菱形戦車の乗員が被っていた。参考：帝国陸軍戦車と砲戦車

＜戦車眼鏡＞：日本陸軍の戦車搭乗員用ゴーグル。レンズはガラス板２枚の間にゼラチンを流し込んだもので、割れても破片が飛散しない。参考：帝国陸軍戦車と砲戦車

＜戦車橋＞：架橋戦車Bridge Layerともいう。戦車などの車体に橋を乗せたもので、前線部隊に随伴し、河川や壕に橋を渡して行動を支援する。橋を渡す方式にはシザー式やスライド（カンチレバー）式があり、数分で素早く架橋できるようにしてある。参考：軍事力バランス78年版

＜戦車橋（ＣＦＥ条約）＞：自走装甲輸送・打ち出し車両で、橋梁構造物を運搬でき、内蔵メカニズムにより橋梁構造物を設置・回収できるもの。参考：軍縮条約・資料集第２版

＜戦車教導隊（陸上自衛隊）＞：陸上自衛隊の教導隊。戦車部隊幹部候補の部隊運用訓練や、戦車関連の調査研究を支援するのが主任務で、富士教導団の隷下にある。大元は1954年8月に創設された第102特車大隊で、1961年に特車教導隊となり、8月に第５中隊が新編され、1962年に戦車教導隊と改称された。2012年3月末に１個中隊減らされて４個中隊編成になり、第１中隊が74式から10式に、第３中隊が74式から90式に更新された。第２中隊は90式、第４中隊は74式である。2013年3月15日、東富士演習場で戦車射撃競技会を実施。2019年1月13日、第４中隊が16式機動戦闘車２両で第１空挺団平成31年降下訓練始めに参加。3月25日、富士駐屯地で廃止行事が行われて廃止され、機甲教導連隊に改編された。参考：MAMOR vol.71、vol.117、vol.152、戦車隊長、朝雲、月刊PANZER9,’12、月刊軍事研究6,’13、月刊JWings4,’19

＜戦車駆逐車＞：ドイツ軍装甲列車BP44の最前部・最後部に接続された戦闘貨車。長砲身�W号戦車の砲塔を貨車にそのまま搭載している。貨車の前面には排障器が取り付けられ、線路上の障害物を排除する。参考：月刊グランドパワー5,’99

＜戦車軍（ソ連陸軍）＞：1942年7月に新設された。参考：月刊PANZER12,’13

＜戦車軍（ソ連陸軍、１９４２−１９４５年）＞：トップは軍司令官（大将・中将）で、兵力40000-65000名。司令部は軍事会議と参謀機構からなる。隷下に戦車軍団３個、機械化軍団１個、戦車駆逐旅団１個、ロケット砲兵連隊１個、自走カノン砲連隊２個、榴弾砲旅団３個、架橋構築工兵旅団１個、高射砲兵旅団１個、通信連隊１個、重戦車連隊2-5個、補充連隊１個、長距離偵察大隊１個、建設工兵大隊２個、火炎放射大隊１個、化学防護大隊１個、道路整備大隊１個、野外製パン隊１個、自動車輸送大隊2-4個、警戒大隊１個、兵器大隊１個、修理工場隊１個、懲罰大隊１個、需要品補給廠１個からなる。参考：月刊グランドパワー4,’98、月刊PANZER12,’13

＜戦車軍（ソ連陸軍、１９８７年）＞：司令部、戦車師団４個、砲兵旅団１個、重戦車侵攻連隊１個、自動車化狙撃師団１個、地対空ミサイル連隊１個、スカッド・TR-1弾道ミサイル旅団１個などからなる。参考：月刊丸8,’87

＜戦車軍（ワルシャワ条約軍、１９７９年）＞：軍司令部、司令部中隊、戦車師団３個、自動車化狙撃師団１個、砲兵旅団１個、対戦車連隊１個、重地対地戦術ミサイル旅団１個、高射連隊２個、工兵旅団１個、通信連隊１個、輸送連隊１個、後方管理隊などからなる。必要に応じて電子戦大隊、通信搬送大隊、化学戦防護大隊などが配属される。参考：月刊PANZER5,’79

＜戦車軍団（ソ連陸軍、１９４３−４４年）＞：兵力11964名。軍団司令部、司令部中隊、戦車旅団３個、自動車化狙撃旅団１個、軽自走砲兵連隊１個、重自走砲兵連隊１個、ロケット砲兵中隊１個、120mm迫撃砲連隊１個、重戦車連隊１個、偵察大隊１個、戦車駆逐大隊２個、自動二輪車大隊１個、対戦車砲兵大隊１個、高射機関砲連隊１個、戦闘工兵中隊１個、通信大隊１個、化学防護中隊１個、自動車輸送中隊１個、修理大隊１個、衛生大隊１個、野外製パン隊１個、燃料輸送段列１個からなる。1944年編制では、T-34/85戦車200両、152mm自走榴弾砲20両、85mm自走カノン砲20両、132mm自走ロケットランチャー８基、76mmカノン砲48門などが配備された。参考：月刊グランドパワー4,’98

＜戦車撃滅隊＞：陸軍歩兵学校が昭和17年に構想を立てた対戦車戦闘専門歩兵部隊。戦車の死角から接近し、砲塔取り付け部、車体後部、機関室ルーバー、燃料補給孔、火砲、覘視孔を狙って射撃を行ったり、開口部や機関室に火炎瓶を放り込んだり、九九式破甲爆雷を取り付けたりする。昭和19年のフィリピン戦で編成された。参考：帝国陸軍戦車と砲戦車

＜戦車作業用防寒衣袴＞：日本陸軍の戦車兵用被服。昭和7年頃に航空兵と同様のつなぎタイプが採用されたが、戦車の中では動きにくいと苦情が出たので、昭和10年に上下分離式のものが採用された。両方とも太平洋戦争終戦まで使用されている。参考：日本戦車隊戦史

＜戦車支援車両＞：ロシアでは重歩兵戦闘車をこう称する。参考：月刊軍事研究1,’01

＜戦車支援戦闘車両＞：ロシア軍戦闘車両。2003年のオムスク陸上兵器展で初めて展示された。車体はT-72M1改で、左右フェンダー中央部に30mmてき弾発射機（600発）を装備し、砲塔前部に30mm連装機関砲（900発）と7.62mm同軸機銃（2000発）を、両側面にアタカ対戦車ミサイル連装発射機を搭載している。砲塔に車長と砲手、車体に擲弾手２名と操縦手が乗る。戦車に随伴して敵歩兵やヘリコプターなどを駆逐するのが任務のようだ。エンジンはB92C2（1000馬力）、最大速度65km。BMP-Tターミネーターと同じ？参考：月刊PANZER11,’03

＜戦車指揮／統制システム＞：TCCSを参照。

＜戦車師団（ソ連陸軍、１９８７年）＞：司令部、３個戦車連隊、自動車化狙撃連隊、砲兵連隊、地対地ミサイル大隊、地対空ミサイル連隊、偵察大隊、多連装ロケット大隊などからなる。再補給所要量は燃料だけで85トン。参考：月刊丸8,’87、ミリタリー・バランス1989-1990

＜戦車師団（日本陸軍）＞：日本陸軍の師団。昭和17年6月に新編が決定し、満州に２個、中国に１個が配備されることとなった。兵力13000名、装軌車両1400両、装輪車両800両。隷下に２個戦車旅団、１個機動歩兵連隊、１個機動砲兵連隊、師団捜索隊、速射砲隊、防空隊、工兵隊、整備隊、輜重隊などを置く。昭和17年9月、戦車第１師団、戦車第２師団が新編され、12月に戦車第３師団が加わった。ただ戦況の悪化で昭和18年10月に関東軍から第２方面軍司令部と第２軍司令部が西部ニューギニアに引き抜かれたため、満州に第３方面軍を新設することになり、人手確保の必要から戦車師団を統括する機甲軍司令部が解散されてしまった。戦車師団自体も引き抜かれ、戦車第２師団はフィリピンで壊滅し、戦車第１師団は内地で温存され、終戦を迎えた。参考：歴史群像4,’11

＜戦車師団（東ドイツ陸軍、１９７９年）＞：師団司令部、司令部／管理中隊、３個戦車連隊、１個自動車化狙撃連隊、砲兵連隊、ロケット砲兵大隊、対戦車ミサイル大隊、高射砲大隊、機甲偵察中隊、工兵大隊、通信大隊、衛生大隊、補給輸送大隊、化学戦防護中隊、後方勤務隊からなる。兵力9683名。戦車285両、PT-76軽戦車22両、装甲車298両を装備する。参考：月刊PANZER5,’79

＜戦車師団（ワルシャワ条約軍、１９７９年）＞：師団司令部、司令部／管理中隊、ヘリコプター中隊、３個戦車連隊、１個自動車化狙撃連隊、砲兵連隊、ロケット砲兵大隊、対戦車ミサイル大隊、地対地戦術ミサイル大隊、高射砲連隊、機甲偵察大隊、工兵大隊、通信大隊、化学戦防護中隊、補給輸送大隊、衛生大隊、後方勤務隊からなる。兵力10000名。T-54/55戦車318両、PT-76軽戦車22両を装備する。参考：月刊PANZER5,’79

＜戦車小隊（アメリカ陸軍）＞

　＜戦車小隊（アメリカ陸軍、８６師団編成）＞：M-1戦車４両からなる。参考：M1A1戦車とM2/3戦闘車

＜戦車小隊（アメリカ陸軍、イラク戦争時）＞：M-1戦車４両からなる。１号車は小隊長（少尉）車、２号車は小隊長班所属、３号車は小隊軍曹班所属、４号車は小隊軍曹（１等軍曹）車である。行動時は１号車を先頭とする楔形隊形をとり、２号車が左、４号車が右にそれぞれ追随し、３号車は４号車の更に右に追随する。縦隊進軍時は１号車が前方120度、２号車が右135度、３号車が左135度、４号車が後方120度を警戒する。射撃パターンは正面射撃、交差射撃、縦深射撃の３種類がある。参考：月刊軍事研究7,’03

＜戦車隊（日本陸軍）＞：指揮官は戦闘を直接指揮しない場合は師団長または配属された歩兵の指揮官と同じ場所に位置する。参考：作戦要務令

＜戦車第１師団（日本陸軍）＞：日本陸軍の戦車師団、通称拓師団。昭和17年6月、寧安で編成された。師団司令部、戦車第１旅団（旅団司令部、２個戦車連隊からなる）、戦車第２旅団（旅団司令部、２個戦車連隊からなる）、機動歩兵連隊（本部、３個大隊、歩兵砲中隊、整備中隊からなる）、速射砲隊（本部、３個速射砲中隊、整備中隊からなる）、捜索隊（本部、３個軽戦車中隊、歩兵中隊、砲戦車中隊、整備中隊からなる）、機動砲兵連隊（本部、機動九〇式野砲１個大隊、九一式十糎榴弾砲２個大隊からなる）、防空隊（20mm機関砲中隊４個、75mm高射砲中隊２個、整備中隊からなる）、工兵隊（本部、６個工兵中隊、整備中隊からなる）、整備隊（本部、３個中隊からなる）、輜重隊（本部、４個中隊、整備中隊からなる）から構成される。昭和19年後半、第１方面軍の隷下にあった。終戦時、戦車第１・第３・第５連隊、機動歩兵第１連隊、機動砲兵第１連隊などを隷下に置いていた。参考：機甲入門、帝国陸海軍事典、比島決戦

＜戦車第２師団（日本陸軍）＞：日本陸軍の戦車師団、通称撃師団。昭和17年7月、勃利で編成された。捷一号作戦時、フィリピンに展開する唯一の機甲部隊で、戦力は兵力6500名、戦車200両、火砲32門、自動車1400両だった。昭和19年2月10日、戦車第11連隊が北千島防衛のため抽出された。7月28日、第14方面軍の隷下に入った。12月中旬、第14方面軍の内示を受け、司令部をサンミゲル、戦車第７連隊を基幹とする重見旅団をカバナツアン、戦車第10連隊をジプルスプリング、戦車第６連隊をパタンガスに置いて高地防御の態勢を敷いていたが、部隊をリンガエンに移して平地防御を行うことになり、昭和20年1月6日に重見旅団と戦車第６連隊をリンガエンに向け移動させた。直後の1月9日にアメリカ軍がリンガエンに上陸している。1月16日、戦車第７連隊が第23師団隷下となった。1月17日、第14方面軍から重見旅団に対してリンガエンへの斬り込み攻撃が命令されたが、死角の多い戦車隊で夜襲をかけることになるため、旅団長は猛反対した。1月18日、重見旅団はサンマニエル、戦車第６連隊はゴンザレス、戦車第10連隊はサンニコラスに展開していた。1月23日、重見旅団がM4戦車と交戦したが、歯が立たなかった。1月24日、重見旅団長が第14方面軍への出頭を命じられ、旅団を戦車第２師団隷下に戻す命令も出たが、命令が第23師団長経由で伝達される前後に重見旅団は玉砕した。1月27日、戦車第６連隊がアメリカ軍１個師団の攻撃を受け、連隊長が戦死。2月6日、戦車第６連隊がムニオス、戦車第10戦隊がサンイシドロ、速射砲隊がリサール、砲兵隊がウミシガン、鈴木支隊がサンニコラスに展開していたが、転進命令を受けて2月11日にカガヤン渓谷のドパックスへと後退を開始した。終戦時、隷下に戦車第６・第７・第10連隊、機動歩兵第２連隊、機動砲兵第２連隊などを置いていた。参考：帝国陸海軍事典、月刊丸3,’90、月刊軍事研究9,’15、比島決戦、太平洋海戦史

＜戦車第３師団（日本陸軍）＞：日本陸軍の戦車師団、通称滝師団。昭和17年6月、包頭で編成され、駐蒙軍の隷下に入った。隷下に戦車第６旅団（戦車第13・第17連隊）、機動歩兵、機動砲兵、師団捜索隊などを置く。昭和19年4月、第12軍の隷下に入り、コ号作戦に参加。昭和19年後半、第12軍の隷下にあった。昭和20年3月、老河口作戦に参加。終戦時、隷下に戦車第13連隊、機動歩兵第３連隊、機動砲兵第３連隊などを置いていた。参考：日本戦車隊戦史、帝国陸海軍事典、比島決戦

＜戦車第４師団（日本陸軍）＞：日本陸軍の戦車師団、通称鋼師団。津田沼で編成された。本土決戦ではアメリカ軍橋頭堡に機動反撃を行って海に追い落とすのが主任務であり、戦車学校や騎兵学校の現役ベテラン要員で編成され、戦車中隊も半分は三式中戦車を配備していた。昭和19年後半、第36軍の隷下にあった。終戦時、隷下に戦車第28・第29・第30連隊などを置いており、連隊は兵力1200名、中戦車中隊（中戦車10両、軽戦車２両）２個、砲戦車中隊（75mm砲戦車10両）２個、自走砲中隊（90mm自走砲６両）１個、作業中隊１個、整備中隊１個で編成されていた。参考：月刊丸8,’95、日本戦車隊戦史、帝国陸海軍事典、比島決戦

　＜戦車第４師団（昭和１９年７月６日、軍令陸第７６号）＞：隷下に師団司令部、戦車第28連隊、戦車第29連隊、戦車第30連隊、師団機関砲隊、師団通信隊、師団整備隊、師団輜重隊を置く。戦車連隊は連隊本部（九七式中戦車改３両、九五式軽戦車１両）、中戦車中隊（九七式中戦車改10両、九五式軽戦車２両）２個、三式砲戦車中隊（三式砲戦車10両、九五式軽戦車２両）２個、自走砲中隊（75mm自走砲６両）、作業中隊（九五式軽戦車１両）、整備中隊（九七式中戦車改２両、九五式軽戦車１両）からなる。兵力5950名。九五式軽戦車36両、九七式中戦車改75両、三式砲戦車60両、75mm自走砲18両、装甲兵員輸送車36両、四式基筒双連高射機関砲20基、火炎放射器12基、トラック229両、自動車47両を装備する。参考：月刊PANZER6,’13

＜戦車隊戦闘教令＞：日本陸軍参謀本部が本土決戦に向け作成したM4戦車攻撃法。味方戦車を分散させて待ち伏せ、可能な限り引き寄せて側面と後部に小隊単位で集中射撃を行い、砲身、履帯、足回り、視察装置といった弱点射撃も行う。要するに今まで前線部隊で行っていた肉薄戦法を文章化しただけである。参考：日本戦車隊戦史

＜戦車大隊（アメリカ陸軍）＞

　＜戦車大隊（アメリカ陸軍、１９４９年６月発行ＦＭ７−３５）＞：大隊本部、本部管理中隊、戦車中隊３個、衛生分遣隊からなる。本部管理中隊は中隊本部（本部班と整備班にM75装甲兵員輸送車１両ずつ）、大隊本部小隊（指揮班にM75装甲兵員輸送車３両、戦車班にM47中戦車４両）、大隊管理・人事班、大隊偵察小隊（小銃分隊にM75装甲兵員輸送車１両、戦車班にM41軽戦車２両）、突撃砲小隊（小隊本部と弾薬班にM75装甲兵員輸送車１両、６個突撃砲班にM45自走砲１両ずつ）、大隊補給小隊、大隊整備小隊（整備班にM75装甲兵員輸送車１両、２個戦車回収班にM74戦車回収車１両ずつ）で構成される。参考：月刊PANZER10,’85

＜戦車大隊（アメリカ陸軍、８６師団編成）＞：本部管理中隊１個と戦車中隊４個からなる。本部管理中隊はM3装甲偵察車６両を有する偵察小隊、M106自走迫撃砲６両からなる迫撃砲小隊、支援小隊、M-1戦車２両などで編成される。参考：M1A1戦車とM2/3戦闘車

＜戦車大隊（アメリカ陸軍、イラク戦争時）＞：戦車中隊４個からなる（第４歩兵師団は３個中隊）。参考：月刊軍事研究7,’03

＜戦車大隊（陸上自衛隊）＞：陸上自衛隊の大隊。発足当初は戦車中隊3-4個を隷下に置いていた。冷戦後の改編で戦車中隊４個の師団（第４・第８・第10師団）、３個の師団（第３・第９師団）、２個の師団（第１・第６師団）に分かれ、第12・第13・第14旅団には戦車大隊が無くなった。参考：月刊軍事研究7,’08

　＜戦車大隊（陸自、１９８０年、甲師団）＞：大隊本部（戦車２両）、本部管理中隊（戦車２両、戦車回収車１両）、戦車中隊（戦車２両装備の中隊本部と、戦車４両装備の戦車小隊３個）４個で編成される。保有戦車数60両。参考：自衛隊装備カタログ1981

　＜戦車大隊（陸自、１９８０年、乙師団）＞：大隊本部（戦車２両）、本部管理中隊（戦車２両、戦車回収車１両）、戦車中隊（戦車２両装備の中隊本部と、戦車４両装備の戦車小隊３個）３個で編成される。保有戦車数46両。参考：日本の防衛戦力Part1

＜戦車大隊（陸自、１９８０年代半ば）＞：隊員450名。トップは大隊長（二等陸佐）。大隊本部（戦車４両、装甲車５両、戦車回収車１両）、本部管理中隊、戦車中隊４個で編成される。戦車60両、装甲車９両、戦車回収車５両を装備する。乙師団は戦車中隊が３個に減る。参考：陸上自衛隊地上戦力の全容、兵器最先端５

＜戦車隊用力作車＞：九七式中戦車ファミリーを参照。

＜戦車中隊（アメリカ陸軍）＞

　＜戦車中隊（１９４９年６月発行ＦＭ７−３５）＞：連隊隷下の戦車中隊は、本部班、戦車小隊４個、整備班、管理炊事補給班からなる。定員は士官６名と下士官・兵142名で、M26重戦車20両（各小隊に５両ずつ）、M45重戦車２両（中隊本部。うち１両にはドーザーブレードを装着可能）、M44装甲兵員輸送車１両（車両下士官、武器整備手、自動車整備手、戦車整備手６名）、M32戦車回収車１両、ジープ６両（無線修理手が操縦して副中隊長が同乗する整備班用ジープ１両と、各小隊に偵察連絡用として１両ずつ）、2.5トンカーゴ２両（補給車１両、炊事車１両）、0.25トントレーラー１両、１トントレーラー１両、900リットル水トレーラー１両、車載炊事器材を装備する。戦車の燃料は連隊管理中隊戦車中隊支援班の給油車から供給を受ける。連隊には歩兵大隊３個が配備されているので、これに戦車小隊１個ずつを配属し、残る１個は中隊長の判断で重点大隊へ増援に送ったり、予備交代戦力としたりすることが可能。師団戦車大隊隷下の戦車中隊は、戦車小隊が１個少ない３個の編成である。後にM26重戦車がM47中戦車に、M32戦車回収車がM74戦車回収車に、M44装甲兵員輸送車がM75装甲兵員輸送車に入れ替わり、中隊本部班にM41軽戦車２両が配備された。参考：ストライク・アンド・タクティカルマガジン3,’12、月刊PANZER10,’85

　＜戦車中隊（８６師団編成）＞：戦車小隊３個、装輪支援車両３両、M-1戦車２両からなる。参考：M1A1戦車とM2/3戦闘車

＜戦車中隊（イラク戦争時）＞：中隊本部と戦車小隊３個にM-1戦車14両を配備する。中隊本部は中隊長（M-1戦車搭乗）、副中隊長（M-1戦車搭乗）、先任曹長（M113装甲車搭乗）、中隊下士官２名（M998HMMWV搭乗、砲術／NBC係）、中隊補給班（2.5トントラック・給水トレーラー牽引）からなり、兵力は合計62名。ただしこれだけでは継戦能力が無いので、戦車大隊から整備班（M88A1/A2戦車回収車１両、M113装甲車１両、予備部品搭載トラック１両、救急装甲車１両）が配属される。砲兵支援が必要な時はFIST-V火力支援チーム車（射撃観測システム装備）の装甲車１両が配属される。実際には任務に応じて戦闘工兵小隊や機械化歩兵小隊などと中隊チーム（諸兵連合部隊）を組むことが多い。参考：月刊軍事研究7,’03

＜戦車中隊（重旅団戦闘団諸兵科連合大隊）＞：諸兵科連合大隊隷下に２個が編成されており、兵力62名（士官５名、下士官57名）で、中隊本部と戦車小隊３個からなる。中隊本部はM-1A2戦車（中隊長車）、M-1A2戦車（副中隊長車）、M-113A3装甲車１両、M1083中型トラック１両、M1165HMMWV２両からなり、M-113A3装甲車はAN/UYK-128戦闘指揮システムとAN/VRC-92F超短波無線機、中隊長用HMMWVはAN/UYK-128戦闘指揮システムを備える。参考：月刊軍事研究4,’17

＜戦車中隊（陸上自衛隊、１９８０年代半ば）＞：中隊本部（戦車２両）、戦車小隊（戦車４両）３個からなる。参考：兵器最先端５

＜戦車つなぎ＞：日本陸軍戦車兵が着用していた第二種作業衣袴の通称。参考：日本戦車隊戦史

＜戦車の王＞：ツァーリ・タンクを参照。

＜戦車のキツネ＞：ハンス・シュトリッペル（ドイツ戦車エース）を参照。

＜戦車の魂拠地＞：北恵庭駐屯地を参照。

＜戦車のツァーリ＞：ツァーリ・タンクを参照。

＜戦車砲＞：戦車に搭載される砲のこと。第２次大戦中から主任務が敵戦車の撃破になったため、高初速のカノン砲を搭載するようになった。地形や盛り土などで砲仰角を上げれば曲射弾道での砲撃も可能で、榴弾砲代わりにも使用できるが、砲身命数の問題がある。高度な冶金技術が必要であり、旧西側諸国で新型戦車砲を開発できるのはラインメタル社、ヴィッカーズ社、日本製鋼所くらいで、材料の鋼鉄を精錬する所から戦車砲に仕上げるまでを単独で行えるのは日本製鋼所だけとなってしまった。参考：月刊軍事研究8,’08、スピアヘッドNo.6、朝雲

　＜戦車砲（ドイツ陸軍）＞：第２次大戦時に使用されたものは、電気式撃発機構、油圧式駐退機、油圧式緩衝器、半自動式垂直鎖栓式閉鎖器を持つ。使用弾は12.8cmPaK44を除き全て薬莢式固定弾で、開戦当初はタングステン弾芯の近距離用高速徹甲弾を使っていたが、資源不足で後期には使用されなくなった。成型炸薬弾や発煙弾も用意されており、低初速の大口径戦車砲で多用された。参考：ジャーマンタンクス

＜戦車帽（ソ連軍）＞：ソ連軍の戦車搭乗員用布帽子。共産圏諸国でも広く使用されている。色はダークグレイで、頭頂部と額の部分には緩衝用ゴムパッドが入っている。耳の所には無線のレシーバーが収められ、長さ0.45mのソケットが延びていて、車内通話装置と接続する。アゴの部分で戦車帽を固定する紐はレシーバーの下にあるタコホーンから出ていて、戦車帽の耳当ての下に延びているアゴ当てをホックで止めてアゴをカバーすることも可能である。参考：月刊戦車マガジン10,’78

＜戦車帽（日本陸軍）＞：日本陸軍の戦車搭乗員用革帽子。フランス空軍の飛行帽を参考にして製作された。フェルトを２枚重ねにして茶褐布で縫い合わせてあり、頂部と側面に通気口を設けている。参考：帝国陸軍戦車と砲戦車

＜戦車揚陸艦＞：艦種記号はLST。戦車揚陸艇を大型化して外洋での行動力を持たせたもので、擱座着岸を行い、艦首扉（バウ・ドア）を開いて導板（ランプ）を海岸に降ろすことにより、多数の戦車、車両、将兵を直接揚陸させることが可能である。艦尾にもランプを設けて水陸両用車両や揚陸艇を発進できるようにしたり、車両甲板の天井をヘリ甲板にしたりしたタイプもある。擱座着岸を行う関係で平底船体を採用しており、吃水が浅く、フィン・スタビライザーを付けることもできず、外洋では横揺れが酷いという欠点がある。バウ・ドアで艦首を成形して一定の航洋性を確保しているが、発揮できる速力には限界がある。1940年にイギリスのチャーチル首相が建造要求を出し、1941年にマラカイボ級とボクサー級を建造、次いで開発したLST-(2)級をアメリカ海軍も配備することになり、LST-1級として量産した。日本海軍も太平洋戦争中に二等輸送艦を生産している。参考：第２次大戦のイギリス軍艦、中国／台湾海軍ハンドブック改訂第２版、小艦艇入門、月刊世界の艦船2,’14、4,’22

＜戦車揚陸艇＞：艦種記号はLCT。36トン級戦車３両を搭載し、擱座着岸により揚陸させる揚陸艇としてイギリス海軍がTLCという名称で1940年代に実用化したもので、1942年からアメリカ海軍が運用して艦種記号がLCTになった。小型で航洋性に劣り、沿岸海域でないと運用できないため、戦車揚陸艦LSTが開発されることになった。参考：月刊世界の艦船2,’14、4,’22

＜戦車猟車＞：駆逐戦車を表すドイツ軍名称で、エレファントまではこう呼ばれた。「駆逐戦車」と呼ばれるのは�W号駆逐戦車からである。参考：異形戦車ものしり大百科

＜戦車旅団（イラク陸軍ハムラビ戦車師団、湾岸戦争時）＞：兵力2200名。旅団司令部（T-72戦車２両）、戦車大隊（T-72戦車44両）３個、機械化大隊（BMP歩兵戦闘車シリーズ39両）１個、軽砲兵中隊（120mm重迫撃砲12門）１個、強襲工兵中隊、コマンドー中隊、通信中隊、補給・輸送中隊、偵察小隊（BRDM2装甲車６両）、化学防護小隊、後送・整備小隊からなる。戦闘時には155mm自走砲大隊、地対空ミサイル大隊、野戦工兵中隊が配属される。参考：月刊軍事研究4,’08

＜戦車旅団（イラク陸軍戦車師団、湾岸戦争時）＞：兵力2200名。旅団司令部、戦車大隊３個、機械化大隊１個、砲兵大隊１個、通信中隊、迫撃砲小隊、偵察小隊、化学防護小隊、コマンドー中隊、強襲工兵中隊、補給・輸送中隊からなる。装備はT-55/62戦車107両、装甲車39両、122mm自走砲18両。参考：月刊軍事研究7,’08

＜戦車旅団（ソ連陸軍）＞：1941年7月から1943年3月に戦車旅団264個が新編された。また、1941年10月から1943年10月に親衛戦車旅団64個（新編10個、戦車旅団からの改編54個）が編成されている。参考：月刊PANZER12,’13

＜戦車旅団（ソ連、１９４３・１９４４年編成）＞：旅団本部、本部中隊、戦車大隊３個、自動車化短機関銃大隊１個、旅団対戦車銃中隊１個、旅団対戦車砲中隊１個、旅団高射機関銃中隊１個、旅団兵器・整備中隊１個、旅団衛生小隊１個からなる。兵力1306名。主要装備はT-34/85（1944年型）65両、BA-64A装甲車３両、76.2mmカノン砲M1936が４門、45mm対戦車砲M1942が４門、82mm迫撃砲M1937が６門、T-34装甲回収車11両など。参考：月刊グランドパワー4,’98

＜戦車旅団（ソ連、１９４４年９月改編後）＞：旅団本部（T-34/85戦車２両）、本部中隊（中隊本部、機械化偵察小隊、自動車化戦闘工兵小隊、自動車化化学戦防護小隊、本部小隊、自動車化通信小隊、自動車化旅団補給段列）、戦車大隊（大隊本部にT-34/85戦車２両、２個戦車中隊にT-34/85戦車10両ずつ、自動車化大隊補給段列）３個、自動車化突撃大隊（大隊本部、自動車化突撃銃中隊２個、機械化突撃銃中隊、自動車化重迫撃砲中隊に82mm迫撃砲M1937が６門、自動車化対戦車砲中隊に45mm対戦車砲M1932/M1942が６門、自動車化対戦車銃中隊に14.5mm対戦車銃M1941が18丁）１個、自動車化戦車駆逐砲兵中隊（76.2mm対戦車砲M1936/M1942が４門）１個、自動車化高射機関銃中隊（12.7mm機関銃DShKが９丁）１個、旅団管理支援部隊（自動車化兵器整備中隊、自動車化衛生小隊）からなる。兵力1306名。小火器1021丁、対戦車火器32門、高射火器９門、重迫６門、T-34/85戦車65両、装輪指揮装甲車３両、トラクター11両、トラック115両、オートバイ12両、特殊車両30両、炊事車９両、無線機93基を装備する。参考：月刊PANZER12,’13

＜戦車連隊（イラク共和国親衛隊、湾岸戦争時）＞：本部付中隊（T-72戦車２両、MT-LB装甲車４両、戦車回収車）１個、偵察小隊（BRDM2偵察車６両）１個、管理中隊（トラック50-60両）１個、戦車中隊（T-72戦車14両、MT-LB装甲車１両）3-4個からなる。参考：月刊軍事研究2,’09

＜戦車連隊（日本陸軍）＞：連隊本部（中戦車1-2両、軽戦車2-4両、トラック５両など）、中戦車中隊（3-4個小隊。中戦車10-15両、軽戦車2-3両、トラック５両）３個、砲戦車中隊（砲戦車10両、軽戦車３両、トラック５両）１個、整備中隊（予備戦車10両、トラック30両など）１個で編成される。ただし砲戦車（一式砲戦車など）は生産が遅れたため、九七式中戦車改を装備していたものも多い。中戦車中隊の代わりに軽戦車中隊（3-4個小隊。軽戦車12-15両）を配備した連隊もあった。整備輸送機材がトラックのため、野外機動で戦車についていけないのが欠点である。戦闘の際は中戦車中隊を２列に分けて配置、その後方に砲戦車中隊を置いて支援射撃を行いつつ進撃する。参考：機甲入門、日本戦車隊戦史

＜戦車連隊（東ドイツ陸軍、１９７９年）＞：連隊本部、本部中隊、３個戦車大隊、対空中隊、通信中隊、整備中隊、輸送中隊、機甲偵察小隊、工兵小隊、化学戦防護小隊からなり、ドイツ連邦陸軍が機甲師団戦力を増強したため、戦車連隊の編成はソ連地上軍と同等のものに強化されたとみられ、１個自動車化中隊が増強されたようである。T-54/55戦車95両、PT-76軽戦車４両、ZSU-57-2自走対空機関砲６両、ZSU-23-4自走対空機関砲４両、9M32装備BRDM2装甲車７両、9K31装備BRDM2装甲車４両、BMP-1歩兵戦闘車10両、BRDM-1装甲車23両、BTR-60P装甲車などを装備する。参考：月刊PANZER5,’79

＜戦車連隊（陸上自衛隊）＞：陸上自衛隊の連隊。第７師団隷下に第71戦車連隊、第72戦車連隊、第73戦車連隊の３個が編成された。2017年、10式戦車の配備を開始。2023年3月、第５中隊が廃止された。参考：陸上自衛隊地上戦力の全容、月刊軍事研究1,’19、朝雲

　＜戦車連隊（陸自、１９８５年）＞：隊員550名。トップは連隊長（一等陸佐）。連隊本部、本部管理中隊、戦車中隊４個からなる。戦車74両、装甲車26両、戦車回収車６両を装備する。参考：陸上自衛隊地上戦力の全容

＜戦車連隊（ワルシャワ条約軍、１９７９年）＞：連隊本部、本部／管理中隊、３個戦車大隊、１個自動車化中隊、通信中隊、機甲偵察中隊、対空中隊、工兵中隊、化学戦中隊、輸送中隊、整備中隊からなる。T-54/55戦車95両、PT-76軽戦車６両、ZSU-23-4自走対空機関砲４両、ZSU-57-2自走対空機関砲６両、BRDM-1/-2rkh装甲車５両、BTR-50P装甲車６両、BTR-60P装甲車16両、BMP-1歩兵戦闘車10両、T-54MTU戦車橋、戦車回収車６両などを装備する。参考：月刊PANZER5,’79

＜戦車連隊戦闘団＞：陸上自衛隊の連隊戦闘団の１つ、略称TKRCT。普通科連隊でなく戦車連隊を基幹とする。ソ連陸軍自動車化狙撃連隊に対抗するため、第７師団の機甲師団化に伴って誕生した。一部の支援部隊を除いて全部隊が装軌・装甲化されており、対戦車ヘリや支援戦闘機が三次元的な援護を行う。装軌普通科部隊や重迫部隊が単位不足で、予想燃料消費量に対して輸送能力が９割、積み降ろし能力が８割しか無く、155mm榴弾砲の応急陣地奪取攻撃時射耗弾数1000発に対して携行弾数が28発で、装軌弾薬車や回収車の数も足らないのが欠点である。参考：月刊丸8,’87

＜船首＞：Prow。キールの上に延びる船首材のうち、水面よりも上の部分を指す。参考：米海軍サバイバルマニュアル

＜泉州＞：588（コルベット）を参照。

＜全州＞：961（フリゲート）を参照。

＜専修科開式スクーバ課程＞：海上自衛隊の教育。潜水作業の基本と、水深20mまでの潜水技術を習得するのが目的である。第１術科学校潜水科で行われ、期間は７週間。参考：MAMOR vol.153

＜専修科飽和潜水課程＞：飽和潜水課程（海自）を参照。

＜戦時郵便貯金切手＞：弾丸切手を参照。

＜占守型＞：占守型海防艦を参照。

＜戦術＞：眼前の戦闘を勝利するための策のこと。プロイセン軍ディートリッヒ・フォン・ビューローが、敵の砲の射程内または視界内の全行動と定義したのが始まりである。参考：飛行機のしくみ、歴史群像4,’16

＜戦術（アメリカ陸軍教範ＦＭ１００−５）＞：軍団以下の部隊が戦闘に勝利するための技術。参考：月刊軍事研究2,’98

＜戦術（日本海軍）＞：敵と接触して我が兵力を運用する兵術。参考：月刊軍事研究9,’06

＜戦術員支援装置＞：自衛隊の機器。日本電気製。参考：月刊軍事研究9,’12

＜戦術インターネット（アメリカ陸軍）＞：アメリカ陸軍の指揮通信システムで、制式名称は陸軍戦闘指揮システムABCS（Army Battle Command System）。陸軍の主要情報システム11個（GCCS-A、A2C2、MCS、FBCB2、AFATDS、FAADC2I、CSSCS、ASAS、ISYSCON、DTSS、IMETS）をリンクさせたインターネット・システムで、C4ISRのうちC4Iをカバーしており、SRも偵察部隊や空軍などから情報端末で容易に入手できる。これらの端末は運搬が可能で、各端末システムごとにテントを張って野外展開させることが可能。兵士には膨大な情報から必要なものをいかに素早く取り出すかという訓練が必要になる。参考：月刊軍事研究4,’03、月刊JWings2,’11

＜戦術架橋＞：敵砲火に晒される場所に橋を架けること。架橋に時間が掛からず、設置する場所を選ばずに架橋でき、第２梯団以降の部隊を素早く機動させることが必要とされる。水の浮力を利用して橋梁を支える浮橋方式と、支柱で直接橋梁を支える架柱橋方式の２種があり、必要に応じて使い分ける。参考：月刊PANZER6,’01

＜戦術核兵器＞：核兵器を参照。

＜戦術旗艦指揮センター＞：アメリカ海軍の指揮管制システム、略称TFCC（Tactical Flag Command Center）、司令部戦術指揮センターともいう。海軍指揮支援システムNCSSを構成するタスクフォースやタスクグループの旗艦に配備され、洋上戦術指揮官が必要とする戦略・戦術情報を収集処理表示し、部隊内の艦や兵装システムを制御、上級司令部への報告や他部隊との連係も実施する。参考：日本の防衛戦力Part3、月刊世界の艦船2,’16

＜戦術共通データリンク＞：アメリカ軍のISR用見通し線内データリンク、略称TCDL（Tactical Common Data Link）。使用周波数ＸバンドまたはKuバンド。通信速度アップリンク200kbps・ダウンリンク1.544-10.71Mbps。最大通信距離200km。参考：月刊世界の艦船7,’17

＜戦術空軍向け将来航空戦闘複合体＞：T-50（戦闘機）を参照。

＜戦術空中発射デコイ＞：ADM-141シリーズを参照。

＜戦術空中レーザー兵器システム＞：ロッキード・マーチン社が開発しているレーザー砲ポッド。高出力レーザーによりミサイルなどの電子部品を破壊して無力化する。F-16戦闘機の胴体下パイロンに搭載でき、ハイバリューユニットの護衛が可能。2020年9月14日にプロモーションビデオ（イメージCG）を公表した。参考：月刊JWings12,’20

＜戦術訓練装置運用隊＞：海上自衛隊の部隊。1982年6月1日、開発指導隊群隷下に新編された。1990年10月1日、横須賀戦術訓練装置運用隊に改編された。参考：月刊世界の艦船8,’24

＜戦術高エネルギー・レーザー＞：THELを参照。

＜戦術航空機統合＞：TAIを参照。

＜戦術航空コマンド＞：アメリカ空軍の組織、略称TAC（Tactical Air Command）。1946年3月21日、アメリカ陸軍航空軍隷下に新編され、司令部はフロリダ州のタンパフィールドに開設された。主任務は単独または他の航空・地上・海上軍と共同での戦術航空戦の遂行で、有事の際は大西洋軍の指揮下に入る。使用機はP-47戦闘機、P-51戦闘機、A-26攻撃機、B-25爆撃機など。輸送部隊もあり、C-46輸送機、C-47輸送機、C-56輸送機を装備した。1946年、P-80戦闘機とC-82輸送機の導入を開始。5月27日、バージニア州ラングレーフィールドに移転し、ノーフォークの大西洋艦隊司令部、フォート・モンローの陸軍司令部との連絡を取りやすくした。1947年9月18日、アメリカ空軍が独立したため、空軍隷下の組織となった。1948年、F-84戦闘機の導入を開始。12月1日、予算不足の中で戦略航空コマンドに戦力を集中することになり、戦術航空コマンドと航空宇宙防衛軍団ADCを統合して大陸航空軍団CONACが設立され、その隷下に入り、全航空部隊が大陸航空軍団に移動、戦術航空作戦計画立案に関与するスタッフ150名のみから構成される組織になった。1949年3月、B-45爆撃機の装備を開始。1950年、朝鮮戦争勃発で戦術機の大量投入が必要になったため、8月に大陸航空軍団から航空機520機を引き抜いて組織を分離した。11月、小型戦術核及び運用法の開発を開始。12月1日、大陸航空軍団から完全に独立し、隷下に第９航空軍を置いた。1951年3月、兵員輸送部隊を統合した輸送任務専門の第18航空軍が新編され、C-124輸送機の配備が開始された。B-45爆撃機への核兵器導入準備を開始。TM-61Aマタドール戦術核巡航ミサイルの導入を開始。9月13日、TM-61Aを運用する第１無人軽爆撃中隊が新編された。朝鮮戦争では極東航空軍に２個戦闘爆撃航空団、１個軽爆撃航空団、４個兵員輸送航空団、１個偵察飛行隊を派遣している。また、朝鮮戦争期間中には、NATO航空戦力増強のため、ヨーロッパに１個航空軍（名前のみ）、１個航空師団、３個戦闘爆撃航空団、２個軽爆撃航空団、２個兵員輸送航空団、１個偵察航空団を派遣した。戦略航空コマンドの核抑止力では朝鮮戦争を防げなかったため、停戦後は通常戦争抑止力としての戦術航空コマンドの役割が注目されている。朝鮮戦争で太平洋を横断するのに９日もかかって北朝鮮軍の進撃を許したことから、急速展開能力の増強を決定。また、航空宇宙防衛軍団の増強部隊としての防衛能力、戦略航空コマンドの増強部隊としての核攻撃能力、空中給油による全世界的展開能力の獲得が求められた。1952年2月、ロングホーン演習で、１個師団9000名と装備500トンをサウスカロライナからテキサスまで往復で空輸した。5月、核爆弾を運用可能としたB-45爆撃機を装備する第47軽爆撃航空団がイギリスのスカルソープ基地に展開。1953年、戦闘爆撃機への核爆弾搭載・運用法の開発に入り、LABSやトスボミングを考案、F-86F戦闘機とF-84G戦闘機にLABS能力を付加した。4月、無人軽爆撃中隊３個が西ドイツに派遣され、１個が台湾、韓国、沖縄に分散して配備された。1954年、第21戦闘爆撃航空団をカリフォルニア州ジョージア空軍基地からサウスカロライナの未整備基地に展開させ、必要な物資を空輸して30日間に3000ソーティをこなす実験を成功させた他、第405戦闘爆撃航空団は空中給油による海外展開の実用試験を実施、アジアとヨーロッパに戦闘機と爆撃機を展開させるフォックス・ベーカー作戦及びフォックス・エーブル作戦が開始された。6月、B-26爆撃機に換わってB-57爆撃機の配備が始まった。9月、F-100戦闘機の配備とF-86戦闘機の退役が開始された。年末までに空中給油飛行隊２個が編成されている。1955年初頭、混成航空打撃部隊CASF構想が具体化し、7月に混成航空打撃部隊の上級司令部である第19航空軍がテキサス州フォスター空軍基地に創設された。C-123輸送機の配備を開始。11月、H-21Bヘリの配備を開始。1956年12月、戦術航空コマンドは戦術輸送のみを行うこととなり、４個重兵員輸送航空団とC-124輸送機全機を軍事航空輸送隊MATSに移管した。C-130輸送機の配備を開始。1957年、戦闘爆撃機、軽爆撃機、戦闘機改造偵察機の核装備が完了。戦略航空コマンドの戦略戦闘航空団と同じ任務を行えるようになったため、４個戦略戦闘航空団が戦術航空コマンドに移管された。F-101戦闘機とF-105戦闘機の配備が開始され、F-84戦闘機の退役が始まった。1958年、MGM-13メース戦術核巡航ミサイルの配備を開始。1月1日、在欧航空軍USAFEから第12航空軍が移管され、第18航空軍が解散されて兵員輸送部隊は第９・第12航空軍に分散された。10月、F-104戦闘機の配備を開始。1959年MGM-13メース戦術核巡航ミサイルの海外展開を開始。B-66爆撃機が在欧航空軍に移管され、戦術爆撃航空団が全て解隊された。12月、７個航空団を削減。1961年、ケネディ大統領就任で柔軟反応戦略に方針転換され、戦術航空コマンドの役割が拡大することとなった。この頃陸軍が近接航空支援用固定翼機を自前で揃える構想を考え始めたため、それを阻止すべく戦術航空コマンドを再編成して近接航空支援を速やかに行える態勢を整えることにした。これに伴い、大陸陸軍軍団に前線航空統制官FAC／航空作戦連絡将校ALOを派遣し、地上軍と航空軍を直接リンクする直接航空支援センターを供給、第９・第12航空軍を陸軍各部隊に関与させる態勢をとった。また、主力のF-105D戦闘機に通常爆弾を大量搭載して運用する手法も訓練している。特殊戦部隊も発足し、短距離未整備滑走路で運用可能なレシプロ機のB-26B爆撃機を倉庫から引っ張り出し、更に海軍から譲渡されたT-28B練習機を爆装して使用した。航空団４個の新設が承認されている。4月、エグリン空軍基地に特殊航空戦部隊である戦闘乗員訓練飛行隊CCTSが発足。10月7日、空中給油は戦略航空コマンドの空中給油機部隊から受けることになった。10月12日、合衆国打撃軍USSTRICOMが設立され、有事の際にはその指揮下に入ることになった。1962年、人員が53000名を突破し、朝鮮戦争ピーク時と同じ規模になった。F-111戦闘爆撃機導入までの繋ぎとしてF-4戦闘機を導入。5月16日、ラオス内戦勃発に伴い、太平洋空軍PACAFに部隊を派遣し、タイのバンコクに駐留した。10月22日、キューバ危機発生に伴い、大西洋軍の指揮下に入り、ノーフォーク海軍基地に移動、混成航空打撃部隊をカリブ海に展開した。1963年、近接航空支援に必要となる多種多様な兵器を確実に供給するため、戦術戦闘航空団に武器整備中隊を新設した。戦術航空偵察センターを設立。特殊戦部隊のB-26B爆撃機とT-28B練習機に金属疲労が見つかったため、A-1E攻撃機を海軍から導入して使用した。1964年8月、トンキン湾事件発生により、300機以上を太平洋空軍に派遣。11月、エグリン空軍基地に対地兵器試験を行う戦術航空戦センターを創設。1965年、特殊戦部隊がAC-47ガンシップ部隊の編成を開始。2月、太平洋空軍派遣部隊がベトナムに対する爆撃を開始。1968年、AC-47ガンシップをAC-119ガンシップに交替し、AC-130ガンシップの開発も開始した。1969年、要員が10万名を超えた。1972年4月、ラインバッカー作戦開始により、３個航空団と７個飛行隊がタイに派遣された。1974年11月、F-15戦闘機の引き渡しが開始された。12月、戦術輸送部隊が空輸軍団MACに移管され、戦術航空コマンドによる輸送任務は終了した。1992年6月1日、戦略航空コマンドと統合されて航空戦闘コマンドACCとなり、解隊された。参考：航空ジャーナル9,’77臨時増刊、月刊軍事研究7,’09、アメリカ空軍の第一線機

　＜戦術航空コマンド（１９７７年）＞：兵力92000名。隷下には直属の航空団・飛行隊及び第９・第12航空軍所属の23個航空団・航空群を置く。F-4戦闘機666機、F-5戦闘機66機、F-15戦闘機130機、F-105戦闘機41機、F-111戦闘爆撃機267機、A-7攻撃機210機、A-10攻撃機29機、RF-4偵察機122機、O-2前線統制機68機、OV-10前線統制機42機、T-38仮想敵機82機、UH-1ヘリ19機、CH-3ヘリ15機、CH-53ヘリ４機、E-3AWACS１機、EC-135空中指揮管制機５機、ガンシップ・無人機管制機・通信中継機などC-130ファミリー27機を装備する。参考：航空ジャーナル9,’77臨時増刊

＜戦術航空士＞：TACCO（海自）を参照。

＜戦術航空支援＞：地上部隊の戦闘を有利に運ばせるべく、航空部隊が敵の組織的な戦力（戦闘力や継戦能力）を破壊すること。対航空作戦（航空優勢の獲得維持による地上・海上部隊の安全・行動自由確保）、航空阻止（敵地上部隊の連携・増援遮断）、近接航空支援（戦域内重要目標攻撃や空中火力支援による味方地上部隊の直接援護）、戦術航空偵察（敵情や地形情報の収集）からなる。航空戦力を各地上部隊に分散して各任務に投入しても戦果に限界があるので、航空部隊を統一指揮し、地上部隊と協力して重点に集中させる統合運用が重要である。参考：空軍

＜戦術攻撃＞：戦場での航空優勢獲得・維持、敵軍進出阻止、近接支援など、前線の戦闘に直接関連する攻撃のこと。参考：アメリカの核兵器

＜戦術高出力作戦即応兵器＞：THOR（高出力マイクロ波兵器）を参照。

＜戦術航法装置＞：TACANを参照。

＜戦術サービス室＞：OSSを参照。

＜戦術支援航空団＞：アメリカ海軍航空隊の予備役航空部隊Tactical Support Wing、略称TSW。CVWR-20を改編して2007年4月1日に創設された。艦隊即応センター３カ所（ワシントンDC海軍航空基地、アトランタ海軍航空基地、フォートワース統合基地）と、飛行隊６個（第204戦闘攻撃飛行隊VFA-204、第12仮想敵飛行隊VFC-12、第13仮想敵飛行隊VFC-13、第111仮想敵飛行隊VFC-111、第209電子戦飛行隊VAQ-209、第77早期警戒飛行隊VAW-77）からなり、要員は予備役も含めて1900名。主任務は現役空母航空団に対する戦術支援、任務補助、訓練支援、麻薬密輸監視などである。参考：月刊航空ファン4,’10、11,’19

　＜戦術支援航空団（２０１９年）＞：隷下に第204戦闘攻撃飛行隊VFA-204、第12仮想敵飛行隊VFC-12、第13仮想敵飛行隊VFC-13、第111仮想敵飛行隊VFC-111、第209電子戦飛行隊VAQ-209を置く。参考：月刊航空ファン11,’19

＜戦術支援短滑走路＞：アメリカ軍の前線急造滑走路、略称SATS。アルミニウムの箱を並べてスチールマットを敷いた滑走路を作り、カタパルトと機動着陸拘束装置をセットしたものである。離陸にはJATOも使用する。参考：世界の傑作機No.3

＜戦術自動センサーシステム＞：アメリカ空軍の基地警備システム、略称TASS。ビデオカメラや熱線映像装置などの各種センサーとコンピュータを組み合わせている。参考：月刊軍事研究2,’14

＜戦術乗員戦闘訓練システム＞：AN/SPX-95（空戦記録ポッド）を参照。

＜戦術浄水システム＞：アメリカ陸軍の浄水コンテナ、略称TWPS（Tactical Water Purification System）。M1120重機動トラックに載せられる。浄水能力毎時1500ガロン（5678リットル）。参考：月刊軍事研究10,’16

＜戦術戦闘機＞：制空権確保のため、敵航空基地を攻撃して施設や地上機を破壊する戦闘機。戦術航空支援にも使用でき、ペイロード一杯に爆弾を積んでの対地攻撃と、軽量対空兵装を積んでの対空戦闘の両方をこなせる。戦闘爆撃機から重量の大きい全天候射撃指揮装置を抜いた感じで、目視による戦闘を重視してHUDを備え、短距離作戦重視で機体が小型軽量化のため空戦向きでもある（ただしFCSの制約でセミアクティブ・レーダー誘導式空対空ミサイルは運用できないものが多い）。悪天候でもある程度任務はこなせるよう、航法装置と爆撃コンピュータは完備している。中小国が運用しやすい。参考：アメリカジェット戦闘機、空軍

＜戦術戦闘作戦システム＞：TCOを参照。

＜戦術装甲警備車両＞：コマンドー装甲車（カナダ陸軍）を参照。

＜戦術速力＞：Tactic Speed。プロペラにキャビテーションを生じない範囲で出す速力のこと。プロペラ回転数や潜航深度など様々な条件で変化するので、艦長はこれを熟知してパッシブソナーで探知されないようにする。参考：ザ・マーチ42号

＜戦術ターゲッティング・ネットワーク技術＞：アメリカ空軍の大容量データリンク、略称TTNT（Tactical Targeting Networking Technology）と略す。JTRSと組み合わせ、300海里先に10Mbpsでデータを送信し、UAVで撮影した画像をほぼリアルタイムで見ることができるようになる。ネットワークへの加入・離脱が自由なアドホック性を有し、画像を分析して攻撃目標を発見したら付近の攻撃機をネットワークに加入させ、データを送信して目標を攻撃させることが可能で、投下した兵装にTTNT経由で目標情報を送ることもでき、敵に逃げる隙を与えない。ステルス・オペレーション対応ではないので、ステルス機との共同運用ではステルス機用データリンクとのデータ中継を行える機体（海軍ならE-2D早期警戒機など）が別に必要となる。ロックウェル・コリンズが開発しており、2021年度に実用化し、空軍機だけでなく、地対空ミサイル、陸軍機、海軍機・海軍艦艇（NIFC-CA用。海軍機ではE-2D早期警戒機、F/A-18E/F戦闘機、EA-18G電子戦機）などにも搭載する予定。参考：月刊軍事研究1,’15、11,’15、月刊航空ファン5,’17、月刊世界の艦船7,’17

＜戦術代行航空機＞：TSA（計画練習機）を参照。

＜戦術弾道ミサイル＞：Tactical Ballistic Missile。射程数百キロメートル以下の弾道ミサイルを指す。参考：月刊JWings12,’03

＜戦術偵察＞：Tactical Reconnaissance。１つの戦域内を偵察し、戦域軍や戦術部隊向けの情報を収集することで、戦域偵察（Theater Reconnaissance）ともいう。兵站など敵の後方能力に対する攻撃が重視されるようになるにつれ、戦略偵察との境界が曖昧になっている。参考：空軍

＜戦術偵察機＞：偵察機を参照。

＜戦術偵察ポッド＞：TACポッドを参照。

＜戦術データ交換システム地上用システム＞：自衛隊の機器。日本電気製。参考：月刊軍事研究11,’10

＜戦術データリンク＞：略称TDL（Tactical Data Link）。戦術状況の把握に必要な情報をプラットフォーム同士で交換するためのデータリンクのこと。参考：月刊世界の艦船7,’17

＜戦術データリンク妨害用送受信技術（その２）＞：自衛隊の研究試作。三菱電機が受注している。参考：月刊軍事研究3,’19

＜戦術電子戦システム＞：TEWSを参照。

＜戦術電子偵察ポッド＞：TACERポッドを参照。

＜戦術電子妨害装置＞：AN/ALQ-99シリーズを参照。

＜戦術爆撃＞：敵陣地や敵兵器を爆撃すること。参考：飛行機のしくみ

＜戦術爆撃機（アメリカ）＞：第２次大戦後にジェット戦術爆撃機を開発したが、アメリカ空軍独自開発のXB-43やXB-51は失敗作に終わり、B-45を使用した後はイギリスのキャンベラ爆撃機をB-57、海軍のA3D艦攻をB-66として採用した。その後は任務をF-105戦術攻撃機とF-111戦闘爆撃機に譲り、このジャンルは消滅した。参考：航空ジャーナル9,’77臨時増刊、アメリカの核兵器

＜戦術兵器＞：戦術攻撃に使用される兵器のこと。参考：アメリカの核兵器

＜戦術ミサイル＞：Tactical Missile。戦場で使用される一般兵器に分類されるミサイルのこと。参考：月刊世界の艦船3,’05

＜戦術レーザーシステム＞：TLSを参照。

＜戦術レーザー武器モジュール＞：ジェネラル・アトミックス社が開発中の高出力レーザー砲、略称TLWS（Tactical Laser Weapon Module）。ファイバー・レーザー・ユニット・セル（出力75kW）、レーザー発生装置、リチウムイオン電池、冷却装置などで構成され、ユニット・セルの数を増減することで威力や容積・重量を調節し、陸海空全てのプラットフォームに搭載できる。ユニット・セル２基・出力150kWならMQ-20アヴェンジャーUAVに積める。2018年にユニット・セル４基・出力300kW版を試験艦EDD-964ポール・Ｆ・フォスターに搭載してテストする予定。参考：月刊軍事研究8,’15、2,’16

＜戦術ロケット兵器＞：ロシアのミサイル企業、略称KTRV。2002年に17社が統合して誕生した。参考：月刊軍事研究8,’10

＜専守防衛＞：自衛隊の防衛戦略Exclusively Defense-oriented　Policy。憲法の精神に基づき、平時には自衛のための必要最小限の防衛力を保持し、相手から武力攻撃を受けて初めてそれを行使するというものである。1970年版防衛白書で日本の防衛は専守防衛を本旨とすると記載したのが始まりで、法律上の明文規定や軍事用語では無いが、日本の防衛戦略における金科玉条になった。参考：MAMOR vol.100、月刊世界の艦船4,’23

＜船首楼＞：Forecastle。艦首から甲板前部にかけての船楼のこと。艦にぶつかる波を砕き、波に沈むことで予備浮力を発生させ、波の上に艦首を持ち上げて波の持つ強烈な破壊力が艦首に及ばないようにする構造である。参考：連合艦隊巡洋艦、図解雑学　船のしくみ

＜船首楼型＞：Forecastle Type。艦首から甲板前部にかけて船楼（船首楼）を持つ艦船。航行中の船体の歪みが船楼端に集中するので、この部分の構造を強化する必要がある。参考：艦船メカニズム図鑑、歴史群像10,’06

＜宣城＞：535（コルベット）を参照。

＜前檣＞：艦前方のマスト。参考：艦船メカニズム図鑑

＜前哨（日本陸軍）＞：駐軍間の警戒を行うため設ける部隊で、通常は歩兵を割り当てる。統一する前哨を設ける場合、１前哨区の兵力は歩兵１個大隊以下として前哨大隊・前哨中隊などと称する。前哨区数個を設けた場合、統一指揮を行う前哨司令官を置くことがある。前哨大隊長は前哨大隊に所要の命令を下し、前衛司令官から直接出された前哨中隊長や、宿営地ごとに警戒する場合の前哨指揮官も、前哨大隊長と同様の内容の命令を発する。前哨大隊は前哨中隊、前哨中隊は小哨または歩哨、小哨は歩哨を派出して警戒を行う。状況に応じ、前哨大隊または更に後方の部隊から直接前方や側方に小哨を配置する。状況により、歩哨線より前に騎兵を展開して警戒と捜索にあたらせる。前哨は常に戦備を整え、敵襲を受けたら全力で抗戦する。機関銃、歩兵砲、砲兵などは敵襲の恐れがある地区で抗戦するのに適した陣地付近に位置させる。騎兵は捜索や伝令を主任務とし、捜索においては昼間は通常前方に行動させ、夜間もその一部を前方に留め、監視任務に就かせる。前哨各部隊と哨兵は連絡施設と交通路要点の阻絶、障害物の設置、掩体の構築、交通の整備、遮蔽・偽装などに関して必要な処置を講じる。前哨のための通信網は警戒配備完了までに構築を終えるようにする。前哨は敵の捜索を妨げ奇襲を予期するのに必要な範囲を捜索し、敵と近接したら昼夜を問わず接触を保ち、常にその状況を明らかにする。前哨各部隊は捜索のため所要の斥候を派遣し、歩哨線前の要地監視、敵兵捕獲、敵襲発見等のため、必要な場所に斥候を駐止または潜伏させる。前哨各部隊は歩哨線内の巡視、部下部隊及び歩哨の監視、歩哨を配置していない地区の捜索、隣接部隊との連絡などのため、巡察を派遣する。歩哨線などで射撃その他の喧騒があった時も、巡察を派遣して事実確認を行い、且つ歩哨などを援助する。宿営を終えて前進に移る際は、前哨の掩護の下に新たな警戒部隊を前進させ、その後前哨を撤収させると良い。参考：作戦要務令

＜前哨（日本陸軍、独立騎兵部隊）＞：独立して宿営する騎兵部隊の場合、一前哨区の兵力は通常騎兵１個中隊以下とし、必要に応じて機関銃や対戦車火砲などを配属する。状況により、前哨を支援させるため、必要な方側に宿営する部隊に対し、特に戦闘準備をさせることがある。数前哨区の部隊を騎兵指揮官が直轄指揮すべきか、部下の１または数部隊長に指揮させるかは、状況に応じて決める。参考：作戦要務令

＜戦場監視機＞：E-8を参照。

＜戦場監視旅団（モジュラー師団）＞：Battlefield Surveillance Brigade。アメリカ陸軍モジュラー師団を構成する支援旅団の１つで、ISRを主任務とし、師団情報幕僚の命により情報活動を行い、他の旅団に目標情報などを提供する。隷下に本部中隊、通信中隊、軍事情報大隊（レイブン無人機装備）、偵察監視大隊（LRAS3搭載HMMWV装備）、ネットワーク支援中隊などを置く。参考：月刊軍事研究8,’13

＜船上脅威状況＞：スレットコンを参照。

＜戦場空中通信結節＞：BACNを参照。

＜戦場航空阻止＞：BAIと略す。最前線後方に構える第２梯団を航空攻撃することである。参考：月刊JWings1,’03

＜戦傷章（ドイツ軍）＞：1933年、ヒトラーが金色戦傷章（戦傷５回以上、両手または両足または両目喪失）、銀色戦傷章（戦傷3-4回、片眼失明または聴力喪失）、黒色戦傷章（戦傷1-2回）を制定した。参考：武装親衛隊

＜戦場照明機上システム＞：RC-130S（捜索救難機）を参照。

＜戦場掃除（日本陸軍）＞：戦闘後に戦線の近傍を捜索し、死傷者に適切な処置を行うと共に、死傷者の収容、情報収集、残置・遺棄物収集などを実施し、略奪を防止するのが目的である。軍が派遣する戦場掃除班などが担当するが、師団長は必要に応じて各部隊に戦場掃除班を編成させたり、兵器勤務隊や経理勤務班などを派遣したりして分担させる。やむを得ない場合は現地で戦闘に従事しなかった部隊を戦場掃除に充てるが、死者を処置するためには可能な限り他の場所で戦闘に従事した部隊から所要人員を参加させる必要がある。死者は被服の標記や認識票などにより氏名、身分、階級、所属部隊などを調査し、死因、地点、死亡日時、収容日時を明らかにし、収容者の自署入り証書を作って味方は火葬・敵は埋葬する。この際、遺留品の私有物は遺族のために重要な遺品となるため、将校監督下に些細な物でも取り纏めるよう注意を払い、本人の遺骨・遺髪と共に一包にし、味方なら氏名、階級（やむを得ない場合は認識票番号）、所属部隊を記載して部隊ごとに纏め留守部隊に後送し、敵なら証書と共に兵站部隊に引き継ぐ。斃馬は馬名、所属部隊、斃死原因、地点、日時を調査し、可能なら埋葬する。傷者は敵味方を問わず応急手当を施して病院等に送る。傷馬も同様に処置するか、適宜処分する。毀損・残置・鹵獲軍需品は再利用可能なら速やかに回収するよう努める。収集した兵器、被服、糧秣、燃料、金櫃、馬などは敵味方のものに分け、目録を調整して報告する。死者の携帯兵器、打殻薬莢、燃料缶なども可能な限り同様に処置する。不発弾、爆薬、撒毒地域を発見したら標示して上級指揮官に報告する。参考：作戦要務令

＜前哨大隊（日本陸軍）＞：日本陸軍の前哨部隊。敵襲を受けたら前哨中隊と直接前哨大隊から派遣する小哨を増援に送り、状況に応じてこれらを収容する。そのため、通常は交通に便利な要点に前哨大隊を配置する。通常対空班を編成して前哨大隊の位置やその付近の要所に対空監視哨を配置し、対空監視を行う。時に前哨中隊の対空監視法を指定することもある。参考：作戦要務令

＜前哨大隊長（日本陸軍）＞：前哨大隊のトップ。前哨の配置がその時の状況に適しているかどうかや、隣の前哨との連絡、各前哨中隊の確実な連携、連絡部隊の配置、交通路の開設などに責任を負う。前衛命令を受けたら、前哨の配置に関して緊急の処置を迅速に前哨大隊に下命する。定位は前哨大隊の位置で、所要の連絡機関を置き、厳重警戒が必要な際には前哨各部隊や隣接前哨間での電話連絡を可能としておく。前哨各部の警戒法を視察するなどの用事で定位を離れる時は、高級先任将校に職務を代行させ、また常に自分の所在を明らかにする。参考：作戦要務令

＜前床弾倉＞：銃身下の前部銃床（フォアストック）内に収納されるタイプの弾倉。再装填が面倒なのと、弾薬消費により重心がずれて命中精度が低下するという欠点があり、尾筒弾倉が開発された。参考：月刊軍事研究11,’02

＜戦場弾道ミサイル＞：Battlefield Ballistic Missile。射程数百キロメートル以下の弾道ミサイルを指す。参考：月刊JWings12,’03

＜前哨中隊（日本陸軍）＞：日本陸軍の前哨部隊。トップは前哨中隊長。前哨で主要抵抗線を形成し、敵襲を拒止するのが主任務である。編成数はその時の状況によって判断し、特別の番号は付けず各々その中隊番号に前哨の語を冠して呼称する。通常は小哨（時に歩哨）を配置し、必要な方面には時々斥候や巡察を派遣して警戒を行う。ただし中隊から支分する兵力はなるべく小さくし、中隊主力の抵抗力を減殺しないのが重要である。前哨中隊の一部は常に又銃線の側に置いて戦備を整え、許可の無い限り１名たりとも中隊の位置を離れてはならない。また、馬は許可の無い限り鞍を降ろしてはいけない。前哨中隊の位置には直接警戒のため銃前哨を設け、必要なら対空監視哨も追加する。銃前哨は通常は単哨だが、中隊掩蔽下に入るか地形隠蔽する際には通常複哨とし、状況に応じて個数を増やす。独立騎兵部隊における前哨中隊は、通常歩哨を配置し、特に必要な場合は小哨を派遣する。参考：作戦要務令

＜前哨中隊長（日本陸軍）＞：前哨中隊のトップ。前哨中隊の戦備に関し、身を以て責任を負う。前哨中隊の配備が決まったら、速やかに前哨中隊の位置と警戒の部署を定めて配置に就かせ、なるべく速やかに配備を報告し、比隣前哨部隊や可能なら前哨線前方の部隊にも通報する。軍使が来たら、歩哨線外で用件を聞いてすぐ帰らせ、上級指揮官に内容を報告する。小哨から送られて来たものの我が軍に属しているか確認できない者、挙動不審な者、投降者、捕虜、間諜に対しては、監視者を付けて直ちに上級指揮官へと送付する。この際、監視者はこれらの者と話してはいけない。独立して宿営する騎兵部隊の場合、馬の飼付、鞍の改装、車両の整備などに関しても規定する。なお、鞍は基本的に卸さない。参考：作戦要務令

＜戦場の霧＞：Fog of war。クラウゼヴィッツの戦争論にある概念で、戦場での情報の不確実性のこと。参考：月刊軍事研究5,’15

＜全情報源分析システム＞：ASASを参照。

＜前進＞：韓国陸軍第１師団のニックネーム。

＜前進（日本陸軍）＞：戦闘を予期して前進する際は、通常各師団に作戦地域を配当し、必要な軍の直属部隊を配属するか、各師団にその行動を区処させ、必要なら第２線兵団を控置して所望の目標に向かう。師団長は軍命令に基づき目標を定め、これに対する前進を部署する。前進の部署は戦闘指導に関する考慮に基づいて定め、通常は諸兵連合の数縦隊に区分して前進させる。各縦隊に進路（前進地域）及び前進の目標を指示する際、予想する戦場で自ずと包囲の態勢を形成するよう考慮する必要がある。前進にあたり、師団長は各種捜索機関、前衛、各縦隊などの捜索実施を統一し、各縦隊指揮官もこれに準じて捜索を部署する。前進にあたり、有線通信は敵と衝突するまで使用しないようにし、常初は無線通信、各種伝令、視号通信などを利用する。敵と接触する機会が近づいたら、師団長は所要の指揮官を従え、状況の許す限り敵方に近く進出し、彼我の状況特に地形を観察し、主力縦隊前衛や各縦隊などに所要の事項を命令して行動の憑拠を与え、敵に対し我が利益を獲得することを図る。この際、機を失せず師団砲兵指揮官や戦車指揮官らに戦闘準備に着手させ、これらの指揮官はその部隊の使用に関し必要な意見を具申する。爾後師団長はなるべく主要な交通路の近傍で戦場の主要方面を観察し得べき地に位置し、機を失せず通信隊長に通信網を構成させ、爾後の戦況に応じる準備をさせる（特に遭遇戦を予期する場合）。また、必要な輜重に適時前進すべき地点を示し、行李と残余の輜重は爾後の使用と警戒の便とを考慮し、直接戦闘の影響を被らない地区に停止させる。砲兵に前進を掩護させる時は、師団砲兵主力を可能な限り統一使用し、同時または梯次に前進し、かつ所要に応じて射撃を実施するが、そのために時間を浪費しないよう注意。参考：作戦要務令

＜先進アクティブソーナー技術の研究試作＞：自衛隊の研究試作。日本電気が受注している。参考：月刊軍事研究12,’18

＜先進海軍攻撃ミサイル＞：ガブリエルMk5（対艦ミサイル）を参照。

＜前進角＞：翼平面形の25%翼弦を結んだ線の前方への傾きを示す数値。翼前縁線の傾きをいう場合には前縁前進角という。英語ではSweep angleで、後退角との区別は無く、前向きの後退角（Sweep forward）またはマイナス後退角と表す。参考：航空用語事典増補改訂版

＜先進型極超音速兵器＞：略称AHW（Advanced Hypersonic Weapon）。アメリカ国防総省の通常兵器型即時全地球攻撃計画CPGSに基づいてアメリカ陸軍宇宙ミサイル防衛コマンド／戦略コマンドが開発中の極超音速長距離飛翔兵器HGVである。最大速度マッハ５以上で、通常弾頭を積み、6000km（8000km？）先の目標を35分以内に攻撃するのを主任務とする。CEP10m以下。2011年11月17日にハワイのミサイル試射場から発射され、極超音速で大気圏内を30分弱ほど滑空飛翔し、2300km先のクェゼリン環礁レーガン試射場に着弾した。2014年8月25日に２回目の実験を行ったが、発射直後にブースターが不具合を起こして墜落した。2017年10月30日、アメリカ海軍が潜水艦発射を見据えた改良型の発射試験CPS FE-1を行った。参考：月刊軍事研究11,’14、5,’12、7,’18

＜先進型照準赤外線前方監視装置＞：AN/ASQ-228を参照。

＜先進型精密破壊兵器システム＞：AGR-20A（誘導ロケット弾）を参照。

＜先進型戦闘管理捜索システム＞：アメリカ空軍がE-8C地上監視機の後継として開発する戦場捜索システム、略称ABMS。複数のISR用UAVを中核とするシステムで、偵察衛星や有人機なども組み合わせてネットワークを構築し、戦闘管理を行う。2018年2月に構想が纏まり、開発に入った。参考：月刊JWings10,’18

＜先進型中高度偵察捜索システム＞：キングエア350ERファミリーを参照。

＜先進型低周波ソナーシステム＞：AN/AQS-22を参照。

＜先進型閉囲マスト・センサー＞：AEM/Sを参照。

＜先進型兵器エレベーター＞：アメリカ海軍ジェラルド・Ｒ・フォード級原子力空母の兵装運搬用エレベーター、略称AWE（Advanced Weapon Elevator）。FEC（Federal Equipment Company）が開発した。動力源はGSM30永久磁石リニア同期電動機で、エレベーターの四隅の足に永久磁石が埋め込んであり、シャフト４本に仕込まれた電磁石に交流電流を流してリニア・モーターの原理により上下に動かす。積載量10.9トン。昇降速度毎分45.7m。弾薬庫と格納庫・弾薬仕分け区画（02甲板、メインデッキ。点検やフィン・信管取り付けを行う）を繋ぐLower Stageが７基、弾薬仕分け区画と飛行甲板を繋ぐUpper Stageが３基、負傷者搬送などにも使えるUtility elevatorが１基用意されている。甲板とエレベーターとの間には微妙な隙間ができるので、これを塞ぐ自動展開式の渡り板がある。飛行甲板開口部には両開きの水密ハッチがあり、艦内各甲板の開口部にも水密ハッチが用意されていて、エレベーターが動いていない時は全て閉じて水密を保つ。弾薬庫や弾薬仕分け区画のエレベーター扉は自動開閉式の耐爆・水密ドアである。開口部から転落しないよう、飛行甲板開口部周囲には柵を立ててチェーンを回すことができ、艦内開口部は立てた状態の渡り板が転落・誤進入防止塀になる。エレベーターへの兵装搬出入は人力で、ドリーに載せて運び込む。リニア・モーター４基を正確に直線状に設置して同期作動させ、耐爆・水密ドアも連動させなければならず、信頼性に問題が指摘されており、領収試験で勝手に動き出す危険な不具合が４回発生したため、１番艦CVN-78ジェラルド・Ｒ・フォード就役時点では領収されていない状態で、2018年末になって漸く最初の１基（Upper Stage）の領収が実現した。Lower Stage初号機は2020年4月に受領し、認証試験を終えて7月に領収されたが、この時点で11基中５基（アッパー・ステージ1-3、ユーティリティ・エレベーター、ローワー・ステージ１）しか認証されておらず、11月に150名規模の問題解決担当チームを立ち上げる羽目になっている。2021年3月16日時点で７基が領収されており、残る４基は4月までに領収される予定だったが、2021年12月22日にずれこんだ。参考：月刊軍事研究9,’15、8,’16、月刊世界の艦船8,'20、4,’19、7,’20、8,’21、3,’22

＜先進型無人捜索システム＞：AUSSを参照。

＜前進観測班＞：FOと略す。砲兵隊員3-4名で構成され、最前線に展開する歩兵部隊と共に行動し、直接目視観測で攻撃目標の位置などのデータを本部に送る。自衛隊の場合、１個特科大隊に３班以上存在する。無線機、地図、光波測距双眼鏡を装備しており、観測地点に着いたらまず目標付近の地形を絵にし、地図と照らし合わせて距離と位置を割り出す。双眼鏡にはミル単位で目盛りがふってあり、これで弾着の左右のずれを観測し報告する。参考：月刊軍事研究11,’98

＜先進技術実証機＞：ATD-Xを参照。

＜先進技術推進センター＞：防衛装備庁の下部機関。2019年6月20日、トルコ陸軍総司令官ドゥンダル大将が視察した。2021年4月1日、次世代装備研究所に改編された。参考：朝雲

＜先進機上無線周波拡張装置＞：AN/ALQ-211シリーズ（電子戦装置）を参照。

＜先進脅威赤外線対抗手段＞：AN/ALQ-212(V)を参照。

＜先進脅威レーダー警戒受信機＞：AN/ALQ-211シリーズ（電子戦装置）を参照。

＜先進脅威レーダー妨害装置＞：AN/ALQ-211シリーズ（電子戦装置）を参照。

＜先進空輸概念機＞：AMC-Xを参照。

＜戦陣訓＞：日華事変の長期化で軍の規律が乱れてきたため、昭和16年1月7日（8日？）に東条英機陸軍大臣が陸軍訓令第一号として示達した。序、本訓其の一（第一から第七）、本訓其の二（第一から第十）、本訓其の三（第一と第二）、結からなる。其の二第八「名を惜しむ」にある「生きて虜囚の辱を受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ」のフレーズが有名である。陸軍訓令なので示達対象は全陸軍将兵だが、全国民に波及し、敵に追い詰められた際の集団自決など多大な影響を与えたとされる。しかし、そもそもが只の訓令なので陸軍内部でも扱いにはかなりの差があったらしく、石原莞爾は軍人勅諭があれば十分とのことで、配下の第16師団将兵にはこれを読ませていない。広島陸軍幼年学校の講義でもテキトーに読んどけ程度の扱いだった。海軍に至っては覚えるどころか読むことすらしなかったらしい（陸軍訓令なのだから当然といえば当然）。参考：軍事用語の基礎知識、陸海軍学校と教育、月刊丸7,’14、月刊航空ファン3,’19

＜先進軽量砲＞：技術研究本部が開発した155mm軽量砲。新型の砲口制退器、軽量砲尾装置、電子制御式復座駐退器（復座器と駐退器の間にバルブを設け、電子制御式サーボモータで開閉、駐退器の能力を増大させる）などを装備して軽量化に努めている。参考：月刊軍事研究11,’11

＜前進撃発ブローバック式＞：ブローバック式を参照。

＜前進航空統制官＞：前線航空統制官を参照。

＜先進攻撃戦術偵察ヘリコプター＞：T129A（攻撃ヘリ）を参照。

＜前進作戦拠点＞：FOSを参照。

＜先進シール運搬潜航艇＞：ASDSを参照。

＜先進自衛火器＞：XM307を参照。

＜前進修理システム＞：アメリカ陸軍の野戦修理交換器材積載コンテナ、略称FRS。クレーン（吊り上げ能力4.536トン）、溶接装置、発電機などが搭載されている。全長6m、全幅2.4m、重量11.16トン。M1120重機動トラックに積載可能。参考：月刊軍事研究10,’16

＜先進水上艦ミサイル・システム＞：ASMSを参照。

＜先進戦域輸送機＞：ATTを参照。

＜先進戦術情報処理装置＞：HYQ-2（戦術情報処理装置）を参照。

＜先進潜水艦戦術ＥＳＭ戦闘システム＞：AN/BLQ-10シリーズ（ESM）を参照。

＜先進戦闘指揮システム＞：ACDSを参照。

＜先進単一貫徹体＞：GBU-24C/Bを参照。

＜先進短魚雷＞：シィエナ（短魚雷）を参照。

＜先進着艦拘束装置＞：アメリカ海軍ジェラルド・Ｒ・フォード級空母の着艦拘束装置、略称AAG（Advanced Arresting Gear）。ジェネラル・アトミックス社が水力タービンによるターボ発電システムを応用して開発した。甲板上の構造はMk7着艦拘束装置と同じだが、アレスティング・エンジンのシステムを全面的に変更した。アレスティング・ワイヤーは飛行甲板上のワイヤーサポートにより飛行甲板から100-150mmほど浮いた状態で張られており、パーチェイス・ケーブルに繋がっている。パーチェイス・ケーブルはシーブ（滑車）を介して甲板下に潜り込み、巻き取り・繰り出しドラムに巻き付けられていて、ドラム回転軸の一方には減速用誘導電動機、もう一方には水力タービン（Water twister）が接続されており、バックアップ兼補助制動用機械式摩擦ブレーキもセットされている。アレスティング・フックがワイヤーを引っかけると、ワイヤー・ショック・アブソーバーが作動して撓みを無くし、空気圧・油圧作動のダンパーが衝撃を吸収する。機体によりアレスティング・ワイヤーが引っ張られると、ワイヤーに接続されたパーチェイス・ケーブルがドラムから引き出され、ドラム回転軸が回転する。これにより水力タービンのタービン軸が回転し、水の抵抗により減速をかける。また、減速用誘導電動機の軸も回転するが、回転数や回転速度を測定してフィードバックを行い、誘導電動機による減速を制御装置でコントロールして減速速度や機体停止位置を調整する。減速時には誘導電動機が発電機となって電力を生じるが、必要な分はキャパシタに戻し、余剰分は水冷式抵抗器に送って熱として捨てる。機械式摩擦ブレーキは水力タービンや誘導電動機が故障した際のバックアップや、制動力が足りない時の追加用として使用される。誘導電動機、水力タービン、摩擦ブレーキのうち、少なくとも２種類を作動させる仕組みになっていて、安全性が高く、自己故障診断機能も持つ。誘導電動機の制動力はアクティブ制御が可能であり、着艦重量や着艦速度に応じて適切な制動を行うことができ、機体への負担も少なく、頑丈でない軽量UAVでも設定変更だけで対応できる。制動装置に油気圧システムが無いので、Mk7着艦拘束装置より単純小型軽量安価かつ整備保守性に優れ、整備マンパワーがMk7着艦拘束装置と比較して45%削減される。最大制動距離104m、制動時間３秒。再使用までにかかる時間は２分。2008年にテストを予定していたが、製造契約は2009年11月にずれこんだ。価格は2009年には空母１隻分４セットで４億7600万ドルを予定していたが、2016年には14億ドルと３倍になっている。2010年夏からアレスティング・ワイヤーの静荷重試験を行っているが、性能不足から部品の再設計を余儀無くされ、2011年4月に漸くF/A-18E戦闘機の拘束に相当する性能を確認している。ただ2012年に水力タービン抵抗器の強度不足が判明し、実機でのテストは2015年以降になる予定で、実艦装備が間に合うかは不明。また信頼性の低さも指摘されていて、重大不具合発生までの平均拘束サイクル数が16500回に１回を予定していたところ、2014年12月現在では20回に１回だった。2015年7月、CVN-78ジェラルド・Ｒ・フォードに搭載されて艦上試験を開始。2016年3月31日、レイクハースト試験場の滑走路拘束着陸場RALS（Runway Arrested Landing Site）でF/A-18E戦闘機による模擬着艦テストに初成功した。4月現在、重大不具合発生までの平均拘束サイクル数は25回に１回だった。10月、陸上テストで12回中12回成功し、特にトラブルも発生せず、CVN-78での洋上試験も成功した。12月、F/A-18E戦闘機による350回目の拘束テストに成功した。2017年6月現在、重大不具合発生までの平均拘束サイクル数は19サイクルに１回だった。2019年8月2日、CVN-78で実戦機全種（F/A-18E/F戦闘機、EA-18G電子戦機、E-2C/D早期警戒機、C-2A輸送機）に対する使用承認が下りた。T-45C練習機には未承認である。10月23-24日、陸上試験施設で新型冷却システムの評価を実施。F/A-18E/F戦闘機５機を26分間に延べ22回拘束し、所定の冷却能力を確認した。2020年1月16-31日のCVN-78における航空機運用適合性試験では平均故障発生間隔の問題は報告されていない。2020年1-8月にCVN-78が行ったISE(Independent Steaming Event)では着艦3975回で平均故障間隔MCBOMFが48サイクルで、改善はしているが目標値16500サイクルには程遠い。2021年4月、ジェネラル・アトミックス社に制動用ウォーター・ツイスターMod�Uを18基発注した。1-2番艦のウォーター・ツイスターを改良型Mod�Uに換装する模様である。参考：月刊軍事研究4,’14、7,’09、6,’08、7,’10、8,’16、月刊世界の艦船12,’16、9,’13、3,’15、11,’15、4,’17、8,’17、10,’18、11,’19、2,'20、8,’21、月刊航空ファン7,’16、月刊JWings1,’17、4,’20

＜先進着艦拘束装置・海外シリーズ＞

　＜先進着艦拘束装置（フランス海軍）＞：空母R91シャルル・ド・ゴールの後継となる新型空母PA NGにEMALSと一緒に搭載する予定で、2017年にアメリカから説明を受け、2018年夏に交渉を開始、2021年12月21日にアメリカ国防安全保障協力局のFMS輸出許可が下りた。参考：月刊世界の艦船1,’19、3,’22

＜先進中型ＳＴＯＬ輸送機＞：YC-14（試作輸送機）またはYC-15（試作輸送機）を参照。

＜先進中型軍用機＞：AMCAを参照。

＜先進敵味方識別装置＞：AIFFを参照。

＜先進電磁シグネチャー低減＞：AESR（Advanced Electromagnetic Signature Reduction）と略す。アメリカ海軍がヴァージニア級原潜向けに開発中のソフトウェアで、自艦の電磁シグネチャーを連続的に監視し、再調整を行う。参考：月刊軍事研究7,’10

＜先進統合型防御電子戦装置＞：AN/ALQ-211シリーズを参照。

＜先進統合航空戦闘システム＞：AJACSを参照。

＜先進統合センサー・システム＞：防衛装備庁が開発中の将来戦闘機用センサー・システム、略称AISS。機首にレーダー、ECM、ESMを統合した共用開口無線周波センサーを配置し、別に搭載するパッシブ赤外線センサーからの情報と合わせて電波／光波統合管制処理装置で処理し、ディスプレイに表示する。探知距離は従来の1.5倍を誇り、ステルス機の探知追尾も可能である。2002年度に共用開口無線周波センサーの研究試作が始まり、2015年にF-2A試作初号機への搭載改修を開始した。共用開口無線周波センサーのアンテナは機首に収容し、レドームや標準ピトー管を量産機と同じものに変更する。パッシブ赤外線センサーは機内搭載する余裕が無いので、ASM-2空対艦ミサイルの弾体に搭載して主翼下に積む。2018年8月10日に三菱重工小牧南工場で初の社内飛行試験が行われ、10月31日にはパッシブ赤外線センサーも積んでの初試験飛行を行っている。参考：月刊JWings1,’19、2,’18、月刊航空ファン2,’18

＜先進統合電子戦システム＞：AN/SLY-2(V)を参照。

＜先進野戦砲兵戦術データ・システム＞：AFATDSを参照。

＜先進有人精密打撃システム＞：B-1シリーズ（爆撃機）を参照。

＜先進有人打撃航空機＞：B-1シリーズ（爆撃機）を参照。

＜先進誘導電動機＞：AIMを参照。

＜前進翼＞：Forward Swept Wing（FSW）。主翼前縁から後縁までの長さの25%の位置を主翼付け根から翼端までプロットした線が前に傾いている（前進角を持つ）主翼のこと。ただし、後縁だけに前進角が付いているテーパー翼などは直線翼に分類される。胴体中心線に垂直な線で主翼を切って上面の負圧を見てみると、主翼内側の方が負圧が大きくなっているので、翼上面の気流が内側に流れ、翼端失速が起こりにくくなり、低速大迎え角時にも翼端近くの補助翼が良く効き、スピンに陥りにくい。また、後退翼よりも揚力の発生量が大きく、翼端渦による誘導抗力が小さく、大迎え角時の揚抗比が大きく、翼前縁での衝撃波圧縮と後縁での剥離を同時に防止できるので超音速時の造波抵抗が小さい。欠点は、高速飛行時に捩れが生じるとそれが増幅され（ダイバージェンス現象）、最悪空中分解することで、主翼付け根部分の強度を高めておく必要があり、重量増に繋がる。また、後退翼の持つ上反角効果とは逆に、ロールに対する静安定性（横安定性）が負であり方向安定性が悪いため、上反角を付けなければならない。他にも主翼に作用する曲げモーメントが捩り上げ方向に働くので翼端失速の原因になる、臨界マッハ数が低くなるのでもう一工夫しないと音速を突破できないといった短所を持つ。ただし横安定性が負になるのはACTでカバーでき、静安定性緩和による高機動力に繋げることもできる。アメリカ・ドイツがX-29A、ロシアがSu-47を開発したが、実験機の域を出ていない。参考：月刊JWings8,’00、12,’00、3,'23、10,’09別冊付録、世界の軍用機1982、丸メカニック別冊１、航空用語事典増補改訂版、世界軍用機年鑑1990-91、月刊軍事研究11,’11、戦闘機のしくみ

＜先進陸上攻撃ミサイル＞：ALAMを参照。

＜潜水＞：海上自衛隊の職域。浅海域での水中作業、爆発物捜索処分、深海域での潜水艦等乗員救助を行う。参考：月刊JWing9,’19

＜潜水医学実験隊＞：海上自衛隊の組織、Undersea Medical Center。防衛大臣直轄部隊で、トップは潜水医学実験隊司令（海将補）であり、隷下に企画室、管理部（総務科、支援科、衛生科）、教育訓練部（教務科、教育訓練科、運用科）、実験第１部（視聴覚班、健康管理班、心理班、生化学班）、実験第２部（環境衛生班、人間工学班、栄養班）、実験第３部（高圧実験班、潜水生理班、潜水安全班、装備班）を置く。主任務は潜水医学（飽和潜水、短時間潜水、潜水員衛生管理、潜水装備品研究）と潜水艦医学（潜水艦内環境衛生、潜水艦乗員衛生管理、潜水艦装備品研究）の調査研究・試験・教育訓練、飽和潜水の教育訓練、潜水艦乗員・潜水員に対する適性検査と健康管理の実施、自衛艦乗員を対象とした潜水医学・潜水艦医学・飽和潜水訓練の指導協力である。また、幹部専修科飽和潜水課程、海曹士専修科飽和潜水課程、幹部専修科潜水医官課程の教育も担当する。1977年12月27日、横須賀地区病院潜水医学実験部から改編されて久里浜地区で創設され、防衛庁長官直轄になった。1986年3月、幹部・海曹士専修科飽和潜水課程の教育を開始。1989年7月、幹部専修科潜水医官課程の教育を開始。1992年、水深450mの飽和潜水に成功。2010年2月20日、1985年から使用していた深海潜水訓練装置の運用を終了した。この日までに飽和潜水員185名を育成し、28602時間の無事故記録を有していた。2013年1月17日、新庁舎と関連施設が完成したのを期に横須賀基地田浦地区に移転し、飽和潜水実習を再開した。訓練水槽（深さ11m。１ノットの水流を出せる）、潜水艦脱出訓練装置、深海潜水訓練装置、減圧室、高気圧実験装置（水深1000m相当の圧力をかけられる）、環境ガス試験装置（潜水艦艦内機器から出る微量ガスを測定し、密閉艦内で長期使用できるか調べる）、高気圧酸素治療装置（全長6m、内径2.8m。８名収容）などを備える。高気圧酸素治療装置にはNATO標準ハッチが備えつけられており、海自潜水艦救難艦などが装備する可搬式再圧タンクを直接接続して患者を加圧したまま搬入することが可能。また、自衛隊横須賀病院で高圧酸素療法を必要とする患者（一般人含む）の治療にも使われる。2014年5月23日1420頃、訓練水槽で年次訓練の潜降上昇法に使用するロープにブイを設置していた二等海尉が水中で意識を失い、救助しようとした海曹長も二尉を引き上げた直後に意識不明となった。両名とも応急措置の後に自衛隊横須賀病院に搬送されたが、二尉は5月24日0751に死亡が確認され、海曹長も6月19日0957に死亡している。2016年9月7日から10月6日、深海潜水訓練装置を使用し、潜水員６名が440メートル飽和潜水訓練を実施。9月10日に深度440m相当の加圧を行った後、9月17日から減圧を開始、10月6日朝に大気圧に復帰して訓練は成功し、田浦地区移転後の戦力化を完了した。2018年6月14日、横須賀港で日米共同衛生訓練に参加。12月10-14日、ミャンマー軍潜水部隊に対する能力構築支援に参加。2019年5月28日、千葉県銚子市犬吠埼沖で衝突沈没した民間貨物船乗員の捜索救助を目的とする災害派遣に向かうASR-404ちよだに、所属医官が第21航空群UH-60J救難ヘリで乗り込んだ。2023年7月20日、横浜市港北区しんよこフットボールパークで行われたサッカー交流イベントで人命救助に貢献したとして、技官が港北消防署長から感謝状を贈呈された。

参考：月刊軍事研究11,’13、朝雲、月刊世界の艦船4,’13、自衛隊横須賀病院ホームページ、月刊JWings8,’19、MAMOR vol.150

＜潜水医学実験部＞：海上自衛隊の調査研究組織。24.5気圧に加圧できる潜水医学実験装置があり、潜水病の研究を行う他、フロッグマンの適性検査や特殊装置開発も実施している。潜水病の治療法や高圧酸素技術は民間でも活かされた。1967年2月1日、海自横須賀地区病院隷下に新編された。１977年12月27日、潜水医学実験隊に改編された。参考：月刊軍事研究11,’13、月刊丸11,’72、月刊世界の艦船9,’15、自衛隊横須賀病院ホームページ

＜潜水医官徽章＞：海上自衛隊の徽章。潜水医学に関する課程を修了した後、潜水艦乗員と潜水員の保健衛生に関する業務に２年以上従事した医師が付ける。1988年4月に制定された。参考：MAMOR Vol.62、月刊世界の艦船9,’15

＜潜水員＞：海上自衛隊のフロッグマン。主任務は艦底調査で、２名１組でスキューバや水中作業用ナイフを身に付け海に潜り、艦底部の点検を行う。他に１名が艦上で支援する。プロペラに漁網や海藻が絡んでいたら撤去する。点検や異常の際以外は出番が無いので、通常は乗員として他の勤務に就いている。健康診断、水中能力検定、耐圧検査に合格して第１術科学校で２ヶ月間の開式スクーバ課程を修了するとスクーバ潜水員となり、部隊で勤務、順次上位の資格を取り（ついでに国家資格の潜水士免許も取得可能）、深海での潜水艦救難を行う資格を得たり、水中応急工作員、飽和潜水員、水中処分員に進んだりする。参考：MAMOR vol.121

＜潜水員徽章＞：海上自衛隊の徽章。中央に潜水ヘルメットと桜花、その両脇にシャチ、下部両側に月桂樹をアレンジしている。海上幕僚長が定める潜水に関する課程を修了した海上自衛官が付ける。海曹長以下は潜水員徽章（銀）、それより上は潜水員徽章（金）。参考：MAMOR vol.62、vol.55、vol,68

＜潜水艦＞：Submarine。水中で行動する艦艇で、三次元運動が可能な唯一の艦船である。真の意味での潜水艦は、長期間潜航可能な原子力潜水艦を指す。通常動力型潜水艦の蓄電池のみでは全速力で１時間、3-4ノットでも2-3日くらいしかもたないので、潜ることも出来る艦船（可潜型潜水艦）という扱いに止まる。船体には水圧に耐える円形断面の船殻（耐圧船殻）を使用しており、メイン・バラスト・タンクとの関係で単殻構造、部分単殻／部分複殻／半複殻構造、複殻構造、サドルタンク構造に分かれる。耐圧船殻から魚雷発射管、潜望鏡、煙路などを突き出し、耐圧船殻外にソナー、各種タンク、プロペラなどを配置、水の抵抗や航行雑音を減らし水流や波の直撃を避けるため鋼板で覆って船体の形を整え、上甲板が曲面だと甲板作業が危ないので上部構造物を被せて平らにし、突き出した潜望鏡や煙路をセイルで覆い、舵を装着すると概ね潜水艦の構造になる。耐圧構造、パイプ貫通部、バルブの摺り合わせなどに最高の技術を駆使して高い水圧に耐えられるよう設計されるが、それでも耐圧限界深度に近づくと、潜望鏡の防水パッキンから水が入ってきたり、耐圧船殻が内側に縮んでドアの開閉ができなくなったりする。戦闘では水中爆発によりダメージを受けることが多いので、耐衝撃性に配慮した艤装がなされる。メイン・バラスト・タンクに海水や空気を出し入れして浮力の調整を行い、潜入の際はメイン・バラスト・タンクと前部トリム・タンクに注水し、潜舵を下げ、横舵を上げて前方から潜っていく。耐圧船殻と上構の間の隙間には海水が自由に出入りできるようにしてあり、フリー・フラッド・ホール／スリットを設けて海水が出入りする速度を上げることもあるが、水中航行時に騒音発生源となるので注意。浮上の際にはメイン・バラスト・タンクと前部トリム・タンクに高圧空気やエンジン排気を吹き込んで排水（ブロー）し、潜舵を上げ、横舵を下げる。深度変換は艦首またはセイルの潜舵と艦尾の横舵で、旋回は縦舵で行う。ディーゼル燃料と海水は混ざらないため、燃料を消費した分は海水を入れて補填する。また、緊急時には燃料タンクをメイン・バラスト・タンクやトリム・タンク代わりにすることも可能である。自艦重量と浮力を釣り合わせた中性浮力の状態を維持しないと勝手に浮き上がったり沈んだりしてしまうため、正確な深度維持やトリム保持には正確な艦の重量を知っておく必要があり、魚雷、弾薬、燃料だけでなく、食糧や水もどれくらい消費したか、ゴミや排泄物をどれだけ外に捨てたか、常に計算しておかなければいけない。海水の温度や塩分濃度による浮力の違いや海流の影響も無視できない。水中主機は潜水艦登場当初から蓄電池とモーターだが、水上主機は様々なものが試されており、初期のガソリンエンジンは揮発したガソリンが艦内に籠もって爆発する事故が多発して廃れ、蓄電池のみやレシプロ蒸気機関も航続距離や起動時間などの問題があり、最終的に重油を燃料とするディーゼルと電動モーターの組み合わせで落ち着いた。第２次大戦までは水上航行時にディーゼルを推進軸と直結させ、空いた電動モーターを発電機として使うディーゼル直結推進方式も採用されていたが、ディーゼル出力を充電に回す分が足りない、推進軸が長いので振動が激しい、大出力に耐えられるクラッチを作るのが難しい、クラッチ切り替えが面倒といった欠点があり、戦後の通常動力型潜水艦は水上も水中も電動モーターを使うディーゼル・エレクトリック方式で統一されている。原子力主機の登場で水中航続力が蓄電池容量に縛られなくなり飛躍的に増大、水中最大速力40ノットを発揮できるようになったが、騒音が凄まじく、パッシブソナーが使えなくなるため、水中巡航速度は10ノット台である。通常動力型潜水艦もAIP機関の採用で水中航続時間の延長を図るようになった。水中に潜んでいれば可視光線含め電磁波が届かないので発見は難しく、ソナーでも長距離探知が困難で、制空権や制海権と無関係に行動でき、隠密性を活かして攻撃を行う。第２次大戦における大西洋の戦いでは、Ｕボート１隻を捜索するのに艦艇25隻と航空機100機で探し回る必要があった。フォークランド紛争ではイギリス原潜１隻がアルゼンチン巡洋艦を撃沈し、多大な脅威を与えることで、以降のアルゼンチン水上艦（空母１隻含む）の行動を完全に封殺している。自国の軍港内であっても油断していると敵潜水艦の襲撃を受けるので注意。主兵装は魚雷発射管から発射する魚雷で、ソナーや対潜兵器が未熟な頃は浮上して甲板砲による砲撃を行うこともあった。第２次大戦後は対艦ミサイルや対地ミサイル（核兵器含む）も積んでいる。隠密性を活かして奇襲攻撃を行うが、その瞬間に存在を暴露し、下手をすると位置までばれてしまい、凄まじい反撃を受けるので注意。潜航優先のため予備浮力が小さく、耐圧船殻に損傷を受けるとすぐ沈むという欠点がある。電波での水中通信が困難で、透過力の高いVLFやELFなどの長波長電波を使うが情報量が少なく、自艦から電波を発すると逆探知されるので基本的に受信のみとなるため、他の水上艦・潜水艦や航空機などとの連携が難しく、NCWの埒外に置かれてしまう。近傍の味方潜水艦であっても連絡が取れないため、同士討ちや海中衝突を防ぐ必要があり、１隻ずつ哨区を割り当て、その中で行動させる。沈没してもすぐには分からず、基地に帰ってこないので漸く沈められたのが判明するといった有様である。潜航中に沈められれば乗員の生還は難しく、戦訓を得ることすら不可能。信号発射筒から非常用位置指示無線標識装置ブイを射出できれば遭難を知らせることができるが、浸水が激しかったり艦内の換気が不可能だったりすれば潜水艦救難艦などによる救出を待つ暇は無く、脱出カプセルや個人用脱出装具で海底から自力脱出しなければならなくなる。対潜能力が低い頃は水上航行時に無線通信で連携行動するルーデル・タクティク／ウルフ・パックが通用したが、第２次大戦後には使用不能な戦術となった。セイル内の通信マストに固定装備できるアンテナの大きさも限られるので、フローティング・アンテナやブイ型アンテナを使ったりする。潜水艦に向けて命令を送っても、受信できているとは限らないので、何度も送信しなければならない。潜水艦からどうしても情報を送信しなければならない場合は、パラボラ・アンテナにより電波を絞り込んで衛星通信を行い、逆探知を可能な限り防ぐ。自艦位置の把握も難点で、最初は天文航法、次いでデッカ・ロラン・オメガといった電波航法になったが、アンテナを水面上に出さなければならないため、電波航法にINSやトランジットなどを併用するようになり、その後電波航法が衛星航法に代わった。任務は秘密性が高く、他の艦や上級司令部との連絡が困難なため、艦長以上の実力は発揮できないといわれる。主任務は対水上戦、対潜水艦戦、機雷敷設、陸上攻撃、情報偵察監視ISR、特殊作戦支援など。16世紀後半に初めて考案され、18世紀後半にタートル号が完成し、内燃機関、モーター、蓄電池に水中魚雷発射管の発明を経て発展を遂げた。1899年5月31日にハーグの国際会議でロシア代表が潜水艦製造禁止を提言し、イギリス、イタリア、ドイツ、日本などが賛成、アメリカ、オーストリア＝ハンガリー帝国、フランスなどが反対し、結局潜水艦の保有や制限に関する決定は行われなかった。日露戦争では互いにその存在に脅威を感じていたものの、実戦で活躍することは無かった。第１次大戦開戦時はまだ速度も遅く、目標探知を肉眼に頼っていたため索敵能力が低く、潜航時間も短く、あまり脅威とは感じられていなかった。しかし開戦後間も無い1914年9月22日にドイツ海軍潜水艦U9が１時間で装甲巡洋艦３隻（ホーグ、アプーキア、クレッシー）を撃沈する戦果を挙げ、更に無制限潜水艦作戦が行われて絶大な威力を発揮した。ただ魚雷搭載数や潜航時間が限られていたため、商船などに対しては浮上砲撃を加えている。潜航中の潜水艦に対する水上艦の攻撃手段は爆雷の他に体当たりだったため、機雷に潜望鏡を付けて敵艦をだます戦術も開発された。第２次大戦中にドイツがシュノーケルを開発し、潜望鏡深度で潜航しながら充電することが可能となり、対空レーダー、レーダー逆探装置、ソナーも搭載された。航空機が脅威となったため、制空権を確保していたアメリカを除いて浮上砲撃は廃れ、対空機銃を装備するようになった。戦後は原子力によるほぼ無限の潜航を可能とした真の潜水艦が誕生し、巡航ミサイルや弾道ミサイルを搭載した戦略原潜も登場。また、高性能電池及びAIP機関の開発で長時間潜航も可能となった。マストには光学TV、赤外線暗視装置、レーザー測距器が装備され、新型高張力鋼やチタン合金の採用により潜航深度は数百メートルから1000メートルにまで達している。参考：世界の潜水艦ハンドブック改訂第２版、日本潜水艦物語、月刊世界の艦船8,’16、9,’16、10,’16、4,’17、6,’17、6,'21、9,’12増刊、8,’82増刊、2,’10、6,’09、5,’91、3,’16、月刊軍事研究2,’01、8,’06、2,’12、7,’15、艦船メカニズム図鑑、Ｕボート入門、潜水艦気質よもやま物語、続潜水艦気質よもやま物語、歴史群像6,’08、現代の潜水艦、月刊丸5,’07、1,’10別冊、日本の防衛戦力Part7

　＜可潜型潜水艦＞：Submersible/ Submergible。せいぜい数日しか潜航できない潜水艦の事で、原子力潜水艦以外（在来型潜水艦）は全てこれにあたる。出撃したら潜航して比較的高速で作戦海域に向かい、到着したら低速航行で目標の出現を待ち、目標が現れないまま電池残量が任務継続に必要な量を切ったら作戦海域を離脱、低脅威度海域で充電を行い、また作戦海域に戻る。水中最大速力を発揮すると30-60分で電池が切れるため、公試と実戦での敵艦襲撃・離脱以外で全力を発揮することはほぼ無い。頻繁に浮上と潜航を繰り返す必要があるため、浮上時は充電のみならずメインタンクブロー用の圧縮空気を補充するのも重要な仕事である。AIPの登場で潜航時間はかなり延び、作戦海域での低速航行をAIPで行うことにより全力発揮用の蓄電池電力を温存できるようになったが、それでも原子力潜水艦には到底叶わず、水中速力の面でも遥かに劣る。参考：艦船メカニズム図鑑、現代の潜水艦、月刊丸5,’07、月刊世界の艦船3,’10、11,’20

　＜艦隊潜水艦＞：Fleet submarine。機動部隊と行動を共にできる航行能力を持ち、機動部隊全般の戦闘力を大きく拡張できる潜水艦。参考：ザ・マーチ17号

　＜機雷敷設潜水艦＞：機雷敷設筒を装備する潜水艦。隠密裏に機雷を敷設できるため、第２次大戦頃まで建造された。魚雷発射管に装填できる機雷が開発されたため、専用艦を作る必要が無くなり、第２次大戦後は廃れている。機雷をベルトで艦外に外装して艦内操作で１個ずつ敷設する装置も考案されたが、水中雑音増大や速力低下などの悪影響があるため、普及していない。参考：月刊世界の艦船9,’12増刊、6,’09、4,’18

　＜原子力巡航ミサイル潜水艦＞：SSGNを参照。

　＜原子力潜水艦＞：原子炉を主機として搭載している潜水艦で、艦種記号の末尾にＮを付ける（SSN、SSBN、SSGN）。酸素が要らないので長期間潜航や水中高速航行が可能であり、乗員が必要とする酸素や真水を豊富な電力を活かして供給できる。炭酸ガスは化学的に吸着し、一酸化炭素やSOX、NOXなどは電気触媒で分解する。原子炉の出力が在来型潜水艦のディーゼルの10倍くらいあるので、水中でも高速を発揮でき、消費電力の大きい電子機器も気にせず使用できる。1939年にアメリカ海軍研究所で考案され、1954年に世界初の原潜SSN-571ノーチラスが就役した。核抑止哨戒用には最適で、核保有国（安保理常任理事国５カ国＋インド）が核搭載弾道ミサイルSLBMとセットで戦略弾道ミサイル原潜SSBNとして配備している。攻撃原潜SSNの場合、戦闘に入って発艦のため全速航行している空母にも付いていけるので、機動部隊の護衛（主に対潜護衛）に加わることができるが、自分の航走雑音でソナーの能力が限定されるので注意が要る。在来型潜水艦と比較して雑音発生源が多いのが欠点で、蒸気タービン減速歯車や原子炉・蒸気タービン用冷却水ポンプから雑音が発生し、特に冷却水ポンプは止めることができない。一次冷却水は300℃14.7MPa、二次冷却水でも280-290℃6.86MPaもあるので、配管の強度を保ちつつ防振支持するのが難しく、アメリカ海軍では自然循環式の採用に至った。燃料交換の際には耐圧船殻を切り開く必要がある。原子力に関する高度な技術基盤、建造運用整備のための出費に耐えられる財政基盤、保有を認める世論が無いと配備できない。核燃料は数十年保つが、乗員が耐えられないので、１回の航海は２ヶ月強くらいが限界である。使用済み原子炉・核燃料の最終処分も問題となる。原子炉が緊急停止した事態に備え、非常用ディーゼル発電機と蓄電池も積んでおり、シュノーケルを備える。参考：月刊世界の艦船6,'21、2,’10、9,’16、7,’18、11,’18、2,'22、2,'23、兵器メカニズム図鑑、ザ・マーチ17号

　＜攻撃型原子力潜水艦＞：SSNを参照。

　＜攻撃型潜水艦＞：魚雷や潜対艦ミサイルを搭載し、敵艦船・潜水艦を攻撃する潜水艦。他に機雷敷設や哨戒任務などを行う。参考：月刊JWings2,’00、現代の潜水艦

＜在来型潜水艦＞：原子力以外の動力で航行する潜水艦のことで、原子力潜水艦の誕生を機に比較の意味で在来型という用語が生まれた。潜航中の行動を二次電池に依存するため潜航時間が短く、可潜型潜水艦ともいう。ディーゼル・エレクトリック方式や、AIP方式などがある。参考：現代の潜水艦、月刊世界の艦船11,'20、9,'16

　＜戦略型潜水艦＞：戦略核ミサイル（潜水艦発射弾道ミサイルSLBM）を搭載する潜水艦。国どころか下手をすれば世界を滅ぼせる程の能力を有する。固定サイロ式戦略核ミサイルと違い、先制攻撃で破壊される可能性が極めて少ないため、核抑止に必須の報復核戦力としてアメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中国（国連常任理事国である）が配備しており、戦艦に代わって国力の象徴となった。21世紀に入り、インドと北朝鮮が就役させている。巡航ミサイルでも戦略核攻撃が可能だが、これを搭載できるとしても戦略型潜水艦とは言わない。SLBMを運用できる大きさを第１に設計するため、静粛性に劣るという欠点があり、できるだけ仮想敵国の対潜戦力から離れた場所で運用し、攻撃型潜水艦の護衛も付ける。少なくとも１隻は仮想敵国対潜戦力圏外で常時哨戒に就いている必要があり、最低４隻を保有して１隻を哨戒、１隻を修理、１隻を訓練及び哨戒域への往復路、１隻を予備に充てる。哨戒中は核報復命令を受信できる態勢を維持しておく必要があり、通信の関係で深々度潜航能力はさほど要求されない。参考：月刊丸5,’07、月刊JWings2,’00、月刊軍事研究7,’05、艦載兵器ハンドブック改訂第２版、U.S.ウェポン・ハンドブック、月刊世界の艦船1,’18、8,’82増刊、10,’13、4,’18、2,’24

　＜戦略巡航ミサイル原子力潜水艦＞：SSGNを参照。

　＜戦略弾道ミサイル原子力潜水艦＞：SSBNを参照。

　＜対潜潜水艦＞：艦種記号SSK。敵潜水艦の攻撃を主任務とする潜水艦で、水中行動性能を重視している。近年は対潜戦が潜水艦の標準任務に組み込まれるようになっており、別分類にしないことも多い。参考：現代の潜水艦、月刊世界の艦船9,’12増刊

　＜弾道ミサイル原子力潜水艦＞：SSBNを参照。

　＜弾道ミサイル潜水艦＞：艦種記号SSB。SLBMを搭載した潜水艦で、普段は外洋を潜航しており、核戦争の際に報復攻撃を行うのが主任務である。戦略型潜水艦と同じ。世界初の弾道ミサイル潜水艦はソ連海軍629型ゴルフ級である。21世紀に入り、韓国海軍が通常弾頭型SLBMのみを運用するKSS-3型を配備した。参考：現代の潜水艦、月刊世界の艦船2,’24

　＜葉巻型潜水艦＞：船体中央が葉巻のように太い円筒形をした潜水艦。艦後部は涙滴型潜水艦のように絞られていて１軸推進だが、艦首部は涙滴型潜水艦よりも太丸い形状である。在来型潜水艦が多用する水中巡航速力域では涙滴型潜水艦とさほど抵抗が変わらず、兵装や艤装品を機能的に配置することが可能。参考：月刊世界の艦船10,’12

　＜舟型潜水艦＞：水上航行に適した船型を持つ潜水艦で、水上艦に似た形状をしている。参考：兵器メカニズム図鑑

＜マッコウクジラ型潜水艦＞：艦首がマッコウクジラの頭のような形状をした葉巻型潜水艦。魚雷発射管の配置の関係でこういった形になる。参考：月刊世界の艦船5,’22

　＜ミサイル潜水艦＞：艦種記号SSG。巡航ミサイルを搭載し、水上艦や地上目標を攻撃するための潜水艦。参考：現代の潜水艦

　＜涙滴型潜水艦＞：Teardrop hull type。水中航行に適した船型を持つ潜水艦で、水中航行時の圧力抵抗が最小になる流線型と、摩擦抵抗が最小になる球型の間を取り、水滴を横にしたような形状をしている。基本的に一軸推進なのでSSS（Single Screw Submarine）ともいう。主に水中を行動する原子力潜水艦用の船型としてアメリカ海軍がAGSS-569アルバコアで性能確認を実施したため、アルバコア型船殻とも呼ばれる（ただしホランド艇がほぼ涙滴型だった）。流体抵抗が少なく、プロペラ効率も良く、舟型潜水艦と同じ水中速力を発揮するのに半分以下の機関出力で済む。長さと幅の比は６くらいが最も推進効率が良いが、運動性や艦内スペースの関係で7-10くらいを採っていることが多い。水との摩擦による騒音も小さく、船体最後尾にプロペラがあるので、プロペラに押し出された水流が船体とぶつかって騒音を出すことも無い。水中で急に姿勢を変えた際の動的浮力の変化が少なく、不意に船体が沈み込んで圧壊深度を超えるような事も起きにくい。一軸推進なので、故障すると動けなくなるのと、出入港時など細かい操艦がしづらいのが欠点。太く丸い船体の殆どが海面下にあり、岸壁から上甲板までの距離がかなり遠くなるので、設備の無い港湾では上陸できない。上甲板から足を滑らせて海に落ちたりすると、船体側面の傾斜がきつく自力で這い上がるのは不可能なので注意。参考：現代の潜水艦、月刊世界の艦船9,’12増刊、9,'15、6,'21、兵器メカニズム図鑑、ザ・マーチ39号、月刊軍事研究1,’12、アメリカ潜水艦史、日本の防衛戦力Part3

　＜潜水艦（アメリカ海軍）＞：1862-65年の南北戦争で北軍がインテリジェント・ホエールによる航路封鎖、南軍がハンレー艇による攻撃を行った。特に有力な軍艦の無い南軍側が北軍による航路封鎖を解くためにアリゲーター、アルスティルト、パイオニア、パイオニア�U、ハンレー艇といった潜水艇を開発しており、ハンレー艇は潜水艦初の撃沈も記録している。この頃の潜水艇は外装水雷による半特攻兵器のようなもので、いわゆるヤンキー魂により敵艦に突っ込み、ハンレー艇は撃沈を記録した際に自艇も巻き込まれ沈没するという正に特攻状態だったのだが、この史実を受け入れず、民主的なアメリカ人は不自由で制限の多い潜水艦を運用できないと勝手に決めつけた日本軍が痛すぎる目に遭うのは80年後のことである。1895年3月、ホランド魚雷艇製造会社に潜水艇を正式発注。1900年、ホランド第９号艇（SS-1ホランド）が就役。1903年、Ａ級潜水艦７隻が竣工。1907年、Ｂ級潜水艦３隻が竣工。1908年、Ｃ級潜水艦５隻が竣工開始。1909年、Ｄ級潜水艦３隻が竣工開始。1909年計画でディーゼル搭載艦（Ｅ級とＦ級）の建造を開始。1912年、Ｅ級潜水艦２隻とG-1級潜水艦１隻が竣工。Ｆ級潜水艦４隻が竣工開始。1913年、Ｈ級潜水艦９隻が竣工開始。1914年、G-4級潜水艦１隻が竣工。Ｋ級潜水艦８隻が竣工開始。1915年、G-2級潜水艦２隻が竣工。1916年、L-1級潜水艦７隻が就役。1917年、L-5級潜水艦４隻、Ｎ級潜水艦７隻が竣工開始。4月6日の第１次大戦参戦時は43隻を保有、20隻を建造中だった。1918年、M-1級潜水艦１隻、O-1級潜水艦シリーズ16隻が竣工。Ｒ級潜水艦27隻が竣工開始。1919年、複電機子型二重電動機を採用した旧Ｓ級潜水艦シリーズ51隻が竣工開始。第１次大戦では戦果を挙げられず、戦後はドイツＵボートを参考に対日戦用艦隊型・大洋作戦型潜水艦を整備したが、配備先である第７任務部隊の主任務は哨戒監視と燃料輸送で、無制限潜水艦戦は日本の商船が武装しているか日本海軍統制下で運航している場合に限定しており、建造ペースは遅かった。1920年代、敵艦のプロペラ回転数で速力を割り出し、1000ヤード（914.4m）先で照準する聴音襲撃法を確立。1920年、Ｔ級潜水艦３隻が竣工開始。1924年、主機にブースト用ディーゼル・エレクトリック推進を採用したバラクーダ級潜水艦３隻が竣工開始。1928年、アーゴノート級機雷敷設潜水艦が竣工。1930年代、分画目盛り式測距儀Stadimeterを開発し、4000mまでで正確な測距を行えるようにした。1930年、ナーワル級潜水艦２隻が竣工。1932年、ドルフィン級潜水艦１隻が竣工。1933年、カシャロット級潜水艦が竣工開始。1935年、推進を完全ディーゼル・エレクトリック方式としたＰ級潜水艦が竣工開始。1937年、巡航速力15ノットの主力艦隊に随伴できる水上速力20ノットの新Ｓ級潜水艦16隻が竣工開始。ただ前部発射管が４門しか無く、攻撃力に劣るという欠点があった。1940年、魚雷発射諸元計算盤TDCを実用化。水上速力20ノットで前部発射管６門を備えるＴ級潜水艦が竣工開始。1941年、Ｍ級潜水艦が竣工。太平洋戦争では1500トン級の標準型航洋潜水艦であるガトー級（1941-48年197隻竣工）とテンチ級（1944-51年29隻竣工）を投入した。太平洋戦争勃発と同時に無制限潜水艦戦を発令したが、これが可能な航洋型潜水艦は48隻（全潜水艦でも110隻）しか無く数が足りず、更に艦隊随伴、潜望鏡による写真偵察、洋上哨戒、工作員及び物資輸送など多任務に投入され、Mk14魚雷の不調に艦長のやる気不良も加わって戦果が上げられなかったため、改良型魚雷を採用し通商破壊に専念するなど戦力や戦術を改善、1942年8月からは潜望鏡深度でも利用できるSJ水上レーダーを装備した。1943年1月に太平洋潜水艦隊司令官となったロックウッド少将は戦果の挙がらない艦長を次々と更迭し、攻撃位置に付くまで安易に潜らないよう命令、魚雷発射指揮装置や自動水中温度記録器といった最新装備を取り入れ、昼間は潜望鏡、夜間は浮上したままSJレーダーで目標を探し、投影面積が小さく見つかりにくい正面から接近、セイルに装備したメア・アイランド工廠型見張方位盤TBTで得た射撃諸元を基に、相手が無防備ならそのまま砲撃し、武装して反撃を喰らう恐れがあるなら射撃諸元を魚雷発射諸元計算盤TDCに送って半潜没状態から雷撃する戦法により、戦果を拡大した。雷撃は目標側面に回って実施するが、対潜艦艇に見つかった際の反撃ではそのまま正対した状態で雷撃する喉笛射法（太平洋戦争中に167回施行）、目標より相当優速なら後方から接近するキルトまくり射法を使っている。完全潜没でソナーのみに頼る聴音襲撃も太平洋戦争中に31回行っており、７回の命中判定を得た。1943年4月からは３隻１組（最大７隻）のウルフ・パックで襲撃をかけるようになり（1945年5月までに117回実施）、丸コードで日本の船団位置を把握、1943年9月からタンカー攻撃を実施し、1944年5月から駆逐艦に主目標を変更して海上交通破壊を徹底、全海軍軍人の1.7%しかいない潜水艦乗員が日本海軍駆逐艦43隻を含む軍艦201隻540192トンと日本商船の６割にあたる1113隻4779902総トンを沈め、日本の輸送能力を壊滅させた。太平洋戦争中の潜水艦からの魚雷発射数は14343本。日本軍の対潜能力が貧弱だったため、レーダーを恐れて潜航能力を重視した日独とは逆に、太平洋戦争後期には浮上攻撃用の砲を強化し、水上速力を向上させる要望を出した。また、1943年9月から航空機搭乗員救助も主任務となり、87隻が502名を救助している。太平洋戦争終結時には233隻が就役していたが、終戦で軍備を縮小、1945年秋にはＶ型までの潜水艦と修理に金が掛かる潜水艦全てを除籍し、Ｐ／Ｓ／Ｔ級全部とガトー級６隻とバラオ級半分を退役させる方針を決めた。太平洋戦争後の仮想敵は海洋輸送への依存度が低いソ連で、ソ連海軍がドイツの技術を取得して水中高速潜水艦の整備を始めたのに対抗するためと、レーダーなどの発達で水上航行が困難になってきたため、ガトー級やテンチ級にガピー改装を施して水中高速潜水艦に脱皮させ、新型水中高速潜水艦を建造し、浮上砲戦にしか使えない甲板砲を廃止。ただ通常動力では潜航時間が短く根本的解決にはならないため、浮上する必要の無い原子力潜水艦の開発を行うことにし、1946年からドイツの原潜構想を元に研究を開始した。太平洋戦争の戦訓や核戦略に基づき、潜水艦に新たな任務が加えられ、レーダー哨戒潜水艦や弾道ミサイル搭載潜水艦を建造している。1948年6月、ウエスティングハウス社とウィザード計画、GE社とジェミニ計画を結び、原潜用原子炉の開発を開始した。1950年8月、トルーマン大統領が原潜建造を認める法律に署名した。1951年、バラクーダ級対潜潜水艦３隻とタング級水中高速潜水艦が就役開始。1953年、実験潜水艦AGSS-569アルバコアとマッケレル級特殊任務小型潜水艦２隻が就役。1954年、初の原潜であるノーチラス級攻撃原潜が就役。1956年、潜水艦を原子力推進のみとする方針を決定。セイルフィッシュ級レーダーピケット潜水艦２隻が就役。1957年、シーウルフ級攻撃原潜１隻が就役したが、液体金属冷却原子炉に不具合が多発したため、以降は加圧水型に統一した。1957年、スケート級攻撃原潜４隻が就役開始。1958-60年、レギュラス�U戦略巡航ミサイルを搭載可能な戦略巡航ミサイル潜水艦３隻（グレイバック級、ダーター級、グラウラー級１隻ずつ）が就役したが、レギュラス�Uは1958年に開発中止となっており、レギュラス�Tを搭載した。ただ射程が短い、低速で迎撃されやすいといった欠点があり、以降はSLBMを搭載する戦略弾道ミサイル原潜の開発に進んでいる。1959年、世界初の涙滴型潜水艦でアメリカ海軍最後の通常動力潜水艦であるバーベル級攻撃型潜水艦３隻が就役。トライトン級レーダーピケット原潜１隻が就役。1959年、初の戦略原潜であるジョージ・ワシントン級５隻と、水中高速性能発揮のため涙滴型潜水艦としたスキップジャック級攻撃原潜６隻が就役開始。1960年、ハリバット級巡航ミサイル原潜１隻が就役。対潜能力強化研究を行うべく、タリビー級実験原潜１隻が就役。1961年、イーサン・アレン級戦略原潜５隻と、以降の攻撃原潜のひな形となるスレッシャー級攻撃原潜14隻が就役開始。1963年、ラファイエット級戦略原潜シリーズ31隻が就役開始。1967年、スタージョン級攻撃原潜37隻が就役開始。1968年、ドルフィン級実験潜水艦１隻が就役。1969年に自然循環式原子炉のテスト艦ナーワル級１隻、1974年に原子力ターボ・エレクトリック方式のテスト艦グレナード・Ｐ・リプスコム級１隻が就役し、試験の結果、自然循環式原子炉を使用した原子力蒸気タービン方式で進むことになった。1977年、ソ連水中高速攻撃原潜に対抗でき、トマホーク運用能力も持つロサンゼルス級攻撃原潜62隻が就役開始。1981年、オハイオ級戦略原潜18隻が就役開始。1981年、ハープーン潜対艦ミサイルの配備を開始。1995年末、潜水艦通信マスタープランを発表。ELFからEHFまでの電波で大量のデジタル通信を行い、水上艦、海軍機、司令部などと連携して攻撃を行うことになった。1997年、シーウルフ級攻撃原潜３隻が就役開始。2004年、ヴァージニア級攻撃原潜が就役開始。ソ連崩壊後のフロム・ザ・シー戦略の導入に伴い、水中を高速で長距離航行できる原潜により特殊部隊を海から派遣し、トマホークで支援する作戦を考案、2006年からオハイオ級戦略原潜のうち４隻をオハイオ級巡航ミサイル原潜として再就役させた。2007年、潜水艦用吸音コーティングの粘着性に問題があることが判明し、2011年までに解決した。原潜の主任務は、SLBMを搭載しての戦略パトロール、空母打撃群支援、魚雷やミサイルによる敵水上・水中戦力の撃破、トマホークによる対地攻撃、機雷敷設、各種情報収集及び偵察である。冷戦終結後は平時に10隻、有事に35隻を展開することにしているが、ロサンゼルス級攻撃原潜の退役が進むとヴァージニア級攻撃原潜の建造が追いつかないので、有事には潜水艦不足に追い込まれることになる。世界的な優位性を保つため、輸出は行わない。原潜には船底部に引き込み式補助プロペラが装備されていて、予備電池による低速航行が可能である。これは故障時の予備というよりは低速潜航時の騒音対策らしい。潜水艦救難専用艦は持っておらず、必要に応じてDSRVを空輸し、現場で艦艇により運用する。参考：アメリカ潜水艦史、第２次大戦のアメリカ軍艦、月刊世界の艦船3,’07、2,’10、6,’09、10,’13、9,’17、9,'22、現代の潜水艦、月刊軍事研究3,’99、6,’10、7,’15、5,’17、月刊丸5,’07、6,’01、ザ・マーチ39号、Ｕボート入門

　＜潜水艦（イギリス海軍）＞：1901年、ホランド型潜水艦５隻をヴィッカーズ社に発注したのが実用潜水艦配備の始まりである。1913年、Ｅ級潜水艦55隻が竣工開始。1916年、Ｋ級潜水艦が竣工開始。1918年、Ｍ級潜水艦、Ｒ級潜水艦（初代）が竣工開始。1925年、巡洋潜水艦X1が竣工。1926年、Ｏ級潜水艦が竣工開始。1930年、Ｐ級潜水艦が竣工。1930年、Ｒ級潜水艦（２代目）が竣工開始。1932年、テムズ級潜水艦とＳ級潜水艦が竣工開始。1933年、グランパス級敷設潜水艦６隻とポーパス級敷設潜水艦６隻が就役開始。1938年、Ｕ級潜水艦46隻、Ｔ級潜水艦53隻が竣工開始。1940年、P611級潜水艦４隻が竣工。1945年、Ａ級潜水艦が就役開始。1950年代初め、実験潜水艦エクスプローラーでヴァルター機関をテストした。1958年、ポーパス級哨戒潜水艦８隻が就役開始。1960年、オベロン級潜水艦14隻が就役開始。1963年、イギリス初の攻撃原潜であるドレッドノート級が就役。1966年、ヴァリアント級攻撃原潜２隻が就役開始。1967年、イギリス初の戦略原潜であるレゾリューション級が就役開始。1970年、チャーチル級攻撃原潜３隻が就役開始。1973年、スイフトシュア級攻撃原潜６隻が就役開始。1982年、原潜の除籍が始まったが、廃棄処分方法が決まらず、2021年現在も他の除籍艦と共に保管状態とされている。1983年、トラファルガー級攻撃原潜７隻が就役開始。1993年、ヴァンガード級戦略原潜４隻が就役開始。2010年、アスチュート級攻撃原潜が就役開始。ヴァンガード級戦略原潜後継のドレッドノート級戦略原潜を計画中。参考：月刊世界の艦船2,’10、12,'21、月刊軍事研究9,’12、12,’16、Ｕボート入門

　＜潜水艦（イタリア海軍）＞：1930年、バンディエラ級潜水艦４隻が就役。参考：月刊世界の艦船6,’09

＜潜水艦（インド海軍）＞：イギリスから潜水艦を取得しようとしたが拒否されたため、1965年にソ連と641型潜水艦４隻（と潜水母艦１隻）の取得協定を締結した。1968年、641型潜水艦８隻が就役開始。1971年、潜水艦用原子炉の開発を開始。1984年、原潜建造計画ATVを開始。1986年、209/1500型４隻と877型８隻の導入を開始。1988年、06709型SSGNをソ連からリースした。1994年にパキスタン海軍がアゴスタ90B潜水艦の配備を決定したことを受け、1997年にプロジェクト75で新しい通常型潜水艦24隻を配備することにした。1999年、通常型潜水艦配備計画をプロジェクト75で６隻＋プロジェクト75iで６隻の計12隻に変更した。2016年、アリハント級戦略原潜が就役開始。2017年、スコルペヌ級潜水艦（プロジェクト75）が就役開始。参考：月刊世界の艦船11,’18

　＜潜水艦（オーストラリア海軍）＞：1914年、イギリスからＥ級潜水艦２隻を購入し、第１次大戦に投入したが、1915年までに２隻とも失われた。第１次大戦後にイギリスから導入したＪ級潜水艦とＯ級潜水艦は整備している間に運用期間が終わり、第２次大戦中に対潜訓練用としてオランダからＫ�\を導入したが、これまた故障と部品枯渇により１年で退役している。第２次大戦後は対潜戦訓練のためイギリスから部隊を派遣してもらうことにし、1949年からイギリス第４潜水戦隊がシドニーに駐屯。1961年にイギリスが駐留経費を負担しきれなくなり1960年代末までの本土撤退を決めると、対潜訓練用潜水艦部隊を自前で揃えることにし、1967年からオベロン級潜水艦６隻が就役した。1996年、コリンズ級潜水艦が就役開始。1998年に女性乗員が誕生し、女性専用の居住区も設けられた。2011年、女性専用居住区を廃止し、男女とも同じ居住区で生活することになった。2016年4月、コリンズ級潜水艦の後継としてショートフィン・バラクーダ／アタック級を採用した。2021年9月、アタック級でなく攻撃原潜SSN・AUKUSの導入を決めた。参考：月刊世界の艦船12,’18、10,’11

　＜潜水艦（オランダ海軍）＞：艦種記号は本土向けがOnderzeër（潜水艦）の頭文字Ｏ、植民地警備用がKolonie（植民地）の頭文字Ｋで、後ろに艦番号が続く。第２次大戦時の貸与潜水艦には水棲生物の名前を付けている。第２次大戦終戦後は水棲生物名を付与した。参考：月刊世界の艦船11,’20

　＜潜水艦（海上自衛隊）＞：主任務は日本周辺海域の防衛及びシーレーン確保で、特にシーレーンの脅威となる敵潜水艦との戦闘を重視しており、他に対水上艦戦闘、機雷敷設、哨戒などを実施する。平時には警戒監視や情報収集を行っている。ちなみに潜水艦導入当初の主任務は対潜戦訓練で仮想敵を務めることだった。航続性能が未公表なので作戦可能範囲は不明だが、リムパックでハワイに行ったり訓練でフィリピンやベトナムに行ったりしており、一説にはバシー海峡まで行動範囲に収められるといわれる。トップは艦長で、副長は航海長が兼務する。次いで機関長、船務長、水雷長、…という序列である。副長は教育係士官と安全係士官、水雷長は警衛士官、船務長は秘密保全責任者、機関長は潜航係士官、補給長は福利厚生係士官と広報係士官を兼ねる。分隊は４個編成。長期航海では医官が同乗する。患者がいない場合、衛生員は給養員と共に食事の準備を行う。個室があるのは艦長だけで、士官居住区には無影灯が設置されていて治療室を兼ね、曹士は通路とカーテン１枚で仕切られた三段ベッドが居住空間である。隊員は水上艦で1-2年間勤務し、潜水艦教育訓練隊の海曹士潜水艦課程／幹部潜水艦課程で６ヶ月の基礎教育と１年間の乗艦実習を受け、試験に合格して潜水艦乗員となる。海曹士は潜水艦で勤務しつつ術科学校で特技ごとの海曹士課程をクリアし、海曹士専修科潜水艦課程に進み、上級海曹課程を受講して先任伍長となる。幹部は各分隊の配置を１年くらいずつ経験し、優秀な乗員はまず水雷長となり、術科学校で幹部中級課程を１年間受講、そのまま潜水艦戦術課程へと進む。教育が終われば船務長と機関長を経て副長になり、選抜試験に受かれば指揮幕僚課程や専攻科課程を受講（しなくても良い）、勤務実績から艦長の資格ありと判断されれば潜水艦指揮課程に入り、艦長になる。潜水艦乗員のモットーは「我ら戦闘の用にあり」。機密性が高く、部外者の艦内立ち入りは基本的に不可、出港・帰港日を事前に知っているのは上級部隊と乗員のみで、家族にさえ教えない。停泊から出港までは３・４ワッチ（0800から４時間交替、2000から３時間交替）態勢で、１つの時間帯で当直を行い、続く２つの時間帯は休む、を繰り返す。出港後は常に戦闘態勢であり、三直哨戒配備（６ワッチ。当直６時間、休み12時間を繰り返す）を行いながら１ヶ月以上シュノーケル潜航と完全潜航を繰り返しつつ行動する。昼夜の区別がつかなくなるので、時計を見て夜の時間帯には照明を赤ライトに変更する（潜望鏡で外を見る際の暗順応も兼ねる）。母港から離れて長期間活動するためか艦型が大型で、乗員数も多い。艦内の調度品にはハッチより大きいものもあるが、分解組み立て式になっていて、ハッチから艦内に入れた後で組み立てて設置する。魚雷は丸ごとハッチから斜めに入れる。生活雑音を防ぐため、通路はカーペット敷きで、靴はゴム底の運動靴、食器はプラスチック製で落としても音が出ない。戦後初の潜水艦はアメリカから1955年に供与されたSS-501くろしおで、それに合わせて潜水艦の艦種を自衛艦の種別として1955年1月18日に制定、1956年8月に艦種記号SSと501以降の艦番号を定め、1957年9月に公式制定した。その前の1953年には川崎重工と三菱重工が潜水艦建造再開に備えて日本海軍潜水艦建造関係者や呉海軍工廠要員からなる潜水艦懇談会を設け、1954年には海上幕僚監部も水中兵器研究会を立ち上げ、1956年度予算で国産化に入り、SS-511おやしおが1960年に竣工した。ただ潜水艦乗員がくろしお派とおやしお派に分かれて余計な軋轢を生じることもあったらしい。1960年10月1日、区分・自衛艦−大分類・警備艦−中分類・機動艦艇の下の種別となった。おやしおの後は専ら国産となり、局地防衛用のはやしお型（1962年２隻竣工）、改良型のなつしお型（1963年２隻竣工）を建造した。なつしお型の代わりに訓練専用300トン艦３隻を建造する案もあったが、運用効率が悪いということで却下されている。航洋型は1961年におおしお型を建造し、改良型のあさしお型４隻を1966年から配備した。セイルに艦番号と船体後部に艦名を記入していたが、1976年9月25日付で記入しないことになり、公試の際に入れた艦番号と艦名を、就役直後の配備先での入港歓迎行事終了後に消すようになった（はやしお型となつしお型は退役まで残した）。1971年就役開始のうずしお型７隻で涙滴型船体を採用したが、就役後の改良で艦内スペースが足りなくなった。また、円筒形ソナー・アレイを装備して全周音源探知を可能としたが、同時複数目標対処能力が無く、魚雷も能力不足気味だった。これらを解決すべく船体を大型化して射撃指揮装置と搭載魚雷を改良したゆうしお型10隻を1980年から配備したが、同時期にP-3C対潜哨戒機が登場して完全パッシブ・オペレーションによる被撃沈判定を連発され、運用面での雑音低減を図る必要性に迫られている。1976年策定の51大綱で６個潜水隊16隻を配備し、宗谷・津軽・対馬海峡に１個ずつ配置することになった。1990年から７隻就役したはるしお型では静粛性を高め、新型の89式魚雷に加えてハープーン潜対艦ミサイルも発射可能としている。1998年から11隻就役したおやしお型では葉巻型船体に側面アレイを装着して水中探知能力を向上させ、雑音低減によるパッシブソナー対策を強化すると共に、水中吸音材・反射材によりアクティブソナーに対するステルス性を獲得した。2004年の16大綱で、統合運用に伴う改編を行い、潜水艦数は16隻のままだが潜水隊を４個に減らすことになった。2009年からはAIPを搭載して作戦海域滞在期間を高め、蓄電池に貯めた電力を攻撃機動時に集中させることが可能なそうりゅう型12隻が就役した。ただAIPの能力に不満があったらしく、そうりゅう型最終２隻と後継の3000トン型潜水艦29SSはAIPと鉛蓄電池を降ろしてリチウム電池を積むことにしている。平成23年度以降に係る防衛計画の大綱で４個潜水隊16隻から６個潜水隊22隻に増やすことになったが、海上自衛隊の定員は増えておらず、運用に支障が生じるかもしれない。運用年数も16年から22年（練習潜水艦として使うなら24年くらい）に延びるので、途中で艦齢延伸・近代化改装を行い能力を維持する。2022年3月、たいげい型１番艦が就役し、６個潜水隊22隻体制になった。参考：現代の潜水艦、月刊丸1,’10別冊、月刊世界の艦船9,’12増刊、10,’13、9,'15、1,’18、1,’19、1,’02、11,’00、4,’11、8,’11増刊、10,’12、11,'20、5,'22、MAMOR vol.50、vol.87、月刊軍事研究10,’15、日本の防衛戦力Part3

　＜潜水艦（台湾海軍）＞：1973年、海獅級２隻が就役。1987年、海龍級２隻の受領を開始。2014年、潜水艦の自力開発を発表。2019年に設計を終えて2024年に１番艦を完成させる予定とした。2020年11月24日、台湾初の国産潜水艦であるIDS／海鯤級１番艦のファースト・スチール・カットを台湾国際造船で実施。12月、アメリカから戦闘システムとソナーの輸出許可が下りた。2021年3月、アメリカから潜望鏡の輸出許可が下りた。4月2日、台湾国防部が国産潜水艦建造に欧州諸国が関与していると発表した。11月、海鯤級１番艦を起工。参考：月刊世界の艦船6,’21、7,’21、2,’22、5,’22

　＜潜水艦（中国海軍）＞：1950年代半ばにソ連からＭ級潜水艦が引き渡された。その後613型潜水艦も20隻以上配備している。1962年、033型ロメオ級潜水艦シリーズ84隻の量産を開始。1966年、031型弾道ミサイル潜水艦１隻が進水。1974年、035型明級潜水艦シリーズ22隻が就役開始。1974年、初の原潜である091型漢級攻撃原潜が就役開始。しかしトラブル続きで実用レベルに達したのは1980年になった。1987年、初の戦略原潜である092型夏級が就役開始。しかし陸上の弾道ミサイルと違い常に核弾頭をミサイルと一体化していなければならない、乗員に発射権限を与える必要がある、といった戦略原潜特有の運用条件が、絶対的権力を持ち核兵器を強力に管理する中央軍事委員会の政治方針と合致せず、実際には運用できていないという指摘もある。1995年、877EKM型キロ級潜水艦２隻がロシアから回航された。1996年、636型改キロ級潜水艦が就役開始。1999年、039型宋級潜水艦シリーズ13隻が就役開始。2005年、636M型改キロ級潜水艦８隻が就役開始。2006年、039型元級潜水艦と093型商級攻撃原潜が就役開始。2007年、094型晋級戦略原潜が就役開始。2012年、032型清級実験潜水艦１隻が就役。参考：月刊世界の艦船2,’10、10,’12、月刊軍事研究3,’16、4,’10

＜潜水艦（ドイツ海軍）＞：1850年、セバスチャン・ヴィルヘルム・ヴァレンチン・バウアーがブラントタウハー（燃料潜航艇）という名称の潜水艇を自作したが、1851年2月にキール港で潜航実験を行った際に沈没した。1902年2月、フランスのジムノートをベースにしたフォレルの建造を開始、1903年6月8日に完成して皇帝の拝謁や皇太子の体験乗艇を受けるなどしたが、プロシア海軍には採用されなかった。これに注目したロシア海軍がフォレルをテストした上でクルップ社に潜水艇を注文、プロシア海軍で実用試験に供したところ良好な成績を収めたので、ほぼ同型の潜水艦をプロシア海軍でも発注し、1906年12月14日にドイツ初の実用潜水艦U-1を配備した。第１次大戦勃発時には潜水艦28隻を保有していた。1915年2月から敵国商船への無警告撃沈を開始したが、アメリカ参戦を防ぐために中立国船舶や病院船への攻撃は行わなかった。イギリス海軍に制海権を握られて水上艦での通商破壊が行えなくなると、クルップ社の工業力、マン社のディーゼル、シーメンス社の電動モーター、ツァイス社とライス社の光学装置を組み合わせて潜水艦を一気に発展させると共に、大量生産を開始。1917年2月18日から無制限潜水艦作戦に切り替え、月当たりでそれまでの倍以上の商船を沈めて潜水艦（Ｕボート）といえばドイツとされるほどの威力を発揮した。しかし護送船団方式や飛行機による監視で商船に近づけなくなると、戦果を挙げられなくなっている。第１次大戦後はベルサイユ条約で保有を禁じられたが、戦訓や他国潜水艦の研究、関連工業技術維持向上に努めた。1922年、オランダのハーグにN.V.Ingenieurskaantor voor scheepsbouw造船技術会社を設立し、外国向けに潜水艦の設計及び生産を開始。1927年から潜水艦隊再建計画を密かに立案、1933年10月にはキールに対潜訓練学校という名の潜水艦乗員訓練学校を設立し、250トン型（Ｕボート�UＡ型）６隻、712トン型（Ｕボート�TＡ型）２隻の建造に着手した。1935年3月にベルサイユ条約を破棄すると6月にはイギリスと英独海軍協定を結び、7月に250トン型沿岸防備潜水艦及び500トン・750トン型航洋潜水艦の建造計画を発表した。その後の量産計画ではカール・デーニッツ潜水隊司令官の意見を入れて狼群戦法に適した多数の中型潜水艦を建造することとし、新型の500トン（Ｕボート�Z型）・750トン型（Ｕボート�\型）潜水艦とＵボート�U型潜水艦の生産を行うことになった。実戦部隊は戦隊を編成し、定められた海域ごとに数個戦隊が割り当てられてＵボート指揮官FdUをトップとするＵボート戦隊司令部が指揮、FdUはＵボート司令官BdUが統括する。Ｕボート戦隊司令部には西部（パリ。1944年10月からノルウェーのベルゲン）、ノルウェー／北海（ナルヴィク）、イタリア／地中海（ローマ）があり、1944年5-8月には連合軍のヨーロッパ反攻に備えて中央Ｕボート戦隊司令部が設けられている。1939年10月17日にデーニッツがBdUに任命され、BdU司令部組織が作戦担当のBdU-Opと管理担当のBdU-Orgに分かれた。第２次大戦開戦が予定よりも早くなったため、Ｚ計画を完遂することができず、ドイツ海軍は潜水艦を中心とする通商破壊作戦を主に実施することにし、航洋型潜水艦を1939年に14隻、1940年に40隻、1941年に245隻、1942年に349隻建造することにした。目標探知用ソナーとしてバルコン・ゲレートを搭載し、目標から5-6海里に接近すると攻撃用アクティブソナーのズーフ・ゲレートに切り替え、G7a・G7e魚雷を発射した。1942年から連合軍の対潜哨戒網が密になり損害が増したのを受け、レーダー逆探知装置メトックスを搭載し、対空レーダーを装備、船体にはタルンメッテ電波吸収材を塗布し、37mm単装機関砲１門及び20mm連装機関砲２基の搭載などを行った。それでも損害が続出したために1942年9月以降はシュノーケルを装備した（欠点も多く配備は進まず、全艦に装備されたのは1944年夏）。ただ根本的な原因は連合軍がセンチメートル波レーダーを使用していることに気付かなかったからで、1943年2月に撃墜した機体からそれを発見し、夏からセンチメートル波対応のナクソスを装備、次いで1944年にチュニス、ホーエントヴィールを装備したが、航空機の脅威を完全に抑え込むには至らず、一時はルーデル・タクティクを諦めて大西洋から潜水艦を全て引き揚げざるを得なかった。もう１つの原因はルーデル・タクティクの際に味方潜水艦を集めるため使用した無線電波をHF/DFにより逆探知されていたためで、通信時間を数十分の１秒に圧縮できるクリエルを1944年中頃から装備し、長波通信装置ゴリアートにより司令部からの通信を潜航中に受け取るようにして対抗している。アスディックに対しては、探信音が聞こえたら海底沈座でやりすごす戦法をとり、船体にアルベリヒ音響吸収材を貼り付けた。1942年12月、FaTパターン航走魚雷を採用。1943年9月、ツァーンケーニッヒ誘導装置付魚雷を投入、１ヶ月弱で護衛艦に24本を発射して12隻を撃沈する大戦果を挙げたが、以降はフォクサーに惑わされて効果が上がらなかった。対空兵装はそれなりに強力だったが、連合軍が射程の長いロケット弾や40mm機関砲を使用するようになると手も足も出なくなり、攻撃を受けたら水中に潜って逃げるしかなくなった。水中行動能力向上という抜本的な改良を施すためにワルター・タービン艦の開発を1940年から行っていたが、実用化に時間が掛かるとみられたため、高性能電池による水中高速潜水艦を開発することに決定、1943年8月13日に在来型のＵボートのうち未起工のもの及び工事進捗度の低いものを全て建造取りやめとして電池動力式水中高速潜水艦の建造に本格的に切り替えることとした。これに基づいてＵボート�]�]�T型の大量建造を行ったが、油圧系統などの初期故障に悩まされ、戦果は挙げられていない。水上と水中を同一機関で長時間航行できるワルター・タービン艦は、結局実用化できなかった。1944年、テティス／アフロディーテ対レーダー・デコイを装備。第２次大戦末期には対アスディック用デコイのボルト、ジークリンデ、ジークムントを開発したが、実用化前に終戦を迎えている。第２次大戦中は連合国との間で技術開発のイタチごっこが続いたが、結局は質と量に押し潰される結果となった。参考：Ｕボート入門、ナチスＵボート、月刊丸5,’07、日本潜水艦物語

＜潜水艦（ドイツ連邦海軍）＞：1962年、205型潜水艦12隻が就役開始。1973年、206型潜水艦18隻が竣工開始。2005年、212A型潜水艦４隻が就役開始。2014年、女性の勤務が可能となった。参考：世界の潜水艦ハンドブック改訂第２版、月刊世界の艦船12,’16

＜潜水艦（日本海軍）＞：明治37年8月1日に日本海軍初の潜水艦ホランド型が軍艦旗を掲揚した。アメリカに発注された当時は機密の関係もあって潜航水雷艇と呼ばれ、就役時は特号水雷艇（第１特号水雷艇、第２特号水雷艇）と呼ばれており、日露戦争終結直後に潜水艇という艦種が設けられた。大正8年3月、艦隊令が改訂されて艦種名称が潜水艦に変更され、水上基準排水量1000トン以上の一等潜水艦、1000トン未満500トン以上の二等潜水艦、500トン未満の三等潜水艦に分類された。艦の順位は駆逐艦と水雷艇の間で、艦政上は軍艦ではなく艦艇の下の種別の１つである。潜水艦は通し番号で命名していたが、海大型、海中型、巡潜型、敷設潜水艦などが並行建造されるようになると不便になり、大正13年11月から一等潜水艦を伊号、二等潜水艦を呂号、三等潜水艦を波号と呼ぶようになった。伊号は概ね1.5-2.5ヵ月、呂号は１ヶ月くらい行動する。更に艦番号によって細分化が試みられており、巡洋潜水艦は伊１以降、機雷敷設型は伊21以降、海大型は伊51以降、フィアット型（Ｆ型）は呂１以降、海中型は呂11以降、ヴィッカーズ中型（Ｌ型）は呂51以降といった形にしたが、巡洋潜水艦の建造数が50隻を超えてしまい、敷設型を121番台、海大型を151番台に分類し直した。また、伊14の次の潜水艦を伊１にしたり、乙型改２と丙型に伊号の奇数・偶数番を割り当てて交互に建造したものの、分かりにくかったためか２年後にこの方針を撤回したりと、かなりややこしい事になっている。昭和9年、排水量500トン未満の潜水艦が全て退役してから５年を経過し、以降も甲標的などの例外を除いてこのクラスの潜水艦を建造する見込みが無かったため、三等潜水艦の分類を廃し、1000トン以上の一等と未満の二等の２つにした。太平洋戦争後期に再び500トン未満の小型艦を建造するようになったが、三等潜水艦の分類は復活させず二等潜水艦とし、艦名だけ波号潜水艦にしている。トップは潜水艦長（大型艦は中佐、小型艦は少佐）で、軍艦の艦長に相当する所轄長は潜水隊司令（大佐）になるので、潜水艦長は軍艦の砲術長や航海長に相当する配置である。軍艦の機関長、軍医長、主計長にあたるのは潜水隊機関長、潜水隊軍医長、潜水隊主計長で、潜水隊に所属する潜水艦のどれに乗り込むかは潜水隊司令が指定した。潜水艦に副長はおらず、代わりを先任将校が務める。席次から言えば潜水艦長の次席は機関長だが、軍令承行令で指揮権の継承順として機関科将校より兵科将校を優先しているので、水雷長（太平洋戦争中には潜航指揮官とも呼ばれた）が先任将校となった。潜水艦士官は海軍兵学校卒業後、少尉２年目で砲術長兼通信長として潜水艦に搭乗し、水雷学校高等科を卒業した後に航海長となり、潜水学校乙種学生を卒業すると水雷長になり、潜水学校甲種学生を卒業して潜水艦長となるというコースを歩む。通信学校高等科卒で潜水艦長になったのは伊168潜水艦長でCV-5ヨークタウンを沈めた田辺彌八少佐だけである。昭和17年以降は制度が改定され、潜水学校普通科、同高等科（水雷学校と潜水学校乙種を併せたもの）、同甲種学生を経て潜水艦長（中佐）となった。ただし潜水艦の増産で士官が足りなくなると、１週間の教育で急遽潜水艦に回されることもあったという。乗員は士官、特務士官、特修科練習生、高等科練習生、普通科練習生、先任伍長などで、大部分は水上艦勤務の後に普通科練習生を卒業したマーク持ちの下士官（練習生）であり、兵は古参の兵長・一等兵が数名程度である。ただ太平洋戦争後半になると乗員が足らなくなり、昭和19年3月からは海兵団を出たばかりの新兵が海軍潜水学校で掌潜航兵となって配属されるようになった。人数が少ないので、水上航行時、潜航時、砲戦時、魚雷戦時など状況に応じて別の役目を掛け持ちする。艦長や士官も部下と同じ食事を取り、甲板整列も無く、乗員達は家族同然と言われた。無事に帰投した時に艦内で開く宴会も艦長以下全員同席で、停泊中の食事は風通しの良い上甲板で食べ、洗濯物も上甲板の手摺りで乾かしと、戦闘や航行に関係無い規律はさほど厳しくはない。艦内が暑くなれば艦長もシャツ一枚である。合い言葉は一蓮托生で、一人のミスで全員が死ぬこともあるため、勤務年数の浅い士官をベテランの部下が支えることも多かった。水上航行時はディーゼルエンジンを使うので、大量の空気が艦橋のハッチから艦内に流れ込み、艦内風速は15-20mにも達する。一方で、風の通らない前方の室は湿気が溜まってしまう。一応ヒーターは付いているが、潜航中は節電のため使えない。潜航した際の換気用パイプが用意されていたが、風通しは悪く、被服は湿りっぱなし、機械は錆びまくりである。個室が用意されているのは艦長のみで、大型艦では艦長予備室があって司令が使用する。准士官以上は士官室を公室兼寝室として共同利用した。寝床は釣床ではなく、折り畳み式または作り付けの2-3段ベッド（カイコ棚と称する）か、チストの上であり、バンド２本で体を固定して転げ落ちないようにする。炊事場は発令所の後方にあり、電気釜がセットしてある。戦闘力を維持するため、食事は優遇されており、太平洋戦争末期でも変わりなく提供された。帰投後に十分な休養が取れるよう、各鎮守府に温泉旅館を利用した専用の休養所（横須賀は熱海、呉は別府、佐世保は嬉野）も設けている。日露戦争中にアメリカのエレクトリック・ボート社へホランド型を発注したのが始まりであり、就役は日露戦争後の明治38年になった。当初は横須賀に配備されたが、小型すぎて冬の東京湾の波にも耐えられず、呉に移動している。日露戦争中に早くも国産潜水艇（ホランド型改）の建造を開始し、明治39年に就役している。日露戦争後、イギリスから波１型（明治41年２隻就役）と波３型を輸入。大正元年、波６型潜水艦１隻が竣工。第１次大戦勃発で日本海軍独自設計の海中１型・２型・３型の建造を開始。大正6年、波７型潜水艦２隻が竣工。大正6年、波９型潜水艦２隻が竣工開始。第１次大戦終結で手に入れた戦利Ｕボート７隻を詳細に分析し、巡潜１型や機潜型などの建造に繋げた。また、これまでイギリス、フランス、イタリアを参考として潜水艦を開発していたのをドイツ重視に転換、大正13年にはドイツからテッヘル博士を招いている。大正8年、海中１型２隻が竣工。大正9年、呂１型を導入。L1型２隻が竣工。大正9年、海中２型３隻と海中３型10隻が竣工開始。大正10年、L2型潜水艦４隻が就役開始。ワシントン条約締結により採用された洋上の漸減作戦では、アメリカ主力艦隊の出撃基地となるハワイ周辺に展開し、敵の動静を探ると共に、出撃した敵を追尾して攻撃を仕掛け、また決戦予想海面の前方でも待ち伏せ攻撃を実施するという任務が与えられ、これに基づいた大型潜水艦（海大型、巡潜型）の開発・運用が行われた。巡潜は旗艦用の甲型１隻、水偵搭載の乙型６隻、重雷装の丙型３隻で１個戦隊を編成し、ハワイの西に４個戦隊を展開する予定としている。大正10年、海大型の建造を開始。L2型潜水艦４隻が竣工開始。大正11年、呂３型潜水艦を導入。大正11年、L3型潜水艦３隻が竣工開始。大正12年、海中４型３隻、特中型４隻、L4型９隻が竣工開始。大正13年、海大１型１隻が竣工。大正14年、海大２型１隻が竣工。大正15年、巡潜１型／１型改５隻が竣工開始。昭和2年、海大３型ａ潜水艦４隻と機潜型４隻が竣工開始。昭和3年、海大３型ｂ潜水艦５隻が竣工開始。昭和4年、海大４型３隻が竣工開始。昭和7年、海大５型３隻が竣工。昭和9年、海大６型ａ潜水艦６隻が竣工開始。昭和10年、巡潜２型１隻が竣工。昭和10年、海中５型２隻が竣工開始。昭和12年のマル三計画（13隻）から昭和15年のマル六計画（67隻）に進展するにつれて潜水艦建造予定数が相当の伸びを示しており、海軍が潜水艦に対してかなりの期待を寄せていたことが分かる。昭和12年、巡潜３型２隻が竣工開始。昭和13年、海大６型ｂ潜水艦２隻と仮称71号艦が竣工。昭和15年、巡潜丙型５隻と巡潜乙型20隻が竣工開始。昭和16年、巡潜甲型３隻が竣工開始。昭和17年、海大７型10隻と小型18隻が竣工開始。昭和17年12月の改マル五計画で潜水艦の量産が求められたため、昭和19年度以降に起工する巡潜甲・乙・丙型と潜特型の代わりに中型と潜戊型に絞って建造することとした。昭和18年、巡潜乙型改一潜水艦６隻、巡潜丙型改３隻、中型18隻が竣工開始。昭和19年、巡潜甲型改一潜水艦１隻、巡潜乙型改二潜水艦３隻、巡潜丙型３隻が竣工。昭和19年、巡潜甲型改二潜水艦２隻、潜特型３隻、潜輸小型10隻が竣工開始。昭和20年、潜丁型１隻、潜高型３隻、潜補型１隻、潜高小型10隻が竣工。搭載魚雷は優秀で、潜航能力や航続距離（本土からカリフォルニアまで無給油で行動できる）も優れており、水上偵察機を搭載するなど独自の発展を遂げたが、太平洋戦争末期までレーダーが無く、水中探知装置が貧弱だった。水上機も運用の際には敵に接近して浮上する必要があり、次第に使用できなくなった。速力が低いので待ち伏せ攻撃が主任務だが、漸減戦法の一翼を担う任務を想定していたことから運用法を間違い、昭和14年の小演習で２個潜水戦隊が紀伊水道でのチョーク・ポイント待ち伏せによる漸減戦法予行を行ったところ戦果無く２隻を沈められ、昭和15年の特別大演習で海上交通破壊作戦をシミュレートしたところ２個潜水戦隊で133隻の撃沈判定を得るといった結果も活かされず、太平洋戦争に突入している。真珠湾攻撃では対潜警戒が厳重すぎて潜水艦は役に立たず、戦果により艦隊決戦の見込みも無くなり、第３潜水戦隊では漸減戦法でなく海上交通破壊作戦に使用すべきとの意見を第６艦隊に出したが、アメリカが戦略物資の入手手段を海外からの海上交通による輸送に依存していないこともあり、敵艦隊の監視襲撃が潜水艦の最優先任務であるとの方針は変わらず、太平洋戦争初期にはドイツからの助言をはねつけて、アメリカからオーストラリアや南方戦線を結ぶシーレーンの輸送船攻撃でなく防備の堅い艦隊攻撃に使用した（輸送船への雷撃は１発に制限された）ために損害を出し、中期以降は攻撃ではなく輸送船代わりに使用（マル通作戦）されて戦果を挙げることができなかった。他にも搭載機を使用した偵察や爆撃、陸上砲撃、特殊作戦、遣独任務、回天母艦など種々の任務を背負わされ、これらの任務に投入する専用潜水艦まで建造したため、量産に支障を来している。主機はディーゼル直結推進方式を採用。昼間は見つかりやすいので定速2-3ノットで潜航（これならバッテリーは30-40時間保つ）し、夜に浮上して充電するのが基本行動だが、散開線での監視のため昼間に水上強行や水上待機を命じられることもあり、散開線自体も頻繁に変更命令が出され、更にその命令への返信を求めたせいで無線通信を逆探知されたりもした。挙げ句の果てに散開線を読まれて一網打尽にされる事態も生じている。装備や機関を目一杯詰め込んでいたため、水中騒音がやたらと大きく、ソナーで探知される危険も高かった。逆探を装備していたものの、メートル波用だったため、アメリカ軍が極超短波レーダーを使用し始めると対応できなくなっている。太平洋戦争中には軍用艦23隻（正規空母２隻、護衛空母１隻、重巡１隻、軽巡１隻など）と商船171隻849097総トンを撃沈した。通商破壊作戦は昭和18年3月から同年末までに限定され、インド洋で延べ15隻により27隻172000トンを、南太平洋で延べ17隻により21隻135000トンを撃沈した。保有潜水艦187隻中127隻を失い、終戦を迎えた。日本海軍が保有した潜水艦は計241隻（太平洋戦争で編入した独伊潜水艦８隻含む）で、排水量1000トン以上119隻、500-1000トン85隻、500トン未満37隻、竣工時期は明治12隻、大正53隻、昭和1-15年末39隻、昭和16年から終戦まで129隻。他に実験用として使用した第１次大戦戦利潜水艦７隻や、水中高速実験潜水艦仮称71号艦などがある。また、甲標的は190隻が竣工した。昭和21年4月1日、終戦時に残存していた潜水艦のうち24隻がアメリカ海軍により五島列島沖で海没処分された（Operation Road’s End）。参考：日本潜水艦物語、現代の潜水艦、月刊軍事研究7,’04、激闘太平洋戦記、潜水艦気質よもやま物語、続潜水艦気質よもやま物語、帝国陸海軍事典、小艦艇入門、日本海軍艦隊総覧、歴史群像6,’08、10,’08、6,’14、4,’18、海軍技術研究所、月刊世界の艦船6,’09、12,’11、9,’13増刊、9,’14、9,’12増刊、12,’15、丸スペシャルNo.78、月刊丸12,’10、護衛空母入門

　＜潜水艦（フランス海軍）＞：1800年、潜水艇ノーチラスの開発を支援したが、採用には至らなかった。1863年、潜水艇プロンジュールを進水させたが、戦闘における実用性には欠けていた。1888年、電動潜水艦ジムノートとモールスが竣工。1899年、実用的な潜水艦であるナーヴァル級11隻が竣工開始。1913年、マリオット級艦隊随伴型潜水艦が竣工。このあたりまでは世界をリードしていたが、主機に蒸気機関を使用したため進歩が遅れ、第１次大戦で陸戦兵器の開発に集中したためドイツの後塵を拝することとなった。1926年、ルカン級潜水艦が就役開始。1927年、シレーヌ級潜水艦４隻が竣工。1928年、アリアーヌ級潜水艦４隻が竣工開始。1929年、シルセ級潜水艦４隻が竣工開始。1930年、サフィール級機雷敷設潜水艦６隻が就役開始。1931年、ルドゥタブル級潜水艦が就役開始。1932年、オリオン級潜水艦２隻が竣工。ディヤーヌ級潜水艦９隻とアルゴノート級潜水艦５隻が竣工開始。1934年、シュルクーフ級巡洋潜水艦１隻が竣工。1936年、ミネルブ級潜水艦６隻が竣工開始。第２次大戦まで外装式魚雷発射管を多用しており、55cmと40cmを併用した。1944年、イギリスからナルヴァル級潜水艦１隻が引き渡された。1970年代からSSBNを運用しており、SSBNへの指令はVLF（20.9-21.05KHz）通信設備を持つ陸上基地から行う。冷戦中はSSBN３隻が常時パトロールを行っていたが、冷戦終結後は１隻のみになったようだ。原子炉用核燃料は低濃縮ウランで、10年ごとに燃料交換が必要だが、専用ハッチがあるので４ヶ月で終わる。1971年、ル・ルドゥタブル級SSBN６隻が竣工開始。1977年、アゴスタ級４隻が就役。1983年、リュビ級／アメティスト級SSN６隻が竣工開始。1997年、ル・トリオンファン級SSBN４隻が竣工開始。2007年からリュビ級SSNの後継となるシュフラン級（バラクーダ級）を建造中。参考：月刊世界の艦船6,’09、2,’10、11,'22、月刊軍事研究6,’10、9,’12、Ｕボート入門、日本潜水艦物語

　＜潜水艦（ロシア海軍）＞：クリミア戦争の戦訓から沿岸警備用潜水艇の開発に着手、第１次大戦ではイギリスと共同で通商破壊作戦にあたったが、あまり積極的には運用されなかった。1915年、敷設潜水艦クラブが竣工。1932年、Ｍ型潜水艦111隻が竣工開始。バルバロッサ作戦時には潜水艦211隻を保有しており、バルチック艦隊、北洋艦隊、黒海艦隊、太平洋艦隊に配備されていたが、日ソ中立条約締結に伴い、太平洋艦隊の潜水艦を北洋艦隊や黒海艦隊に移動させていた。主任務はシーレーン破壊、敵海軍基地攻撃、自国港湾・海軍基地防衛である。第２次大戦中の戦果は輸送船61隻217560トン、その他艦船47隻で、95隻を喪失し、戦果の割に損害が多かった。第２次大戦後、核戦争下での海軍の存在意義が軽視されて開発が滞ったが、1950年代にアメリカ機動部隊がソ連近海で活動するようになると、それに対抗するために大量生産が行われた。主要装備は艦隊攻撃用の潜対艦巡航ミサイルと、アメリカ本土攻撃用の弾道ミサイルである。1952年から就役したソ連戦後初の潜水艦ウイスキー級も、巡航ミサイルを搭載してミサイル潜水艦に生まれ変わった。1954年、611型潜水艦25隻、A615型AIP潜水艦30隻が就役開始。1957年、初の弾道ミサイル潜水艦であるAV611型が就役。原爆と水爆の開発が最優先だったため原潜の開発開始は1953-54年頃と遅れたが、1958年の627型ノヴェンバー級攻撃原潜１隻を皮切りに原潜の就役が始まった。1958年、629型ゴルフ級弾道ミサイル潜水艦が就役開始。1959年、627A型ノヴェンバー級攻撃原潜12隻と665型ウイスキー・ロング・ビン級巡航ミサイル潜水艦８隻が就役開始。1961年、659型エコー�T級戦略原潜５隻の就役が始まったが、ポラリス装備のアメリカ原潜に比べて能力が低かった。1963年、645型ノヴェンバー級液体金属冷却炉実験原潜１隻が就役。675型エコー�U級攻撃原潜29隻が就役開始。1964年、659型ホテル級巡航ミサイル原潜５隻が就役開始。1967年、667A型ヤンキー�T型戦略原潜34隻と671型ヴィクター�T級攻撃原潜が就役開始。ただワシントンにSLBMを撃ち込むには大西洋西半やカリブ海に行く必要があったため、西側はGIUKラインに対潜警戒網を設置した。1969年、670型チャーリー�T級巡航ミサイル原潜11隻が就役開始。水中からの潜対艦ミサイル攻撃が可能となった。1969年、661型パパ級実験高速巡航ミサイル原潜１隻が就役。1971年、705型アルファ級攻撃原潜１隻が就役。641型フォックストロット級潜水艦62隻が就役開始。1972年、667B型デルタ�T級戦略原潜18隻が就役開始。世界の主要海洋からワシントンを狙えるようになった。1972年、671RT型ヴィクター�U級攻撃原潜７隻が就役開始。1973年、670M型チャーリー�U級SSGN６隻が就役開始。1975年、667BD型デルタ�U級戦略原潜４隻、940型救難潜水艦２隻が就役開始。1976年、667BDR型デルタ�V級戦略原潜14隻が就役開始。1978年、705K型アルファ級攻撃原潜６隻、671RTM型ヴィクター�V級攻撃原潜26隻が就役開始。1981年、949型オスカー�T級SSGN２隻が就役開始。1983年、941型タイフーン級戦略原潜６隻が就役開始。バレンツ海からワシントンにSLBMを撃ち込めるようになった。1984年、685型マイク級原潜１隻が就役。945型シエラ級攻撃原潜２隻が就役開始。1985年、667BDRM型デルタ�W級戦略原潜７隻が就役開始。1985年、971型アクラ級攻撃原潜14-15隻が就役開始。1986年、949A型オスカー�U級SSGN11隻が就役開始。1989年、原潜196隻を保有していた。1990年、636型キロ改級通常動力潜水艦が就役開始。1991年、945A型シエラ級攻撃原潜が就役開始。945B型シエラ級攻撃原潜は1993年に建造途中で解体された。1994年までに原潜250隻を建造している。ソ連崩壊後は大規模な軍縮に入り、2003年12月1日現在、稼働原潜は58隻（うち15隻が予備役）で、99隻が解体待ち（うち72隻は核燃料を引き出していない）、94隻が解体済み、16隻が建造中または建造予定である。2004年4月29日、北洋艦隊第18戦略原潜師団が解散されることになり、戦略原潜が667BDR型６隻と667BDRM型６隻だけになってしまった。941型タイフーン級SSBNが予備役にあるが、SLBMの保証期間を過ぎており、戦力になっていない。2010年、677型ラダ級通常動力潜水艦が就役開始。885型ヤーセン級SSNは建造が遅延しており、955型ボレイ級SSBNはSLBMの開発に手間取って実戦配備が2013年からになった。2014年、636.3型キロ改級通常動力潜水艦が就役開始。参考：ソ連／ロシア原潜建造史、現代の潜水艦、月刊軍事研究3,’99、月刊世界の艦船6,’09、2,’10、8,’82増刊、9,’17

＜潜水艦徽章＞：海上自衛隊の徽章、通称ドルフィンマーク。中央に桜と錨、両脇に空想上のイルカ（魚のような鱗やヒレがある）と波をアレンジしている。潜水艦乗艦経歴が３年を超える海上自衛官か、潜水艦乗員の課程のうち、海上幕僚長が指定するものを修了し、かつ潜水艦の乗艦経歴が６ヶ月を超える海上自衛官が付ける。階級が海曹長以下は潜水艦徽章（銀）、それより上は潜水艦徽章（金）。参考：MAMOR vol.55、vol.62、vol.86、月刊世界の艦船9,’12増刊

＜潜水艦欺まん体＞：自衛隊の機器。日立製作所製。参考：月刊軍事研究11,’17

＜潜水艦欺まん体音源装置改２−１（ＮＡＵ）＞：自衛隊の機器。日立製作所製。参考：月刊軍事研究2,’19

＜潜水艦救難＞：浮上できなくなった潜水艦から乗員を救出すること。参考：MAMOR Vol.50

＜潜水艦救難管＞：日本海軍が潜水母艦や工作艦朝日に配備していた潜水艦救難具。沈没した潜水艦に空気、水、流動食などを送り込むためのゴムチューブである。参考：写真で見る海軍糧食史

＜潜水艦救難艦＞：沈没した潜水艦から乗員を救出するための艦。レスキュー・チェンバーや深海救難艇DSRVを搭載し、潜水艦内で浸水などにより高圧に晒された乗員の潜水病罹患を防ぐ再圧タンクを備える。レスキュー・チェンバーを使用する際には正確に潜水艦直上に艦を固定するため、４点係留などに必要な装置も装備している。参考：月刊世界の艦船6,’17

　＜潜水艦救難艦（海上自衛隊）＞：海上自衛隊の艦種。1960年10月1日、区分・自衛艦−大分類・特務艦−中分類・特務艦艇の下の種別として制定された。艦種記号はASR、艦番号は401以降である。1961年、ちはや型潜水艦救難艦が竣工。1970年、ふしみ型潜水艦救難艦が竣工。1979年7月1日、区分・自衛艦−大分類・補助艦−中分類・補助艦艇の下の種別になった。2000年、ちはや型潜水艦救難艦が竣工。2018年、ちよだ型潜水艦救難艦が竣工。参考：月刊世界の艦船11,'17増刊

＜潜水艦救難潜水再加圧システム＞：SRDRSを参照。

＜潜水艦救難母艦（海上自衛隊）＞：海上自衛隊の艦種。1981年6月15日、区分・自衛艦−大分類・補助艦−中分類・補助艦艇の下の種別として定められた。艦種記号はAS、艦番号は405以降である。1985年、ちよだ型潜水艦救難母艦が就役。参考：月刊世界の艦船11,'17増刊

＜潜水艦教育＞：海上自衛隊の術科教育。適性検査に合格した者に対し、潜水艦教育訓練隊が実施する。階級や技量に応じ、初級、中級、上級に分かれる。参考：陸海軍学校と教育

＜潜水艦教育訓練隊＞：海上自衛隊の潜水艦乗員教育部隊。潜水艦史料室には潜水艦の部品、解説パネル、大型模型などが展示されている。所在地は広島県呉市昭和町4-10。JR呉駅からタクシーで10分。潜水艦、練習潜水艦、潜水艦救難艦、潜水艦救難母艦の乗員に必要な知識と技能を習得させるための教育訓練に関すること（海上訓練指導隊の所掌を除く）、これら乗員に対する配置についての訓練指導及び潜水艦隊の行う訓練に対する指導・協力に関すること、潜水艦戦術訓練装置などを使用した潜水艦等に対する訓練指導に関すること、これら業務に必要な調査研究に関することが業務内容である。教育隊で基礎教育を受けた後に適性試験を経て入校する海曹士潜水艦課程、幹部候補生学校を卒業後に部隊実習と部隊配置を経て入校する幹部潜水艦課程（Ａ幹部、Ｂ幹部、Ｃ幹部でそれぞれコースが違う）の２つの入校コースがある。また、海曹士専修科潜水艦課程（年間入校者150名）、幹部専修科潜水艦課程（年間入校者25名）、潜水艦戦術課程、潜水艦指揮課程などの上級コースも設けられている。応急訓練装置、潜航操縦訓練装置、潜水艦用航海術科訓練装置、襲撃訓練装置、聴音訓練装置、電波探知訓練装置、水雷実習場、機関実習場といった各種シミュレーターや実習場を完備する。教育基本方針は1967年に制定した「Know Your Boat」（己の艦を知れ）で、基本理念にはこれに「相互信頼にもとづく団結心」「過酷な任務遂行に備えた心身の鍛練」を加える。訓練心得は、「1.いわれたとおり復唱し、2.下令された操作をしたら、3.確認して、4.報告する。」1969年10月1日、第２術科学校潜水艦科が独立して創設され、第１潜水隊群に編入された。1981年2月10日、潜水艦隊の隷下に移った。1993年度、潜水艦用航海術科訓練装置の運用を開始。2002年3月、潜水艦教育訓練分遣隊が新編された。2020年1月22日、第3102期幹部専修科潜水艦課程入校式を実施。初の女性学生１名が入校した。2月、海曹士専修科潜水艦課程の入校式を行い、女性学生５名が入校した。6月18日、第3102期幹部専修科潜水艦課程修業式を実施。修了生は練習潜水艦TSS-3609みちしおで乗艦実習に入り、初めて潜水艦に女性自衛官が乗艦した。10月29日、潜水艦徽章授与式を実施。海曹士専修科潜水艦課程と練習潜水艦TSS-3609みちしおでの乗艦実習を終えた海曹士に潜水艦徽章が授与され、初の潜水艦徽章授与女性自衛官（海曹士）５名が誕生、早速潜水艦隊隷下の潜水艦に配属された。2023年9月13日、令和5年度海自幹部候補生採用試験合格者69人が部隊を見学した。参考：潜水艦教育訓練隊の編制に関する訓令、MAMOR vol.50、vol.60、vol.87、vol.91、月刊世界の艦船8,’11増刊、9,’12増刊、9,’15、9,’20、朝雲

　＜潜水艦教育訓練隊（２０１５年）＞：潜水艦隊隷下で、呉に置かれている。潜水艦教育訓練隊司令（１等海佐）、副長、潜水艦教育訓練隊本部（総務科、教務科、教育科、訓練科、研究室、学生隊）、潜水艦教育訓練分遣隊からなる。参考：潜水艦教育訓練隊の編制に関する訓令

＜潜水艦教育訓練分遣隊＞：海上自衛隊の潜水艦乗員教育部隊。潜水艦、練習潜水艦、潜水艦救難艦、潜水艦救難母艦の乗員に対する配置についての訓練指導及び潜水艦隊の行う訓練に対する指導・協力に関すること、潜水艦戦術訓練装置などを使用した潜水艦等に対する訓練指導に関すること、これらに必要な調査研究を主任務とする。2002年3月、潜水艦教育訓練隊隷下に新編された。2021年4月1日、戦術科が新編された。参考：月刊世界の艦船9,’15、潜水艦教育訓練隊の編制に関する訓令、朝雲

　＜潜水艦教育訓練分遣隊（２０１５年）＞：潜水艦教育訓練隊の隷下にある。潜水艦教育訓練分遣隊長（２等海佐）、総務科、訓練科、整備科からなる。参考：潜水艦教育訓練隊の編制に関する訓令

＜潜水艦魚雷防御システム＞：海上自衛隊の潜水艦用魚雷防御システム、略称TCM（Tropedo Counter Measures）。雑音増強発生器NAE（Noise Augmentation Emitter。音響ジャマー）、潜水艦自走式デコイMOD（MObile Decoy）１型、対魚雷防御TCM（Torpedo Counter Measures）指揮管制サブシステム（潜水艦戦術情報装置やソナーシステムとリンク）からなり、船体後部またはセイル後面にあるらしい専用発射装置数門からデコイを射出して相手の魚雷を逸らす。そうりゅう型潜水艦８番艦SS-508せきりゅうから搭載された。参考：月刊世界の艦船1,’21

＜潜水艦魚雷防御システム指揮管制装置＞：自衛隊の機器。日立製作所製。参考：月刊軍事研究4,’15

＜潜水艦魚雷防御システム発射装置＞：自衛隊の機器。三菱重工製。参考：月刊軍事研究5,’15

＜潜水艦激働食＞：日本海軍の増加食。重労働を行った潜水艦乗員に与えられる。１日摂取カロリーは4240-4434kcal。昭和14年12月に制定された。参考：写真で見る海軍糧食史

＜潜水艦航海糧食＞：日本海軍の潜水艦乗員用兵食。大正15年に制定された。潜水艦配備当時は艦内に調理設備を設ける余裕が無く、出港時に持ち込んだ弁当、貯蔵してある乾麺麭と缶詰、潜水母艦から供給される給食に頼っていた。その後、潜水艦内にも調理設備が搭載されるようになり、海軍兵食研究調査委員会で潜水艦用のメニューを検討し、決定されたのがこれである。停泊中でも艦内生活でストレスがたまりやすいため、食卓料を2.2倍に増額して十分な嗜好食を供給できるようにした。潜水艦の烹炊所のスペースは半坪しかなく、３つの釜（飯用、汁用、副食用）、流場、小型冷蔵庫が設置されていたが、潜航時には温度・湿度上昇を防ぐため調理が出来なくなる。よって缶詰中心のメニューとなっており、それによる食事への不満をカバーするためか米麦飯でなく米飯を供給、パンの付け合わせは砂糖の他に練乳を提供した。味噌や醤油の樽を積載するスペースが無いため、醤油エキス、固形醤油、乾燥味噌、酢の素といった省スペース調味料を採用している。米飯による脚気を防ぐため、味噌汁にはビタミンB1やビタミンＣを添加した。米飯は潜航前に炊いておくこともあったが、長時保存が難しいのが欠点。昭和6年3月に海軍糧食表が改訂されたのに伴い、特殊糧食の１つとなった。調理が簡単で食欲増進のため香辛料を使うメニューを中心としており、士気を上げるため貯蔵食ながらも食材の質が高い。一日摂取カロリーは3761-3904kcal。昭和8年に改訂が行われ、主食に無洗米を採用し、圧搾麦を精製麦芽に変更して調理の手間を省いた。副食も省力化や士気向上のための食材変更が行われており、疲労回復促進のためビタミンB1を大量に摂取するようにし、航空糧食用の特殊栄養食も常時追加された。将校も同じ糧食を取ることができ、その場合は給料から１食あたり20銭が控除される。また、将校には兵食と同じ夜食、衛生酒、嗜好食が提供された。昭和14年、米飯缶詰、粉末鶏卵、粉末牛乳を潜水艦糧食として制定した。12月、増加食として潜水艦激働食を追加。昭和17年2月17日、30日以上の連続航海や、北緯38度以南で作戦を行う潜水艦乗員に対して、ビタミン錠を一日三回食前一錠ずつ、特殊消化錠を一日三回食後一錠ずつ配給することが規定された。昭和18年、潜水艦航海糧食が改正された。太平洋戦争で作戦任務に就いてみると、日時が経過するにつれて乗員が淡泊な食事を欲しがる傾向にあり、食欲増進のため香辛料を多用するメニューが徒になったらしく、内地に帰ってきたら海軍の保養施設に入って体力回復を図る必要があったという。参考：写真で見る海軍糧食史、ペルシャ湾の軍艦旗

＜潜水艦指揮課程＞：海上自衛隊の潜水艦艦長候補向け教育。潜水艦に副長として勤務し、艦長として素質十分と認められたものが潜水艦教育訓練隊で７週間受講する。クリアすれば晴れて艦長となる。参考：月刊世界の艦船9,’12増刊

＜潜水艦自走式デコイ１型（訓練用）＞：海上自衛隊の訓練用デコイ。潜水艦魚雷防御システム用自走式デコイ１型の訓練版で、魚雷型をしており、射出されると一定時間水中を航走して浮上するので、回収する。回収できなくても、18時間後に自沈する。内部に炸薬や有害物質は含まれていない。全長1.6m、直径0.152m、重量26kg。2018年5月24日未明、SS-508せきりゅうが訓練中に間違って射出してしまい、行方不明になった。時間が経過して自沈したものとみられる。参考：海上自衛隊ホームページ、朝雲

＜潜水艦殊勲甲査定標準＞：日本海軍功績調査部が昭和19年9月に発行した、潜水艦の功績査定基準。行動日数10日で３点、敵に制圧を受けた日数１日で１点を加点する行動点と、敵艦船を撃沈（空母・戦艦60点、巡洋艦30点、駆逐艦・潜水艦20点、掃海艇・駆潜艇10点、魚雷艇２点、特務艦10点、3000トン以上の輸送船７点）・撃破（空母・戦艦15点、巡洋艦８点、駆逐艦・潜水艦５点、掃海艇・駆潜艇３点、特務艦２点、3000トン以上の輸送船１点）した場合の作戦点がある。参考：歴史群像6,’14

＜潜水艦襲撃訓練装置（Ａ／Ｔ−２）＞：自衛隊の機器。日立製作所製。参考：月刊軍事研究8,’13

＜潜水艦襲撃訓練装置（その１）＞：自衛隊の機器。日立製作所製。参考：月刊軍事研究11,’10

＜潜水艦襲撃訓練装置（その２）＞：自衛隊の機器。日立製作所製。参考：月刊軍事研究4,’12

＜潜水艦情報表示装置（Ａ／Ｔ−２用）＞：自衛隊の機器。日本アビオニクス製。参考：月刊軍事研究11,’13

＜潜水艦情報表示装置（聴訓用）＞：自衛隊の機器。富士通製。参考：月刊軍事研究6,’15

＜潜水艦情報表示装置用記録装置＞：自衛隊の機器。日本アビオニクス製。参考：月刊軍事研究9,’10

＜潜水艦情報表示装置用記録装置１型＞：自衛隊の機器。日本アビオニクス製。参考：月刊軍事研究6,’11

＜潜水艦情報表示装置用記録装置２型＞：自衛隊の機器。日本アビオニクス製。参考：月刊軍事研究7,’11

＜潜水艦情報表示装置用記録装置３型＞：自衛隊の機器。日本アビオニクス製。参考：月刊軍事研究12,’12

＜潜水艦戦＞：Pro-Submarine Warfare。水上脅威に対して潜水艦で対処すること。商船や潜水艦への攻撃、潜水艦による偵察を含む。攻撃手段は魚雷や潜対艦ミサイルである。潜水艦の特性上、敵から探知されにくく、隠密裏に攻撃を遂行でき、事前情報を基に待ち伏せ攻撃も行える。相手は複数艦船が同時行動している場合が多く、攻撃時に潜水艦の存在や位置を暴露してしまうため攻撃機会は限定されるので、ソナーで拾った音源から重要目標を的確にピックアップする必要がある。参考：月刊世界の艦船8,’82増刊、4,’18、6,’21

＜潜水艦戦術課程＞：海上自衛隊の教育。潜水艦で水雷長・哨戒長の勤務をこなし、幹部中級課程で専門術科教育を１年間受けた幹部がそのまま本課程に移り、潜水艦教育訓練隊に入校して11週間受講する。幹部中級課程の一般的教育ではカバーしきれない潜水艦専門戦術を学ぶもので、副長としての勤務に耐えられる知識と技量を伝授される。参考：月刊世界の艦船9,’12増刊

＜潜水艦戦術訓練装置更新用器材＞：自衛隊の機器。日立製作所製。参考：月刊軍事研究11,’15

＜潜水艦戦術データ収録装置改３＞：自衛隊の機器。三波工業製。参考：月刊軍事研究8,’14

＜潜水艦隊＞：海上自衛隊の潜水艦部隊Fleet Submarine Force。トップは潜水艦隊司令官で、自衛艦隊司令官の指揮監督を受けて隊務を統括する。司令部は横須賀基地にあり、隷下に２個潜水隊群と潜水艦教育訓練隊を置き、有事の際には隷下の潜水隊のうち３個を宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡に１個ずつ配置し、残りを予備とする。自衛艦隊がフォース・ユーザーとなったのに伴い、平時には隷下潜水艦部隊を鍛え上げ、有事に自衛艦隊司令官に戦力を提供するフォース・プロバイダーとなった。1973年に潜水隊群が２個編成となって統合運用を図る必要が出たため、1981年2月10日に自衛艦隊隷下に横須賀基地で新編され、第１潜水隊群、第２潜水隊群、潜水艦教育訓練隊を隷下に置いた。2000年3月9日、第１練習潜水隊が新編された。2014年8月6-7日、司令部がアメリカ海軍第７潜水艦群と合同で富士登山を実施。2015年3月17日、離任する第７潜水艦群司令スチュアート・マンチ少将に海幕長からの感謝状と第１号防衛協力章を伝達した。3月29日、田戸台分庁舎で日米潜水艦部隊の花見会を実施。海自から50名、アメリカから第７潜水艦群司令など55名が参加した。2016年2月24日、横須賀潜水艦基地隊で日本国潜水艦運用100周年・海自潜水艦部隊創設60周年記念行事を実施。2020年10月1日、司令部が横須賀基地船越地区の海上作戦センターに移った。2024年3月8日、第１練習潜水隊が廃止され、第11潜水隊が新編された。参考：月刊世界の艦船8,’10、1,’02、9,'15、11,’18、12,'20、5,'24、月刊軍事研究9,’10、JShips Vol.46、自衛隊法、朝雲

　＜潜水艦隊（１９８１年２月１０日新編時）＞：自衛艦隊隷下で、司令部は横須賀にある。隷下に第１潜水隊群、第２潜水隊群、潜水艦教育訓練隊を置く。参考：月刊世界の艦船8,’24、日本の戦力

　＜潜水艦隊（２００１年度）＞：自衛艦隊隷下で、司令部は横須賀にある。隷下に第１潜水隊群、第２潜水隊群、第１練習潜水隊、潜水艦教育訓練隊を置く。参考：月刊世界の艦船1,’02

＜潜水艦隊（２００７年度、改編前）＞：自衛艦隊隷下で、司令部は横須賀にある。第１潜水隊群、第２潜水隊群、第１練習潜水隊、潜水艦教育訓練隊を隷下に置く。参考：月刊JWings6,’07

＜潜水艦隊（２０１０年）＞：自衛艦隊隷下で、司令部は横須賀にある。第１潜水隊群、第２潜水隊群、第１練習潜水隊、潜水艦教育訓練隊を隷下に置く。参考：月刊丸1,’10別冊、月刊世界の艦船1,’11

＜潜水艦隊（２０１１年）＞：自衛艦隊隷下で、司令部は横須賀にある。第１潜水隊群、第２潜水隊群、第１練習潜水隊、潜水艦教育訓練隊を隷下に置く。参考：海上自衛新聞

＜潜水艦隊（２０１２年）＞：自衛艦隊隷下で、司令部は横須賀にある。第１潜水隊群、第２潜水隊群、第１練習潜水隊、潜水艦教育訓練隊を隷下に置く。参考：月刊世界の艦船1,’13

＜潜水艦隊（２０１５年）＞：自衛艦隊隷下で、司令部は横須賀基地船越地区にある。隷下に第１潜水隊群、第２潜水隊群、第１練習潜水隊、潜水艦教育訓練隊を置く。参考：月刊世界の艦船6,’15

＜潜水艦隊（２０２０年）＞：自衛艦隊隷下で、司令部は横須賀にある。隷下に第１潜水隊群、第２潜水隊群、第１練習潜水隊、潜水艦教育訓練隊を置く。参考：月刊世界の艦船6,'20、月刊JWings6,’20

＜潜水艦隊戦技＞：海上自衛隊潜水艦隊が1984年から実施している戦技。潜水艦隊司令官が６隻前後の高練度艦を選び出し、対潜艦艇、対潜哨戒機、アメリカ攻撃原潜と対決させる。潜水艦同士（アメリカ攻撃原潜含む）の総当たり潜水艦戦もあり、各艦の気合の入り様は並大抵ではない。参考：月刊世界の艦船8,’11増刊

＜潜水艦脱出用装具Ｍｋ１０＞：海上自衛隊の潜水艦乗員用個人脱出装置。全身を覆うスーツで、沈没した潜水艦から脱出する際に着用する。浮上するとそのまま海面に浮いていられる。参考：月刊世界の艦船12,’13、月刊軍事研究11,’13

＜潜水艦電波探知訓練装置＞：自衛隊の機器。三菱電機製。参考：月刊軍事研究3,’18

＜潜水艦発射型誘導弾＞：自衛隊のスタンドオフ・ミサイル。2023年4月7日、三菱重工と開発契約を締結した。2023年度中に開発を始め、2026年度から技術・実用試験を行い、2027年度までに完成させる予定。参考：月刊JWings7,’23

＜潜水艦発射弾道ミサイル＞：SLBMを参照。

＜潜水艦発射中距離弾道ミサイル＞：アメリカ海軍の極超音速兵器Submarine Launched Intermediate Range Ballistic Missle。潜水艦から発射する射程2400kmのIRBMで、15分以内にCEP5m以内で目標に着弾する。CPGSに基づいて2000年代に検討され、この時は予算が付かなかったが、2010年代に復活、2017年10月に発射実験CPS FE-1が行われた。参考：月刊世界の艦船4,’20

＜潜水艦派米訓練支援役務＞：防衛省がアメリカ海軍省に発注している。参考：月刊軍事研究7,’18

＜潜水艦母艇（日本海軍）＞：日本海軍の艦種。雑役船の１つとして定められた。大正9年4月の艦船令改訂で特務艇の下の類別になった。参考：月刊世界の艦船9,’13増刊、月刊丸3,’14

＜潜水艦マルチスクリーン管制システム＞：SMCS（戦闘システム）を参照。

＜潜水艦マルチスクリーン管制システム・次世代＞：SMCS NG（戦闘システム）を参照。

＜潜水艦用欺まん音源装置改２＞：自衛隊の機器。日立製作所製。参考：月刊軍事研究8,’12

＜潜水艦用欺まん音源装置改２（ＮＡＵ）＞：自衛隊の機器。日立製作所製。参考：月刊軍事研究9,’13

＜潜水艦用高圧気蓄器（２５ＳＳ用）＞：自衛隊の機器。新日鐵住金製。参考：月刊軍事研究11,’15

＜潜水艦用高圧気蓄器（２７ＳＳ用）＞：自衛隊の機器。新日鐵住金製。参考：月刊軍事研究3,’18

＜潜水艦用航海術科訓練装置＞：海上自衛隊の潜水艦用操艦シミュレータ、略称SNAT。なだしお・第一富士丸衝突事故を受けて導入を決定し、1990年度から開発され、1992年度に完成、1993年度から潜水艦教育訓練隊で運用された。はるしお型、ゆうしお型、おやしお型用に計３基設置されていて、セイル、全周スクリーン、発令所、教官卓、ブリーフィングルームで構成され、航海模擬用コンピュータ３基と補助機材用コンピュータ14基、視界模擬用プロジェクター９基とブリーフィング用プロジェクター１基からなる。外洋や日本各地の海峡・水道、海自基地、ホノルル沖などの設定が可能で、船体動揺再現装置も付く。2007-08年度に改修が行われ、ヨーロッパの会社が作成した商船用航海シミュレータの成分を取り入れており、艦の運動特性もゆうしお型ベースから民間会社設定のものに変更された。参考：月刊世界の艦船8,’11増刊

＜潜水艦用主蓄電池（ＳＣＧ）＞：自衛隊の機器。22SS用、23SS用、24SS用、25SS用、維持用がある。ジーエス・ユアサテクノロジー製。参考：月刊軍事研究12,’11、11,’13、9,’14

＜潜水艦用主蓄電池（ＳＬＨ）＞：自衛隊の機器。27SS用、28SS用がある。ジーエス・ユアサテクノロジー製。参考：月刊軍事研究8,’17、2,’19

＜潜水艦用主電動機装置＞：自衛隊の機器。22SS用、24SS用、25SS用がある。富士電機システムズまたは富士電機または東芝三菱電機産業システム製。参考：月刊軍事研究5,’12、2,’15、7,’15

＜潜水艦用新魚雷（試験用魚雷）用発射消耗品＞：自衛隊の機器。三菱重工製。参考：月刊軍事研究1,’18

＜潜水艦用新魚雷実爆用標的＞：自衛隊の機器。三菱重工製。参考：月刊軍事研究10,’17

＜潜水艦用新魚雷実用頭部＞：自衛隊の機器。三菱重工製。参考：月刊軍事研究10,’17

＜潜水艦用信号弾（煙）改１型＞：自衛隊の弾火薬。日本工機製。参考：月刊軍事研究7,’07

＜潜水艦用信号弾（光）＞：自衛隊の火工品。日本工機製。参考：月刊軍事研究8,’08

＜潜水艦用信号弾（光煙）改１型＞：自衛隊の弾火薬。日本工機製。参考：月刊軍事研究7,’07

＜潜水艦用スターリング発電機＞：自衛隊の機器。25SS用もある。川崎重工製。参考：月刊軍事研究7,’12、5,'16

＜潜水艦用中間原子炉＞：S2Wを参照。

＜潜水艦用発電機＞：自衛隊の機器。23SS用、24SS用、25SS用、27SS用、28SS用がある。川崎重工製。参考：月刊軍事研究11,’13、10,’14、1,’16、7,’17、2,’19

＜潜水艦用プロペラ（おやしお型）＞：自衛隊の機器。川崎重工製。参考：月刊軍事研究3,’12

＜潜水艦用プロペラ（そうりゅう型）＞：自衛隊の機器。川崎重工製。参考：月刊軍事研究2,’18

＜潜水機＞：日本陸軍の渡河器材。橋梁架設・破壊などの水中作業に使用する潜水服である。空気は船上の送気機から送られ、水深20mまでの作業が可能。参考：工兵入門

＜潜水士章（アメリカ陸軍）＞：アメリカ陸軍の徽章Diver Badge。特級、１級、２級、サルベージ、スキューバダイバー、特殊作戦潜水士の６種がある。参考：月刊コンバットマガジン7,’06

＜潜水者探知ソナー＞：略称DDS（Diver Detection Sonar）。港湾や停泊中の艦船に攻撃を仕掛けるダイバーやテロリストの接近を探知するためのソナーである。参考：月刊丸2,’12

＜潜水戦隊（日本海軍）＞：日本海軍の戦隊（広義）で、潜水隊2-3隊（概ね３隊）で編成される。旗艦は軽巡洋艦や潜水母艦だったが、航続力が増大したり、装備が近代化したりで能力不足となってきたため、潜水艦を旗艦とすることにし、巡潜三型が建造された。参考：潜水艦気質よもやま物語、帝国陸海軍事典

＜潜水隊（海上自衛隊）＞：海上自衛隊の潜水艦部隊、略称Sd。1997年3月12日、隊番号を変更し、第１潜水隊群隷下に第１・第３・第５潜水隊、第２潜水隊群隷下に第２・第４・第６潜水隊を置いた。2006年、第６潜水隊が廃止されて５個編成になった。2018年3月12日、第６潜水隊が再編されて６個編成となった。参考：JShips Vol.46、日本の防衛戦力Part3、月刊世界の艦船8,'24、5,’18

＜潜水隊（日本海軍）＞：日本海軍の部隊で、潜水艦２隻以上からなる。概ね３隻で構成されており、３隊で潜水戦隊を編成する。１番台は横須賀鎮守府、11番台は呉鎮守府、21番台は佐世保鎮守府所属である。明治38年に潜水艇５隻が揃ったため潜水艇隊として創設され、大正8年3月の艦隊令改正・潜水隊令制定で潜水隊に改称された。大正14年11月17日付で発出された達第148号で、所属艦艦首舷側に潜水隊番号をアラビア数字で記入することになった。参考：潜水艦気質よもやま物語、帝国陸海軍事典、日本潜水艦物語、月刊世界の艦船2,’16

＜潜水艇＞：一般的には排水量500トン未満の潜水艦を指す。参考：現代の潜水艦

＜潜水母艦＞：Submarine depot ship。潜水艦の補給整備を行い、乗員に休養を取らせ、兵站支援を行い、潜水隊を誘導するための水上艦。参考：帝国陸海軍事典、日本海軍特務艦船史、月刊世界の艦船7,’22

　＜潜水母艦（日本海軍）＞：明治31年3月21日に正式な艦種として軍艦の下の類別に水雷母艦が定められ、明治38年にホランド型潜水艦が就役すると水雷艇でなく潜水艦への母艦任務を行うようになった。この時に名称変更しなかったのは、潜水艦を潜航水雷艇と呼んでいたかららしい。大正元年に水雷母艦が廃止されたため、任務はそのままで二等海防艦に類別された。大正9年に水雷母艦が復活したが、従来の流用母艦では能力不足と言うことで専用母艦を建造することになり、大正13年12月1日の艦船令改訂で潜水母艦という名称が制定された。初期の小型潜水艇は行動範囲が基地近くの沿岸地域に限られており、居住設備も殆ど無いので、常に母船の支援が必要であり、潜水艇乗員は普段母船で生活し、必要時に潜水艇に乗り込むという軍用機搭乗員のような日常を送っていた。明治時代に潜水艇を配備し始めた頃は水雷母艦豊橋と韓崎を潜水艇用とした他、砲艦や小型客船を改造して潜水艇母船（雑役船。後に特務艇の潜水艦母艇に改称）にしている。大尉以上の士官には個室、中尉以下の士官には個別のベッドとロッカーが用意されており、潜水艇乗員は交替で母艦に乗り込み、休養したり、他艇乗員と情報交換を行ったりした。母艦は各潜水艇に艦載艇で所要物資や郵便物などを運ぶ役目も担っており、訓練の際には標的艦も務めている。大正初期に駒橋が竣工。大正4年頃から、演習などで潜水艇が艦隊と共に行動する際は、旗艦として旧式巡洋艦などが配置されるようになった。潜水艦が大型化して居住設備も整い、潜水戦隊を編成して常備艦隊と共に行動するようになると、洋上指揮施設や強力な無線設備を備えた母艦が必要となり、大正12-13年に潜水戦隊旗艦兼潜水艦補給艦として本格的潜水母艦である迅鯨型２隻が竣工した。大きな船体を活かして工作艦、輸送艦、練習艦としても使用されている。ただ予算の関係でそれ以上は作れず、戦時には特設潜水母艦を作る予定にした。とはいえ特設潜水母艦では潜水艦の高性能化に対応できないのは明らかで、昭和9年頃からは軽巡が潜水戦隊旗艦を務めている。昭和9年に大鯨、昭和14年に剣埼が竣工したが、これは平時の訓練用で、戦時には空母に改造されるため、潜水艦の数に比べて潜水母艦の建造数が圧倒的に少ないのは相変わらずで、やはり戦時には徴用商船で特設潜水母艦を作って各潜水戦隊に配備することにしていた。太平洋戦争勃発で、大鯨と剣埼は空母になり、さんとす丸、平安丸、靖国丸、名古屋丸、りおでじゃねろ丸、日枝丸、筑紫丸が特設水上機母艦から特設潜水母艦に鞍替えしている。元が客船なので艦内スペースが広く、母艦任務には最適だったが、外洋作戦能力に劣るという欠点があった。正規の潜水母艦はマル五計画で２隻、改マル五計画で１隻の新造を図ったが、竣工予定が昭和22-23年で、計画のみに終わっている。参考：日本潜水艦物語、日本海軍特務艦船史、写真で見る海軍糧食史

＜潜水油送艇＞：日本陸軍が昭和18年頃に試作した石油運搬用半潜水タンク。パレンバンやボルネオで採れた石油を内地に運んでくるための器材で、ビニロンのゴムを塗った巨大な袋状をしており、石油を満載すると大半が海面から下に潜るので、捕鯨船などで引っ張って輸送する。後部に安定用の水平ヒレが付いていたが、曳航中に蛇行するという欠点があり、実用化されなかった。参考：工兵入門

＜洗石＞：日本海軍用語で、洗濯用石鹸のこと。参考：海軍よもやま物語

＜前線航空統制官＞：FAC（Forward Air Controller）と略す。JTAC/JTACS（Joint Terminal Air/Attack Controllersの略）とも呼ばれる。自衛隊では前進航空統制官という。近接航空支援のために攻撃機に目標を指示し、攻撃法を指定する。地上から指示する陸上前線航空統制官FAC(G)、観測機に乗って指示する空中前線航空統制官FAC(A)があり、複座攻撃機に乗っている場合は高速前線航空統制官（Fast FAC）という。参考：月刊JWings1,’03、10,’09別冊付録、7,’16、月刊軍事研究10,’07

　＜空中前線航空統制官＞：Forward Air Controller-Airborne、FAC(A)と略す。近接航空支援を指揮する統制員で、航空機に乗り込んで味方の攻撃機を誘導する。地上に潜む敵を発見し、確実に敵味方識別を行い、位置を正確に伝えるため、低空を低速で飛行して目標をしっかり視認する必要があり、軽飛行機で前線上空を飛ぶことになる。下手に撃つと対空火器の位置がばれて全力で反撃を喰らうので、意外と攻撃対象にされることは少ないが、さすがにベトナム戦争までのセスナ機では損害が多いのと、見つけ次第自分で攻撃できれば楽なため、武装ヘリや軽攻撃機を使うようになった。地上の航空統制班や戦闘統制員と連携して任務を行うのが理想。アメリカ空軍が独立した後、エアボーン・コントローラーをこう呼ぶようになった。参考：月刊航空ファン2,’02、月刊軍事研究4,’03、空軍、月刊JWings9,’21

　＜陸上前線航空統制官＞：Forward Air Controller-Ground、FAC(G）と略す。近接航空支援を指揮する統制員で、地上部隊と行動を共にして攻撃機に指示を出す。参考：月刊航空ファン2,’02

＜前線地域防空システム計画＞：FAADS計画を参照。

＜宣戦布告＞：不戦条約発効後は、これを行って戦争に突入すると条約違反になるため、布告しなくなった。参考：月刊軍事研究2,’05

＜前線戦闘機＞：ソ連の戦闘機分類の１つ。高速縦深打撃戦法において、怒濤の如く進撃する機甲師団の上空で防空任務にあたるものとされ、地上レーダーによる管制を受けて迎撃に向かう。このため、複雑な機上システムを廃し、前線の運用に耐えられる耐久性が求められることとなった。副任務は阻止攻撃や近接航空支援である。前線飛行場にはろくな整備場も無いので、運用部隊では本格的整備を行わず、所定の飛行時間まで飛ばした後に後方の工場に送ってオーバーホールする方式を採用した。参考：月刊JWings10,’01、11,’19、月刊航空情報11,’09

＜前線統制機＞：空中から火力統制を行うために使用される航空機のこと。参考：兵器最先端５

＜戦争＞：日本に限らず、他国との係争を武力戦争で解決すると明文化した憲法を定めた国は存在せず、第２次大戦後の戦争や紛争は国権を発動してそれに至ったのではなく、自国民保護、領土奪回、人道的見地、平和維持活動といった大義名分に基づいて行われている。参考：月刊世界の艦船4,’19

　＜戦争（アメリカ海兵隊）＞：２つの敵対する独立した相容れない意志が、それぞれ相手に自分の意志を押しつけようとする激しい闘争で、相互作用的な社会行為の１つ。参考：月刊軍事研究5,’15

　＜戦争（戦争論）＞：相手に自分の意志を強要するための力の行使であり、他の手段を以てする政策の継続、政治手段の１つに過ぎない。参考：月刊軍事研究5,’15

＜戦争（大日本帝国）＞：天皇が正式に開戦・終戦の詔勅を発して国民に示したもの。軍人に限定された場合（シベリア出兵時の「西伯利亜撤兵に際し陸海軍人に賜りたる勅語」など）には戦争にならない。よって、ノモンハンは事件、満州は事変と呼ばれた。参考：月刊PANZER10,’01

＜戦争犠牲者の保護に関する１９４９年８月１２日のジュネーブ諸条約＞：ジュネーブ第１・第２・第３・第４条約を纏めてこう称する。1930年の第14回赤十字国際会議以降３回の国際会議や、第２次世界大戦の戦訓に基づく各国赤十字社予備会議・各国政府専門家会議での研究により、従来のジュネーブ３条約（赤十字、海戦、捕虜）に改正を加えると共に、文民条約を追加したもので、1949年4月にスイス連邦政府がジュネーブで外交会議を開いて59カ国の代表と４カ国のオブザーバーと赤十字専門委員が５ヶ月間の審議を行い、1949年8月12日に調印された。日本は当時占領下にあったため加盟権は無かったが、サンフランシスコ講和条約の付属宣言で講和条約発効１年以内のなるべく早い時期に加入しなければならない条約の１つとして挙げられており、1953年4月21日に赤十字国際委員会に加盟を通告し、10月21日に公布した。参考：日本赤十字社社史稿第６巻

＜戦争遂行＞：核抑止戦略の１つで、戦争が不正規戦、通常兵器戦闘、戦術核戦争、限定核戦争、全面核戦争という拡大段階（エスカレーション・ラダー）を取ると仮定し、各段階での戦争遂行能力を整備することで、戦争段階の拡大と共に相手への損害も増大する（エスカレーション・ドミナンス）ことを誇示し、戦争を抑止するものである。参考：月刊軍事研究9,’18

＜千僧駐屯地＞：陸上自衛隊の駐屯地。広報資料館には日本軍や自衛隊の資料が展示されている。所在地は兵庫県伊丹市広畑1-1。JR伊丹駅と阪急伊丹駅からバス「大鹿口」下車徒歩３分。創立記念行事では両駅からシャトルバスが出る。1957年12月、第303地区施設隊が出雲駐屯地に移った。1970年3月18日、第３通信大隊と第３武器隊が移駐した。1973年5月17日、駐屯地内に火炎瓶が投げ込まれる事件が発生。2009年3月17日、新食堂落成式を実施。2010年1月14日、新成人44名の成人式を実施。2014年1月14日、新成人隊員７名の成人行事を実施。戦車回収車との綱引きを行った。2月、鉄筋コンクリート３階建て・延床面積1200平方メートルの師団司令部増設新庁舎が竣工。3月、師団司令部増設新庁舎の運用を開始。2015年1月25日、第３回婚活大作戦in千僧を実施。男性自衛官160名と一般女性150人が参加し、男性自衛官は基本教練、格闘（護身術）、装備品展示、体験試乗でアピールし、38組のカップルが誕生した。11月25日、ヤマサクラ69に連動した国民保護訓練を実施。2016年5月18-20日、伊丹市内の中学生16人の職場体験学習を支援し、基本教練、救急法、銃剣道、防災訓練などを実施した。2017年2月11日、第５回婚活大作戦in千僧を開催。男女計147人が参加し、24組のカップルが誕生した。2019年4月2日、奈良地本が行った女性のための事務・医療系職場見学会に協力した。2020年12月5-6日、大阪地本が入隊予定者ら15人に女性限定職場体験を実施。2021年4月9日、大阪学院大学高校スポーツ科学コース新入生の職場体験を支援した。12月3日、三重地本による三重県自衛隊除隊者雇用協議会の部隊研修に協力した。2023年3月9日、第３偵察隊が廃止された。参考：JGround Vol.23、MAMOR vol.91、vol.122、朝雲、スピアヘッドNo.12、月刊JWings6,’23、出雲駐屯地ホームページ

　＜千僧駐屯地（２０１５年）＞：第３師団司令部／司令部付隊、第３偵察隊、第３後方支援連隊、第３通信大隊、第３特殊武器防護隊、第３音楽隊、千僧駐屯地業務隊が駐屯している。参考：陸上自衛隊パーフェクトガイド2015

＜千僧駐屯地業務隊＞：陸上自衛隊の駐屯地業務隊。2018年7月18日、駐屯地業務で優れた功績を挙げたとして、山崎陸幕長から２級賞状と副賞が授与された。2022年7月15日、厚生業務で優れた功績を挙げたとして、吉田陸幕長から２級賞状と副賞の盾を授与された。参考：朝雲

＜漸増転度＞：ライフリングを参照。

＜戦争の十原則＞：目的、攻撃、機動、集中、経済、奇襲、警戒、簡明、統一、補給。参考：月刊軍事研究10,’75

＜戦争賠償（日本）＞：第１次大戦でのドイツに対する戦争賠償が大失敗したため、太平洋戦争での日本に対する賠償は戦争被害に対する損害賠償ではなく、非軍事化と戦争能力除去を重視した。昭和21年1月、GHQが日本の航空機工場、軍工廠、研究所の管理保全命令を出し、賠償工場を指定。航空機工場を商工大臣、軍工廠と研究所を大蔵大臣、帝国大学航空機研究所を文部大臣、中央航空研究所を運輸大臣が担当し、航空機工場263、陸軍工廠36、海軍工廠43、研究所51が指定され、機械の移動禁止と生産施設・設備の完全な状態での保守管理が義務づけられた。昭和23年、計画の30%で取り立てが実施され、軍工廠の機械が中国15%、イギリス5%、オランダ5%、フィリピン5%の割合で引き渡された。1951年6月1日現在の指定工場は、航空機工場450、陸軍工廠78、海軍工廠94、研究所39で、民間兵器工場、造船所、一般産業（鉄鋼、工作機械、軸受け、硫酸、ソーダ、電力、人造ゴム）も含めると計1240だった。1952年4月、サンフランシスコ講和条約が発効し、賠償指定工場が解除された。参考：首都防空網と空都多摩

＜戦争犯罪＞：戦争法規や慣例への違反。参考：ベーシック条約集2018

　＜戦争犯罪（旧ユーゴ国際刑事裁判所規程）＞：第３条に規定されている。次のことが含まれるが、これらに限定されない。無用の苦痛を与えることを目的とする毒性兵器その他の兵器を使用すること。都市や町村の恣意的破壊を行うことまたは軍事上の必要によって正当化されない惨害をもたらすこと。手段の如何を問わず、無防備の町村・住宅・建物を攻撃または砲撃すること。宗教・慈善・教育・芸術・学術の用に供する施設、歴史上の記念建造物、芸術上・学術上の作品を、押収・破壊・故意に損傷すること。公共または私有の財産を略奪すること。参考：ベーシック条約集2018

　＜戦争犯罪（極東国際軍事裁判条例）＞：第５条（ロ）に定義されている。戦争の法規または慣例への違反。参考：ベーシック条約集2018

　＜戦争犯罪（国際刑事裁判所規程）＞：第８条に規定されている。1949年8月12日のジュネーブ諸条約に対する重大な違反行為。確立された国際法の枠組みで国際的な武力紛争の際に適用される法規及び慣例に対するその他の著しい違反。国際的性質を有しない武力紛争（暴動や独立・散発的暴力行為など国内騒乱や緊張の事態を除く）の場合、1949年8月12日のジュネーブ諸条約のそれぞれの第３条に共通して規定する著しい違反。確立された国際法の枠組みで国際的性質を有しない武力紛争（政府当局と組織された武装集団との間の長期的な武力紛争。暴動や独立・散発的暴力行為など国内騒乱や緊張の事態を除く）の際に適用される法規及び慣例に対するその他の著しい違反。参考：ベーシック条約集2018

　＜戦争犯罪（ニュルンベルク諸原則の定式化）＞：第６原則(b)に定義されており、国際法上の犯罪として処罰できる。戦争の法規または慣例の違反で、以下を含むがこれらに限定されない。目的を問わず文民の殺人。虐待または奴隷労働のための移送。占領地での上記行為。捕虜又は海上にある者の殺人又は虐待。人質の殺人。公有・私有財産の略奪。都市・街・村落の放縦な破壊または軍事的必要により正当化されない荒廃化。参考：ベーシック条約集2018

＜戦争犯罪及び人道に対する罪に対する時効不適応条約＞：1968年11月26日に国連総会で決議され、1970年11月11日に発効した。1945年8月8日のニュルンベルグ国際軍事裁判所条例において定義され国連総会決議３（�T）及び95（�T）で確認された戦争犯罪、人道に対する罪、武力攻撃または占領による追い立て及びアパルトヘイト政策に基づく非人道的行為、ならびに1948年の集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約において定義された集団殺害罪が対象で、その主犯または共犯者としていずれかの犯罪の犯行に参加したり、他の者を直接教唆したりした者、その犯罪を共謀する国家当局代表及び私的個人、これらの犯行を許容する国家当局代表には、犯行時期に関わらず時効が適応されない。参考：軍縮条約・資料集第２版

＜戦争抛棄に関する条約＞：不戦条約を参照。

＜戦藻録＞：日本海軍宇垣纏中将が昭和16年10月16日から昭和20年8月15日まで記した日記。戦後に何度か市販されている。参考：月刊世界の艦船5,’19

＜戦争論＞：プロイセン軍カール・フォン・クラウゼヴィッツの著書で、戦争の本質や、戦争と政策との関係性に重点を置いている。全８篇のうち６篇を書き上げ、残る２篇の草稿を纏めた段階で大規模改訂が必要と考えて最初から書き直していたが、第１篇第１章の改訂を終えた1831年に著者がコレラで死亡したため、夫人が再編発行しており、不明確な点も多いらしい。出版当初はあまり読まれていなかったらしく、ヘルムート・フォン・モルトケが３冊の良書のうちの１つと評したことで一気に知名度が上昇した。しかしヘーゲルの弁証法に基づいた考証が難しすぎて内容を十分に理解できなかった軍人が多かったらしく、第１次大戦の遠因になったという説もある。ちなみに明治30年代前半に日本陸軍第12師団で兵科将校相手に戦争論の講義をしたのは軍医部長森林太郎軍医監（後の第８代軍医総監。森鴎外と言った方が通りが良い）で、第12師団司令部では講義内容を戦論という本に纏めている。参考：月刊軍事研究8,’12、5,’15、軍医サンよもやま物語

＜船側縦材＞：Stringer。縦通材のうち、ビルジよりも上にあるものを指す。参考：米海軍サバイバルマニュアル

＜センソ・コプター＞：ドイツのディールBGTディフェンス社が開発中のヘリコプター型UAV。１名で運用可能であり、行動距離は数kmの予定。参考：月刊軍事研究11,’06

＜潜舵＞：潜水艦のトリム及び水中航行深度を調整するための舵。艦首またはセイルに取り付けられており、後者はセイル・プレーンという。艦首に付けた場合、港で岸壁にぶつかるので、引き込み式にする。氷海で浮上する時も引き込んでおけば損傷しないので便利だが、艦首という場所柄、潜航中に発生する雑音がソナーに入り込む、深度変更時にモーメントが発生して艦の姿勢も前後傾になってしまうといった欠点がある。参考：現代の潜水艦、続潜水艦気質よもやま物語、月刊世界の艦船10,’16、8,’11増刊

＜センター＞：ランドローバー・シリーズ（半装軌車両）を参照。

＜センターファイア型薬莢＞：薬莢を参照。

＜センターボード作戦＞：日本に対する原爆投下作戦のコード名。参考：丸エキストラ版No.71

＜センターラス＞：AKA-17（アンドロメダ級攻撃貨物輸送艦）を参照。

＜船体＞：Hull。船底中央を前後に走るキールがあり、これと平行に縦通材が置かれ、ビルジより下はLongitudinals、上は船側縦材と称する。キールと縦通材の上下に床板が張られて二重底を形成し、ビルジより上では船体側面を構成して主甲板に達する。船体内部は隔壁（バルクヘッド）で縦横に仕切られ、一定間隔で防水隔壁が設けられていて、防水区画を形成する。船体内の床兼天井（Overhead）は甲板と称し、内部を数層に区切っており、前後に走る甲板ガーダー（Deck Girders）、左右に走る甲板ビーム、上下に走る支柱（Stanchions）で支えられる。上下の甲板への移動はハッチまたはマンホールを開けて昇降階段・ラッタル（CompanionwaysまたはLadders）を用い、隔壁の出入りにはドアを使う。ドアには防水ドアWT Door（WaterTight Door）と非防水ドアNWT Door（NonWaterTight Door）がある。参考：米海軍サバイバルマニュアル

＜戦隊（日本海軍、広義）＞：日本海軍の部隊。軍艦２隻以上または軍艦と駆逐隊・潜水隊で編成され、必要に応じて掃海隊を編入する。トップは戦隊司令官で、艦隊司令長官の隷下にある。戦隊（狭義）、警備戦隊、航空戦隊、水雷戦隊、潜水戦隊などがある。参考：帝国陸海軍事典

＜戦隊（日本海軍、狭義）＞：戦艦、巡洋艦などで編成されたもの。通常４隻からなる。参考：帝国陸海軍事典

＜せんだい＞：DE-232（護衛駆逐艦）を参照。

＜先台＞：フォアエンドを参照。

＜川内＞：日本海軍川内型軽巡洋艦１番艦Sendai。大正13年4月29日竣工。昭和12年7月7日、日華事変勃発時は第１水雷戦隊に所属していた。昭和16年12月8日、太平洋戦争開戦時は建制では第３水雷戦隊旗艦、兵力部署では馬來部隊第１護衛隊第３水雷戦隊所属だった。昭和17年1月26日、エンドウ沖海戦に隷下の駆逐艦６隻と共に参加、イギリス駆逐艦サーネットを撃沈した。2月9日、Ｌ作戦参加のためカムラン湾を出撃。3月10日、Ｄ作戦に参加。4月5日、セイロン島攻撃に参加。6月5日、ミッドウェイ海戦に参加。9月12日夜、ルンガ泊地に突入して砲撃を実施。10月14-15日、ショートランドとエスペランス岬を往復して陸軍将兵を輸送した。11月14日、第３次ソロモン海戦に参加。昭和18年11月2日、ブーゲンビル島沖海戦で沈没した。参考：第２次大戦日本海軍作戦年誌、月刊丸1,’07、4,’07、歴史群像12,’09、月刊世界の艦船9,’14、日本海軍艦隊総覧、帝国海軍太平洋作戦史�T

＜川内型＞：日本海軍軽巡洋艦Sendai型。5500トン型の１つで、八八艦隊計画で建造された。長良型の改良型で、重油節約のため混焼缶を追加した関係で煙突が４本になっており、艦橋との干渉防止のため１番煙突を１段高くしている。主砲爆風の影響を無くすため、前部魚雷発射管を後ろにずらした。７番砲を前方に移動し、後部マストの位置も変えている。艦首はスプーン型だが、那珂は艦首をクリッパー型にして完成、神通も後にクリッパー型に交換した。全長162.5m、幅14.2m、吃水4.9m、常備排水量5595トン。主機は蒸気タービン、主缶は重油専焼缶８基・混焼缶４基、出力90000馬力、４軸推進、速力35.25ノット。兵装は五〇口径三年式十四サンチ単装砲７門、四〇口径三年式八サンチ単装高角砲２門、八年式六一サンチ連装魚雷発射管４基。航空機１機を搭載する。乗員440名。川内、神通、那珂の３隻が大正13-14年に就役した。就役後も高角砲を九六式25mm機銃に換装するなどの改装を繰り返し、1930年代には艦橋機能を強化してカタパルトを設置、後部マストを三脚マストにしてデリックを追加しており、太平洋戦争開戦時には公試排水量が7000トン弱にまで増加した。参考：近代巡洋艦史、連合艦隊巡洋艦、月刊世界の艦船12,’10、9,’14

＜潜対艦ミサイル＞：潜水艦から発射する対艦ミサイル、略称USM（Underwater / Subsurface to Surface Missile）。対艦ミサイルを水密カプセルに収容して魚雷発射管や専用発射筒から射出し、海面近くで対艦ミサイルのブースターに点火、カプセルの蓋を突き破って海面から外に飛び出し、目標に向かう。発射時に自艦位置を暴露する危険があり、運用が制限される。かといって見つからないよう遠距離から発射できる長射程対艦ミサイルを装備すると、潜水艦にはそれに見合う遠距離捜索能力が無いので、水上艦や航空機などから目標情報を得る必要があり、これまた運用が制限される。至近距離から不意打ちを食らわせて敵艦の対応時間を局限するといった戦法は取れるが、対潜哨戒機や対潜ヘリが飛んでいたらどうしようもない。アメリカ海軍では1981年から潜対艦型ハープーンを運用したものの程無く搭載を止め、対艦型トマホークも短期間のみの運用に止まり、潜対艦ミサイルを使わなくなってしまった。参考：月刊世界の艦船3,’18、2,'23、1,’02、6,’13、11,’17

＜潜対空ミサイル＞：潜水艦から発射する対空ミサイル、略称UAM（Underwater / Subsurface to Air Missile）。自衛用で、追尾レーダーやイルミネーター・レーダーを海面上に突き出すのは論外なため、撃ちっ放し式が基本である。ただし、センサーマストを露頂させると対水上レーダーに探知され、対空捜索レーダーなどを使うと逆探知されるので、目標捜索に難がある、敵が自艦に気付いていないのに発射するとわざわざ存在を暴露することになる、敵が２機以上で行動していた場合には１機を撃ち落としても別の機から正確な反撃を受けるといった欠点があり、あまり普及していない。参考：ザ・マーチ39号、月刊世界の艦船4,’18、11,’17、1,’20

＜船体磁気測定装置（測定操作制御部）＞：自衛隊の機器。島津製作所製。参考：月刊軍事研究3,’14

＜潜対潜ミサイル＞：潜水艦から発射する対潜ミサイル。略称はUUM（Underwater to Underwater Missile）で、Submarine to Submarine Missleだと略称がSSMで艦対艦ミサイルと同じになってしまうためか、Underwaterの方を使っている。水中対水中ミサイルSubsurface to Subsurface Missileと呼ばれることもあるが、こちらも略すとSSMになってしまうので注意。潜水艦発射対潜魚雷・爆雷にロケットを取り付けたもので、空中を飛翔することにより攻撃時間を短縮し、反撃を受けにくくする。目標付近で魚雷や爆雷を切り離すが、目標到達時間が短いとはいえ相手も動いているので相応の着弾誤差が生じるため、特に爆雷を弾頭にする場合には核爆雷を使う。アメリカではサブロック、ソ連では90RU/SS-N-15や100RU/SS-N-16が開発された。潜水艦の静粛化で長距離探知が困難になると廃れ、新規開発されたのは91PE1くらいで、後は中国のCYシリーズ前期型が試験的に潜水艦から発射された程度である。参考：月刊丸3,’90、月刊世界の艦船4,’18、1,’10

＜潜対地ミサイル＞：潜水艦から発射する対地ミサイル、略称USM（Underwater / Subsurface to Surface Missile）。弾道ミサイルの場合はSLBMと呼ばれる。参考：月刊世界の艦船11,’17

＜仙台駐屯地＞：陸上自衛隊の駐屯地。防衛館には郷土資料や日本軍制服などが展示されている。所在地は宮城県仙台市宮城野区南目館1-1。JR苦竹駅から徒歩３分。元は1941年（昭和16年）に設置された陸軍造兵廠で、1945年9月からアメリカ軍が駐留し、1957年7月に撤退して11月に防衛庁に移管され、1958年3月に南仙台駐屯地が開設されて第２特科群が駐屯を開始、5月に北仙台駐屯地も開設された。6月、東北地区補給処が新編された。7月、第22普通科連隊が新編された。1960年1月、東北方面総監部が新編された。8月、南北仙台駐屯地が合併して仙台駐屯地になった。1961年7月、第22普通科連隊が多賀城駐屯地に移駐。1964年3月、東北方面武器隊が新編された。1965年、第１教育連隊が多賀城駐屯地に移駐した。1968年3月、東北方面通信群が新編された。1971年7月、仙台地区病院が開設された。1982年3月、第305保安中隊が新編された。1998年3月、第２特科群第109特科大隊が廃止され、同群第130特科大隊が新編された。2005年3月、東北方面指揮所訓練支援隊が新編された。2006年3月、東北方面武器隊が廃止され、東北方面混成団、東北方面後方支援隊、東北方面衛生隊が新編された。2008年3月、第305保安中隊が第305保安警務中隊に改編された。2009年3月26日、東北方面情報処理隊が新編された。4月1日、給食業務の部外委託を開始。5月23日、霞目駐屯地で隊員家族のヘリ体験搭乗を実施。8月29日、単身者と独身営外居住隊員計14名に対し、部外講師による生活習慣病予防目的のヘルシー料理教室を開催。2010年3月、第２特科群が廃止され、東北方面特科隊が新編された。7月8日、調理実習に年２回協力している尚絅学院大学健康栄養学科から感謝状を授与された。11月19日、日米共同緊急患者搬送訓練を実施。2011年3月11日、東日本大震災では180棟の建物のうち48棟が被害を受け、電気６系統、水道、ボイラーが全て止まり、東北方面後方支援隊と宮城地本掩護センターが入る庁舎の柱が500mmも潰されて使用不能になった。1800までに自家発電で２系統の電気を復旧させ、残る４系統は3月13日、水道は3月15日に全復旧させている。燃料は毎日ドラム缶800本を３時間かけて多賀城燃料支処から運び込んだが、燃料事情の悪化で警察、消防、県の公用車までが行列を作り、即座に無くなる状況だった。JR長町駅で脱線した貨物列車に積まれていた野菜が支援物資として放出されることになったため、業務隊が搬出の協力を行っている。3月14日、JTF司令部が置かれ、最大で平常時より1200名多い4700名が滞在することになった。宿舎ではとても足りないので空き地に野営し、５倍近くの調理数が必要になった給食は野外炊事車３台による加温缶詰で間に合わせ、ボイラー復旧後はレトルトパックに味噌汁というメニューになっている。しかし野菜不足で口内炎が多発し、各隊員にビタミン剤を配って間に合わせた。3月16日、給水施設の受水槽２基のうち１基の水位が急激に下がったため、東北防衛局技術支援班が調査したところ、受水槽から高架水槽を繋ぐ給水管が損傷しているのを発見、駐屯地部隊が修理した。7月19日、東日本大震災で倒壊した駐屯地慰霊碑（1976年建立、2008年6月改修）の修復を開始。9月6日、宮城県警本部長が駐屯地を訪れ、東日本大震災の災害派遣に対する感謝状を手渡した。10月3日、宮城県大崎市鳴子地区高齢者交通安全リーダー13人の交通安全管理研修に協力。2012年5月11日、1968年から毎年飛来しているカルガモ親子が東北方面総監部庁舎前の池から東北補給処の溜池までの移動を開始したが、途中でヒナ８羽のうち３羽が鉄格子の隙間から側溝に落ちて脱出できなくなったため、第303基地システム通信中隊の６名が救出した。11月8日、鹿島台商業高校男子生徒７人の総合学習を支援。12月13日、東日本大震災のトモダチ作戦に謝意を示すため、駐屯地のメイン通りを一条通りからトモダチ通りに改称した。2013年1月24-25日、宮城県松島高校生徒３人の職場体験に協力した。4月24日、駐屯地業務隊が災害給水所竣工式を実施。東日本大震災で破壊されたため新造したもので、１日あたり360立方メートルの給水能力を持つ。5月15日、仙台市立愛宕中学校１年生15人の総合学習に協力した。5月29日、聖和学園高校生徒14名の総合的な学習に協力。8月9日、東北福祉大学防災士の会が駐屯地を訪問した。2014年9月10日、宮城県名取市の老人クラブ耕野長生会の会員24人による見学を受けた。10月6-10日、東北生活文化大学・同短期大学部の学生６人の臨地実習に協力した。10月10日、仙台市内探索の会である青友会の８人が南目館跡と防衛館を見学した。2015年1月9日、成人祝賀行事を実施。2月17日、聖ウルスラ学院英智中学校２年生３人の総合学習に協力。3月6日、東北方面総監ら東北方面隊幹部５名が東北地方整備局及び第２管区海上保安本部と防災懇話会を実施。6月4日、聖和学園高等学校生徒15人の総合的な学習を支援した。11月16日1745頃、東北方面特科隊の士長が、駐屯地上空を飛行する小型無人機らしきものを発見した。2016年3月11日、東北チャリティーマラソンに協力。ランナーと隊員が1446に１分間の黙祷を行い、東日本大震災の犠牲者に哀悼の意を表明した。5月12日、宮城県大崎市立古川西中学校女子生徒２人が駐屯地を訪問し、整備工場や健康管理室などを見学した。7月3日、駐屯地体育館で駐屯地司令杯家庭婦人バレーボール大会を実施。8月27日、駐屯地司令杯リトルリーグ野球大会を開催。11月7日、宮城県利府自衛隊父兄会会員16人が駐屯地を見学した。2017年2月4日、霞目飛行場で隊員家族や駐屯地モニターなど25人にUH-1J多用途ヘリによる航空機体験搭乗を実施。3月27日、東北方面後方支援隊第301弾薬中隊（コア部隊）が新編され、編成完結式が実施された。5月11日、美里町立小牛田中学校の総合的な学習を受け入れ、生徒６人に基本教練、ロープワーク、格闘訓練などを行った。6月12日、仙台市主催身体保護訓練に参加。7月19-20日、第６高射群がPAC-3機動展開訓練を実施。9月25日から11月24日、平成29年度日米共同方面隊演習施設構築兵站支援部施設支援隊が施設構築を実施。2018年1月12日、新成人隊員54名の成人祝賀行事を実施。4月19日、隊員・職員計61名が献血に協力した。6月4日、パプリカ保育園園児23人・職員７人が見学した。6月5日、東北方面隊の普通科特技変換教育に協力し、防衛館前の広報展時用74式戦車を隊員30名に公開した。6月12日、仙台市民防災の日に行われた防災訓練に参加。8月28-30日、仙台市立郡山中学校生徒15人の総合的な学習を支援した。11月5日、岩切どろんこ保育園園児17人・職員２人の駐屯地見学に協力した。2019年3月20日、第130特科大隊の廃止に伴う隊旗返還式を実施。3月25日、第４地対艦ミサイル連隊第４中隊の廃止に伴う隊旗返還式を実施。4月15日、カール英会話こども園の園児43人が見学した。6月17日、防衛・駐屯地モニター14人に部隊研修を実施。

2020年5月27日、献血支援を実施し、73名が協力した。6月12日、仙台市民防災の日に合わせて行われた仙台市シェイクアウト訓練に参加。マグニチュード7.5・最大震度６強の地震を想定し、安全行動を取る訓練を行った。7月21日、山崎統幕長と在日米軍司令官シュナイダー空軍中将が駐屯地を視察し、トモダチ館で東日本大震災時の日米共同救護作戦の状況を振り返った。12月2-3日、令和2年度ハラスメント防止集合教育を実施。12月16日、みちのくALART2020の図上訓練が行われた。2021年1月13日、新成人26名の祝賀行事を実施。5月25日、宮城県赤十字血液センターの献血に隊員・職員計61名が協力した。6月11日、市民防災の日で震度６強の地震を想定した仙台市シェイクアウト訓練に隊員3000名で参加。2022年6月10日、市民防災の日を前に行われた仙台市シェイクアウト訓練に隊員2000名で参加。9月5-9日、東北生活文化大学家政学部家政学科学生３人の給食経営管理実習に協力し、非常用糧食倉庫などの管理要領、衛生管理、野外炊具１号（22改）による炊事などの学習・研修や、1200名以上分の食材裁断、調理、配食などの体験実習を行った。2023年4月8日、駐屯地モニター終了式と委嘱式を実施。5月13日、仙台うみの杜水族館エントランスで行われた仙台東警察署主催交通事故防止キャンペーンに協力し、装備品展示や募集広報などを行った。6月24日、駐屯地モニターら37人に航空機体験搭乗を実施。7月15-17日、鹿児島地本が鹿児島高校バスケットボール部に行った隊内生活体験に協力し、基本教練、ロープワーク、救急法、非常呼集、8.5キロ行進の各訓練を行った。10月2-6日、仙台白百合女子大健康栄養学科６人の給食経営管理実習に協力し、給食業務、衛生業務、食材裁断、配食、栄養指導などの教育や実習を行った。11月13日、駐屯地消防訓練を実施。隊員200名が参加し、宮城野消防署員３人の協力で消火栓・消火器の取り扱い訓練を行った。

参考：東北方面隊ホームページ、JGround Vol.23、MAMOR vol.91、月刊航空ファン9,’17、朝雲、多賀城駐屯地ホームページ

　＜仙台駐屯地（２０１５年）＞：東北方面総監部、東北方面総監部付隊、東北方面特科隊、東北方面混成団、東北方面通信群、東北方面後方支援隊、東北方面指揮所訓練支援隊、東北方面情報処理隊、東北方面衛生隊、東北方面会計隊、東北方面警務隊、東北方面音楽隊、第305保安警務中隊、東北補給処、会計監査隊東北方面分遣隊、自衛隊仙台病院、仙台駐屯地業務隊が駐屯している。参考：東北方面隊ホームページ、陸上自衛隊パーフェクトガイド2015

＜川内駐屯地＞：陸上自衛隊の駐屯地。所在地は鹿児島県薩摩川内市冷水町上床539-2。JR川内駅からタクシーで10-15分。市民の誘致活動で1985年3月に開設され、第８師団第８施設大隊が北熊本駐屯地から移駐した。自衛隊員と市民のつどいという記念行事が毎年行われており、駐屯地一般公開に加え、戦車などが薩摩川内市市街地中心部の国道３号線を行進する市中パレードが実施される。2023年11月7-10日に鹿児島地本知覧分駐所が行った鹿児島実業高校２年生のインターンシップに協力し、女性隊舎見学や女性隊員との懇談を行った。参考：JGround Vol.23、スピアヘッドNo.12、朝雲

　＜川内駐屯地（２０１５年）＞：第８師団第８施設大隊、第８後方支援連隊第１整備大隊施設整備隊、西部方面会計隊第438会計隊（3月26日から第364会計隊川内派遣隊）などが駐屯している。参考：MAMOR vol.102

＜仙台駐屯地業務隊＞：陸上自衛隊の駐屯地業務隊で、仙台駐屯地に置かれている。2009年3月10日、平成20年度東北方面隊業務隊品質管理活動発表会で年間活動の部とサークル活動の部の最優秀賞を受賞し、衛生科は総監特別賞を授与された。2018年1月17日、ヘルスプロモーション施策など健康管理事業の改善と充実の功績で、陸幕長から２級賞状が授与された。6月12日、仙台市民防災の日に行われた防災訓練に参加。2021年2月13日2308頃、福島県沖を震源とする最大震度６強の地震が発生したため、駐屯地厚生センターにキッズルームを開設して隊員の自主緊急登庁を支援した。2022年7月15日、厚生業務で優れた功績を挙げたとして、吉田陸幕長から２級賞状と副賞の盾を授与された。11月22日、仙台駐屯地厚生センターで緊急登庁支援のための安全管理・施設運営訓練を実施。仙台こども専門学校講師４人を招き、隊員25人が講義聴講や実習を行った。2023年7月14日、駐屯地業務で優れた功績を挙げたとして、森下陸幕長から第２級賞状と副賞の盾を授与された。参考：朝雲

＜仙台駐屯地防衛館　礎＞：仙台駐屯地内にある資料館で、館内に自衛隊や郷土の資料、屋外に61式戦車、74式戦車、OH-6観測ヘリなどが展示してある。所在地は宮城県仙台市宮城野区南目館1-1。開館時間は0900-1600。休館日は土日休日だが、事前予約すれば見学できる。参考：MAMOR Vol.42

＜仙台飛行場＞：日本陸軍の飛行場。戦後は霞目駐屯地になった。参考：月刊JWings11,’18

＜仙台丸＞：日本海軍特設艦船。昭和16年12月8日、太平洋戦争開戦時は連合艦隊補給部隊に所属していた。参考：帝国海軍太平洋作戦史�T

＜潜高型＞：日本海軍一等潜水艦で、「せんたかがた」と読む。潜高大型（せんたかだいがた）ともいう。太平洋戦争で、空母機動部隊の攻撃位置に付こうとしても水中速力不足で失敗することが度々あり、またレーダーや対潜兵器の発達で敵対潜能力が強化され、攻撃力を保持するには水中速力の向上が必須であると考えられたため、71号水中高速艦などのデータを元に昭和18年7月1日から開発されたものである。大容量の蓄電池が開発できなかったため、甲標的用の蓄電池を大量に積み込んだが、その分乗員室が圧迫され、過熱も問題となった。水中高速時に旋回すると傾斜角が大きくなるという欠点があり、艦尾の水平安定板を大型化して解決したが、片方の幅が3mにも達したため、接岸には注意が必要だった。自動操縦装置（横舵を自動的に動かして深度を保つ）、自動懸吊装置（注排水を自動で行い深度を調整する）を搭載したものの、作動が不確実であまり使えなかったようである。船体にはドイツ規格St52相当のSi-Mn系高張力鋼（抗張力は１平方ミリメートルあたり50kg）を新開発して使用した。船型はなるべく滑らかにし、対空機銃、フェアリーダー、長波無線機空中線展張用マストを格納式にするなど水中抵抗削減に努めたが、鉄製にする筈だった上甲板を空気排出秒時短縮のため木製とせざるを得ず、水中充電装置などを追加して重量も大きくなり、目標であった水中速力20ノット（開発初期には25ノットを目指していた）は出せずじまいだった。急速潜航秒時も8-15秒を目指し、予備浮力を局限して上構側面にフリーフラッド・ホールを開けまくったが、水上航行中心の従来艦とは船体設計がまるで違うため上手くいかず、実際には２分くらい掛かっている。全長79m、垂線間長76m、幅7.6m（5.8m？）、平均吃水5.8m、公試時吃水5.46m、基準排水量1070トン、常備排水量1291トン、水中排水量1450トン。主機はマン式一号ディーゼル２基（2750馬力）・特Ｅ型電動モーター４基（5000馬力）、２軸推進、水上速力15.8ノット、水中速力18-19ノット、ディーゼル燃料搭載量144トン、蓄電池は特Ｄ型電池2088個、水上航続距離15000海里（６ノット）／5800海里（14ノット）、水中航続距離20海里（20ノット）／135海里（３ノット）、水中航続時間１時間（最大速力）／60時間（最微速）。安全潜航深度110m。兵装は九五式発射管４門（艦首。魚雷10本）、引き込み式九六式25ミリ単装機銃２門（セイル前後。１門？）。乗員31名（45名？）。呉工廠で８隻が起工され、伊201、伊202、伊203の３隻が昭和20年に就役したが、主機の不調や大量に詰め込んだ蓄電池のトラブルなど問題点の解決に時間がかかり、実戦には間に合わなかった。参考：日本の潜水艦パーフェクトガイド、日本潜水艦物語、歴史群像6,’02、続：海軍製鋼技術物語、月刊モデルアート9,’15増刊、月刊丸9,’20

＜潜高小型＞：日本海軍の本土決戦用二等潜水艦で、「せんたかしょうがた」と読み、潜小または潜高小（せんたかしょう）と略す。蛟龍の航続距離が短すぎるため、沿岸防備用にも使える航続性能を持たせた水中高速小型潜水艦である。全溶接製ブロック建造方式により３ヶ月で１隻（実績は平均２ヶ月で１隻）作ることが可能で、水中速力と航続力を重視しており、主電動機は高速発揮用と低速航行用の２種類を装備した。船体はサドルタンク方式で、水中機動性向上のため潜舵は船体中央両側に装着されており、30秒で急速潜航が可能。全長53m、垂線間長50m、最大幅4m、平均吃水3.44m、基準排水量320トン、常備排水量376トン、水中排水量440トン。主機は中速型ディーゼル１基（400馬力）・特Ｅ型改一電動モーター１基（1250馬力）、１軸推進、水上速力11.8ノット（13ノット？）、水中速力13.9ノット（14.5ノット？）、蓄電池は一号三三型甲ペースト式電池120個、水上航続距離3000海里（10ノット）、水中航続距離100海里（２ノット）。安全潜航深度100m、限界潜航深度150m。兵装は九五式発射管２門（艦首。魚雷４本）、25ミリ連装機銃（留式／九二式7.7mm単装機銃？）１基（セイル前部上面）。水中聴音機、短４号送信機、特受信機、水中受信装置、小型対空電探１号３型、逆探を装備した。乗員28名。テストの結果、予定した水上10.5ノット・水中13ノットを上回る速力を発揮するなど優秀な成績を出し、特攻兵器と同レベルの最優先建造計画が立てられ、波201、波202、波203、波204、波205、波207、波208、波209、波210、波216の10隻が昭和20年に竣工し、他に30隻が起工済み、数十隻が起工準備中だったが、実戦投入前に終戦となった。参考：日本の潜水艦パーフェクトガイド、日本潜水艦物語、月刊丸1,’77、8,’95、月刊モデルアート9,’15増刊

＜潜高大型＞：潜高型（潜水艦）を参照。

＜洗濯板＞：日本海軍用語で、普通善行章を５本付けた者のこと。兵曹長に進級する一歩手前あたりの超古参下士官で、士官にも適切な助言を行う。参考：海軍よもやま物語、帝国陸海軍事典

＜洗濯コンテナ＞：陸上自衛隊の可搬式洗濯機。国際規格20フィートコンテナの中にドラム式洗濯乾燥機を８台収容したものである。洗濯乾燥なら１日64名分、洗濯のみなら128名分の衣服を洗える。参考：スピアヘッドNo.20

＜選択識別装置質問機／応答機用整備器材＞：自衛隊の機器。ネットコムセック製。参考：月刊軍事研究1,’14

＜選択識別装置用空中線（Ｐ−１用）＞：自衛隊の機器。NECネットワーク・センサ製。参考：月刊軍事研究11,’17

＜選択摺動式トランスミッション＞：マニュアル式トランスミッションの一種。シフトレバーの操作でギアを直接動かし、噛み合わせを変える方式である。回転数の違うシャフトに付いているギアを無理矢理噛み合わせるため、騒音が激しく、弾き返されたりギアを損傷したりすることもあり、ギアが入りかけた時にもう一度クラッチを踏んで回転を同調させるダブルクラッチという手法が必要だった。参考：自動車メカニズム図鑑

＜洗濯ストップ＞：日本海軍用語で、洗濯物を吊すための紡績糸（長さ150mmくらい）のこと。参考：海軍よもやま物語

＜船団護衛作戦＞：空中・水上・水中移動脅威の潜在する海域を航行する船団を、安全に護送する作戦のこと。イギリスがオペレーションズ・リサーチという数学的方法により編み出したもので、商船を単独航行させるよりはグループ化した方が通商破壊作戦による被害が少なくなり、輸送効率も良くなることから、採用された。商船40-80隻に護衛部隊を配した護送船団を形成し、港湾間の輸送にあたる。護衛部隊は途中の脅威に応じて対機雷戦、対潜戦、防空戦、水上打撃戦、航空撃滅戦、航空打撃戦を行う。参考：月刊世界の艦船8,’82増刊

＜全地球位置把握システム＞：GPSを参照。

＜全地球航空コマンド＞：空軍全地球打撃コマンドを参照。

＜センチネル＞：ACシリーズ（戦車）またはAN/MPQ-64（レーダー）またはF27（偵察機）またはL-5シリーズ（観測機）またはOY-1（観測機）またはRQ-170（無人機）を参照。

＜センチネル＞：アメリカ軍計画弾道ミサイル迎撃システム。中国からのICBMに対抗するという名目（もちろん主眼はソ連である）で開発され、高々度用のスパルタン迎撃システムと低高度用のスプリント迎撃システムを組み合わせて1967年から13都市に配備予定だった。大都市を守るので大がかりになってコストが上昇したのと、都市の近くに核ミサイルを配備しなければならないという欠点があり、ICBM基地を防衛するセイフガードに縮小された。参考：月刊軍事研究9,’11

＜センチネル＞：オーストラリア海軍試験無人水上艇Sentinel。元はアーミデール級哨戒艇メイトランドで、哨戒艦艇自律性試験PBAT計画の試験艦に使用されることになり2022年に改称され、オーストラリア国防省とオースタル・オーストラリア社が共同運用している。全長56.8m、基準排水量300トン。主機はディーゼル、速力25ノット。2024年3-4月、西オーストラリア沿岸で自律航行公試を行った。参考：月刊世界の艦船10,’24

＜センチネル＞：フランス海軍アミラル・ロナルク級フリゲートに搭載予定の電子戦装置SENTINEL。参考：月刊世界の艦船5,’22

＜センチネル３０＞：スペインのエスクリバノ社が開発した遠隔操作式30mm機関砲塔Sentinel 30。ジャイロ・スタビライザー付き遠隔操作式砲座に80口径30mm機関砲Mk44ブッシュマスター�Uと電子光学照準装置（電子光学センサー＋レーザー測距器）を装着したものである。口径5.56mm以上30mm未満の機銃に換装することも可能。参考：月刊世界の艦船12,’20

＜センチネル５００Ｍ＞：南アフリカのATE社が開発中のUAV。バウチャーの後継である。自重150kg。巡航速度110km、航続時間６時間。ペイロード30kg。参考：月刊軍事研究1,’09

＜センチネル１５００＞：イギリスのソナーダイン社が開発した潜水者探知ソナー。円筒形をしており、船舶や岸壁から海中に降ろして使用する。目標の位置などのみならず、ダイバーの使用するアクアラングが開放式か閉鎖式か、水中スクーターや小型潜水艇を使用しているかといった識別も可能である。直径300mm、高さ500mm、重量35kg。使用周波数70kHz、帯域幅20kHz、送信チャンネル数８、受信チャンネル数128、角度精度0.1-0.5度、最大運用深度50m、最大探知距離900m（タイバー）／1500m（小型潜水艇）。参考：月刊軍事研究1,’12

＜センチネルＲ．１＞：イギリス空軍地上監視機Sentinel R1。1999年6月19日にイギリス国防省が空中スタンドオフ・レーダーASTOR（Airborne Stand-Off Radar）の名称でレイセオンに発注し、2001年3月から機体の製作に入り、空力特性試験機は2001年8月、システム搭載原型機は2004年5月26日に初飛行し、2005年9月にレーダー空中稼働試験を行った。E-8J-STARSの小型版で、ボンバルディア社製グローバル・エクスプレス長距離ビジネスジェットの前部胴体下面にカヌー型フェアリングを搭載し、内部にU-2S偵察機に搭載されているASARS-2レーダーの改良型であるASTORシステムを収容、地上目標の監視を行う。解像度0.5m（1m？）。運用高度12800-15000mで250-296km先を監視可能とされる（高度14326mで160km以上先？）。また、地上を速度10km以下で移動する目標やヘリコプターも識別できる。前部胴体上面にSATCOMアンテナ用水滴型フェアリングを装着、垂直尾翼端を拡大しており、リンク16などの各種データリンク装置を積んでいる。胴体尾部下面にはベントラル・フィン２枚を追加して安定性を向上させた。全長30.3m、全幅28.65m、全高8.23m、自重22.8トン、総重量43トン。翼面積94.9平方メートル。エンジンはロールス・ロイス社製BR710-48-C2（推力6.69トン）双発、最大巡航速度800km、実用上昇限度15500m、航続距離11000km、通常哨戒時間4-7時間（＋１時間進出＋１時間帰投）、最大航続時間11時間。乗員6-8名。2006年11月までに３機を配備する筈だったが、初号機配備は2007年6月6日となり、この時点でもASTORが運用段階に達しておらず、2008年中に作戦能力を得る予定となっていた。総生産数は５機で、最終号機は2009年2月11日に引き渡されている。他に地上ステーション８基が配備された。2009年2月から２機がアフガニスタンに派遣された。2011年3月からエラミー作戦に参加してリビア沿岸で監視活動を行い、8月のトリポリ陥落後はリビア南部に展開しているが、データリンク能力の不足で十分な監視任務を行えなかったらしい。2015年までに退役させる予定だったが、アフガニスタンやアフリカでの運用が続いており、2015年から海洋哨戒能力追加テストに入る。F-35戦闘機の機体構造腐食チェック用小型センサーを導入する予定。参考：世界航空機年鑑2018-2019、月刊軍事研究8,’05、10,’06、10,’07、5,’12、月刊JWings12,’05、6,’06、5,’07、5,’13、12,’14、12,’15、10,’16

＜センチメータ級測位補強サービス＞：内閣府宇宙開発戦略推進事務局が2018年度から開始予定の高精度測位サービス、略称CLAS（Centimeter Level Augmentation Service）。準天頂衛星みちびきからの測位補強データ送信用L6信号を専用受信機で受信し、誤差数センチメートルの測位を可能とするものである。国土地理院電子基準点のデータを利用して測位補強データを計算し、地上管制局から衛星経由で地上受信機に送信するため、データ算出から受信まで十数秒かかり、急に電離層擾乱が起こった場合などは補正が間に合わず、精度が悪化するので注意。参考：内閣府宇宙開発戦略推進事務局ホームページ、月刊軍事研究12,’16

＜センチメートル波＞：別名SHF（Super High Frequency）。波長が1-10センチメートルくらいの電波のことで、マイクロ波の一部である。Ｓバンドの一部、Ｃバンド、Ｘバンド、Kuバンド、Ｋバンドの一部がこれにあたる。UHFよりも直進性が高く、大気や気象の影響を受けにくく、電離層で反射されず、傍受もされにくい。参考：月刊航空ファン5,’17

＜センチメートル波レーダー＞：センチメートル波を使用するレーダー。アンテナを小型化してパラボラ型にすることができ、レドーム内に収容することが可能となった。早期警戒監視レーダー、射撃指揮レーダー、合成開口レーダー、気象レーダー、船舶用レーダー、速度違反取締用レーダーなどとして軍民問わず幅広く使用されている。イギリスが空洞マグネトロンの発明により第２次大戦中に実用化し、アメリカも採用した。参考：月刊航空ファン5,’17、月刊軍事研究8,’01

＜センチュリー・シリーズ＞：アメリカ軍の戦闘機で、通し番号100番台のもの（F-100スーパーセイバー、F-104スターファイターなど）を指す。普通はF-108までをこう呼び、F-111やF-117などは除外される。参考：月刊JWings10,’09、アメリカジェット戦闘機、戦闘機のしくみ

＜センチュリオン＞：イギリス海軍キング・ジョージ�X世級戦艦（初代）Centurion。1912年、探照灯管制器のテストに使用され、第２煙突周囲に探照灯台を設置した。1913年5月22日竣工。1916年5月31日、第２戦艦戦隊第１小隊所属でジュットランド海戦に参加。1926年4月、無線操縦標的艦に改造された。1944年6月のオーバーロード作戦で、防波堤として使用された。参考：近代戦艦史、月刊世界の艦船1,’12、6,’16、歴史群像6,’16

＜センチュリオン＞：イギリスのケムリング社が開発した12連装チャフ／デコイ発射機Centurion。発射機はステルス性を考慮して12面の多角錐台型をしており、使用時に各面が開いてチャフ／デコイ発射筒が顔を出すようになっている。旋回機構と船体動揺に対する安定化機構を持ち、艦内からの遠隔操作が可能。発射機は甲板に据え付けるだけで済み、制御用ソフトウェアも完備しているので、艦載戦闘システムを持たない艦でも後付けで運用出来る。最下部直径2m、高さ2.5m、重量1.2-1.3トン。発射筒仰角10-70度、装弾数12発。最大旋回速度毎秒80度、最大俯仰速度毎秒75度。使用弾直径130-150mm（170mm？）で、可視光・赤外線・紫外線・電波に対する妨害弾の他、対魚雷用音響デコイや対海賊用熱風発生弾（発熱弾）も発射でき、IHIエアロスペース社製トレロ電波デコイにも対応する。2013年12月にはジャベリン対戦車ミサイルの発射試験にも成功した。誘導砲弾や近接防御用艦対空ミサイルも撃てる。参考：月刊軍事研究3,’13、3,’14、1,’12、月刊世界の艦船1,’14、1,’15増刊、5,’22

＜センチュリオン＞：シンガポール海軍ショーオルメン級潜水艦２番艦Centurion。元はスウェーデン海軍ショーオルメン級潜水艦ショーオルメンで、2000年に受領し、2003年までスウェーデンに留めて共同訓練に使用した。参考：世界の潜水艦ハンドブック改訂第２版

＜センチュリオン・シリーズ＞：イギリス陸軍重巡航戦車Centurion。1943年7-8月にイギリスのチョーバムにある戦闘車両研究開発研究所FVRDEで開発が決定した戦車で、第二次大戦の戦訓を踏まえ、将来的に登場するであろうドイツ軍重戦車を撃破できるよう設計された。当初は武装強化に重点を置いた重巡航戦車として開発された（他に防御力重視の重歩兵戦車を開発する予定だった）が、北アフリカ戦の結果、戦車、対戦車火器、歩兵全てに対応できないと使い物にならないことが判明し、巡航戦車と歩兵戦車を統合する汎用戦車を目指している。全幅3.15m・重量40トンに抑えてイギリス国内での鉄道輸送を行う予定だったが、性能を優先することにして制限を外し、正式な最終仕様書（主砲は17ポンド砲Mk�Z、副武装は同軸の7.92mmベサ機銃または20mmポールステン機関砲、砲塔後部ボールマウントの7.92mmベサ機銃、エンジンはミーティア、トランスミッションはメリット・ブラウン、サスペンションは改良ホルストマン型、航続距離177km）は1944年2月に出され、5月にモックアップ、9月にA41増加試作車両20両が完成し、1945年5月に６両がヨーロッパ戦線に送られて第７装甲師団第22機甲旅団に配備されたが、すぐにヨーロッパ戦が終結して戦闘には参加できなかった。その後朝鮮戦争や中東戦争などに参加している。1962年までに4423両が生産され、2500両以上がイスラエル、ヨルダン、南アフリカなどに輸出された。イギリスでは1969年まで配備されている。参考：世界AFV年鑑2002-2003、月刊PANZER9,’12、12,’11、月刊軍事研究3,’12、British and American Tanks of World War Two

　＜Ａ４１（増加試作車）＞：1944年9月に発注され、1945年1月から20両が製作された。車体は前面にのみ被弾経始が付いていて、底部は耐地雷性を考慮してボート型とした。前部左に操縦手が位置し、車体銃は装備せず、主砲弾薬スペースに充てている。車体中央が戦闘室、後部が機関室で、両側フェンダー後部上面にマフラーと排気管が載る。ミーティア・エンジン（600馬力）とは別に、充電・ファン駆動用としてモーリス8HPモーターを搭載した。下部転輪は大直径ダブルタイプ片側６組、起動輪は前方、誘導輪は後方にあり、スカートを装備する。重量増により従来の巡航戦車に採用していたクリスティー型サスペンションの能力を超えたため、改良ホルストマン式サスペンションを使用した。砲塔は溶接製で、僅かに被弾経始が付いていて、上面右にキューポラ、左にハッチ、後部側面に荷物入れがある。第１次試作車（1-5号車）の主砲は17ポンド砲Mk�Z（70発）で、副武装は砲塔前面左の20mmポールステン機関砲（主砲防楯外に付いている）。第２次試作車（6-10号車）は砲塔後部に脱出ドアが付いている。第３次試作車（11-15号車）は20mm機関砲の代わりに7.92mmベサ機銃を搭載した。第４次試作車（16-18号車）は主砲を77mmOQF Mk.2に換装し、砲塔後部の脱出ドアを廃止して7.92mmボールマウント機銃（車長が操作）を砲塔後部に装備。第５次試作車（19-20号車）は車体前部にリモコン式7.92mmベサ機銃搭載ボールマウント機銃（操縦手が操作）を装備し、砲塔後部の機銃は廃止して脱出ドアを復活させた。主砲を95mm榴弾砲に換装した近接支援型も計画されたが、結局作られていない。参考：British and American Tanks of World War Two、月刊PANZER9,’12、ウォーマシンレポート11

　＜Ａ４１Ｓ＞：A41増加試作車最終５両（16-20号車）の別名。主砲は77mmOQF Mk.2で、パワー・フロー型変速操向機を備える。参考：British and American Tanks of World War Two

　＜センチュリオンＭｋ．�T＞：車体は前方から操縦室、戦闘室、機関室で、車体底部は地雷の爆風を避けるため船底型をしている。操縦手席は右側にあり、ペリスコープ２個を備えたハッチを持つ。下部転輪はダブルタイプ片側６組、上部転輪はダブルタイプ片側４組、起動輪は後方、誘導輪は前方にある。サスペンションは改良ホルストマン式で、下部転輪が２個１組で水平コイルスプリングに取り付けられており、第１・第６転輪にはショック・アブソーバーが付く。履帯はドライピン式スケルトン型で、マンガン鋼の鋳造製、片側108枚、幅609.6mm、ピッチ139.7mm。砲塔は鋳造製で、右前方に砲手、右後方に車長、左に装填手が座る。砲塔上面右に車長用キューポラ、左に装填手用ハッチがあり、後部スポンソン上には通信アンテナを２本立てられる。砲塔両側面前部に６連装発煙弾発射機を１組ずつ装備。全長8.839m、車体長7.557m、全幅3.353m、全高2.921m、戦闘重量48.77トン。主砲は17ポンド砲Mk�Z（70発）、副武装は20mmポールステン機関砲１門（960発）と7.92mmベサ機銃１丁（砲塔後面ボールマウント、3375発）。装甲厚は車体前面下部76mm50度、前面上部118mm30度、側面51mm75度、後面上部38mm75度、後面下部20mm20度、防楯121mm90度、砲塔前面121mm90度、側後面76mm90度。エンジンはミーティア�WＡガソリン（650馬力）、トランスミッションはデビッド・ブラウン社製メリット・ブラウンZ51R手動機械式変速操向機（前進５段・後進２段）、最大速度34.3km、航続距離96.5km。乗員４名。1945-47年に100両が生産された。参考：ウォーマシンレポート11、世界AFV年鑑2002-2003、月刊PANZER1,’98、5,’10

　＜センチュリオンＭｋ．�U＞：A41A。防御力を強化し、容積を拡大、生産性を向上させた新型一体鋳造砲塔（A45試作重歩兵戦車がベース。最大装甲厚152mm）を搭載したもの。主砲は17ポンド砲で、安定化装置を追加し、20mmポールステン機関砲と後方ボールマウント機銃を撤去、主砲同軸に7.92mmベサ機銃を装備している。1945（1946？）-48年に250両が生産された。1950-51年に主砲を20ポンド砲に換装してMk.�Vになった。参考：ウォーマシンレポート11、月刊PANZER2,’02、British and American Tanks of World War Two

　＜センチュリオンＭｋ．�V＞：主砲を20ポンド（83.8mm）砲Mk.2に換装し、砲二軸安定化装置と新型FCSを搭載、エンジンをミーティア�WＢに変更したもの。車長用照準視察装置はNo.2キューポラに搭載されているNo.7Mk.1視察潜望鏡（倍率１倍）７基、No.8Mk.1視察潜望鏡（倍率１倍）１基、No.4照準潜望鏡（倍率1-7倍）１基、AFV No.2照準双眼潜望鏡（倍率10倍・視野5.5度）１基で、砲塔上面に車長用直接照準器がある。砲手用照準視察装置はNo.2Mk.4測距ギア装置、照準目盛り付き右目用単眼式照準器（倍率６倍・視野11度）、No.1Mk.3またはNo.1Mk.4統合型照準潜望鏡（倍率１倍・視野42度）１基、左目用測距目盛り反射鏡１基。他に、No.1Mk.1電動式旋回角指示器、No.15Mk.1装填手用視察潜望鏡１基、No.15Mk.1操縦手用視察潜望鏡２基が搭載されている。全長9.83m、車体長7.544m、全幅3.378m、全高2.940m、戦闘重量50.79トン。主砲は20ポンド砲Mk.2（65発）、副武装は7.92mm機銃１丁。装甲厚は車体前面76mm35度、側面50mm90度、後面17mm90度（38mm90度？）、上面25mm０度、下面17mm０度、防楯152mm、砲塔前面121mm90度、側後面76mm90度、上面25mm０度。エンジンはミーティア�WＢガソリン（650馬力）、トランスミッションはメリット・ブラウンZ51R（前進５段・後進２段）、最大速度34.6km、航続距離96.5km。乗員４名。1948-55年に2833両が生産された。1951年1月3日、第８キングス・ロイヤル・アイリッシュ軽騎兵連隊に配備されて朝鮮戦争に投入された。参考：ウォーマシンレポート11、世界AFV年鑑2002-2003、月刊軍事研究3,’12

　＜センチュリオンＭｋ．�W＞：試作火力支援型A41T。主砲を21.5口径95mm榴弾砲Mk.1Aに換装している。1948年（1953年？）に試作されたが、20ポンド砲で十分なので量産されなかった。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオンＭｋ．５＞：NATO共用化のため、副武装を7.62mm機銃M1919A4に換装したもの。このタイプ以降、数字の表示がローマ数字からアラビア数字に変更された。全長9.830m、車体長7.557m、全幅3.391m、全高2.972m、戦闘重量50.79トン。主砲は20ポンド砲Mk.2（64発）、副武装は7.62mm機銃M1919A4が２丁（4250発）。装甲厚は車体前面76mm、側面50mm、後面17mm、防楯152mm、砲塔前面121mm、側後面76mm。エンジンはミーティア�WＢガソリン（650馬力）、トランスミッションはメリット・ブラウンZ51R（前進５段・後進２段）、最大速度34.6km、航続距離100.5km。乗員４名。1955-57年に221両が生産された。中期以降の生産型から、砲身半ばに排煙器を装着している。参考：ウォーマシンレポート11、月刊PANZER12,’00

　＜センチュリオンＭｋ．５／１＞：FV4011。Mk.5の主砲を排煙器付きの20ポンド砲Mk.2/1に換装し、前面に２インチ（50.8mm）の増加装甲を装着したもの。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオンＭｋ．５／２＞：Mk.5の主砲を105mmライフル砲L7A1に換装したもの。俯仰角マイナス10度からプラス20度。照準装置はNo.4Mk.2車長用照準潜望鏡とNo.18砲手用照準潜望鏡。車長用に８個、砲手用に１個、装填手用に２個、操縦手用に２個の視察潜望鏡が用意されている。参考：ウォーマシンレポート11、世界AFV年鑑2002-2003

　＜センチュリオンＭｋ．６＞：Mk.5/1の主砲を105mmライフル砲L7に換装（20ポンド砲のまま？）し、避弾経始を改良、車体前面に50mm厚の装甲を追加し、砲塔後部ラックと車内燃料タンクを大型化して航続距離を241kmに延長したもの。参考：ウォーマシンレポート11、月刊PANZER12,’11

　＜センチュリオンＭｋ．６／１＞：Mk.6に操縦手用CU13アクティブ赤外線暗視装置と射撃用赤外線／白色光投光器を追加したもの。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオンＭｋ．６／２＞：Mk.6に105mmライフル砲L7A1を搭載し、12.7mmスポッティング・ライフルを搭載したもの。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオンＭｋ．７＞：試作名称FV4007。Mk.5の車体後部を延長してエンジンをL60ディーゼル（650馬力）に換装し、燃料搭載量を増やして航続距離を190kmにしたもの。主砲を20ポンド砲Mk.2/1（63発）に換装している。1954-59年に755両が生産された。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオンＭｋ．７／１＞：Mk.7の装甲強化型で、避弾経始も改良した。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオンＭｋ．７／２＞：Mk.7の主砲を105mmライフル砲L7A1に換装したもの。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオンＭｋ．８＞：試作名称FV4012。Mk.7のエンジンをミーティア�WＣに換装したもので、車長用キューポラや砲耳・防楯も改良している。主砲弾搭載数は75発に増えた。1956-59年に108両が生産された。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオンＭｋ．８／１＞：Mk.8の避弾経始を改良し、操縦手用CU13アクティブ赤外線暗視装置と射撃用赤外線／白色光投光器を追加したもの。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオンＭｋ．８／２＞：Mk.8の主砲を105mmライフル砲L7A1に換装したもの。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオンＭｋ．９＞：試作名称FV4015。Mk.7の主砲を105mmライフル砲L7A1に換装し、装甲を強化したもので、1959年に１両が試作された。参考：ウォーマシンレポート11、７月刊PANZER1,’98

　＜センチュリオンＭｋ．９／１＞：Mk.9に操縦手用CU13アクティブ赤外線暗視装置と射撃用赤外線／白色光投光器を追加したもの。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオンＭｋ．９／２＞：Mk.9に12.7mmスポッティング・ライフルを追加したもの。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオンＭｋ．１０＞：試作名称FV4017。Mk.8の主砲を105mmライフル砲L7A1（70発）に換装し、砲耳を強化、SFCS-600砲制御装置（二軸安定化装置付きFCS）を装備し、大型追加燃料タンク（863リットル）を搭載可能とした。全長9.817m、車体長7.823m、全幅3.645m、全高2.972m、戦闘重量51.82トン。主砲は105mmライフル砲L7A1、副武装は7.62mm機銃２丁（3600発）。装甲厚は車体前面76mm、側面51mm、後面17mm、防楯152mm、砲塔全周150mm。エンジンはミーティア�WＢガソリン（650馬力）、トランスミッションはメリット・ブラウンZ51R（前進５速・後進２速）、最大速度34.6km、航続距離185km。乗員４名。1960-62年に155両が生産された。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオンＭｋ．１０／１＞：Mk.10に操縦手用CU13アクティブ赤外線暗視装置と射撃用赤外線／白色光投光器を追加したもの。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオンＭｋ．１０／２＞：Mk.10に12.7mmスポッティング・ライフル（582発）を追加したもの。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオンＭｋ．１１＞：Mk.6のFCS強化型。12.7mmスポッティング・ライフル、操縦手用CU13アクティブ赤外線暗視装置、射撃用赤外線／白色光投光器を追加した。スカートは廃止している。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオンＭｋ．１２＞：Mk.9のFCS強化型。12.7mmスポッティング・ライフル、操縦手用CU13アクティブ赤外線暗視装置、射撃用赤外線／白色光投光器を追加した。防楯はMk.5と同じで、7.62mm機銃L8A1を同軸装備する。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオンＭｋ．１３＞：Mk.10の改良型。主砲をL7A2とし、操縦手用CU13アクティブ赤外線暗視装置、射撃用赤外線／白色光投光器、12.7mmスポッティング・ライフル１丁（600発）を追加した。全長9.854m、車体長7.823m、全幅3.391m、全高3.009m、戦闘重量51.82トン。主砲は105mmライフル砲L7A2（64発）、俯仰角マイナス10度からプラス20度。副武装は7.62mm同軸機銃L8A1が１丁（4750発）。装甲厚は車体前面118mm、側面51mm、後面17mm、防楯152mm、砲塔前面121mm、側後面76mm。エンジンはミーティア�WＢガソリン（650馬力）、トランスミッションはメリット・ブラウンZ51R（前進５段・後進２段）、最大速度34.6km、燃料1036リットル、航続距離190km。乗員４名。参考：ウォーマシンレポート11、月刊PANZER1,’98

＜センチュリオン・ファミリー＞

　＜ＳＰ４＞：32ポンド砲搭載計画対戦車自走砲型。トータス重突撃戦車と同時期に開発されたが、モックアップのみで開発中止になった。参考：月刊グランドパワー11,’12

　＜センチュリオンＡＲＫ＞：戦車橋型。Mk.5の砲塔を外し、折り畳み式戦車橋（長さ22.5m）を搭載したものである。参考：月刊PANZER12,’00

　＜センチュリオンＡＶＲＥ＞：戦闘工兵車型FV4003。AVREは王立工兵突撃車両の略である。主砲を165mm臼砲に換装し、重量29kg・有効射程1200mのHESHで障害物を破砕できるようにした。砲塔前面両側に６連装発煙弾発射機、車長用ハッチに自衛用機銃を装備する。車体前面にドーザーブレードを装着しており、車体前部上面にはソダ束やトラックウェイ（軟弱地通過用アルミ合金製カーペット）を載せるためのラックがある。必要に応じて車体前部にジブクレーンを立てられる。車体後面には牽引フックが追加され、ジャイアント・バイパー地雷原啓開ロケット弾発射機などの各種装置付きトレーラーや7.5トン４輪トレーラーを牽引でき、緊急時には車内操作により切り離すことも可能。センチュリオンAVRE105が登場すると、こちらはセンチュリオンAVRE165と呼ばれるようになった。湾岸戦争では第35装甲工兵連隊が運用しており、防御力強化のためサイドスカートや砲塔前面に増加装甲をボルト止めしていた。参考：月刊PANZER1,’11、12,’00

　＜センチュリオンＡＶＲＥ１０５＞：戦闘工兵車型。センチュリオンAVREの主砲を105mm砲のままにしたもので、ドーザーブレードの代わりにマインプラウ（地雷除去鋤）を標準装備する。参考：月刊PANZER1,’11

　＜センチュリオンＡＶＲＥ１６５＞：センチュリオンAVREを参照。

　＜センチュリオンＢＡＲＶ＞：水陸両用作戦用装甲回収車型。水陸両用作戦時に水中で動けなくなった車両や舟艇を牽引回収するのが主任務で、自ら水中に入って作業を行えるよう、砲塔を外して背の高いキャビンを設け、その上に排気管を装着している。参考：月刊PANZER11,’86

　＜センチュリオンＭｋ．２装甲回収車＞：FV4006。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオン海浜装甲回収車＞：FV4018。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオン火炎放射戦車＞：FV4019。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオン架橋戦車＞：戦車橋型。Mk.5の砲塔を外し、長さ15.8mの戦車橋を搭載している。オーストラリア陸軍にも供与された。参考：月刊PANZER12,’00

　＜センチュリオン駆逐戦車＞：FV4005。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオン２５ポンド自走榴弾砲＞：計画自走榴弾砲FV3802。25ポンド砲を運用するには車体が大型すぎ、開発中止になった。参考：ウォーマシンレポート11、月刊PANZER5,’11

　＜センチュリオン１３９．７ｍｍ自走榴弾砲＞：FV3805。参考：ウォーマシンレポート11

　＜センチュリオン装甲救急車＞：FV4004。参考：ウォーマシンレポート11

＜センチュリオン海外シリーズ＞

＜Ｓｔｒｖ．８１＞：スウェーデン陸軍戦車。センチュリオンMk.5を導入したものである。参考：月刊PANZER12,’04

＜Ｓｔｒｖ．１０１＞：スウェーデン陸軍戦車。センチュリオンMk.5/1を導入したものである。参考：月刊PANZER12,’04

＜Ｓｔｒｖ．１０２＞：スウェーデン陸軍戦車。センチュリオンMk.7を導入したものである。参考：月刊PANZER12,’04

＜センチュリオン海外ファミリー＞

　＜プーマ＞：イスラエル軍重装甲戦闘工兵車両で、プーマは地雷啓開工兵車両の頭文字をとったものである。ナグマショットの後継として1991年から運用された。旧式化したセンチュリオン戦車の車体を流用し、砲塔を外して車体上部に大型ハッチ３つを追加、車長用ウルダン型キューポラと、機銃手用ハッチをその前方に装着している。戦闘室後部には装具バスケットを設けた。車体前面にはRKM地雷処理ローラーの取り付け部があり、ドーザーの装備も可能。AMMAS先進的地雷原マーキングシステムを搭載している車両もある。車体前面などには増加装甲が張られ、側面後部にはTOGA装甲を追加、分厚いサイドスカートを持つ。後に車体前部右の操縦席周りの装甲が更に追加された。自衛用に7.62mm機銃搭載OWS１基、7.62mm機銃搭載ピントル・マウント２基、60mm迫撃砲１門、CL-3030発煙弾６連装発射機２基（左右フェンダー前部１基ずつ）を装備する。パワーパックはAVDS-1790-2AディーゼルとCD-850-6トランスミッションの組み合わせで、後にメルカヴァ戦車と同じAVDS-1790-6AとCD-850-6改の組み合わせに換えられた。後者では履帯もメルカヴァ戦車と同じものに変更されている。サスペンションはトラベル長600mmの新型独立懸架装置（メルカヴァMk.2と同じもの）に換装した。全長7.55m、全幅3.37m（スカート除く）、全高2.65m、戦闘重量51トン。エンジンはコンチネンタル製AVDS-1790-6A空冷Ｖ型12気筒ターボチャージド・ディーゼル（900馬力）、トランスミッションはアリソン社製CD-850-6改（前進２速・後進１速）、最大速度43km、航続距離500km。乗員８名。参考：イスラエル軍現用戦車と兵員輸送車1985-2004、月刊PANZER6,’14、5,’01

　＜プーマ（カーペット搭載）＞：プーマの車体後部に箱型の燃料気化爆弾投射機カーペットを搭載したもの。直径100mの範囲で地雷原を啓開できる。参考：月刊軍事研究2,’03、月刊PANZER6,’14

　＜プーマＲＡＭ＞：装甲回収車型。後部車体上にクレーンを搭載する。参考：イスラエル軍現用戦車と兵員輸送車1985-2004

＜センチュリオン・ウェポン・システム＞：レイセオン社の陸上拠点用防御システム、別名C-RAM（対ロケット弾・砲弾・迫撃砲弾Counter Rocket, Artillery and Mortar）。ファランクス・ブロック�TＢをトレーラーに車載したもので、Kuバンド・レーダーに加えて安定化装置付きFLIRを装備する。着弾地点予想も可能で、前線基地に配備され、砲弾やロケット弾が飛来すると着弾予想地点に警報を発し、機関砲で撃墜する。俯仰角マイナス25度からプラス85度。装弾数1500発。アメリカ陸軍に仮採用されてイラクに送られ、2006年3月に初撃墜を記録して一定の成果を挙げたため、アヴェンジャー自走地対空ミサイル装備の陸軍防空砲兵大隊がアヴェンジャーの代わりに装備してイラクで使用した。参考：月刊軍事研究5,’12、2,’08、12,’09、6,’17、月刊グランドパワー3,’11

＜全長＞：Length overall、Overall length。航空機ではｒと略す。参考：月刊JWings10,’09別冊付録、航空用語事典増補改訂版、世界航空機年鑑2018-2019

　＜全長（回転翼機）＞：機体を水平面に投影した時の、機体最前部から最後部までの長さで、ローター先端を含む。タンデム・ローター機では、互いに干渉しないよう、前のローターブレードが一番前に出た時には後ろのローターブレードが一番後ろに出ないようになっていたりするが、その辺の細かいことは気にせず、前部ローター前端から後部ローター後端までを全長にする。地上係留時や格納時の寸法で表していることもある。ローターが長くて実際の機体の大きさをあまり反映しない時は、胴体だけの長さを測り、胴体長として別記する。参考：月刊JWings9,’02、航空用語事典増補改訂版

　＜全長（固定翼機）＞：機体を水平面に投影した時の、機体最前部（機首、プロペラ・ボス、スピナーなど）から最後部（胴体尾端または尾翼後端）までの長さ。プローブ、アンテナ、放電索、ピトー管などは含めないことが多く、含む場合には注記がある。後退角を持つ尾翼などが機体最後尾に出ている時は、そこまでが全長である。一般に胴体基準線に沿って計測するため、地上では前後傾して全長とは長さが一致しなくなる。ただ尾輪式の機体だと全長を地上三点姿勢で測っていたりするので注意。参考：航空用語事典増補改訂版、月刊JWings9,’02、世界航空機年鑑2018-2019

　＜全長（艦船）＞：Overll length、Loa。船首先端から船尾後端までの水平距離のこと。参考：図解雑学　船のしくみ

　＜全長（車両）＞：ナンバープレートは含まない。戦車など砲身が車体先端からはみ出すものでは、通常は主砲を前に向けて仰角ゼロにした場合の砲身先端から車体後端までの数値とする。砲身が大きく車体からはみ出るタイプだと、全長が車両本体の大きさを反映しなくなるので、車体長を併記した方が分かりやすい。タンク・トランスポーターに乗せる場合などは主砲を後ろ向きにしたり、斜め後ろにしてガントラベルロックで固定したりするので、注釈付きで併記する。参考：クルマのすべてがわかる事典

＜善ツー＞：日本海軍用語で、普通善行章を２本付けた兵のこと。６年も海軍にいるのに下士官になれていない。原因は勉強嫌いや素行不良などで、下士官に対しても敬礼せず、勤続年数の浅い兵には威張り散らした。参考：海軍よもやま物語

＜全通甲板＞：Complete Deck。艦首から艦尾までの両舷を覆う甲板のこと。参考：米海軍サバイバルマニュアル

＜善通寺駐屯地＞：陸上自衛隊の駐屯地。乃木館には日本陸軍第11師団や自衛隊の資料が展示されている。所在地は香川県善通寺市南町2-1-1。JR善通寺駅から徒歩20分、タクシーで５分。元は1898年（明治31年）に開設された第11師団司令部である。1954年、第15普通科連隊が駐屯した。1959年8月13日、第２教育団第110教育大隊が新編された。1961年8月20日、第２教育団本部が大久保駐屯地から移駐してきた。1962年1月、第325地区施設隊が新編された。3月31日、第２教育団第107教育大隊が大久保駐屯地から移駐してきた。4月、第325地区施設隊が高知分屯地に移駐した。8月15日、第107教育大隊が廃止された。1981年3月25日、第２混成団が新編され、第２教育団本部が大津駐屯地に移駐した。2006年3月27日、第14旅団司令部が新編された。2010年3月24日、高知市主催で第50普通科連隊の移駐行事を実施。3月26日、第50普通科連隊が高知駐屯地第１営舎地区に移動した。2014年6月28日、第15普通科連隊と第110教育大隊の合同修了式（自衛官候補生、一般曹候補生前期）を実施。2016年6月10日、香川県自衛隊父兄会員38人が第110教育大隊の新隊員激励会を実施。8月1-5日、岡山地本が行った大学生８人に対するインターシップに協力した。2017年1月9日、駐屯地太鼓隊が兵庫県立芸術文化センターで平成28年度中部方面隊音楽まつりに参加。2018年2月9日、第110教育大隊が松山駐屯地に移駐した。3月、第15普通科連隊が第15即応機動連隊に改編された。2019年5月30日から6月3日、予備自衛官89名に対する予備自衛官５日間招集訓練が行われた。2020年4月11-12日、中部方面混成団第47普通科連隊が令和2年度即応予備自衛官招集訓練開始式を実施。2021年5月11日、香川地本が援護会同を実施。2022年1月12日、我拝師山で新成人隊員68名の成人行事を実施。3月17日、第14情報隊が新編された。6月27-28日、香川地本が任期満了等退職予定隊員24名に令和4年度就職補導教育を実施。7月26日、香川地本地域援護センターが令和5年度定年退職予定者15名に援護教育を実施。参考：中部方面混成団ホームページ、MAMOR vol.140、vol.91、JGround Vol.23、朝雲、徳島駐屯地ホームページ、月刊軍事研究11,’18、月刊JWings6,’22

　＜善通寺駐屯地（２０１５年）＞：第14旅団司令部、第14旅団司令部付隊、第15普通科連隊、第14偵察隊、第14後方支援隊、第14通信隊、第14化学防護隊、第14音楽隊、中部方面混成団第110教育大隊、善通寺駐屯地業務隊が駐屯している。参考：陸上自衛隊パーフェクトガイド2015

＜善通寺駐屯地業務隊＞：陸上自衛隊の駐屯地業務隊で、善通寺駐屯地に置かれている。2011年3月11日に発生した東日本大震災の災害派遣に参加。2018年1月17日、第14旅団改編に伴う庁舎整備など体制移行業務の完遂の功績で、陸幕長から２級賞状が授与された。2019年7月24日、平成30年7月豪雨災害での各種支援の功績で、陸幕長から２級賞状と副賞が贈呈された。2020年11月、香川県で鳥インフルエンザが発生して災害派遣要請が出され、第14旅団が24時間ローテーションでの殺処分を行う間、浴場を24時間利用可能として支援した。2023年2月1日、委託売店を運営する一般財団法人防衛弘済会善通寺統括責任者と、災害発生時における協力に関する協定及び災害等発生時における商品の販売に関する協定を締結し、両協定書に署名した。参考：MAMOR vol.52、朝雲

＜全通飛行甲板＞：艦首から艦尾まで繋がる飛行甲板のこと。途中に障害物が無いので着艦や艦上での航空機の取り回しが楽である。航空機をメインに扱う空母の他、強襲揚陸艦も全通飛行甲板を備えてSTOVL機や輸送ヘリを運用している。なるべく面積を大きくしたいので、可能な限り船体よりも縦横に大きく張り出させる。いくら長いと言っても、艦上に設置する以上は3000m級飛行甲板などは夢のまた夢、せいぜい300m級なので、レシプロ機ならともかく、ジェット機だとカタパルトやスキー・ジャンプ台といった短距離発艦のための艦側の工夫や、STOVL機にするといった搭載機側の工夫が必要である。また、ジェット排気が後方の機体や要員を焼かないよう、ジェット・ブラスト・デフレクターも装備する。着艦はアレスティング・ワイヤで強制短距離制動させれば良いので、こちらは楽。第２次大戦後にアングルド・デッキが発明され、着艦と発艦を同時に行えるようになった。参考：月刊世界の艦船3,'21、10,’16、11,’15

＜船底＞：船体外側で、吃水線よりも下の部分全てを指す。参考：艦船メカニズム図鑑

＜潜丁二型＞：日本海軍潜水艦、基本計画番号S-60。書類上は潜丁二型（戊）、戊型とも書かれている。潜丁型改の多目的型で、航空機燃料（軽質油）輸送、回天搭載、通常潜水艦としての使用（魚雷戦、哨戒監視偵察など）が行えるよう設計された。ベースは潜戊型で、軽質油漏洩防止と生産性向上のため内殻と軽質油タンクを全溶接とし、安全潜航深度150mを達成するため艦外耐圧タンクを円筒形状とした。また、外殻の耐圧・非耐圧タンクの比は71:29に設定し、揚陸中の標準状態を調整できるようにしてある。三式探信儀、聴音機、二号二型電探、一号三型電探を装備する。全長90m、水線長88.5m、最大幅8.5m、耐圧船殻径4.9m、平均吃水5.42m、基準排水量1740トン、常備排水量2150トン／2186トン（回天２基搭載時）、水中排水量2475トン。主機は二二号一〇型内火機械２基・一一型電動機２基、水上出力4200馬力、水中出力2500馬力、２軸推進、水上最大速力17ノット、水中最大速力８ノット、燃料搭載量270トン（航空燃料増載時202.6トン）、蓄電池は一号二六型240基、水上航続距離10000海里（12ノット）／7400海里（航空燃料増載時10ノット）、水中航続距離150海里（３ノット）。連続行動期間30日。安全潜航深度150m、急速潜航秒時30秒。航空用燃料（ガソリン）280トン（74トン増載可）を搭載でき、内火艇用燃料1.5トンも積んでいる。兵装は艦首の533mm魚雷発射管４門（九二式または九五式二型魚雷計８本）、30連装噴進砲２基（１基？）または25mm３連装機銃１基、25mm連装機銃１基。回天二型を搭載できる。乗員64名。昭和20年度に５ないし９隻を建造することにし、7月までに３隻を竣工させる予定だったが、軍備生産が特攻用兵器重視となったため、起工前に建造中止となった。参考：月刊世界の艦船11,’15、日本潜水艦物語、日本の潜水艦パーフェクトガイド

＜殲偵８＞：殲撃８型戦闘機ファミリーを参照。

＜殲偵８Ｆ＞：殲撃８型戦闘機ファミリーを参照。

＜潜丁型＞：日本海軍一等潜水艦、基本計画番号S-51。昭和17年8月、軍令部が離島への奇襲上陸作戦（上陸用舟艇２隻、兵器82トン、人員110名搭載）用輸送潜水艦の開発を艦政本部に打診。艦政本部では太平洋戦争開戦前からドイツ潜水商船ドイッチュラントをベースにした輸送潜水艦を計画しており、すぐに建造に移れると軍令部に回答、海軍大臣が建造計画を承認し、改マル五計画で量産することになった。ただし潜水艦輸送作戦の戦訓と、戦局悪化に伴い、建造途中で物資輸送専門（物資145トン搭載）艦に変更されている。艦前部に物資用倉庫があり、上甲板へと繋がる電動ベルトコンベアが設置された。艦橋側面にはＶ字の傾斜を付け、ステルス性に配慮している。シュノーケル、二二型電探、逆探を就役当時から装備した。冷却器は25000kcal型と20000kcal型を１基ずつ搭載するが、南方では兵員室温度30.5-32度、機械室温度35.5-37.5度に達しており、冷却器１基を増やすよう要望が出されている。全長73.5m、垂線間長70.5m、幅7.05m、平均吃水4.76m、基準排水量1440メートル・トン、常備排水量1779メートル・トン、水中排水量2215メートル・トン。主機は水上用艦本式二三号乙八型ディーゼル２基（1850馬力）・水中用特八型電動モーター２基（1200馬力）、２軸推進、水上速力13ノット、水中速力6.5ノット、ディーゼル燃料搭載量282トン、蓄電池は一号一五型電池240個（後で360個に増）、水上航続距離15000海里（10ノット）、水中航続距離100海里（３ノット。蓄電池追加後は120海里）。安全潜航深度75m。兵装は魚雷発射管２門（艦首。魚雷２本）、四〇口径十一年式一四サンチ砲１門（セイル前方）、九六式25ミリ単装機銃２丁（後甲板。１丁？）。物資搭載量125トン（艦内）＋20トン（艦外）。乗員55名。昭和19年に伊361、伊362、伊363、伊364、伊365、伊366、伊367、伊368、伊369、伊370、伊371の11隻が就役した。昭和20年以降、対空用一号三型電探と水中充電装置を装備し、逆探を新型に換えた。一部の艦（伊368と伊370は1月、伊361、伊363、伊366、伊367は3月以降）は甲板砲を外して前甲板に２基・後甲板に３基の回天を搭載できるようにし、魚雷発射管２門（魚雷２本）を艦首に装備した。伊368と伊370には艦内から回天に移乗する交通筒が無い。昭和20年6月以降、航空揮発油タンクが追加された。輸送用潜水艦といいながら、実際には回天母艦としての使用も多かった。参考：日本の潜水艦パーフェクトガイド、月刊世界の艦船12,’10、10,'15、潜水艦気質よもやま物語、日本潜水艦物語、月刊モデルアート9,’15増刊

＜潜丁型改＞：日本海軍輸送用潜水艦、基本計画番号S-51C。昭和19年度マル19線表で潜輸大型７隻を建造する予定だったが、戦局の悪化により太平洋各地の航空基地を持つ拠点が孤立してしまったため、ここに航空用燃料や物資を送る必要が出てきた。そのため、航続性能を抑える代わりに補給能力を強化し、航空用燃料も輸送できるようにしたのが本型で、昭和19年4月19日の軍令部二機密第三〇号で開発命令が出された。艦内配置は前方から倉庫兼兵員室、兵員室／電池室、士官室／電池室、発令所、倉庫、機械室、管制盤室／電動機室、兵員室で、発令所の上に司令塔（とセイル）、兵員室と機械室に上甲板と繋がるハッチ、倉庫兼兵員室と後部倉庫に上甲板と繋がる電動式ベルトコンベアが用意されている。潜丁型の重油タンクの一部をガソリンタンクに充てており、内殻にガソリンが漏れ出さないよう、この部分の内殻は全て溶接としている。ギルバート戦の戦訓から最大潜航深度を150m以上にして対潜艦艇の攻撃を逃れるという要望が出されていたため、安全係数を1.5として安全深度100m、最大潜航深度150mで設計したが、昭和19年7月に海軍が新造艦の安全深度を1.1倍し、安全係数を1.3に減らす方針としたため、実際には安全深度110m・最大潜航深度143mで運用されている。セイルは潜丁型と同様のＶ字傾斜が付いた防探型で、後部を延長して、銃座を設置した。冷却器は20000kcal型２基で、潜丁型より能力が落ちており、南方行動時には居住性がかなり悪かったかもしれない。潜望鏡は八八式三型と八八式四型が１本ずつ。九三式水中聴音機、三式探信儀、一号三型電探、二号二型電探、E27逆探を１基ずつ装備する。シュノーケルも装備していたとみられ、シュノーケル航行速力は最大６ノット、全量充電に要する時間は艦停止状態で10時間、２ノット航行時で13時間とされる。全長74m、垂線間長71m、全幅8.9m、平均吃水5.05m、基準排水量1660メートル・トン、常備排水量1926メートル・トン、水中排水量2240メートル・トン。主機は水上用艦本式二三号乙八型４サイクル単動ディーゼル２基（1750馬力）・水中用特八型直流電動機２基（1200馬力）、２軸推進、水上速力13ノット、水中速力6.5ノット、燃料搭載量147.1トン、蓄電池は一号一五型360基、水上航続距離8000海里（10ノット）／5000海里（13ノット）、水中航続距離100海里（３ノット）。安全潜航深度100m。急速潜航秒時50秒。大型通船１隻、航空用燃料150トン、貨物110トン（艦内100トン・艦外10トン）を搭載可能。兵装は三式八サンチ連装迫撃砲１基（２基？）、25mm連装機銃３基と25mm単装機銃１丁（25mm３連装機銃１基と25mm連装機銃２基？）。乗員55名。潜輸大型７隻のうち６隻を本型に振り替えて建造する予定だったが、４隻は潜丁二型として製作されることになり、伊374は建造が中止され、昭和20年に伊373のみ就役した。参考：月刊世界の艦船10,'15、日本潜水艦物語、日本の潜水艦パーフェクトガイド、月刊モデルアート9,’15増刊

＜センテナリー＞：ナイジェリア海軍P18N型コルベット１番艦Centenary。2015年2月、ナイジェリアに到着し、同年に就役した。参考：月刊世界の艦船2,’17、6,’19

＜センテナリオ・デ・ラ・レボリュシオン＞：P164（哨戒艦）を参照。

＜センデロ・ルミノソ＞：輝ける道の意。ペルー共産党中国派から分離した武装組織で、中南米で最も残虐といわれており、少年兵に殺害した人間の血を飲ませたり、内臓をフライにして食べさせたりして残虐行為に慣らしている。2015年7月、ペルー軍と警察が２つの統合作戦を行い、人質54人を解放した。参考：月刊軍事研究3,’98、5,’08、THE MILITARY BALANCE 2016

＜閃電＞：日本海軍十七試局地戦闘機J4M、連合軍コードはルーク（Luke）。昭和17年から三菱重工が開発した。推進効率の良いプッシャー・プロペラを採用し、機首に大口径機関砲を集中搭載する。高速性能発揮のため高翼面荷重とした。胴体後部にエンジンを収容するが、大出力液冷エンジンが無いので空冷エンジンを採用せざるを得ず、エンジン冷却のため操縦席後方の胴体周囲に冷却空気取り入れ口を配置した。ツインテールブームにして水平尾翼をその間に配置している。全長13m、全幅12.5m、全備重量4400kg。翼面積22平方メートル、翼面荷重１平方メートルあたり200kg。エンジンはMK9D／ハ43-41型（離昇出力2030馬力）単発、最大速度759km、実用上昇限度12000m、上昇力8000mまで10分、燃料搭載量800リットル、航続距離1167km（正規）。固定武装は30mm機関砲１門、20mm機関砲２門。30kgまたは60kg爆弾２発を搭載可能。乗員１名。他機の開発に押されて試作が遅れ、同じプッシャー・プロペラ式ならツインテールブームよりエンテ翼機の方が性能が良いとみられたため震電を開発することになり、こちらは昭和19年10月に計画中止となった。参考：月刊丸3,’18別冊、歴史群像4,’18、第２次世界大戦軍用機ハンドブック・日本篇

＜宣伝（日本陸軍）＞：敵や敵側住民の交戦意思を破摧したり、我が行動に関して敵を欺騙したり、戦地住民を我が道義に即する行動に共鳴させたりと、作戦遂行に有利な情勢を作るのが直接目標で、武威や武徳の伝達により敵や敵側住民を味方側に引き寄せるのが重要である。正義に即する我が信念と行動を闡明し、敵の非人道的行為を摘発して膺懲の必要を明らかにするのが極めて重要で、あらゆる機会に内外に宣伝する。戦地から発せられる公私各種通信波内外の世論に多大な影響を与えることがあるので、適切な統制と取締を行う。敵も宣伝を絶えず行ってくるので、対策を講じなければならない。先に宣伝されると先入観の是正が困難なので、先んじて反宣伝を行うなど、宣伝防衛は勉めて機先を制し主動的に行う必要がある。一笑に付すような内容でも、執拗に反復されると不知不識の間に信じる者が出てくるので注意。参考：作戦要務令

＜全天候型精密誘導爆弾＞：JDAMシリーズを参照。

＜全天候迎撃戦闘機＞：迎撃戦闘機を参照。

＜全天候戦闘機＞：All-weather fighter。レーダーを搭載し、天候の良い昼間だけでなく、夜間や低視界時でも任務を行える戦闘機のこと。夜間戦闘機と呼ばれていた頃は、大型のレーダーを搭載運用できる機体というとどうしても大型鈍重になり、小型軽量の昼間戦闘機と張り合うのは無理で、夜だけ飛んでいたが、レーダーが小型軽量高性能化し、機体の性能も向上すると、昼間戦闘機と遜色の無い機動性を発揮できるようになり、昼も夜もいつでも活動できるということで、この名称になった。1970年代にほぼ全ての戦闘機が全天候化すると、この名称も無くなった。参考：月刊軍事研究8,’01、月刊JWings3,’15

＜全天候着陸装置＞：All-weather landing system。視程ゼロ／雲底ゼロでの着陸（ゼロゼロ着陸）が自動的に行える自動着陸装置のこと。参考：航空用語事典増補改訂版

＜全天候複合センサー＞：MMSを参照。

＜�･天佑＞：893（海洋調査艦）を参照。

＜セント・アルバンス＞：F83（フリゲート）またはI15（駆逐艦）を参照。

＜セント・アンドリュー級計画戦艦＞：イギリス海軍計画戦艦St. Andrew級。第１次大戦後、日米の戦艦に対抗するため計画されたもので、45.7cmまたは50.8cm３連装砲を搭載する予定だった。全長250m、基準排水量48500トン、速力23.5ノット。兵装は45.7cm/50.8cm３連装砲３基など。装甲厚は水線部381mm、甲板203mm。セント・アンドリュー、セント・デイビッド、セント・ジョージ、セント・パトリックの４隻を建造予定だったが、設計を始めたところでワシントン条約が締結され、1922年に計画は中止された。参考：月刊世界の艦船6,'20、12,’15、近代戦艦史

＜戦闘（日本）＞：国または国に準じる組織の間の紛争の一環として、人を殺傷したり、物を破壊したりする行為のこと。自衛隊がこれに加担したり巻き込まれたりして武力行使を行った場合、憲法違反になる可能性がある。国に準じないテロ集団や反政府組織などが同様の行為を起こすのは武力衝突などとして別に定義している。参考：朝雲

＜戦闘（日本陸軍）＞：攻撃と防御のどちらを行うかは主に任務に基づいて決定すべきだが、敵の戦闘力を破砕して圧倒殲滅するための唯一の手段は攻撃なので、真にやむを得ない場合の他は常に攻撃を選択する。敵の兵力が著しく優勢だったり、敵のため一時的に機先を制せられたりした場合でも、なお手段を尽くして攻撃を断行し、戦勢を有利にする。状況が真にやむを得ず、防御を実施しているとしても、機を見て攻撃を敢行し、敵に決定的打撃を与える必要がある。指揮官は決心に基づいて戦闘指導の方針を確定し、これに準拠して軍隊を部署すると共に、戦闘の終始を指導する。指揮官は軍隊の部署を決めたら機を失せず所要の命令を下し、各部隊の任務を明確にする。この際、各部隊相互の協同特に歩戦砲の協同を緊密にする必要がある。部隊間、特に隣接兵団との接続部は、弱点になることが多いので、指揮官は戦闘地域の画定、相互協同の方法、歩砲兵火力の配置などを適切にし、状況により接続部付近に１部隊を配置するなどして弱点を除去する。局部で収めた戦勝を拡張して全般に及ぼし、不利な戦況は他所に波及させず、状況の変化に際しては空しく命令を待つことなく機宜の処置を躊躇せず決行する。各級指揮官は例え戦況が不利な場合でも、なお各種手段を尽くして戦勢を挽回し勝利に導くことを図るようにする。この際、指揮官の言動は勝敗に重大な影響を与えるので、身を以て戦勝の道を拓く気概を持つ必要があり、戦況を悲観し敵情を過大視することは深く戒め、危急に貧しても妄りに増援を請求したりしてはならない。戦勝を予期したら師団長は各部隊を速やかに有利な態勢に移らせ、各級指揮官はなるべく前方に位置して所要の準備をとる。敵兵が随意に退却するようなら猛烈に攻撃して抑留すると共に、速やかに退却の機を察して直ちにこれに乗じる。戦勝を得たら、各級指揮官は敵が戦場を離脱できないよう猛烈な攻撃を続行し、機を失せず果敢な迫撃を断行して捕捉殲滅する。戦闘の経過が遂に不利となり、退却を実行するのは、基本的に上級指揮官の命令に依る。敵が毒ガスを使用すると予想される時は、地形や気象などを考慮して捜索警戒を適切に行い諸徴候に注意すると共に、敵の偽ガスや偽散毒などに欺騙される事無く速やかに真の企図を看破し、機先を制してこれを破砕する必要がある。参考：作戦要務令

＜尖頭圧力＞：爆風の衝撃波面で急激に上昇した圧力のこと。衝撃波中で最大の圧力である。参考：火器弾薬技術ハンドブック

＜戦闘員戦術情報ネットワーク＞：WIN-Tを参照。

＜セント・ヴィンセント＞：イギリス海軍セント・ヴィンセント級戦艦St. Vincent。1910年竣工。1916年5月31日、第１戦艦戦隊第５小隊に所属してジュットランド海戦に参加。1921年に除籍された。参考：近代戦艦史、月刊世界の艦船6,’16、歴史群像6,’16

＜セント・ヴィンセント級＞：イギリス海軍戦艦St. Vincent級。ベレロフォン級の主砲を50口径305mm砲Mk.�]に変更したもので、初速が大きいせいで発砲時の砲口のぶれが大きくなり、射撃精度が低下した。４・５番砲塔の間が3m延び、砲塔基部直径が0.3m増加しており、重量増は艦首・艦尾の装甲を削って補っている。第１煙突がやや細いのもベレロフォン級との違い。全長163.4m、幅25.6m、吃水8.5m、常備排水量19560トン。主機は蒸気タービン４基４軸25500馬力、速力21.5ノット。兵装は50口径305mm砲Mk.�]５基、10.2cm単装砲20門、4.7cm単装砲４門、45cm水中発射管３門。装甲厚は水線部254mm、甲板76mm。乗員758名。セント・ヴィンセント、ヴァンガード、コリンウッドの３隻が1910年に就役した。第１次大戦中に10.2cm単装砲の半分を撤去し、Ｕボート反撃用として商船に移している。ワシントン条約で廃棄された。参考：近代戦艦史、月刊世界の艦船1,’12、6,’16

＜戦闘衛生兵章（アメリカ陸軍）＞：Combat Medical Badge。従軍地で地上戦闘に参加した衛生兵と、特殊部隊衛生軍曹に授与される。参考：月刊コンバットマガジン7,’06

＜戦闘応急配食＞：日本海軍が戦闘時に提供する食事のこと。参考：写真で見る海軍糧食史

　＜第一戦闘配食＞：各班が烹炊所に出向いて食事を受け取る。食事は第一戦闘烹炊で調理され、主食は握飯が中心である。参考：写真で見る海軍糧食史

　＜第二戦闘配食＞：戦闘配置に付いたものの、まだ切迫していない情況で取られる配食方法。配食掛主計兵が烹炊所で配食し、戦闘配置ごとに受け取る。食事は第二戦闘烹炊で調理される。参考：写真で見る海軍糧食史

　＜第三戦闘配食＞：戦闘が切迫していたり、交戦していたりで烹炊所に出向くことが出来ない場合に取られるもの。主計兵が配食長と配食員を編成し、戦闘配置に付いた兵のところまで持って行く。食事は第三戦闘烹炊で調理される。参考：写真で見る海軍糧食史

　＜第四戦闘配食＞：烹炊員が死傷して第一から第三の戦闘配食が出来ない場合に取られるもの。主計兵は配食長と配食員を編成し、戦闘配置ごとに配食を行う。食事は第四戦闘烹炊で調理される。参考：写真で見る海軍糧食史

　＜第五戦闘配食＞：烹炊員が死傷したり、烹炊所が損壊したりして調理が出来ない場合に取られるもの。乾パン、缶詰、砂糖、水、牛乳など（第五戦闘烹炊）を戦闘配置ごとに備え付けの容器に配布する。参考：写真で見る海軍糧食史

＜戦闘概況＞：陸上自衛隊の陸曹候補生教育。初級陸曹に必要な攻撃や防御の要領、特に小銃分隊長指揮要領についての教育で、座学教育と展示教育からなる。展示教育では、砂盤による地点指示、命令下達、戦闘指導、戦闘予行、攻撃前進、目標奪取、その後の逆襲対処といった一連の指揮動作を助教が実施する。参考：朝雲

＜戦闘管制システム＞：トマホーク武器システムを参照。

＜戦闘管制システム＞：略称CMS（Combat Management System）。センサーやデータリンクなどで状況を把握し、分析評価を加え戦闘情報として指揮官に提供し、指揮官の計画立案と意思決定を援助すると共に、武器システムを指揮管制し、戦闘能力を最大限に発揮させるシステムである。参考：月刊世界の艦船6,’22

＜戦闘旗＞：旭日旗または自衛艦旗を参照。

＜戦闘機＞：Fighter aircraft、殲撃機。ちなみに中国語で戦闘機というと、殲撃機、強撃機（攻撃機）、轟炸機（爆撃機）といった戦闘用航空機全てを指す。制空権（航空優勢）を確保するため、敵軍の空中活動を阻止し、撃滅するのが主任務の航空機。運用場所で陸上戦闘機と艦上戦闘機、任務の違いで制空戦闘機、迎撃戦闘機、戦術戦闘機など、使用戦術の違いで軽戦闘機と重戦闘機に分類される。いつ使えるかで昼間戦闘機、夜間戦闘機、全天候戦闘機といった分類もあったが、全戦闘機がレーダーを備えるようになると廃れた。ジェット戦闘機は性能別に第１世代、第２世代、第３世代、第４世代、第4.5世代、第５世代に分類される。偵察機を撃ち落とすために第１次大戦で登場し、最初は乗員が手持ちの小銃で敵を撃っていたが、殆ど当たらないので、機関銃を搭載して数打ちゃ当たる戦法を採るようになり、プロペラ同調機銃へと発展した。当初は爆撃機や偵察機の護衛を務めていたが、1915年末頃から敵戦闘機や爆撃機を相手にする制空戦闘や迎撃を開始、主に単機のドッグファイトで撃墜している。第１次大戦後は航空機やエンジンの発達で速度性能や上昇性能が向上し、戦術にも変化が現れ、第２次大戦では編隊を組んでの一撃離脱を行うようになった。第２次大戦末期にジェット戦闘機が出現。戦後は機関銃に加えて空対空ミサイルを搭載するようになり、索敵や射撃指揮に必要なレーダーも発達、攻撃機などの任務を兼ねる戦闘攻撃機や戦闘爆撃機が登場し、20世紀末頃からはマルチロール・ファイターに進化、ステルス戦闘機も登場した。高速性能と機動性能を追求してきたが、速度の方は機体素材や機動性の問題からマッハ２台で頭打ちになっている。戦闘中の死角を無くすため、ステルス戦闘機であっても基本的に編隊で行動する。参考：月刊JWings4,’17、3,’14、9,’04、3,’09、9,’12、3,’15、アメリカジェット戦闘機、飛行機のしくみ、戦闘機のしくみ、歴史群像10,’11、月刊軍事研究7,’14、月刊航空ファン8,’15

　＜戦闘機（日本海軍）＞：昭和18年、陸上戦闘機の区分として対戦闘機用の甲戦闘機、対爆撃機用の乙戦闘機、夜間戦闘機の丙戦闘機を制定。艦上戦闘機も当初は甲戦闘機に含むが、高々度戦闘機の試作が本格的に始まれば外す予定にした。ただこれらは便宜上の区分で、従来の局地戦闘機などの名称はそのまま維持している。対戦闘機にも対爆撃機にも使う場合は甲乙戦と呼んだりした。参考：月刊丸3,'18別冊

　＜戦闘機（日本陸軍）＞：昭和6年、初の国産戦闘機である九一式戦闘機を制式化。12月、国産初の液冷エンジン搭載機である九二式戦闘機を制式化。昭和10年11月、最後の複葉戦闘機となる九五式戦闘機を制式化。昭和12年12月、九七式戦闘機を制式化。昭和13年度版航空本部兵器研究方針で、軽戦闘機と重戦闘機の区分を制定した。昭和17年には近距離戦闘機、防空戦闘機、夜間戦闘機、高々度戦闘機、遠距離戦闘機の５つに分類していた。2月、二式戦闘機を制式化。昭和18年12月25日の航空審査部の意見では、近距離戦闘機、高々度戦闘機、夜間戦闘機の３つに開発を絞り、防空戦闘機と遠距離戦闘機はそれらを流用して製作すべきであるとした。参考：世界の傑作機No.24、日本陸軍戦闘機隊、月刊JWings7,’24

　＜戦闘機（ロシア軍）＞：制空戦闘機（イストリビーティリ）と迎撃戦闘機（ペレフヴァーチク）に分かれる。1945年2月、初のジェット戦闘機開発命令が出され、MiG-9、Yak-15、La-150、Su-9のうちMiG-9とYak-15が採用された。第２次大戦終戦でドイツの後退翼の資料を入手し、イギリスからジェットエンジンの情報も得られたため、1946年3月に再度ジェット迎撃戦闘機開発命令を発出し、MiG-15、La-168、Su-15、Yak-30のうちMiG-15が採用された。参考：月刊JWings7,’20、月刊航空情報3,’18

＜戦闘機緊急発進（航空自衛隊）＞：スクランブル発進（航空自衛隊）を参照。

＜戦闘機空中戦技訓練システム＞：自衛隊の機器。住商エアロシステムが受注している。参考：月刊軍事研究9,’18

＜戦闘機通常発進（航空自衛隊）＞：パイロットはブリーフィング終了後、発進時間になると保命装具室で救命具と耐Ｇスーツを装着して機体に向かう。そして機外点検を行い、操縦室に乗り込んで操縦室内点検を行い、エンジンを始動させる。続いて機付き整備士と共に油圧システムの作動チェックを行った後、パイロットは電子機器のチェックを、整備士は機体の最終チェックをして安全ピンを抜く。発進準備が整うと編隊リーダーはこの時点でチョーク（車輪止め）を外すよう手信号で整備士に合図をし、管制塔にタクシークリアランスを要求する。これを確認して他の編隊機もチョークを外す指示を出す。タクシー許可が下りると滑走路に向けてタキシングを開始し、滑走路端のアーミングエリアで最後の武装装着（ラスト・チャンス）と機体点検を行い、増槽・機関砲などの安全ピンを抜く。離陸許可が出次第機体を滑走路に載せ、一旦停止してエンジンをフルパワーにして最終チェックをし、アイドル位置にしてから再びスロットルを開いて離陸する。参考：JWings8,’03

＜戦闘機搭載型電子防御装置＞：航空自衛隊・防衛装備庁が開発中の編隊防御用電子戦装置（エスコート・ジャマー）で、長射程防空陣地や長射程艦対空ミサイルからの編隊防御を可能とする。ECMアンテナはアクティブ・フェイズド・アレイ方式である。システムは600ガロン増槽を改造したポッド内に収容されており、増槽投棄時に機体にぶつからないようにするための増槽後端ピボット（後端上面にある三角フィン状の部品）が無いのと、増槽では下面に２本あった黒ラインが側下方に４本となっているのが識別点。2008-13年度に開発し、2015年7月からF-15DJ戦闘機に搭載して飛行試験に入った。三菱電機が受注しており、母機側の改修は三菱重工が担当する。2017年3月を最後に暫く飛行試験は行われていなかったようだが、2020年1月8日に飛行開発実験団F-15DJ戦闘機がセンターパイロンに搭載して飛行した。参考：JWings6,’09、2,’16、4,’20、月刊軍事研究9,’17、2,’13、12,’09、5,’11、月刊航空ファン10,’15

＜戦闘機搭載型電子防御装置試験用架台等＞：自衛隊の機器。三菱電機製。参考：月刊軍事研究9,’12

＜戦闘機搭載型電子防御装置試験用多目標妨害確認試験装置＞：自衛隊の機器。富士通製。参考：月刊軍事研究12,’13

＜戦闘機搭載型電子防御装置システム試験装置＞：自衛隊の機器。三菱電機製。参考：月刊軍事研究9,’12

＜戦闘機搭載型電子防御装置投棄試験用ポッド＞：自衛隊の機器。三菱電機製。参考：月刊軍事研究4,’15

＜戦闘機入門練習機＞：M-346（ポーランド）を参照。

＜戦闘機マフィア＞：F-4戦闘機後継重戦闘機（後のF-15）を開発中だったアメリカ空軍が、軽戦闘機コンセプト（後のF-16）を研究していたドッグファイト最重視グループに付けた非公式ニックネームで、レーダーやミサイルも要らないなどという極端な主張を行ったためこう呼んだが、実際にはこのグループも自称していたらしい。アメリカ空軍空中戦戦術教官ボイド大佐（E-M理論提唱者）や国防総省アナリストから応用数学者まで幅広いメンバーを一緒くたにしており、それぞれ考え方には違いがある。参考：月刊軍事研究8,’18、月刊JWings7,’02

＜戦闘救護班（日本陸軍）＞：日本陸軍の衛生機関。第一線部隊に配属されての第一線救護が主任務で、患者収容隊長が隷下人員・材料により編成し、軍医以下衛生部員若干からなる。参考：作戦要務令

＜戦闘機用空中戦技訓練システム＞：自衛隊の機器。住商エアロシステムが受注している。参考：月刊軍事研究11,’10

＜戦闘強襲偵察用舟艇＞：陸上自衛隊の船外機付き複合艇、略称CRRC。参考：月刊世界の艦船8,’14

＜戦闘機用統合火器管制システム＞：防衛装備庁が研究試作しているFCS。僚機や地上レーダーなどと連携したネットワーク戦NCWにより、ステルス機に対する戦闘や数的劣勢時の戦闘などの従来環境では対応困難な状況を克服し、射撃機会を増大すると共に射撃効率を向上、生残性も高める。2012年度から統合火器管制ソフトウエアや飛行実証用統合火器管制処理装置などの研究試作に入り、2015年からテストを開始した。T-4練習機とF-2戦闘機に積んで2021年度から実飛行環境下でのテストを行う予定。参考：月刊航空ファン8,’19

＜戦闘機用ミサイル発射探知システム＞：AN/AAR-60(V)2ミサイル警報を参照。

＜戦闘協力２０１３＞：CIS共同防空システムが2013年8月13日から9月12日にロシアのアシュルク演習場で実施した合同防空演習。ロシア、アルメニア、カザフスタン、タジキスタン、ベラルーシから人員4000名とS-400防空システムやパンツィールS1自走地対空ミサイルなどが参加し、２発の弾道ミサイル迎撃を含む防空演習を行った。CIS共同防空システムに加盟しているウズベキスタンは参加せず、ウクライナも7月には参加を表明していたが、実際には参加しなかったようである。参考：月刊軍事研究12,’13

＜戦闘機連隊＞：戦術戦闘航空団を表す台湾空軍語。参考：月刊軍事研究6,’05

＜戦闘緊急出力＞：離陸時や緊急時などに５分間だけ使用できる出力のこと。参考：月刊丸4,’99

＜戦闘空中哨戒＞：CAP（Combat Air Patrol）と略す。迎撃機を空中で待機させておき、敵機が来襲するとそのまま迎撃に向かうものである。地上から離陸するより早く対応できるが、機体やパイロットの負担は大きい。主に戦争中にとられる態勢である。参考：月刊JWings7,’01、10,’09別冊付録

　＜ＢＡＲＣＡＰ＞：バリアCAPの略。味方空母や高価値目標付近で滞空し、敵機を警戒する任務である。参考：F-4ファントム物語

　＜ＦＯＲＣＥＣＡＰ＞：フォースCAPの略。味方攻撃機・爆撃機編隊を迎撃する敵機に備える任務である。参考：F-4ファントム物語

　＜ＭｉＧＣＡＰ＞：MiG戦闘機に対するCAPのことで、ベトナム戦争時に行われた。戦闘空域内で空中待機し、北ベトナムMiG戦闘機が出現すると直ちに迎撃に向かう。参考：F-4ファントム物語

　＜ＲＥＳＣＡＰ＞：レスキューCAPの略。CSARの際の救難機護衛任務である。参考：F-4ファントム物語

　＜ＴＡＲＣＡＰ＞：ターゲットCAPの略。攻撃目標周辺に向かってくる敵機を迎撃する任務である。参考：F-4ファントム物語

＜戦闘空挺降下章（アメリカ陸軍）＞：アメリカ陸軍の徽章Combat Parachutist Badge。戦地で戦闘空挺降下を行ったものに授与される。参考：月刊コンバットマガジン7,’06

＜戦闘訓練（海上自衛隊）＞：戦闘状況のシナリオに従って各部に被害が出たと想定し、対応を行う訓練。表面に時刻を書いた封密書を配布しておき、時間になったらそれを開示して読み上げ、その想定に対処していく。戦技や訓練検閲の場合には事前想定は艦長以外に知らされることは無く、海上訓練指導隊の審査員が各所に配置され、実際に電源を切ったりして実際的な訓練評価が行われる。参考：月刊世界の艦船8,’11増刊

＜千島湖＞：886（補給艦）を参照。

＜戦闘行為（日本）＞：国際的武力紛争の一環として行われる、人を殺傷したり、物を破壊したりする行為のこと。参考：月刊軍事研究9,’17

＜戦闘航空団（アメリカ空軍）＞：FW(Fighter Wing）と略す。参考：月刊航空ファン9,’16

＜戦闘航空団（ドイツ空軍）＞：JG（JagdGeschwader）と略す。隷下に本部小隊（戦闘機４機）、第１−第３飛行隊（Gruppe）からなる。１個飛行隊は本部小隊（戦闘機４機）、第１−第３飛行中隊（Staffel。戦闘機12機）から編成される。参考：グラフィックアクション36

＜戦闘航空旅団（モジュラー師団）＞：Combat Aviation Brigade。アメリカ陸軍モジュラー師団を構成する支援旅団の１つで、規模や内容により重、中、軽の３つに細分される。本部、通信、支援、攻撃２個、強襲、全般支援、無人機の各部隊を有し、AH-64D攻撃ヘリ、CH-47輸送ヘリ、UH-60汎用ヘリ、HH-60救急ヘリなどを装備し、偵察、警戒、攻撃、ヘリボーン、空中輸送、救急支援、兵員補充、指揮統制などを行う。参考：月刊軍事研究8,’13

＜戦闘攻撃機＞：Fighter / Ground Attack。戦闘機と攻撃機の任務を１機種で両方行えるもの。ジェットエンジンの進化により、軽爆撃機並みの搭載量を持つ機も現れた。マルチロール・ファイターの出現で、単なる戦闘機という名称に戻った。参考：月刊JWings3,’11、3,’15、世界軍用機年鑑1990-91

＜戦闘攻撃飛行隊＞：VFAを参照。

＜戦闘行動章（アメリカ陸軍）＞：アメリカ陸軍の徽章Combat Action Badge。従軍地で地上戦闘に参加した者のうち、戦闘歩兵章と戦闘衛生兵章の授与対象外に者に授与される。参考：月刊コンバットマガジン7,’06

＜戦闘行動半径＞：combat radius。作戦行動半径（radius of action）ともいう。作戦行動のために無給油で往復できる最大距離。作戦任務や兵装などにより、同じ機体でも様々に変化する。参考：月刊JWings3,’04、3,’14

＜戦闘工兵＞：工兵部隊の１つ。第一線で障害処理（地雷原処理や障害物除去など）にあたる。敵部隊の矢面に立つため、損害が非常に大きい。参考：月刊JWings6,’00

＜戦闘工兵軍（ソ連陸軍）＞：ソ連陸軍の軍戦略部隊。市街戦など特殊作戦に投入するため創設された。隷下に戦闘工兵旅団3-5個などを置く。1941年11月から1942年7月に第１・第２・第４−第10の９個戦闘工兵軍が創設され、スターリングラード戦を皮切りに実戦投入された。参考：月刊PANZER12,’13

＜戦闘工兵車＞：各種器材を搭載し、前線で工兵作業に使用される車両。敵の射撃に晒されるので、十分な装甲化が必要である。参考：月刊軍事研究2,’13

＜戦闘工兵小隊（アメリカ陸軍、イラク戦争時）＞：人員30名。戦闘工兵分隊３個からなり、M113工兵装甲車３両、M9ACE装甲戦闘ドーザー（MICLICトレーラー牽引）１両、M998汎用車１両を装備する。任務に応じて工兵大隊からM728CEV戦闘工兵車、M104重強襲橋などが派遣される。参考：月刊軍事研究7,’03

＜戦闘工兵タブ（アメリカ陸軍）＞：別名SAPPARタブ。戦闘工兵リーダーコースを終了した兵士が制服に縫いつける。2004年に新設された。参考：月刊コンバットマガジン7,’06

＜戦闘工兵分隊（アメリカ陸軍、イラク戦争時）＞：人員８名。爆破セット、チェーンソー、地雷探知機２基を装備し、M113工兵装甲車１両で移動する。参考：月刊軍事研究7,’03

＜戦闘混成飛行隊＞：VFCを参照。

＜戦闘支援型多目的ＵＳＶ＞：自衛隊が研究予定のUSV。USVと言いつつ潜航・浮上が可能で、船型は潜水艦に近く、艦尾にＸ舵を備える。航行は自律または遠隔制御。ISR、対水上戦（対艦ミサイル装備）、対潜戦など、任務に応じてミッション・パッケージを積み替える。2024-30年度に研究開発を行う。参考：月刊世界の艦船11,’23

＜戦闘支援車＞：HMMWVシリーズ（M1152A1）を参照。

＜戦闘支援車両＞：略称ACSV（Armor Combat Support Vehicle）。第一線部隊の戦闘行動を支援する車両で、指揮車、通信車、レーダー車、戦車回収車、戦車橋、工兵作業車、地雷処理車、地雷敷設車、整備車などがある。参考：月刊戦車マガジン1,’88

＜戦闘支援ヘリコプター（ＣＦＥ条約）＞：攻撃ヘリコプターとしての資格要件を満たさないが、銃、砲、非誘導ロケット、爆弾若しくはクラスター爆弾など各種の自衛兵器や地域制圧兵器を装備しているか、またはその他の軍事機能を果たす装備を施している戦闘用ヘリコプター。参考：軍縮条約・資料集第２版

＜戦闘支援旅団（モジュラー師団）＞：Maneuver Enhancement Brigade。アメリカ陸軍モジュラー師団を構成する支援旅団の１つ。警備、後方連絡線形成維持、機動支援、空域統制、飛行場・道路建設、CBRN防護、安定化作戦、民生支援を主任務とする。隷下に本部中隊、通信中隊、支援大隊、工兵大隊、憲兵大隊、化学大隊を置き、任務に応じて防空大隊、民事大隊、不発弾処理中隊などを組み込む。参考：月刊軍事研究8,’13

＜戦闘指揮センター＞：略称CDC（Conbat Direction Center）。CICのアメリカ海軍空母版である。参考：月刊世界の艦船2,’16

＜戦闘事前集積船＞：CPSを参照。

＜戦闘事前集積部隊＞：CPFを参照。

＜戦闘システム（潜水艦）＞：戦域の情報を外部から取得するネットワークシステム、自艦のセンサーから得た情報を統合解析表示する戦術管制システム、兵装への発射諸元付与や発射後の有線誘導といった兵装管制を行う武器管制システムからなる。潜水艦の通信能力に限界があり、ネットワークシステムから兵装の発射に必要な高精度のリアルタイム目標情報を得るのは難しい。参考：月刊世界の艦船5,’17

＜戦闘車両用レーザ送受信装置＞：自衛隊の機器。日立国際電気製。参考：月刊軍事研究5,’10

＜戦闘乗員訓練飛行隊＞：アメリカ空軍の特殊航空戦部隊。戦術航空コマンド隷下に1961年4月に新編された。訓練を終了した部隊はジャングルジム分遣隊と呼ばれ、1961年11月にT-28練習機・B-26爆撃機計12機と人員151名が南ベトナムに展開、1962年には南米にも展開している。参考：航空ジャーナル9,’77臨時増刊

＜戦闘照準＞：戦場の地形、視程、予想される目標の種類などを総合して予め弾種と交戦距離を決め、目標と遭遇した場合にその諸元で直ちに初弾を撃ち込めるようにすること。参考：戦車隊長

＜戦闘上昇限度＞：Combat ceiling。軍用機に使用される上昇限度の値で、戦闘行動が取れる限界高度を示す。戦闘機では最大上昇率毎分150m（毎秒2.5m）または毎分500フィート（152.4m）、爆撃機では毎分60m（毎秒1m）または毎分200フィート（61m）が得られる圧力高度である。実用上昇限度よりも運用に即した値であり、正直に書くと性能がばれるせいか、スペックで明らかにされていることは少ない。参考：航空用語事典増補改訂版、世界航空機年鑑2018-2019

＜戦闘詳報＞：日本陸軍の戦闘報告書。高級指揮官が以降の作戦を適切に指導するために必要な資料であり、将来の戦闘の参考とするための実戦経験記録でもある。歩兵、砲兵、航空兵は大隊または戦隊（両者を成さざる場合は中隊または中隊に準ずる部隊）以上、その他の兵種は中隊以上の各部隊（独立して戦闘した場合には小隊または小隊に準ずる部隊）ごとに作成し、固有の直属上級指揮官と軍隊区分での直属上級指揮官に１通ずつ提出する。内容は具体的に記述し、迅速に提出するのが望ましく、各級指揮官はまず速やかに自部隊の戦闘詳報を提出し、爾後部下諸隊の戦闘詳報を到着次第送付していく。これらは最終的に大本営に送られる。内容は、時刻を追って必要事項を列記し、そうなった理由もなるべく記載、戦闘地域が広大なら必要に応じて地区ごとに分け、図や写真も添付する。記載事項は兵種や部隊規模により違ってくるが、大部隊の場合は、戦闘前の彼我形勢、戦闘に影響を及ぼした気象（日の出、日没、夜間明暗も含む）・地形・住民地、彼我の兵力、交戦した敵の団隊号・将官氏名・編制・装備・素質・戦法、敵が化学兵器を使用した場合にはその種類・用法と味方の防護資材の効果、各時期での戦闘経過・関係部隊動作・連絡施設状況、戦闘後の彼我形勢、齟齬・過失など将来の参考となる事項、といったものが挙げられる。受領した命令、報告、通報が戦闘に影響を与えた場合、要旨を本文中に記載するか写しを添付し、受信日と受信地点を書き加える。戦闘詳報附表として死傷表、鹵獲表、兵器・燃料・化学兵器防護資材等の損耗表を、戦闘詳報附録として気球及び飛行部隊の昇騰記録・飛行記録を添付する。抜群の武功を挙げた将兵や部隊は記事の末尾に附記する。参考：作戦要務令

＜戦闘職種＞：陸上自衛隊の普通科、特科、機甲科を合わせてこういう。参考：自衛隊図鑑2002

＜戦闘情報中枢＞：CICを参照。

＜戦闘情報ポスト＞：BIPを参照。

＜戦闘序列（日本陸軍）＞：戦時や事変に際して天皇が令する作戦軍の編組で、これに基づいて統率の関係を律する。作戦上、必要に応じて一時的に編組するのは軍隊区分と称する。参考：作戦要務令

＜戦闘生残・回避者位置特定装置＞：CSELを参照。

＜戦闘戦術車＞：HMMWVシリーズ（M1151A1）を参照。

＜戦闘前哨＞：COP（Combat OutPost）と略す。ドイツでは観測哨と呼ばれた。主陣地の直前に置かれ、敵の攻撃を警告し、直接照準射撃から主陣地を守り、敵観測所を潰して間接照準射撃を防ぐ。主陣地からの火力支援が届く範囲内に設置される。参考：歴史群像12,’03

＜戦闘捜索救難＞：CSARを参照。

＜戦闘装着帯＞：陸上自衛隊の個人用装着具。マガジンポーチなどを装着できる。従来は腰に巻く弾帯とサスペンダーで構成されていたが、後に肩から吊って胸部に巻くチェストリグ方式に変更し、装着部位が増え、細身の女性自衛官でも使い勝手が良くなった。参考：朝雲

＜戦闘装着セット＞：陸上自衛隊の戦闘服・雑具セット。1987-90年度に開発された。迷彩塗装及び対赤外線・対紫外線擬装が施された難燃性の戦闘服、戦闘防弾チョッキ、88式鉄帽、戦闘靴、戦闘背嚢、戦闘雑嚢、戦闘つりバンド（弾帯用）、戦闘弾帯、戦闘弾入れ、戦闘救急品袋、戦闘飯盒、戦闘水筒、戦闘シャベル、戦闘雨具からなり、総重量20kg。上着の前閉じにはボタンを使用しており、上着の裾をズボンの外に出す方式に改めたことで匍匐前進時に泥がズボン内に入り込むことが無くなった。マイナス30度の環境でも行動できる防寒戦闘服、沖縄及び熱帯地PKO用防暑服（耐熱・防炎無し）も用意されている。PKOの派遣先では外国軍人から購入したいとの申し出もあったという。参考：自衛隊装備年鑑1996、陸上自衛隊パーフェクトガイド2015、月刊丸10,’93

＜戦闘装着セット白色覆い＞：陸上自衛隊の個人用雪原カモフラージュ。白一色のジャケット、ズボン、ヘルメットカバー、ゴーグル覆いなどからなる。顔の部分は以前は目出し帽タイプだったが、近年は額から耳までと鼻下から首までの２つに分かれた。防寒大手袋も昔はミトンタイプで人差し指だけ分離したタイプだったが、近年ではミトンタイプの人差し指の部分に穴が空いていて、そこから手袋を突き出すタイプに変更されている。参考：月刊コンバットマガジン5,’06、月刊軍事研究4,’08

＜戦闘速度＞：最大速度（航空機）を参照。

＜戦闘速力＞：ロシア海軍用語で、巡航速力のこと。参考：ソ連／ロシア巡洋艦建造史

＜戦闘隊形＞：タクティカル・フォーメーション（２機編隊隊形）を参照。

＜戦闘弾入れ８９式小銃用１形＞：自衛隊の火工品。ハイランドテクノ製。参考：月刊軍事研究6,’13

＜戦闘弾入れ８９式小銃用１形（白色）＞：自衛隊の機器。ハイランドテクノ製。参考：月刊軍事研究8,’15

＜戦闘弾入れ８９式小銃用２形＞：自衛隊の火工品。ハイランドテクノ製。参考：月刊軍事研究6,’13

＜戦闘弾帯２型＞：自衛隊の火工品。新成物産またはオガワテクノが受注している。参考：月刊軍事研究6,’13、12,’15

＜戦闘鉄帽覆（暗視眼鏡用）＞：自衛隊の機器。クラレ製。参考：月刊軍事研究3,’18

＜戦闘統制員＞：アメリカ空軍の特殊部隊員、略称CCT。陸海軍の特殊部隊と行動を共にし、敵地において強襲地域（アサルト・ゾーン）を確保して着陸誘導灯を設置したり、航空支援要請・攻撃機誘導統制をしたりする。First Thereという紋章の付いた真っ赤なベレー帽を象徴とする。参考：月刊軍事研究4,’03

＜戦闘爆撃機＞：Fighter bomber aircraft。爆弾などの攻撃兵器を搭載していても、ある程度の空中戦性能を維持し、敵戦闘機を排除しつつ侵攻できる能力を持つ攻撃機。爆弾搭載量は攻撃機に劣るが、制空権の確保できていない空域に進出しての攻撃が可能である。第２次大戦では旧式戦闘機に250kg級爆弾や５インチ（127mm）級ロケット弾を積んで戦闘爆撃機に転用し、攻撃任務を行わせた。大戦後期には、制空権を確保した連合軍が余剰の戦闘機に爆弾を積んで攻撃任務に就かせたり、逆に制空権を失い攻撃機にもある程度の自衛戦闘能力が必要になった枢軸軍が戦闘機のファミリー機として戦闘爆撃機を開発したりしている。日本軍はエンジン性能、機体構造強度、爆撃訓練体系などの不足から海軍戦闘機は30kg（３番）または60kg（６番）、陸軍戦闘機は50kgクラスの爆弾しか積めず、マリアナ沖海戦で250kg（25番）を積んだ戦爆零戦はF6F艦上戦闘機に叩き落とされ、最終的には無理矢理500kg爆弾（50番）を積んで特攻兵器となってしまった。参考：アメリカジェット戦闘機、月刊航空ファン11,’18

＜戦闘パトロール＞：パトロールを参照。

＜戦闘飛行隊＞：略称FS(Fighter Squadron)。参考：月刊航空ファン9,’16

＜戦闘服＞：BDUまたは戦闘装着セットまたは迷彩服（陸自）を参照。

＜戦闘服装水陸一般用＞：陸上自衛隊の水陸機動団隊員用迷彩服。水を吸いにくく潜っても重くなりにくい生地を使用しており、各ポケットに水抜き穴を設けて排水性を良くした。大腿部に大容量ポケットがあり、上腕部のポケットは斜めに縫い付けられている。背面上部には救出帯（ドラッグハンドル）が付いていて、これを掴んで引っ張り上げる。ヘルメットは任務によって従来の88式鉄帽か、軽量で排水性に優れたAMH-2を使い分ける。半長靴も透湿防水性を廃して側面内側に多数の水抜き穴を開けた新型になった。AAV7乗員はベルクロ固定の半長靴を使う。戦闘背のうは水陸一般用を装着し、チェストリグ、弾嚢、弾帯も新型である。洋上斥候はウェットスーツ（戦闘服装の下に着る）またはドライスーツ（低水温時に着る）、膨張式救命胴衣、フィン、ゴム底のマリンブーツなどを着用し、リストコンパス、ダイバーナイフなどを装備する。参考：月刊PANZER6,’18

＜戦闘部署＞：海上自衛隊の部署の１つで、更に５つに細分される。以前は対空、対潜、対水上の３種類だった。自衛艦が出港すると合戦準備の号令詞で合戦準備部署に、航行中は艦内哨戒部署（第１−第３の３種類）に、会敵すると戦闘用意の号令詞で戦闘部署につく。戦闘が終わると戦闘用具収め、戦闘用意用具収めの号令詞で艦内哨戒部署に戻る。参考：月刊世界の艦船8,’11増刊、9,’12増刊

＜戦闘浮力器材＞：陸上自衛隊の迷彩柄救命胴衣。首周りに装着し、紐を引くとガスで膨らむ。水陸機動団の隊員が着用する。参考：月刊世界の艦船3,’21

＜戦闘兵站部隊＞：アメリカ海軍軍事海上輸送コマンドMSCの補給艦船部隊、略称CLF（Combat Logistics Force）。2012年、海軍艦隊補助部隊NFAFから改編されて創設された。給油艦や補給艦により洋上兵站支援を行うのが主任務である。参考：月刊軍事研究3,’16

＜戦闘ヘリコプター＞：攻撃ヘリコプター（対戦車ヘリコプター）と武装ヘリコプターを纏めてこういう。通称、空飛ぶ砲兵または空飛ぶ戦車。駐屯地から燃料弾薬再補給点FARPに展開し、直線低高度飛行または地形追随飛行で待機位置HAに進出、ここから攻撃位置ATPに地形追随飛行またはNOE飛行で向かい、敵地上部隊を攻撃する。参考：月刊JWings2,’03

　＜戦闘ヘリコプター（ＣＦＥ条約）＞：CFE条約での定義は、「回転翼の航空機で、目標攻撃のための武装及び装備を施したもの、またはその他の軍事機能を果たすための装備を施したもの」で、「攻撃ヘリコプター」と「戦闘支援ヘリコプター」からなる。参考：軍縮条約・資料集第２版

＜戦闘防弾チョッキ＞：陸上自衛隊のボディ・アーマー。1992年から装備された。参考：月刊軍事研究5,’10

＜戦闘歩兵章（アメリカ陸軍）＞：Combat Infantryman Badge。従軍地で地上戦闘に参加した歩兵と大佐以下の特殊部隊兵科所属員に授与される。参考：月刊コンバットマガジン7,’06

＜戦闘用意＞：艦を艦内哨戒部署から戦闘部署に変更させるための号令詞。目標の種類に応じて対空戦闘用意などと命じる。参考：月刊世界の艦船8,’82増刊

＜戦闘用航空機（通常兵器登録制度）＞：固定翼または可変形態翼の航空機で、目標攻撃の武器及び装備として誘導ミサイル、非誘導ロケット、爆弾、銃、砲その他の破壊兵器を備えたもの。参考：軍縮条約・資料集第２版

＜戦闘要報＞：日本陸軍の戦闘報告書。戦闘経過の概要、現時点での彼我の態勢、敵情判断とそれに対する自己の企図（以上は可能なら図を添付）、敵の兵力、団隊号、得意な装備や戦法、彼我損害の概数、残余弾薬燃料資材（要すれば消費量の概数）などを記載する。当面の各部隊長が記述し、一部の戦闘が局を結んだ場合はなるべく早く、当日局を結ばなかった場合は日没後速やかに提出する。機を失せず報告するのが重要で、内容の完備に拘ったり、部下の報告が全て出そろうのを待ったりせず、緊要事項を速やかに提出し、残りは逐次伝えていく。参考：作戦要務令

＜戦闘用防護衣＞：陸上自衛隊の戦闘用NBC防護服。防護マスク、ゴム製グローブ、オーバー・シューズと併用して身体を完全にカバーし、NBC物質の身体への付着を防止する。素材は通気性のある繊維状活性炭布積層布で、表面にカモフラージュパターンが塗られている。重量3.8kg。東洋紡製。オウム真理教に対する強制捜査の際、警察に貸し出された。参考：月刊PANZER12,’99、5,’98、陸上自衛隊パーフェクトガイド2015

＜戦闘糧食＞：レーションを参照。

＜戦闘糧食�T型＞：自衛隊の携帯用食糧で、缶詰に入っているので缶飯とも呼ばれる。1954年の自衛隊創設時から三自衛隊で採用されており、その後昭和30年代初めから需品補給処が開発した新型に切り替わった。当初は無塗装だったが、光を反射して目立つので、オリーブ・ドラブで塗装するようになっている。主食缶１個と副食缶２個のセットで、25分湯煎すればおいしく食べられる。保存期間３年。メニューは８種類で、メニューナンバー１は乾パン、ウインナーソーセージ、オレンジスプレッド、２は白飯、鶏肉野菜煮、マグロ味付、たくあん漬、３は赤飯、鶏肉もつ野菜煮、たくあん漬、４は赤飯、コンビーフベジタブル、マグロ味付、たくあん漬、５は五目飯、牛肉味漬、たくあん漬、６はとり飯、牛肉野菜煮、たくあん漬、７はとり飯、ます野菜煮、たくあん漬、８はしいたけ飯、味付ハンバーグ、福神漬。参考：歴史群像6,’02、スピアヘッドNo.2、日本の防衛戦力Part1、MAMOR vol.125

＜戦闘糧食�U型＞：自衛隊の携帯用食糧で、通称パック飯。レトルトパックで、携帯用ヒーターにより簡単に加熱できる。2006年には水を入れると反応助剤が発熱して98℃の高温蒸気を発生し、25分でホカホカになるモーリアンヒートパックが採用された。カンボジアPKOでの糧食コンテストで優勝しており、味の評価は高い。ただ赤飯など餅米が多く、胃にもたれるらしい。当然ながらというべきか、生野菜や果物は含まれていないので、長期連用ではビタミン不足に陥る恐れがあり、東日本大震災の災害派遣で２ヶ月ほど食べ続けた結果、隊員に口内炎が多発して水も飲めない状態になってしまったという。保存期間は１年間。パックから直接食べて洗い物を無くすのが自衛隊流らしい。メニューは14種類で、和洋中が用意されている。メニューナンバー１は白飯２パック、ハンバーグ、ポテトサラダ、高菜漬。２はドライカレー、五目飯、フランクフルト、ワカメスープ、福神漬。３は白飯２パック、ビーフカレー、ツナサラダ、福神漬。４はクラッカー、ハムステーキ、ポテトサラダ、卵スープ。５は白飯、ドライカレー、チキンステーキ、ジャーマンポテトサラダ、卵スープ。６は白飯２パック、中華丼、キノコスープ、メンマ。７は白飯、五目炒飯、中華風肉団子、中華風ワカメスープ、大根キムチ。８は白飯、蟹炒飯、酢豚、中華風ワカメスープ、大根キムチ。９は白飯２パック、牛丼、吸い物、福神漬。10は豆ご飯、山菜飯、やきとり、油揚げのみそ汁、はりはり漬。11はとり飯、赤飯、鮭塩焼き、ポテトサラダ、油揚げのみそ汁。12は白飯、山菜飯、鯖生姜煮、ポテトサラダ、ワカメスープ、高菜漬。13は白飯、山菜飯、筑前煮、吸い物、はりはり漬。14は白飯、赤飯、マグロステーキ、きざみ昆布煮、油揚げのみそ汁。2015年にメニューが一新されて20種類に増え、保存期間も３年に延びた。2019年、メニューが改訂されて21種類に増えた。主食、副食、スプーンが１セットになっており、簡易加熱剤で20-30分温める。主食は白飯、五目飯、ドライカレーなどで、初めてパン（副食はボロニアソーセージ）が用意されている。副食は肉じゃが、さんま甘露煮、ナポリタン、牛ひき肉のキーマカレー、ビーフシチューなど、和洋中・肉魚をバランス良く配分し、味付けも醤油ベースだけでなく味噌、ショウガ、スパイスを加えた。ビタミンB1、鉄分、カルシウムなど、長期活動時に不足していた栄養素を加えるため、ふりかけやゼリー飲料も新規導入している。2020年から配備され、最初の２年は備蓄に回されるので、隊員が消費するのは2023年からになる予定。2022年、ウクライナ戦争でウクライナにボロニアソーセージとナポリタンを提供した。参考：歴史群像6,’02、月刊軍事研究5,’04、スピアヘッドNo.2、朝雲、MAMOR vol.125

＜戦闘力維持旅団（モジュラー師団）＞：Sustainment Brigade。アメリカ陸軍モジュラー師団を構成する支援旅団の１つで、戦域コマンドである戦闘力維持コマンドの隷下にあり、師団からは戦況が浮動している場合を除いて指揮を受けない。主任務は兵站、人事（補充、経理、法的・宗教的支援など）、健康サービス支援（傷病者後送、治療、衛生資材補給など）で、旅団戦闘団が独自に戦闘力を維持できる72時間を超えて活動する場合に、本旅団や軍団レベルの戦闘力維持部隊が支援を行う。本部中隊、通信中隊、支援大隊で構成され、支援大隊の隷下に各機能別中隊が編成されている。参考：月刊軍事研究8,’13

＜セントー＞：A27Lシリーズ（巡航戦車）またはR06（空母）を参照。

＜セントー＞：イギリス海軍セントー級軽巡洋艦Centaur。1916年竣工。第１次大戦中に探照灯を後部戦闘指揮所上に追加し、艦橋と前部煙突の間にあった15.2cm単装砲を撤去して甲板室を設け、7.6cm単装砲も撤去した。1934年に売却された。参考：近代巡洋艦史

＜セントー級＞：イギリス海軍軽巡洋艦Centaur級。Ｃ級軽巡洋艦の１つである。カンブリアン級とほぼ同じで、主砲を15.2cm単装砲に統一した。前部マストは三脚式で、上部に方位盤を持つ。探照灯は前部マスト上と前部煙突前方にある。建造期間短縮のため、主機はトルコ向け偵察巡洋艦用のものを流用した。全長135.9m、幅12.8m、吃水4.1m、常備排水量4165トン。主機は蒸気タービン、出力40000馬力、４軸推進、速力29ノット。兵装は15.2cm単装砲５門、7.6cm単装砲１門、7.6cm単装高角砲２門（後部指揮所前後）、533mm水中魚雷発射管２基。乗員437名。セントーとコンコードが1916年に竣工した。参考：近代巡洋艦史

＜セントー級＞：イギリス海軍中型空母Centaur級。元は1943年度計画の軽空母ハーミーズ級で、当初は1942年度計画空母の改良型で済ませる予定だったが、主力艦隊の最大速力が28ノットになったのでこれに付いていけるようにし、艦上機の大型化に伴い13.6トン対応に航空艤装を変更しているうちに第２次大戦が終わってしまい、建造予定８隻のうち４隻が建造中止になり、一旦計画を中断している。1948年になってイラストリアス級の代艦として計画が再開されたが、ハーミーズは大改装後の空母ヴィクトリアス並の能力を持たせるべく別タイプになり、残る３隻がジェット艦上機対応の航空艤装強化を加えた上でセントー級として建造された。飛行甲板は全通式で、艦首はクローズド・バウ、飛行甲板前部左右にカタパルト１基ずつ、飛行甲板前後に内舷式エレベーター１基ずつを装備し、開度5.5度のアングルド・デッキを持つ。アイランドは右舷側にあり、上面中央にラティスマスト１本、その後ろに煙突１本が立っている。全長224.6m、水線長209m、水線幅27.4m、深さ21.5m、吃水8.2m、平均吃水8.5m、基準排水量18000トン（1943年度計画時）／20260トン（1947年計画時）／23170トン（R08ブルワーク1957年）、満載排水量23800トン（1943年度計画時）／27015トン（1947年計画時）／27800トン（R08ブルワーク1957年）。主機はパーソンズ式オール・ギヤード蒸気タービン２基、主缶はアドミラルティ３胴式重油専焼水管缶４基、出力76000馬力、２軸推進、速力28ノット、重油搭載量3500トン、航続距離5040海里（20ノット）。兵装は40mm６連装機関砲２基、40mm連装機関砲８基、40mm単装機関砲４門。960型レーダー、961/963型レーダー、982型レーダー（艦橋上面前後。就役時はR06とR07が後部のみ櫛形アンテナ、R08が前後とも櫛形アンテナ）、983型レーダー、293型レーダーを装備する。装甲厚は飛行甲板51mm、弾薬庫51mm、爆弾庫51mm。搭載機数42機（計画時）／36機（1952年定数。ファイアフライ、シーホーク、シー・ヴェノムなど）、航空用燃料搭載量1584トン。乗員1390名。R06セントー、R07アルビオン、R08ブルワークの３隻が1953-54年に竣工した。ジェット艦上機運用に十分な大きさで作ったつもりだったが、ジェット艦上機の急速な発達に追いつけず、１番艦セントーのみ1956-58年にスチーム・カタパルト追加などの近代化改装を受けたが、２番艦R07アルビオンと３番艦R08ブルワークは1959-62年にコマンドー母艦に改造され、セントーも1965年には退役した。参考：イギリス航空母艦史、月刊軍事研究9,’13、月刊世界の艦船2,'22、5,’83、10,’14、11,’15、月刊JWings11,’19

＜セントー級＞：イギリス海軍コマンドー空母Centaur級。セントー級空母がジェット艦上機の大型化に付いていけなくなったため、イギリス海兵隊ロイヤル・マリーン・コマンドーを輸送する強襲揚陸艦に改造したもので、イギリス海軍公式艦種は空母のままである。航空艤装をヘリ用に変更し、飛行甲板左舷側にヘリ発着スポット９カ所を設け、飛行甲板後部両舷にLCVP用ダビットを２基ずつ設置、艦内にホワールウインド輸送ヘリ21機（16機？）、軽車両50両、海兵隊員733名（R07アルビオン）／900名（R08ブルワーク）を収容できるようにした。高いヘリ運用能力を活かし、有事には対潜空母としても使える。R07アルビオンのみ982型対空捜索レーダーを965型に換装した。全長224.9m、満載排水量27705トン。主機は蒸気タービン、速力28ノット。R08ブルワークが1960年、R07アルビオンが1962年に改造された。参考：月刊世界の艦船12,’20、12,’23、イギリス航空母艦史

＜セント・オーステル・ベイ＞：K634（フリゲート）を参照。

＜全斗煥大統領暗殺未遂事件＞：アウンサン廟爆破事件を参照。

＜前弩級戦艦＞：弩級戦艦の前世代の戦艦のこと。弩級戦艦が登場するまでは世界標準の戦艦だったので基準戦艦と呼ばれていた。主砲は305mm砲４門で、副砲として152mm砲を12門くらい装備し、レシプロ蒸気機関で18ノットくらいを発揮する。参考：歴史群像6,’16

＜潜特型＞：日本海軍潜水艦、別名Ｓ特または伊400型。今でも実戦用ディーゼル潜水艦としては世界最大（実験潜水艦も含めると清型が最大）である。特殊攻撃機晴嵐を積んでアメリカ東海岸の対地攻撃と通商破壊を行うのを主任務とし、改マル五計画で建造が決定、昭和17年1月13日から設計され、後にパナマ運河爆撃任務が追加された。航続距離からいえば世界中どこでも爆撃できる。耐圧船殻は複殻式で、内殻は中央が眼鏡型（真ん中に隔壁がある）をした特殊形状をしており、内部は前方から魚雷発射管室（右舷側後部に錨鎖庫あり）、前部居住区、発令所、糧食庫（上）／弾薬庫（下）、機械室、管制盤室（上）／電動機室（下）、後部居住区という構成（魚雷発射管室と後部居住区以外が眼鏡型船殻）である。前部居住区の前部は左右とも兵員室、中央から後部は右舷側が兵員室、左舷側が士官室で、後部の最も左舷寄りに艦長室がある。また、前部居住区中央から後部にかけての兵員室・士官室床下は電池室に充てられている。発令所（中に電信室もある）は眼鏡型船殻の左舷側にあり、右舷側には補助発電機室と烹炊室（右舷前方）が設けられ、これらの床下には重油タンクがある。舵は船体前方の潜舵、尾部の上部縦舵、縦舵、横舵。後部士官室から機械室にかけての船体中央上部に航空機格納塔（全長30.5m、直径4.2m。3.5m？）が用意されていて、格納塔には晴嵐を当初２機搭載する予定だったが、建造隻数減に伴い、３機に増やされた。航空機格納塔前方から艦首近くまで３度上向きの四式一号一〇型射出機がセットされていて、晴嵐はここから発進する。発進時には晴嵐を台車で発進甲板に引き出し、艦内から延びる油圧配管の油圧で翼を開くと同時にフロートを取り付け、カタパルトで射出する。２機目は同様の手順で４分後には射出できるが、３機目は後で増やされた関係で15分ほどかかる。訓練時は船体上部の外殻・内殻間に設けられたフロート格納塔からフロートを出して晴嵐に装備し、訓練後は起倒式航空機収容クレーンで機体を回収（３機で30分かかる）した。艦橋・セイルと司令塔は発令所の真上にあるため、左舷側にオフセットされている。潜望鏡は八八式で、セイルにはシュノーケルとレーダー支持台があり、二二号電探や一三号電探を装備する。居住性は貧弱で、テーブルは無く、寝台は士官と下士官のみに用意されており、兵は床で寝ていた。全長122m、垂線間長116m、最大幅12m、平均吃水7.02m、基準排水量3530トン、水上排水量5223トン、水中排水量6560トン。主機は艦本式二二号一〇形内火機械４基（7700馬力。12000馬力？）、主電動機は特六型２基（2400馬力）、２軸推進、水上速力18.7ノット、水中速力6.5ノット、重油搭載量1750トン、蓄電池は一号一四型ペースト式電池240個（360個？）、水上航続距離37500海里（14ノット。実際は42000海里に達したらしい）／33000海里（16ノット）、水中航続距離60海里（３ノット）、水中行動時間35時間、行動日数４ヶ月。急速潜航秒時60秒、安全潜航深度100m。発令所区画右舷側に補助ディーゼル発電機（450kW）２基を装備する。兵装は艦首の九五式発射管８基（魚雷20本）、後甲板上の四〇口径十一年式一四サンチ砲１門、航空機格納塔上面の九六式25mm３連装機銃３基（前中後１基ずつ）、セイル上面後部の九六式25mm単装機銃１基。乗員157名。晴嵐用として魚雷４本、250kg爆弾12発、800kg爆弾３発を搭載する。センチメートル波レーダーに対応した新型逆探、三式探信儀、四式水中聴音機、水中充電装置を搭載した。昭和17年6月に設計を終え、改マル五計画で18隻を建造する予定だったが、戦局の悪化に伴い５隻に減らされ、終戦までに完成したのは伊400、伊401、伊402の３隻だけだった。伊400と伊401はウルシー環礁攻撃の嵐作戦に出撃し、攻撃前に終戦を迎えている。伊402は就役後に航空機用ガソリン輸送設備を設けた。航空機格納筒の設計は、アメリカ海軍巡航ミサイル搭載潜水艦のミサイル格納筒に流用されたといわれる。参考：丸エキストラ版No.71、日本の潜水艦パーフェクトガイド、日本潜水艦物語、月刊JWings11,’03、月刊丸11,’72、歴史群像4,’11、潜水艦気質よもやま物語、月刊世界の艦船9,’12増刊、3,’14、月刊モデルアート9,’15増刊

＜セント・サイモン＞：D31（護衛空母）を参照。

＜セント・ジョージ＞：A382（給兵船）またはAV-16（水上機母艦）またはイギリス自由軍団を参照。

＜セント・ジョージ・ザ・ヴィクトリアス＞：K-526（潜水艦）を参照。

＜セント・ジョージ岬海戦＞：連合軍呼称で、日本側の呼称は無い。太平洋戦争時の昭和18年11月初め、アメリカ軍がブーゲンビル島タロキナ岬に上陸し、11月17日にはブカ島の飛行場に艦砲射撃を加えてきたため、日本軍は鼠輸送で陸軍部隊を増強し、海軍部隊を引き揚げることにした。11月21日、ブカ島への第１回鼠輸送を実施。11月24日、ブカ島への第２回鼠輸送を実施。第31駆逐隊大波、巻波、第11駆逐隊天霧、夕霧、第30駆逐隊卯月がブカ泊地で揚陸作業に入ったが、アメリカ海軍側に察知され、引き揚げ要員を収容したところで魚雷艇の襲撃を受けている。これは撃退したものの、第23駆逐戦隊司令長官アーレイ・アルバート・バーク大佐直率の第45駆逐隊DD-570チャールズ・F・オズバーン、DD-571クラクストン、DD-572ダイソンと、第46駆逐隊DD-509コンヴァース、DD-512スペンスによる夜間奇襲攻撃を喰らった。2341、第45駆逐隊が日本海軍駆逐艦２隻をレーダーで見つけ、雷撃を実施。11月25日0002にブカ島西50海里で大波が被雷して沈没、巻波が大破した。ほぼ同時に第46駆逐隊が砲戦に入り、夕霧を撃沈、卯月を被弾小破させている。日本海軍側の反撃でDD-509コンヴァースが被雷したが、不発だった。ラバウルからの航空攻撃を避けるため、第23駆逐戦隊は夜明け前に退避している。参考：月刊世界の艦船6,'23、第２次大戦日本海軍作戦年誌

＜セント・ジョンズ＞：FFH340（フリゲート）を参照。

＜セント・デイヴィッド＞：M07（掃海艇）を参照。

＜セントピード＞：Mk.�Tシリーズ（菱形戦車）を参照。

＜セント・ブライズ・ベイ＞：K600（フリゲート）を参照。

＜セント・ヘリエ＞：イギリス海軍特設兵員揚陸艦St. Helier。1942年に客船から改造された。ダビットを搭載する余裕が無かったため、三脚式のアームを設けて舷外にLCA６隻を搭載している。全長98.5m、総トン数1929トン。速力18ノット。LCA６隻と兵員180名を搭載可能。参考：第２次大戦のイギリス軍艦

＜セント・ヘレナ＞：K590（フリゲート）を参照。

＜セント・ポール＞：CA-73（重巡）を参照。

＜セント・マーガレッツ＞：A259（電纜敷設船）を参照。

＜セント・マーガレッツ級＞：イギリス海軍電纜敷設船St. Margarets級。全長77m、幅11.1m、吃水5m、満載排水量2500トン。主機はレシプロ蒸気機関、出力1250馬力、速力12ノット。A259セント・マーガレッツが1944年に竣工した。参考：月刊世界の艦船5,’83

＜セント・メアリーズ＞：I12（駆逐艦）を参照。

＜セント・メリーズ＞：APA-126（攻撃輸送艦）を参照。

＜セントラル・エアデータ・コンピュータ＞：Central air-data computer。センサーから得られた飛行に関する情報に種々の修正要素を加え、それらを組み合わせて必要なデータを瞬時に算出し、計器やディスプレイに出力してくれる多機能高速電算機のこと。参考：航空用語事典増補改訂版

＜セントラル・トレーニング・エリア＞：在日米海兵隊の訓練施設で、キャンプ・シュワブ及びキャンプ・ハンセンの訓練区域を合わせてこう呼ぶ。上陸作戦や小銃射撃の訓練が行われる。参考：月刊軍事研究4,’10

＜セントリー＞：E-3シリーズ（早期警戒管制機）またはMCM-3（掃海艦）を参照。

＜セントリー＞：イギリスのキネティックが開発したステルス無人水上艇Sentry。陸上及び艦上からの管制で作動し、主任務としては、港湾警備、偵察、攻撃評価などが考えられている。全長3.5m、幅1.25m、高さ1.1m、排水量0.5トン。推進はウォータージェット、最大速力50ノット、航続時間６時間、最大遠隔操作距離16海里（マイクロ波データ伝送装置の視界内）。昼夜間カメラ、マイクロ波データリンク、探照灯、拡声器、発煙弾発射機などを搭載し、手動管制に加え、自律航行が可能である。武装は搭載しない。参考：月刊軍事研究3,’09、5,’07、1,’08、月刊世界の艦船4,’10

＜セントリーＡＥＷ．１＞：E-3D（早期警戒管制機）を参照。

＜セントリー・アロハ演習＞：アメリカ空軍統合作戦訓練Sentry Aloha。2015年は1-2月にハワイのパールハーバー・ヒッカム統合基地で実施され、空軍、州空軍、空軍予備役から50機弱が参加した。参考：月刊JWings6,’15

＜セントリー・ホワイト・ファルコン演習＞：ポーランド空軍とアメリカ空軍の共同演習。ポーランド空軍のF-16戦闘機導入決定を受け、F-16戦闘機が届く前の2004-05年にアメリカ空軍F-16戦闘機を使用して実施された。2007年からポーランド空軍にF-16戦闘機が配備されたので、２年で終了している。参考：月刊JWings10,’05

＜セント・ルイス＞：CL-49（軽巡）またはLCS-19（沿海戦闘艦）またはLKA-116（貨物揚陸艦）を参照。

＜セント・ルイス級＞：ブルックリン級（軽巡）を参照。

＜セント・ロー＞：CVE-63（護衛空母）を参照。

＜全南＞：957（フリゲート）を参照。

＜潜入＞：潜水艦が海中に潜ること。在来型潜水艦ならディーゼルエンジンを止めてバッテリーに切り替え（シュノーケルが使える深度までならディーゼルのままで良いが）、ハッチを閉じ、メイン・バラスト・タンクに海水を入れて潜る。航行中に潜る時は前進しながらになるので、潜舵と横舵を下げ舵にとり、前部トリム・タンクに注水して艦首を下にして潜っていく。必要に応じて負浮力タンクを使い、潜入速度を速める。横舵を下げ舵、潜舵を上げ舵にすると艦首を急激に下に向けることができるが、下に向けすぎるとスクリューが海面に飛び出して空回りするので注意。気温、海水温、海水塩分含有量、海流、潮流、艦内重量変化などにより、どのくらい注水すれば潜れるかが違ってくる。巨大な鉄の塊が海中に落ち込むので、慣性力が大きくとっさに浮上に切り替えるのは無理であり、ハッチが少しでも開いていようものなら大量の海水が瞬く間に流れ込んでくる。少しのミスが致命的になる可能性が高く、常に訓練整備が欠かせない。所定の深度に達したら、舵を元に戻し、後部トリム・タンクに注水して艦を水平にする。参考：潜水艦気質よもやま物語、続潜水艦気質よもやま物語、Ｕボート入門、月刊世界の艦船8,’11増刊

＜先任衛兵伍長（日本海軍）＞：衛兵のトップで、各艦・部隊あたり洗濯板クラスの最古参下士官２名が任命される。当直将校や副直将校の指示を受け、衛兵伍長を指揮する。軍艦旗掲揚（0800）と軍艦旗下ろし（日没時）、上陸員整列・持ち物点検の先導も担任する。火災などの緊急時には将校と下士官・兵の仲立ちをして指揮にあたる。参考：海軍よもやま物語

＜先任海曹＞：CPOを参照。

＜先任海曹室＞：CPO室を参照。

＜先任下士官室（日本海軍）＞：先任下士官用の部屋で、大型艦のみにある。当番がおり、食事の盛りつけなどの世話をする。参考：海軍よもやま物語

＜先任伍長（海上自衛隊）＞：海上自衛隊の制度。海上自衛隊、自衛艦隊、護衛隊群などの各部隊や各艦の最先任海曹長から部隊長や艦長が選出し、海上自衛隊先任伍長、自衛艦隊先任伍長などと称される。主任務は各部隊の規律や風紀の維持、服務生活の指導監督、各種会議に於ける海曹士代表としての意見具申で、海曹士のトップ（お袋役）として纏め役や相談役を務め、階級を超えて海曹士と幹部を繋ぐ役割を持つ。陸自の最先任上級曹長、空自の准曹士先任にあたる。2003年4月に正式発足した。2003年3月までは警衛海曹の最先任者をこう通称していた。参考：月刊世界の艦船8,’11増刊、MAMOR ｖol.132、vol.148、vol.151

＜先任伍長識別章（海上自衛隊）＞：縦に長い楕円形をした金バッジで、中央にMSDFの字、背景に錨のマークがあり、上部に海上自衛隊先任伍長は４つ、自衛艦隊等先任伍長は３つ、護衛隊群等先任伍長は２つ、部隊等先任伍長は１つの星が付く。参考：海上自衛隊パンフレット

＜先任上級曹長（陸上自衛隊）＞：陸上自衛隊の職名。各部隊で指揮官を補佐し、曹士を管轄して命令伝達、職務指導、勤務調整などを行う。参考：MAMOR vol.122

＜先任幕僚＞：海上自衛隊の職名で、セサと略す。参考：日本の防衛戦力Part3

＜千人針＞：晒し布に赤糸の縫い玉を1000個結んだもので、武運長久を願って日清・日露戦争の頃から作られ始めたようである。元々は「虎は1000里行って1000里帰る」という故事から寅年の女性1000人に１玉ずつ結んでもらっていたが、日華事変が始まって召集が多くなると間に合わなくなり、寅年の女性に年齢分、その他の女性に１玉ずつ結んでもらった。死線を越える、苦戦しないということから５銭玉、10銭玉も結びつけられている。昭和13年7月19日の大阪毎日新聞には、千人針の中に女性の髪の毛を入れると弾に当たらないことが戦地で実証されたという記事が掲載された。腹巻きとして戦地に送られたが、シラミの温床になることもあった。参考：戦時用語の基礎知識

＜センネン＞：Y21（スループ）を参照。

＜船舶運営会＞：昭和17年3月に交付された戦時船舶管理令に基づき、民間船舶を管理運営した特殊法人。戦時船舶管理令により国家管理の対象となる船舶を各海運会社から借りて運用する。実際の運航は元の所属海運会社が行っていた。必要に応じて陸海軍に徴用されて徴用船となり、残りも南方からの資源輸送に投入され、大損害を被っている。参考：輸送船入門

＜船舶救難信号筒（火せん）＞：自衛隊の火工品。興亜化工製。参考：月刊軍事研究10,’15

＜船舶高射砲連隊＞：日本陸軍の船舶配備高射砲運用部隊。高射砲大隊３個と機関砲大隊１個からなり、高射砲大隊１個あたり３個中隊と高射砲18門、機関砲大隊１個あたり３個中隊と高射機関砲30門を配備している。輸送船など高射砲装備の船舶に中隊・小隊規模で派遣され、運用を担当する。昭和16年7月、広島で船舶高射砲第１連隊が新編された。10月、南京で船舶高射砲第２連隊が新編された。参考：月刊軍事研究9,’16

＜船舶工兵連隊＞：日本陸軍の工兵連隊。独立工兵（丁）連隊から改編されて昭和17年に制定され、独立工兵第６連隊が船舶工兵第１連隊に改称されるなどした。兵種の船舶兵も同時に制定されている。参考：月刊軍事研究9,’16

＜船舶自動識別装置＞：略称AIS（Automatic Identification System）。船舶識別符号、船名、船種、海上移動業務識別（MMSI）、現在位置、針路、速力などをVHFで定期的に発信し、他船舶や陸上航行支援施設などのAIS表示画面に表示するシステムである。灯浮標や浮体式風力発電施設に発信装置を仕込み、夜間濃霧荒天時にも認識できるようにしたものもある。受信距離は概ね15-42海里。海難事故を分析した結果、荒天下で航海レーダーに小型船舶が映らず衝突した事故が予想以上に多いと判明し、2002年からSOLAS条約で国際航路旅客船などに搭載が義務づけられた。工作船や密輸・密漁船は他船舶を装う偽装情報を流しており、全体の１割が偽情報という説もある。参考：月刊世界の艦船7,’14、図解船の科学、月刊航空ファン8,’18

＜船舶自動識別装置＞：自衛隊の機器。東京計器製。参考：月刊軍事研究10,’14

＜船舶遭難信号＞：モールス信号のSOS（・・・−−−・・・）だったが、1999年に廃止され、衛星通信による遭難救助通信システムGMDSS（Global Maritime Distress and Safty System）と衛星非常用位置指示無線標識E-PIRB（Emergency Position Indicate Radio Beacon）に代えられた。参考：図解船の科学

＜船舶の安全航行を阻害する不法な行為を鎮圧するための条約＞：ローマ条約を参照。

＜船舶輸送（日本陸軍）＞：大量輸送向きである。船舶輸送の際は海運基地、海運主地、海運補助地を設け、船舶業務は軍事船舶機関が行う。戦時の船舶輸送では輸送機関を軍が徴用または管理する。船舶輸送を要する軍隊は輸送請求表を軍事船舶機関に提出し、これに基づいて軍事船舶機関が輸送計画を策定、関係輸送機関に実施を命令または要求すると共に、乗船部隊に輸送計画表で輸送に関する指示を行う。危険海面を航行する際は船隊を組み、海軍の護衛を付ける。輸送の証票として、軍事船舶機関の長が発行し船長に交付する軍用輸送券を使用する。乗船部隊の高級先任将校を輸送指揮官とする。乗船区分は軍事船舶機関の長が定め、敵前上陸時は上陸部署に合致させるよう注意する。輸送船１隻に建制部隊を乗せると軍紀維持や内務実行が楽だが、迅速に上陸させる部隊や重要な部隊は一網打尽になるのを防ぐため数隻に分ける必要がある。通信連絡は重要だが、傍受されないよう無線通信は極力制限し、必要なら無線封止を行う。乗船中の輸送指揮官と碇泊場司令部職員との連絡や、陸上と輸送船との連絡には、伝令、視号通信、往復舟艇などを使用する。搭載をスムーズに行うため、所要の勤務員からなる搭載掛を編成する。輸送船に搭載されたら、輸送指揮官は船内警備や軍隊内務などを監督将校と船長に諮り、所要の命令を下す。乗船部隊の給養は、軍事船舶機関から現品を船長に交付するか、船主の請負賄に依るか、両者を併用し、乗船当日の夕食から上陸当日の昼食まで用意、状況に応じて（特に敵前上陸の際は）弁当数食分や船内予備糧秣の一部を携帯させる。馬糧は船長に交付する。上陸地に到着したら、輸送船隊の高級先任輸送指揮官が現地碇泊場司令官と上陸に関する協定を結んで上陸命令を発出、これに基づいて各輸送指揮官が現地碇泊場司令官と協定し、上陸を下命する。参考：作戦要務令

＜船舶輸送司令部（日本陸軍）＞：日本陸軍の軍事船舶機関。船舶輸送の計画や海運策源地の諸業務を行うのが主任務で、通常は海運基地に置かれる。参考：作戦要務令

＜船舶輸送司令部支部（日本陸軍）＞：日本陸軍の軍事船舶機関。海運主地または海運補助地に置かれ、当該海運地での船舶業務を行う。参考：作戦要務令

＜船舶レーダー＞：航海レーダーを参照。

＜戦爆連合＞：戦闘機隊と爆撃機隊による協同爆撃部隊のこと。戦闘機隊は制空隊と直掩隊からなり、まず先行する制空隊が爆撃目標上空の制空権を確保、直掩隊は爆撃針路に入り回避行動の取れない爆撃機隊を護衛する。直掩隊は戦果を求めて敵機を追撃するような事はせず、爆撃機に近づけさせないのを優先し、爆撃機隊から離れすぎないよう注意して行動する必要がある。参考：月刊丸1,'15増刊

＜選抜射手＞：デジグネイテッド・マークスマンを参照。

＜センバワン海軍基地＞：イギリスがシンガポールに建設した海軍基地。第１次大戦後に勢力を拡大する日本に対する前進基地として建造された。ジョホール水道の奥に位置し、北方をジャングルに囲まれており、攻めにくい場所にある。1923年から建造されたが、予算不足で工事が長引き、完成したのは1941年だった。戦後はアメリカ海軍軍事輸送極東司令部と第７艦隊第73任務部隊司令部（1992年7月にフィリピンのスービック湾基地から移動）が置かれている。参考：月刊軍事研究6,’08、月刊世界の艦船3,’12

＜全範囲作戦＞：Full Spectrum Operations。アメリカ陸軍が、平時及び有事を通じて多様な作戦を遂行するのに必要な、包括的作戦教義の名称。攻勢作戦、防勢作戦、安定化作戦、支援作戦からなり、これらを逐次または同時並行的に組み合わせて任務を達成する。参考：月刊軍事研究10,’03

＜全般支援（陸上自衛隊）＞：GS（General Support）と略す。師団や旅団といった部隊全般の支援を行うこと。参考：MAMOR vol.141

＜全般前哨＞：GOP（General OutPost）と略す。陣地前方に置かれ、敵部隊の接近を警告し、主陣地の偵察阻止や前方偵察・援護部隊の撤退援護を行う。味方砲兵の射程内で、出来るだけ前方に配置される。時期を見て戦闘前哨に任務を引き継いで撤退し、予備兵力に回る。参考：歴史群像12,’03

＜船尾材＞：艦尾底面中央に付ける構造で、スケグとしての役割の他、舵の支持、方向安定性確保、船体形状保持などの作用を持つ。参考：艦船メカニズム図鑑

＜全備重量＞：総重量を参照。

＜戦備道訓練＞：台湾軍用語で、ハイウェイストリップ（戦備道）を利用した離着陸訓練のこと。中山高速道路の嘉義県民雄郷、彰化県員林鎮、台南市麻豆区、同仁徳区に戦備道が用意されていて、ジェット排気に耐えるコンクリート舗装を備え、着陸時の圧力に耐えられる盛り土の上に整備され、防音壁などの障害物は一切設けられていない。参考：月刊航空ファン2,’15

＜戦病（日本陸軍）＞：平時には所属部隊を担当する軍医が診察し、就業、劇務休、練兵休／乗馬休、入室、入院に分類する。参考：軍医サンよもやま物語

＜先尾翼＞：カナード翼を参照。

＜船尾楼型＞：船尾に船楼を設けた船型。参考：月刊JWings2,’00

＜旋風２５＞：Z-5（ヘリ）を参照。

＜旋風偵察兵＞：中国のUAV。RQ-16ティーホークのコピーである。2012年11月の珠海航空展で展示された。参考：月刊航空ファン10,’16

＜全幅＞

　＜全幅（艦船）＞：幅を参照。

＜全幅（航空機）＞：Overall Width。略字はｂ。飛行機を平面上に投影した時の左端から右端までの最大長さで、固定翼機なら通常は翼スパンと同じになる。翼端にパイロンやレール・ランチャーが付いている時は、それを含む。翼端固定増槽は含む。ミサイルや翼端落下増槽は含めない。翼端灯やアンテナなども含めない。回転翼機ではメインローター直径がこれにあたる。参考：月刊JWings6,’02、10,’09別冊付録、航空用語事典増補改訂版、世界航空機年鑑2018-2019

＜全幅（車両）＞：ドアミラーは含まない。参考：クルマのすべてがわかる事典

＜尖兵＞：前衛（日本陸軍）を参照。

＜前兵＞：前衛（日本陸軍）を参照。

＜尖兵中隊＞：前衛（日本陸軍）を参照。

＜選別音声呼出電話機＞：自衛隊の機器。旭光通信システム製。参考：月刊軍事研究9,’15

＜選別音声呼出電話制御装置＞：自衛隊の機器。旭光通信システム製。参考：月刊軍事研究9,’15

＜選別識別装置＞：IFFを参照。

＜センペル・フィデリス＞：常に忠誠あれ、の意。アメリカ海兵隊のモットー。参考：月刊PANZER6,’02

＜前方カナード＞：カナード翼を参照。

＜前方監視赤外線装置＞：FLIRを参照。

＜潜望鏡＞：ペリスコープを参照。

＜潜望鏡１型＞：海上自衛隊の昼間用潜望鏡。全長13m。あさしお型潜水艦などに搭載された。参考：自衛隊装備カタログ1981

＜潜望鏡２型＞：海上自衛隊の夜間用潜望鏡。全長13m。あさしお型潜水艦などに搭載された。参考：自衛隊装備カタログ1981

＜潜望鏡深度＞：Periscope Depth。海上自衛隊では露頂深度という。潜望鏡を水上に出して周囲を観察できる潜航深度。日本海軍では昼間は18m、夜は見つかりにくいので15mだった。現在では20-25m（潜望鏡の長さ4-5m＋潜水艦底部からセイル頂部までの高さ15-20m）である。正確に深度を保てないと、潜望鏡が海没して目標を見失ったり、セイルまで露出して敵に見つかったりする。参考：現代の潜水艦、月刊世界の艦船8,’82増刊、10,’16、潜水艦気質よもやま物語

＜潜望鏡探知レーダ（試験用）＞：自衛隊の機器。東芝製。参考：月刊軍事研究4,’15

＜前方軍団支援群＞：アメリカ陸軍の兵站組織。COSCOMに３個配属されており、各師団内での支援を行う軍団支援大隊１個と、師団以外への支援を行う軍団支援大隊２個からなる。師団戦区の後方に展開し、師団区域内で作戦する独立旅団や機甲騎兵連隊に兵站支援を行う。参考：月刊軍事研究8,’03

＜潜望経緯儀＞：日本陸軍の測量器材。高さ1mの潜望鏡が付いており、塹壕内から測量できる。大正15年に試作され、昭和2年に完成した。参考：工兵入門

＜全方向性機＞：X114（実験機）を参照。

＜全方向防御輸送車両＞：APCV2を参照。

＜前方支援大隊（デジタル重師団）＞：FSBを参照。

＜前方支援中隊（デジタル重師団）＞：FSCを参照。

＜前方支援中隊（諸兵科連合大隊）＞：アメリカ重旅団戦闘団諸兵科連合大隊に旅団支援大隊から１個が配属される。兵力198名。M88A2戦車回収車８両、M984重機動レッカー１両、M1089中型レッカー２両、M978重機動タンカー10両、M1120重機動トラック10両、M1120重機動トラック（冷凍冷蔵コンテナMTRCS搭載）１両、M1120重機動トラック（前進修理システムFRS搭載）５両、HMMWV16両、MTV中型トラック18両、LMTV小型トラック５両、フォークリフト１両、M1068指揮所車１両を配備する。参考：月刊軍事研究4,’17

＜潜望式経緯儀＞：日本陸軍の経緯儀（測角器よりも精密に敵の高低角・水平角を測定するための機械）。昭和7年12月9日に制定された。眼鏡の先に潜望鏡が付いているので、塹壕に隠れながらの測定が行える。重量19.42kg。参考：日本陸軍兵器資料集、工兵入門

＜潜望写真機＞：日本陸軍のカメラ。レンズの先に大型の潜望鏡が付いていて、塹壕に隠れつつ写真を撮ることが可能。参考：工兵入門

＜前方地域防空指揮統制・情報システム＞：FAADC2Iを参照。

＜潜補型＞：日本海軍の補給用潜水艦。類別標準による正規分類は一等潜水艦、正規艦型は伊351潜型、艦の性質による名称は補給潜水艦、マル五計画での呼称はV-26、基本計画番号はS-47、建造中の呼称は655号艦型で、潜補型は補給潜水艦の略称である。昭和12年頃、潜水艦を飛行艇の洋上基地として使用するという案が海軍内部から出され（軍令部からか艦政本部からかは不明）、この時は平時ということもあって案だけに止まっていたが、国際情勢悪化に伴い、マル五計画でガソリン搭載潜水艦３隻を作ることになった。その後、緊急建造の必要があるとしてマル追計画に移行され、昭和16年9月21日の軍令部機密第471号で要求が決定。基準排水量2480トンで、航空機用ガソリン700キロリットル、500kg爆弾200発、200名用の食料１ヶ月分、真水10トンを搭載し、定員以外に15名を収容できる居住設備を持ち、自衛用として艦首に533mm魚雷発射管２門（魚雷２本）を装備し、水上速力16ノット、水中速力7.5ノット、水上航続距離14ノット8000海里、連続行動期間１ヶ月、安全潜航深度90mを予定した。その後、昭和17年9月1日の軍令部機密第251号では基準排水量2690トンで、航空機用ガソリン500キロリットル、500kg爆弾108発または九一式魚雷25本、20mm機銃弾24300発、7.7mm機銃弾90000発、100名用の食料15日分（4.2トン）、真水10トンを搭載し、定員以外に15名を収容できる居住設備を持ち、自衛用として艦首に533mm魚雷発射管４門（魚雷４本）と甲板上に40口径14cm砲１門及び25mm連装機銃２基を装備し、水上速力16ノット、水中速力6.5ノット、水上航続距離14ノット12000海里、水中航続距離３ノット60海里、連続行動期間２ヶ月、安全潜航深度90mという要目になり、9月19日の技術会議で艦型が決定された。しかし戦況の変化により必要性に疑問が生じて起工は先延ばしとなり、１番艦起工後の昭和18年10月15日に３番艦の建造中止が決まっている。昭和19年には離島に対する補給任務も加えられ、昭和19年7月28日の軍令部二機密第45号では基準排水量2690トンで、航空機用ガソリン500キロリットル、500kg爆弾20発または250kg爆弾60発または九一式魚雷15本、20mm機銃弾12000発、7.7mm機銃弾20000発、食料1.5トン、真水10トンを積み、自衛用として艦首に533mm魚雷発射管４門（魚雷４本）と甲板上に25mm連装機銃２基・25mm３連装機銃１基・連装迫撃砲２基を装備し、水上速力16ノット、水中速力6.5ノット、水上航続距離14ノット12000海里、水中航続距離３ノット100海里以上、連続行動期間２ヶ月、安全潜航深度90mという要求に変更されている。実際にはマレーから内地へのガソリン還送が主任務となった。船体は二重船殻式で、内殻は直径5.5m、内殻板数枚を溶接してブロックとし、鋲接で組み立てている。配置は前方から発射管室、倉庫／補給弾薬庫／前部兵員室（下方に第１蓄電池室）、士官室（下方に第２蓄電池室）、発令所（下方に補機室）、中部兵員室（下方に第３蓄電池室）、糧食関係区画（下方に弾薬庫）、機械室、管制盤室（下方に電動機室）、後部兵員室の順で、基本的に乙型潜水艦の構造を踏襲しているが、補給弾薬庫に前部兵員室が圧迫された分を中部兵員室新設で補い、その下に水中航続距離増大のため第３蓄電池室を追加した。補給弾薬庫は魚雷や500kg爆弾（当初計画）を安全に出し入れできなければならず、設計に苦労している。外殻と内殻の間がタンクスペースに充てられており、十分な容量を確保するため船体横断面は従来の潜水艦より下方を膨らませた形状とした。タンクは右舷側が前方からメイン・バラスト・タンク、第１軽質油タンク、第３軽質油タンク、メイン・バラスト・タンク、耐圧真水タンク、耐圧補助タンク、第１耐圧軽質油タンク、メイン・バラスト・タンク、第５軽質油タンク、第７軽質油タンク、第９軽質油タンク、メイン・バラスト・タンク、左舷側が前方からメイン・バラスト・タンク、第２軽質油タンク、第４軽質油タンク、メイン・バラスト・タンク、耐圧外部油タンク、耐圧補助タンク、第２耐圧軽質油タンク、第３耐圧軽質油タンク、メイン・バラスト・タンク、第６軽質油タンク、第８軽質油タンク、第10軽質油タンク、メイン・バラスト・タンクの順となっている。軽質油タンクは漏洩や爆発の危険性があるため、外殻を厚めにして溶接により漏洩を防止すると共に、内殻と軽質油タンクの間に中殻板を設け（59-109フレーム間）、隙間をメイン・バラスト・タンク（非耐圧部）や補助タンク（耐圧部）として安全を確保した。内殻と中殻板との距離は550mmで、単純な組み立て作業なら500mmでも済むが、油密溶接を十分に行うため軽質油タンク容量の減少を忍んでこの距離としている。また、機銃掃射や至近弾に耐えられるよう、軽質油タンク部外殻頂部を装甲化した。耐圧軽質油タンクは右舷に１個、左舷に２個の構成だが、合計容量は右舷と左舷で等しくなるよう設計されている。軽質油タンクに収容する飛行艇用燃料は一号航空揮発油と二号航空揮発油で、第２耐圧軽質油タンクと第５・第６軽質油タンクが二号航空揮発油専用とされており、一号と混ざらないよう配管や補給装置も別々に設けた。軽質油タンクには重油漏洩防止装置と同じ仕組みの軽質油漏洩防止装置が用意されている。危険防止のため、軽質油関係装置も全て内殻の外に置かれており、軽質油管は外殻頂部に設置して厚さ6mmの防弾鋼板を被せた。軽質油ポンプを３基収容するポンプ室は司令塔の後方にあるが、間に通風機室が置かれており、ポンプ室との交通は艦橋後部甲板に繋がる上面ハッチのみとして完全独立区画とした。また、ポンプ用電動機は通風機室の中にあり、電動機の電気火花がポンプから漏れたガソリンに引火することの無いよう工夫されている。通風機用電動機はスペースの関係で司令塔内部に置かれており、司令塔に送られるポンプ室内ガス検知機データを元に作動させる。非耐圧部軽質油タンクに海水を入れると、軽質油が頂部のパイプから外に排出され、分離タンクで海水と分離され、濾過器で微粒不純物を取り除かれて耐圧部軽質油タンクに入る。耐圧部軽質油タンクに高圧空気管から空気を送り込むと、タンク内下部の軽質油管開口部から軽質油が管内に入り、タンク頂部の管貫通部からタンク外に出てポンプ室に入り、ポンプで押し出されて上構内の軽質油管から艦尾の鹿革製濾器を経て飛行艇の燃料タンクに繋げられた蛇管に送られ、飛行艇へと給油される。軽質油管系は３セット用意されていて、２セットが一号揮発油専用、１セットが一号／二号揮発油兼用となっており、同時に３機に給油可能。軽質油管は鋼製で、内部に亜鉛メッキを施し、継ぎ目は嵌込溶接またはフランジ継ぎ手＋銅パッキングとして漏れを防ぎ、真水タンクの中は通さないようにしてある。潜望鏡は10メートル２本で、眼鏡は九七式12センチ４基。九九式測深儀、九三式二型水中聴音機、三式四型改一探信儀１組、二号二型電探、一号三型電探、中５号送信装置、特３号送信装置、丁式五号三型方位測定器、水中充電装置（シュノーケル）を搭載し、艦橋はレーダー探知を防ぐため側壁を傾斜させ、ソナー探知防止のため必要に応じてL1塗料を塗布した。爆弾を補給するため、ゴム製の爆弾運搬浮舟一型（全長7m）２隻を上構内に積む。全長111m、常備標準吃水線長110m、垂線間長107m、幅10.15m、平均吃水6.14m、基準排水量2650トン、常備排水量3512トン、水中排水量4290トン。主機は艦本式二二号一〇型ディーゼル２基（3700馬力）、特八型電動モーター２基（1200馬力）、２軸推進、水上速力15.8ノット、水中速力6.2-6.3ノット、重油搭載量590トン、蓄電池は一号一三型ペースト式電池240個、水上航続距離13000海里（14ノット）、水中航続距離100海里（３ノット）。安全潜航深度90m、圧壊深度150m。深々度潜航試験では99mまで潜っている。兵装は艦首の九五式発射管４門（魚雷４本）、三式14口径8cm連装迫撃砲１基（20発）、25ミリ連装機銃３基、25ミリ単装機銃１丁（セイル前方に九六式25mm三連装機銃１基とセイル後部上面に九六式25ミリ連装機銃２基？）。航空燃料搭載容量500キロリットル（400トン）。乗員77名。伊351、伊352、伊353の３隻を建造予定だったが、伊353は起工前に建造中止となり、伊352は竣工直前に爆撃を受けて沈み、伊351だけが昭和20年に就役した。就役後に対空用一号三型電探を装備している。参考：日本潜水艦物語、日本の潜水艦パーフェクトガイド、月刊モデルアート9,’15増刊、日本海軍艦隊総覧

＜潜（戊）型＞：日本海軍計画潜水艦、計画番号S54-2。従来の巡潜型の後継となる長距離哨戒用潜水艦で、改マル五計画での潜水艦量産に対応する大量生産可能な潜水艦として昭和18年4月に軍令部が建造を決定した。ドイツから日本に贈られたＵボート�\Ｃ型潜水艦呂500をベースにして生産性を重視しているが、巡潜型並の航続性能と魚雷搭載能力、海大型並の速度性能を持たせるためにＵボート�\Ｃ型より大型にしており、外見はあまり似ていない。船体は高張力鋼の溶接構造で、完成すれば日本潜水艦初の全溶接製耐圧船殻艦となる予定だった。9m潜望鏡２本、二号二型電探、逆探、水中聴音機、66cm測距儀、艦本式三型改一空気圧縮喞筒２基、九三式12cm望遠鏡、九七式12cm望遠鏡などを搭載している。冷房能力は25000カロリーで、海大型の36000カロリーの３分の２くらいしか無く、南方では能力不足に陥ったかもしれない。全長84m、常備標準時水線長82m、最大幅8m、常備標準時平均吃水4.65m、基準排水量1270トン、常備排水量1560トン、満載排水量1796.7トン、水中排水量2090トン。予備浮力30%（常備）／15%（満載）。主機は艦本式二二号一〇型内火機械（４サイクル単動無気噴射式10気筒ターボチャージド・ディーゼル。2350馬力、過給器作動時2750馬力）２基、特八型電動機（600馬力）２基、水上出力5500軸馬力、水中出力1200軸馬力、２軸推進、水上速力19.5ノット／20ノット（過給器作動時）、水中速力7.3ノット、燃料搭載量常備200トン・満載470トン（420トン？＋内火艇用２トン）、蓄電池は一号十五型２群計240基、水上航続距離20000海里（12ノット）／16000海里（16ノット。14ノット？）、水中航続距離90海里（３ノット）、連続行動期間60日。安全潜航深度100m。兵装は九五式潜水艦発射管（533mm魚雷発射管）６門（艦首４門、艦尾２門。九五式二型魚雷20本、うち６本を艦外耐圧魚雷庫に収容）、通商破壊用12cm平射砲１門（100発）、対空用13mm連装機銃１基（2000発）、軽機銃２丁（3760発）。乗員64名。Ｕボート�\Ｃ型をベースに設計したＵボート�\Ｋ型・Ｕボート�\Ｏ型に勝って採用され、伊200から92隻を建造する予定だったが、水上速力が低い、航続距離が短い、潜望鏡が短めで索敵能力に乏しいといった欠点があり、戦訓から水中高速型の方が好ましいという意見もあったらしく、昭和18年10月の会議で建造中止となった。参考：月刊世界の艦船11,’15、日本の潜水艦パーフェクトガイド

＜全北＞：DD-916（駆逐艦）を参照。

＜戦没船員の碑＞：太平洋戦争などで戦没した船員を悼む碑で、横須賀の観音崎公園にある。毎年戦没・殉職船員追悼式が行われる。参考：朝雲

＜全没翼型水中翼船＞：水中翼船を参照。

＜戦務（日本海軍）＞：軍隊を指揮統率し、軍隊の行動生存を経理し、補給を実施するなど、作戦実施に必要な諸要務及び警戒、航行、命令などの作成発布、報告の調整などの手続き諸要務の総称。つまり、偵察・捜索・警戒任務から後方支援・幕僚業務に至るまで、戦術・戦略を支える全要務を指す用語である。大正末期から昭和に入ると幕僚業務のみに限定する用語となった。参考：月刊軍事研究9,’06

＜戦務（自衛隊）＞：指揮・幕僚勤務を指す海上自衛隊用語。1960年代後半には陸上自衛隊でもコンバット・サービス・サポートの訳語として使用されていたが、本来の意味からずれているとして数年後に後方支援に改められている。参考：月刊軍事研究9,’06

＜船務科＞：海上自衛隊の科の１つ。情報、電測（レーダー・ESM担当）、通信（僚艦や基地への外部通信連絡担当）、暗号、水測（ソナー担当）、電子整備（保守整備担当）から構成され、これらの情報をCICにいる船務長が纏めて標定官として艦長に伝え、作戦の実行を支える。トップは船務長（以前は通信長）で、船務士、電整士、通信士が補佐し、電子整備員や電測員などがいる。水上艦や潜水艦では第２分隊に配置される。参考：月刊世界の艦船9,’12増刊、8,’11増刊、MAMOR vol.84、vol.148、日本の防衛戦力Part3、Part7

＜船務士＞：海上自衛隊の職名で、略号はセムシ。参考：日本の防衛戦力Part3

＜戦務支援統制システム＞：CSSCSを参照。

＜船務長＞：海上自衛隊の職名で、略号はセム。船務科のトップである。参考：日本の防衛戦力Part3

＜全滅＞：軍が短期間に30%以上の損害を出して一時的に戦闘力を喪失すること。参考：歴史群像8,’11

＜洗面具袋（日本陸軍）＞：日本陸軍の洗面具入れ。官給品なのは袋だけで、中身は自前で買い揃える必要があり、歯ブラシ、歯磨き粉・練り歯磨き、カミソリ、手鏡などを入れておく。参考：歴史群像8,’17

＜前面投影面積＞：飛行機を正面から見た時の面積のこと。これが大きくなると抗力が増すので、飛行機はなるべく正面の大きさを絞り込み、長軸方向に細長くする。参考：飛行機のしくみ

＜全目的個人携帯用具＞：ALICEを参照。

＜センヤン＞：DDG923（駆逐艦）を参照。

＜戦友＞：日本の軍歌。昭和19年半ば、3-4番の歌詞が軍人精神をないがしろにした嫌戦歌であると軍上層部からクレームが付いて禁歌となったが、日露戦争以来伝統の軍歌であり、これが最後の歌唱であると何度も言われながら終戦まで軍歌演習で歌い続けられた。参考：新兵サンよもやま物語

＜全遊動式＞：All Flying。翼面などの構造を丸ごと動かす構造のこと。参考：月刊JWings10,’09別冊付録

＜全遊動式水平安定板＞：Stabilater（Stabilizer＋Elevator）、Flyingtale。水平尾翼全体が動いてエレベーターの役目をするもの。低速でも舵の効きが良く、高速飛行時に水平尾翼が失速しにくく、超音速域で衝撃波を低減する。水平安定板＋エレベーターの水平尾翼の場合、遷音速ではエレベーター前縁で断続的に発生する衝撃波により舵の効き方が不連続になり、超音速になると主翼空力中心が後方に移動するため揚力傾斜が減少して舵の効きが悪化し、エレベーターを動かしても水平安定板に風圧が発生せず舵が重くなるだけなので、水平尾翼を丸ごと動かさないと操縦できなくなる。通常の水平尾翼と同じく２本桁構造で、後桁を胴体フレームとヒンジ２本で組み付け、前桁を専用のジャッキ装置により１ヵ所で胴体フレームと結合し、取り付け角を変更できるようにしてある。大きい操舵力が必要なので、機力操縦が必須。重いマスバランスを胴体内に取り付ける必要があるので、設計に苦労する。参考：世界の傑作機No.104、航空用語事典増補改訂版、戦闘機のしくみ、月刊JWings11,’00、12,’06

＜潜輸大型＞：日本海軍輸送潜水艦、基本計画番号S51B。潜丁型の輸送能力強化型で、昭和19年度マル19線表で７隻の建造承認が下りた。魚雷発射管２門を外して貨物搭載スペースを広げている。伊372のみ竣工し、残る６隻は潜丁型改として建造された。参考：月刊世界の艦船10,’15

＜潜輸小型＞：日本海軍二等潜水艦で、「せんゆしょうがた」と読む。陸軍のマルゆに対応する近距離輸送潜水艦として昭和19年2月から開発された。船体はブロック建造方式全溶接製で、製作時間を短縮（だいたい５ヶ月）している。セイル前方の船体内が上下２段の貨物搭載スペースで、下段は燃料輸送タンクとしても使用可能。逆探と一号三型対空電探を装備した。全長44.5m、垂線間長42.2m、幅6.1m、平均吃水4.04m、基準排水量370トン、常備排水量429トン、水中排水量493トン。主機は中速四〇〇型ディーゼル１基（400馬力）・特一〇型電動機１基（150馬力）、１軸推進、水上速力10ノット、水中速力５ノット、ディーゼル燃料32トンと一号一七式ペースト式電池または一号二二型ペースト式電池120個を搭載し、水上航続距離3000海里（10ノット）、水中航続距離46海里（2.3ノット）。安全潜航深度100m。兵装は25mm単装機銃１門（セイル後部上面）。物資搭載量60トン。乗員21名。波101、波102、波103、波104、波105、波106、波107、波108、波109、波110、波111、波112が起工され、波110と波112以外の10隻が昭和19-20年に竣工し、父島、南鳥島、南大東島への輸送を行った。昭和20年6月以降、波101−波105は航空燃料輸送艦としての改装を受けた。特攻戦隊配属艦は、艦内に搭載した45cm魚雷を海龍などの小型潜航艇に再装填できるように改装されている。波103と波105はレーダー・ピケット任務にもあたった。参考：日本の潜水艦パーフェクトガイド、日本潜水艦物語、月刊世界の艦船9,’14、月刊モデルアート9,’15増刊

＜戦鷹＞：中国航天が中国エアショー2008で模型を展示したSEAD用無人攻撃機。X-45を前進翼にしただけの形状をしている。参考：月刊軍事研究4,’09

＜専用衛星管制局＞：自衛隊の機器。日本電気製。参考：月刊軍事研究2,’14

＜専用試験装置（地上点検用）＞：自衛隊の機器。三菱電機製。参考：月刊軍事研究8,’12

＜戦用炊具＞：日本陸軍の野戦調理機材。鉄竈３個、平釜２個、各種炊事用具で構成されており、１個歩兵大隊に１セットが配備され、兵食1000名分を調理できる。参考：写真で見る日本陸軍兵営の食事

＜千洋丸＞：日本海軍特設砲艦Senyo maru。元は東洋汽船の貨物船で、昭和12年11月20日に竣工し、太平洋戦争勃発で日本海軍に徴用され、特設砲艦になった。垂線間長92m、幅13.8m、深さ8m、満載吃水6.603m、総トン数2904トン、重量トン数4371トン。主機は三連成レシプロ蒸気機械１基１軸2600馬力、航海速力12ノット、最大速力14.6ノット。昭和17年8月25日、高雄南西15kmでSS-215グラウラーの雷撃を受け沈没した。参考：月刊世界の艦船6,’14

＜善洋丸＞：日本陸軍輸送船。垂線間長133.92m、幅17.76m、深さ9.75m、満載吃水7.54m、総トン数6449トン、重量トン数9527トン。主機はMAN製D6u60/110ディーゼル１基１軸5203馬力、航海速力14ノット、最大速力16.695ノット。元は東洋汽船の貨物船で、昭和12年8月16日に竣工し、太平洋戦争勃発で日本陸軍に徴用された。昭和16年12月8日、マレー攻略戦に参加。昭和17年8月2日、シンガポールからラングーンに向け航行中に、マラッカ海峡のペナン島北西でオランダ潜水艦O23の雷撃を受けて火災を起こし、全損した。参考：月刊世界の艦船7,’11

＜戦用糧食＞：レーション（日本陸軍）を参照。

＜戦用糧秣品＞：レーション（日本陸軍）を参照。

＜全翼機＞：Flying wing aircraft。胴体を主翼と一体化して尾翼を廃止し、機体全体を主翼にした飛行機のこと。内部容積が大きく、胴体の摩擦抗力が無くなるので抗力が小さく燃費が良くなり、尾翼が無いので対レーダー・ステルス性も向上し、航続距離、兵装ペイロード、脆弱性が問題になる大型爆撃機に向いた機体形状である。全長よりも全幅の長い航空機は垂直尾翼が無くても理論的には安定性を確保できる（鳥は概ねそんな形状である）ので、無尾翼デルタ翼機をブレンデッド・ウイング・ボディにして垂直尾翼を取れば全翼機にできるが、操縦には高度な技術が必要で、コンピュータの補助を要する。参考：飛行機のしくみ、月刊JWings12,’17、10,’09別冊付録、戦闘機のしくみ、月刊軍事研究2,’18、航空機設計法

＜戦利Ｕボート回航作戦＞：第１次大戦で日本はドイツからＵボート７隻を戦利品として獲得、これをイギリスから日本まで回航することになった。1919年1月、イギリスのポートランドに○一（U125）、○二（U46）、○三（U55）、○四（UC90）、○五（UC99）、○六（UB125）、○七（UB143）の７隻が集結。この７隻で特別潜水隊を編成し、回航員は取り敢えず第２特務艦隊所属の駆逐艦などから集め、日本からの回航員300名を乗せた特務艦関東の待つ地中海のマルタ島に向かった。早期にマルタ島に到着させるため、○一、○三、○四、○六の４隻はろくに整備もせず出港したが、ビスケー湾で大時化に巻き込まれて故障が連発し、○三は機関故障でチュニジアに避難せざるを得ず、関東のマルタ島着から１ヶ月も遅れた3月16日に○一、○四、○六が巡洋艦日進及び第22駆逐隊と共に漸くマルタ島に入港した。2月17日、○三が駆逐艦桂、楠、松と共にマルタ島に到着した。残る○二、○五、○七はポートランドで整備を行い、3月25日に○五と○七が駆逐艦樫、榊、檜、桃と共にマルタ島に入港。3月27日に○二が装甲巡洋艦出雲、駆逐艦柏と共にマルタ島に着いた。3月31日、特別潜水隊は解隊され、関東が回航の指揮を執ることになった。当初はモンスーンの吹き荒れる前の4月中旬までにセイロン島に到着する予定だったが、マルタ島への回航が遅れたために諦め、整備の終わったＵボートから順次第２特務艦隊所属艦と共に日本に向かわせることにした。まずは機関故障と潤滑油漏れの酷い○三と○四の整備を行い、次に○一と○六をドックインさせたものの、○六はプロペラの破損が酷く出渠予定が遅れ、○一は試運転で故障が見つかり、更に○七では循環水ポンプの水漏れが発生したため、○七だけを急いで修理して○三・○五と共に4月6日にポートサイドに向け出港させた。4月7日に○二のモーターが接触不良を起こし、プランマーブロックの過熱も発生、応急修理が必要となったため、4月8日に○四と○六が出港、4月9日に○一を出港させた。○二は4月12日の試運転で何とか航行できることが分かり、4月13日に関東と柏を付けて出港させた。4月17日、Ｕボート７隻がポートサイドに集結を完了。各艦は速力がバラバラだったので、第２特務艦隊の巡洋艦１隻と駆逐艦８隻を適宜護衛に付けて3-5隊に分けて回航、○二は関東が曳航してその間にも修理を続けた。アデン、コロンボ、ペナンを経てマラッカ海峡を通り（○二はここだけ自力航行した）、5月17-22日、Ｕボート７隻がシンガポールに入港。２週間ほど休養と整備を行った後、○二、○四、○五は関東と第23駆逐隊駆逐艦４隻と共に5月29日にシンガポールを出港。○二は相変わらず関東に曳航されたままだった。○一、○三、○六、○七は日進と第22駆逐隊駆逐艦４隻の護衛を得て5月31日に出港した。○三は途中で左舷フリクションクラッチが故障したため、駆逐艦に曳航されることになり、他の６隻は6月6日に、○三は6月7日に台湾馬公に入港した。6月10日、○三を先発組に移して７隻が２隊に分かれ馬公を出港。関東は○二の代わりに○三を曳航した。6月13日、南西諸島付近で台風に遭遇。6月15日、○三の曳航索が切れてしまい、○三は右舷軸だけで自力航行を開始した。6月17日、７隻は館山に入港。6月18日、館山を出港し、0920に観音崎に到達。横須賀鎮守府の駆逐艦夕立、夕暮、白露、三日月、有明、朧、陽炎、吹雪、民間船、モーリス・ファルマン機などの出迎えを受け、1000に横須賀港に入港した。停泊中の巡洋戦艦生駒、金剛、巡洋艦明石などが登舷礼を送る中、1100過ぎにＵボート７隻は逸見埠頭に投錨した。7月9日、大正天皇による特務艦隊及び戦利Ｕボートの親閲式が開催された。8月16日、奇数番号艦は横須賀を出港して北上し、反時計回りで日本を回って朝鮮や台湾にも寄港、20カ所で巡回展示を実施して11月8日に横須賀に帰投した。偶数番号艦は横須賀を出港して瀬戸内海に向かい、12カ所で巡回展示を行って10月10日に呉に到着した。これらの展示でＵボートを見学した人は150万人にのぼる。参考：月刊丸12,’10

＜千里眼＞：広域用移動監視装置を参照。

＜戦略＞：戦争全体を俯瞰して講じられる策のこと。英語Strategyの語源は古代ギリシャ語のストラテギアだが、これは将軍が行う戦術レベルのものであり、現代の戦略は、プロイセン軍ディートリッヒ・フォン・ビューローが敵の砲の射程外ないし視界外の全軍事行動と定義したことや、18世紀にフランス陸軍マイゼロア中佐が戦術を超えて戦争全体を論理的・知性的に考えることと定めたのが始まりである。フランス革命で徴兵制が発明され、兵士の数が激増して多数の指揮官が行う戦術を纏めて考える必要が出たのに伴い、普及していった。戦略より上級の策である国家政策との境目が明確でなく、政治と軍事の双方がきちんと対話できていないと道を誤る。戦略より下流の作戦術や戦術とも密接に関連する。参考：MAMOR vol.163、vol.165、飛行機のしくみ、歴史群像4,’16

＜戦略（アメリカ陸軍教範ＦＭ１００−５）＞：国軍を運用する技術及び科学で、力により政治目的を達成する。軍事行動の枠組みを設定し、最終目標を確立し、軍事力行使の条件を設定する。参考：月刊軍事研究2,’98

＜戦略（アメリカ統合ドクトリン・ノート１−１８）＞：全ての戦略には目標（ends。どこに向かいたいか）、方法（ways。どう辿り着くか）、手段（means。どのように辿り着くか）があり、どのようなリスクやコストが伴うかにも答えるものである。参考：MAMOR vol.165

＜戦略（日本海軍）＞：敵と離隔して兵力を運用する兵術。参考：月刊軍事研究9,’06

＜戦略核兵器＞：核兵器を参照。

＜戦略核兵器の３本柱＞：戦略爆撃機、潜水艦発射弾道ミサイルSLBM、大陸間弾道ミサイルICBMを纏めてこういう。参考：月刊JWings12,’03

＜戦略型潜水艦＞：潜水艦を参照。

＜戦略空軍命令＞：アメリカ映画「Strategic Air Command」の邦題。正確な訳は「戦略航空コマンド」であり、誤訳である。参考：月刊JWings5,’03

＜戦略軍＞：USSTRATOCOM（アメリカ統合軍）を参照。

＜戦略原潜＞：弾道ミサイル原子力潜水艦を参照。

＜戦略原潜バラクーダ用戦闘システム＞：SYCOBSを参照。

＜戦略航空コマンド＞：アメリカ空軍の部隊、略称SAC（Strategic Air Command）。主任務は核兵器によるアメリカ本土及び同盟諸国の防衛と、偵察飛行による敵対国の情報収集である。総司令部はネブラスカ州オマハ近郊のオファット基地の地下14m、厚さ0.4mのコンクリートの下にある。コンピュータ・ルームの西側壁面には１辺5mの巨大スクリーンが６枚並んでおり、SACの全状況がリアルタイムで表示される。コンピュータ・ルームの真上が司令室（コマンド・バルコニー）で、緊急事態には総司令官と参謀が入って指揮に当たる。総司令官のデスク上には統合幕僚警報回線JCSANの金色のホットラインと、NORAD司令部へのブルーのホットラインがあり、ゴールドのホットラインから大統領のゴー・コードを受け取ると核報復が開始される。1946年3月21日、アメリカ陸軍航空軍隷下に創設され、アメリカ本土の航空部隊である大陸航空軍から将兵10万名、航空機1300機、基地22ヵ所を引き継いだ。司令部はメリーランド州アンドリュース空軍基地だった。その後は第２次大戦の動員解除により勢力を減じ、1946年末には兵力37000名、戦術機279機となった。隷下には第８航空軍と第15航空軍が置かれ、爆撃部隊は９個航空群（うち爆撃機が配備されていたのは６個）を配していた。1946年10月、第28爆撃航空群がアラスカ州エルメンドルフ基地に展開し、SAC隷下の爆撃航空群として初めてアメリカ本土の外に進出した。11月半ばには第43爆撃航空群のB-29爆撃機６機をドイツに展開させている。12月、隷下部隊は９個爆撃航空群（B-29爆撃機装備６個、配属機無し３個）、２個戦闘群（P-51戦闘機装備１個、配属機無し１個）で、B-29爆撃機148機、C-54輸送機15機を装備していた。1947年9月18日、アメリカ空軍が陸軍から独立したため、空軍に移管された。戦略爆撃機は海外展開せずアメリカ本土に止めておくことにしたが、B-29爆撃機では本土からソ連を爆撃できないため、航続距離の長い爆撃機の開発、空中給油の実用化、ソ連に近い基地の確保を行うことにし、B-50爆撃機及びB-36爆撃機を配備すると共に、ジェット爆撃機B-47・XB-48・XB-49の開発を行った。1950年までにB-36航空群５個、B-29/-50航空群16個を整備するという目標が立てられたが、戦後の軍縮ムードでは財政的に困難で、戦術爆撃機の予算を回してやりくりした。1947年12月、隷下部隊は爆撃航空群11個（B-29爆撃機装備６個、配属機無し５個）と戦闘群５個（P-51戦闘機装備３個、P-80戦闘機装備２個）で、B-29爆撃機319機、C-54輸送機９機を装備していた。1948年11月、司令部がネブラスカ州オファット空軍基地に移された。12月、隷下部隊は爆撃航空群14個（B-36爆撃機装備１個、配属機無し１個、B-29爆撃機装備11個、B-29及びB-50爆撃機装備１個）と戦闘群２個（F-51戦闘機装備１個、F-82戦闘機装備１個）で、B-29爆撃機486機、B-50爆撃機35機、B-36爆撃機35機、C-54輸送機11機を装備していた。うち核を搭載できるのはB-29爆撃機38機、B-50爆撃機18機、B-36爆撃機４機である。1949年12月、隷下部隊は爆撃航空群14個（B-36爆撃機装備１個、B-36爆撃機装備中２個、B-29爆撃機装備８個、B-29爆撃機及びB-50爆撃機装備３個）と戦闘群２個（F-86戦闘機装備１個、F-82戦闘機装備１個）で、B-29爆撃機390機、B-50爆撃機99機、B-36爆撃機36機、KB-29空中給油機67機、C-54輸送機19機、C-82輸送機11機、YC-97輸送機５機を装備していた。ソ連の核開発成功、朝鮮戦争勃発で冷戦が決定的になると、B-47ジェット爆撃機の大量生産が決定し、続々と配備されていった。1950年、朝鮮戦争では４個爆撃航空群を派遣した。1月1日、核搭載可能機はB-29爆撃機95機、B-50爆撃機96機、B-36爆撃機34機だった。2月、戦闘機部隊の名称が戦闘群から援護戦闘群になり、装備する戦闘機も比較的航続距離の長いF-84Eに統一した。11月、第27援護戦闘群を朝鮮戦争に派遣。12月、隷下部隊は爆撃航空群23個（B-36爆撃機装備２個、B-29爆撃機装備７個、B-29爆撃機及びB-50爆撃機装備１個、B-50爆撃機装備４個）と戦闘群３個（F-84戦闘機装備２個、F-84戦闘機装備中１個）で、B-29爆撃機286機、B-50爆撃機196機、B-36爆撃機38機、KB-29空中給油機126機、C-82輸送機４機、C-97輸送機14機、C-124輸送機19機を装備していた。1951年1月、アトラスICBMのベースとなるMX-1593計画に着手。部隊運用基準単位が群（group）から団（wing）に変更された。8月、第27援護戦闘群が朝鮮から帰還。12月、隷下部隊は爆撃航空団23個（B-36爆撃機装備２個、B-36爆撃機に転換中１個、B-29爆撃機装備12個、B-29爆撃機及びB-50爆撃機装備１個、B-50爆撃機装備４個、B-47爆撃機装備中１個、配属機無し２個）と援護戦闘団３個（F-84G戦闘機装備３個）で、B-29爆撃機340機、B-50爆撃機219機、B-36爆撃機98機、B-47爆撃機12機、KB-29空中給油機187機、KC-97空中給油機21機、C-82輸送機４機、C-124輸送機36機を装備していた。1952年1月20日、主任務が爆撃機援護でなく小型核爆弾投下に切り替えられたため、戦闘機部隊の名称を援護戦闘団から戦略戦闘航空団に変更。2月、後のB-70爆撃機となるWS-110A化学燃料爆撃機の仕様を提示。4月、B-52爆撃機が初飛行。10月、B-58爆撃機を発注。12月、隷下部隊は爆撃航空団25個（B-36爆撃機装備３個、B-36爆撃機装備中１個、B-50爆撃機装備５個、B-29爆撃機装備11個、B-47爆撃機装備中３個、配属機無し２個）と戦略戦闘航空団４個（F-84G戦闘機装備４個）で、B-29爆撃機417機、B-50爆撃機224機、B-36爆撃機154機、B-47爆撃機62機、KB-29空中給油機179機、KC-97空中給油機139機、C-82輸送機４機、C-124輸送機36機を装備していた。1953年12月、隷下部隊は爆撃航空団29個（B-36爆撃機装備６個、B-47爆撃機装備８個、B-47爆撃機装備中１個、B-47爆撃機装備予定５個、B-50爆撃機装備４個、B-29爆撃機装備２個、B-29爆撃機一部装備３個）と戦略戦闘航空団６個（F-84G戦闘機装備５個、配属機無し１個）で、B-29爆撃機110機、B-50爆撃機138機、B-36爆撃機185機、B-47爆撃機329機、KB-29空中給油機143機、KC-97空中給油機359機、C-124輸送機49機を装備していた。1950年代半ば、オファット空軍基地の地下に、核攻撃にも耐えられる戦時司令所を建設した。1954年12月、隷下部隊は爆撃航空団30個（B-36爆撃機装備６個、B-47爆撃機装備17個、RB-47偵察機装備２個、B-50爆撃機及びRB-50偵察機装備２個、B-47爆撃機装備中３個）と戦略戦闘航空団６個（F-84F戦闘機装備４個、F-84G戦闘機装備１個、F-84G戦闘機からF-84F戦闘機への転換中１個）で、B-50爆撃機78機、B-36爆撃機209機、B-47爆撃機795機、KB-29空中給油機91機、KC-97空中給油機592機、C-124輸送機54機を装備していた。1955年12月、隷下部隊は爆撃航空団34個（B-36爆撃機装備６個、B-52爆撃機装備中１個、B-47爆撃機装備22個、B-47爆撃機装備中５個）と戦略戦闘航空団６個（F-84F戦闘機装備６個）で、B-36爆撃機205機、B-47爆撃機1086機、B-52爆撃機18機、KB-29空中給油機82機、KC-97空中給油機679機、C-124輸送機51機を装備していた。1956年11月、トライアウト作戦を実施。12月、隷下部隊は爆撃航空団39個（B-36爆撃機及びRB-36偵察機装備７個、B-52爆撃機装備１個、B-52爆撃機装備中３個、B-47爆撃機装備27個、B-47爆撃機装備中１個）と戦略戦闘航空団５個（F-84F戦闘機装備５個）で、B-36爆撃機247機（RB-36偵察機含む）、B-47爆撃機1306機、B-52爆撃機97機、KB-29空中給油機74機、KC-97空中給油機750機、C-124輸送機51機を装備していた。1957年、戦闘機部隊が戦術航空コマンドに移ることになり、4月に１個、7月に３個が移動、残る２個は解隊された。10月1日、爆撃機部隊のアラートを開始。12月、隷下部隊は重爆撃航空団BW(H)11個（B-36爆撃機及びRB-36偵察機装備４個、B-52爆撃機装備５個、B-52爆撃機装備中２個）、重戦略航空団SW(H)１個（配属機無し１個）、中爆撃航空団BW(M)28個（B-47爆撃機装備）で、B-36爆撃機127機（RB-36偵察機含む）、B-47爆撃機1285機、B-52爆撃機243機、KC-97空中給油機742機、KC-135空中給油機24機、C-124輸送機50機を装備していた。1958年、スペインのトレホン基地に展開する空中給油機部隊の護衛のため、２個迎撃戦闘飛行隊を防空軍団ADCから借りて派遣した。核攻撃による爆撃機部隊の全滅を防ぐため、基地の分散を開始。１個爆撃航空団に所属する３個飛行隊のうち、２個をホームベース以外の基地に派遣する戦略航空団SWとした。12月、隷下部隊はBW(H)11個（B-52爆撃機装備８個、B-52爆撃機装備中２個、B-36爆撃機退役中１個）、BW(M)28個（B-47爆撃機装備28個）、SW14個（B-52爆撃機装備２個、B-52爆撃機装備中１個、開発中11個）、CCTW1個（B-47爆撃機及びRB-47偵察機装備１個）、迎撃戦闘飛行隊２個（F-86戦闘機装備２個）で、B-36爆撃機22機、B-47爆撃機1367機、B-52爆撃機380機、KC-97空中給油機780機、KC-135空中給油機182機、C-124輸送機51機を装備していた。1959年11月、アメリカ本土に低空飛行コリドー７本を確保し、爆撃機による低空侵攻訓練を開始。12月、隷下部隊はBW(H)12個（B-52爆撃機装備９個、B-52爆撃機一部装備２個、配属機無し１個）、SW(H)22個（B-52爆撃機装備７個、B-52爆撃機一部装備２個、配属機無し13個）、BW(M)27個（B-47爆撃機装備26個、B-47爆撃機を他部隊に貸したもの１個）、迎撃戦闘飛行隊２個（F-86戦闘機装備２個）で、B-47爆撃機1366機、B-52爆撃機488機、KC-97空中給油機745機、KC-135空中給油機322機、C-124輸送機50機、SM-62スナーク巡航ミサイル13基、ソア戦略弾道ミサイル５基、アトラスＤ大陸間弾道ミサイル６基を装備していた。1960年5月、保有爆撃機戦力の３分の１を常時アラートに付ける体制を整えた。7月1日、防空軍団から借りてきた２個迎撃戦闘飛行隊を防空軍団に戻した。EC-135空中指揮機をアラートに就かせるようになった。12月、隷下部隊はBW(H)12個（B-52爆撃機装備12個）、SQ(H)22個（B-52爆撃機装備16個、配属機無し６個）、BW(M)24個（B-47爆撃機装備22個、B-47爆撃機を他部隊に貸したもの１個、B-58爆撃機装備中１個）、CCTW1個（B-47爆撃機装備１個）で、B-47爆撃機1178機、B-52爆撃機538機、B-58爆撃機19機、KC-97空中給油機689機、KC-135空中給油機405機、C-124輸送機50機、SM-62スナーク巡航ミサイル30基、アトラスＤ大陸間弾道ミサイル６基を装備していた。1961年、C-124輸送機を空輸軍団MACに譲った。国際情勢緊迫化に伴い、爆撃機の地上アラート体制が配備部隊の２分の１に強化された。1月、核兵器搭載爆撃機の空中アラートを開始したが、事故も多く費用もかさみ、後に通常時には中止されることになった。2月3日、EC-135空中指揮機の空中アラートを開始。11月、KC-135空中給油機を戦略航空コマンドのみで運用することが決定し、戦術航空コマンド所属機に対する給油も行うことになった。12月、隷下部隊はBW(H)14個（B-52爆撃機装備14個）、SW(H)21個（B-52爆撃機装備21個）、BW(M)19個（B-47爆撃機装備17個、B-58爆撃機装備１個、B-58爆撃機装備中１個）、CCTW１個（B-47爆撃機装備１個）で、B-47爆撃機889機、B-52爆撃機571機、B-58爆撃機66機、KC-97空中給油機651機、KC-135空中給油機444機、アトラスＤ大陸間弾道ミサイル30基、アトラスＥ大陸間弾道ミサイル32基、タイタン�T大陸間弾道ミサイル１基を装備していた。1962年12月、隷下部隊はBW(H)11個（B-52爆撃機装備11個）、SW(H)22個（B-52爆撃機装備22個）、SAW(H)３個（B-52爆撃機装備３個）、BW(M)17個（B-47爆撃機装備15個、B-58爆撃機装備２個）、SAW(M)３個（B-47爆撃機装備３個）、CCTW1個（B-47爆撃機装備１個）で、B-47爆撃機880機、B-52爆撃機639機、B-58爆撃機76機、KC-97空中給油機503機、KC-135空中給油機515機、アトラスＤ大陸間弾道ミサイル30基、アトラスＥ大陸間弾道ミサイル32基、アトラスＦ大陸間弾道ミサイル80基、タイタン�T大陸間弾道ミサイル62基、ミニットマンICBM80基を装備していた。1963年12月、隷下部隊はBW(H)32個（B-52爆撃機装備）、SAW(H)6個（B-52爆撃機装備６個）、BW(M)12個（B-47爆撃機装備10個、B-58爆撃機装備２個）、SAW(M)２個（B-47爆撃機装備２個）で、B-47爆撃機613機、B-52爆撃機636機、B-58爆撃機86機、KC-97空中給油機306機、KC-135空中給油機613機、アトラスＤ大陸間弾道ミサイル28基、アトラスＥ大陸間弾道ミサイル33基、アトラスＦ大陸間弾道ミサイル79基、タイタン�T大陸間弾道ミサイル63基、タイタン�UICBM56基、ミニットマンICBM372基を装備していた。1964年4月2日、ICBMのアラート数が爆撃機の地上アラート数と同数に達した。12月、隷下部隊はBW(H)32個（B-52爆撃機装備32個）、SAW(H)６個（B-52爆撃機装備６個）、BW(M)６個（B-47爆撃機装備４個、B-58爆撃機装備２個）、SAW(M)４個（B-47爆撃機装備４個）で、B-47爆撃機391機、B-52爆撃機626機、B-58爆撃機94機、KC-97空中給油機190機、KC-135空中給油機679機、アトラスＤ大陸間弾道ミサイル13基、アトラスＥ大陸間弾道ミサイル30基、アトラスＦ大陸間弾道ミサイル75基、タイタン�T大陸間弾道ミサイル56基、タイタン�UICBM59基、ミニットマンICBM698基を装備していた。1965年12月、隷下部隊はBW(H)32個（B-52爆撃機装備32個）、SAW(H)６個（B-52爆撃機装備６個）、BW(M)４個（B-47爆撃機装備１個、B-58爆撃機装備２個、B-47爆撃機退役中１個）、SAW(M)３個（B-47爆撃機装備１個、B-47爆撃機退役中２個）で、B-47爆撃機114機、B-52爆撃機600機、B-58爆撃機93機、KC-135空中給油機665機、タイタン�UICBM59基、ミニットマンICBM821基を装備していた。1966年12月、隷下部隊はBW(H)29個（B-52爆撃機装備29個）、SAW(H)６個（B-52爆撃機装備６個）、BW(M)２個（B-58爆撃機装備２個）で、B-52爆撃機591機、B-58爆撃機83機、KC-135空中給油機665機、タイタン�UICBM60基、ミニットマンICBM908基を装備していた。1967年12月、隷下部隊はBW(H)28個（B-52爆撃機装備28個）、SAW(H)15個（B-52爆撃機装備15個）、BW(M)２個（B-58爆撃機装備２個）で、B-52爆撃機588機、B-58爆撃機81機、KC-135空中給油機658機、タイタン�UICBM63基、ミニットマンICBM973基を装備していた。1968年12月、隷下部隊はBW(H)23個（B-52爆撃機装備23個）、SAW(H)４個（B-52爆撃機装備４個）、BW(M)２個（B-58爆撃機装備２個）で、B-52爆撃機579機、B-58爆撃機76機、KC-135空中給油機652機、タイタン�UICBM59基、ミニットマンICBM967基を装備していた。1969年12月、隷下部隊はBW(H)20個（B-52爆撃機装備20個）、SAW(H)４個（B-52爆撃機装備４個）、BW(M)４個（B-58爆撃機退役中２個、FB-111爆撃機装備準備中１個、FB-111爆撃機訓練部隊１個）で、B-52爆撃機505機、B-58爆撃機41機、FB-111爆撃機３機、KC-135空中給油機647機、タイタン�UICBM60基、ミニットマンICBM1005基を装備していた。1970年12月、隷下部隊はBW(H)20個（B-52爆撃機装備20個）、SAW(H)４個（B-52爆撃機装備４個）、BW(M)２個（FB-111爆撃機装備中１個、FB-111爆撃機訓練部隊１個）で、B-52爆撃機459機、FB-111爆撃機42機、KC-135空中給油機658機、タイタン�UICBM57基、ミニットマンICBM982基を装備していた。1971年12月、隷下部隊はBW(H)19個（B-52爆撃機装備19個）、SAW４個（B-52爆撃機装備３個、FB-111爆撃機装備１個）、SW１個（B-52爆撃機装備１個）、BW(M)１個（FB-111爆撃機装備１個）で、B-52爆撃機412機、FB-111爆撃機66機、KC-135空中給油機648機、タイタン�UICBM58基、ミニットマンICBM990基を装備していた。1972年12月、隷下部隊はBW(H)22個（B-52爆撃機装備22個）、SW１個（B-52爆撃機装備１個）、BW(M)２個（FB-111爆撃機装備２個）で、B-52爆撃機402機、FB-111爆撃機60機、KC-135空中給油機643機、タイタン�UICBM57基、ミニットマンICBM955基を装備していた。1973年12月、隷下部隊はBW(H)22個（B-52爆撃機装備22個）、SW１個（B-52爆撃機装備１個）、BW(M)２個（FB-111爆撃機２個）で、B-52爆撃機420機、FB-111爆撃機70機、KC-135空中給油機670機、タイタン�UICBM54基、ミニットマンICBM1000基を装備していた。1974年12月、隷下部隊はBW(H)20個（B-52爆撃機装備20個）、BW(M)２個（FB-111爆撃機装備２個）で、B-52爆撃機400機、FB-111爆撃機70機、KC-135空中給油機660機、タイタン�UICBM54基、ミニットマンICBM1000基を装備していた。1975年12月、隷下部隊はBW(H)18個（B-52爆撃機装備18個）、BW(M)２個（FB-111爆撃機装備２個）で、B-52爆撃機400機、FB-111爆撃機70機、KC-135空中給油機650機、タイタン�UICBM54基、ミニットマンICBM1000基を装備していた。1976年12月、隷下部隊はBW(H)17個（B-52爆撃機装備17個）、BW(M)２個（FB-111爆撃機装備２個）で、B-52爆撃機400機、FB-111爆撃機70機、KC-135空中給油機620機、タイタン�UICBM54基、ミニットマンICBM1000基を装備していた。1977年7月、FB-111爆撃機４個中隊68機、B-52G/H爆撃機15個中隊226機、B-52D爆撃機５個中隊75機、訓練用B-52D/F爆撃機72機、格納中または予備役のB-52D/F/G爆撃機など153機、KC-135空中給油機32個中隊519機、ミニットマン�UICBM450基、ミニットマン�VICBM550基、タイタン�UICBM54基を装備していた。1986年、B-1B爆撃機の配備を開始。1989年、B-2爆撃機の配備を開始。1992年6月1日に解体され、航空戦闘コマンドACCに統合された。参考：航空ジャーナル9,’77臨時増刊、アメリカジェット戦闘機、月刊軍事研究5,’03、9,’08、7,’09、アメリカの核兵器、軍事力バランス78年版

＜戦略航空作戦＞：戦略爆撃を参照。

＜戦略航空団＞：SWを参照。

＜戦略攻撃＞：アメリカ軍が戦略爆撃の代わりに用いている用語。中身は戦略爆撃と同じだが、戦略爆撃機でなく攻撃機やミサイルなどで行う。湾岸戦争でコンセプトが定着した。参考：月刊軍事研究4,’03

＜戦略攻撃能力削減条約＞：モスクワ条約を参照。

＜戦略攻撃兵器のさらなる削減と制限措置に関するアメリカ合衆国とロシア連邦の条約＞：新STARTを参照。

＜戦略支援艦＞：南アフリカ海軍が２隻を建造予定の艦艇。ヘリコプター甲板、船体後部にウェル・ドック、舷側または艦尾にRo-Ro設備を持ち、医療設備と高度な指揮管制設備を備え、揚陸作戦、人道支援、作戦指揮など多目的に使用できる。参考：月刊軍事研究12,’08

＜戦略照射レーザー＞：ミサイル防衛庁とノースロップ・グラマン社が開発している目標照準用レーザー、略称SILL（Strategic Illuminator Laser）。出力数kWのソリッド・ステート・レーザーで大気の揺らぎやレーザーの歪みなどを検出する。2006年にデモンストレーションを行い、５分間の連続発振に成功した。参考：月刊軍事研究8,’12

＜戦略情報局＞：OSSを参照。

＜戦略常務用暗号書Ｄ＞：日本海軍の暗号。昭和14年6月から使用された。アメリカ軍はJN-25のコードネームを付けてOP-20-Gで解読し、イギリスやオランダも一部解読に成功したが、昭和15年12月の改訂（JN-25b）により解読できなくなった。昭和16年に再度改訂し（JN-25b7）、真珠湾攻撃直前の12月にも改訂（JN-25b8）しており、真珠湾攻撃時には解読できなくなっていた。その後、昭和17年1月8日までに全5366符字のうち3000を解読し、MO作戦を事前に知ることができたが、直後に改訂されたため、昭和17年後半まで解読できなくなった。参考：激闘太平洋戦記、ラバウル航空戦、月刊軍事研究10,’09

＜戦略潜水艦隊司令部＞：ALFOSTを参照。

＜戦略偵察＞：Strategic Reconnaissance。主要生産施設、原料生産地、物資貯蔵所、動力施設、通信施設、交通機関、航空基地、出撃前の軍の大集団、政治・軍事中心地といった戦略目標に対して偵察を行うこと。主に高級司令部が命じて戦略偵察を行うが、戦略部隊などが必要に応じて実施することもある。参考：月刊丸11,’72、空軍

＜戦略偵察機＞：偵察機を参照。

＜戦略的核戦争＞：核戦争を参照。

＜戦略的欺瞞工作＞：敵の上層部が行う戦略的決定を、自国の利益となるように工作すること。参考：月刊軍事研究7,’10

＜戦略爆撃＞：戦略航空作戦ともいう。ドゥーエ理論のように、敵の政治、経済、産業、軍事重要目標を爆撃して工業生産力を破壊し、戦争遂行能力を低下させ、抗戦意思を挫くことが目的である。ただし、中途半端に爆撃すると破壊した目標を再建されてしまうだけでなく、相手の市民を敵愾心で団結させてしまうため、完全に逆効果となる。また、目標が多数に及び、効果の発現にも一定の時間を要するので、重要目標を平時から慎重に検討して予め絞り込み、それらを同時に集中爆撃して一気に破壊すると共に、再建できないよう反復・継続的に破壊し続ける必要がある。爆撃機による世界初の戦略爆撃は、ドイツ空軍が第１次大戦中にゴータＧ�Wで実施したもので、ツェッペリン飛行船を使用したロンドン爆撃は1915年1月に始まった。都市を主目標とする無差別爆撃は国際法で厳禁されていたが、第２次大戦では相手の違反に対する報復を口実にエスカレート、遂に核兵器の開発・使用に至っている。参考：月刊軍事研究7,’05、8,’99、7,’99、3,’11、空軍、月刊丸3,’90

＜戦略爆撃機＞：戦略爆撃に使用する航空機。戦略目標は戦線から離れていることが多いので、航続距離が大きく生残性が高い必要がある。目標が大きいので爆弾搭載量も大きくするが、核兵器が開発されると専らこれを積むようになった。目標に正確に到達する必要があるが、無線航法や衛星航法は妨害されたり施設が破壊されたりするので、自動天測航法、慣性航法装置、レーダー・マッピング装置などを自前で積む。維持経費が安く抗堪性の高いICBM/SLBM誕生後も、ペイロードの大きさや反復攻撃能力の高さから戦力として維持され続けた。21世紀に入り、大量の小型精密誘導兵器を抱えて味方の上空で長時間待機できる能力を活かし、対テロ作戦における近接航空支援にも活躍している。参考：空軍、月刊軍事研究7,’05、2,’11

＜戦略爆撃機用共通型回転式ランチャー装置＞：CSRLを参照。

＜戦略兵器＞：戦略攻撃に使用される兵器。参考：アメリカの核兵器

＜戦略兵器削減交渉／条約＞：STARTを参照。

＜戦略防衛構想＞：SDIを参照。

＜戦略防衛構想機構＞：SDIOを参照。

＜戦略ミサイル＞：Strategic Missile。敵戦略目標（首都、主要都市、工業地帯、軍事拠点、ミサイル基地など）を攻撃するためのミサイルで、大陸間弾道ミサイルICBMと潜水艦発射弾道ミサイルSLBMを指す。時に中距離弾道ミサイルIRBMや戦略攻撃の可能な長射程核巡航ミサイルSLCMを含む。第２次大戦後、ドイツのFi-103巡航ミサイル／A-4弾道ミサイルをベースに研究が進み、当初は開発の容易な航空機型巡航ミサイルが生産されたが、誘導装置が未熟なこと、大型の機体が高々度を亜音速で飛行するので撃墜されやすいことから、弾道ミサイルに後を譲って廃れた。1970年代からターボファン・エンジンによる低空飛行長射程小型巡航ミサイルが製作できるようになり、誘導装置の発達で命中精度も向上、戦略巡航ミサイルが復活している。参考：月刊丸3,’90、アメリカの核兵器、月刊世界の艦船3,’05

＜戦略無人機＞：RQ-4シリーズを参照。

＜戦略ロケット軍＞：ロシア戦略ロケット軍を参照。

＜洗流＞：ダウンウォッシュを参照。

＜占領軍＞：太平洋戦争後、日本を占領した連合軍進駐部隊。1945年8月28日、在マニラ・マッカーサー司令部作戦参謀テンチ大佐以下150名の先遣偵察連絡隊がC-46輸送機で厚木飛行場に到着。アメリカ軍が横須賀に上陸。8月28-29日、アメリカ陸軍第８軍第11空挺師団がC-46輸送機150機で沖縄から厚木飛行場に到着。8月30日、マッカーサー元帥以下占領軍司令部（マッカーサー司令部幕僚バターン・ボーイズ、第８軍司令官アイケルバーガー中将、第８軍司令部、第11空挺師団長スウィング少将、第11空挺師団司令部など）が厚木飛行場に到着。1400頃にマッカーサー元帥がC-54輸送機から降り立ち、横浜のホテルニューグランドにGHQを設置した。連合軍が首都圏の軍施設接収準備を開始。9月1日、アメリカ陸軍第８軍第14軍団第１騎兵師団が輸送船で横浜に上陸を開始。9月2日、GHQが陸海軍の解隊を命ずる指令を発令。また、GHQ一般命令第１号で、掃海作業を引き続き日本が行う事になった。日本の警察には内務省警保局から連合軍への協力通達が出され、嫌がる日本陸軍部隊を説得しながら連合軍に協力した。日本国内では連合軍が皇統断絶のため男子皇族全員を死刑ないし去勢に処する噂が流れ、陸軍大尉が独自に賀陽宮邦寿王殿下を出家させるまたは鉱山に隠遁させる計画を立てる事態となったが、杞憂に終わっている。占領軍が東京への進駐を開始。九州錦江湾金浜海岸にアメリカ軍が上陸し、鹿屋基地を占領。9月3日、多摩飛行場にアメリカ第１騎兵師団第12騎兵連隊が駐屯を開始。福生町に勤労奉仕の指示が来たため、住民は水杯まで交わして恐る恐る出かけたが、休憩付きで普通に仕事をこなした後は煙草やチョコレートを渡された。9月8日、アメリカ第１騎兵師団が東京入りし、真珠湾攻撃の日にホワイトハウスで掲揚されていた星条旗をアメリカ大使館に掲揚した。9月17日、GHQが東京に移転し、第一生命館に司令部を置いた。9月21日、日本を間接統治する極東委員会の設置を決定。9月25日、アメリカ陸軍第６軍第33師団17000名が和歌山市和歌浦二里ヶ浜に上陸。9月26日、第33師団が神戸に司令部を置いた。9月27日、マッカーサー元帥が昭和天皇と初会見。アメリカ第６軍が大阪に進駐。9月30日、アメリカ太平洋陸軍第６軍309000名・第８軍252000名が日本各地に進駐。第６軍は西日本担当で、軍司令官クルーガー中将以下司令部が和歌山に上陸して京都に進駐し、第１軍団司令部を大阪、第６軍団司令部を京都、第10軍団司令部を広島に置き、第33歩兵師団が京都・兵庫・岡山に、第98歩兵師団が大阪と和歌山に、第25歩兵師団が愛知と岐阜に、第24歩兵師団が広島・山口と四国に、第41歩兵師団が鳥取と島根に、第32歩兵師団が福岡に入った。また、アメリカ海兵隊第５水陸両用軍団第２・第５海兵師団が佐世保軍港と長崎・佐賀・大分・宮崎・熊本・鹿児島に進駐している。第８軍は東日本担当で、司令部は横浜のホテルニューグランドにあり、第９軍団司令部を北海道、第14軍団司令部を宮城に置き、北海道にニューヨーク州陸軍第77歩兵師団、青森・岩手に第81歩兵師団、宮城に第11空挺師団、山形・福島・新潟・富山に第27歩兵師団、神奈川・静岡・山梨に第23歩兵師団、埼玉・栃木・群馬・長野にメリーランド州陸軍第97歩兵師団（埼玉・栃木・群馬は当初第43歩兵師団が進駐したが現役期間満了により短期間で本国に送還）、東京と埼玉の一部に第１騎兵師団、千葉に第112歩兵連隊戦闘団が進駐した。主要港湾は横須賀に司令部を置くアメリカ海軍部隊、飛行場や航空関係施設は小牧飛行場に総司令部を置く陸軍航空軍部隊（第５航空軍など）が進駐している。1946年2月、イギリス連邦占領軍（主力はオーストラリア軍）が中国・四国地方の占領業務を開始。参考：THE JEEP、月刊丸9,’20

＜占領軍（１９５０年６月２５日）＞：兵力は陸軍75000名、巡洋艦２隻、駆逐艦10隻、空軍機350機など。トップは連合国軍最高司令部GHQで、千代田区の第一生命会館に置かれた。隷下に第８軍（横浜市根岸）、極東海軍（横須賀市）、極東空軍（千代田区）を置く。第８軍は第１騎兵師団（朝霞市）、第７師団（仙台市）、第24師団（小倉市）、第25師団（堺市）、第29歩兵連隊（普天間）、第187空挺連隊（福岡市）、極東海軍は第７艦隊（佐世保市）、極東空軍は第５航空軍（名古屋市）、第20航空軍（嘉手納）からなる。参考：月刊軍事研究6,’13

＜線量計３型＞：陸上自衛隊の個人装着式放射線（γ線）測定器。重量15g。パナソニックシステムネットワークス製。参考：自衛隊装備年鑑1996、月刊軍事研究1,’17

＜線量計３型用計測器＞：線量計３型の放射線被曝量を測定する装置。重量20kg。参考：自衛隊装備年鑑1996

＜線量計３形用計測器２形＞：自衛隊の機器。パナソニックシステムネットワークス製。参考：月刊軍事研究10,’18

＜線量率計＞：自衛隊の機器。富士電気製。参考：月刊軍事研究8,’16

＜線量率計３型＞：自衛隊の機器。P-1用、SH-60K用、地域用もある。富士電機システムズ製。参考：月刊軍事研究8,’09、9,’09、2,’12

＜線量率計（α／β線用線量率計）＞：自衛隊の機器。富士電機製。参考：月刊軍事研究8,’16

＜線量率計（γ線用線量率計）＞：自衛隊の機器。富士電機製。参考：月刊軍事研究8,’16

＜戦力展開拠点＞：PPHを参照。

＜戦力モジュールパッケージ＞：FMPを参照。

＜前輪式降着装置＞：Nose wheel type landing gear。機首に前脚、機体重心後方に主脚を配置するタイプの降着装置で、三車輪式ともいう。地上姿勢が水平なので、尾輪式よりも着陸性能、滑走性能、前方視界、貨客積み降ろしに優れる。滑走中に地面の凹凸で機首が横を向いても、地面とタイヤとの摩擦力が機首を戻す方向に働くので、グラウンド・ループ現象が起きない。バルーニング現象や急ブレーキでの転覆も無い。ホイールベースが短く、前脚にステアリング装置を付ければ小回りが効く。尾輪式より重い、前脚取り付けスペースの確保に工夫が要る、急ブレーキ時に主脚の荷重が減って主輪がロックしやすい、シミーやポーポイジングが起きるといった欠点がある。プロペラ機ではDC-4E試作旅客機、A-20攻撃機、B-26爆撃機などに採用され、機首にエンジンやプロペラが無く前脚収容スペースが確保できるジェット機で一般的となった。参考：航空用語事典増補改訂版、飛行機のしくみ、世界の傑作機No.155

＜船楼＞：全通甲板上の構造物で、側面が全通甲板と連続し、水密区画を形成したもの。参考：艦船メカニズム図鑑

＜船楼甲板＞：Superstructure Deck。上部構造を支持する主甲板のこと。参考：米海軍サバイバルマニュアル

＜全ロシア自動機械研究所＞：ソ連の核弾頭設計研究所。1953年、モスクワに設立された。参考：核兵器事典

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